【解決手段】電源装置1は、電源入力1Nと電源出力OUTとの間に設けられた第1トランジスタPpと、第1入力が出力電圧に応じた第1電圧VFBを受け、第2入力が参照電圧VREFを受け、出力が第1トランジスタのゲートに接続され、第1電圧および参照電圧に基づいてPpを制御する差動回路10と、一端が電源入力に接続され、ゲートPpのゲートに接続され、Ppに流れる電流に応じたモニタ電流を流す第2トランジスタPmと、Pmの他端に接続され、モニタ電流と参照電流とを比較する比較器18と、差動回路の出力と第2入力との間に設けられ、電源装置の位相特性において極における位相特性の変位とは反対側に位相特性を変位させる零点回路20と、零点回路と差動回路の出力又は第2入力との間に設けられ、比較器の比較結果に基づいてオンオフする第1スイッチ回路SW1を備える。
前記モニタ電流が前記参照電流よりも小さいときに、前記第1スイッチ回路はオンになり、前記モニタ電流が前記参照電流を超えると、前記第1スイッチ回路はオフになる、請求項1または請求項2に記載の電源装置。
前記モニタ電流が前記参照電流よりも小さいときに、前記第2スイッチ回路はオフになり、前記モニタ電流が前記参照電流を超えると、前記第2スイッチ回路はオンになる、請求項5に記載の電源装置。
前記比較器と前記第2スイッチ回路との間に設けられ、前記第2スイッチ回路をオンからオフに切り替えるときに、前記比較器の比較結果に基づく信号を延長させて前記第2スイッチ回路へ伝達する延長回路をさらに備えた、請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の電源装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る電源装置1の構成例を示す回路図である。電源装置1は、例えば、バッテリで駆動される携帯電子機器内のマイコン、センサ、ドライバ等のデバイスに所定の定電圧を供給する定電圧電源装置(例えば、スイッチングレギュレータ、リニアレギュレータ等)でよい。電源装置1は、差動増幅器10と、電流源12と、第1トランジスタPpと、第2トランジスタPmと、参照電流源16と、電流比較器18と、第1スイッチ回路SW1と、抵抗素子Rf、Rsと、零点回路20とを備えている。
【0010】
差動回路としての差動増幅器10は、入力された2つの電圧VREF、VFBの差電圧を増幅する回路であり、例えば、トランジスタP1、P2、N1、N2と、を備えている。トランジスタP1、P2は、p型MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタであり、互いに同じサイズ(ゲート幅(W)/ゲート長(L))を有する。トランジスタN1、N2は、n型MOSトランジスタであり、互いに同じサイズ(W/L)を有する。トランジスタP1、P2のゲートは、互いに接続され、トランジスタP1のドレインに共通に接続されている。トランジスタP1、P2のソースは、入力端子INに共通に接続されている。このように、トランジスタP1、P2は、ミラー回路を構成し、サイズにおいて等しいので、それぞれトランジスタN1、N2へほぼ等しい電流を流す。
【0011】
トランジスタN1のドレインはトランジスタP1のドレインに接続されている。トランジスタN1のゲートには、出力端子OUTからの出力電圧Voutに応じた第1電圧としてのフィードバック電圧(帰還電圧)VFBが印加される。トランジスタN2のドレインはトランジスタP2のドレインに接続されている。トランジスタN2のゲートには、フィードバック電圧VFBの基準となる所定の参照電圧VREFが印加される。トランジスタN1、N2のソースは、いずれも電流源12に共通に接続される。参照電圧VREFは、電源装置1の内部で生成されてもよく、あるいは、外部で生成されてもよい。
【0012】
差動増幅器10の入力ノードは、トランジスタN1、N2の各ゲートである。例えば、トランジスタN1のゲートは、差動増幅器10の第1入力として機能し、第1電圧としてのフィードバック電圧VFBを受ける。トランジスタN2のゲートは、差動増幅器10の第2入力として機能し、参照電圧VREFを受ける。また、差動増幅器10の出力ノードは、トランジスタN2のドレインとトランジスタP2のドレインとの間の接続ノードである。差動増幅器10の出力ノードは、第1トランジスタPpのゲートに接続されている。差動増幅器10は、入力ノードでフィードバック電圧VFBおよび参照電圧VREFを入力し、それらの差電圧に応じた電圧を出力ノードから出力する。これにより、差動増幅器10は、フィードバック電圧VFBおよび参照電圧VREFに基づいて第1トランジスタPpを制御する。
【0013】
第1電流源としての電流源12は、差動増幅器10のトランジスタN1、N2のソースと基準電圧源としてのグランドとの間に接続されている。電流源12は、差動増幅器10に所定の電流を供給する定電流源である。
【0014】
