【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、実施形態について説明する。
【0010】
なお、図面での部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実
のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸
法や比率が異なって表される場合もある。
【0011】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について、
図1を用いて説明する。
図1は、第1実施形態に係る
位置判定システムのイメージ図である。
【0012】
<位置判定システムの全体構成例>
図1を用いて、第1実施形態に係る位置判定システム100の全体構成について説明す
る。
図1に示すように、位置判定システム100は、大まかに、第1システム1、第2シ
ステム2を備える。
【0013】
<第1システム1>
図1に示すように、第1システム1は、移動無線端末3と複数のビーコン装置(無線装
置)4を含む。移動無線端末3とビーコン装置4の間は、Bluetooth(登録商標
) low energy等の方式に従って通信を実行する。
【0014】
移動無線端末3は、
図2に示すように、入力部11、表示部12、第1制御部13、記
憶部14等のデータ処理系と、送受信部15、送受切り分け部16、送受アンテナ17、
BTクロックタイマ18の通信処理系を有している。なお、第1制御部13は、通信制御
部としても機能する。
【0015】
ビーコン装置4は、
図3に示すように、第2制御部31、第2記憶部32、送受信部3
3、無線電波強弱可変部34、送受切り分け部35、送受アンテナ36、BTクロックタ
イマ37等を有している。
【0016】
移動無線端末3における入力部11は、電源のオン、オフや、位置表示の起動、表示モ
ードの選択などの動作に必要な情報を入力するためのキー等が設けられている。
【0017】
表示部12は、第1制御部13の制御下で、クーポン画像や周囲の地図等を表示させる
ものである。入力部11及び表示部12は、液晶パネルとその前面のタッチパネル等のよ
うに融合して構成されていても良い。
【0018】
第1制御部13は、例えば、当該移動無線端末3の全体を制御するものであり、CPU
を中心に構成されている。第1制御部13は、例えば、記憶部14に格納されているプロ
グラム制御動作を実行する。
【0019】
第1記憶部14は、例えば、ROM、RAM、EEPROM等で構成されており、第1
制御部13が実行するプログラム14a、14bを格納している。また、第1制御部13
による動作実行時には、ワーキングメモリとして機能する。
【0020】
第1記憶部14に記憶されている通信制御プログラム14aには、当該移動無線端末3
のBluetooth(登録商標)アドレス(BTアドレス)や、問い合わせ時、呼出時
、通信時用の各種の周波数ホッピングパターンのデータ等も格納されている。また、第1
記憶部14に記憶されている位置決定プログラム14bには、当該移動無線端末3の位置
を決定する位置検出処理ルーチンも含まれている。
【0021】
送受信部15は、送信部として機能する際には、第1制御部13から与えられた送信パ
ケットデータをRF(無線周波数)信号に変換し、送受切り分け部16を介して送受アン
テナ17に与えて送信させるものである。また、送受信部15が受信部として機能する際
には、送受アンテナ17が捕捉し、送受切り分け部16を介して与えられた受信信号(R
F信号)を受信パケットデータに変換して第1制御部13に与えるものである。また、送
信部と受信部とが別々に設けられていてもよい。
【0022】
送受切り分け部(デュプレックス回路)16は、送信系と受信系との切り分けを行う。
送信アンテナと受信アンテナとが別に設けられている場合には、この送受切り分け部16
は不要である。
【0023】
送受アンテナ17は、送信RF信号を無線空間に放射すると共に、到来電波を電気信号
(受信RF信号)に変換するものである。送受アンテナ17は、無指向性のものである。
【0024】
BTクロックタイマ18は、時間軸上のスロット(時間軸スロット)等を規定する各種
