【解決手段】上記課題を解決するため、物体側より順に、正の第1レンズ群G1と、負の第2レンズ群G2と少なくとも1つのレンズ群(第iレンズ群)を含む後群とを備え、各レンズ群の間隔を変えることにより変倍し、第1レンズ群G1以降に開口絞りSを備え、第1レンズ群G1及び第iレンズ群のうち少なくとも一つはそれぞれ所定の条件式を満たし、所定の条件式を満足する負レンズGniを含むズームレンズとする。
前記負レンズGniの物体側には、以下の条件式(9)及び条件式(10)を満たす正レンズGpiが隣接配置される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のズームレンズ。
(9) 1.45 < Ndpi < 1.75
(10)50.00 < Vdpi < 80.00
但し、
Ndpi:前記正レンズGpiのd線に対する屈折率
Vdpi:前記正レンズGpiのd線に対するアッベ数
当該ズームレンズにおいて前記第2レンズ群以降のレンズ群を第jレンズ群(但し、jは2以上の自然数)としたとき、各第jレンズ群は以下の条件式(11)を満足する請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のズームレンズ。
(11)1.0≦ Bj_t/Bj_w ≦ 50.0
Bj_t:当該ズームレンズの望遠端における前記第jレンズ群の横倍率
Bj_w:当該ズームレンズの広角端における前記第jレンズ群の横倍率
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のズームレンズと、当該ズームレンズの像側に設けられた、当該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本件発明に係るズームレンズ及び撮像装置の実施の形態を説明する。但し、以下に説明する当該ズームレンズ及び撮像装置は本件発明に係るズームレンズ及び撮像装置の一態様であって、本件発明に係るズームレンズ及び撮像装置は以下の態様に限定されるものではない。
【0013】
1.ズームレンズ
1−1.ズームレンズの構成
まず、本件発明に係るズームレンズの実施の形態を説明する。本実施の形態のズームレンズは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、少なくとも1つのレンズ群を含む後群とを備え、各レンズ群の間隔を変えることにより変倍し、第1レンズ群以降に開口絞りを備え、第1レンズ群は、後述する条件式(1)及び条件式(2)を満たし、後群に含まれる、正の屈折力を有するレンズ群を第iレンズ群(但し、iは3以上の自然数)としたとき、当該第iレンズ群のうち少なくとも1つは後述する条件式(3)を満たし、且つ、後述する条件式(4)及び条件式(5)を満たす負レンズGniを少なくとも1枚含むことを特徴とする。以下、当該ズームレンズの構成に関する事項をまず説明し、その後に条件式に関する事項を説明する。
【0014】
(1)レンズ群構成
当該ズームレンズは、上記構成等を満足する限り、その具体的なレンズ群構成は特に限定されるものではない。例えば、後群に含まれるレンズ群の数は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。ズームレンズを構成するレンズ群の数が多くなれば、高変倍比及び高い光学性能を実現する上で有利である。しかしながら、ズームレンズを構成するレンズ群の数が多くなると、当該ズームレンズの小型・軽量化、低コスト化を図ることが困難になる。また、変倍の際にレンズ群を光軸に沿って移動させるための移動機構等も複雑になる。そこで、ズームレンズの構成を簡素化することにより、小型化、低コスト化するという観点からは、後群に含まれるレンズ群の数は2つ以下であることが好ましく、1つであることがより好ましい。後群に含まれるレンズ群の数を2つ以下、より好ましくは1つとすることにより、十分な光学性能を維持しつつ、当該ズームレンズの小型・軽量化、レンズ群を移動させるための移動機構等の簡素化を図ることにより、低コスト化を実現することがより容易になる。ここで、後群は、全体で正の屈折力を有しても、負の屈折力を有しても良いが、正の屈折力を有することが好ましい。本実施例にあるような望遠ズームレンズでは、広角端では第1レンズ群及び第2レンズ群の合成焦点距離が負の値となる。被写体像を像面に結像させるには、後群に正の屈折力を配置する必要がある。そのため、本実施例にあるような望遠ズームレンズでは、後群は全体で正の屈折力を有することが好ましい。
【0015】
(2)第iレンズ群
本件発明において、後群は、第iレンズ群を含むものとする。第iレンズ群は、上述したとおり、後群に含まれる正の屈折力を有するレンズ群である。第2レンズ群の物体側に配置される第3レンズ群を正の屈折力を有するレンズ群とし、当該第3レンズ群が本件発明にいう第iレンズ群であることが好ましい。しかしながら、第iレンズ群は必ずしも第3レンズ群である必要はない。すなわち、条件式(3)を満たし、かつ条件式(4)、(5)を満たす負レンズGniを備える第iレンズ群が後群に配置されていればよく、第3レンズ群を負の屈折力を有するレンズ群とし、第3レンズ群より像側に正の屈折力を有するレンズ群(第iレンズ群)を配置した場合も同様に本件発明の効果を得ることができる。また、後群が2つ以上の第iレンズ群を備える場合、そのうちの少なくとも1つの第iレンズ群が条件式(3)を満たし、かつ条件式(4)、(5)を満たす負レンズGniを備えていればよく、複数の第iレンズ群が上記各条件式を満たしていてもよい。なお、後群に含まれる第iレンズ群の数は、上記と同様の理由から、2つ以下であることが好ましく、1つであることが好ましい。
【0016】
第iレンズ群のうち、後述する条件式(3)を満たすレンズ群は、負レンズGniを少なくとも1枚含み、この負レンズGniの物体側に後述する条件式(9)及び条件式(10)を満たす正レンズGpiを含むことが好ましい。なお、負レンズGni及び正レンズGpiについては、条件式に関する事項と共に後述する。
【0017】
(3)開口絞り