第1トランジスタPpは、電源入力としての入力端子INと電源出力としての出力端子OUTとの間に接続されており、入力電圧Vinに応じた出力電圧Voutを出力する。第1トランジスタPpは、例えば、p型MOSトランジスタであり、そのソースは入力端子INに接続され、ドレインは出力端子OUTに接続されている。第1トランジスタPpのゲートは差動増幅器10の出力ノードに接続されている。
【0015】
第2トランジスタPmは、入力端子INと電流比較器18との間に接続されており、第1トランジスタPpに流れる電流に応じたモニタ電流Imを流す。第2トランジスタPbは、例えば、p型MOSトランジスタであり、その一端としてのソースは入力端子INに接続され、他端としてのドレインは電流比較器18の非反転入力に接続されている。第2トランジスタPmのゲートは、第1トランジスタPpのゲートとともに差動増幅器10の出力に共通に接続されている。第1および第2トランジスタPp、Pmのゲートが共通に接続され、それらのソースも共通に接続されていることから、第1および第2トランジスタPp、Pmは実質的にカレントミラー回路を構成する。従って、第2トランジスタPmは第1トランジスタPpに流れる電流にほぼ比例した電流を流す。第2トランジスタPmのサイズ(W/L)は、第1トランジスタPpのサイズ(W/L)よりも小さく、第2トランジスタPmに流れる電流は第1トランジスタPpに流れる電流よりも小さい。これにより、第2トランジスタPmは、第1トランジスタPpのレプリカとして低消費電流で第1トランジスタPpをモニタすることができる。
【0016】
参照電流源16は、参照電流IREFを電流比較器18に流す電流源である。参照電流IREFは、モニタ電流Imのしきい値となる所定電流である。
【0017】
電流比較器18の非反転入力は、第2トランジスタPmのドレインに接続され、電流比較器18の反転入力は参照電流源16に接続されている。電流比較器18の出力は、第1スイッチ回路SW1に接続されている。電流比較器18は、第2トランジスタPmに流れるモニタ電流Imと参照電流IREFとを比較し、その比較結果に基づいて第1スイッチ回路SW1をスイッチング制御する。例えば、電流比較器18は、モニタ電流Imが参照電流IREFよりも小さいときに、第1スイッチ回路SW1をオンに切り替え、モニタ電流Imが参照電流IREFを超えると、第1スイッチ回路SW1をオフに切り替える。この場合、比較結果は、1ビットのデジタル信号でよい。
【0018】
第1スイッチ回路SW1は、トランジスタN2のゲート(差動増幅器10の第2入力)と零点回路20との間に接続されており、電流比較器18の比較結果を受けてオンまたはオフに制御される。オンは電気的に導通した状態であり、オフは電気的に遮断された状態である。第1スイッチ回路SW1は、例えば、MOSトランジスタで構成されてもよい。第1スイッチ回路SW1がオンになると、零点回路20は、差動増幅器10の第2入力と差動増幅器10の出力との間に電気的に接続される。一方、第1スイッチ回路SW1がオフになると、零点回路20は、差動増幅器10の第2入力と差動増幅器10の出力との間から電気的に切断される。尚、第1スイッチ回路SW1は、零点回路20と差動増幅器10の出力との間に接続されてもよい。この場合であっても、第1スイッチ回路SW1は、差動増幅器10の第2入力と差動増幅器10の出力との間において零点回路20を電気的に接続/切断させることができる。
【0019】
零点回路20は、トランジスタN2のゲート(差動増幅器10の第2入力)と差動増幅器10の出力との間に設けられており、電源装置1の位相特性において、極(ポール)における位相特性の変位とは反対側に位相特性を変位させる零点を与える。即ち、零点回路20は、極によって遅れた位相特性を戻す(打ち消す)ように機能する。零点回路20による位相特性の変位については、後でより詳細に説明する。零点回路20は、例えば、差動増幅器10の第2入力と差動増幅器10の出力との間に接続されたキャパシタ素子である。キャパシタ素子は、他のトランジスタ等と同一基板上に設けられたMOSキャパシタでよい。
【0020】
抵抗素子Rf、Rsは、第1トランジスタPpのドレイン(即ち、出力端子OUT)とグランドとの間に直列に接続されている。抵抗素子Rf、Rsは、出力電圧Voutを分圧してフィードバック電圧VFBを生成する。抵抗素子Rfと抵抗素子Rsとの間のノードは、トランジスタN1のゲート(即ち、差動増幅器10の第1入力)に接続されている。これにより、フィードバック電圧VFBは差動増幅器10の第1入力へフィードバックされる。
【0021】
本実施形態において、出力端子OUTには、出力容量C1が接続されていない。あるいは、出力端子OUTに接続される出力容量C1は非常に小さい。従って、
図1では、出力容量C1は破線で示されている。
【0022】
例えば、
図2(A)は、比較的大きな(例えば、約1μFの)出力容量が設けられた電源装置の周波数特性を示すグラフであり、
図2(B)は出力容量の無いあるいは出力容量の小さな電源装置の周波数特性を示すグラフである。出力容量C1の影響を示すために、零点回路20は電気的に切断された状態(スイッチ回路SW1はオフ状態)であるものとする。また、負荷電流は無いあるいは非常に小さいものとする。