のBluetooth(登録商標)クロック(BTクロック)を発生するタイマである。
【0025】
各ビーコン装置4における第2制御部31は、例えば、CPUを中心に構成されている
ものであり、当該ビーコン装置4の全体を制御するものである。第2制御部31は、例え
ば、第2記憶部32に格納されている通信制御プログラム(固定データ等を含む)に従い
ながら、制御動作を実行する。
【0026】
第2記憶部32は、例えば、ROM、RAM、EEPROM等で構成されており、第2
制御部31が実行するプログラムを格納していると共に、第2制御部31による動作実行
時にワーキングメモリとして機能するものである。記憶部32には、当該ビーコン装置4
の位置データ(例えば、経度、緯度、座標、標高、等)や、当該ビーコン装置4のBTア
ドレスや、周波数ホッピングパターン等が格納されている。
【0027】
送受信部33は、第2制御部31から与えられた送信パケットデータをRF信号に変換
し、送受切り分け部35を介して送受アンテナ36に与えて送信させるものである。また
、送受アンテナ36が捕捉し、送受切り分け部36を介して与えられた受信信号(RF信
号)を受信パケットデータに変換して第2制御部31に与えるものである。
【0028】
無線電波強弱可変部34は、第2制御部31の制御下で、送受信部33に与える送信電
波強度の強弱を一定のリズムで発生するものである。発生する信号の電波強度は、任意の
時間間隔で変動する。同機能を第2制御部31がプログラムにしたがって実行してもよい
。
【0029】
送受切り分け部35は、送信系と受信系との切り分けを行うものである。アンテナとし
て、送信アンテナと受信アンテナとが別に設けられている場合には、送受切り分け部36
は不要である。
【0030】
送受アンテナ36は、送信RF信号を無線空間に放射すると共に、到来電波を電気信号
(受信RF信号)に変換するものである。送受アンテナ36は、無指向性のものを意図し
ているが、マルチパスが生じやすい設置位置である場合には、反射波の送受信を不可能な
方向に指向性を持たせるようにしても良い。
【0031】
BTクロックタイマ37は、時間軸スロットを規定する各種のクロックを発生するタイ
マである。本実施形態の場合、各ビーコン装置4のBTクロックタイマ37は、同時刻を
計時するようになされている。例えば、図示しない通信構成により、国内の標準時刻を管
理している標準時刻タイマに同期化されている。また例えば、同一のGPS(グローバル
ポジショニングシステム)衛星からの電波に含まれている時刻情報に統一されている。
【0032】
<第2システム2>
図1に示すように、第2システム2は、クラウドサーバ20を備える。クラウドサーバ
20は、移動無線端末3と通信する。
【0033】
クラウドサーバ20は、
図4に示すように、第3制御部21、第3記憶部22等のデー
タ処理系と、送受信部23、送受切り分け部24、送受アンテナ25、BTクロックタイ
マ26等の通信処理系を有している。なお、第3制御部21は、通信制御部としても機能
する。
【0034】
第3制御部21は、例えば、当該クラウドサーバ20の全体を制御するものであり、C
PUを中心に構成されている。第3制御部21は、例えば、第3記憶部22に格納されて
いるプログラム制御動作を実行する。
【0035】
第3記憶部22は、例えば、ROM、RAM、EEPROM等で構成されており、第3
制御部21が実行するプログラムを格納している。また、第3制御部21による動作実行
時には、ワーキングメモリとして機能する。
【0036】
第3記憶部22に記憶されている通信制御プログラム22aは、当該クラウドサーバ2
0と移動無線端末3とが通信を行うためのプログラムである。また、第3記憶部22に記
憶されている照会プログラム22bには、移動無線端末3が取得したビーコン装置4の情
報を照会し、クラウドサーバ20が移動無線端末3に詳細な位置情報やビーコン装置に割
り当てられた店舗等で使えるクーポン等のデータを送信する処理ルーチンも含まれている
。
【0037】
送受信部23は、送信部として機能する際には、第3制御部21から与えられた送信パ
ケットデータをRF(無線周波数)信号に変換し、送受切り分け部24を介して送受アン
テナ25に与えて送信させるものである。また、受信部として機能する際には、送受アン
