(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-185963(P2018-185963A)
(43)【公開日】2018年11月22日
(54)【発明の名称】発光素子駆動装置及びその駆動方法
(51)【国際特許分類】
H05B 37/02 20060101AFI20181026BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20181026BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20181026BHJP
【FI】
H05B37/02 J
H01L33/00 J
H02M3/155 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2017-86889(P2017-86889)
(22)【出願日】2017年4月26日
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桂 幸司
(72)【発明者】
【氏名】金光 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】三浦 慧亮
【テーマコード(参考)】
3K273
5F241
5H730
【Fターム(参考)】
3K273AA02
3K273BA08
3K273CA02
3K273CA12
3K273DA08
3K273EA06
3K273EA11
3K273EA24
3K273EA35
3K273EA36
3K273FA03
3K273FA06
3K273FA14
3K273FA26
3K273FA27
3K273FA30
3K273FA32
3K273FA39
3K273FA40
3K273GA14
3K273GA24
3K273GA29
5F241AA09
5F241BB16
5F241BB42
5F241BC03
5F241BC10
5F241BC13
5F241BC17
5H730AS02
5H730AS04
5H730AS11
5H730BB14
5H730BB57
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD31
5H730FD41
5H730FG05
5H730FG22
5H730XX02
5H730XX15
5H730XX22
5H730XX35
5H730XX43
(57)【要約】
【課題】PWM調光時における瞬灯瞬滅を防止した発光素子駆動装置を提供する。
【解決手段】スイッチング電源100は、複数の発光素子を直列接続した素子列LE1〜LE4を複数列備える発光素子光源LEと、発光素子光源LEに駆動電圧を供給するスイッチング素子M1を有する。さらに発光素子列LE1〜LE4の発光素子降下電圧VLDと第1基準電圧VREF1との誤差に応じた誤差電圧Vcompを出力するエラーアンプ8と、誤差電圧Vcompに応じたパルス変調信号を生成するPWMコンパレータ6を有する。さらに第1コンパレータ11と第2コンパレータ16の各出力から生成される第1制御信号LSDET1及び第2制御信号LSDET2を出力するロジック部12を有し、ロジック部12によりドライブアンプ9を介してスイッチングM1をオンオフ制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子を直列接続した素子列を複数列備える発光素子光源と、
前記発光素子光源に駆動電圧を供給するスイッチング素子と、
前記駆動電圧に応じた帰還電圧を生成する帰還電圧生成回路と、
前記素子列に各別に電流を供給する電流源供給回路と、
前記素子列の発光素子降下電圧のうち最も高い電圧及び前記帰還電圧のいずれか一方と、第1基準電圧とを比較し、その比較結果に応じた誤差信号を生成する誤差増幅器と、
前記帰還電圧を前記誤差増幅器の第1入力端子への印加をオンオフ制御する第1スイッチと、
前記発光素子降下電圧のうち最も高い電圧を前記誤差増幅器の第2入力端子への印加をオンオフ制御する第2スイッチと、
スロープ電圧を生成するスロープ電圧生成回路と、
前記スロープ電圧と前記誤差信号とに応じたデューティ比を有するパルス変調信号を生成するPWMコンパレータと、
前記PWMコンパレータから出力される前記パルス変調信号で制御され前記スイッチング素子を駆動するドライブアンプと、
前記パルス変調信号のパルス幅を検出するPWM幅検出器とを有し、前記PWM幅検出器は、前記パルス変調信号のパルス幅が所定の閾値未満であるときとそれ以上とではレベルが異なるパルス幅信号検出信号を出力し、前記パルス幅信号検出信号に基づき前記第1スイッチ及び前記第2スイッチのオンオフを切替える発光素子駆動装置。
【請求項2】
前記PWM信号のパルス幅が閾値未満であるときに前記第1スイッチ及び前記第2スイッチはそれぞれオン及びオフに置かれ、前記PWM信号のパルス幅が閾値以上であるときに前記第1スイッチ及び前記第2スイッチはそれぞれオフ及びオンに置かれる請求項1に記載の発光素子駆動装置。
【請求項3】
前記スロープ電圧生成回路で生成される前記スロープ電圧の直流電位は、
前記パルス変調信号のパルス幅が閾値未満であるときと閾値以上であるときに切替えられる請求項1に記載の発光素子駆動装置。
【請求項4】
前記スロープ信号生成回路は、前記パルス幅信号検出信号によってオンまたはオフするスロープオフセット調整器によって制御され、前記スロープ信号の直流電位は前記スロープオフセット調整器によって、制御、調整される請求項3に記載の発光素子駆動装置。
【請求項5】
前記スロープ電圧の前記直流電位は、前記スロープオフセット調整器によって前記パルス変調信号のパルス幅がその閾値未満であるときには前記パルス変調信号のパルス幅の閾値以上のときに比べ高く制御される請求項4に記載の発光素子駆動装置。
【請求項6】
前記スロープオフセット調整器は、オペアンプを有し、前記オペアンプの非反転入力端子には電圧源が、前記オペアンプの出力端子には、第1トランジスタの制御電極が接続され、前記オペアンプの反転入力端子は第1トランジスタの第1主電極と共通に接続され、かつ前記第1主電極と接地電位との間に接続される第1抵抗と、前記第1トランジスタの第2主電極にその入力段が接続されその出力段が第2抵抗の一端に接続されるカレントミラー回路と、前記第2抵抗の他端が前記スロープ電圧に結合され、前記スロープ電圧の直流電位は前記第1トランジスタの前記第1主電極と前記第2主電極との間に流れる電流の大きさに依存する請求項1に記載の発光素子駆動装置。
【請求項7】
前記エラーアンプ、前記PWMコンパレータ及び前記スロープオフセット調整器は1つの半導体集積回路に内蔵され、前記エラーアンプの出力は前記PWMコンパレータの一方の入力端子に接続されて前記ICの第1外部端子に導出される請求項6に記載の発光素子駆動装置。
【請求項8】
前記第1外部端子と接地電位との間に個別部品からなる抵抗とコンデンサとの直列接続体が接続される請求項7に記載の発光素子駆動装置。
【請求項9】
前記素子列の発光素子降下電圧と第2基準電圧とを比較し、その比較結果を第1比較出力信号として出力する第1コンパレータと、
前記素子列の発光素子降下電圧と第3基準電圧とを比較し、その比較結果を第2比較出力信号として出力する第2コンパレータと、
前記第1比較出力信号に基づき前記スイッチング素子を前記ドライブアンプを介してオンオフ制御する第1制御信号と前記第2比較出力信号に基づき前記スイッチング素子を前記ドライブアンプを介してオンオフ制御する第2制御信号を生成するロジック部とをさらに有する請求項1に記載の発光素子駆動装置。
【請求項10】
前記第1制御信号は、イネーブル状態と否イネーブル状態の2つの状態に置かれ前記PWM幅検出器で検出される前記パルス変調信号のパルス幅が、その閾値を超えたときにイネーブル状態となり、前記PWM幅検出器で検出される前記パルス変調信号のパルス幅が、その閾値に満たない時は、否イネーブル状態に置かれ、
前記第2制御信号は、イネーブル状態と否イネーブル状態の2つの状態に置かれ、前記素子列の発光素子降下電圧の1つが前記第3基準電圧を下回り、かつ前記第2制御信号がイネーブル状態となり、前記第1制御信号及び前記第2制御信号が共にイネーブル状態であるときに前記スイッチング素子のスイッチングが許可される請求項9に記載の発光素子駆動装置。
【請求項11】
前記第1基準電圧、前記第2基準電圧、及び前記第3基準電圧との間には、VREF1<VREF2<VREF3の関係が成立する請求項10に記載の発光素子駆動装置。
【請求項12】
前記電流源供給回路は、前記素子列のカソード側と接地電位との間に設けられるシンク電流形式である請求項1〜11のいずれか一項に記載の発光素子駆動装置。
【請求項13】
前記電流源供給回路は、前記駆動電圧側から前記素子列のアノード側に電流を供給するソース電流形式である請求項1〜11のいずれか一項に記載の発光素子駆動装置。
【請求項14】
前記カレントミラー回路は、前記PWMパルス幅が閾値未満であるときにオン状態に置かれ、前記PWMパルス幅が閾値以上であるときにオフ状態に置かれる請求項6に記載の発光素子駆動装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の発光素子駆動装置の駆動方法であって、前記パルス変調信号のパルス幅が閾値未満であるときは、前記帰還電圧と前記第1参照電圧とを比較する第1帰還制御モードに設定され、前記駆動電圧を所定の大きさに制御し、前記パルス変調信号のパルス幅が閾値以上であるときには、前記複数の素子列で最も降下電圧が高い電圧を元にして前記駆動電圧の大きさを制御する第2帰還制御モードに設定される発光素子駆動装置の駆動方法。
【請求項16】
前記第1帰還制御モードに設定されるとき、前記第1スイッチ1はオン、前記第2スイッチはオフであり、前記第1制御信号及び前記第2制御信号による前記スイッチング素子のスイッチング制御は解除され、前記スロープ電圧の直流電位の制御が行われる請求項15に記載の発光素子駆動装置の駆動方法。
【請求項17】