当該ズームレンズは、第1レンズ群以降に開口絞りを備える。ここで、第1レンズ群以降に開口絞りを備えるとは、開口絞りが第1レンズ群内、又は、第1レンズ群よりも像側に配置されることを意味する。当該ズームレンズの光学系内における開口絞りの位置は、第iレンズ群との関係で後述する条件式(3)を満たす限り特に制限されるものではない。例えば、後述する実施例では、第iレンズ群の物体側若しくは第iレンズ群内に開口絞りを配置した例を挙げたが、本件発明に係るズームレンズにおいて、開口絞りは第1レンズ群の像側、第2レンズ群の像側等、撮像素子の大きさや当該ズームレンズの画角範囲等に応じて、適宜、適切な位置に配置することができる。
【0018】
1−2. 条件式
次に、当該ズームレンズが満たすべき条件、又は、満足することが好ましい条件について説明する。
【0019】
当該ズームレンズにおいて、上述したとおり、第1レンズ群は、以下の条件式(1)及び条件式(2)を満たし、第iレンズ群のうち、少なくとも一つは以下の条件式(3)を満たし、且つ、当該第iレンズ群は、以下の条件式(4)及び条件式(5)を満たす負レンズGniを少なくとも1枚含むことを特徴とする。
【0020】
(1) 1.45 < Ndp1ave < 1.65
(2)50.00 < Vdp1ave < 71.00
(3) 0.50 < Hi_t/Hstop_t < 1.60
(4) 1.79 < Ndni < 2.10
(5)26.00 < Vdni < 37.00
【0021】
但し、
Ndp1ave:第1レンズ群に含まれる正レンズのd線に対する屈折率の平均値
Vdp1ave:第1レンズ群に含まれる正レンズのd線に対するアッベ数の平均値
Hi_t:当該ズームレンズの望遠端において、軸上光束が前記第iレンズ群の最も物体側の面を通過するときの光軸からの最大高さ
Hstop_t:当該ズームレンズの望遠端において、軸上光束が開口絞りを通過するときの光軸からの最大高さ
Ndni:第iレンズ群に含まれる負レンズGniのd線に対する屈折率
Vdni:第iレンズ群に含まれる負レンズGniのd線に対するアッベ数
【0022】
1−2−1.条件式(1)
条件式(1)は、第1レンズ群に含まれる正レンズのd線に対する屈折率の平均値を規定する。第1レンズ群は正の屈折力を有するため、少なくとも1枚の正レンズを含む。条件式(1)中のNdp1aveは、第1レンズ群に含まれる各正レンズのd線に対する屈折率の総和を、第1レンズ群に含まれる正レンズの総数で除した値である。当該条件式(1)を満たすことにより、第1レンズ群に含まれる正レンズのd線に対する屈折率の平均値が適正な範囲内となる。すなわち、第1レンズ群に配置する正の屈折力が適正な範囲内となり、第1レンズ群で発生する収差を小さくすることができ、少ないレンズ枚数で良好に収差補正を行うことが可能になる。そのため、ズーム全域で収差補正を良好に行うことができ、小型で高性能なズームレンズを実現することができる。
【0023】
これに対して、条件式(1)の数値が上限値以上になると、第1レンズ群に含まれる正レンズの屈折率の平均値が適正な範囲よりも大きく、第1レンズ群に配置する正の屈折力が強くなる。そのため、第1レンズ群で発生する球面収差やコマ収差を打ち消すには、第2レンズ群以降に配置する負の屈折力を大きくする必要がある。またこの場合、ズーム全域で良好な光学性能を確保するためには、収差補正に要するレンズ枚数が多くなり、少ないレンズ枚数で当該ズームレンズを構成することが困難になることから、当該ズームレンズの低コスト化を図ることが困難になる。また、各レンズ群を構成するレンズ枚数が多くなると、各レンズ群が重くなるため、変倍時に各レンズ群を移動させるための駆動機構に対する負荷も大きくなり、駆動機構自体も大型化する。そのため、当該ズームレンズユニット全体の小型化及び低コスト化を図ることが困難になるため好ましくない。
【0024】
一方、条件式(1)の数値が下限値以下になると、第1レンズ群に含まれる正レンズの屈折率の平均値が適正な範囲よりも小さく、第1レンズ群に配置する正の屈折力が小さくなる。そのため、所定のズーム比を実現しようとすると、各レンズ群の移動量が増加するため、望遠端における当該ズームレンズの小型化を図ることが困難になる。また、ズームレンズは、一般に、鏡筒(最外筒)内に1つ以上の内筒が入れ子式に収容されている。内筒は変倍率に応じて、物体側に繰り出される。広角端と望遠端における光学全長の差が大きくなると、内筒収容時の鏡筒全長を短くするために、最外筒内に複数の内筒を収容させることになる。その場合、内筒の厚みの分だけ、鏡筒の外径が大きくなり、内筒を繰り出すためのカム機構等も複雑になる。これらのことから、当該ズームレンズユニット全体の小型化及び低コスト化を図ることが困難になるため好ましくない。
【0025】
これらの効果を得る上で、条件式(1)において、その下限値は1.46であることが好ましい。また、条件式(1)の上限値は、1.60であることが好ましく、1.56であることがより好ましく、1.52であることがさらに好ましい。なお、これらの好ましい数値に関しては、条件式(1)に記載の不等号を等号付き不等号に置き換えてもよい。後述する他の条件式についても同様である。
【0026】
1−2−2. 条件式(2)
条件式(2)は、第1レンズ群に含まれる正レンズのd線に対するアッベ数の平均値を規定する。条件式(2)中のVdp1aveは、第1レンズ群に含まれる各正レンズのd線に対するアッベ数の総和を、第1レンズ群に含まれる正レンズの総数で除した値である。当該条件式(2)を満たすことにより、第1レンズ群に含まれる正レンズのd線に対するアッベ数の平均値が適正な範囲内となる。そのため、少ないレンズ枚数で軸上色収差、倍率色収差を良好に補正することができ、ズーム全域において色収差の良好な小型のズームレンズを実現することができる。
【0027】
これに対して、条件式(2)の数値が上限値以上になると、第1レンズ群に含まれる正レンズのアッベ数の平均値が適正な範囲よりも大きく、条件式(2)を満たす場合と比較して、第1レンズ群に含まれる正レンズは、低分散の硝材からなる正レンズ、或いは異常分散性を有する硝材からなる正レンズを含むことになる。低分散の硝材、異常分散性を有する硝材はその他の硝材と比較すると一般に高価である。また、異常分散性を有する硝材は加工性が低い。従って、硝材コスト、加工コストを要することから、当該ズームレンズの低コスト化を図ることが困難になる。
【0028】
