【解決手段】レンズ鏡筒10は、筒体部20と、筒体部20よりも小径の小径筒部53を有すると共に、小径筒部53の端部側に開口した鏡筒側開口部54が存在する鏡筒側マウント部50と、後側レンズ素子32と後方レンズ枠42を有し、不使用時には筒体部20の内部が外部に対して連通しないように鏡筒側マウント部50の内部側を閉塞する後方レンズ体40と、後方レンズ体40を光軸L方向に沿って移動させる駆動機構60と、を備え、小径筒部53の内径は後方レンズ体40の外径よりも小さく設けられていて、鏡筒側マウント部50のうち小径筒部53の周囲には、後方レンズ体40が直接的または間接的に当接する内部段差面51が設けられている。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態に係るレンズ鏡筒10およびレンズ交換式カメラ11について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、レンズ鏡筒10の撮像光学系30の光軸Lの延伸方向(X方向)において、被写体側を前側(X1側)、カメラ本体100側を後側(X2側)とする。また、光軸Lに直交する方向(Y方向)において、光軸Lに接近する方向を内側、光軸Lから離間する方向を外側とする。また、光軸Lを中心とする円周方向を周方向とする。
【0024】
<レンズ鏡筒10およびレンズ交換式カメラ11の基本構成について>
以下、本発明の一実施の形態に係るレンズ鏡筒10およびレンズ交換式カメラ11の基本的な構成について、以下に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るレンズ鏡筒10およびレンズ交換式カメラ11の構成を示す模式図である。
【0025】
本実施の形態のレンズ鏡筒10は、カメラ本体100(本体に対応)に装着されることにより、レンズ交換式カメラ11を構成する。このカメラ本体100の内部には、撮像素子110が設けられている。この撮像素子110には、レンズ鏡筒10の撮像光学系を介して被写体光が結像され、この撮像素子110で光電変換を行うことで、被写体光を電気信号に変換する。
【0026】
また、カメラ本体100には、レンズ鏡筒10が取り付けられる本体側マウント部120が設けられていて、その本体側マウント部120には、本体側開口部130が形成されている。本体側開口部130は、レンズ鏡筒10からの被写体光を撮像素子110に入射させるための開口部分である。その他、カメラ本体100には、本体制御部140も存在している(
図2参照)。本体制御部140は、レンズ交換式カメラ11の全体的な作動を司る部分である。この本体制御部140は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリ等の外部メモリを備えるマイクロコンピュータから構成することができる。
【0027】
また、レンズ鏡筒10は、筒体部20と、撮像光学系30とを有している。筒体部20は、筒状の筒体部分であり、撮像光学系30を支持すると共に、外部から保護している。この筒体部20は、複数の筒部材から構成されていても良い。複数の筒部材から筒体部20が構成されている場合には、これらの筒部材間にカム溝やカムフォロワ等が設けられていて、それらカム溝、カムフォロワ間の係合によって筒部材同士が光軸L方向に進退する。それにより、撮像光学系30間のレンズ素子間の距離が変動する。
【0028】
なお、筒体部20が複数の筒部材から構成される場合、焦点距離を一定の範囲で変化させることが可能なズーム機能を備える構成としても良いが、ズーム機能を備えない構成としても良い。
【0029】
また、撮像光学系30は、複数のレンズ素子を備えていて、その複数のレンズ素子を通過した被写体光を所定の倍率で撮像素子110に結像させることを可能としている。ここで、撮像光学系30の少なくとも1つのレンズ素子は、最も前側(X1側)に位置していて、筒体部20を前側(X1側)から封止可能となっている。以下の説明では、最も前側(X1側)に位置するレンズ素子を前側レンズ素子31と称呼する。この前側レンズ素子31は、前方レンズ枠41に保持されており、その前方レンズ枠41は、筒体部20の前側(X1側)の内壁面に固定的に取り付けられている。
【0030】
一方、撮像光学系30の少なくとも1つのレンズ素子は、撮像素子110に被写体光を集光させて焦点を合わせるために、光軸Lに沿って移動可能となっている。たとえば、
図1では、最も後側(X2側)のレンズ素子が、光軸Lに沿って移動可能となっている。しかしながら、撮像素子110の他のレンズ素子が移動可能となっていても良い。以下の説明では、光軸Lに沿って移動する後側のレンズ素子を後側レンズ素子32と称呼する。
【0031】
この後側レンズ素子32は、その全ての領域が撮影に際して用いられる訳ではない。すなわち、後側レンズ素子32には、撮影に際して被写体光が入射されると共に撮像素子110に向けて出射する使用領域321が設けられている。また、後側レンズ素子32のうち使用領域321の外径側には、被写体光が入射されないか、または被写体光が入射されても撮像素子110に向けて被写体光を出射しない不使用領域322が設けられている。
【0032】
なお、後側レンズ素子32の不使用領域322側は、後方レンズ枠42に取り付けられている。この後方レンズ枠42は、後述するモータ60の駆動によって、光軸Lに沿って移動する。