前記第2帰還制御モードに設定されるとき、前記第1スイッチ1はオフ、前記第2スイッチはオンであり、前記第1制御信号及び前記第2制御信号による前記スイッチング素子のスイッチング制御が実行され、前記スロープ電圧の直流電位の制御が遮断される請求項15に記載の発光素子駆動装置の駆動方法。
【請求項18】
前記第2帰還制御モードにおいて、前記発光素子電圧の最小値が前記第1参照電圧とほぼ等しくなるまでの期間、前記第1制御信号及び前記第2制御信号は共に無効とされる請求項17に記載の発光素子駆動装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子駆動装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LED(発光ダイオード)などの発光素子を駆動する発光素子駆動装置が様々に開発されてきている。
【0003】
昨今、車両に搭載される表示装置である車載ディスプレイの普及が進んでいる。このような車載ディスプレイでは、昼間の車両走行と、夜間走行又はトンネル内での走行とで輝度を変化させる必要がある。具体的には、昼間走行時は輝度を高くし、夜間走行又はトンネル内走行では輝度を低くする必要がある。そして、特に瞳の色の薄いユーザ(欧米人など)に対応するため、輝度をより低く調整できる性能が要求されている。
【0004】
例えば、車載ディスプレイに備えられるバックライト装置に含まれるLEDの調光比(=最大輝度:最小輝度)としては、例えば20000:1が要求される。例えば、このようなLEDの急激な調光時、LEDが瞬灯瞬滅するという問題が生じる場合が起こりうる。
【0005】
また、車両に用いられるLED光源が年々増えてきており、従来の電熱灯からの置き換えが進んでいる。しかしながら、電熱灯からLEDに置き換わるにつれて従来では問題とならなかった瞬灯瞬滅の不具合が懸念されてきた。
【0006】
特許文献1は、LEDの瞬灯瞬滅について述べる。特許文献1は、電源端子に接続される電力供給ラインと、前記電力供給ラインに挿入される発光ダイオードと、前記発光ダイオードの下流側で電力供給ラインに接続され、前記発光ダイオードのオン/オフを切り替えるスイッチと、前記スイッチに並列に接続されるキャパシタと、前記電源端子と前記スイッチとの間で、前記発光ダイオードをバイパスするバイパスラインと、前記電源端子に入力される電力の供給先を前記電力供給ライン又は前記バイパスラインに選択的に切り替える切り替え部とを含み、前記切り替え部は、前記発光ダイオードの消灯時に前記電源端子と前記バイパスラインを接続する。この構成により点灯消灯時の瞬灯瞬滅対策がなされている。
【0007】
図6は、瞬灯瞬滅の不具合に関して本発明者が事前に検討した発光素子駆動装置LEDドライバIC300の構成を示す。
【0008】
LEDドライバIC300の外部に設けられる発光素子駆動装置の出力段は、スイッチング素子M1、整流用ダイオードD1、コイルL1、出力コンデンサC2、抵抗R2を有している。これらの各素子と後述するPWMコンパレータ、エラーアンプ及びドライブアンプ等の回路構成によりよく知られるスイッチング電源が構成されている。
【0009】
LEDドライバIC300は、シュミットトリガ1、PWM幅検出器2、過電流保護回路3、バッファアンプ4、スロープ電圧生成部5、PWMコンパレータ6、バッファアンプ7、エラーアンプ8、ドライブアンプ9、LED電圧セレクタ10、コンパレータ11、ロジック回路12、定電流源13、スイッチSW1、スイッチSW2を備え、これらを集積化して構成される。また、LEDドライバIC300は、外部との電気的接続を確立するための各部端子PWMIN、CS、FB、LED1〜LED4、SWOUT、COMPを備えている。
【0010】
コイルL1の一端には、電源電圧VCCが接続され、その他端にはnチャネルMOSFETで構成されるスイッチング素子M1のドレインと整流用ダイオードD1のアノードが接続される。スイッチング素子M1のソースは抵抗R2の一端に接続される。抵抗R2の他端は接地電位GNDに接続される。スイッチング素子M1のゲートはLEDドライバIC300のスイッチング端子SWOUTに接続される。整流用ダイオードD1のカソードには出力コンデンサC2の一端が共通に接続され、その他端は接地電位GNDに接続される。該共通接続点が出力端子OUTにあたる。出力端子OUTに出力電圧VOUTが生じる。出力端子OUTには、複数の発光素子を直列接続した素子列LE1、LE2、LE3及びLE4の各アノードが共通に接続される。素子列LE1、LE2、LE3及びLE4は1つの発光素子光源LEを構成している。
【0011】
出力電圧VOUTは発光素子光源LEを駆動する駆動電圧を供給する。出力端子OUTと接地電位GNDとの間に分圧用の抵抗ROVP2と抵抗ROVP1とが直列接続される。抵抗ROVP2と抵抗ROVP1との接続点はLEDドライバIC300のフィードバック端子FBを介して、バッファアンプ7に接続される。バッファアンプ7の出力はスイッチSW1を介して、エラーアンプ8の第1非反転入力端子(+)に接続される。
【0012】
素子列LE1〜LE4の各カソードはLEDドライバIC300のLED接続端子LED1〜LED4を介して、LED電圧セレクタ10と定電流源13に接続される。
LED電圧セレクタ10の出力は、スイッチSW2の一端とコンパレータ11の非反転入力端子(+)に接続される。
スイッチSW2の他端はエラーアンプ8の第2非反転入力端子(+)に接続される。エラーアンプ8の反転入力端子(−)は第1参照電圧VREF1が接続される。コンパレータ11の反転入力端子(−)は第2参照電圧VREF2が接続される。第2参照電圧VREF2の電圧は、第1参照電圧VREF1よりも少し高く設定する。
【0013】
エラーアンプ8は、出力電圧VOUTを抵抗ROVP2と抵抗ROVP1によって分圧したフィードバック電圧VfbとLED電圧セレクタ10の出力電圧とのいずれか一方と、第1参照電圧VREF1との差分を増幅して誤差電圧Vcompを出力し、PWMコンパレータ6の反転入力端子(−)とLEDドライバIC300のエラーアンプ出力端子COMPに接続される。LEDドライバIC300のエラーアンプ出力端子COMPには、抵抗R1の一端が接続され、その他端はコンデンサC1の一端が接続され、その他端は接地電位GNDに接続されている。抵抗R1及びコンデンサC1によって、LEDドライバIC300の位相特性が設定されている。
【0014】
LED電圧セレクタ10は、LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4のうち接地電位GNDを基準として最も低い電圧を出力する。言い換えれば、素子列LE1〜LE4での降下電圧である発光素子降下電圧VLDの最も高い(大きい電圧)電圧を出力する。
【0015】
コンパレータ11は、LED電圧セレクタ10の出力電圧と第2参照電圧VREF2とを比較し、その比較結果をロジック回路12に出力する。
ロジック回路12は、コンパレータ11の出力を受け、ロジック内部で処理をしたのちに第1制御信号LSDET1を出力する。第1制御信号LSDET1は、LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4が低下しないようにドライブアンプ9を介してスイッチング素子M1のスイッチングを制御する。
【0016】
スイッチング素子M1のソースと抵抗R2の一端の接続点はLEDドライバIC300の保護入力端子CSを介して、過電流保護回路3とバッファアンプ4に接続される。過電流保護回路3は、コイルL1に流れるコイル電流が所定の過電流設定値に達すると、スイッチング素子M1を強制的にオフにする。バッファアンプ4の出力は、スロープ電圧生成部5に入力される。スロープ電圧生成部5は、鋸波状または三角波のスロープ電圧Vslopeを生成する。スロープ電圧Vslopeは、PWMコンパレータ6の非反転入力端子(+)に接続される。PWMコンパレータ6は、エラーアンプ8の誤差電圧とスロープ電圧Vslopeを比較し、比較結果をドライブアンプ9に出力する。
【0017】
ドライブアンプ9は、PWMコンパレータ6の比較結果に基づきLEDドライバIC300のスイッチング端子SWOUTを介して、スイッチング素子M1のゲートを制御する。
【0018】
図示しない信号源からパルス状のPWM信号が、LEDドライバIC300の端子PWMINへ入力される。入力されたPWM信号はシュミットトリガ1を介して調光信号PWMを生成し、PWM幅検出器2へと入力される。PWM幅検出器2は、入力された調光信号PWMのオン幅を測定し、閾値以上の時ハイレベルHを、閾値未満の時ロウレベルLを調光信号幅検出信号PWM_WDETとして出力する。調光信号幅検出信号PWM_WDETは、スイッチSW1、スイッチSW2、エラーアンプ8に接続され、スイッチSW1、スイッチSW2をそれぞれオン又はオフに切り替える。エラーアンプ8はスイッチSW1がオンの時は常時オン、スイッチSW2がオンの時はPWMに同期して動作する。
【0019】
LEDドライバ300を検討するにあたり、本発明者は調光信号PWMのオン幅により第1帰還制御モードと第2帰還制御モードの2つのモード切替方式を試みた。すなわち、調光信号PWMのオン幅が閾値より低いならばスイッチSW1がオン、スイッチSW2がオフとされ第1帰還制御モードを有効とする。調光信号PWMのオン幅が閾値以上ならばスイッチSW1がオフ、スイッチSW2がオンとされ第2帰還制御モードを有効とする。
【0020】
第1帰還制御モードと第2帰還制御モードを採用した理由は、以下のとおりである。
第1帰還制御モードのみで制御する場合、どれだけの発光素子降下電圧VLDが発光素子光源LEに発生しているか特定できないため規定以上に出力電圧VOUTを高くしておく必要があり、発光素子光源LEにかかる電圧が大きくなってしまい発熱が大きくなってしまう。
【0021】
また、第2帰還制御モードのみで制御する場合、PWMパルス幅が細くなってきた時にスイッチング素子M1をスイッチングする時間が短くなり、コイルにエネルギーが蓄積できなくなり、徐々に出力電圧VOUTが低下していき、発光素子光源LEに十分な電圧を供給できなくなってしまう。