一方、条件式(2)の数値が下限値以下になると、第1レンズ群に含まれる正レンズのアッベ数の平均値が適正な範囲よりも小さく、条件式(2)を満たす場合と比較して、第1レンズ群に含まれる正レンズは、高分散の硝材からなる正レンズを含むことになる。その場合、第1レンズ群で発生する軸上色収差及び倍率色収差の補正が困難になり、ズーム全域で色収差の良好なズームレンズを実現することが困難になる。
【0029】
これらの効果を得る上で、条件式(2)において、その下限値は55.00であることが好ましく、60.00であることがより好ましい。
【0030】
1−2−3.条件式(3)
条件式(3)は、当該ズームレンズの望遠端において第iレンズ群に対し、軸上光束が第iレンズ群の最も物体側の面を通過するときの光軸からの最大高さと、軸上光束が開口絞りを通過するときの光軸からの最大高さとの比を規定する。条件式(3)を満たすことにより、第iレンズ群の最も物体側の面を通過するときの軸上光束の最外光線の光軸からの高さが適正な範囲内となり、第iレンズ群における球面収差やコマ収差の発生を抑制することができる。そのため、少ないレンズ枚数で、高性能なズームレンズを実現することが容易になり、当該ズームレンズの小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0031】
これに対して、条件式(3)の数値が上限値以上になると、第iレンズ群の最も物体側の面を通過するときの軸上光束の最外光線の高さが適正な範囲を超えて高くなる。この場合、第iレンズ群で発生する球面収差やコマ収差が大きくなり、収差補正に要するレンズ枚数が多くなるため、当該ズームレンズの小型化及び低コスト化を図ることが困難になる。
【0032】
一方、条件式(3)の数値が下限値以下になると、第iレンズ群の最も物体側の面を通過するときの軸上光束の最高光線の高さが適正な範囲よりも低くなる。この場合、第iレンズ群に含まれる負レンズGniを通過する軸上光束の最外光線の光軸からの高さが低くなり、当該負レンズGniによる色収差の補正効果が弱くなるため、当該ズームレンズ全系でみたときに色収差が補正不足となる。よって、ズーム全域において高い光学性能を実現することが困難になる。
【0033】
これらの効果を得る上で、条件式(3)において、その下限値は0.75であることが好ましく、0.85であることがより好ましい。また、その上限値は、1.40であることが好ましく、1.30であることがより好ましく、1.20であることがさらに好ましい。
【0034】
1−2−4.条件式(4)
条件式(4)は、第iレンズ群に含まれる負レンズGniのd線に対する屈折率を規定する。条件式(4)を満たす場合、当該負レンズGniで発生する球面収差やコマ収差を抑制することができるため、少ないレンズ枚数でこれらの収差を補正することが容易になる。そのため、ズーム全域で高性能な小型のズームレンズを低コストで実現することができる。
【0035】
これに対して、条件式(4)の数値が上限値以上になると、当該負レンズGniのd線に対する屈折率が適正な範囲よりも大きく、負レンズGniで発生する球面収差やコマ収差が大きくなる。そのため、少ないレンズ枚数でこれらの収差を補正することが困難になり、ズーム全域で高性能な小型のズームレンズを低コストで実現することが困難になる。
【0036】
一方、条件式(4)の数値が下限値以下になると、当該負レンズGniのd線に対する屈折率が適正な範囲よりも小さくなり、第iレンズ群に含まれる正レンズで発生する球面収差やコマ収差を当該負レンズGniで打ち消すことが困難になり、補正不足となる。そのため、少ないレンズ枚数で、ズーム全域で高性能な小型のズームレンズを低コストで実現することが困難になる。
【0037】
これらの効果を得る上で、条件式(4)において、その下限値は1.82であることが好ましく、1.86であることがより好ましい。また、その上限値は、1.99であることが好ましく、1.95であることがより好ましい。
【0038】
1−2−5.条件式(5)
条件式(5)は、第iレンズ群に含まれる負レンズGniのd線に対するアッベ数を規定する。当該条件式(5)を満たす場合、第iレンズ群に含まれる正レンズにおいて発生する軸上色収差、倍率色収差を良好に補正することができ、ズーム全域において色収差の良好な小型のズームレンズを実現することができる。
【0039】
これに対して、条件式(5)の数値が上限値以上になると、当該負レンズGniのアッベ数が適正な範囲よりも大きく、条件式(5)を満たす場合と比較して、当該負レンズGniは低分散の硝材からなることを意味する。この場合、第iレンズ群に含まれる正レンズで発生した軸上色収差、倍率色収差に対して補正不足となり、ズーム全域において色収差の良好なズームレンズを実現することが困難になる。
【0040】
一方、条件式(5)の数値が下限値以下になると、当該負レンズGniのアッベ数が適正な範囲よりも小さく、条件式(5)を満たす場合と比較して、当該負レンズGniは高分散の硝材からなることを意味する。その場合、第1レンズ群で発生する軸上色収差及び倍率色収差に対して過補正となり、ズーム全域で色収差の良好なズームレンズを実現することが困難になる。
【0041】
これらの効果を得る上で、条件式(5)において、その下限値は28.00であることが好ましく、30.00であることがより好ましい。その上限値は、35.00であることがより好ましい。
【0042】
当該ズームレンズにおいて、第iレンズ群は、上記条件式(4)及び条件式(5)を満たす負レンズGniを少なくとも1枚含む。当該第iレンズ群はこの負レンズGniを複数枚含んでもよいが、当該ズームレンズの小型化及び低コスト化を図る上で、負レンズGniは1枚あれば十分である。
【0043】
1−2−6.条件式(6)及び条件式(7)
当該ズームレンズにおいて、第1レンズ群は以下の条件式(6)及び条件式(7)を満たす負レンズを少なくとも1枚含むことが好ましい。
【0044】
(6) 1.70 < Ndn1 < 2.10
(7) 15.00 < Vdn1 < 37.00
但し、
Ndn1:第1レンズ群に含まれる負レンズのd線に対する屈折率
Vdn1:第1レンズ群に含まれる負レンズのd線に対するアッベ数
【0045】
