(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-185556(P2018-185556A)
(43)【公開日】2018年11月22日
(54)【発明の名称】会員の認証方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20181026BHJP
B42D 25/23 20140101ALN20181026BHJP
B42D 25/387 20140101ALN20181026BHJP
A44C 5/00 20060101ALN20181026BHJP
A44C 7/00 20060101ALN20181026BHJP
A44C 9/00 20060101ALN20181026BHJP
A44C 25/00 20060101ALN20181026BHJP
【FI】
G06T7/00 510A
B42D15/10 230
B42D15/10 387
A44C5/00 Z
A44C7/00 A
A44C9/00
A44C25/00 A
A44C25/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-85133(P2017-85133)
(22)【出願日】2017年4月24日
(71)【出願人】
【識別番号】509350446
【氏名又は名称】田中 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 佳子
【テーマコード(参考)】
2C005
3B114
5B043
【Fターム(参考)】
2C005HA02
2C005HB07
2C005JB13
3B114AA21
3B114CC01
5B043AA09
5B043BA08
5B043DA05
5B043EA02
5B043FA04
5B043GA05
(57)【要約】
【課題】データの記録の手間を省き、簡易でかつ確実な会員の認証方法を提供する。
【解決手段】会員の認証方法は、可視光の下で、単一の支持体12に固定された全てのダイヤモンド13で構成されるダイヤモンド群の物理的配置を特定する工程と、紫外線の下で、ダイヤモンド群中でストロング以上の青色蛍光性を有するダイヤモンド13の配置を特定する工程と、ストロング以上の青色蛍光性を示すダイヤモンド、および、ストロング以上の青色蛍光性を示すダイヤモンド以外のダイヤモンドが混在する物理的配置のダイヤモンド群から、物理的配置と一致する配置でストロング以上の青色蛍光性を示すダイヤモンド群を識別する工程とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光の下で、単一の支持体に固定された全てのダイヤモンドで構成されるダイヤモンド群の物理的配置を特定する工程と、
紫外線の下で、前記ダイヤモンド群中でストロング以上の青色蛍光性を有するダイヤモンドの配置を特定する工程と、
ストロング以上の青色蛍光性を示すダイヤモンド、および、ストロング以上の青色蛍光性を示すダイヤモンド以外のダイヤモンドが混在する前記物理的配置のダイヤモンド群から、前記物理的配置と一致する配置でストロング以上の青色蛍光性を示すダイヤモンド群を識別する工程と
を備えることを特徴とする会員の認証方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は会員の認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は自動販売機に利用される会員カードを開示する。会員カードには会員番号と有効期限とが記録される。会員番号および有効期限は自動販売機内に記録される会員情報と照合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6103462号公報
【特許文献2】国際公開WO2010/052702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、会員の人数に応じて記憶装置に膨大なデータを記録しなければならず、記録する作業が面倒であって、しかも、データのバックアップが要求され、さらには、データの一元管理にあたって通信機器やセキュリティが確保されなければならない。
【0005】
特許文献2では、ダイヤモンド群中に、特定の文字列に従って青色蛍光を示すダイヤモンドが配列される。このように、ダイヤモンド群に、青色蛍光を示すダイヤモンドと、青色蛍光を示さないダイヤモンドとが混在する場合には、個々の会員ごとにダイヤモンドの配置を記憶しておき、提示されたダイヤモンド群の青色蛍光の配置と、その会員に固有に記憶された青色蛍光の配置とが比較されなければならない。したがって、特許文献2に記載のダイヤモンドを利用したところで、特許文献1と同様に、会員の人数に応じて記憶装置に膨大なデータを記録しなければならず、記録する作業が面倒であって、しかも、データのバックアップが要求され、さらには、データの一元管理にあたって通信機器やセキュリティが確保されなければならない。
【0006】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、データの記録の手間を省き、簡易でかつ確実な会員の認証方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、可視光の下で、単一の支持体に固定された全てのダイヤモンドで構成されるダイヤモンド群の物理的配置を特定する工程と、紫外線の下で、前記ダイヤモンド群中でストロング以上の青色蛍光性を有するダイヤモンドの配置を特定する工程と、ストロング以上の青色蛍光性を示すダイヤモンド、および、ストロング以上の青色蛍光性を示すダイヤモンド以外のダイヤモンドが混在する前記物理的配置のダイヤモンド群から、前記物理的配置と一致する配置でストロング以上の青色蛍光性を示すダイヤモンド群を識別する工程とを備える会員の認証方法は提供される。