テナ25が捕捉し、送受切り分け部24を介して与えられた受信信号(RF信号)を受信
パケットデータに変換して第3制御部21に与えるものである。また、送信部と受信部と
が別々に設けられていてもよい。
【0038】
<動作>
次に、
図5(a)から
図5(c)のフローチャートを参照して、実施形態の動作につい
て説明する。
【0039】
図5(a)に示すように、ビーコン装置4は、装置固有のデータ(識別IDや位置情報
など)を有する無線信号を電波として周囲に発信する(ステップS1)。その際、任意の
時間間隔にて発信している電波の電波強度を無線電波強弱変化部34によって変化させる
(ステップ2)。
【0040】
一方、移動無線端末3は、
図5(b)に示すように、まず近接のビーコン装置4の電波
を受信する(ステップR1)。次に、受信した電波の電波強度変化から、移動無線端末3
の第1制御部13が、ビーコン装置4との相対位置を計算する(ステップR2)。移動無
線端末3の第1制御部13は、予め設定しておいた閾値(ビーコン装置との距離が近いと
判断する際の参考値)と算出した相対位置とを比較し、移動無線端末3がビーコン装置4
の周囲のいるのかを判定する(ステップR3)。ビーコン装置4と移動無線端末3との距
離が近くないと判定された場合(ステップR3、NO)には、再びステップR1に戻る。
一方で、ビーコン装置4と移動無線端末3との距離が近いと判定された場合(ステップR
3、YES)には、移動無線端末3はクラウドサーバ20との通信を開始する(ステップ
R4)。移動無線端末3の第1制御部13は、受信したビーコン装置4の固有データをク
ラウドサーバ20へ照会する(ステップR5)。クラウドサーバ20は、ビーコン装置4
のそばに移動無線端末3があると認識し、当該移動無線端末3に各ビーコン装置に割り当
てられた情報(ビーコン装置4の周囲に関する情報やクーポン券など)を送信する(ステ
ップR6)。その後、移動無線端末3の第1制御部13は、受信した情報を表示部に表示
する(ステップR7)。
【0041】
クラウドサーバ20は、
図5(c)に示すように、まず移動無線端末3との通信を開始
する(ステップQ1)。次に、クラウドサーバ20は、通信接続された移動無線端末3か
ら、移動無線端末3が保持するビーコン装置4の固有データを受信する(ステップQ2)
。クラウドサーバ20は、ビーコン装置4の固有データに対応する情報を移動無線端末に
送信する(ステップQ3)。
【0042】
<作用及び効果>
ここで、本実施形態による作用および効果について、具体例を用いて説明する。
【0043】
図6に示すように、歩行者が屋内施設にて移動無線端末3Aを保持しており、周囲のビ
ーコン装置4A、4B、4Cは信号を送信しているとする。このとき、ビーコン装置が発
する信号の電波強度は、例えば−40dB〜0dB程度の変化幅を有する。電波強度は、
電波強度を二つ以上設定し、任意の時間間隔で変化させるか、時間によって一定の周期で
電波強度を変化するようにしてもよい。また、ビーコン装置は、複数設けられ、線対称ま
たは、複数のビーコン装置を結ぶと4面体を形成するような位置関係に設けられていると
望ましい。この場合、ビーコン装置に対して移動無線端末の位置を特定する精度が向上す
る。また、各ビーコン装置は、異なる周期で信号を発信するのが望ましい。信号を同期さ
せると互いに干渉し、ノイズが発生する虞があるためである。
【0044】
移動無線端末3Aは、受信したビーコン装置4Aの固有データと電波の強弱からビーコ
ン装置4Aに対する相対位置を計算する。また、ビーコン装置4B、4Cから受信した信
号に対しても同様に処理をする。次に、移動無線端末3Aは、受信したビーコン装置4A
とビーコン装置4B、ビーコン装置4Cの固有データをサーバに照会する。この固有デー
タは、例えば各々ビーコンに与えられたIDやビーコンの位置情報などである。これによ
り、クラウドサーバ20の第3制御部は、移動無線端末3Aがどこに位置するかをより詳
細に特定し、固定の場所に存在する複数のビーコン装置の中でビーコン装置4Aに最も近
いと判断する。そして、クラウドサーバ20は、ビーコン装置4Aに対応する情報(ビー
コン装置4Aの周囲の店舗のクーポン券の発行、周辺の地図等)を、移動無線端末3Aに
送信する。移動無線端末3Aの表示部には、その受信した情報を表示する。
【0045】