【0033】
図2は、焦点合わせのために後方レンズ枠42および後側レンズ素子32を移動させる範囲である焦点移動範囲Mを示すと共に、レンズ交換式カメラ11の制御的な構成のイメージを示す図である。
図2に示すように、後側レンズ素子32および後方レンズ枠42は、所定の焦点移動範囲M内において、撮像素子110に対して被写体像を集光させて、焦点を合わせることが可能となっている。以下の説明においては、後側レンズ素子32と後方レンズ枠42は、一体的に移動することから、これらを合わせて後方レンズ体40と称呼する。
【0034】
一方、後方レンズ体40は、上述した焦点移動範囲Mを超えて後側(X2側)に移動させることが可能である。そして、最も後側(X2側)に後方レンズ体40が位置した状態では、防塵を図るための封止状態が実現可能となっている。
【0035】
また、レンズ鏡筒10には、カメラ本体100に取り付けられる鏡筒側マウント部50が設けられている。
図1に示すように、鏡筒側マウント部50は、筒体部20よりも小径の筒状部分(小径筒部53)を有している。これら筒体部20と小径筒部53の内径差により、鏡筒側マウント部50には、後方レンズ枠42と筒体部20の内部で対向する内部段差面51が存在している。また、鏡筒側マウント部50は、カメラ本体100と対向する外部段差部52も有している。なお、小径筒部53は、内部段差面51および外部段差部52よりも後側(X2側)に向かって突出しており、その突出によって小径筒部53は、本体側開口部130に挿入される部分となっている。
【0036】
また、小径筒部53の後側(X2側)は、カメラ本体100に対して閉塞されておらず、カメラ本体100の内部と連通するように開口している。以下の説明では、この開口部分を鏡筒側開口部54と称呼する。
【0037】
なお、小径筒部53の外周側からは、係合部55が外径側に突出している。係合部55は、本体側マウント部120に鏡筒側マウント部50が取り付けられた場合に、鏡筒側マウント部50が本体側マウント部120から外れるのを防止している。この係合部55は、たとえばバヨネット式である。しかしながら、バヨネット式以外に、本体側マウント部120と鏡筒側マウント部50のいずれか一方に雄ネジ部を形成すると共に、いずれか他方に雌ネジ部を形成したネジ式としても良く、その他の方式を採用しても良い。
【0038】
後方レンズ体40が移動するイメージを、
図2に示す。
図2に示すように、後方レンズ枠42は、たとえばリードスクリューのような駆動伝達部材61と、駆動力を伝達可能な状態(たとえばネジ的に噛み合った状態)で連結されている。駆動伝達部材61は、モータ60の駆動により回転させられ、その回転によって後方レンズ体40が、光軸Lに沿って移動する。
【0039】
なお、駆動伝達部材61は、リードスクリューのような構成には限られない。たとえば、筒体部20の筒部材に、光軸L方向の方向成分を有するカム溝を形成し、そのカム溝と後方レンズ枠42とを係合させる。そして、モータ60または手動によって、カム溝を有する筒部材を回転させることで、カム溝の斜面によって後方レンズ枠42を光軸L方向に移動させる構成としても良い。
【0040】
モータ60は、たとえばステッピングモータや超音波モータ、DCモータ等、各種のモータを用いることができる。また、圧電素子を用いたピエゾアクチュエータをモータ60の概念に含めるようにしても良い。なお、モータ60は、駆動機構に対応する。モータ60は、レンズ制御部70での制御に基づいて、その回転駆動が制御される。レンズ制御部70は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリ等の外部メモリを備えるマイクロコンピュータから構成することができる。このレンズ制御部70は、制御手段に対応する。
【0041】
なお、レンズ制御部70は、レンズ鏡筒10内に存在していて、カメラ本体100側の本体制御部140と電気的信号を送受信可能としている。そして、レンズ制御部70は、本体制御部140からの電気的な信号の受信に基づいて、モータ60の駆動を制御することができる。レンズ制御部70は、本体制御部140からの電気的な信号の受信に基づかずに、モータ60を制御するようにしても良い。なお、このレンズ制御部70は、レンズ鏡筒10に存在しているが、カメラ本体100側に存在する構成を採用しても良い。
【0042】
また、
図2に示すように、レンズ制御部70には、電源ボタン71やリリースボタン72と電気的に接続されている。そして、電源ボタン71を押下して電源オフまたは電源オンとした場合には、電源オフまたは電源オンに関する電気的な信号がレンズ制御部70に供給される。また、リリースボタン72を押下してレンズ鏡筒10がカメラ本体100から外された場合には、その旨の電気的な信号がレンズ制御部70に供給される。
【0043】
また、レンズ鏡筒10には、防塵機構80が設けられている。防塵機構80は、レンズ鏡筒10の内部に、鏡筒側開口部54から塵埃が侵入するのを防止するための機構である。防塵機構80は、後側レンズ素子32、後方レンズ枠42、鏡筒側マウント部50、駆動伝達部材61およびモータ60が主要な構成要素であるが、その他の構成要素が防塵機構80を構成しても良いのは勿論である。以下の説明においては、この防塵機構80の各構成例について説明する。
