特開2018-186086(P2018-186086A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッドの特許一覧
特開2018-186086コンタクトレンズ用の生体適合性電池において使用するための生体適合性カソードスラリーの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-186086(P2018-186086A)
(43)【公開日】2018年11月22日
(54)【発明の名称】コンタクトレンズ用の生体適合性電池において使用するための生体適合性カソードスラリーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 6/02 20060101AFI20181026BHJP
   G02C 7/04 20060101ALI20181026BHJP
   G02C 13/00 20060101ALI20181026BHJP
   H01M 6/32 20060101ALI20181026BHJP
   H01M 6/34 20060101ALI20181026BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20181026BHJP
   H01M 4/04 20060101ALI20181026BHJP
【FI】
   H01M6/02 Z
   G02C7/04
   G02C13/00
   H01M6/32 A
   H01M6/34 A
   H01M10/04 Z
   H01M4/04 A
   H01M4/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】49
(21)【出願番号】特願2018-83620(P2018-83620)
(22)【出願日】2018年4月25日
(31)【優先権主張番号】15/497,692
(32)【優先日】2017年4月26日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・エイ・フリッチュ
(72)【発明者】
【氏名】ホルヘ・ゴンザレス
(72)【発明者】
【氏名】キャサリン・ハーディ
(72)【発明者】
【氏名】エドワード・アール・カーニック
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ビー・オッツ
(72)【発明者】
【氏名】ランドール・ビー・ピュー
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・ダニエル・リオール
(72)【発明者】
【氏名】アダム・トナー
【テーマコード(参考)】
2H006
5H024
5H025
5H028
5H050
【Fターム(参考)】
2H006BB00
2H006BC07
2H006DA01
5H024AA03
5H024AA14
5H024BB02
5H024BB03
5H024BB07
5H024BB13
5H024CC11
5H024FF01
5H025AA13
5H025AA14
5H025BB02
5H025BB03
5H025BB08
5H025BB10
5H025BB12
5H025BB20
5H025CC01
5H028BB01
5H028BB02
5H028BB05
5H028BB06
5H028BB11
5H028CC11
5H050BA02
5H050BA08
5H050CA05
5H050CB13
5H050FA02
5H050GA02
5H050GA05
5H050GA10
5H050GA12
5H050GA24
(57)【要約】
【課題】 生体適合性通電素子を形成するための方法及び装置を提供すること。
【解決手段】 いくつかの実施例において、生体適合性通電素子を形成するための方法及び装置は、活性カソード化学物質を含むキャビティを形成することを含む。カソード及びアノードの活性素子は、生体適合性材料で封止される。いくつかの実施例において、本方法及び装置の使用分野は、通電素子を必要とする任意の生体適合性装置又は製品を含み得る。
【選択図】 図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクトレンズに使用するための生体適合性電池の製造方法であって、
液相予混合物のうちの1つ又は複数を、固相予混合物のうちの1つ又は複数と混合して、カソードスラリー混合物とする工程と、
前記カソードスラリー混合物を濾過する工程であって、前記濾過は、前記生体適合性電池の積層コアの不十分な充填を引き起こし得る粒子を前記カソードスラリーから除去する、工程と、
生体適合性電池で使用するための生体適合性カソードに前記カソードスラリー混合物を分配する工程であって、前記濾過は、前記カソードスラリーを分配する前に行われる、工程と、
生体適合性のために前記積層コアを封止する工程と、
前記生体適合性電池をコンタクトレンズに挿入する工程であって、前記カソードスラリー混合物の濾過は、前記生体適合性電池を前記コンタクトレンズに適合させるのに十分に小さい形態に形成することを支持する、工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記濾過は、カソードスラリー分配システムの再循環ループにおいて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カソードスラリー混合物を濾過する工程の後に、前記カソードスラリー混合物を貯留する工程及び前記カソードスラリー混合物を再循環させる工程を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記カソードスラリー混合物を乾燥させる工程を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記液相予混合物が1つ又は複数の試薬を含み、少なくとも1つの試薬が液相試薬である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記液相試薬を濾過する工程を更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