【0023】
グラフの上側に利得(開放利得特性)を示し、下側に位相特性を示す。一般に、電源装置1のようにフィードバック系を有する回路の動作の安定性は位相余裕で表される。位相余裕は、利得が1(即ち、0dB)のときに、位相特性が180度からどれだけ乖離しているかを示す。利得が1(即ち、0dB)のときに、位相特性が180度から大きく乖離しているほど、位相余裕は大きく、フィードバック系の回路動作の安定性は良好である。通常、位相余裕は、約45度以上であれば安定であると判断される。
【0024】
図2(A)に示すように、出力容量C1(例えば、約1μF)が出力端子OUTに接続されている場合、位相余裕は約85度であり、電源装置1の動作は充分に安定である。一方、
図2(B)に示すように、出力容量C1が出力端子OUTに接続されていない場合、位相余裕は約10度しかなく、電源装置1の動作は不安定である。
【0025】
これは、出力容量C1の有無によって、周波数特性の2つの極(ポール)PL1、PL2の位置が変わるからである。極PL1は、
図1の第1トランジスタPpの抵抗および出力端子OUTの容量によって発生する。第1トランジスタPpの抵抗をRpとし、出力端子OUTの容量をCoutとすると、極PL1は、周波数fp1(fp1=1/(2πRp・Cout))の位置に発生する。また、極PL2は、トランジスタP2の抵抗および第1トランジスタPpのゲート容量によって発生する。トランジスタP2の抵抗をR2とし、第1トランジスタPpのゲート容量をCgとすると、極PL2は、周波数fp2(fp2=1/(2πR2・Cg))の位置に発生する。例えば、極PL1、PL2は、それぞれ位相が135度、45度遅れたときの周波数位置で発生し、それぞれの極において位相が約90度遅れる。
【0026】
ここで、出力容量C1が無い場合、
図2(B)に示すように、極PL1、PL2の周波数が比較的接近しており、位相の遅れが速い。また、利得の下がり始めが遅くなる。従って、位相余裕は小さくなり、電源装置1の動作は不安定となる(発振し易くなる)。一方、大きな出力容量C1が出力端子OUTに接続された場合、極PL2の周波数が非常に小さくなり(
図2(A)では不図示)、極PL1から大きく乖離する。従って、位相の遅れが緩やかになり、位相余裕が大きくなる。よって、電源装置1の動作は安定となる。尚、位相の遅れは、電源装置1のフィードバック制御の位相遅れである。また、位相の遅れが「速い」とは、周波数に対する位相遅れの度合い(位相特性のグラフの傾き)が大きいことを示し、位相の遅れが「遅い」とは、周波数に対する位相遅れの度合い(位相特性のグラフの傾き)が小さいことを示す。
【0027】
このように、出力容量C1が出力端子OUTに接続されると、負荷電流が無い場合でも、電源装置1の位相余裕が増大し、電源装置1の動作の安定性が向上する。しかし、上述の通り、出力容量C1の実装面積は大きく、電源装置1の小型化の妨げとなる。一方、出力容量C1が設けられておらずあるいは非常に小さいと、負荷電流が無い場合に、電源装置1の位相余裕が小さくなり、電源装置1の動作が不安定になってしまう。
【0028】
本実施形態では、出力容量C1が設けられておらず、かつ、負荷電流が無い場合であっても、零点回路20を設けることによって、
図3に示すように、電源装置1の動作の安定性を向上させる。
【0029】
図3は、零点回路20が設けられた電源装置の周波数特性を示すグラフである。
図3では、零点回路20が電気的に接続された状態(スイッチ回路SW1はオン状態)であり、出力容量C1は設けられていない。また、負荷電流は無いあるいは非常に小さいものとする。
【0030】
零点回路20は、例えば、
図2(B)の極PL1の近傍(約10kHz近傍)に零点を作用させるように設計されている。この場合、極PL1の位相の遅れを戻して(キャンセルして)、位相を進ませることができる。例えば、極PL1において、位相は90度遅れるが、零点の作用によってその位相は戻される(進む)。従って、利得0dBにおける位相余裕が大きくなる。
図3および
図2(B)を比較すると、位相余裕は、約10度から約60度へ増大している。これにより、電源装置1の動作は安定する。
【0031】
このように、零点回路20を差動増幅器10の出力と第2入力との間に付加することによって、出力容量C1が無くあるいは非常に小さくても、電源装置1の動作の安定性を確保することができる。
【0032】
利得が0dBになる付近の高周波数帯で効果を発揮すればよいので、零点回路20の容量は、出力容量C1に比べて非常に小さくてよい。例えば、1μFの出力容量C1に対して、零点回路20の容量は、10pFでよい。従って、零点回路20の付加は、電源装置1の小型化の妨げにはならない。
【0033】
一方、負荷電流が大きい場合には、出力容量C1および零点回路20が接続されていなくても、
図4に示すように、電源装置1の動作は安定する。
【0034】
図4は、負荷電流が大きい場合の電源装置の周波数特性を示すグラフである。
図4では、零点回路20が電気的に切断された状態(スイッチ回路SW1がオフ状態)である。また、出力容量C1は設けられていない。
