【解決手段】携帯用情報機器10は、隣接配置された一縁部である内端面12Aa,12Ba同士がヒンジ機構19によって連結されることで二つ折りに折り畳み可能な第1筐体部材12A及び第2筐体部材12Bと、第1筐体部材12Aと第2筐体部材12Bの内面12Ac,12Bc間に亘って設けられ、二つ折りに折り畳み可能なディスプレイ16と、ディスプレイ16の裏面を支持する第1支持プレート18A及び第2支持プレート18Bとを備える。
隣接配置された一縁部同士がヒンジ機構によって連結されることで二つ折りに折り畳み可能な第1筐体部材及び第2筐体部材と、該第1筐体部材と該第2筐体部材の内面間に亘って設けられ、二つ折りに折り畳み可能なディスプレイとを備えた携帯用情報機器であって、
前記第1筐体部材の内面側に配置され、前記第1筐体部材側で前記ディスプレイの裏面を支持する第1支持プレートと、
前記第2筐体部材の内面側に配置され、前記第2筐体部材側で前記ディスプレイの裏面を支持する第2支持プレートと、
前記第1筐体部材の内面に取り付けられ、その表面で前記第1支持プレートを支持する第1支持台と、
前記第2筐体部材の内面に取り付けられ、その表面で前記第2支持プレートを支持する第2支持台と、
前記第1支持台及び前記第2支持台の少なくとも一方に設けられ、前記第1支持台の表面と前記第2支持台の表面とを同一平面上に配置するために、前記第1支持台の前記第1筐体部材の内面に対する取付姿勢、及び前記第2支持台の前記第2筐体部材の内面に対する取付姿勢のうちの少なくとも一方を調整可能な調整機構と、
を備えることを特徴とする携帯用情報機器。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る携帯用情報機器について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
1.携帯用情報機器の全体構成の説明
図1は、本開示に係る携帯用情報機器10を閉じて収納形態とした状態を示した斜視図である。
図2は、
図1に示す携帯用情報機器10を開いて使用形態とした状態を模式的に示した斜視図である。
図3は、
図2に示す携帯用情報機器10の内部構造を模式的に示した平面図である。
【0016】
図1及び
図2に示すように、携帯用情報機器10は、第1筐体部材12A及び第2筐体部材12Bと、背表紙部材14と、ディスプレイ16とを備える。本開示では、携帯用情報機器10として本のように二つ折りに折り畳み可能なタブレット型PCを例示する。携帯用情報機器10は携帯電話、スマートフォン又は電子手帳等であってもよい。
【0017】
各筐体部材12A,12Bは、それぞれ背表紙部材14に対応する辺以外の3辺に側壁を起立形成した矩形の板状部材である。各筐体部材12A,12Bは、例えばステンレスやマグネシウム、アルミニウム等の金属板や炭素繊維等の強化繊維を含む繊維強化樹脂板で構成される。筐体部材12A,12Bの内面側には、第1支持プレート18A及び第2支持プレート18Bを介してディスプレイ16が固定される。筐体部材12A,12B間は、背表紙部材14の両端部に設けられた一対のヒンジ機構19,19を介して連結される。ヒンジ機構19は、筐体部材12A,12B間を
図1に示す収納形態と
図2に示す使用形態とに折り畳み可能に連結している。
図3中に1点鎖線で示す線Cは、筐体部材12A,12Bの折り畳み動作の中心となる折曲中心Cを示している。
【0018】
各筐体部材12A,12Bは、背表紙部材14側の内端面12Aa,12Baがヒンジ側となり、背表紙部材14側とは反対側の外端面12Ab,12Bbが開放端部側となる。
【0019】
以下、
図1〜