1つの液相試薬が、溶媒を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記固相予混合物が、1つ又は複数の固相試薬を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記固相試薬を均一な粒径にふるい分けする工程を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記固相試薬が、ジェットミル粉砕された電解二酸化マンガンを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
1つの固相予混合物が、遷移金属酸化物を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記遷移金属酸化物が、二酸化マンガンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
1つの固相試薬が、炭素同素体を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記炭素同素体が、黒鉛を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記黒鉛が、カーボンブラックを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記液相予混合物が、疎水性結合剤を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項17】
前記疎水性結合剤が、ポリイソブチレン(PIB)を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記疎水性結合剤が、フッ化炭素固体を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記フッ化炭素固体が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
層状構造を得る工程であって、前記層状構造の体積が除去されてキャビティを形成し、前記層状構造が第1の層状構造コアに積層された第1のアノードコレクタ層を含み、前記第1の層状構造コアが前記第1のアノードコレクタ層に積層される前にその本体から前記体積が除去されており、前記層状構造が電気めっきされたアノードフィルム及びその上に堆積されたセパレータフィルムを前記キャビティ内に含み、前記堆積されたセパレータフィルムが、蒸発してセパレータフィルムを形成する溶媒を含む溶液として堆積されている、工程と、
前記固相予混合物及び前記液相予混合物の品質をチェックする工程であって、前記チェックされる品質が粒径分布である、工程と、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この特許出願は、2014年8月21日に出願された米国仮出願第62/040,178号の利益を主張する2015年7月21日に出願された米国特許出願第14/804,606号の一部継続出願であり、2011年8月2日に出願された米国特許出願第13/196,210号の一部継続出願である。
【0002】
それぞれの内容は、本明細書に依拠し、組み込まれる。
【0003】
(発明の分野)
生体適合性電池において使用するための生体適合性カソードスラリーの製造方法が開示される。いくつかの例において、該方法は、電流がそこを通って真空又は流動体(fluent)に出入りする導体を製造することを含む。いくつかの例において、生体適合性電池において使用するための生体適合性カソードスラリーを製造する方法の使用分野は、エネルギーを必要とする任意の生体適合性装置又は製品を包含し得る。
【背景技術】
【0004】
近年、医療用装置の数及びその機能が急速に発達し始めている。これらの医療用装置としては、例えば、埋め込み型ペースメーカー、生物学的機能のモニタリング及び/又は検査を行うための電子ピル、活性成分を有する外科用装置、コンタクトレンズ、輸液ポンプ、及び神経刺激装置を挙げることができる。追加機能及び上記医療用装置の性能の向上が理論上想定され、開発されている。しかしながら、理論化される追加機能を実現するには、これらの装置の多くで、これらの装置の寸法及び形状に関する要件、並びに新たな通電部品のエネルギー要件に適合する内蔵型の通電手段が必要とされている。
【0005】
いくつかの医療用装置は、様々な機能を実行し、かつ多くの生体適合性及び/又は埋め込み型装置に組み込まれ得る半導体装置などの電気部品を含み得る。しかしながら、かかる半導体構成要素は、エネルギーを必要とする。したがって、かかる生体適合性装置も、好ましくは、通電素子を含むべきである。生体適合性装置のトポロジー及び比較的小さな寸法により、様々な機能を定義する環境は困難なものとなり得る。多くの例では、生体適合性装置内の半導体部品を通電するための、安全性及び信頼性を備え、小型かつ費用効率の高い手段を提供することが重要であり得る。ミリメートル以下に小型化された通電素子の構造が、生体適合性を維持しながらも、通電素子の強化された機能を提供する、生体適合性装置の内部又は上に埋め込むために形成される生体適合性通電素子に対するニーズが存在する。
【0006】
装置に給電するために使用されるかかる通電素子の1つは、電池であり得る。様々な種類の化学系エネルギー貯蔵材料を含有する、電池の中の一般的な素子は、電池のカソードである。電池の機能は、構造体の設計、材料、及び電池カソードの形成に関するプロセスに大きく依存し得る。更に、いくつかの例では、電池のカソード材料の封じ込めは、生体適合性の重要な側面であり得る。