【発明の効果】
【0008】
本認証方法では、ダイヤモンド群の物理的配置と一致する配置でストロング以上の青色蛍光性を示すダイヤモンド群が「会員証」として用いられる。可視光(自然光でよい)の下でダイヤモンドは透明な輝きを放つことから、ダイヤモンド群の物理的配置は特定される。紫外線が照射されると、ダイヤモンド群全体が青色に輝く。青色蛍光の配置は物理的配置に一致する。その一方で、天然のダイヤモンドの中でもストロング以上の蛍光性を示すものは少ない。したがって、意図的にストロング以上の青色蛍光性を示すダイヤモンドだけが集められなければ、物理的配置と一致する配置でストロング以上の青色蛍光性を示すダイヤモンド群はほぼ存在しない。こうして会員は認証されることができる。その場で可視光と紫外線とが照射されれば「会員証」のダイヤモンド群は識別されるので、会員ごとに認証データを記録しておく必要はない。認証データのバックアップや通信機器の設置、セキュリティの確保もあえて要求されずに済む。データの記録の手間が省かれ、簡易でかつ確実な会員の認証方法は提供される。そもそも認証データを必要としないので、会員ごとの匿名性を確保することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る会員認証システムの構成を概略的に示す概念図である。
【
図2】会員証としてのダイヤモンドネックレスを概略的に示す平面図である。
【
図3】ストロングブルーおよびベリーストロングブルーの青色蛍光性を示すダイヤモンドの写真である。
【
図4】会員証と会員証以外のダイヤモンド群との識別方法を概略的に示す概念図である。
【
図5】第2実施形態に係る会員認証システムの構成を概略的に示す概念図である。
【
図6】本発明の第3実施形態に係るレンタルダイヤモンドシステムの構成を概略的に示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
【0011】
図1は第1実施形態に係る会員認証システム11の構成を概略的に示す。会員認証システム11は、単一の支持体12上に固定されたダイヤモンド13で構成される会員証14と、会員証14を撮像する撮像装置15と、紫外線を照射するブラックライト16と、撮像装置15に接続されるコンピューター装置17とを備える。撮像装置15は会員証14の画像データを生成する。画像データはコンピューター装置17に送信される。コンピューター装置17は、画像データに基づき、会員証14と会員証14以外のダイヤモンド群とを識別する。
【0012】
図2に示されるように、会員証14は1つの輪を描くネックレスで構成される。ネックレスは、単一の支持体12として、例えば複数の台座18の連結体すなわちチェーンで構成される。台座18は例えばプラチナや金といった金属材から成形される。個々の台座18には1個のダイヤモンド13が固定される。こうして単一の支持体12であるチェーンに複数個のダイヤモンド13はあしらわれる。あしらわれた全てのダイヤモンド13はストロング以上の青色蛍光性(すなわちストロングブルーまたはベリーストロングブルー)を有する。こうしてチェーン全体に複数のダイヤモンド13が散りばめられてもよく、1つの支持体としてのペンダントやブレスレット、ピアス、リング、アンクレット上に複数のダイヤモンドがあしらわれてもよい。ダイヤモンドは均一な大きさでもよく大小混ぜ込まれてもよい。
【0013】
コンピューター装置17はCPU(中央演算処理装置)で実行されるソフトウェアプログラムに従って本発明に係る認証方法を実現する。ソフトウェアプログラムは例えばコンピューター装置に組み込まれる記憶装置に格納されればよい。その他、コンピューター装置17は、少なくとも画像データの比較にあたって要求される程度の小さい容量のメモリーを備えればよい。コンピューター装置17には認証用の画像データは格納されずともよい。
【0014】
認証方法が実施されると、CPUは撮像装置15に対して可視光下で会員証14の撮像を指示する。撮像装置15は可視光(自然光でもよく一般の電灯光でもよい)下で会員証14を撮像する。自然光といった可視光の下では光輝や分散、閃光に基づきダイヤモンド13は透明な輝きを放つ。撮像装置15は会員証14の第1画像データを生成する。第1画像データでは、単一の支持体12に固定された全てのダイヤモンド13で構成されるダイヤモンド群の物理的配置は特定される。第1画像データは例えばCPUのメモリーに一時的に格納されればよい。
【0015】
次いでCPUはブラックライト16に対して紫外線の照射を指示する。ブラックライト16は会員証14に向けて紫外線を照射する。
図3に示されるように、ブラックライト16その他の紫外線光の下ではストロングブルーまたはベリーストロングブルーの青色蛍光性を有するダイヤモンド13は青色に輝く。ダイヤモンド群中の全てのダイヤモンド13はストロング以上の青色蛍光性を有することから、紫外線光の下では青色蛍光の配置はダイヤモンド群の物理的配置と一致する。
【0016】