図3に示すように、携帯用情報機器10について、中央の背表紙部材14から外端面12Ab,12Bbに向かう方向をX方向、背表紙部材14の長手方向に沿う方向をY方向と呼んで説明する。X方向については、背表紙部材14から一方の外端面12Abに向かう方向をX1方向、他方の外端面12Bbに向かう方向をX2方向と呼ぶこともある。同様にY方向については、背表紙部材14の長手方向で一方側(
図3中で上側)に向かう方向をY1方向、他方側(
図3中で下側)に向かう方向をY2方向と呼ぶこともある。
【0020】
図3に示すように、第1筐体部材12Aの内面12Acには、メイン基板20、通信モジュール21、冷却ファン22等が図示しないねじ等を用いて取付固定される。第2筐体部材12Bの内面12Bcには、サブ基板24、アンテナ25、バッテリ装置26等が図示しないねじ等を用いて取付固定される。メイン基板20は、当該携帯用情報機器10の全体的な制御を行うための電子基板であり、図示しない中央演算装置(CPU)やメモリ等の各種電子部品が実装されている。通信モジュール21は、アンテナ25で送受信する無線LAN(Local Area Network)等の各種無線通信の情報処理を行うデバイスである。冷却ファン22は、メイン基板20に実装された中央演算装置等での発熱を冷却するためのファンである。サブ基板24は、ディスプレイ16の表示を制御するコントローラとして機能する電子基板である。バッテリ装置26は、当該携帯用情報機器10の電源であり、図示しない電源ケーブルを介して外部電源から充電可能である。
【0021】
ディスプレイ16は、例えばタッチパネル式の液晶ディスプレイである。ディスプレイ16は、筐体部材12A,12Bを折り畳んだ際に一緒に折り畳み可能な構造である。ディスプレイ16は、例えば柔軟性の高いペーパー構造を持った有機EL等のフレキシブルディスプレイであり、筐体部材12A,12Bの開閉動作に伴って開閉する。
【0022】
図4は、
図3に示す携帯用情報機器10に第1支持プレート18A及び第2支持プレート18Bを装着した状態での平面図である。
【0023】
図4に示すように、ディスプレイ16は、支持プレート18A,18Bを介して筐体部材12A,12Bの内面12Ac,12Bc側に取付固定される。ディスプレイ16は、その表示面(表面)の裏面が支持プレート18A,18Bの表面に接着剤や両面テープ等を用いて貼着固定される。本開示の場合、各支持プレート18A,18Bは、各筐体部材12A,12Bの内面12Ac,12Bc側にそれぞれ配置され、折曲中心Cを中心として互いに折曲可能である。
【0024】
各支持プレート18A,18Bは、例えばステンレスやマグネシウム、アルミニウム等の金属板や炭素繊維等の強化繊維を熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂からなるマトリクス樹脂に含浸させた繊維強化樹脂板で構成される。本開示では、炭素繊維を強化樹脂とした炭素繊維強化樹脂板を用いている。各支持プレート18A,18Bは、例えばディスプレイ16が貼着される表面全域に図示しない可撓性シートが固着される。ディスプレイ16は、可撓性シートの表面に接着剤等を用いて接着される。各支持プレート18A,18Bは、この可撓性シートを介して互いに折曲可能に連結されている。可撓性シートは、各支持プレート18A,18Bの隣接端部を覆う部分が支持プレート18A,18Bの折曲部(フレキシブルヒンジ)として機能する。
【0025】
支持プレート18A,18Bは、筐体部材12A,12B間を平板状に開いた使用形態で、その隣接する内端面18Aa,18Ba同士が当接する(
図7A参照)。支持プレート18A,18Bは、筐体部材12A,12B間を二つ折りに折り畳んだ収納形態では、内端面18Aa,18Ba同士が離間する(
図7B参照)。
図7Bに示すように、ディスプレイ16は、内端面18Aa,18BaをX方向に跨ぐ一部分は、支持プレート18A,18Bに固着されていない。