【0007】
カソードスラリーは、生体適合性電池の構成要素であり得る。カソードスラリーの選択は、生体適合性電池の集積化、製造、ロジスティックス、信頼性、及び収率に影響を及ぼす可能性がある。スラリー技術は、スラリー業界の厳しい要件に対応すべく発展してきた。カソードスラリーの製造は、粒子の合成、分散、混合及び濾過、電気化学、コロイド科学及び表面化学、流体力学、並びに数値解析の領域で専門知識が必要となる場合がある;。操作のエキスパートは、供給元がカソードスラリーを毎日完璧に製造し、そのカソードスラリーを大量生産のために供給するのに有用であり得る。加えて、電池素子、及び該電池素子を眼科用装置用の生体適合性エネルギー源として製造するために用いられる生産流通システムを設計する際には、カソードスラリーを使用して形成される生体適合性装置の安全性プロファイルのために、眼科及び眼科用装置のエキスパートが重要であり得る。したがって、生体適合性通電素子において使用するための小型生体適合性カソードの新規な実施例に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一般的な一態様は、生体適合性電池において使用するためのカソードスラリーの製造方法を含む。この方法は、液相予混合物のうちの1つ又は複数を、固相予混合物のうちの1つ又は複数と混合して、カソードスラリー混合物とする工程を含み得る。続いて、層状構造体であって、キャビティを形成するために除去される容積を有する層状構造体、を得る。次に、カソードスラリー混合物を濾過する。最後に、層状構造体のキャビティ内にカソードスラリー混合物を分配して、生体適合性電池において使用するための生体適合性カソードを形成する。
【0009】
実現形態は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含み得る。固相予混合及び液相予混合物の品質をチェックする工程を含む方法。該方法はまた、カソードスラリー混合物を濾過する工程の後に、カソードスラリー混合物を貯留する工程及び再循環させる工程を含み得る。該方法はまた、カソードスラリー混合物を乾燥させる工程を含み得る。液相予混合物は1つ又は複数の試薬を含み得、少なくとも1つの試薬は液相試薬である。該方法はまた、液相試薬を濾過する工程を含み得る。1つの液相試薬は、溶媒を含み得る。溶媒はトルエンを含み得る。
【0010】
固相予混合物は、1つ又は複数の固相試薬を含み得る。該方法はまた、固相試薬を均一な粒径にふるい分けする工程を含み得る。該方法はまた、親水性結合剤を含む固相試薬を含み得る。該方法はまた、遷移金属酸化物を含む1つの固相予混合物を含み得る。遷移金属酸化物は二酸化マンガンを含み得る。該方法はまた、炭素同素体を含む1つの固相予混合物を含み得る。炭素同素体は黒鉛を含み得る。黒鉛はカーボンブラックを含み得る。該方法はまた、疎水性結合剤を含む1つの固相試薬を含み得る。疎水性結合剤はポリイソブチレン(PIB)を含み得る。疎水性結合剤はフッ化炭素固体を含み得る。フッ化炭素固体はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含み得る。該方法はまた、コンタクトレンズである生物医学的装置を含み得る。
【0011】
本発明の一般的な一態様は、トルエン、二酸化マンガン、カーボンブラック、及びポリイソブチレンを得る工程を含む、生体適合性電池において使用するための生体適合性カソードの製造方法を含む。該方法はまた、トルエンを濾過する工程を含み得る。該方法はまた、二酸化マンガン、カーボンブラック、及びポリイソブチレンをふるい分けする工程を含み得る。該方法はまた、トルエン及びポリイソブチレンを混合して液相予混合物とする工程を含み得る。該方法はまた、二酸化マンガン及びカーボンブラックを混合して固相予混合物とする工程を含み得る。該方法はまた、固体予混合物及び液相予混合物の両方の品質をチェックする工程を含み得る。該方法はまた、固相予混合物及び液相予混合物を混合してカソードスラリー混合物とする工程と、次に、カソードスラリー混合物を濾過する工程と、を含み得る。該方法はまた、カソードスラリー混合物を貯留する工程と、次に、カソードスラリー混合物を再循環させる工程と、を含み得る。該方法はまた、層状構造体を得る工程を含み得、該層状構造体は、キャビティを形成するために除去される容積を有する。該方法はまた貯留したカソードスラリー混合物を濾過する工程と、次に、濾過したカソードスラリー混合物を、層状構造体のキャビティ内に分配する工程と、続いて、カソードスラリー混合物を乾燥させて、生体適合性電池において使用するための生体適合性カソードを形成する工程と、を含み得る。
【0012】
本発明の一般的な一態様は、生物医学的装置において使用するためのカソードスラリーの製造方法を含み、該方法は、液相予混合物のうちの1つ又は複数を、固相予混合物のうちの1つ又は複数と混合して、カソードスラリー混合物とする工程と、層状構造体を得る工程であって、層状構造体は、キャビティを形成するために除去される容積を有する、工程と、カソードスラリー混合物を濾過する工程と、を含み得る。該方法はまた、層状構造体のキャビティ内にカソードスラリー混合物を分配して、生物医学的装置において使用するためのカソードスラリーを形成する工程を含み、生物医学的装置はインサート装置を備える。インサート装置は、制御用電圧信号に応答する電気活性素子を含み得る。該方法はまた、生体適合性電池を含み得る。生体適合性電池は、第1及び第2の電極、アノード、セパレータ、層状構造体(層状構造体の少なくとも1つの層は、キャビティを形成するために除去される容積を有する)を含み得る。該方法はまた、カソードスラリーを含み、カソードスラリーの一構成成分の少なくとも平均分子サイズは、該構成成分をミル粉砕することによって、粒径が減少する。該方法はまた、キャビティ内の層状構造体を通る電気伝導性を維持しながら、そのレオロジーに基づいて、キャビティを充填することができるカソードスラリーを含み得る。該方法はまた、生体適合性電池に電気的に接続される回路であって、制御用電圧信号を提供する、回路、を含み得る。該方法はまた、コンタクトレンズである生物医学的装置を含み得る。