以上より、移動無線端末は、GPS衛星から信号を受信して、位置情報を取得できない
屋内や車内において、無線機能のついた移動無線端末の場所をより高い精度で特定するこ
とができる。
【0046】
また、従来は、電波強度を一定に発信していたため、電波強度が強い場合には、受信強
度の判定が飽和状態となり、計算結果にずれが生じやすいことがあった。一方で、第1実
施形態にかかる位置判定システム100は、ビーコン装置が電波強度を可変して、無線信
号を送出するため、強弱の電波強度から受信したビーコン装置をより正確に把握し、移動
無線端末の位置を特定することができるようになる。
【0047】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
図7は、第2実施形態に係る位置判定システム
200のイメージ図である。位置判定システム200では、第1実施形態と異なり、移動
無線端末が任意の時間間隔で電波強度を可変(例えば、0dBmと−40dBm)しなが
ら、該移動無線端末固有データを有する無線信号を送出する。更に、その送出した電波を
車や屋内などに設けられたレシーバ装置(無線装置)が受信する。レシーバ装置には、あ
らかじめ移動無線端末の固有データを登録されており、登録されている移動無線端末がレ
シーバ装置に近づくと、レシーバ装置は、移動無線端末が近くにあることを認識する。
【0048】
図8に、移動無線端末5の詳細構成を示すブロック図を示す。移動無線端末5が、第1
実施形態に係る移動無線端末3と異なるのは、内部に無線電波強弱可変部49を有してい
る点である。移動無線端末5は、無線電波強弱可変部49によって、任意の時間間隔で電
波強度を可変しながら無線信号を送出する。また、無線電波強弱可変部49の代わりに、
第4制御部43で処理を行ってもよい。
【0049】
次に、
図9にレシーバ装置6の詳細構成を示すブロック図を示す。
【0050】
レシーバ装置6は、
図9に示すように、第5制御部61、第5記憶部62、送受信部6
3、送受切り分け部64、送受アンテナ65、BTクロックタイマ66等を有している。
【0051】
第5制御部61は、例えば、当該レシーバ装置6の全体を制御するものであり、CPU
を中心に構成されている。第5制御部61は、例えば、第5記憶部62に格納されている
プログラム制御動作を実行する。
【0052】
第5記憶部62は、例えば、ROM、RAM、EEPROM等で構成されており、第5
制御部61が実行するプログラム62a、62bを格納している。また、第5制御部61
による動作実行時には、ワーキングメモリとして機能する。
【0053】
第5記憶部62に記憶されている通信制御プログラム62aには、当該レシーバ装置6
のBluetooth(登録商標)アドレス(BTアドレス)や、問い合わせ時、呼出時
、通信時用の各種の周波数ホッピングパターンのデータ等も格納されている。また、第5
記憶部62に記憶されている位置決定プログラム62bには、移動無線端末5の位置を決
定する位置検出処理ルーチンも含まれている。
【0054】
送受信部63は、送信部として機能する際には、第5制御部61から与えられた送信パ
ケットデータをRF(無線周波数)信号に変換し、送受切り分け部64を介して送受アン
テナ65に与えて送信させるものである。また、受信部として機能する際には、送受アン
テナ65が捕捉し、送受切り分け部64を介して与えられた受信信号(RF信号)を受信
パケットデータに変換して第5制御部61に与えるものである。また、送信部と受信部と
が別々に設けられていてもよい。
【0055】
送受切り分け部(デュプレックス回路)64は、送信系と受信系との切り分けを行う。
送信アンテナと受信アンテナとが別に設けられている場合には、この送受切り分け部64
は不要である。
【0056】
送受アンテナ65は、送信RF信号を無線空間に放射すると共に、到来電波を電気信号
(受信RF信号)に変換するものである。送受アンテナ65は、無指向性のものである。
【0057】
BTクロックタイマ66は、時間軸上のスロット(時間軸スロット)等を規定する各種
のBluetooth(登録商標)クロック(BTクロック)を発生するタイマである。
【0058】
<動作>
次に、
図10(a)から
図10(c)のフローチャートを参照して、第2実施形態の動