条件式(6)は、第1レンズ群に含まれる負レンズのd線に対する屈折率を規定する。第1レンズ群が条件式(6)を満たす負レンズを含むことで、当該負レンズにより、第1レンズ群に含まれる正レンズで発生する球面収差やコマ収差を良好に補正することができる。そのため、ズーム全域で高性能な小型のズームレンズを低コストで実現することができる。
【0046】
これに対して、条件式(6)の数値が上限値以上になると、当該負レンズの屈折率が適正な範囲よりも大きくなるため、当該負レンズで発生する球面収差やコマ収差が大きくなる。そのため、当該第1レンズ群に含まれる正レンズにおいて発生した球面収差やコマ収差に対して当該負レンズによる補正が過補正となる。一方、条件式(6)の数値が下限値以下になると、当該負レンズの屈折率が適正な範囲よりも小さくなるため、当該負レンズで発生する球面収差やコマ収差が小さくなる。そのため、第1レンズ群に含まれる正レンズにおいて発生した球面収差やコマ収差に対して当該負レンズによる補正が補正不足となる。これらのことから、条件式(6)の数値が範囲外となると、ズーム全域において良好な光学性能を実現することが困難になり、これと同時に当該ズームレンズの小型化及び低コスト化を図ることが困難になる。
【0047】
これらの効果を得る上で、条件式(6)においてその下限値は、1.72であることがより好ましく、1.75であることがさらに好ましい。また、その上限値は、1.99であることがより好ましく、1.95であることが一層好ましい。
【0048】
次に、条件式(7)について説明する。条件式(7)は、第1レンズ群に含まれる負レンズのd線に対するアッベ数を規定する。第1レンズ群が条件式(7)を満たす負レンズを含むことで、当該負レンズにより、第1レンズ群に含まれる正レンズで発生する軸上色収差、倍率色収差を良好に補正することができ、ズーム全域で色収差の良好なズームレンズを実現することができる。
【0049】
これに対して、条件式(7)の数値が上限値以上になると、当該負レンズのアッベ数が適正な範囲よりも大きく、条件式(7)を満たす場合と比較して、当該負レンズは低分散の硝材からなることを意味する。この場合、第1レンズ群に含まれる正レンズで発生した軸上色収差、倍率色収差に対して補正不足となり、ズーム全域において色収差の良好なズームレンズを実現することが困難になる。
【0050】
一方、条件式(7)の数値が下限値以下になると、当該負レンズのアッベ数が適正な範囲よりも小さく、条件式(7)を満たす場合と比較して、当該負レンズは高分散の硝材からなることを意味する。その場合、第1レンズ群で発生する軸上色収差及び倍率色収差に対して過補正となり、ズーム全域で色収差の良好なズームレンズを実現することが困難になる。
【0051】
これらの効果を得る上で、条件式(7)において、その下限値は、20.00であることがより好ましく、25.00であることがさらに好ましい。また、上限値は35.00であることがより好ましい。
【0052】
当該ズームレンズにおいて、第1レンズ群は、上記条件式(6)及び条件式(7)を満たす負レンズを少なくとも1枚含む。当該第1レンズ群はこの条件式(6)及び条件式(7)負レンズを複数枚含んでもよいが、当該ズームレンズの小型化及び低コスト化を図る上で、当該負レンズは1枚あれば十分である。
【0053】
1−2−7.条件式(8)
当該ズームレンズは、以下の条件式(8)を満足することが好ましい。
【0054】
(8) 0.10 < f1/ft < 1.00
但し、
f1:第1レンズ群の焦点距離
ft:望遠端における当該ズームレンズ全系の焦点距離
【0055】
条件式(8)は、第1レンズ群の焦点距離と望遠端における当該ズームレンズ全系の焦点距離との比を規定する。条件式(8)を満たすことにより、望遠端における当該ズームレンズ全系の焦点距離に対する第1レンズ群の焦点距離が適正な範囲内となり、光学性能がより良好になり、これと同時に、当該ズームレンズの小型化及び低コスト化を図ることがより容易になる。
【0056】
これに対して、条件式(8)の数値が上限値以上になると、望遠端における当該ズームレンズ全系の焦点距離に対する第1レンズ群の焦点距離が適正な範囲を超えて長くなり、第1レンズ群の屈折力が弱くなる。この場合、所定のズーム比を実現しようとすると、変倍時における各レンズ群の移動量が増える。そのため、望遠端における当該ズームレンズの小型化を図ることが困難になる。また、広角端と望遠端における光学全長の差が大きくなると、上記と同様の理由から、当該ズームレンズユニット全体の小型化及び低コスト化を図ることが困難になるため好ましくない。
【0057】
一方、条件式(8)の数値が下限値以下になると、望遠端における当該ズームレンズ全系の焦点距離に対する第1レンズ群の焦点距離が適正な範囲よりも短くなり、第1レンズ群の屈折力が強くなる。この場合、第1レンズ群で発生する球面収差やコマ収差を打ち消すには、第2レンズ群以降に配置する屈折力を大きくする必要がある。またこの場合、ズーム全域で良好な光学性能を確保するためには、収差補正に要するレンズ枚数が多くなり、少ないレンズ枚数で当該ズームレンズを構成することが困難になることから、当該ズームレンズの低コスト化を図ることが困難になる。
【0058】
これらの効果を得る上で、条件式(8)において、その下限値は、0.20であることがより好ましく、0.30であることがさらに好ましい。その上限値は0.70であることがより好ましく、0.60であることがさらに好ましい。
【0059】
1−2−8.条件式(9)及び条件式(10)
当該ズームレンズにおいて、第iレンズ群に含まれる負レンズGniの物体側には、以下の条件式(9)及び条件式(10)を満たす正レンズGpiが隣接配置されることが好ましい。
【0060】
(9) 1.45 < Ndpi < 1.75
(10)50.00 < Vdpi < 80.00
但し、
Ndpi:前記正レンズレンズGpiのd線に対する屈折率
Vdpi:前記正レンズGpiのd線に対するアッベ数
【0061】
条件式(9)は、正レンズGpiのd線に対する屈折率を規定する。条件式(9)を満たすことにより、当該正レンズGpiのd線に対する屈折率が適正な範囲内となり、当該正レンズGpiで発生する球面収差やコマ収差を抑制することができ、少ないレンズ枚数で良好に収差補正を行うことが可能になる。そのため、ズーム全域で収差補正を良好に行うことができ、小型で高性能なズームレンズを実現することができる。
【0062】