【0022】
また、第1帰還制御モードと第2帰還制御モードを併用するも、上記の組み合わせを逸脱させた場合すなわち、調光信号PWMのオン幅が閾値より低いときに第2帰還制御モードを採用し、調光信号PWMのオン幅が閾値より高いときに第1帰還制御モードを採用すると上記の不具合を解消することはできないことも知見した。
【0023】
スイッチSW1がオン、スイッチSW2がオフとされた場合は、出力電圧VOUTを抵抗ROVP2と抵抗ROVP1によって分圧したフィードバック電圧Vfbがエラーアンプ8に入力される。従って、フィードバック電圧Vfbを帰還信号とした第1帰還制御モードが行われ、出力電圧VOUTが一定となるように制御される。
【0024】
一方、スイッチSW1がオフ、スイッチSW2がオンとされた場合は、LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4の中で接地電位GNDを基準としてカソード側の最小の電圧がエラーアンプ8に入力される。従って、素子列LE1〜LE4のカソード側の最小の電圧を帰還信号とした帰還制御が行われる。素子列LE1〜LE4のカソード側の最小の電圧に基づき出力電圧VOUTを制御する制御方式が本発明の第2帰還制御モードである。
【0025】
第1帰還制御モードと第2帰還制御モードを組み合わせることで、調光信号PWMのデューティに応じた素子列LE1〜LE4の調光を行うことが可能となる。
【0026】
図7は、
図6に示したLEDドライバIC300に存在する不具合を説明するための図である。
図7は、第1帰還制御モードから第2帰還制御モードに切り替わる際のタイミングチャートを示している。
【0027】
調光信号PWMは、時刻t0から時刻t2までは調光信号PWMのオン幅が調光信号幅検出信号PWM_WDETの閾値未満の状態(第1帰還制御モード)を示し、時刻t2以降は調光信号PWMのオン幅が調光信号幅検出信号PWM_WDETの閾値以上の状態(第2帰還制御モード)を示している。
【0028】
LEDドライバIC300のフィードバック端子FBに発生するフィードバック電圧Vfbは、時刻t0から時刻t2までは第1帰還制御モードにて制御される。時刻t2以降、フィードバック電圧Vfbの制御は行われない。時刻t2以降は第2帰還制御モードが行われる。
【0029】
出力電圧VOUTは、時刻t0から時刻t2までは以下の式で表わされる値となる。
VOUT=(ROVP1+ROVP2)/ROVP1*VREF1
ここで抵抗ROVP1と抵抗ROVP2はフィードバック端子FBの外付け抵抗であり、第1参照電圧VREF1はLEDドライバ300内部で生成される電圧である。
【0030】
時刻t2から時刻t8までは出力電圧VOUTが所定の大きさに維持されるまでの過渡期であり、例えば時刻t6ではLED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4の最小電圧と接地電位GNDとの電位差はVcd5で示され、この電位は第1参照電圧VREF1よりは低くなり、定電流源13を駆動するには十分な電圧源とはならない。このため発光素子光源LEに所定の電流を供給できなくなる。時刻t8以降では以下の式で表わされる値となる。ここでVfmaxは素子列LE1〜LE4のうち発光素子降下電圧VLDが大きいものを示す。
VOUT=Vfmax+VREF1
【0031】
調光信号PWMがロウレベルLの時のLED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4は、時刻t0から時刻t2までは以下の式で表わされる。
VLED1〜VLED4=(ROVP1+ROVP2)/ROVP1*VREF1
【0032】
LEDが点灯している時刻t1においては以下の式で表わされる。
VLED1〜VLED4=(ROVP1+ROVP2)/ROVP1*VREF1−Vfmax
【0033】
LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4は、時刻t2から時刻t8までの間は所定の大きさに維持されるまでの過渡期を示す。LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4は時刻t8においては第1参照電圧VREF1になるように制御される。
【0034】
第1制御信号LSDET1は時刻t0から時刻t3まではロウレベルLを示す。LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4が時刻t3において第2参照電圧VREF2以下になるとハイレベルHを出力する。第2参照電圧VREF2は第1参照電圧VREF1よりも少し高く設定される。第1制御信号LSDET1は第2帰還制御モードにおけるスイッチング素子M1をスイッチングさせるイネーブル信号の役割をする。LEDドライバIC300は、第2帰還制御モードにおいて、調光信号PWMがハイレベルHかつ第1制御信号LSDET1がハイレベルHのときにスイッチィング素子M1のスイッチングを許可する。
【0035】
接続端子LED1〜4の各電流ILED1〜ILED4は、時刻t0から時刻t5までは安定供給されている。しかしLED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4が低くなる時刻t5から時刻t7においては、定電流源13は適正な動作範囲から逸脱し、素子列LE1〜LE4に供給すべき各電流ILED1〜ILED4を安定に供給できなくなる。特に時刻t6では前に述べたように定電流源13に供給する電圧源としての電位Vcd5が極端に小さくなり、素子列LE1〜LE4に所定の電流が供給できなくなり、いわゆる瞬灯、瞬滅という不具合が発生する。その後各電流ILED1〜ILED4は時刻t8においては、安定供給される。
【0036】
LEDドライバIC300のエラーアンプ出力端子COMPの電圧Vcompは、エラーアンプ8から出力される電圧であり、第1帰還制御モードで動作している時刻t0〜時刻t2において、接続端子LED1〜LED4の各電流ILED1〜ILED4が平均化すると小さく、また調光信号PWMに非同期でスイッチングするため相対的に低く(スロープ電圧と近しく)なる。
【0037】
LEDドライバIC300のエラーアンプ出力端子COMPの電圧Vcompは、LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4が第2参照電圧VREF2以下になる時刻t2から時刻t3まで、エラーアンプ8がハイインピーダンス状態となり電圧を維持する。
【0038】
LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4が時刻t4において第1参照電圧VREF1以下になることで、LEDドライバIC300のエラーアンプ出力端子COMPの電圧Vcompが充電開始される。
【0039】
LEDドライバIC300のエラーアンプ出力端子COMPの電圧Vcompが時刻t6においてスロープ電圧以上まで充電される。
LEDドライバIC300のエラーアンプ出力端子COMPの電圧Vcompの充電が時刻t8以降において完了する。
【0040】
スイッチング電圧Vswは、スイッチング端子SWOUTに出力され、スイッチング素子M1を駆動する。スイッチング電圧Vswは、時刻t0〜時刻t2において、フィードバック端子FBが第1参照電圧VREF1を超えるとスイッチングオフ、第1参照電圧VREF1より低下するとスイッチング素子M1がスイッチングオンとなり、調光信号PWMに非同期で動作を行う。
【0041】
時刻t2において調光信号PWMの幅が所定の閾値を超えると、第1帰還制御モードから第2帰還制御モードへと切替が発生する。LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4は徐々に低下していき、この電圧が第2参照電圧VREF2以下になるまでスイッチング素子M1のスイッチングはオフされる。
【0042】
LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4が時刻t3において第2参照電圧VREF2以下になることで、第1制御信号LSDET1がハイレベルとなりLEDドライバIC300のスイッチング素子M1のスイッチングがオンされる。
【0043】
LEDドライバIC300のエラーアンプ出力端子COMPの電圧Vcompが時刻t4から時刻t6までは本来必要な動作点よりも低いため、LEDドライバIC300のスイッチング素子M1のスイッチングはオンされない。
【0044】
LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4が時刻t4において第1参照電圧VREF1以下になることで、LEDドライバIC300のエラーアンプ出力端子COMPの電圧Vcompが充電開始される。これによりLEDドライバIC300のエラーアンプ出力端子COMPの電圧Vcompが時刻t6にて動作域まで充電されLEDドライバIC300のスイッチング素子M1のスイッチングがオンされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0045】
【特許文献1】特開2013−89570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0046】
特許文献1に記載された方法では点灯消灯時の対策はなされているが、調光時の瞬灯瞬滅についてはなんら開示されていない。
【0047】
また、本発明に至る事前に検討に供した
図6の回路は、
図7における時刻t5〜t7においてLED駆動電流を安定に供給できないことを知見した。これは、
図7における時刻t4〜t6においてエラーアンプ出力端子COMPの電圧Vcompがスロープ電圧Vslopeよりも低くなるためスイッチング素子M1が十分にスイッチングできず、LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4が低下し、定電流源13に適正な電圧を供給できなくなる。そのためLED1〜LED4が瞬灯瞬滅するという不具合が発生することを知見した。