【0013】
一態様によれば、本発明は、コンタクトレンズに使用する生体適合性電池の製造方法に関する。この方法は、液相予混合物のうちの1つ又は複数を、固相予混合物のうちの1つ又は複数と混合して、カソードスラリー混合物とする工程と、カソードスラリー混合物を濾過する工程であって、濾過は、生体適合性電池の積層コアの不十分な充填を引き起こし得る粒子をカソードスラリーから除去する、工程と、生体適合性電池で使用するための生体適合性カソードにカソードスラリー混合物を分配する工程であって、濾過は、前記カソードスラリーを分配する前に行われる、工程と、生体適合性のために積層コアを封止する工程と、生体適合性電池をコンタクトレンズに挿入する工程であって、カソードスラリー混合物の濾過は、生体適合性電池をコンタクトレンズに適合させるのに十分に小さい形態に形成することを支持する、工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】例示的なコンタクトレンズ用途に対応する生体適合性通電素子の例示的な態様を示す。
図1B】例示的なコンタクトレンズ用途に対応する生体適合性通電素子の例示的な態様を示す。
図1C】例示的なコンタクトレンズ用途に対応する生体適合性通電素子の例示的な態様を示す。
図1D】例示的なコンタクトレンズ用途に対応する生体適合性通電素子の例示的な態様を示す。
図2】例示的な電池設計の個々のセルの例示的な寸法及び形状を示す。
図3A】例示的なアノード及びカソード接続部を有する第1の独立型のパッケージ化された生体適合性通電素子を示す。
図3B】例示的なアノード及びカソード接続部を有する第2の独立型のパッケージ化された生体適合性通電素子を示す。
図4A】生物医学的装置用の生体適合性通電素子を形成するための例示的な方法工程を示す。
図4B】生物医学的装置用の生体適合性通電素子を形成するための例示的な方法工程を示す。
図4C】生物医学的装置用の生体適合性通電素子を形成するための例示的な方法工程を示す。
図4D】生物医学的装置用の生体適合性通電素子を形成するための例示的な方法工程を示す。
図4E】生物医学的装置用の生体適合性通電素子を形成するための例示的な方法工程を示す。
図4F】生物医学的装置用の生体適合性通電素子を形成するための例示的な方法工程を示す。
図4G】生物医学的装置用の生体適合性通電素子を形成するための例示的な方法工程を示す。
図4H】生物医学的装置用の生体適合性通電素子を形成するための例示的な方法工程を示す。
図4I】生物医学的装置用の生体適合性通電素子を形成するための例示的な方法工程を示す。
図4J】生物医学的装置用の生体適合性通電素子を形成するための例示的な方法工程を示す。
図4K】生物医学的装置用の生体適合性通電素子を形成するための例示的な方法工程を示す。
図4L】生物医学的装置用の生体適合性通電素子を形成するための例示的な方法工程を示す。
図4M】生物医学的装置用の生体適合性通電素子を形成するための例示的な方法工程を示す。
図4N】生物医学的装置用の生体適合性通電素子を形成するための例示的な方法工程を示す。
図5】例示的な、完全に形成された生体適合性通電素子を示す。
図6A】生体適合性通電素子の構造形成のための例示的な方法工程を示す。
図6B】生体適合性通電素子の構造形成のための例示的な方法工程を示す。
図6C】生体適合性通電素子の構造形成のための例示的な方法工程を示す。
図6D】生体適合性通電素子の構造形成のための例示的な方法工程を示す。
図6E】生体適合性通電素子の構造形成のための例示的な方法工程を示す。
図6F】生体適合性通電素子の構造形成のための例示的な方法工程を示す。
図7A】代替の電気めっき法を用いた、生体適合性通電素子の構造形成のための例示的な方法工程を示す。
図7B】代替の電気めっき法を用いた、生体適合性通電素子の構造形成のための例示的な方法工程を示す。
図7C】代替の電気めっき法を用いた、生体適合性通電素子の構造形成のための例示的な方法工程を示す。
図7D】代替の電気めっき法を用いた、生体適合性通電素子の構造形成のための例示的な方法工程を示す。
図7E】代替の電気めっき法を用いた、生体適合性通電素子の構造形成のための例示的な方法工程を示す。
図7F】代替の電気めっき法を用いた、生体適合性通電素子の構造形成のための例示的な方法工程を示す。
図8A】生物医学的装置用のヒドロゲルセパレータを有する、生体適合性通電素子の形成のための例示的な方法工程を示す。
図8B】生物医学的装置用のヒドロゲルセパレータを有する、生体適合性通電素子の形成のための例示的な方法工程を示す。
図8C】生物医学的装置用のヒドロゲルセパレータを有する、生体適合性通電素子の形成のための例示的な方法工程を示す。
図8D】生物医学的装置用のヒドロゲルセパレータを有する、生体適合性通電素子の形成のための例示的な方法工程を示す。
図8E】生物医学的装置用のヒドロゲルセパレータを有する、生体適合性通電素子の形成のための例示的な方法工程を示す。
図8F】生物医学的装置用のヒドロゲルセパレータを有する、生体適合性通電素子の形成のための例示的な方法工程を示す。
図8G】生物医学的装置用のヒドロゲルセパレータを有する、生体適合性通電素子の形成のための例示的な方法工程を示す。
図8H】生物医学的装置用のヒドロゲルセパレータを有する、生体適合性通電素子の形成のための例示的な方法工程を示す。
図9A】代替のヒドロゲル加工実施例を用いた、生体適合性通電素子の構造形成のための例示的な方法工程を示す。
図9B】代替のヒドロゲル加工実施例を用いた、生体適合性通電素子の構造形成のための例示的な方法工程を示す。
図9C】代替のヒドロゲル加工実施例を用いた、生体適合性通電素子の構造形成のための例示的な方法工程を示す。