これに対して、条件式(9)の数値が上限値以上になると、正レンズGpiの屈折率が適正な範囲よりも大きく、当該正レンズGpiの屈折力が強くなる。そのため、当該正レンズGpiで発生する球面収差やコマ収差を打ち消すには、強い屈折力を有する負レンズを配置するする必要があり、ズーム全域で良好な光学性能を確保するためには、収差補正に要するレンズ枚数が多くなり、少ないレンズ枚数で当該ズームレンズを構成することが困難になることから、当該ズームレンズの低コスト化を図ることが困難になる。
【0063】
一方、条件式(9)の数値が下限値以下になると、当該正レンズGpiの屈折率が適正な範囲よりも小さく、当該正レンズGpiの屈折力が小さくなる。そのため、所定のズーム比を実現しようとすると、第iレンズ群の移動量が増加する。そのため、望遠端における当該ズームレンズの小型化を図ることが困難になる。また、広角端と望遠端における光学全長の差が大きくなると、上記と同様の理由から、当該ズームレンズユニット全体の小型化及び低コスト化を図ることが困難になるため好ましくない。
【0064】
これらの効果を得るため、条件式(9)において、下限値は1.47であることがより好ましい。その上限値は1.72であることがより好ましく、1.69であることがさらに好ましく、1.61であることが一層好ましく、1.57であることがより一層好ましい。
【0065】
次に、条件式(10)について説明する。条件式(10)は、当該正レンズGpiのd線に対するアッベ数を規定する。当該条件式(10)を満たすことにより、当該正レンズGpiのアッベ数が適正な範囲内となり、少ないレンズ枚数で軸上色収差、倍率色収差を良好に補正することができ、ズーム全域において色収差の良好な小型のズームレンズを実現することができる。
【0066】
これに対して、条件式(10)の数値が上限値以上になると、正レンズGpiのアッベ数が適正な範囲よりも大きく、条件式(10)を満たす場合と比較して、当該正レンズGpiは、低分散の硝材、或いは異常分散性を有する硝材からなる事を意味する。従って、上記と同様の理由から、硝材コスト、加工コストを要し、当該ズームレンズの低コスト化を図ることが困難になる。
【0067】
一方、条件式(10)の数値が下限値以下になると、正レンズGpiのアッベ数が適正な範囲よりも小さく、条件式(10)を満たす場合と比較して、当該正レンズGpiは、高分散の硝材からなることを意味する。その場合、当該正レンズGpiで発生する軸上色収差及び倍率色収差の補正が困難になり、ズーム全域で色収差の良好なズームレンズを実現することが困難になる。
【0068】
これらの効果を得る上で、条件式(10)において、その下限値は、55.00であることがより好ましく、60.0であることがさらに好ましく、63.00であることが一層好ましい。また、上限値は、75.00であることがより好ましい。
【0069】
ここで、第iレンズに含まれる負レンズGniに対して、当該正レンズGpiは物体側に配置されていればよく、負レンズGniと正レンズGpiとの間の空気間隔の有無は特に限定されるものではない。しかしながら、正レンズGpiと負レンズGniとは接合され、第iレンズ群に正レンズGpiと負レンズGniとからなる接合レンズとして含まれることがより好ましい。正レンズGpiと負レンズGniとを空気間隔を介さずに配置することで、組み立て誤差により発生する偏芯コマ収差の発生を抑制することができ、製造誤差を低減した、良好な光学性能を実現することが容易になる。
【0070】
1−2−9.条件式(11)
当該ズームレンズにおいて第2レンズ群以降のレンズ群を第jレンズ群(但し、jは2以上の自然数)としたとき、各第jレンズ群は下記式を満足することが好ましい。
【0071】
(11)1.00 ≦ Bj_t/Bj_w ≦ 50.0
Bj_t:当該ズームレンズの望遠端における第jレンズ群の横倍率
Bj_w:当該ズームレンズの広角端における第jレンズ群の横倍率
【0072】
条件式(11)は、当該ズームレンズにおいて第2レンズ群以降に配置される各レンズ群について、広角端から望遠端に変倍した際の各レンズ群の横倍率の変化の割合を示す。このとき、第jレンズ群は、第2レンズ群から最終レンズ群までの各レンズ群を示す。例えば、当該ズームレンズが、第1レンズ群から第3レンズ群の3群構成からなる場合、第jレンズ群は第2レンズ群及び第3レンズ群のそれぞれに該当する。従って、当該ズームレンズが3群構成からなる場合、その望遠端における第2レンズ群の横倍率をB2_t、当該ズームレンズの広角端における第2レンズ群の横倍率をB2_wとしたとき、第2レンズ群の横倍率の変化の割合を示すB2_t/B2_wの値が上記条件式(11)を満たす。さらに、第3レンズ群の場合も同様に、当該ズームレンズの望遠端における第3レンズ群の横倍率をB3_t、当該ズームレンズの広角端における第3レンズ群の横倍率をB3_wとしたとき、第3レンズ群の横倍率の変化の割合を示すB3_t/B3_wの値も上記条件式(11)を満たす。なお、当該ズームレンズが第4レンズ群、第5レンズ群・・・を備える場合についても同様に各レンズ群の上記横倍率の変化の割合を示すBj_t/Bj_wの値がそれぞれ上記条件式(11)を満たす。
【0073】
当該ズームレンズが備える第2レンズ群以降の各レンズ群についての条件式(11)の数値が上記範囲内である場合、第2レンズ群以降の各レンズ群はいずれも横倍率の変化の割合が1以上となるため、変倍時においていずれかのレンズ群において横倍率が減倍されることがない。そのため、所定のズーム比を得る上で各レンズ群の移動量が適正な範囲内となり、当該ズームレンズユニット全体の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0074】
これに対して、当該ズームレンズに条件式(11)の数値が下限値以下のレンズ群が含まれると、広角端から望遠端に変倍した際に、そのレンズ群により横倍率が減倍される。つまり、条件式(11)を満たさないレンズ群は、望遠端における当該ズームレンズの焦点距離を短くする方向に作用する。従って、所定のズーム比を得ようとすると、変倍時におけるその他のレンズ群の移動量を増やすか、その他のレンズ群の屈折力を強めることで変倍比を確保する必要がある。この場合、当該ズームレンズユニット全体の小型化及び低コスト化を図ることが困難である。また、球面収差やコマ収差の補正不足を招くため、ズーム全域で良好な光学性能を実現することが困難になる。