【0044】
<防塵機構の第1構成例>
以下、本実施の形態における防塵機構80の第1構成例について、以下に説明する。なお、第1構成例に係る防塵機構80については、各部材を示す符号にアルファベット「A」を付して説明することとする。
【0045】
図3は、本実施の形態の第1構成例に係る防塵機構80Aの構成を示す概略的な拡大図である。第1構成例に係る防塵機構80Aは、後側レンズ素子32Aが内部段差面51Aに当接せずに、後方レンズ枠42Aの枠後面42A1が内部段差面51Aに対して、周方向の全周に亘って当接(度当たり)する構成となっている。なお、枠後面42A1とは、後方レンズ枠42Aのうち、後側(X2側)の面を指す。
【0046】
この枠後面42A1の内部段差面51Aへの当接により鏡筒側開口部54が内部側(X1側)から閉塞されて、レンズ鏡筒10Aの内部は、後方レンズ体40A(後方レンズ枠42Aおよび後側レンズ素子32A)によって、外部から封止される状態となる。したがって、レンズ鏡筒10Aをレンズ交換式カメラ11から取り外した場合でも、塵埃がレンズ鏡筒10Aの内部に侵入するのを防止可能となっている。
【0047】
ここで、枠後面42A1と内部段差面51Aの間の当接は、塵埃のレンズ鏡筒10Aの内部への侵入を防止可能であれば、どのような当接の態様であっても良い。たとえば、枠後面42A1と内部段差面51Aとが互いに当接する面の面精度が高い状態(たとえば防水の機能が果たせる程度に高い状態)で当接しても良く、塵埃の侵入が防止可能な程度に低い状態で当接しても良い。
【0048】
かかる枠後面42A1の内部段差面51Aへの当接(度当たり)を実現するためには、レンズ制御部70は、閉塞タイミングが到来したと判断した場合に、モータ60を駆動させ、
図2に示すような焦点移動範囲Mを超えて後方レンズ枠42Aの枠後面42A1が内部段差面51Aに当接するまで、後側レンズ素子32Aおよび後方レンズ枠42Aを移動させる。
【0049】
この閉塞タイミングとは、たとえば電源ボタン71を押下してレンズ交換式カメラ11を電源オフにした場合としても良く、またレンズ交換式カメラ11においてレンズ鏡筒10Aをカメラ本体100から外す場合に押下するリリースボタン72を押下したときとしても良い。また、レンズ交換式カメラ11が電源オフにならなくても、所定の時間が経過して電力消費を抑える省エネルギモード(省エネモード)となったときを、閉塞タイミングとしても良い。さらに、モータ60の駆動は可能であるものの、カメラ本体100側からレンズ鏡筒10Aへの電気的な信号の供給が途絶えたときを閉塞タイミングとしても良い。さらに、カメラ本体100とレンズ鏡筒10Aの間の電気的な接続が切断されたことをレンズ制御部70が検知したタイミングを閉塞タイミングとしても良い。
【0050】
このような第1構成例においては、枠後面42A1が内部段差面51Aに当接(度当たり)することで、レンズ鏡筒10Aの内部へ外部から塵埃が侵入するのを防止可能となる。
【0051】
<防塵機構の第2構成例>
以下、本実施の形態における防塵機構80の第2構成例について、以下に説明する。なお、第2構成例に係る防塵機構80については、各部材を示す符号にアルファベット「B」を付して説明することとする。
【0052】
図4は、本実施の形態の第2構成例に係る防塵機構80Bの構成を示す概略的な拡大図である。第2構成例に係る防塵機構80Bでは、後方レンズ枠42Bの枠後面42B1は、内部段差面51Bには当接せず、後側レンズ素子32Bの不使用領域322が内部段差面51Bに対して、周方向の全周に亘って当接(度当たり)する構成となっている。ただし、後側レンズ素子32Bが内部段差面51Bに当接したときに、枠後面42B1が内部段差面51Bには当接する構成を採用しても良い。なお、後側レンズ素子32Bは、内部段差面51Bの縁部に当接することで、レンズ鏡筒10Bの内部が、外部から封止される状態となる。したがって、レンズ鏡筒10Bをレンズ交換式カメラ11から取り外した場合でも、塵埃がレンズ鏡筒10Bの内部に侵入するのを防止可能となっている。
【0053】
なお、上述した第1構成例の場合と同様に、後側レンズ素子32Bと内部段差面51Bの間の当接の態様は、どのようなものであっても良い。
【0054】
また、後側レンズ素子32Bの内部段差面51Bへの当接を実現するための、レンズ制御部70でのモータ60の制御についても、上述した第1構成例で説明した場合と同様のものとすることができる。
【0055】
このような第2構成例においても、後側レンズ素子32Bが内部段差面51Bに当接(度当たり)することで、レンズ鏡筒10Bの内部へ外部から塵埃が侵入するのを防止可能となる。
【0056】
<防塵機構の第3構成例>
以下、本実施の形態における防塵機構80の第3構成例について、以下に説明する。なお、第3構成例に係る防塵機構80については、各部材を示す符号にアルファベット「C」を付して説明することとする。
【0057】
図5は、本実施の形態の第3構成例に係る防塵機構80Cの構成を示す概略的な拡大図である。第3構成例に係る防塵機構80Cでは、内部段差面51Cには封止凸部56Cが設けられている。この封止凸部56Cは、内部段差面51Cの他の部分よりも前側(X1側)に突出している。そして、後方レンズ枠42Cの枠後面42C1は、封止凸部56Cの突出側の面(X1側の面;凸端面56C1とする)に対して、周方向の全周に亘って当接(度当たり)する構成となっている。