【0048】
本発明は、上記問題点を考慮してなされたものであり、その目的は、発光素子駆動装置において、調光時における瞬灯瞬滅を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0049】
本発明に係る発光素子駆動装置の一態様は、次の構成要素を含む。
(a)複数の発光素子を直列接続した素子列を複数列備える発光素子光源
(b)前記発光素子光源に駆動電圧を供給するスイッチング素子
(c)前記駆動電圧に応じた帰還電圧を生成する帰還電圧生成回路
(d)前記素子列に各別に電流を供給する電流源供給回路
(e)前記素子列の発光素子降下電圧のうち最も高い電圧及び前記帰還電圧のいずれか一方と、第1基準電圧とを比較し、その比較結果に応じた誤差信号を生成する誤差増幅器
(f)前記帰還電圧を前記誤差増幅器の第1入力端子への印加をオンオフ制御する第1スイッチ
(g)前記発光素子降下電圧のうち最も高い電圧を前記誤差増幅器の第2入力端子への印加をオンオフ制御する第2スイッチ
(h)スロープ電圧を生成するスロープ電圧生成回路
(i)前記スロープ電圧と前記誤差信号とに応じたデューティ比を有するパルス変調信号を生成するPWMコンパレータ
(j)前記PWMコンパレータから出力される前記パルス変調信号で制御され前記スイッチング素子を駆動するドライブアンプ
(k)前記パルス変調信号のパルス幅を検出するPWM幅検出器
(l)前記PWM幅検出器は、前記パルス変調信号のパルス幅が所定の閾値未満であるときとそれ以上とではレベルが異なるパルス幅信号検出信号を出力し、前記パルス幅信号検出信号に基づき前記第1スイッチ及び前記第2スイッチのオンオフを切替える。
【0050】
さらに本発明に係る発光素子駆動装置の別の態様は、前記PWM信号のパルス幅が閾値未満であるときに前記第1スイッチ及び前記第2スイッチはそれぞれオン及びオフに置かれ、前記PWM信号のパルス幅が閾値以上であるときに前記第1スイッチ及び前記第2スイッチはそれぞれオフ及びオンに置かれる。
【0051】
さらに本発明に係る発光素子駆動装置の別の態様は、前記スロープ電圧生成回路で生成される前記スロープ電圧の直流電位は、前記パルス変調信号のパルス幅が閾値未満であるときと閾値以上であるときに切替えられる。
【0052】
さらに本発明に係る発光素子駆動装置の別の態様は、前記スロープ信号生成回路は、前記パルス幅信号検出信号によってオンまたはオフするスロープオフセット調整器によって制御され、前記スロープ信号の直流電位は前記スロープオフセット調整器によって、制御、調整される。
【0053】
さらに本発明に係る発光素子駆動装置の別の態様は、前記スロープ電圧の前記直流電位は、前記スロープオフセット調整器によって前記パルス変調信号のパルス幅の閾値未満であるときには前記パルス変調信号のパルス幅の閾値以上のときに比べ高く制御される。
【0054】
さらに本発明に係る発光素子駆動装置の別の態様は、前記スロープオフセット調整器は、オペアンプを有し、前記オペアンプの非反転入力端子には電圧源が、前記オペアンプの出力端子には、第1トランジスタの制御電極が接続され、前記オペアンプの反転入力端子は第1トランジスタの第1主電極と共通に接続され、かつ前記第1主電極と接地電位との間に接続される第1抵抗と、前記第1トランジスタの第2主電極にその入力段が接続されその出力段が第2抵抗の一端に接続されるカレントミラー回路と、前記第2抵抗の他端が前記スロープ電圧に結合され、前記スロープ電圧の直流電位は前記第1トランジスタの前記第1主電極と前記第2主電極との間に流れる電流の大きさに依存する。
【0055】
さらに本発明に係る発光素子駆動装置の別の態様は、前記エラーアンプ、前記PWMコンパレータ及び前記スロープオフセット調整器は1つの半導体集積回路(IC)に内蔵され、前記エラーアンプの出力は前記PWMコンパレータの一方の入力端子に接続されて前記ICの第1外部端子に導出される。
【0056】
さらに本発明に係る発光素子駆動装置の別の態様は、前記第1外部端子と接地電位との間に個別部品からなる抵抗とコンデンサとの直列接続体が接続される。
【0057】
さらに本発明に係る発光素子駆動装置の別の態様は、前記素子列の発光素子降下電圧と第2基準電圧とを比較し、その比較結果を第1比較出力信号として出力する第1コンパレータと、
前記素子列の発光素子降下電圧と第3基準電圧とを比較し、その比較結果を第2比較出力信号として出力する第2コンパレータと、
前記第1比較出力信号に基づき前記スイッチング素子を前記ドライブアンプを介してオンオフ制御する第1制御信号と前記第2比較出力信号に基づき前記スイッチング素子を前記ドライブアンプを介してオンオフ制御する第2制御信号を生成するロジック部とをさらに有する。
【0058】
さらに本発明に係る発光素子駆動装置の別の態様は、前記第1制御信号は、イネーブル状態と否イネーブル状態の2つの状態に置かれ前記PWM幅検出器で検出される前記パルス変調信号のパルス幅が、その閾値を超えたときにイネーブル状態となり、前記PWM幅検出器で検出される前記パルス変調信号のパルス幅が、その閾値に満たない時は、否イネーブル状態に置かれ、
前記第2制御信号は、イネーブル状態と否イネーブル状態の2つの状態に置かれ、前記素子列の発光素子降下電圧の1つが前記第3基準電圧を下回り、かつ前記第2制御信号がイネーブル状態となり、前記第1制御信号及び前記第2制御信号が共にイネーブル状態であるときに前記スイッチング素子のスイッチングが許可される。
【0059】
さらに本発明に係る発光素子駆動装置の別の態様は、前記第1基準電圧、前記第2基準電圧、及び前記第3基準電圧との間には、VREF1<VREF2<VREF3の関係が成立する。
【0060】
さらに本発明に係る発光素子駆動装置の別の態様は、前記電流源供給回路は、前記素子列のカソード側と接地電位との間に設けられるシンク電流形式である。
【0061】
さらに本発明に係る発光素子駆動装置の別の態様は、前記電流源供給回路は、前記駆動電圧側から前記素子列のアノード側に電流を供給するソース電流形式である。
【0062】
さらに本発明に係る発光素子駆動装置の別の態様は、前記カレントミラー回路は、前記PWMパルス幅が閾値未満であるときにオン状態に置かれ、前記PWMパルス幅が閾値以上であるときにオフ状態に置かれている。
【0063】
さらに本発明の別の発明である発光素子駆動装置の駆動方法は、上記いずれか1つの発光素子駆動装置態において、前記パルス変調信号のパルス幅が閾値未満であるときは、前記帰還電圧と前記第1参照電圧とを比較する第1帰還制御モードに設定され、前記駆動電圧を所定の大きさに制御し、前記パルス変調信号のパルス幅が閾値以上であるときには、前記複数の素子列で最も降下電圧が高い電圧を元にして前記駆動電圧の大きさを制御する第2帰還制御モードに設定される。
【0064】
さらに本発明の発光素子駆動装置の駆動方法の別の態様は、前記第1帰還制御モードに設定されるとき、前記第1スイッチ1はオン、前記第2スイッチはオフであり、前記第1制御信号及び前記第2制御信号による前記スイッチング素子のスイッチング制御は解除され、前記スロープ電圧の直流電位の制御が行われる。
【0065】
さらに本発明の発光素子駆動装置の駆動方法の別の態様は、前記第2帰還制御モードに設定されるとき、前記第1スイッチ1はオフ、前記第2スイッチはオンであり、前記第1制御信号及び前記第2制御信号による前記スイッチング素子のスイッチング制御が実行され、前記スロープ電圧の直流電位の制御が遮断される。
【発明の効果】
【0066】
本発明の上記各態様によれば、PWM制御におけるLEDの輝度調整時にLEDの瞬灯瞬滅を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【
図1】本発明の構成の一例を表すブロック図である。
【
図2】本発明に係るスロープオフセット調整器を示す回路図である。
【
図3】本発明に係るスロープオフセット調整器で調整されるスロープ電圧Vslopeの直流電位の制御、調整を示す図である。
【
図4】本発明の第1帰還制御モードと第2制御帰還モードの切替時のタイミングチャートである。
【
図5】本発明の第1帰還制御モードと第2制御帰還モードにおいての
図1の主な回路部の動作状態を示す図である。
【
図6】本発明に係る発光素子駆動回路を提案するにあたり、発明者が事前に検討した発光素子駆動回路のブロック図を示す。
【
図7】
図6における第1帰還制御モードと第2制御帰還モードの切替時のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0068】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0069】
図1は、本発明の構成の一例を表すブロック図である。
図6と同等の働きをする部分には同じ符号を付している。
図6との大きな違いは、スロープ電圧制御部14、スロープオフセット調整器15、コンパレータ16および電圧設定端子SETBPを備えている点である。
【0070】
LEDドライバIC100の外部に設けられる出力段は、スイッチング素子M1、整流用ダイオードD1、コイルL1、出力コンデンサC2、抵抗R2を有している。これらの各素子と後述するPWMコンパレータ、エラーアンプ及びドライブアンプ等の回路構成によりよく知られるスイッチング電源が構成されている。
【0071】
LEDドライバIC100は、シュミットトリガ1、PWM幅検出器2、過電流保護回路3、バッファアンプ4、スロープ電圧制御部14、スロープオフセット調整器15、PWMコンパレータ6、バッファアンプ7、エラーアンプ8、ドライブアンプ9、LED電圧セレクタ10、コンパレータ11、ロジック回路12、定電流源13、コンパレータ16、スイッチSW1、スイッチSW2を備え、これらを集積化して構成される。また、LEDドライバIC100は、外部との電気的接続を確立するための各部端子PWMIN、CS、FB、LED1〜LED4、SWOUT、COMP、SETBPを備えている。