【0075】
一方、当該ズームレンズに条件式(11)の数値が上限値以上のレンズ群が含まれると、広角端から望遠端に変倍した際に、そのレンズ群により横倍率は大きく増倍される。その場合、そのレンズ群には極端に大きい屈折力が配分されているか、変倍時に通常より大きな移動量を要するため、ズーム全域での良好な光学性能を確保することが難しくなり、また、ズームレンズユニット全体の大型化を招き、コストアップとなるため望ましくない。
【0076】
これらの効果を得る上で、条件式(11)において「≧」は「>」であることが好ましい。つまり、当該ズームレンズにおいて第2レンズ群以降に配置されるレンズ群の広角端から望遠端への変倍時における横倍率の変化の割合は1よりも大きいことが好ましい。また、その上限値は、25.00であることがより好ましく、15.00であることがさらに好ましく、10.00であることが一層好ましい。
【0077】
第iレンズに含まれる負レンズGniは、負の屈折力を有していればよく、形状は特に限定されない。しかし、良好に収差補正を行うことのできる適切な屈折力を得るために、負レンズGniは両凹形状であることが好ましい。また、第iレンズに含まれる正レンズGpiは、正の屈折力を有していればよく、形状は特に限定されない。しかし、良好に収差補正を行うことのできる適切な屈折力を得るために、正レンズGpiは両凸形状であることが好ましい。
【0078】
2. 撮像装置
次に、本件発明に係る撮像装置について説明する。本件発明に係る撮像装置は、上記本件発明に係るズームレンズと、当該ズームレンズの像側に設けられた、当該ズームレンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする。ここで、撮像素子に特に限定はなく、CCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子等も用いることかできる。本件発明に係る撮像装置は、デジタルカメラやビデオカメラ等のこれらの固体撮像素子を用いた撮像装置に好適である。また、当該撮像装置は、レンズが筐体に固定されたレンズ固定式の撮像装置であってもよく、一眼レフカメラやミラーレス一眼カメラ等のレンズ交換式の撮像装置であってもよいのは勿論である。
【0079】
次に、実施例および比較例を示して本件発明を具体的に説明する。但し、本件発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下に挙げる各実施例の光学系は、デジタルカメラ、ビデオカメラ、銀塩フィルムカメラ等の撮像装置(光学装置)に用いられる撮影光学系である。また、各レンズ断面図において、図面に向かって左方が物体側、右方が像側である。
【実施例1】
【0080】
(1)光学系の構成
図1は、本件発明に係る実施例1のズームレンズの構成を示すレンズ断面図である。当該ズームレンズは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成され、各レンズ群の間隔を変えることにより変倍を行うズームレンズである。
【0081】
実施例1のズームレンズにおいて、第3レンズ群が本件発明にいう第iレンズ群である。また、L9の符号を付したレンズは本件発明にいう負レンズGniであり、当該負レンズGniの物体側に配置されたL8の符号を付したレンズが本件発明にいう正レンズGpiである。当該負レンズGniと正レンズGpiとは接合されており、接合レンズを構成している。また、第1レンズ群において最も物体側に配置されたL1の符号を付したレンズは、条件式(6)及び条件式(7)を満たす負レンズである。
【0082】
また、図中に示す「S」は開口絞りであり、当該ズームレンズの像側に示す「I」は像面であり、具体的には、CCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子の撮像面、或いは、銀塩フィルムのフィルム面等を示す。なお、各レンズ群の具体的なレンズ構成は
図1に示すとおりである。なお、これらの符号は実施例2〜実施例6で示す各図においても同様のものを示すため、以下では説明を省略する。
【0083】
なお、当該ズームレンズに、光軸に垂直な方向に移動させることで像ブレを補正する防振群、無限遠物体から近距離物体への合焦の際、光軸に沿って移動するフォーカス群を設けてもよい。この場合、
図1に示す第1レンズ群〜第3レンズ群のうち、何れかのレンズ群(又はレンズ群を構成する少なくとも1枚のレンズからなる部分レンズ群)を防振群、フォーカス群とすることができるが、例えば、第2レンズ群を防振群、第1レンズ群をフォーカス群とすることが好ましい。
【0084】
(2)数値実施例
次に、当該ズームレンズの具体的数値を適用した数値実施例1について説明する。表1に、当該ズームレンズのレンズデータを示す。表1において、「No.」は物体側から数えたレンズ面の順番、「R」はレンズ面の曲率半径、「D」はレンズ面の光軸上の間隔、「Nd」はd線(波長λ=587.5600nm)に対する屈折率、「νd」はd線(波長λ=587.600nm)に対するアッベ数をそれぞれ示している。また、開口絞り(絞りS)は、面番号の次に「STOP」を付して示している。さらに、レンズ面が非球面である場合には、面番号の次に「ASPH」を付し、曲率半径Rの欄には近軸曲率半径を示し、「inf.」は∞を表している。
【0085】
また、非球面について、その形状を次式で表した場合の非球面係数及び円錐定数を表2に示す。非球面は次式で定義されるものとする。
【0086】
z=ch
2/[1+{1−(1+k)c
2h
2}
1/2]+A4h
4+A6h
6+A8h
8+A10h
10
但し、cは曲率(1/r)、hは光軸からの高さ、k は円錐係数、A4、A6、A8、A10は各次数の非球面係数である。
【0087】
表3に、当該ズームレンズの各焦点距離(F)におけるFナンバー(Fno)、半画角(W)、変倍時に移動する各レンズ群(可動群)の像側のレンズ間隔を示す。
【0088】
なお、これらの表に関する事項は、実施例2〜実施例6で示す各表においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0089】