【0058】
ここで、枠後面42C1と凸端面56C1の間の当接は、塵埃のレンズ鏡筒10Cの内部への侵入を防止可能であれば、どのような当接の態様であっても良い。なお、第3構成例では、たとえば、内部段差面51C全体の面精度を高くせずに、封止凸部56Cの凸端面56C1が平滑となるように面精度を高くすることで、面精度を高くするための加工時間およびコストを低減することができる。
【0059】
この第3構成例の防塵機構80Cでは、凸端面56C1を平滑に形成する場合、枠後面42C1と凸端面56C1の間の密着性を高めることができる。それにより、レンズ鏡筒10Cの内部への塵埃の侵入を一層確実に防止することができる。また、封止凸部56Cを設けることにより、後側レンズ素子32Cと内部段差面51Cとの間に隙間を設けることができる。そのため、内部段差面51Cに後側レンズ素子32Cが接触するのを防止可能となる。それにより、後側レンズ素子32Cに傷が生じるのを防止可能となり、後側レンズ素子32Cの光学性能の劣化を防ぐことができる。さらに、封止凸部56Cを設けることにより、後側レンズ素子32Cおよび後方レンズ枠42Cの後側(X2側)への移動距離を低減することができる。
【0060】
<防塵機構の第4構成例>
以下、本実施の形態における防塵機構80の第4構成例について、以下に説明する。なお、第4構成例に係る防塵機構80については、各部材を示す符号にアルファベット「D」を付して説明することとする。
【0061】
図6は、本実施の形態の第4構成例に係る防塵機構80Dの構成を示す概略的な拡大図である。第4構成例に係る防塵機構80Dでは、内部段差面51Dには周方向の全周に亘るように封止凹部57Dが設けられている。封止凹部57Dは、内部段差面51Dの他の部分よりも凹状に窪んだ部分である。
【0062】
また、後方レンズ枠42Dには、周方向の全周に亘るように突出部42D1が設けられている。突出部42D1は、後方レンズ枠42Dからカメラ本体100側(X2側)に突出した部分であり、封止凹部57Dに入り込む部分である。かかる突出部42D1の封止凹部57Dへの入り込みにより、塵埃がレンズ鏡筒10Dの内部に侵入するのを阻止可能となる。
【0063】
ここで、突出部42D1は、封止凹部57Dに対して、光軸Lの延伸方向(X方向)とは直交する方向(Y方向)に若干隙間を有する状態で入り込む。すなわち、後方レンズ枠42Dを摺動させる部位においては、駆動伝達部材61との間のガタ付きやその他の組み付け誤差、製造時の公差等の影響で、若干のガタ付きや寸法誤差が生じているのが通常である。したがって、突出部42D1が封止凹部57Dに対して、ほとんど隙間のない状態で入り込む構成とすると、上述した若干の位置ずれにより、突出部42D1が封止凹部57Dに入り込まずに、封止凹部57Dの周囲の内部段差面51Dに衝突する虞がある。したがって、封止凹部57Dに突出部42D1が入り込んだ場合でも、これらの間に若干の隙間が存在する状態となっている。
【0064】
なお、第4構成例の防塵機構80Dにおいては、封止凹部57Dの底面57D1は、平滑に設けることが可能であり、突出部42D1の突出端面42D2(後側の面;X2の面)も平滑に設けることが可能である。封止凹部57Dの底面57D1と、突出端面42D2が平滑である場合、両者の密着性を高めることができる。それにより、レンズ鏡筒10Dの内部への塵埃の侵入を一層確実に防止することができる。また、封止凹部57Dに突出部42D1が入り込むことにより、塵埃がレンズ鏡筒10Dの内部に入り込むための経路が長くなり、その分だけ塵埃がレンズ鏡筒10Dの内部に一層入り込み難くなる。
【0065】
また、突出部42D1の突出長さを、封止凹部57Dの深さよりも長くすることが可能となる。突出部42D1の突出長さを、封止凹部57Dの深さよりも長くした場合、後方レンズ枠42Dの突出部42D1以外の部分が、内部段差面51Dに衝突するのを防ぐことができる。したがって、後側レンズ素子32Dに傷が生じるのを防止することが可能となり、後側レンズ素子32Dの光学性能の劣化を防ぐことができる。
【0066】
<防塵機構の第5構成例>
以下、本実施の形態における防塵機構80の第5構成例について、以下に説明する。なお、第5構成例に係る防塵機構80については、各部材を示す符号にアルファベット「E」を付して説明することとする。
【0067】
図7は、本実施の形態の第5構成例に係る防塵機構80Eの構成を示す概略的な拡大図である。第5構成例に係る防塵機構80Eでは、内部段差面51Eには周方向の全周に亘るように嵌込凹部58Eが設けられている。この嵌込凹部58Eには、リング状の封止部材90Eが嵌め込まれる。封止部材90Eは、たとえばOリングのような弾性部材から形成されている。この封止部材90Eには、後方レンズ枠42Eの枠後面42E1が、前側(X1側)から後側(X2側)に向かうような付勢力を与えられた状態で当接する。すると、封止部材90Eは、若干弾性的に変形し、それによって枠後面42E1と封止部材90Eの間の密着性が高められる。
【0068】