【0072】
コイルL1の一端には、電源電圧VCCが接続され、その他端にはnチャネルMOSFETで構成されるスイッチング素子M1のドレインと整流用ダイオードD1のアノードが接続される。スイッチング素子M1のソースは抵抗R2の一端に接続される。抵抗R2の他端は接地電位GNDに接続される。スイッチング素子M1のゲートはLEDドライバIC100のスイッチング端子SWOUTに接続される。整流用ダイオードD1のカソードには出力コンデンサC2の一端が共通に接続され、その他端は接地電位GNDに接続される。該共通接続点が出力端子OUTにあたる。出力端子OUTに出力電圧VOUTが生じる。出力端子OUTには、複数の発光素子を直列接続した素子列LE1、LE2、LE3及びLE4の各アノードが共通に接続される。素子列LE1、LE2、LE3及びLE4は1つの発光素子光源LEを構成している。
【0073】
スイッチング素子M1のソースと抵抗R2の一端の接続点はLEDドライバIC100の保護入力端子CSを介して、過電流保護回路3とバッファアンプ4に接続される。過電流保護回路3は、コイルL1に流れるコイル電流が所定の過電流設定値に達すると、スイッチング素子M1を強制的にオフにする。バッファアンプ4の出力は、スロープ電圧制御部14に入力される。スロープ電圧生成部14は、鋸波状または三角波のスロープ電圧Vslopeを生成する。スロープ電圧制御部14は、LEDドライバIC100の電圧設定端子SETBPに接続された電圧源VREF4の値によってコントロールされるスロープオフセット調整器15により制御される。
【0074】
出力電圧VOUTは発光素子光源LEを駆動する駆動電圧として用いられる。出力端子OUTと接地電位GNDとの間に出力電圧VOUTを分圧する抵抗ROVP2と抵抗ROVP1とが直列接続される。抵抗ROVP2と抵抗ROVP1との接続点はLEDドライバIC100のフィードバック端子FBを介して、バッファアンプ7に接続される。バッファアンプ7の出力はスイッチSW1を介して、エラーアンプ8の第1非反転入力端子(+)に接続される。
【0075】
素子列LE1〜LE4の各カソードはLEDドライバIC100のLED接続端子LED1〜LED4を介して、LED電圧セレクタ10と定電流源13に接続される。
【0076】
定電流源13はLED接続端子LED1〜LED4と接地電位GNDの間に配置され、よく知られたシンク電流を生成している。なお、定電流源13はシンク電流を生成せずに素子列LE1〜LE4の中で出力端子OUTに接続される発光素子(LED)のアノード側に配置する、いわゆるソース電流を生成するように構成しても良い。いずれにしても素子列LE1〜LE4の中で発光素子降下電圧VLDが最も大きい素子列の降下電圧がLED電圧セレクタ10で選ばれて出力される。
【0077】
エラーアンプ8は、出力電圧VOUTを抵抗ROVP2と抵抗ROVP1によって分圧したフィードバック電圧VfbとLED電圧セレクタ10の出力電圧とのいずれか一方と、第1参照電圧VREF1との差分を増幅して誤差電圧Vcompを出力し、PWMコンパレータ6の反転入力端子(−)とLEDドライバIC100のエラーアンプ出力端子COMPに伝達される。LEDドライバIC100の外部に設けられるエラーアンプ出力端子COMPには、抵抗R1の一端が接続され、その他端はコンデンサC1の一端が接続され、その他端は接地電位GNDに接続されている。抵抗R1及びコンデンサC1によって、LEDドライバIC100の位相特性が設定されている。抵抗R1及びコンデンサC1は、LEDドライバIC100の位相特性を決定すると共に、エラーアンプ8の電圧利得も決定している。抵抗R1及びコンデンサC1をLEDドライバIC100の外付素子とすることで、こうした位相特性や電圧利得の調整を容易ならしめる。さらに、外付素子は、LEDドライバIC100に生じる抵抗値、容量値のばらつきと、温度依存性の影響を排除できる。
【0078】
LED電圧セレクタ10の出力は、スイッチSW2の一端とコンパレータ11の非反転入力端子(+)とコンパレータ16の非反転入力端子(+)に接続される。
【0079】
スイッチSW2の他端はエラーアンプ8の第2非反転入力端子に接続される。エラーアンプ8の反転入力端子は第1参照電圧VREF1が接続される。コンパレータ11の反転入力端子(−)は第2参照電圧VREF2が接続される。
【0080】
LED電圧セレクタ10は、素子列LE1〜LE4の各カソード電圧VLED1〜VLED4のうち接地電位GNDを基準として最も低い電圧を出力する。言い換えれば、素子列LE1〜LE4での降下電圧である総順方向電圧VLDの最も高い(大きい電圧)電圧を出力する。
【0081】
コンパレータ11は、LED電圧セレクタ10の出力電圧と第2参照電圧VREF2とを比較し、その比較結果をロジック回路12に出力する。
【0082】
ロジック回路12は、コンパレータ11とコンパレータ16の出力を受け、後述する第2帰還制御モードで用いる第1制御信号LSDET1と第2制御信号LSDET2を生成してドライブアンプ9に出力する。
【0083】
第1制御信号LSDET1と第2制御信号LSDET2は、LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4が低下しないようにドライブアンプ9を介してスイッチング素子M1のスイッチングを制御する。第1制御信号LSDET1は第2帰還制御モードにおけるスイッチングの開始を制御し、第2制御信号LSDET2は第2帰還制御モードにおけるスイッチング素子M1のスイッチングの許可を担当する。
【0084】
コンパレータ16の反転入力端子(−)は第3参照電圧VREF3が接続される。コンパレータ16の出力はロジック回路12に入力され、第2制御信号LSDET2を出力する。第2制御信号LSDET2は、ドライブアンプ9に接続される。
【0085】
コンパレータ16は、LED電圧セレクタ10の電圧と第3参照電圧VREF3とを比較し、その結果をロジック回路12へと出力する。コンパレータ16により第2帰還制御モード時のスイッチングの一部が制御される。
【0086】
図2は、スロープオフセット調整器15及びその周辺の回路部を示す。
図2において、スロープオフセット調整器15は、オペアンプOP1、MOSトランジスタM2〜M5、抵抗R3、インバータ回路INV1を備えている。
【0087】
オペアンプOP1の反転入力端子(−)は、MOSトランジスタM2のソースと抵抗R3の一端に接続されており、抵抗R3の他端は接地電位GNDに接続されている。抵抗R3と後述する抵抗R4を内蔵することにより、温度特性の影響を排除することができる。
【0088】
電圧源VREF4の一端は電圧設定端子SETBPを介してオペアンプOP1の非反転入力端子(+)に接続され、その他端は接地電位GNDに接続されている。
【0089】
オペアンプOP1の出力はMOSトランジスタM2のゲートに接続されており、MOSトランジスタM2のドレインはMOSトランジスタM3のドレインとMOSトランジスタM4のドレインとゲートとMOSトランジスタM5のゲートに接続されている。MOSトランジスタM2,M4及びM5は、よく知られたカレントミラー回路を構成する。本書では、MOSトランジスタM4をカレンミラー回路の入力段、MOSトランジスタM5をカレントミラー回路の出力段としてそれぞれ称する。
【0090】
調光信号幅検出信号PWM_WDETがインバータ回路INV1の入力に接続されており、インバータ回路INV1の出力がMOSトランジスタM3のゲートに接続される。内部電源VREGがMOSトランジスタM2〜M4のドレインに接続されている。MOSトランジスタM3〜M5のソースは、内部電源VREGに接続されている。MOSトランジスタM5のドレインは抵抗R4の一端とPWMコンパレータ6の非反転入力端子(+)に接続されている。なおここの信号をスロープ電圧Vslopeと称する。MOSトランジスタM3は、カレントミラー回路のオンオフ動作を制御するスイッチの役目を担う。
【0091】
なお、MOSトランジスタM2〜M5は、MOSトランジスタではなく、バイポーラトランジスタで構成してもよい。本書では、MOSトランジスタのゲートまたはバイポーラトランジスタのベースは制御電極として、MOSトランジスタのソースまたはバイポーラトランジスタのエミッタは第1主電極として、MOSトランジスタのドレインまたはバイポーラトランジスタのコレクタは第2主電極として、それぞれ称する。
【0092】
図2について具体的に動作を説明すると、電圧設定端子SETBPには電圧源VREF4が印加されており、オペアンプOP1でバッファされた電圧と抵抗R3によりMOSトランジスタM2に流れるドレイン電流Id2が決定されている。ドレイン電流Id2は、MOSトランジスタM4,M5からなるカレントミラー回路で折り返し、抵抗R4にて電圧に変換する。この抵抗R4で発生した直流電圧分だけスロープ電圧Vslopeの直流電位をシフト(移動)させる。
【0093】
調光信号幅検出信号PWM_WDETがロウレベルL、すなわち第1帰還制御モードの時は、MOSトランジスタM3によってMOSトランジスタM2,M4,M5からなるカレントミラー回路が有効に機能し、スロープ電圧Vslopeの直流電位は抵抗R4に生じた電圧の変化によって所定の大きさに調整され、PWMコンパレータ6へと出力される。
【0094】
一方、調光信号幅検出信号PWM_WDETがハイレベルH、すなわち第2帰還制御モードの時は、MOSトランジスタM3によってMOSトランジスタM2,M4,M5からなるカレントミラー回路が機能停止する。これによりスロープ電圧Vslopeの直流電位は、抵抗R4での電位変更を受けずにPWMコンパレータ6へと出力される。
【0095】
図1に戻り説明を続ける。スロープ電圧Vslopeは、PWMコンパレータ6の非反転入力端子(+)に接続される。PWMコンパレータ6は、エラーアンプ8の誤差電圧とスロープ電圧Vslopeを比較し、比較結果をドライブアンプ9に出力する。
【0096】
ドライブアンプ9は、PWMコンパレータ6の比較結果に基づきLEDドライバIC100のスイッチング端子SWOUTを介して、スイッチング素子M1のゲートを制御する。