作について説明する。
【0059】
図10(a)に示すように、移動無線端末5は、装置固有のデータ(識別IDや位置情
報など)を有する無線信号を電波として周囲に発信する(ステップSS1)。その際、任
意の時間間隔にて発信している電波の電波強度を無線電波強弱変化部49によって変化さ
せる(ステップSS2)。次にクラウドサーバ20との通信を開始し、クラウドサーバ2
0から各レシーバ装置に割り当てられた情報(レシーバ装置6の位置情報及び周囲の地図
情報、クーポン券など)を受信する。(ステップSS3)。クラウドサーバ20から受信
した情報を移動無線端末5の表示部に表示する(ステップSS4)。
【0060】
一方、レシーバ装置6は、
図10(b)に示すように、まず近接の移動無線端末5の電
波を受信する(ステップRR1)。次に、受信した電波の電波強度変化から、レシーバ装
置6の第5制御部61が移動無線端末5との相対位置を計算する(ステップRR2)。レ
シーバ装置6の第5制御部61は、予め設定しておいた閾値(レシーバ装置と移動無線端
末の距離が近いと判断する際の参考値)と算出した相対位置及び距離とを比較し、移動無
線端末5がレシーバ装置6の周囲にいるかを判定する(ステップRR3)。レシーバ装置
6と移動無線端末5との距離が近くないと判定された場合(ステップRR3、NO)には
、再びステップR1に戻る。一方で、レシーバ装置6と移動無線端末5との距離が近いと
判定された場合(ステップRR3、YES)には、レシーバ装置6はクラウドサーバ20
との通信を開始する(ステップRR4)。レシーバ装置6の第5制御部61は、受信した
移動無線端末5の固有データをクラウドサーバ20へ照会する(ステップRR5)。なお
、この時、レシーバ装置6に表示部を設けて、サーバからの情報を受信し、その情報を表
示部に表示してもよい。
【0061】
クラウドサーバ20は、
図10(c)に示すように、まずレシーバ装置6との通信を開
始する(ステップQQ1)。次に、クラウドサーバ20は、通信接続されたレシーバ装置
6から、レシーバ装置6が保持する固有データとレシーバ装置6が保持する移動無線端末
5の端末情報(移動無線端末のID等)を受信する(ステップQQ2)。クラウドサーバ
20は、レシーバ装置6の固有データに対応する情報(レシーバ装置6の位置情報及び周
囲の地図情報やクーポン券など)を移動無線端末5に送信する(ステップQQ3)。
【0062】
<作用及び効果>
移動無線端末が電波強度を可変して、無線信号を送出するため、強弱の電波強度から受
信したレシーバ装置が移動無線端末の電波を正確に把握し、移動無線端末の位置を特定す
ることができるようになる。また、移動無線端末はクラウドサーバを介して、レシーバ装
置6周囲の情報を取得することも可能である。さらに、移動無線端末が常時受信状態とな
る場合よりも、消費電力を低くすることができる。
【0063】
更に、第2実施形態に係る位置判定システム200でも、第1実施形態と同様にレシー
バ装置の数を2つ以上にすることにより、位置精度を上げることが可能となる。
【0064】
以上より、移動無線端末は、GPS(グローバルポジショニングシステム)衛星から信
号を受信して、位置情報を取得できない屋内や車内において、無線機能のついた移動無線
端末の場所をより高い精度で特定することができる。
【0065】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。
図11は、第3実施形態に係る位置判定システ
ム300のイメージ図である。
【0066】
ビーコン装置8に対して移動無線端末7の場所を特定する為、ある一定の場所(例えば
車室内)に双方向通信機能を備えたビーコン装置8を設置する。ビーコン装置8は、任意
の時間間隔で電波強度を可変しながら固有のデータを含む無線信号を送出する。あらかじ
めその固有データを登録している移動無線端末7がビーコン装置8に近づくと、その電波
強度とビーコン装置8の固有データから、ビーコン装置8のそばにいることを判定して双
方向の通信を開始する。ビーコン装置8と移動無線端末7間の無線通信において、電波強
度を可変しながら通信することによって、ビーコン装置8に対する移動無線端末7の場所
を特定できる。
【0067】
第1実施形態及び第2実施形態との差異を中心に説明する。移動無線端末7及びビーコ