このように、第5構成例の防塵機構80Eでは、枠後面42E1と封止部材90Eとの間の密着により、レンズ鏡筒10Eの内部に塵埃が入り込むのを防止可能となる。また、封止部材90Eは、弾性部材を材質としているので、封止部材90Eに後方レンズ枠42Eが衝突しても、その衝撃を緩和することが可能となる。
【0069】
<防塵機構の第6構成例>
以下、本実施の形態における防塵機構80の第6構成例について、以下に説明する。なお、第6構成例に係る防塵機構80については、各部材を示す符号にアルファベット「F」を付して説明することとする。
【0070】
図8は、本実施の形態の第6構成例に係る防塵機構80Fの構成を示す概略的な拡大図である。第6構成例に係る防塵機構80Fでは、第1構成例の防塵機構80Aと同様に、後方レンズ枠42Fの内部段差面51Fへ当接(度当たり)する。しかしながら、後方レンズ枠42Fの形状は、第1構成例に係る後方レンズ枠42Aの形状とは異なっている。具体的には、後方レンズ枠42Fの内径側には、枠後面42F1よりも後側(X2側)に向かって突出する内方突出部42F3が設けられている。内方突出部42F3は、後方レンズ枠42Fの周方向の全周に亘るように設けられている。
【0071】
ここで、後方レンズ枠42Fの枠後面42F1は、内部段差面51Fに当接する。一方、内方突出部42F3は、内部段差面51Fよりも後側(X2側)に位置するように鏡筒側開口部54F内に入り込む。この入り込みでは、上述した突出部42D1の封止凹部57Dに対する入り込みと同様に、内方突出部42F3が鏡筒側開口部54Fの内周壁54F1に対して、若干隙間を有する状態で入り込む。それにより、後方レンズ枠42Fを摺動させる部位においては、駆動伝達部材61と後方レンズ枠42Fの間のガタ付きや、その他の組み付け誤差、製造時の公差等の影響で、若干のガタ付きや寸法誤差を吸収可能となる。
【0072】
このように、第6構成例の防塵機構80Fでは、内方突出部42F3の小径筒部53Fへの入り込みにより、塵埃がレンズ鏡筒10Fの内部に侵入するのを一層確実に防止可能となる。また、後方レンズ枠42Fの厚み(X方向の寸法)を小さくしても、内方突出部42F3が後方レンズ枠42Fに存在することによって、後方レンズ枠42Fの強度を確保することが可能となる。そのため、後方レンズ枠42Fの薄型化が可能となり、それによって後側レンズ素子32Fが移動可能な範囲を大きくすることができる。このように、後側レンズ素子32Fの移動範囲を大きくすることで、光学的な設計の自由度を向上させることができる。
【0073】
<効果について>
以上のような本実施の形態の第1構成例から第6構成例のレンズ鏡筒10は、複数のレンズ素子から構成される撮像光学系30を備えると共に、カメラ本体100に対して着脱自在に取り付けられるレンズ鏡筒10であって、内部に撮像光学系30が設けられる筒体部20と、筒体部20と一体的に設けられ、筒体部20よりも小径の小径筒部53を有すると共に、小径筒部53の端部側にカメラ本体100側に開口した鏡筒側開口部54が存在する鏡筒側マウント部50と、複数のレンズ素子のうちカメラ本体100側に最も近接する後側レンズ素子32およびこの後側レンズ素子32を保持する後方レンズ枠42を有し、筒体部20の内部に設けられると共に、不使用時には筒体部20の内部が外部に対して連通しないように鏡筒側マウント部50の内部側を閉塞する後方レンズ体40と、後方レンズ体40を光軸L方向に沿って移動させる駆動機構(モータ60)と、を備え、小径筒部53の内径は後方レンズ体40の外径よりも小さく設けられていて、鏡筒側マウント部50のうち小径筒部53の周囲には、後方レンズ体40が直接的または間接的に当接する内部段差面51が設けられている。
【0074】
このように、小径筒部53の内径は、後方レンズ体40の外径よりも小さく設けられていると共に、鏡筒側マウント部50のうち小径筒部53の周囲には、後方レンズ体40が直接的または間接的に当接する内部段差面51が設けられている。そのため、駆動機構(モータ60)による後方レンズ体40の移動により、レンズ鏡筒10の不使用時には、後方レンズ体40によって小径筒部53の端部側(X1側)を塞ぐことができる(鏡筒側マウント部50の内部側(X1側)を閉塞することができる)。したがって、追加の部品を大幅に低減させた状態で、レンズ鏡筒10の開口封止が可能となる。それにより、レンズ鏡筒10の内部に塵埃が侵入するのを防止可能となる。
【0075】
また、本実施の形態の第1構成例では、不使用時には後方レンズ体40Aのうちカメラ本体100側の枠後面42A1が内部段差面51Aに当接することで、鏡筒側マウント部50Aの内部側を閉塞することができる。
【0076】
この構成の場合、枠後面42A1が内部段差面51Aに当接するので、後側レンズ素子32Aが内部段差面51Aに当接せずに済む。それにより、後側レンズ素子32Aに傷が生じるのを防止可能となり、後側レンズ素子32Aの光学性能の劣化を防ぐことができる。
【0077】
さらに、本実施の形態の第2構成例では、不使用時には後側レンズ素子32Bが内部段差面51Bに当接することで、鏡筒側マウント部50Bの内部側を閉塞することができる。
【0078】