図2〜
図4に、当該ズームレンズの広角端、中間焦点距離、望遠端における無限遠合焦時の縦収差図をそれぞれ示す。それぞれの縦収差図は、左から順に、球面収差、非点収差、歪曲収差を表している。球面収差を示す図において、縦軸は開放F値との割合、横軸にデフォーカスをとり、実線はd線(587.5600nm)、破線はg線(435.8400nm)を表している。非点収差を示す図において、縦軸は画角、横軸にデフォーカスをとり、実線はd線のサジタル方向(X)、破線はd線のメリディオナル方向(Y)を表している。歪曲収差を表す図において、縦軸は画角、横軸に%をとる。なお、これらの収差を表示する順序、並び、各図において実線、波線等が示すものは実施例2〜実施例6で示す各図においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0090】
また、条件式(1)〜条件式(3)、条件式(8)及び条件式(11)の数値と各レンズ群の合成焦点距離(f1、f2、f3)を表19に示す。ここで、本実施例において、第3レンズ群が第iレンズ群であるため、表19には条件式(3)の値として「H3_t/Hstop_t」の値を示している。H3_tは、当該ズームレンズの望遠端において、軸上光束が第3レンズ群の最も物体側の面を通過するときの光軸からの最大高さである。また、条件式(11)に関して、表19に示す「B2_t/B2_w」は第2レンズ群に関する条件式(11)の値であり、「B3_t/B3_w」は第3レンズ群に関する条件式(11)の値であり、「B4_t/B4_w」は第4レンズ群に関する条件式(11)の値である。実施例1のズームレンズは第4レンズ群を備えていないため、表19においては[−]を示している。条件式(3)、条件式(11)に関する表記は他の実施例においても同様である。条件式(4)〜条件式(7)、条件式(9)及び条件式(10)の数値は表1を参照することができる。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
【表3】
【実施例2】
【0094】
(1)光学系の構成
図5は、本件発明に係る実施例2のズームレンズの構成を示すレンズ断面図である。当該ズームレンズは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成され、各レンズ群の間隔を変えることにより変倍を行うズームレンズである。
【0095】
実施例2のズームレンズにおいて、第3レンズ群が本件発明にいう第iレンズ群である。また、L8の符号を付したレンズは本件発明にいう負レンズGniであり、当該負レンズGniの物体側に配置されたL7の符号を付したレンズが本件発明にいう正レンズGpiである。当該負レンズGniと正レンズGpiとは接合されており、接合レンズを構成している。また、第1レンズ群において最も物体側に配置されたL1の符号を付したレンズは、条件式(6)及び条件式(7)を満たす負レンズである。
【0096】
なお、当該ズームレンズに、防振群、フォーカス群を設けてもよい。この場合、
図5に示す第1レンズ群〜第3レンズ群のうち、何れかのレンズ群(又は部分レンズ群)を防振群、フォーカス群とすることができるが、例えば、第2レンズ群を防振群、第1レンズ群をフォーカス群とすることが好ましい。
【0097】
(2)数値実施例
次に、当該ズームレンズの具体的数値を適用した数値実施例2について説明する。表4に、当該ズームレンズのレンズデータを示す。表5に、非球面について非球面係数及び円錐定数を示す。表6に、当該ズームレンズの各焦点距離(F)におけるFナンバー(Fno)、半画角(W)、変倍時に移動する各レンズ群(可動群)の像側のレンズ間隔を示す。また、
図5〜
図8に、当該ズームレンズの無限遠合焦時の縦収差図を示す。さらに、条件式(1)〜条件式(3)、条件式(8)及び条件式(11)の数値と各レンズ群の合成焦点距離(f1、f2、f3)を表19に示す。なお、条件式(4)〜条件式(7)、条件式(9)及び条件式(10)の数値は表4を参照することができる。
【0098】
【表4】
【表5】
【0099】
【表6】
【実施例3】
【0100】
(1)光学系の構成
図9は、本件発明に係る実施例3のズームレンズの構成を示すレンズ断面図である。当該ズームレンズは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成され、各レンズ群の間隔を変えることにより変倍を行うズームレンズである。
【0101】
実施例3のズームレンズにおいて、第3レンズ群が本件発明にいう第iレンズ群である。また、L8の符号を付したレンズは本件発明にいう負レンズGniであり、当該負レンズGniの物体側に配置されたL7の符号を付したレンズが本件発明にいう正レンズGpiである。当該負レンズGniと正レンズGpiとは接合されており、接合レンズを構成している。また、第1レンズ群において最も物体側に配置されたL1の符号を付したレンズは、条件式(6)及び条件式(7)を満たす負レンズである。
【0102】
なお、当該ズームレンズに、防振群、フォーカス群を設けてもよい。この場合、
図9に示す第1レンズ群〜第3レンズ群のうち、何れかのレンズ群(又は部分レンズ群)を防振群、フォーカス群とすることができるが、例えば、第2レンズ群を防振群、第1レンズ群をフォーカス群とすることが好ましい。
【0103】
(2)数値実施例
次に、当該ズームレンズの具体的数値を適用した数値実施例3について説明する。表7に、当該ズームレンズのレンズデータを示す。表8に、非球面について非球面係数及び円錐定数を示す。表9に、当該ズームレンズの各焦点距離(F)におけるFナンバー(Fno)、半画角(W)、変倍時に移動する各レンズ群(可動群)の像側のレンズ間隔を示す。また、
図10〜
図12に、当該ズームレンズの無限遠合焦時の縦収差図を示す。さらに、条件式(1)〜条件式(3)、条件式(8)及び条件式(11)の数値と各レンズ群の合成焦点距離(f1、f2、f3)を表19に示す。なお、条件式(4)〜条件式(7)、条件式(9)及び条件式(10)の数値は表7を参照することができる。
【0104】
【表7】
【0105】
【表8】
【0106】
【表9】
【実施例4】
【0107】
(1)光学系の構成