【0026】
図2に示すように、ディスプレイ16は、支持プレート18A,18Bを介して筐体部材12A,12Bの内面12Ac,12Bc側に取付固定された状態で、その表面の外周縁部にベゼル部材27が配設される。ベゼル部材27は、ディスプレイ16の表面の表示領域(アクティブ領域)R1を除く外周縁部の非表示領域(非アクティブ領域)R2を覆うように設けられる。
【0027】
図1に示すように、携帯用情報機器10は、収納形態では、筐体部材12A,12Bの内端面12Aa,12Ba間が大きく離間して隙間を生じる。そこで、携帯用情報機器10は、この隙間を覆うように背表紙部材14を設け、内部のディスプレイ16、メイン基板20、バッテリ装置26等の各要素がこの隙間から露呈することを防止している。
【0028】
背表紙部材14は、携帯用情報機器10を折り畳んだ際の背表紙となる。背表紙部材14は、可撓性を持った薄い板状部材である。背表紙部材14は内端面12Aa,12Ba間を跨ぎながら内側から覆うように筐体部材12A,12B間に亘って設けられている(
図3参照)。本開示の場合、背表紙部材14は、複数の狭幅な板状部材をX方向に並べ、可撓性シートで連結した構成である。
【0029】
背表紙部材14は、第1筐体部材12A側の端部が第1筐体部材12Aの内面12Ac上でX方向にスライド可能に設けられると共に、引張ばね14aによってX1方向に常時付勢されている(
図3参照)。背表紙部材14は、第2筐体部材12B側の端部が第2筐体部材12Bの内面12Bc上に固定される。これにより、背表紙部材14は、筐体部材12A,12Bが収納形態になると二つ折りに折り畳まれ、筐体部材12A,12Bが使用形態になると平板状に開かれる。
【0030】
このように当該携帯用情報機器10は、一対の筐体部材12A,12Bを開閉することでその内側に設けたディスプレイ16を一対の支持プレート18A,18Bを介して開閉可能である。
【0031】
2.ヒンジ機構の説明
筐体部材12A,12B間を連結するヒンジ機構19の構成例を説明する。
【0032】
図3及び
図4に示すように、ヒンジ機構19は、背表紙部材14の長手方向両端部に重なる位置にそれぞれ配設されている。各ヒンジ機構19は、ディスプレイ16の外形の外側となる位置に設けられ、Y方向中心を基準として互いに線対称構造である。ヒンジ機構19は、第1ヒンジ筐体(第1支持台)28Aと、第2ヒンジ筐体(第2支持台)28Bと、第1アーム30と、第2アーム31とを有する。
【0033】
第1ヒンジ筐体28Aは、樹脂や金属等で形成された薄型ブロック状の部品である。第1ヒンジ筐体28Aは、第1筐体部材12Aの内面12Ac上に固定ねじ32を用いて固定される。第2ヒンジ筐体28Bは、樹脂や金属等で形成された薄型ブロック状の部品である。第2ヒンジ筐体28Bは、第2筐体部材12Bの内面12Bc上に固定ねじ32を用いて固定される。
【0034】
第1ヒンジ筐体28Aは、第1筐体部材12Aの内面12Acに着地する裏面側に凹状部34を有する(
図3参照)。凹状部34は、第1ヒンジ筐体28Aの内側面(
図3中の上側のヒンジ機構19ではY2側の側面)から折曲中心C側の側面(X2側の側面)までが開口した凹み形状である。第2ヒンジ筐体28Bは、第2筐体部材12Bの内面12Bcに着地する裏面側に凹状部35を有する。凹状部35は、第2ヒンジ筐体28Bの内側面(
図3中の上側のヒンジ機構19ではY2側の側面)から折曲中心C側の側面(X1側の側面)までが開口した凹み形状である。各凹状部34,35は、折曲中心Cを挟んで互いに連通している。この凹状部34,35には、背表紙部材14のY方向端部がX方向にスライド可能に収容支持される。これにより背表紙部材14は、折り畳み動作時の両端部での浮き上がりが防止される。
【0035】