この構成の場合、後側レンズ素子32Bが内部段差面51Bに当接(度当たり)することで、レンズ鏡筒10Bの内部へ外部から塵埃が侵入するのを防止可能となる。したがって、内径が小さな小径筒部53Bにおいても、後側レンズ素子32Bの内径を変更せずに済む。また、後側レンズ素子32Bのうち、内部段差面51Bに当接(度当たり)させる箇所を不使用領域322とすることにより、後側レンズ素子32Bのレンズ面を直接的に他の部材と当接させたとしても、撮影に影響を与えるような光学性能への影響が生じさせないことが可能となる。
【0079】
また、本実施の形態の第3構成例では、内部段差面51Cには、カメラ本体100側から離間する向きに向かって突出する封止凸部56Cが設けられていて、不使用時には後方レンズ枠42Cのうちカメラ本体100側の枠後面42C1が封止凸部56Cの突出側の端面である凸端面56C1に当接することで、鏡筒側マウント部50Cの内部側を閉塞することができる。
【0080】
この構成の場合、凸端面56C1を平滑に形成することで、枠後面42C1と凸端面56C1の間の密着性を高めることができる。それにより、レンズ鏡筒10Cの内部への塵埃の侵入を一層確実に防止することができる。また、封止凸部56Cを設けることにより、後側レンズ素子32Cと内部段差面51Cとの間に隙間を設けることができる。そのため、内部段差面51Cに後側レンズ素子32Cが接触するのを防止可能となる。それにより、後側レンズ素子32Cに傷が生じるのを防止可能となり、後側レンズ素子32Cの光学性能の劣化を防ぐことができる。さらに、封止凸部56Cを設けることにより、後側レンズ素子32Cおよび後方レンズ枠42Cの後側(X2側)への移動距離を低減することができる。
【0081】
さらに、本実施の形態の第4構成例では、内部段差面51Dには、カメラ本体100側に向かって窪む封止凹部57Dが設けられていて、後方レンズ枠42Dには、カメラ本体100側に向かって突出する突出部42D1が設けられていて、不使用時には突出部42D1が封止凹部57Dに入り込むことで、鏡筒側マウント部50Dの内部側を閉塞することができる。
【0082】
この構成の場合、封止凹部57Dの底面57D1は、平滑に設けることが可能であり、突出部42D1の突出端面42D2(後側の面;X2の面)も平滑に設けることが可能である。その場合、両者の密着性を高めることができる。それにより、レンズ鏡筒10Dの内部への塵埃の侵入を一層確実に防止することができる。また、封止凹部57Dに突出部42D1が入り込むことにより、塵埃がレンズ鏡筒10Dの内部に入り込むための経路が長くなり、その分だけ塵埃がレンズ鏡筒10Dの内部に一層入り込み難くなる。
【0083】
また、本実施の形態の第5構成例では、内部段差面51Eには、カメラ本体100側に向かって窪む嵌込凹部58Eが設けられていて、嵌込凹部58Eには、弾性部材から形成される封止部材90Eが嵌め込まれ、不使用時には後方レンズ枠42Eのうちカメラ本体100側の枠後面42E1が封止部材90Eに当接することで、鏡筒側マウント部50Eの内部側を閉塞することができる。
【0084】
この構成の場合、枠後面42E1と封止部材90Eとの間の密着により、レンズ鏡筒10Eの内部に塵埃が入り込むのを防止可能となる。また、封止部材90Eは、弾性部材を材質としているので、封止部材90Eに後方レンズ枠42Eが衝突しても、その衝撃を緩和することが可能となる。
【0085】
さらに、本実施の形態の第6構成例では、後方レンズ枠42Fの内径側には、枠後面42F1よりもカメラ本体100側に向かって突出する内方突出部42F3が設けられていて、不使用時には後方レンズ枠42Fのうちカメラ本体100側の枠後面42F1が内部段差面51Fに当接し、さらに内方突出部42F3が小径筒部53Fに入り込むことで、鏡筒側マウント部50Fの内部側を閉塞することができる。
【0086】
この構成の場合、内方突出部42F3の小径筒部53Fへの入り込みにより、塵埃がレンズ鏡筒10Fの内部に侵入するのを一層確実に防止可能となる。また、後方レンズ枠42Fの厚み(X方向の寸法)を小さくしても、内方突出部42F3が後方レンズ枠42Fに存在することによって、後方レンズ枠42Fの強度を確保することが可能となる。そのため、後方レンズ枠42Fの薄型化が可能となり、それによって後側レンズ素子32Fが移動可能な範囲を大きくすることができる。このように、後側レンズ素子32Fの移動範囲を大きくすることで、光学的な設計の自由度を向上させることができる。
【0087】
また、本実施の形態の第1構成例から第6構成例のレンズ鏡筒10は、複数のレンズ素子から構成される撮像光学系30を備えると共に、カメラ本体100に対して着脱自在に取り付けられるレンズ鏡筒10であって、内部に撮像光学系30が設けられる筒体部20と、筒体部20と一体的に設けられ、筒体部20よりも小径の小径筒部53を有すると共に、小径筒部53の端部側にカメラ本体100側に開口した鏡筒側開口部54が存在する鏡筒側マウント部50と、複数のレンズ素子のうちカメラ本体100側に最も近接する後側レンズ素子32およびこの後側レンズ素子32を保持する後方レンズ枠42を有し、筒体部20の内部に設けられる後方レンズ体40と、後方レンズ体40を光軸L方向に沿って移動させる駆動機構(モータ60)と、駆動機構(モータ60)の駆動を制御する制御手段(レンズ制御部70)と、を備え、小径筒部53の内径は後方レンズ体40の外径よりも小さく設けられていて、鏡筒側マウント部50のうち小径筒部53の周囲には、後方レンズ体40が直接的または間接的に当接する内部段差面51が設けられていて、制御手段(レンズ制御部70)は、閉塞タイミングが到来したと判断した場合には、駆動機構(モータ60)を駆動させて後方レンズ体40が直接的または間接的に内部段差面51に当接させることで、筒体部20の内部が外部に対して連通しないように鏡筒側マウント部50の内部側を閉塞する。