【0097】
図示しない信号源からパルス状のPWM信号が、LEDドライバIC100の端子PWMINへ入力される。入力されたPWM信号はシュミットトリガ1を介して調光信号PWMを生成し、PWM幅検出器2へと入力される。PWM幅検出器2は、入力された調光信号PWMのオン幅を測定し、その測定値が閾値以上の時ハイレベルHを、閾値未満の時はロウレベルLを調光信号幅検出信号PWM_WDETとして出力する。調光信号幅検出信号PWM_WDETは、スロープ電圧制御部14、スイッチSW1、スイッチSW2に接続され、Vslopeの調整と、スイッチSW1、スイッチSW2をそれぞれオン又はオフに切り替える。
【0098】
第1帰還制御モードと第2帰還制御モードの切替は調光信号幅検出信号PWM_WDETにより制御される。すなわち、調光信号PWMのオン幅がその閾値より低いならば調光信号幅検出信号PWM_WDETはロウレベルLとなり、スイッチSW1がオン、スイッチSW2がオフとなり第1帰還制御モードを有効とする。調光信号PWMのオン幅がその閾値以上ならば調光信号幅検出信号PWM_WDETはハイレベルHとなりスイッチSW1がオフ、スイッチSW2がオンとされ第2帰還制御モードを有効とする。
【0099】
スイッチSW1がオン、スイッチSW2がオフとされた場合は、フィードバック電圧Vfbがエラーアンプ8に入力される。従って、フィードバック電圧Vfbを帰還信号とした帰還制御が行われ、フィードバック電圧Vfbを基準として出力電圧VOUTが所定の大きさとなるように制御される(第1帰還制御モード)。
【0100】
一方、スイッチSW1がオフ、スイッチSW2がオンとされた場合は、LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4の中で基準電位GNDからみて最小の電圧がエラーアンプ8に入力される。従って、LED接続端子LED1〜LED4の電圧を帰還信号とした第2帰還制御モードが行われる。
【0101】
第1帰還制御モードと第2帰還制御モードを組み合わせることで、調光信号PWMのデューティに応じた素子列LE1〜LE4の調光を行うことが可能となる。
【0102】
図3は、本発明に係るスロープオフセット調整器で調整されるスロープ電圧Vslopeの直流電位が第1帰還制御モードと第2帰還制御モードでどのように変化するかを示す図である。スロープ電圧Vslope1は第1帰還制御モード時の直流電位を示す。スロープ電圧Vslope2は第2帰還制御モードの直流電位を示す。スロープ電圧Vslope1とスロープ電圧Vslope2の電位差ΔVslopeは例えば、0.5V程度であり、電位差ΔVslopeの設定及び調整は、
図2に示したスロープオフセット調整器15にて行われる。本発明の一実施の形態では、スロープ電圧Vslope2の直流電位は第2帰還制御モードでは初期設定での電位に維持され、第1帰還制御モードでは、スロープ電圧Vslope1の直流電位はスロープ電圧Vslope2のそれよりも高くなるように設定される。しかしこれらは設計事項の1つであり、スロープ電圧生成回路14とスロープオフセット調整器15との回路構成およびこれらの結合状態に応じて適宜変更されうる。
【0103】
図4は、第1帰還制御モードと第2帰還制御モードの切替時のタイミングチャートである。以降、
図1〜
図3を参照して説明する。
【0104】
調光信号PWMは、時刻t0から時刻t2までは調光信号PWMのオン幅が調光信号幅検出信号PWM_WDETの閾値より低い状態(第1帰還制御モード)を示し、時刻t2以降は調光信号PWMのオン幅が調光信号幅検出信号PWM_WDETの閾値以上の状態(第2帰還制御モード)を示している。
【0105】
フィードバック電圧Vfbはフィードバック端子FBに発生する。時刻t0から時刻t2までは第1帰還制御モードにて制御される。時刻t2以降、フィードバック電圧Vfbの制御を採用しない、第2帰還制御モードが行われる。
【0106】
出力電圧VOUTは、時刻t0から時刻t2までは以下の式で表わされる値となる。
VOUT=(ROVP1+ROVP2)/ROVP1*VREF1
ここで抵抗ROVP1と抵抗ROVP2はフィードバック端子FBの外付け抵抗であり、第1参照電圧VREF1はLEDドライバ100内部で生成される電圧である。
時刻t2から時刻t6までは出力電圧VOUTが所定の大きさに維持されるまでの過渡期であり、時刻t6以降では以下の式で表わされる値となる。ここでVfmaxは素子列LE1〜LE4のうち発光素子電圧VLDが大きいものを示す。
VOUT=Vfmax+VREF1
【0107】
調光信号PWMがロウレベルLの時のLED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4は、LED接続端子LED1〜LED4に生じ、時刻t0から時刻t2までは以下の式で表わされる。
VLED1〜VLED4=(ROVP1+ROVP2)/ROVP1*VREF1
LED発光素子光源LEが点灯している時刻t1においては以下の式で表わされる。
VLED1〜VLED4=(ROVP1+ROVP2)/ROVP1*VREF1−Vfmax
【0108】
時刻t2において第1帰還制御モードから第2帰還制御モードへと切替が発生し、その後LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4が第2参照電圧VREF2以下になるまでLEDドライバIC100のスイッチング端子SWOUTでのスイッチング素子M1のスイッチングは停止される。第2参照電圧VREF2は、第1参照電圧VREF1よりも高くなるように設定される。
【0109】
LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4が時刻t3〜t4において、第2参照電圧VREF2以下となると、LEDドライバIC100のスイッチング端子SWOUTでのスイッチング素子M1のスイッチングが開始される。この時、LEDドライバIC100のエラーアンプ出力端子COMPの電圧がスロープ電圧Vslopeよりも十分高いためスイッチング1回あたりに得られるエネルギーは大きくなる。そのため、LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4は急速に上昇する。
【0110】
LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4が、時刻t4において第3参照電圧VREF3以上となると、スイッチング素子M1のスイッチングが停止される。
【0111】
LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4は、時刻t4〜t5においては、第3参照電圧VREF3以下で調光信号PWMがハイレベルHであればスイッチング素子M1はスイッチングするように制御される。
【0112】
LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4は、時刻t5において、第3参照電圧VREF3以下となるとスイッチング素子M1のスイッチングが開始されるが、LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4は時刻t3〜時刻t4の時とは違い上昇しない。これは、LEDドライバIC100の端子COMPの電圧が時刻t3〜時刻t5の間に徐々に低下し、スロープ電圧よりも少し高いだけのためスイッチング1回あたりに得られるエネルギーが小さくなっているからである。
【0113】
LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4は時刻t6において、第1参照電圧VREF1になるように制御される。LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4の最小電圧は時刻t6以降、第1参照電圧VREF1よりは低くならず、接地電位GNDからみた電位Vcd3は第1参照電圧VREF1とほぼ同じ電位となる。電位Vcd3は
図7に示す電位Vcd5よりは十分に大きくなる。これによって、定電流源13には十分な電圧源が供給されるので、発光素子光源LEに生じる瞬灯、瞬滅の発生を排除できる。なお、LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4の最小電圧が第1参照電圧VREF1以下にならないようするために、スロープオフセット調整器15によるスロープ電圧Vslopeの直流電位の調整と、後述する第2制御信号LSDET2による、スイッチング素子M1のスイッチング制御を行う。
【0114】
第1制御信号LSDET1は、ロジック回路12から出力され、時刻t0から時刻t3まではロウレベルLを示す。時刻t3においてLED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4が第2参照電圧VREF2以下になるとハイレベルHを出力する。第1制御信号LSDET1は第2帰還制御モードになった後のLED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4が第2参照電圧VREF2以下となるタイミングで出力される。これは第1制御信号LSDET1が第2帰還制御モードにおいて、イネーブル信号の役割をしているからである。LEDドライバIC100は、第2帰還制御モードにおいて、調光信号PWMがハイレベルHかつ第1制御信号LSDET1がハイレベルHかつ後述する第2制御信号LSDET2がロウレベルLのときにスイッチングを許可する。これによりLEDドライバIC100の出力電圧VOUTが適正に保たれる。なお、第1制御信号LSDET1は、LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4のいずれか1つが第2参照電圧VREF2以下となるタイミングで発生させたが、調光信号PWMのパルス幅が閾値から変化するタイミングすなわち時刻t2で切替えるようにしてもよい。
【0115】