図13は、本件発明に係る実施例4のズームレンズの構成を示すレンズ断面図である。当該ズームレンズは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成され、各レンズ群の間隔を変えることにより変倍を行うズームレンズである。
【0108】
実施例4のズームレンズにおいて、第3レンズ群が本件発明にいう第iレンズ群である。また、L9の符号を付したレンズは本件発明にいう負レンズGniであり、当該負レンズGniの物体側に配置されたL8の符号を付したレンズが本件発明にいう正レンズGpiである。当該負レンズGniと正レンズGpiとは接合されており、接合レンズを構成している。また、第1レンズ群において物体側から2番目に配置されたL2の符号を付したレンズは、条件式(6)及び条件式(7)を満たす負レンズである。
【0109】
なお、当該ズームレンズに、防振群、フォーカス群を設けてもよい。この場合、
図13に示す第1レンズ群〜第3レンズ群のうち、何れかのレンズ群(又は部分レンズ群)を防振群、フォーカス群とすることができるが、例えば、第2レンズ群を防振群、第1レンズ群をフォーカス群とすることが好ましい。
【0110】
(2)数値実施例
次に、当該ズームレンズの具体的数値を適用した数値実施例4について説明する。表10に、当該ズームレンズのレンズデータを示す。表11に、非球面について非球面係数及び円錐定数を示す。表12に、当該ズームレンズの各焦点距離(F)におけるFナンバー(Fno)、半画角(W)、変倍時に移動する各レンズ群(可動群)の像側のレンズ間隔を示す。また、
図14〜
図16に、当該ズームレンズの無限遠合焦時の縦収差図を示す。さらに、条件式(1)〜条件式(3)、条件式(8)及び条件式(11)の数値と各レンズ群の合成焦点距離(f1、f2、f3)を表19に示す。なお、条件式(4)〜条件式(7)、条件式(9)及び条件式(10)の数値は表10を参照することができる。
【0111】
【表10】
【0112】
【表11】
【0113】
【表12】
【実施例5】
【0114】
(1)光学系の構成
図17は、本件発明に係る実施例5のズームレンズの構成を示すレンズ断面図である。当該ズームレンズは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3と、負の屈折力を有する第4レンズ群G4から構成され、各レンズ群の間隔を変えることにより変倍を行うズームレンズである。
【0115】
実施例5のズームレンズにおいて、第3レンズ群が本件発明にいう第iレンズ群である。また、L9の符号を付したレンズは本件発明にいう負レンズGniであり、当該負レンズGniの物体側に配置されたL8の符号を付したレンズが本件発明にいう正レンズGpiである。当該負レンズGniと正レンズGpiとは接合されており、接合レンズを構成している。また、第1レンズ群において最も物体側に配置されたL1の符号を付したレンズは、条件式(6)及び条件式(7)を満たす負レンズである。
【0116】
なお、当該ズームレンズに、防振群、フォーカス群を設けてもよい。この場合、
図17に示す第1レンズ群〜第4レンズ群のうち、何れかのレンズ群(又は部分レンズ群)を防振群、フォーカス群とすることができるが、例えば、第2レンズ群を防振群、第1レンズ群をフォーカス群とすることが好ましい。
【0117】
(2)数値実施例
次に、当該ズームレンズの具体的数値を適用した数値実施例5について説明する。表13に、当該ズームレンズのレンズデータを示す。表14に、非球面について非球面係数及び円錐定数を示す。表15に、当該ズームレンズの各焦点距離(F)におけるFナンバー(Fno)、半画角(W)、変倍時に移動する各レンズ群(可動群)の像側のレンズ間隔を示す。また、
図18〜
図20に、当該ズームレンズの無限遠合焦時の縦収差図を示す。さらに、条件式(1)〜条件式(3)、条件式(8)及び条件式(11)の数値と各レンズ群の合成焦点距離(f1、f2、f3、f4)を表19に示す。なお、条件式(4)〜条件式(7)、条件式(9)及び条件式(10)の数値は表13を参照することができる。
【0118】
【表13】
【0119】
【表14】
【0120】
【表15】
【実施例6】
【0121】
(1)光学系の構成
図21は、本件発明に係る実施例6のズームレンズの構成を示すレンズ断面図である。当該ズームレンズは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成され、各レンズ群の間隔を変えることにより変倍を行うズームレンズである。
【0122】
実施例6のズームレンズにおいて、第3レンズ群が本件発明にいう第iレンズ群である。また、L98の符号を付したレンズは本件発明にいう負レンズGniであり、当該負レンズGniの物体側に配置されたL7の符号を付したレンズが本件発明にいう正レンズGpiである。当該負レンズGniと正レンズGpiとは接合されており、接合レンズを構成している。また、第1レンズ群において最も物体側に配置されたL1の符号を付したレンズは、条件式(6)及び条件式(7)を満たす負レンズである。
【0123】
なお、当該ズームレンズに、防振群、フォーカス群を設けてもよい。この場合、
図21に示す第1レンズ群〜第3レンズ群のうち、何れかのレンズ群(又は部分レンズ群)を防振群、フォーカス群とすることができるが、例えば、第2レンズ群を防振群、第1レンズ群をフォーカス群とすることが好ましい。
【0124】
(2)数値実施例
次に、当該ズームレンズの具体的数値を適用した数値実施例6について説明する。表16に、当該ズームレンズのレンズデータを示す。表17に、非球面について非球面係数及び円錐定数を示す。表18に、当該ズームレンズの各焦点距離(F)におけるFナンバー(Fno)、半画角(W)、変倍時に移動する各レンズ群(可動群)の像側のレンズ間隔を示す。また、
図22〜
図24に、当該ズームレンズの無限遠合焦時の縦収差図を示す。さらに、条件式(1)〜条件式(3)、条件式(8)及び条件式(11)の数値と各レンズ群の合成焦点距離(f1、f2、f3)を表19に示す。なお、条件式(4)〜条件式(7)、条件式(9)及び条件式(10)の数値は表1を参照することができる。
【0125】
【表16】
【0126】
【表17】
【0127】
【表18】
【0128】
【表19】