【0088】
このように、制御手段(レンズ制御部70)は、閉塞タイミングが到来したと判断した場合には、駆動機構(モータ60)を駆動させ、後方レンズ体40が直接的または間接的に内部段差面51に当接させている。それにより、筒体部20の内部が外部に対して連通しないように鏡筒側マウント部50の内部側が閉塞される。また、小径筒部53の内径は、後方レンズ体40の外径よりも小さく設けられている。したがって、閉塞タイミングが到来したと制御手段(レンズ制御部70)が判断したとき、後方レンズ体40によって小径筒部53の端部側(X1側)を塞ぐことができる。したがって、追加の部品を大幅に低減させた状態で、レンズ鏡筒の開口封止が可能となる。それにより、レンズ鏡筒10の内部に塵埃が侵入するのを防止可能となる。
【0089】
さらに、本実施の形態の第1構成例から第6構成例のレンズ鏡筒10は、焦点合わせのために後方レンズ体40を移動させる範囲である焦点移動範囲Mにおいて駆動機構(モータ60)を駆動させると共に、閉塞タイミングが到来したと判断した場合には、駆動機構(モータ60)の駆動により焦点移動範囲Mよりもカメラ本体100側に後方レンズ体40を移動させて後方レンズ体40が直接的または間接的に内部段差面51に当接させ、筒体部20の内部が外部に対して連通しないように鏡筒側マウント部50の内部側を閉塞することができる。
【0090】
このように、閉塞タイミングが到来したと判断した場合には、駆動機構(モータ60)の駆動により焦点移動範囲Mよりもカメラ本体100側に後方レンズ体40を移動させることで、後方レンズ体40を直接的または間接的に内部段差面51に当接させる。したがって、筒体部20の内部が外部に対して連通しないように鏡筒側マウント部50の内部側を閉塞することができ、それによってレンズ鏡筒10の内部に塵埃が侵入するのを防止可能となる。
【0091】
さらに、本実施の形態の第1構成例から第6構成例のレンズ鏡筒10においては、制御手段(レンズ制御部70)は、カメラ本体100の電源オフのタイミングを閉塞タイミングが到来したと判断することができる。
【0092】
このように、カメラ本体100の電源オフのタイミングを閉塞タイミングが到来したと制御手段(レンズ制御部70)が判断することで、電源オフの際には、レンズ鏡筒10の内部が後方レンズ体40で閉塞された状態とすることができる。したがって、電源オフ後に、カメラ本体100からレンズ鏡筒10を取り外しても、レンズ鏡筒10の内部に塵埃が侵入するのを防止することができる。
【0093】
また、本実施の形態の第1構成例から第6構成例のレンズ鏡筒10においては、制御手段(レンズ制御部70)は、カメラ本体100とレンズ鏡筒10の間の電気的な接続が切断されたことを検知したタイミングを閉塞タイミングが到来したと判断することができる。
【0094】
このように、カメラ本体100とレンズ鏡筒10の間の電気的な接続が切断されたことを検知したタイミングを閉塞タイミングが到来したと制御手段(レンズ制御部70)が判断することで、カメラ本体100から何らかの原因(たとえば、レンズ交換式カメラ11の落下や強制的な取り外し等)でレンズ鏡筒10が外された際に、レンズ鏡筒10の内部が後方レンズ体40で閉塞された状態とすることができ、レンズ鏡筒10の内部に塵埃が侵入するのを防止することができる。
【0095】
さらに、本実施の形態の第1構成例から第6構成例のレンズ鏡筒10においては、制御手段(レンズ制御部70)は、カメラ本体100からレンズ鏡筒10を取り外すためのリリースボタン72を押下したタイミングを閉塞タイミングが到来したと判断することができる。
【0096】
このように、リリースボタン72を押下したタイミングを閉塞タイミングが到来したと制御手段(レンズ制御部70)が判断することで、レンズ鏡筒10をカメラ本体100から取り外しても、レンズ鏡筒10の内部に塵埃が侵入するのを確実に防止することができる。
【0097】
さらに、本実施の形態のレンズ交換式カメラ11は、レンズ鏡筒10と、レンズ鏡筒10が着脱自在に取り付けられる本体側マウント部120を備えるカメラ本体100と、を備えている。したがって、追加の部品を大幅に低減させた状態で、レンズ鏡筒10の開口封止が可能となる。それにより、レンズ鏡筒10の内部に塵埃が侵入するのを防止可能となる。
【0098】
<変形例>
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0099】
上述の実施の形態においては、モータ60の駆動によって、後方レンズ体40を移動させる構成としている。しかしながら、後方レンズ体40は、モータ60の駆動によらずに、移動させる構成を採用しても良い。
図9に、そのような構成の一例を示す。
図9は、本発明の変形例に係るレンズ鏡筒10Gの構成を示す斜視図である。
図9に示す構成では、筒体部20Gには、長孔状のスリット21Gが形成されていて、そのスリット21Gには摺動ツマミ22Gが挿通されている。摺動ツマミ22Gの一端側は、スリット21Gから外部に露出していて、ユーザの指等の摺動に伴い、長孔状のスリット21Gに沿って摺動可能となっている。