【0035】
負荷2が出力端子OUTに接続された場合あるいは負荷2が起動した場合、出力端子OUTから負荷2に供給される負荷電流が大きくなる。これに対応して、第1トランジスタPpが大きな負荷電流を流すために強いオン状態となり低抵抗となる。即ち、第1トランジスタPpの抵抗Rpが非常に低くなる。これにより、
図4に示すように、極PL1の発生する周波数fp1(fp1=1/(2πRp・Cout))が大きく高周波側へ変位する。その結果、極PL1と極PL2との距離が離れ、位相余裕が大きくなり、電源装置1の動作は安定する。このように、負荷電流が大きい場合には、出力容量C1および零点回路20の有無に関わらず、電源装置1の動作は安定する。
【0036】
一方、負荷電流が大きい場合に、零点回路20が差動増幅器10の出力と第2入力との間に接続されていると、入力端子INから第1トランジスタPpのゲートに伝播する電源ノイズが零点回路20を介して差動増幅器10の第2入力にまで進入するおそれがある。この場合、参照電圧VREFに電源ノイズが混入し、参照電圧VREFが所定の定電圧から揺れ動いてしまう。参照電圧VREFが電源ノイズの影響を受けると、電源装置1は、一定の出力電圧Voutを出力することができなくなってしまう。
【0037】
通常、入力電圧Vinの電源ノイズは、電源装置1のフィードバック制御によって第1トランジスタPpで除去される。このような電源装置1のノイズ除去能力は、電源電圧変動除去比(PSRR(Power Supply Rejection Ratio)特性で表される。
【0038】
しかし、参照電圧VREF自体が電源ノイズの影響を受けると、電源装置1のノイズ除去能力は低下する。即ち、零点回路20が接続されると、電源装置1のPSRR特性が悪化する。従って、負荷電流が大きい場合には、PSRRの観点から、零点回路20は、差動増幅器10の出力と第2入力との間から電気的に切断されていることが好ましいと言える。
【0039】
以上の電源装置1の特性をまとめると、
図5のように表すことができる。
【0040】
図5は、第1実施形態による電源装置1の特性を示す表である。負荷電流が無いあるいは小さい場合、電源装置1の動作の安定性を優先して、零点回路20を差動増幅器10の出力と第2入力との間に電気的に接続する(スイッチ回路SW1をオンにする)ことが好ましい。負荷電流が有るあるいは大きい場合、電源装置1の動作の安定性は確保されているので、PSRRを考慮して、零点回路20を差動増幅器10の出力または第2入力から電気的に切断する(スイッチ回路SW1をオフにする)ことが好ましい。
【0041】
以上のように、本実施形態による電源装置1は、差動増幅器10の出力と第2入力との間に直列接続された零点回路20およびスイッチ回路SW1を備える。さらに、電流比較器18が、負荷電流(出力電流)に比例するモニタ電流に基づいて、スイッチ回路SW1をオン/オフ制御する。これにより、電流比較器18は、負荷電流が無くあるいは小さい場合にスイッチ回路SW1をオンし、負荷電流が大きい場合にスイッチ回路SW1をオフすることができる。即ち、電源装置1は、負荷電流に応じてスイッチ回路SW1を切り替えて、零点回路20を自動で差動増幅器10の出力と第2入力との間において電気的に接続または切断することができる。これにより、電源装置1は、
図5に示す斜線部分の状態で動作することができ、出力容量C1が設けられていなくても、電源装置1は安定して動作することができる。尚且つ、出力容量C1が不要となるので、電源装置1を小型化することができる。
【0043】
まず、
図1に示すように、入力電圧Vinが入力端子INに印加されると、電源装置1が起動する。第1トランジスタPpのソース電圧がそのゲート電圧よりも第1トランジスタPpの閾値電圧以上に上昇すると、第1トランジスタはオンする。第1トランジスタPpがオンすると、出力端子OUTから出力電圧Voutが出力される。
【0044】
出力電圧Voutは、負荷2に印加されるとともに、抵抗素子Rf、Rsによって抵抗分割されてフィードバック電圧VFBとして差動増幅器10へフィードバックされる。フィードバック電圧VFBは、出力電圧Voutを抵抗素子RfおよびRsで逓倍した値となる。例えば、抵抗素子Rf、Rsの抵抗値をそれぞれrf、rsとすると、フィードバック電圧VFBは、Vout×rs/(rf+rs)となる。
【0045】
差動増幅器10は、フィードバック電圧VFBを参照電圧VREFに等しくするように第1トランジスタPpのゲート電圧を制御する。例えば、出力電圧Voutが比較的高く、フィードバック電圧VFBが参照電圧VREFよりも高い場合、トランジスタN1、N2に流れる電流のバランスが崩れ、トランジスタN2に流れる電流はトランジスタN1に流れる電流よりも小さくなる。一方、電流源12は差動増幅器10に定電流を流し、かつ、トランジスタP1、P2は能動負荷としてカレントミラーを構成するので、トランジスタP1、P2は、トランジスタN1、N2にほぼ等しい電流を流そうとする。従って、トランジスタN2に流れる電流がトランジスタN1に流れる電流よりも小さくなると、入力端子INからの電荷がトランジスタN2のドレイン側に蓄積され、トランジスタN2のドレイン電圧(即ち、第1トランジスタPpのゲート電圧)が上昇する。第1トランジスタPpはp型トランジスタであるので、第1トランジスタPpのゲート電圧が上昇すると、第1トランジスタPpに流れる電流が小さくなる。これにより、出力電圧Voutが低下する。このように、出力電圧Voutが参照電圧VREFよりも高い場合、電源装置1は、出力電圧Voutを低下させるように第1トランジスタPpを制御し、出力電圧Voutを一定に維持するように作用する。