図10A】キャビティ内へのカソード混合物の最適化された及び最適化されていない堆積を示す。
図10B】キャビティ内へのカソード混合物の最適化された及び最適化されていない堆積を示す。
図10C】キャビティ内へのカソード混合物の最適化された及び最適化されていない堆積を示す。
図10D】キャビティ内へのカソード混合物の最適化された及び最適化されていない堆積を示す。
図10E】キャビティ内へのカソード混合物の最適化された及び最適化されていない堆積を示す。
図10F】キャビティ内へのカソード混合物の最適化された及び最適化されていない堆積を示す。
図11】キャビティ内部のカソード混合物の凝集を示す。
図12】生体適合性電池において使用するための生体適合性カソードスラリーを製造するための例示的な方法工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
生体適合性電池において使用するための生体適合性カソードスラリーの製造方法が、本出願において開示される。以下の各項において、様々な実施例の詳細な説明が記載される。実施例の説明は、単なる例示的な実施形態に過ぎず、当業者には、様々な修正及び変更が明白であり得る。したがって、例示的な実施形態は、本出願の範囲を制限するものではない。カソード混合物、及びカソード混合物を収容する構造体は、生体適合性電池において使用するために設計されてよい。いくつかの実施例では、こうした生体適合性電池は、生物の身体内で、又はこれに近接して使用するために設計され得る。
【0016】
用語集
本説明及び以下の特許請求の範囲において、以下の定義が適用される様々な用語が使用され得る。
【0017】
本明細書で使用される「アノード」とは、電流が有極電気装置に流れ込む電極を指す。電流の方向は、典型的に、電子流の方向とは逆である。換言すれば、電子は、例えば、アノードから電気回路に流入する。
【0018】
本明細書で使用するとき、「結合剤」は、機械的変形に対する弾性応答を呈することができ、他の通電素子部品と化学的に適合するポリマーを指す。例えば、結合剤としては、電気活性物質、電解質、ポリマーなどを挙げることができる。
【0019】
本明細書で使用するとき、「生体適合性」とは、特定の用途において適切な宿主応答で機能する材料又はデバイスを指す。例えば、生体適合性デバイスは、生体系に毒性又は有害な影響を及ぼさない。
【0020】
本明細書で使用される「カソード」とは、電極を指し、この電極を通って電流が有極電気装置から流出する。電流の方向は、典型的に、電子流の方向とは逆である。したがって、電子流は有極電気装置のカソードに流入し、例えば、接続された電気回路から流出する。
【0021】
本明細書で使用するとき、「被覆(コーティング)」は、材料の薄型堆積物(薄い形態での材料の付着)を指す。いくつかの用途では、この用語は、堆積物が形成される基板の表面を実質的に被覆する、薄型堆積物を指す。他のより特定の用途では、この用語は、表面のより小さい領域内にある小さい薄型堆積物を説明するために使用されてよい。
【0022】
本明細書で使用するとき、「電極」は、エネルギー源内の活物質を指し得る。例えば、電極は、アノード及びカソードの一方又は両方を含んでもよい。
【0023】
本明細書で使用するとき、「通電された」とは、電流を供給することができるか、又は内部に蓄積された電気的エネルギーを有することができる状態を指す。
【0024】
本明細書で使用するとき、「エネルギー」とは、ある物理系が仕事をする能力のことを指す。通電素子の多くの用途は、電気的作用を実行できる能力に関連するものであってよい。
【0025】
本明細書で使用するとき、「エネルギー源」又は「通電素子」又は「通電デバイス」は、エネルギーを供給できるか、論理的デバイス又は電気的デバイスを通電された状態にすることができる、任意のデバイス又は層を指す。通電素子は、電池を含み得る。電池は、アルカリ型セル化学物質で形成されてよく、固体電池又は湿電池であってよい。
【0026】
本明細書で使用するとき、「充填剤」は、酸性電解質又はアルカリ性電解質のいずれとも反応しない、1つ又は複数の通電素子用セパレータを指す。一般的に、充填剤は、実質的に水不溶性の材料を含んでもよい(例えばカーボンブラック;炭じん;黒鉛;シリコン、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、チタン、鉄、亜鉛、及びスズのものなどの金属酸化物及び水酸化物;カルシウム及びマグネシウムのものなどの金属炭酸塩;雲母、モンモリロナイト、カオリナイト、アタパルジャイト及びタルクなどの無機塩類;ポルトランドセメントなどの合成及び天然ゼオライト;ケイ酸カルシウムなどの沈降金属ケイ酸塩;中空又は中実のポリマー又はガラス製ミクロスフェア、フレーク、及びファイバーなどを挙げることができる。
【0027】
本明細書で使用するとき、「機能化」は、例えば、通電、起動、又は制御などの機能を、層又は装置が実行できるようにすることを指す。
【0028】
本明細書で使用するとき、「成形型」は、未硬化配合物(アンキュア・フォーミュレーション)から三次元の物体を形成するために使用され得る、剛性又は半剛性の物体を指す。いくつかの例示的な成形型は、互いに対向する場合、三次元の物体の構造を画定する2つの成形型部分を含む。
【0029】
本明細書で使用するとき、「電力」は、単位時間当たりに行われる仕事、又は移送されるエネルギーを指す。
【0030】
本明細書で使用するとき、「再充電可能」又は「再通電可能」は、仕事をするためのより高い能力を有する状態へと復元される能力を指す。多くの使用は、特定の再度確立された期間、特定の率で、電流を流す能力で復元できることに関連し得る。
【0031】
本明細書で使用するとき、「再通電」又は「再充電」は、仕事をするためのより高い能力を有する状態へと復元することを指す。多くの場合、特定の再開された時間、特定の率で電流を流すことができる状態に装置を復元することに関連して用いられ得る。