第1アーム30は、一端部が第1ヒンジ筐体28Aに対して第1ヒンジ軸36aを介して回動可能に連結され、他端部が第2ヒンジ筐体28Bに対して第2ヒンジ軸36bを介して回動可能に連結される(
図7A及び
図7B参照)。第2アーム31は、一端部が第1ヒンジ筐体28Aに対して第3ヒンジ軸36cを介して回動可能に連結され、他端部が第2ヒンジ筐体28Bに対して第4ヒンジ軸36dを介して回動可能に連結される(
図7A及び
図7B参照)。第1アーム30と第2アーム31は、Y方向に並列されている。第1アーム30の第2ヒンジ軸36bは、第2アーム31の第3ヒンジ軸36cと第4ヒンジ軸36dの間に挟まれた位置にある。第2アーム31の第3ヒンジ軸36cは、第1アーム30の第1ヒンジ軸36aと第2ヒンジ軸36bの間に挟まれた位置にある。これにより、第1アーム30と第2アーム31は、X方向及びY方向に位置ずれして互い違いに並んでいる。
【0036】
各ヒンジ機構19は、筐体部材12A,12B間が折曲中心Cを中心に折り畳まれると、各ヒンジ軸36a〜36dを介して各アーム30,31が回動する(
図7B参照)。これにより、ヒンジ機構19は、筐体部材12A,12B間を二つ折りに折り畳んだ状態から平板状に開いた状態まで回動可能に連結している。
【0037】
3.支持プレートの取付構造の説明
図5は、
図4に示す一方のヒンジ機構19及びその周辺部を拡大した平面図である。
【0038】
図4及び
図5に示すように、支持プレート18A,18Bは、その外周縁部から突出した複数の取付片40,42を介して筐体部材12A,12Bの内面12Ac,12Bcに取付固定されている。
【0039】
取付片40は、支持プレート18A,18Bの内端面18Aa,18Baに近接する位置でヒンジ機構19と重なる位置にそれぞれ設けられている。取付片40は、支持プレート18A,18Bの外周端面から外方に突出した突出片である。第1支持プレート18Aは、内端面18AaのY方向両端部からX1方向に僅かにオフセットした位置、つまり各第1ヒンジ筐体28Aと重なる位置に取付片40をそれぞれ有する。第2支持プレート18Bは、内端面18BaのY方向両端部からX2方向に僅かにオフセットした位置、つまり各第2ヒンジ筐体28Bと重なる位置に取付片40をそれぞれ有する。
【0040】
取付片42は、支持プレート18A,18Bの外周端面から外方に突出した突出片である。取付片42は、支持プレート18A,18Bの外周縁部の適宜位置に複数設けられている。
【0041】
取付片40,42は、中央にねじ止め用の貫通孔が形成されている。支持プレート18A,18Bは、各取付片40,42の貫通孔を通した取付ねじ44によって筐体部材12A,12Bの内面12Ac,12Bcに締結固定される。取付片40は、ヒンジ筐体28A,28Bの表面28Aa,28Baに当接配置された状態でヒンジ筐体28A,28Bに対して取付ねじ44によって締結される。筐体部材12A,12Bの内面12Ac,12Bcには、取付ねじ44を螺合させる雌ねじを設けたボスを設けてもよい。
図4では、取付片40は先端円弧状に形成した構成を例示し、取付片42は取付片40と同形状のもの及び矩形状に形成した構成を例示しているが、取付片40,42の形状は適宜変更可能である。
【0042】
ところで、支持プレート18A,18Bは、筐体部材12A,12Bの開閉動作に対応して二つ折り可能なように互いに別体に構成されている。このため、仮に支持プレート18A,18B間で板厚方向の段差を生じている場合、その表面に設けられるディスプレイ16にこの段差の影響が出る。その結果、使用形態でディスプレイ16が湾曲或いは波打ちし、視認不良や表示不良等の製品不良を生じる可能性がある。またディスプレイ16が湾曲等を生じていると、使用形態と収納形態との開閉動作時にディスプレイ16が設計上の開閉軌道で可動しない可能性がある。そうすると、ディスプレイ16は、特に折曲部及びその付近で過度な負荷を受け、破損や不良を生じる懸念もある。