【0100】
一方、摺動ツマミ22Gの他端側は、図示を省略する後方レンズ体40に直接的または他の部材を介して間接的に連結されている。そして、長孔状のスリット21Gの後側(X2側)に摺動ツマミ22Gを位置させたときに、後方レンズ体40は焦点移動範囲Mを超えて後側(X2側)に移動する。それによって、防塵を図るための封止状態が実現可能となり、レンズ鏡筒10の開口封止が可能となる。このため、レンズ鏡筒10Gの内部に塵埃が侵入するのを防止可能となる。
【0101】
なお、モータ60の駆動による後側レンズ素子32の焦点合わせの支障とならないよう、必要なときだけ後方レンズ体40と摺動ツマミ22Gとが連結する構成とすることが好ましい。たとえば、摺動ツマミ22Gは、一度押したときに筒体部20Gの内部に深く押し込まれるが、再び押すと筒体部20Gへの深い押し込み状態が解除されるものとすることができる。
【0102】
この場合、摺動ツマミ22Gを押して筒体部20Gの内部に深く押し込まれたときに、摺動ツマミ22Gの他端側のうち後側(X2側)の面が、後方レンズ体40の後方レンズ枠42の前側(X1側)の面と係合したり、後方レンズ枠42のいずれかの部位に摺動ツマミ22Gが嵌まり込む等の構成により、摺動ツマミ22Gの他端側と後方レンズ体40の連結状態が実現されるものとしても良い。
【0103】
また、摺動ツマミ22Gの他端側に磁石を配置すると共に、後方レンズ枠42にも磁石を配置し、それらの間の磁気吸引によって摺動ツマミ22Gの他端側と後方レンズ体40とが連結されるものとしても良い。この場合、後方レンズ体40が磁気吸引力を超える力をモータ60から受けることで、摺動ツマミ22Gの他端側の磁石から離れるように構成することができる。
【0104】
また、後方レンズ体40の後方レンズ枠42や内部段差面51に、テーパ面を備える構成としても良い。このような構成例を、
図10に示す。
図10は、第1構成例の変形例に係る防塵機構80Hの構成を示す概略的な拡大図である。
図10に示す防塵機構80Hでは、内部段差面51Hがテーパ状に設けられている。また、後方レンズ枠42Hには枠テーパ面42H4が存在している。したがって、後方レンズ体40Hが後側(X2側)に移動すると、後方レンズ枠42Hの直径が縮む向きの力をテーパ状の内部段差面51Hから受けながら、枠テーパ面42H4が内部段差面51Hに当接する。このため、枠テーパ面42H4とテーパ状の内部段差面51Hの密着性を高めることができる。
【0105】
なお、
図10に示す構成では、テーパ状の内部段差面51Hを設ける一方、後方レンズ枠42Hに枠テーパ面42H4を設けない構成を採用しても良い。たとえば、後方レンズ枠42Hは、
図3に示す後方レンズ枠42Aと同様の形状としても良い。すなわち、内部段差面51Hのいずれかの部分のみに、テーパ面を設ける構成を採用しても良い。
【0106】
また、後方レンズ枠42Hの断面のうち、テーパ状の内部段差面51Hと接触する部分が、円弧を含む曲面状に形成されても良い。このようにしても、後方レンズ枠42Hの直径が縮む向きの力をテーパ状の内部段差面51Hから受けながら、42D1枠テーパ面42H4が内部段差面51Hに当接する。このため、枠テーパ面42H4とテーパ状の内部段差面51Hの密着性を高めることができる。
【0107】
また、後方レンズ体40の後方レンズ枠42や内部段差面51が、テーパ面を備えるものとしては、たとえば
図11に示すような構成とすることができる。
図11は、第6構成例の変形例に係る防塵機構80Iの構成を示す概略的な拡大図である。
図11においては、内部段差面51Iの内径側の角部に、内部テーパ面51I1が設けられている。また、枠後面42I1と内方突出部42I3の間には、枠テーパ面42I4が設けられている。そして、後方レンズ体40Iが後側(X2側)に移動すると、内部テーパ面51I1に枠後面42I1が当接する。このとき、枠後面42I1と内部段差面51とが当接しても良く、当接しなくても良い。
【0108】
このような
図11に示す防塵機構80Iでも、上述した
図10に示す構成と同様に、枠テーパ面42I4と内部テーパ面51I1の密着性を高めることができる。ここで、
図11に示す構成では、内部テーパ面51I1を設ける一方、後方レンズ枠42Iに枠テーパ面42I4を設けない構成を採用しても良い。たとえば、後方レンズ枠42Iは、
図9に示す後方レンズ枠42Fと同様の形状としても良い。すなわち、内部段差面51Iの内周側の端部のみに、テーパ面を設ける構成を採用しても良い。
【0109】
なお、第1構成例および第6構成例のみならず、他の第2〜第5構成例に係るレンズ鏡筒10B〜10Eについても、少なくとも内部段差面51B〜51Eのいずれかの部位にテーパ面を設ける構成を採用しても良いのは勿論である。
【0110】
また、上述の実施の形態では、一眼レフカメラ(ミラーレス一眼カメラを含む)のようなカメラ本体に取り付け可能なレンズ鏡筒について説明している。しかしながら、レンズ鏡筒がカメラ本体以外の本体に取り付け可能であれば、どのような構成にも用いることが可能である。たとえば、顕微鏡、望遠鏡、ビデオカメラ、プロジェクター、医療機器等、種々の機器に本発明のレンズ鏡筒を用いることができる。