第2制御信号LSDET2は、ロジック回路12から出力され、時刻t0から時刻t4まではロウレベルLを示す。時刻t4においてLED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4が第3参照電圧VREF3以上になるとハイレベルHを出力する。第3参照電圧VREF3は、第2参照電圧VREF2より少し高く設定される。これによって遅くとも第1制御信号LSDET1と同じタイミングで発生させることができる。なお、第2制御信号LSDET2は、第1帰還制御モードすなわち、時刻t0から発生させるようにしてもかまわない。いずれにしても第2制御信号LSDET2が有効となるのは第1制御信号LSDET1がハイレベルHであり、第2制御信号LSDET2がロウレベルLであるので、実際の働きは時刻t3以降となる。
【0116】
なお、第2帰還制御モードが始まり第1帰還制御モードとの境界である時刻t2のタイミングで、第1制御信号LSDET1をハイレベルHに設定し、第2制御信号LSDET2をロウレベルLに設定すると、出力電圧VOUTが高くなりすぎ、発光素子光源LEにちらつきが発生するので好ましくない。したがって、本発明の一実施の形態では、第1帰還制御モードと第2帰還制御モードとの切替タイミングは調光信号PWMのパルス幅がその閾値に達した時ではあるが、実際の発光素子光源LEの制御はそのタイミングが経過した時刻からとなる。言い換えれば、LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4の最小値が第1参照電圧VREF1に達するまでの期間、第1制御信号LSDET1は無効とされる。
【0117】
第2制御信号LSDET2は、第2帰還制御モードにおけるスイッチング素子M1のスイッチングのイネーブル信号の役割をする。LEDドライバIC100は、第2帰還制御モードにおいて、調光信号PWMがハイかつ第1制御信号LSDET1がハイレベルHかつ第2制御信号LSDET2がロウレベルLのときにスイッチング素子M1のスイッチングを許可する。これによりLEDドライバIC100の出力電圧VOUTが適正に保たれる。
【0118】
電流ILED1〜ILED4は、それぞれLED接続端子LED1〜LED4を介して流れる電流であり、全時刻において安定供給されている。
【0119】
電圧Vcompは端子COMPに生じ、時刻t0〜時刻t2において第1帰還制御モードで動作している時、接続端子LED1〜LED4の各電流ILED1〜ILED4が平均化すると小さく、また調光信号PWMに非同期でスイッチングするため相対的に低く(スロープ電圧と近しく)なる。
【0120】
エラーアンプ出力端子COMPの電圧Vcompは、時刻t2において、LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4が第2参照電圧VREF2以下になるまで、エラーアンプ8がハイインピーダンス状態となり電圧を維持する。ただし、
図7とは違いスロープ電圧Vslopeの直流電位は第2帰還制御モードに見合った電位に調整される。
【0121】
エラーアンプ出力端子COMPの電圧Vcompは、時刻t3において、第1制御信号LSDET1がハイレベルHになるとエラーアンプ8が通常動作に入り低下する。
【0122】
エラーアンプ出力端子COMPの電圧Vcompは、時刻t4〜t5においては、低下していくが、スロープ電圧Vslopeが更に低いため、エラーアンプ出力端子COMPの電圧がスロープ電圧以下になることはない。そのため、LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4が第3参照電圧VREF3以下で調光信号PWMがハイレベルHであればスイッチング素子M1は必ずスイッチングすることになる。
【0123】
LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4が時刻t5において、第3参照電圧VREF3以下となるとスイッチング素子M1のスイッチングが開始されるが、LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4は時刻t3〜時刻t4の時とは違い上昇していかない。これはLEDドライバIC100のエラーアンプ出力端子COMPの電圧Vcompがスロープ電圧よりも少し高いだけのため、スイッチング1回あたりに得られるエネルギーが小さくなっているからである。
【0124】
LEDドライバIC100のエラーアンプ出力端子COMPの電圧Vcompが時刻t6において所望の電圧へ到達する。
【0125】
スイッチング電圧Vswはスイッチング端子SWOUTに出力される。時刻t0〜時刻t2において第1帰還制御モードで動作している時、LEDドライバIC100のフィードバック端子FBが第1参照電圧VREF1を超えるとスイッチングオフ、第1参照電圧VREF1より低下するとスイッチングオンとなり、調光信号PWMに依存せずに動作を行う。
【0126】
時刻t2において調光信号PWMのパルス幅が大きくなっており第1帰還制御モードから第2帰還制御モードへと切替が発生する。LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4は徐々に低下していき、この電圧が第2参照電圧VREF2以下になるまでLEDドライバIC100のスイッチング素子M1のスイッチングはオフされる。
【0127】
LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4が時刻t3〜t4において第3参照電圧VREF3以下となっていることでスイッチングが開始される。
【0128】
LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4が時刻t4において第3参照電圧VREF3以上となることで、第2制御信号LSDET2がハイレベルHとなりLEDドライバIC100のスイッチング素子M1のスイッチングはオフされる。
【0129】
LED接続端子LED1〜4の各電圧VLED1〜4は時刻t4以降においては、第3参照電圧VREF3以下で調光信号PWMがハイレベルHであればスイッチング素子M1は必ずスイッチングすることになる。
【0130】
これらの動作の結果として、定電流源13に適正な電圧を供給でき、LED駆動電流を安定供給できない区間が存在しなくなるため、LED1〜LED4の瞬灯瞬滅という問題がなくなる。
【0131】
図5は、
図1に示す発光素子駆動装置を第1帰還制御モードと第2帰還制御モードで駆動する時の主な回路部の動作状態をまとめたものである。なお、
図5は、これまでの説明の要点をまとめたものでもある。以下、第1帰還制御モード、第2帰還制御モードの順で説明する。
【0132】
第1帰還制御モードは、
図5(a)に示すように調光信号PWMのオン幅が、あらかじめ定めた閾値よりも小さい場合に採用される。
【0133】
図5(b)は、調光信号幅検出信号PWM_WDETのレベルがハイレベルH及びローレベルLのどちらに設定されているかを示す。本発明の一実施の形態ではローレベルLに設定されるが、これはあくまでも設計事項の1つに過ぎなく第2帰還制御モードと区別するためにハイレベルHまたはローレベルLのどちらかを設定することになる。
【0134】
図5(c),(d)は、スイッチSW1及びスイッチSW2のオンオフ状態を示す。第1帰還制御モードではスイッチSW1は“オン”であり、スイッチSW2は“オフ”に設定される。スイッチSW1は、フィードバック電圧Vfbをエラーアンプ8に伝達するためであり、スイッチSW2は、LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4のいずれか1つをエラーアンプ8に伝達するためにそれぞれ用意される。
【0135】
図5(e)は、フィードバック端子FBを介してフィードバック電圧Vfbを基準とする出力電圧VOUTの制御を行うか否かを示す。第1帰還制御モードの特徴は、これまで説明してきたようにフィードバック電圧Vfbを基準とし、エラーアンプ8を介して出力電圧VOUTを制御するので“有”となる。
【0136】
図5(f)は、LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4がエラーアンプ8に帰還されるか否かを示す。第1帰還制御モードは、LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4を帰還する方式でなないので“無”となる。
図5(f)は
図5(e)とは反対の状態に置かれる。
【0137】
図5(g),(h)は、ロジック部12から出力される第1制御LSDET1及び第2制御信号LSDET2によりドライブアンプ9を介してスイッチング素子M1のオンオフ制御を有効とするか無効とするかを示す。こうした制御は
図5(f)の方式に連動するので第1帰還制御モードでは“無効”となる。
【0138】
図5(i)は、スロープ電圧Vslopeの直流電位の制御、調整が行われるか否かを示す。スロープ電圧Vslopeの制御、調整はスロープオフセット調整器15のオンオフに関わってくる。本発明の一実施の形態では第1帰還制御モードでは、スロープオフセット調整器15をオンさせ、スロープ電圧Vslopeの直流電位を制御、調整するので“オン”となる。
【0139】
次に第2帰還制御モードについて説明する。第2帰還制御モードにおいては、
図5(a)〜(i)に示す回路部の動作状態は第1帰還制御モードとはすべてにおいて逆の状態に設定されるので詳細な説明は割愛する。
【0140】
第2帰還制御モードでは、
図5(a)に示すように、調光信号PWMのオン幅が、その閾値以上の場合に採用される。第2帰還制御モードは、素子列LE1〜LE4での発光素子降下電圧VLD(LED接続端子LED1〜LED4の各電圧VLED1〜VLED4)を検出し、エラーアンプ8を介して出力電圧VOUTを制御する方式であるので、フィードバック電圧Vfbをエラーアンプ8に伝達するスイッチSW1は“オフ”であり、発光素子降下電圧VLDをエラーアンプ8に伝達するスイッチSW2は“オン”に置かれる。