【0043】
なお、支持プレート18A,18Bは、いずれもある程度の表面積を持ったプレートである。このため、支持プレート18A,18B間が段差を生じることによるディスプレイ16への影響は、携帯用情報機器10の使用形態で互いに当接して1枚板を形成する繋ぎ目部分での段差、つまり内端面18Aa,18Ba間の段差によるものが最も大きい。換言すれば、支持プレート18A,18Bは、内端面18Aa,18Ba間での段差を抑えておけばディスプレイ16に不具合を生じることを十分に回避できる。
【0044】
そこで、当該携帯用情報機器10は、支持プレート18A,18Bの内端面18Aa,18Ba間に生じる板厚方向の段差を抑制するための調整機構50を備える。
【0045】
4.調整機構の説明
図6Aは、
図5中のVI−VI線に沿う模式断面図である。
図6Bは、ヒンジ筐体28A,28Bを
図6Aに示す取付状態とするために調整機構50による調整動作を示す模式断面図である。
【0046】
先ず、調整機構50の構成を説明する。
【0047】
図5及び
図6Aに示すように、支持プレート18A,18Bは、取付片40がそれぞれヒンジ筐体28A,28Bの表面28Aa,28Baに当接固定される。調整機構50は、一方の第1ヒンジ筐体28Aの筐体部材12Aに対する取付姿勢を調整することで、この第1ヒンジ筐体28Aと他方の第2ヒンジ筐体28Bの表面28Aa,28Baを同一平面上に配置し、支持プレート18A,18Bの内端面18Aa,18Ba間の段差を抑制する機構である。
【0048】
調整機構50は、第1ヒンジ筐体28Aに設けられた2本の調整ねじ50a,50bを有する。第1ヒンジ筐体28Aは、調整ねじ50a,50bが螺入される一対の雌ねじ孔52,52を有する。各雌ねじ孔52は、ヒンジ筐体28Aを板厚方向に貫通している。本開示の場合、各雌ねじ孔52は、各固定ねじ32の各取付孔と互い違いになる位置に設けられている。つまり一方の調整ねじ50aはY1側の固定ねじ32のX1側となる位置に設けられ、他方の調整ねじ50bはY2側の固定ねじ32のX2側となる位置に設けられている。また調整ねじ50a,50bは、それぞれヒンジ筐体28AのY方向の幅寸法での中心を跨いだ位置に設けられている。
【0049】
次に、調整機構50を用いた支持プレート18A,18Bの段差を解消する方法を説明する。
【0050】
図6Bに示すように、先ず、調整機構50を持たない第2ヒンジ筐体28Bを第2筐体部材12Bの内面12Bc上に固定ねじ32を用いて固定する。つまり第2ヒンジ筐体28Bは、表面28Baの反対側の裏面28Bbが内面12Bcに着地して固定される。続いて、調整機構50を持った第1ヒンジ筐体28Aを第1筐体部材12Aの内面12Ac上に載置する。なお、ヒンジ筐体28A,28B間は、アーム30,31を介して回動可能に連結されている。
【0051】
次に、調整機構50を動作させて、第1ヒンジ筐体28Aの表面28Aaが第2ヒンジ筐体28Bの表面28Baと同一平面上となるように調整する。
【0052】
先ず、各雌ねじ孔52に対して、調整ねじ50a,50bを第1ヒンジ筐体28Aの表面28Aa側から螺入させる。調整ねじ50a,50bは、例えばドライバー等の工具で操作する。そうすると、調整ねじ50a,50bは、その先端部が第1ヒンジ筐体28Aの裏面28Abから突出して第1筐体部材12Aの内面12Acに当接する。
【0053】