【0032】
本明細書で使用するとき、「離型させる」(「成形型から離型させる」と言われることもある)は、三次元の物体が成形型から完全に分離した状態、又は穏やかな振動によって取り外すことができるように、ほんの軽く成形型に取り付けられている状態、のいずれかであることを意味する。
【0033】
本明細書で使用するとき、「積層された」は、少なくとも2成分層を、層のうちの1層の1つの面の少なくとも一部分が、第2の層の第1の面と接触するように、互いに近接して配置することを意味する。いくつかの実施例では、接着のためであれ、又は他の機能のためであれ、コーティングが2つの層の間に存在してよく、これらの層はそのコーティングを通じて互いに接触している。
【0034】
本明細書で使用するとき、「トレース」は、回路部品を接続できる通電素子部品を指す。例えば、回路トレースは、基板がプリント回路基板である場合、銅又は金を含むことができ、典型的には、フレックス回路内の銅、金、又は印刷された膜であり得る。特殊な種類の「トレース」は、集電体である。集電体は電気化学的適合性を有するトレースであり、この電気化学的適合性により、集電体は、電解質の存在下でアノード又はカソードとの間で電子を伝達する際に使用するのに適したものとなる。
【0035】
本明細書に示される方法及び装置は、平面状又は三次元の生体適合性装置内又はその上に含めるための生体適合性通電素子を形成することに関する。特定分類の通電素子は、層状に製造される電池であってよい。層は、積層として分類され得る。このようにして形成された電池は、薄層電池に分類され得る。
【0036】
本開示による電池を組み立てて構成する方法には他の例が存在する場合があり、そのうちのいくつかを以下の項に記載することができる。しかしながら、これら実施例の多くに関して、独自のものとして説明することができる、電池の選択されたパラメータ及び特徴が存在する。以下の項では、いくつかの特徴及びパラメータに焦点が当てられる。
【0037】
生体適合性通電素子を有する例示的な生物医学的装置の構成
本開示の通電素子である電池を組み込むことができる生物医学的装置の例は、焦点を調節する電気活性のコンタクトレンズであり得る。図1Aを参照すると、このようなコンタクトレンズのインサートの一例が、コンタクトレンズのインサート100として図示され得る。このコンタクトレンズのインサート100には、制御電圧に応答して焦点特性の変化を調整することができる電気活性素子120が存在し得る。こうした制御用電圧信号を提供し、かつ、外部制御信号の環境感知を制御するなどの他の機能も同様に提供する回路105は、生体適合性電池素子110によって給電されることができる。図1Aに図示されるように、電池素子110は、複数の主要部品(この場合3個の部品)として見出すことができ、既に述べた電池化学素子の種々の構成を含んでいてよい。電池素子110は、相互接続領域114の下に描くことができる部品を結合するための、様々な相互接続特徴部を有し得る。電池素子110は、それ自体の基板111を有していてよい回路素子に接続されてよく、基板111上には相互接続特徴部125が位置付けられていてよい。回路105(集積回路の形態であってもよい)は、基板111及びその相互接続特徴部125に電気的及び物理的に接続してもよい。
【0038】
図1Bを参照すると、コンタクトレンズ150の断面のレリーフ図は、コンタクトレンズのインサート100及び論じられているその構成要素とを含み得る。コンタクトレンズのインサート100は、コンタクトレンズヒドロゲル155のスカート内に封入され得、このスカートはインサート100を封入し、かつコンタクトレンズ150とユーザーの目との快適な境界面を提供してよい。
【0039】
本開示の概念を参照すると、電池素子は、図1Cに図示されるような二次元形態に形成されてもよい。この図では、電池構成要素165の領域内の電池セルの2つの主要な領域と、電池化学素子160の領域内の第2の電池構成要素とが存在し得る。図1Cに平型形状で図示されている電池素子は、回路素子163に接続されていてよく、図1Cの例においてこの素子は、2つの主要回路領域167を含み得る。回路素子163は、電気接点161及び物理的接点162において電池素子に接続することができる。平面構造は、本発明において既に説明したように三次元円錐構造に折り畳まれてもよい。このプロセスでは、第2の電気接点166及び第2の物理的接点164を使用して、三次元構造を接続し物理的に安定化させることができる。図1Dを参照すると、この三次元円錐構造180を示す図を見出すことができる。物理的及び電気接触点181もまた見出すことができ、この図は、得られた構造体の三次元表示と見なすことができる。この構造体は、レンズインサートと共に生体適合性装置に組み込まれる、モジュール化された電気及び電池構成要素を含んでいてよい。
【0040】
セグメント化された電池配列
図2を参照すると、コンタクトレンズタイプの実施例のための例示的な電池素子の、異なるタイプのセグメント化された電池配列の実施例が示されている。セグメント化された構成要素は、比較的円形状271、正方形状272、又は矩形状であってよい。矩形状の例では、矩形は、小さい矩形形状273、より大きい矩形形状274、又は更に大きい矩形形状275であり得る。
【0041】
カスタム形状の平型電池素子
生体適合性電池のいくつかの実施例では、電池は平型素子として形成されてもよい。図3Aを参照すると、電池素子の矩形の輪郭310の例は、アノード接続部311及びカソード接続部312と共に図示され得る。図3Bを参照すると、電池素子の円形の輪郭330の例は、アノード接続部331及びカソード接続部332と共に図示され得る。
【0042】
平型に形成された電池のいくつかの例では、電池形状の輪郭は、カスタム製品に合うように、三次元的及び幾何学的に構成され得る。矩形又は円形の輪郭の実施例に加えて、「自由形態」又は「自由形状」のカスタム輪郭を形成してもよく、これにより、電池の構成を、所与の製品内に収まるように最適化することが可能となり得る。