【0141】
第1制御信号LSDET1及び第2制御信号LSDET2による組み合わせは、素子列LE1〜LE4のオンオフを制御するために用意されているので、第2帰還制御ではいずれもが“有効”となる。また、第2帰還制御モードの一実施の形態ではスロープ電圧Vslopeの制御、調整は行わないので“オフ”となる。
【0142】
なお、スロープ電圧Vslopeの制御、調整は、第1帰還制御モード及び第2帰還制御モードの両方に用いることも可能である。また、第2帰還制御モードでスロープ電圧Vslopeの調整を行い、第1帰還制御モードでは行わないようにすることも可能である。これらの選択は設計事項の1つであり、スロープオフセット調整器15の回路構成に応じて適宜変更されうる。
【産業上の利用可能性】
【0143】
以上述べたように本発明は、近年需要の増えているLED駆動装置の瞬灯瞬滅防止に大いに貢献する発光素子駆動装置及びその駆動方法を比較的簡便な回路で提供することができる。そのため、本発明は、産業上の利用可能性は極めて高い。
【符号の説明】
【0144】
1 シュミットトリガ
2 PWM幅検出器
3 過電流保護回路
4 バッファアンプ
5 スロープ電圧生成部
6 PWMコンパレータ
7 バッファアンプ
8 エラーアンプ
9 ドライブアンプ
10 LED電圧セレクタ
11 コンパレータ
12 ロジック回路
13 定電流源
14 スロープ電圧制御部
15 スロープオフセット調整器
16 コンパレータ
100 LEDドライバIC
300 LEDドライバIC
C1 コンデンサ
C2 出力コンデンサ
COMP エラーアンプ出力端子
CS 保護入力端子
D1 整流用ダイオード
FB フィードバック端子
GND 接地電位
ILED1〜ILED4 素子列LE1〜LE4の電流
L1 コイル
LE 発光素子光源
LE1〜LE4 素子列
LED1〜LED4 LED接続端子
LSDET1 第1制御信号
LSDET2 第2制御信号
OUT 出力端子
M1 スイッチング素子
PWM 調光信号
PWMIN 端子
PWM_WDET 調光信号幅検出信号
R1〜R3 抵抗
ROVP1、ROVP2 抵抗
SETBP 電流設定端子
SW1、SW2 スイッチ
SWOUT スイッチング端子
VCC 電源電圧
Vcomp 誤差電圧
Vfb フィードバック電圧
VLD 発光素子降下電圧
VLED1〜VLED4 LED接続端子LED1〜LED4の各電圧
VOUT 出力電圧
VREF1 第1参照電圧
VREF2 第2参照電圧
VREF3 第3参照電圧
VREF4 電圧源
Vslope スロープ電圧
Vsw スイッチング電圧
【手続補正書】
【提出日】2018年3月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子をそれぞれ直列接続した複数列の素子列に各別に電流を供給する電流源と、
前記複数列の素子列それぞれの総順方向降下電圧のうち最も高い電圧及び前記複数列の素子列に供給される駆動電圧に応じた帰還電圧のいずれか一方と、第1参照電圧とを比較し、その比較結果に応じた誤差信号を生成する誤差増幅器と、
前記帰還電圧を前記誤差増幅器の第1入力端子に印加するか否かをオンオフ制御する第1スイッチと、
前記複数列の素子列それぞれの総順方向降下電圧のうち最も高い電圧を前記誤差増幅器の第2入力端子に印加するか否かをオンオフ制御する第2スイッチと、
スロープ電圧を生成するスロープ電圧生成回路と、
前記スロープ電圧と前記誤差信号とに応じたデューティ比を有するパルス変調信号を生成するPWMコンパレータと、
前記PWMコンパレータから出力される前記パルス変調信号で制御され前記複数列の素子列に前記駆動電圧を供給するためのスイッチング素子を駆動するドライブアンプと、
前記パルス変調信号のパルス幅を検出するPWM幅検出器と、
を有し、
前記PWM幅検出器は、前記パルス変調信号のパルス幅が所定の閾値未満であるときとそれ以上であるときとではレベルが異なるパルス幅検出信号を出力し、前記パルス幅検出信号に基づき前記第1スイッチ及び前記第2スイッチのオンオフを切替える発光素子駆動装置。
【請求項2】
前記PWM信号のパルス幅が閾値未満であるときに前記第1スイッチ及び前記第2スイッチはそれぞれオン及びオフされ、前記PWM信号のパルス幅が閾値以上であるときに前記第1スイッチ及び前記第2スイッチはそれぞれオフ及びオンされる請求項1に記載の発光素子駆動装置。
【請求項3】
前記スロープ電圧生成回路で生成される前記スロープ電圧の直流電位は、前記パルス変調信号のパルス幅が閾値未満であるか閾値以上であるかに応じて切替えられる請求項1に記載の発光素子駆動装置。
【請求項4】
前記スロープ電圧生成回路は、前記パルス幅検出信号によってオンまたはオフするスロープオフセット調整器によって制御され、
前記スロープ電圧の前記直流電位は、前記スロープオフセット調整器がオンであるかオフであるかによって調整される請求項3に記載の発光素子駆動装置。
【請求項5】
前記スロープ電圧の前記直流電位は、前記パルス変調信号のパルス幅がその閾値未満であるときには、前記パルス変調信号のパルス幅が閾値以上であるときに比べ高く制御される請求項4に記載の発光素子駆動装置。
【請求項6】
前記スロープオフセット調整器は、オペアンプと、トランジスタと、第1抵抗と、カレントミラー回路と、を有し、
前記オペアンプの非反転入力端子には、電圧源が接続され、
前記オペアンプの出力端子には、前記トランジスタの制御電極が接続され、
前記オペアンプの反転入力端子は、前記トランジスタの第1主電極と共通に接続され、
前記トランジスタの前記第1主電極と接地電位との間には、前記第1抵抗が接続され、
前記トランジスタの第2主電極には、前記カレントミラー回路の入力段が接続され、
前記カレントミラー回路の出力段が第2抵抗の一端に接続され、
前記第2抵抗の他端が前記スロープ電圧に結合され、
前記スロープ電圧の直流電位は、前記トランジスタの前記第1主電極と前記第2主電極との間に流れる電流の大きさに依存する請求項4または5に記載の発光素子駆動装置。
【請求項7】
前記エラーアンプ、前記PWMコンパレータ及び前記スロープオフセット調整器は1つの半導体集積回路に内蔵され、前記エラーアンプの出力は前記PWMコンパレータの一方の入力端子に接続されて前記半導体集積回路の第1外部端子に導出される請求項4〜6のいずれか一項に記載の発光素子駆動装置。
【請求項8】
前記第1外部端子と接地電位との間に個別部品からなる抵抗とコンデンサとの直列接続体が接続される請求項7に記載の発光素子駆動装置。
【請求項9】
前記複数列の素子列それぞれの総順方向降下電圧のうち最も高い電圧と第2参照電圧とを比較し、その比較結果を第1比較出力信号として出力する第1コンパレータと、
前記複数列の素子列それぞれの総順方向降下電圧のうち最も高い電圧と第3参照電圧とを比較し、その比較結果を第2比較出力信号として出力する第2コンパレータと、
前記第1比較出力信号及び前記第2比較出力信号に基づき前記スイッチング素子を前記ドライブアンプを介してオンオフ制御する第1制御信号及び第2制御信号をそれぞれ生成するロジック部と、
をさらに有する請求項1に記載の発光素子駆動装置。
【請求項10】
前記第1制御信号は、前記PWM幅検出器で検出される前記パルス変調信号のパルス幅が、その閾値を超えた後、前記複数列の素子列それぞれの総順方向降下電圧のうち最も高い電圧が初めて前記第2参照電圧を超えたときにイネーブル状態となり、
前記第2制御信号は、前記複数列の素子列それぞれの総順方向降下電圧のうち最も高い電圧が前記第3参照電圧を超える度にイネーブル状態となり、
前記第1制御信号及び前記第2制御信号が共にイネーブル状態であるときに前記スイッチング素子のスイッチングが許可される請求項9に記載の発光素子駆動装置。
【請求項11】
前記第1参照電圧をVREF1とし、前記第2参照電圧をVREF2とし、前記第3参照電圧をVREF3とすると、VREF1<VREF2<VREF3の関係が成立する請求項10に記載の発光素子駆動装置。
【請求項12】
前記電流源は、前記素子列のカソード側と接地電位との間に設けられるシンク電流形式である請求項1〜11のいずれか一項に記載の発光素子駆動装置。
【請求項13】
前記電流源は、前記駆動電圧側から前記素子列のアノード側に電流を供給するソース電流形式である請求項1〜11のいずれか一項に記載の発光素子駆動装置。
【請求項14】
前記カレントミラー回路は、前記PWMパルス幅が閾値未満であるときにオン状態となり、前記PWMパルス幅が閾値以上であるときにオフ状態となる請求項6に記載の発光素子駆動装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の発光素子駆動装置の駆動方法であって、前記パルス変調信号のパルス幅が閾値未満であるときは、前記帰還電圧と前記第1参照電圧とを比較する第1帰還制御モードに設定され、前記駆動電圧を所定の大きさに制御し、前記パルス変調信号のパルス幅が閾値以上であるときには、前記複数列の素子列で最も総順方向降下電圧が高い電圧を元にして前記駆動電圧の大きさを制御する第2帰還制御モードに設定される発光素子駆動装置の駆動方法。
【請求項16】
前記第1帰還制御モードに設定されるとき、前記第1スイッチはオン、前記第2スイッチはオフであり、前記第1制御信号及び前記第2制御信号による前記スイッチング素子のスイッチング制御は解除され、前記スロープ電圧の直流電位の制御が行われる請求項15に記載の発光素子駆動装置の駆動方法。
【請求項17】
前記第2帰還制御モードに設定されるとき、前記第1スイッチはオフ、前記第2スイッチはオンであり、前記第1制御信号及び前記第2制御信号による前記スイッチング素子のスイッチング制御が実行され、前記スロープ電圧の直流電位の制御が遮断される請求項15に記載の発光素子駆動装置の駆動方法。
【請求項18】
前記第2帰還制御モードにおいて、前記複数列の素子列それぞれの総順方向降下電圧のうち最も高い電圧が前記第2参照電圧とほぼ等しくなるまでの期間、前記第1制御信号及び前記第2制御信号は共に無効とされる請求項17に記載の発光素子駆動装置の駆動方法。