【0046】
一方、出力電圧Voutが比較的低く、フィードバック電圧VFBが参照電圧VREFよりも低い場合、トランジスタN2に流れる電流がトランジスタN1に流れる電流よりも大きくなる。従って、トランジスタN2のドレイン側の電荷が電流源12によって引き抜かれ、トランジスタN2のドレイン電圧(即ち、第1トランジスタPpのゲート電圧)が低下する。第1トランジスタPpはp型トランジスタであるので、第1トランジスタPpのゲート電圧が低下すると、第1トランジスタPpに流れる電流が大きくなる。これにより、出力電圧Voutが上昇する。このように、出力電圧Voutが参照電圧VREFよりも低い場合、電源装置1は、出力電圧Voutを上昇させるように第1トランジスタPpを制御し、出力電圧Voutを一定に維持するように作用する。
【0047】
第1トランジスタPpは、差動増幅器10のフィードバック制御を受けながら、負荷電流を流す。第1トランジスタPpが負荷電流を流すと、第2トランジスタPmは、第1トランジスタPpに流れる電流に比例するモニタ電流Imを流す。例えば、第2トランジスタPmのサイズが、第1トランジスタPpのサイズのn分の1(nは正数)である場合、第2トランジスタPmは、第1トランジスタPpに流れる電流のn分の1のモニタ電流Imを流す。
【0048】
電流比較器18は、モニタ電流Imを参照電流IREFと比較し、その比較結果に基づいてスイッチ回路SW1を制御する。例えば、モニタ電流Imが参照電流IREFよりも低い場合、電流比較器18は、スイッチ回路SW1をオンにして、零点回路20を差動増幅器10の第2入力と差動増幅器10の出力との間に電気的に接続する。一方、モニタ電流Imが参照電流IREFよりも高くなった場合、電流比較器18は、スイッチ回路SW1をオフにして、零点回路20を差動増幅器10の第2入力または差動増幅器10の出力から電気的に切断する。
【0049】
これにより、負荷電流が或る閾値よりも小さい場合(負荷2がシャットダウン状態またはスタンバイ状態の場合)、零点回路20が差動増幅器10の出力と第2入力との間に電気的に接続され、電源装置1は安定的に動作する。負荷電流が閾値を超えた場合(負荷2が起動した場合)、零点回路20が差動増幅器10の出力と第2入力との間から電気的に切断され、電源装置1は安定的に動作しかつPSRR特性においても良好になる。
【0050】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態による電源装置の構成例を示す回路図である。第2実施形態による電源装置1は、電流源14と、第2スイッチ回路SW2とをさらに備えている点で第1実施形態の電源装置1と異なる。第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態の対応する構成と同様でよい。
【0051】
第2電流源としての電流源14は、差動増幅器10のトランジスタN1、N2のソースとグランドとの間に設けられている。電流源14は、電流源12による電流に対して付加される追加電流を差動増幅器10に供給する。電流源12は消費電流を低減させるために微小電流を差動増幅器10に供給する。一方、電流源14は電流源12からの微小電流に加えて追加電流を差動増幅器10に供給する。これにより、差動増幅器10には、比較的大きな電流が供給される。
【0052】
第2スイッチ回路SW2は、トランジスタN1、N2のソースと電流源14との間に接続されており、電流比較器18の比較結果を受けてオンまたはオフに制御される。第2スイッチ回路SW2は、例えば、MOSトランジスタで構成されてもよい。第2スイッチ回路SW2がオンになると、電流源14は、トランジスタN1、N2のソースとグランドとの間に電気的に接続される。これにより、電流源14は、差動増幅器10に追加電流を流すことができる。一方、第2スイッチ回路SW2がオフになると、電流源14は、トランジスタN1、N2のソースとグランドとの間から電気的に切断される。これにより、電流源12のみが、差動増幅器10に電流を流す。尚、第2スイッチ回路SW2は、電流源14とグランドとの間に接続されてもよい。この場合であっても、第2スイッチ回路SW2は、トランジスタN1、N2のソースとグランドとの間において電流源14を電気的に接続/切断することができる。
【0053】