【0043】
可変光学素子の例示的な生物医学的装置の場合、平型輪郭の「自由形態」の例は、弓状形態であり得る。自由形態とは、三次元形状に形成されたときに、コンタクトレンズの制限領域内にフィットする円錐形環状スカートの形態をとるような幾何学的形状であり得る。医療用装置が二次元又は三次元形状という限定的要件を有する場合には、同様の有利な幾何学的形状が形成されてもよいことは明らかであり得る。
【0044】
電池の生体適合性の側面
一例として、本開示による電池は、安全性及び生体適合性に関する重要な側面を有し得る。いくつかの例では、生物医学的装置は、典型的な使用例で求められるシナリオ以上の要件を満たす必要があり得る。いくつかの例では、設計的側面は、ストレスを与える事象に関連するものが考えられる。例えば、電子コンタクトレンズの安全性は、レンズの挿入又は取り外しの際にユーザーがレンズを破壊した場合を考慮する必要があり得る。別の例では、設計的側面は、ユーザーの目に異物が当たる可能性を考慮してもよい。設計のパラメータ及び制約を生じさせ得ると考えられるストレスの多い状況の更なる例は、非限定的な例では、水中環境又は高地環境のような厳しい環境においてユーザーがレンズを装着する可能性に関する場合がある。
【0045】
こうした装置の安全性は、装置を作製する材料、装置を製造する際に使用するこうした材料の量、更には、周囲環境又は体内環境から装置を隔てるために適用されるパッケージの影響を受ける場合がある。一例において、ペースメーカーは、電池を含む場合があり、かつ長期間にわたってユーザーの体内に埋め込まれる可能性がある、典型的な種類の生物医学的装置であり得る。したがって、いくつかの例では、そのようなペースメーカーは、典型的には、溶接されたチタン気密容器で、又は他の例では、複数の封入層でパッケージ化される。新たに出現した電動式生物医学的装置は、パッケージング(特に電池パッケージング)に関する新たな課題を提示し得る。こうした新たな装置は、既存の生物医学的装置よりもかなり小さい場合があり、例えば、電子コンタクトレンズ又はピルカメラは、ペースメーカーよりも大幅に小さい場合がある。そのような例では、パッケージングのために利用可能な体積及び面積は、大幅に減少する可能性がある。
【0046】
超小型電池の電気的要件
設計の際に考慮すべき別の分野は、電池によって提供され得る、装置の電気的要件に関する場合がある。適切な電池は、医療用装置の電源として機能するために、システムが非接続モード又は外部給電されていないモードで動作しているときの全ての電気的要件を満たす必要があり得る。接続されない又は外部給電されない生物医学的装置の新興分野は、例えば、視力矯正コンタクトレンズ、健康状態監視装置、ピルカメラ、及び新型装置を含むことができる。集積回路(IC)技術における近年の進歩により、非常に低い電流レベル(例えば、ピコアンペアの待機電流及びマイクロアンペアの動作電流)での有意義な電気的操作が可能となり得る。集積回路は、微小装置を可能にすることもできる。
【0047】
生物医学的用途用の超小型電池は、多くの困難な要件を同時に満たすことが要求される場合がある。例えば、超小型電池は、組み込まれている電気回路に適した動作電圧を供給する能力を有することが要求される場合がある。この動作電圧は、ICプロセス「ノード」、回路から別の装置への出力電圧、及び特定の消費電流目標値(これは、所望の装置寿命にも関連する場合がある)などのいくつかの要因の影響を受け得る。
【0048】
ICプロセスに関して、ノードは、トランジスタにおける「いわゆる」チャネルなどの、トランジスタの最小機能部寸法によって差別化され得る。この物理的特徴部は、他のIC製造パラメータ(ゲート酸化膜厚など)と共に、所与のプロセスノードに製造された電界効果トランジスタ(FET)の、得られる「ターンオン」時定格標準、又は「閾値」電圧と関連付けることができる。例えば、最小特徴寸法が0.5マイクロメートルのノードでは、FETのターンオン電圧は5.0Vであることが通常であり得る。しかしながら、90nmの最小特徴寸法では、FETは、1.2、1.8、及び2.5Vでターンオンし得る。IC製造工場は、ある特定の電圧範囲での使用に特徴付けられ、定格を定められた、例えばインバーターやフリップフロップのようなデジタルブロックの標準的なセルを供給し得る。設計者は、デジタル素子の密度、アナログ/デジタル混合信号素子、リーク電流、配線層、及び高圧FETのような特殊素子のアベイラビリティといったいくつかの要因に基づいて、ICプロセスノードを選択する。超小型電池から電力を引き出すことができる電気部品のこうしたパラメータに関する側面を前提として、超小型電池の電源を、特に利用可能な電圧及び電流の点で、選択したプロセスノード及びIC設計の要件に一致させることが重要となり得る。
【0049】
いくつかの例では、超小型電池により給電される電気回路は、他の装置に接続されてもよい。非限定的な例において、超小型電池により給電される電気回路は、作動装置又は変換器に接続されてもよい。こうした装置としては、用途に応じて、発光ダイオード(LED)、センサ、微小電気機械システム(MEMS)ポンプ、又は多くの他のこのような装置を挙げることができる。いくつかの例では、このような接続される装置は、一般的なICプロセスノードよりも高い動作電圧を必要とし得る。例えば、可変焦点レンズは、起動するために35Vを必要とし得る。したがって、電池が提供する動作電圧は、そのようなシステムを設計する上での重要な考慮事項となり得る。この種の考慮事項のいくつかの例では、1Vの電池から35Vを生成するレンズ駆動装置の効率は、2Vの電池で動作する場合に得られるであろう効率と比べて明らかに低い。ダイ寸法などの更なる要件も、超小型電池の作動パラメータを考慮すると、著しく異なる場合がある。
【0050】