ン装置8の構成は、第1実施形態及び第2実施形態にて説明した移動無線端末及びビーコ
ン装置と同様な構成である。
【0068】
第3実施形態に係る位置判定システム300は、第1実施形態の位置判定システム10
0において、クラウドサーバ20を介さずに、ビーコン装置8と移動無線端末7が相互に
通信を行い、電波強度を可変して通信することで移動無線端末7の相対位置を精度良く判
定する。
【0069】
<動作>
図12(a)、
図12(b)のフローチャートを参照して、第3実施形態の動作につい
て説明する。
【0070】
図12(a)に示すように、ビーコン装置8は、装置固有のデータ(識別IDや位置情
報など)を有する無線信号を電波として周囲に発信する(ステップSSS1)。その際、
任意の時間間隔にて発信している電波の電波強度を無線電波強弱変化部34によって変化
させる(ステップSSS2)。次に電波を受信した周囲の移動無線端末と通信を開始する
(ステップSSS3)。通信している移動無線端末に向けてビーコン装置が送信する電波
の電波強度を再度移動無線端末に合わせて変化させる(ステップSSS4)。
【0071】
一方、移動無線端末7は、
図12(b)に示すように、まず近接のビーコン装置8の電
波を受信する(ステップRRR1)。次に、受信した電波の電波強度変化から、移動無線
端末7はビーコン装置8との相対位置を計算する(ステップRRR2)。移動無線端末7
の第5制御部53は、予め設定しておいた閾値(ビーコン装置との距離が近いと判断する
際の参考値)と算出した相対位置とを比較し、移動無線端末7がビーコン装置8の周囲の
いるのかを判定する(ステップRRR3)。ビーコン装置8と移動無線端末7との距離が
近くないと判定された場合(ステップRRR3、NO)には、再びステップRRR1に戻
る。一方で、ビーコン装置8と移動無線端末7との距離が近いと判定された場合(ステッ
プRRR3、YES)には、移動無線端末7はビーコン装置8と無線通信を開始する(ス
テップRRR4)。無線通信時においても、ビーコン装置8が送出する電波強度は可変し
て送られ、より精度の高い相対位置を判定する。その際、移動無線端末7は、ビーコン装
置8に対して電波強度を任意に調節できるようにしてもよい(ステップRRR5)。その
後、移動無線端末7は、ビーコン装置8から無線信号によって、ビーコン装置8が保持す
る固有情報(ビーコン装置8の周囲に関する情報やクーポン券など)を受信する(ステッ
プRRR6)。なお、このとき、受信する固有情報は、ステップRRR1で受信した電波
に含まれていてもよい。次に、移動無線端末7は、受信した情報を表示部に表示する(ス
テップRRR7)。
【0072】
<作用及び効果>
ビーコン装置の固有データを送出時に、電波強度を変化させることで、移動無線端末側
で精度よくビーコン装置との相対位置を判定することができる。また、移動無線端末とビ
ーコン装置の相互通信時に、移動無線端末からビーコン装置の電波強度を任意に調節する
機能を付加することで、精度よくビーコン装置に対する移動無線端末の相対位置を判定す
ることも可能である。さらに、第1及び第2実施形態と同様にビーコン装置が複数であれ
ば、移動無線端末の位置の精度をあげることが可能である。
【0073】
また、第3実施形態の説明の際に、ビーコン装置を用いて説明したが、これは第2実施
形態と同様に、レシーバ装置に置き換えて、移動無線端末側が電波強度を可変して、通信
を行うようにしてもよい。
【0074】
本発明の実施形態と変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は、例として提
示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態
は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で
、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態に含まれる、各要素の具体
的な構成に関しては、当業者が公知の技術から適宜選択することが可能である。これらの
実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載さ
れた発明とその均等の範囲に含まれる。