第2スイッチ回路SW2は、第1スイッチ回路SW1と相補にスイッチング動作する。即ち、第1スイッチ回路SW1がオンのときには、第2スイッチ回路SW2はオフであり、第1スイッチ回路SW1がオフのときには、第2スイッチ回路SW2はオンになる。例えば、モニタ電流Imが参照電流IREFよりも小さいときに、第1スイッチ回路SW1はオンになり、第2スイッチ回路SW2はオフになる。モニタ電流Imが参照電流IREFを超えると、第1スイッチ回路SW1はオフになり、第2スイッチ回路SW2はオンになる。
【0054】
このような動作を実現するために、例えば、インバータINVが、第2スイッチ回路SW2と電流比較器18の出力との間に設けられている。インバータINVは、電流比較器18の比較結果を第2スイッチ回路SW2に反転入力する。第1スイッチ回路SW1には、電流比較器18の比較結果は非反転入力される。これにより、第1および第2スイッチ回路SW1、SW2は、相補動作することができる。尚、電流比較器18の反転入力と非反転入力とを入れ替えた場合、インバータINVは、第1スイッチ回路SW1と電流比較器18の出力との間に設ければよい。
【0055】
次に、第2実施形態による電源装置1の動作を説明する。
【0056】
差動増幅器10および第1トランジスタPpの基本的な動作は、第1実施形態のそれと同様である。
【0057】
電流比較器18は、モニタ電流Imを参照電流IREFと比較し、その比較結果に基づいて第1および第2スイッチ回路SW1、SW2を制御する。例えば、負荷電流が小さく、モニタ電流Imが参照電流IREFよりも低い場合、電流比較器18は、第1スイッチ回路SW1をオンにして、零点回路20を差動増幅器10の第2入力と差動増幅器10の出力との間に電気的に接続する。また、電流比較器18は、第2スイッチ回路SW2をオフにして、電流源14を差動増幅器10から電気的に切断する。これにより、負荷電流が小さい場合には、電流源12による微少電流のみが差動増幅器10に流れる。この場合、差動増幅器10の動作は遅くなるものの、差動増幅器10の消費電流が小さくなる(低消費電流モード)。従って、低消費電流モードでは、負荷電流の急激な変動に対して出力電圧Voutが所定の電圧に戻るのに時間がかかる。即ち、ロードトランジェント特性はさほど良くない。しかし、零点回路20が機能するので、電源装置1の動作の安定性は維持される。
【0058】
一方、モニタ電流Imが参照電流IREFよりも高くなった場合、電流比較器18は、スイッチ回路SW1をオフにして、零点回路20を差動増幅器10の第2入力または差動増幅器10の出力から電気的に切断する。また、電流比較器18は、第2スイッチ回路SW2をオンにして、電流源14を差動増幅器10とグランドとの間に電気的に接続する。これにより、負荷電流が大きい場合には、電流源12による微少電流に加え電流源14による追加電流が差動増幅器10に流れる。この場合、比較的容量の大きい第1トランジスタPpのゲートから電荷を素早く引き抜くことができる。従って、差動増幅器10の消費電流が大きくなるものの、電源装置1は高速動作することができる(高速動作モード)。高速動作モードでは、差動増幅器10の応答性能が向上し、負荷電流が急激に変動しても短時間で出力電圧Voutを所定の電圧に戻すことができる。即ち、所謂、ロードトランジェント特性が良好になる。負荷電流が大きい場合、第1実施形態で説明したように、電源装置1の動作の安定性は、零点回路20が無くても維持される。従って、PSRR特性を考慮して、零点回路20は、差動増幅器10から電気的に切断される。
【0059】
このように、第2実施形態では、負荷電流が大きい場合には、電流源14が追加電流を差動増幅器10に供給することによって、差動増幅器10を高速動作させることができる。一方、負荷電流が小さい場合には、電流源12のみが微小電流を差動増幅器10に供給することによって、差動増幅器10の消費電流を小さくすることができる。即ち、第2実施形態による電源装置1は、高速動作と低消費電流との両立を図ることができる。
【0060】
さらに、第2実施形態による電源装置1は、第1実施形態と同様に、負荷電流に応じて、差動増幅器10に接続される零点回路20を有する。従って、電源装置1の動作の安定性とPSRR特性との両立も図ることができる。
【0061】
換言すると、第2実施形態による電源装置1は、差動増幅器10に相補に接続される零点回路20および電流源14によって、安定性を維持しつつ、消費電流を抑制し、PSRR特性やロードトランジェント特性等のAC(Alternative Current)特性を良好にすることができる。
【0062】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態による電源装置の構成例を示す回路図である。第3実施形態による電源装置1は、トランジスタP3と、電流源22、24と、スイッチ回路SW3とをさらに備えている点で第2実施形態と異なる。第3実施形態のその他の構成は、第2実施形態の対応する構成と同様でよい。
【0063】