この際、調整機構50は、調整ねじ50a,50bの裏面28Abからの突出長を調整することで、第1ヒンジ筐体28Aの内面12Acに対する取付角度や取付高さ等の取付姿勢を調整できる。この調整は、例えば予め第2筐体部材12Bに固定した第2ヒンジ筐体28Bの表面28Baを基準とし、第1ヒンジ筐体28Aの表面28Aaがこの表面28Baと同一平面上となるように行う。表面28Aa,28Ba間を同一平面上にするための方法としては、例えば各表面28Aa,28Baをレーザー変位計等の測定器で測定しつつ調整ねじ50a,50bを調整し、或いは両表面28Aa,28Baに亘るプレート等を基準として調整ねじ50a,50bを調整する方法等が挙げられる。
【0054】
このような調整機構50による調整動作により、一対のヒンジ機構19,19のそれぞれのヒンジ筐体28A,28Bの表面28Aa,28Baが互いに同一平面上に配置される。そこで、第1ヒンジ筐体28Aを第1筐体部材12Aの内面12Ac上に固定ねじ32を用いて固定する。続いて、支持プレート18A,18Bの各取付片40をヒンジ筐体28A,28Bの表面28Aa,28Baにそれぞれ当接配置し、取付ねじ44で締結する。また、支持プレート18A,18Bの他の取付片42についても取付ねじ44で筐体部材12A,12Bの内面12Ac,12Bcに締結する。これにより支持プレート18A,18Bは、少なくとも内端面18Aa,18Ba付近の部位が、同一平面上に配置されたヒンジ筐体28A,28Bの表面28Aa,28Ba上に固定される。その結果、内端面18Aa,18Ba間は、互いに段差を生じることなく面一に組み付けられる。
【0055】
調整機構50は、第2ヒンジ筐体28Bに設けてもよく、ヒンジ筐体28A,28Bの両方に設けてもよい。例えばヒンジ筐体28A,28Bの両方に調整機構50を設ける場合は、例えば両表面28Aa,28Baを同一平面上に調整した後、各ヒンジ筐体28A,28Bをそれぞれ固定ねじ32で各筐体部材12A,12Bに締結すればよい。
【0056】
5.携帯用情報機器の作用効果の説明
以上のように、本開示の携帯用情報機器10は、隣接配置された一縁部である内端面12Aa,12Ba同士がヒンジ機構19によって連結されることで二つ折りに折り畳み可能な第1筐体部材12A及び第2筐体部材12Bと、第1筐体部材12Aと第2筐体部材12Bの内面12Ac,12Bc間に亘って設けられ、二つ折りに折り畳み可能なディスプレイ16とを備える。この携帯用情報機器10は、第1支持プレート18Aと、第2支持プレート18Bと、第1支持台となる第1ヒンジ筐体28Aと、第2支持台となる第2ヒンジ筐体28Bと、調整機構50とを備える。第1支持プレート18Aは、第1筐体部材12Aの内面12Ac側に配置され、第1筐体部材12A側でディスプレイ16の裏面を支持する。第2支持プレート18Bは、第2筐体部材12Bの内面12Bc側に配置され、第2筐体部材12B側でディスプレイ16の裏面を支持する。第1ヒンジ筐体28Aは、第1筐体部材12Aの内面12Acに取り付けられ、その表面28Aaで第1支持プレート18Aを支持する。第2ヒンジ筐体28Bは、第2筐体部材12Bの内面12Bcに取り付けられ、その表面28Baで第2支持プレート18Bを支持する。調整機構50は、第1ヒンジ筐体28A及び第2ヒンジ筐体28Bの少なくとも一方に設けられ、第1ヒンジ筐体28Aの表面28Aaと第2ヒンジ筐体28Bの表面28Baとを同一平面上に配置するために、第1ヒンジ筐体28Aの第1筐体部材12Aの内面12Acに対する取付姿勢、及び第2ヒンジ筐体28Bの第2筐体部材12Bの内面12Bcに対する取付姿勢のうちの少なくとも一方を調整可能である。
【0057】
従って、当該携帯用情報機器10は、調整機構50によって各ヒンジ筐体28A,28Bの表面28Aa,28Baを同一平面上に配置した状態で、この表面28Aa,28Ba上で支持プレート18A,18Bを固定できる。このため、支持プレート18A,18Bは、互いに段差を生じることが抑制される。その結果、当該携帯用情報機器10は、ディスプレイ16を互いに段差を抑制した支持プレート18A,18Bによって安定して支持することができ、ディスプレイ16が湾曲等の不具合を生じることを防止できる。