CPUは撮像装置15に対して紫外線の照射下で会員証14の撮像を指示する。撮像装置15は紫外線の下で会員証14を撮像する。撮像装置15は会員証14の第2画像データを生成する。第2画像データでは、ダイヤモンド群中でストロング以上の青色蛍光性を有するダイヤモンド13の配置は特定される。第2画像データはCPUに送られる。
【0017】
CPUは第1画像データの物理的配置と第2画像データの青色蛍光の配置とを比較する。
図4に示されるように、ダイヤモンド群の物理的配置と青色蛍光の配置とが一致すれば、会員証14の正当性は認証される。その一方で、天然のダイヤモンドの中でもストロング以上の蛍光性を示すものは少ない。したがって、意図的にストロング以上の青色蛍光性を示すダイヤモンドだけが集められなければ、物理的配置と一致する配置でストロング以上の青色蛍光性を示すダイヤモンド群はほぼ存在しない。
図4に示されるように、ダイヤモンド群の物理的配置と青色蛍光の配置とは一致しない。会員証14以外のダイヤモンド群は会員として認証されることはない。
【0018】
その場で可視光と紫外線とが照射されれば「会員証」のダイヤモンド群は識別されるので、会員ごとに認証データを記録しておく必要はない。認証データのバックアップや通信機器の設置、セキュリティの確保もあえて要求されずに済む。データの記録の手間が省かれ、簡易でかつ確実な会員の認証方法は提供される。そもそも認証データを必要としないので、会員ごとの匿名性を確保することもできる。
【0019】
図5は第2実施形態に係る会員認証システム21の構成を概略的に示す。会員認証システム21は、単一の支持体12上に固定されたダイヤモンド13で構成される会員証14と、紫外線を照射するブラックライト16とを備える。会員証14およびブラックライト16は第1実施形態のものと同様である。認証者は、可視光の下と、紫外線の下とで、視認に基づき、会員証14と会員証14以外のダイヤモンド群とを識別する。ダイヤモンド群の物理的配置と青色蛍光の配置とが一致すれば、会員証14の正当性は認証される。会員証14以外のダイヤモンド群では、ダイヤモンド群の物理的配置と青色蛍光の配置とは一致しない。会員証14以外のダイヤモンド群は会員として認証されることはない。
【0020】
図6は第3実施形態に係るレンタルダイヤモンドシステム31の構成を概略的に示す。レンタルダイヤモンドシステム31は、単一の支持体12上に固定されたダイヤモンド13で構成されるダイヤモンドネックレス(宝飾体)32と、紫外線を照射するブラックライト16とを備える。ダイヤモンドネックレス32は前述の会員証14と同様である。貸し出し者は、可視光の下と、紫外線の下とで、視認に基づき、ダイヤモンドネックレス32とダイヤモンドネックレス32以外のネックレスとを識別する。ダイヤモンド群の物理的配置と青色蛍光の配置とが一致すれば、ダイヤモンドネックレス32の正当性は認証される。ダイヤモンドネックレス32以外のネックレスでは、ダイヤモンド群の物理的配置と青色蛍光の配置とは一致しない。
【0021】
単一の支持体12上に支持される全てのダイヤモンド13は特定の物理的配置にあしらわれストロング以上の青色蛍光性を有し、可視光の下では透明な輝きを放ち、ブラックライト16に照らされて物理的配置と一致する配置で青色蛍光を示すことで、ストロング以上の青色蛍光性を示すダイヤモンドとストロング以上の青色蛍光性を示すダイヤモンド以外のダイヤモンドとが混在する物理的配置のダイヤモンド群から識別される。
【0022】
ダイヤモンドをあしらった指輪やネックレスといった宝飾品は一般に知られる。ダイヤモンドは自然光といった可視光の下で光輝や分散、閃光に基づき透明な輝きを放つ。こうした輝きが好まれることから、一般に、ダイヤモンドは4Cといってカラット(大きさ)、カット(研磨)、クラリティ(透明度)およびカラー(色)で評価される。研磨が秀逸で、無色であって欠陥がないほど、高い価格で取り引きされる。
【0023】
例えば、だれかに宝飾品を貸し出す場合に、返却されるダイヤモンド群の全てがガラスのイミテーションに置き換えられたり、ダイヤモンド群の中で一部がガラスのイミテーションに置き換えられたりしても、可視光の下ではたとえ専門家であっても判別は難しい。なぜなら、可視光の下で本物のダイヤモンドとガラスとは簡単に見分けられることはできない。
【0024】
天然のダイヤモンドの中には、自然光といった可視光の下で透明な輝きを放つだけでなく、紫外線の下で青色蛍光性を示し青く輝くものが存在する。ただし、天然のダイヤモンドの中でもストロング以上の蛍光性を示すものは少ない。したがって、例えばダイヤモンド群の全てのダイヤモンド13がストロング以上の青色蛍光性を示すダイヤモンドで占められれば、ダイヤモンド群の物理的配置と青色蛍光の配置とは一致する。仮に、返却されるダイヤモンド群の全てがガラスのイミテーションに置き換えられたり、ダイヤモンド群の中で一部がガラスのイミテーションに置き換えられたりすると、ガラスのイミテーションはダイヤモンド13のような青色蛍光性を示さない。その結果、紫外線の下では青色蛍光は、全体で、または部分的に、ダイヤモンドの配置に欠けを形成する。青色蛍光の配置とダイヤモンドの配置とは一致しない。こうして全てのダイヤモンドで青色蛍光性を示すダイヤモンド群は、部分的でもガラスに置き換えられた宝飾体から識別される。貸し出し者は、どんな素人であっても、本物か偽物か、ブラックライト16といった紫外線照射の道具さえあれば、簡単に判別することができる。
【符号の説明】
【0025】
11…会員認証システム、12…支持体、13…ダイヤモンド、21…会員認証システム。