第3トランジスタP3のソース(一端)は、入力端子INに接続され、ゲートは差動増幅器10の出力に接続されている。トランジスタP3のドレイン(他端)は第1および第2トランジスタPp、Pmのゲートおよび電流源22に接続されている。また、トランジスタP3のドレインは、スイッチ回路SW3を介して電流源24に接続されている。
【0064】
第3電流源としての電流源22は、トランジスタP3のドレインとグランドとの間に接続され、電流源12と同様にトランジスタP3に微小電流を供給する電流源である。
【0065】
第4電流源としての電流源24は、トランジスタP3のドレインとグランドとの間において電流源22と並列接続され、トランジスタP3に追加電流を供給する電流源である。電流源22は消費電流を低減させるために微小電流をトランジスタP3に供給する。一方、電流源24は、電流源22からの微小電流に加えて追加電流をトランジスタP3に供給する。これにより、差動増幅器10には、比較的大きな電流が供給され得る。
【0066】
第3スイッチ回路としてのスイッチ回路SW3は、電流源24とトランジスタP3のドレインとの間に接続されており、電流比較器18の比較結果に基づいてオンまたはオフに制御される。スイッチ回路SW3は、例えば、MOSトランジスタで構成されてもよい。スイッチ回路SW3がオンになると、電流源24は、トランジスタP3のドレインとグランドとの間に電気的に接続される。これにより、電流源24は、トランジスタP3に追加電流を流すことができる。一方、スイッチ回路SW3がオフになると、電流源24は、トランジスタP3のドレインとグランドとの間から電気的に切断される。これにより、電流源22のみが、トランジスタP3に電流を流す。尚、スイッチ回路SW3は、電流源24とグランドとの間に接続されてもよい。この場合であっても、スイッチ回路SW3は、トランジスタP3のドレインとグランドとの間において電流源24を電気的に接続/切断させることができる。スイッチ回路SW3は、スイッチ回路SW2と同様に動作し、スイッチ回路SW1と相補に動作する。
【0067】
このような動作を実現するために、例えば、インバータINVが、スイッチ回路SW2、SW3と電流比較器18の出力との間に設けられている。インバータINVは、電流比較器18の比較結果をスイッチ回路SW2、SW3の両方に反転入力する。スイッチ回路SW1には、電流比較器18の比較結果は非反転入力される。これにより、スイッチ回路SW2、SW3は、同じ動作をし、スイッチ回路SW1とは相補に動作する。尚、電流比較器18の反転入力と非反転入力とを入れ替えた場合、インバータINVは、スイッチ回路SW1と電流比較器18の出力との間に設ければよい。
【0068】
尚、第3実施形態では、トランジスタP3がp型トランジスタであるので、第1および第2トランジスタPp、Pmのゲート電圧は、差動増幅器10の出力電圧に対して反転状態になる。従って、フィードバック電圧VFBおよび参照電圧VREFを受ける差動増幅器10の2つ入力は、第1および第2実施形態のそれに対して逆になる。
【0069】
第3実施形態による電源装置1の動作について説明する。
【0070】
負荷電流の比較的小さな低消費電流モードでは、スイッチ回路SW3は、スイッチ回路SW2とともにオフになる。これにより、電流源22がトランジスタP3に微小電流を流し、消費電力を抑制する。この場合、ロードトランジェント特性はさほど良くないが、零点回路20は機能するので、電源装置1の動作の安定性は維持される。
【0071】
負荷電流の比較的大きな高速動作モードでは、スイッチ回路SW3は、スイッチ回路SW2とともにオンになる。これにより、電流源22、24がともにトランジスタP3に電流を流し、第1トランジスタPpを高速動作させることができる。この場合、電源装置1の消費電流が多くなるが、電源装置1の応答性能が向上し、ロードトランジェント特性は良好になる。この場合、PSRR特性を考慮して、零点回路20は差動増幅器10から電気的に切断されるが、電源装置1の動作の安定性は維持される。
【0072】
第3実施形態は、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、第3実施形態によれば、トランジスタP3が追加の利得段として機能する。従って、電源装置1の開放利得が上昇し、PSRR特性等のAC特性を向上させることができる。
【0073】
尚、トランジスタP3、電流源22、24およびスイッチ回路SW3は、第1実施形態による電源装置1に組み合わせてもよい。即ち、
図7の電流源14およびスイッチ回路SW2は省略してもよい。
【0074】
(変形例)
図8は、第2または第3実施形態の変形例による延長回路の構成例を示す回路図である。第2および第3実施形態の低消費電流モードと高速動作モードとの間の切替えは、負荷電流が参照電流IREFを超えた時点あるいは下回った時点で実行される。
【0075】
これに対し、本変形例による延長回路30は、高速動作モードから低消費電流モードへ移行する際に、負荷電流が参照電流IREFを下回った時点から所定の延長期間が経過するまで追加電流を流し続ける。即ち、延長回路30は、スイッチ回路SW2をオンからオフに切り替えるときに、電流比較器18の比較結果に基づく信号を延長させてスイッチ回路SW2へ伝達する。