【0058】
当該携帯用情報機器10において、支持プレート18A,18Bは、筐体部材12A,12Bを開いて平板状に構成した使用形態で互いに対向する一端面である内端面18Aa,18Ba同士が当接配置される。このため、当該携帯用情報機器10は、ディスプレイ16を開いた状態でその裏面が1枚板状に構成された支持プレート18A,18Bによって安定して支持される。また、支持プレート18A,18Bは、携帯用情報機器10の使用形態で内端面18Aa,18Ba間に隙間を生じないため、ディスプレイ16のタッチ操作等に対する支持剛性も担保できる。
【0059】
当該携帯用情報機器10は、ヒンジ筐体28A,28Bの表面28Aa,28Baで支持プレート18A,18Bを支持している。このため、当該携帯用情報機器10は、筐体部材12A,12Bの開閉動作を担うヒンジ機構19でディスプレイ16を支持する支持プレート18A,18Bを支持できる。これにより、当該携帯用情報機器10は、
図7A及び
図7Bに示すように、開閉動作時にディスプレイ16がヒンジ機構19を用いた設計上の所定曲率の円弧を描くように折曲動作される。つまり、ディスプレイ16はヒンジ機構19の回動動作に倣って円滑に二つ折りに折り畳まれる。その結果、当該携帯用情報機器10は、筐体部材12A,12Bの開閉時にディスプレイ16に過大な負荷が掛かり、ディスプレイ16が浮き上がりや不具合を生じることを防止できる。なお、
図7A及び
図7B中に2点鎖線で示すように、本開示の場合、ディスプレイ16の表面が各ヒンジ軸36a〜36dの軸中心に一致するように構成されている。また、
図7A及び
図7Bでは、調整機構50及び固定ねじ32の図示を省略している。
【0060】
当該携帯用情報機器10において、調整機構50は、第1ヒンジ筐体28Aの裏面28Abと第1筐体部材12Aの内面12Acとの間、及び第2ヒンジ筐体28Bの裏面28Bbと第2筐体部材12Bの内面12Bcとの間のうちの少なくとも一方に介在し、裏面28Abと内面12Acとの間の位置関係、及び裏面28Bbと内面12Bcとの間の位置関係のうちの少なくとも一方を調整可能な調整ねじ50a,50bで構成されている。これにより、調整機構50は、調整ねじ50a,50bを操作するだけでヒンジ筐体28A,28Bの表面28Aa,28Baの調整を行うことができる。なお、調整機構50は、複数本(2本)の調整ねじ50a,50bをセットで有するため、調整自由度が高い。調整ねじは、3本以上でもよい。
【0061】
当該携帯用情報機器10は、筐体部材12A,12Bの一縁部である内端面12Aa,12Baの長手方向(Y方向)両端部のそれぞれにヒンジ機構19を配置している。これにより、支持プレート18A,18Bは、両端部のヒンジ機構19,19で支持される。その結果、支持プレート18A,18Bは、その内端面18Aa,18Ba間の段差を一層確実に抑制でき、より安定してディスプレイ16を支持できる。
【0062】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0063】
例えば、上記では、ヒンジ筐体28A,28Bで支持プレート18A,18Bを支持する構成としたが、支持プレート18A,18Bを支持する支持台はヒンジ機構19以外に別途設けてもよい。例えば、
図4に示すように、支持プレート18A,18Bの内端面18Aa,18Baを跨ぐように配置されたX方向で一対の支持台(第1支持台、第2支持台)60a,60bを用いて支持プレート18A,18Bを支持する構成としてもよい。支持台60a,60bは、例えば筐体部材12A,12Bの内面12Ac,12Bc上にそれぞれ固定され、Y方向で2組設けられる。