【0076】
延長回路30は、電流比較器18の出力とスイッチ回路SW2との間に接続されている。延長回路30は、トランジスタN3と、キャパシタ素子Cxと、抵抗素子Rxとを備えている。
【0077】
第4トランジスタとしてのトランジスタN3のドレインはノードNxに接続され、ソースはグランドに接続されている。トランジスタN3のゲートは、電流比較器18の出力に接続されている。トランジスタN3は、n型MOSトランジスタであり、電流比較器18の比較結果に基づいて制御される。
【0078】
キャパシタ素子Cxは、ノードNxとグランドとの間に接続されており、トランジスタN3がオフのときに入力端子INからノードNxに電荷を蓄積する。キャパシタ素子Cxに蓄積された電荷は、トランジスタN3がオンするとトランジスタN3を介してノードNxからグランドへ流れる(開放される)。
【0079】
抵抗素子Rxは、入力端子INとノードNxとの間に接続されており、キャパシタ素子Cxに電荷を蓄積する際に、充電電流の流れを制限する。これにより、キャパシタ素子Cxの充電時間が、高速動作モードから低消費電流モードへ移行する際に、追加電流を流す延長時間となる。即ち、延長回路30の延長時間は、キャパシタ素子Cxの容量および抵抗素子Rxの抵抗値によって決定される。
【0080】
次に、本変形例による電源装置1の動作について説明する。
【0081】
低消費電流モードにおいて、負荷電流が小さく、モニタ電流Imが参照電流IREFよりも低い場合、電流比較器18は、第1スイッチ回路SW1をオンにして、零点回路20を差動増幅器10の第2入力と差動増幅器10の出力との間に電気的に接続する。また、電流比較器18は、トランジスタN3をオフにしており、キャパシタ素子Cxは電荷を蓄積している。よって、ノードNxの電圧は高レベル電圧となっている。これにより、延長回路30は、スイッチ回路SW2をオフにして、電流源14を差動増幅器10から電気的に切断している。
【0082】
電源装置1が低消費電流モードから高速動作モードへ遷移した場合、モニタ電流Imが参照電流IREFよりも高くなるので、電流比較器18は、スイッチ回路SW1をオフにして、零点回路20を差動増幅器10の第2入力または差動増幅器10の出力から電気的に切断する。また、電流比較器18は、トランジスタN3をオンにし、トランジスタN3を介してキャパシタ素子Cxの電荷を放電する。このとき、キャパシタ素子Cxは短時間で放電し、ノードNxの電圧が素早く高レベル電圧から低レベル電圧へ変化する。これにより、モニタ電流Imが参照電流IREFよりも高くなった時点からほとんど遅延することなく、スイッチ回路SW2がオンになり、加算電流が差動増幅器10に供給される。即ち、低消費電流モードから高速動作モードへ遷移する際には、延長回路30はほとんど遅延なくスイッチ回路SW2をオンにし、加算電流が遅延なく供給開始される。
【0083】
電源装置1が高速動作モードから低消費電流モードへ遷移した場合、モニタ電流Imが参照電流IREFよりも低くなるので、電流比較器18は、スイッチ回路SW1をオンにして、零点回路20を差動増幅器10の第2入力または差動増幅器10の出力から電気的に切断する。また、電流比較器18は、トランジスタN3を再びオフにし、キャパシタ素子Cxを充電する。このとき、入力端子INからの電荷が抵抗素子Rxを介してキャパシタ素子Cxへ蓄積されるためには所定の延長時間だけかかる。従って、ノードNxの電圧は、トランジスタN3がオンしてから緩やかに上昇し、延長時間の経過後に、スイッチ回路SW2をオフに切り替える。即ち、高速動作モードから低消費電流モードへ遷移する際には、延長回路30は、モニタ電流Imが参照電流IREFを下回ってから延長時間の経過後に、加算電流の供給を停止する。
【0084】
このように、本変形例によれば、延長回路30は、高速動作モードから低消費電流モードへ遷移するときに、加算電流の供給を直ぐに停止するのではなく、延長時間だけ供給してから停止する。これにより、モニタ電流Imが参照電流IREF付近で上下しても、電源装置1は、高速動作モードを維持し、高速動作モードと低消費電流モードとの間で頻繁に遷移することを抑制することができる。その結果、電源装置1の動作の安定性を高めることができる。
【0085】
また、高速動作モードから低消費電流モードへ遷移するときに、零点回路20が差動増幅器10に確実に接続された後に、加算電流の供給を停止することができる。その結果、電源装置1の動作の安定性を維持することができる。
【0086】
本変形例は、第2または第3実施形態のいずれにも適用可能である。
【0087】
また、第1〜第3実施形態において、差動増幅器10の入力には、n型トランジスタN1、N2が用いられている。しかし、n型トランジスタN1、N2に代えて、p型トランジスタを用いてもよい。この場合、差動増幅器10に入力されるフィードバック電圧VFBおよび参照電圧VREFを互いに入れ替えればよい。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。