個々の電池セルは、一般的に、開回路電圧、負荷時電圧、及びカットオフ電圧が規定され得る。開回路電圧は、負荷抵抗が無限大の状態の電池セルによって生成される電位である。負荷時電圧は、適切かつ通常の規定負荷インピーダンスがセル端子間に加えられた状態でセルによって生成される電位である。カットオフ電圧は、典型的には、ほとんどの電池が放電された状態となる電圧である。カットオフ電圧は、有害な影響(過剰なガスの発生など)を回避するために、それ以下になると電池が放電されるべきではない電圧、又は放電度合いを表すことができる。カットオフ電圧は、典型的には、電池自体だけでなく、電池が接続されている回路(例えば、電子回路の最小動作電圧)の影響を受け得る。1つの実施例では、アルカリ電池は、1.6Vの開回路電圧、1.0〜1.5Vの範囲の負荷時電圧、及び1.0Vのカットオフ電圧を有し得る。所与の超小型電池セル設計の電圧は、採用するセル化学物質の他の要因により異なる場合がある。したがって、異なるセル化学物質は、異なるセル電圧を有してよい。
【0051】
セルを直列に接続して電圧を増加させてもよいが、この組み合わせは、サイズ、内部抵抗、及び電池複雑さに対する代償を伴う場合がある。またセルを並列構成で結合して、抵抗を減少させて容量を増加させてもよいが、このような組み合わせは、サイズと貯蔵寿命の代償となり場合がある。
【0052】
電池容量は、電池が一定期間の間電流を供給する、又は仕事を行う能力であってよい。電池容量は、典型的には、マイクロアンペア時間などの単位で指定することができる。1マイクロアンペアの電流を1時間供給することができる電池は、1マイクロアンペア時間の容量を有する。容量は、典型的には、電池装置内の反応物質の質量(したがって体積)を増加させることによって増加させられ得る。しかしながら、生物医学的装置は利用可能な体積に対して著しく制約される場合があることが理解され得る。電池容量はまた、電極及び電解質材料の影響を受け得る。
【0053】
電池が接続される回路の要件に応じて、電池は、ある値の範囲にわたる電流を流入させることを要求される場合がある。実際に使用する前の保管中、ピコアンペア〜ナノアンペア程度のリーク電流が、回路、相互接続部、及び絶縁体を通って流れる場合がある。回路は、アクティブ動作中、センサをサンプリングする、タイマーを動作させる、及びそのような低消費電力機能を実行するために、零入力電流を消費し得る。零入力電流消費は、ナノアンペアからミリアンペア程度であり得る。回路はまた、例えば、フラッシュ・メモリに書き込む又は無線周波数(RF)で通信する場合に、より大きなピーク電流を要求してもよい。このピーク電流は、数十ミリアンペア以上に及んでもよい。超小型電池装置の抵抗及びインピーダンスもまた、設計考慮事項にとって重要であり得る。
【0054】
有効寿命は、典型的には、電池が保管に耐え、かつ依然として有用な作動パラメータを維持することができる期間を指す。有効寿命は、いくつかの理由から、生物医学的装置にとって特に重要であり得る。電子素子は、例えば、電子コンタクトレンズが導入される場合のように、無動力の装置に取って代わる可能性がある。こうした既存の市場空間における製品は、消費者、サプライチェーン、及びその他の要件に起因して、確立された有効寿命要件(例えば、3年)を有している場合がある。そのような規格は新しい製品のために変更されないということが、典型的には望ましい場合がある。有効寿命要件はまた、超小型電池を有する装置の流通方法、在庫管理方法、及び使用方法に従って設定されてもよい。したがって、生物医学的装置用超小型電池は、例えば年数で表すことができる具体的な有効寿命要件を有していてもよい。
【0055】
いくつかの実施例では、三次元の生体適合性通電素子は再充電可能であってよい。例えば、三次元表面上には、更に誘導コイルが製造されていてもよい。次いで、誘導コイルは、無線周波数(「RF」)フォブで通電されてもよい。誘導コイルは、三次元の生体適合性通電素子に接続されて、RFが誘導コイルに印加されると通電素子が再充電されてよい。別の例では、太陽電池もまた三次元表面上に製造され、三次元の生体適合性通電素子に接続されてよい。太陽電池が光、つまり光子に曝露されると、電子を生じさせて、通電素子を再充電する。
【0056】
いくつかの例では、電池は、電気システムに電気的エネルギーを供給する働きをしてもよい。こうした例では、電池は、電気システムの回路に電気的に接続されてよい。回路と電池との間の接続は、相互接続に分類され得る。こうした相互接続は、いくつかの要因により、生物医学超小型電池にとってますます困難になっている。いくつかの例では、電動式生物医学的装置は非常に小さいので、相互接続のための面積及び容積がほとんどない場合がある。寸法及び面積の制約は、相互接続部の電気抵抗及び信頼性に影響を与え得る。
【0057】
その他の点において、電池は、高温で沸騰し得る液体電解質を収容していてもよい。この制約は、例えば、溶融するために比較的高温(250℃)を必要とし得るはんだ相互接続を用いたいという要望と、直接的に相克する。しかしながらいくつかの例では、電解質を含む電池化学物質と、はんだベースの相互接続を形成するために使用する熱源とは、互いに空間的に隔てられてもよい。新たに登場した生物医学的装置の場合、寸法が小さいことから、熱伝導を低減するために電解質とはんだ接合部とを十分な距離だけ隔てることが不可能であり得る。
【0058】
相互接続
相互接続により、外部回路と接続された電池との間を電流が流れることができてもよい。そのような相互接続は、電池の内部環境及び外部環境と接続することができ、これら環境の間の境界又は封止部を越えることができる。こうした相互接続は、外部回路との接続を形成し、電池封止部を通過した後、電池内の集電体と接続するトレースと見なすことができる。そのため、こうした相互接続はいくつかの要件を有し得る。電池外部において、相互接続は、典型的なプリント回路トレースに類似していてもよい。トレースは他のトレースとはんだ付けされるか、ないしは別の方法で接続されてよい。電池が、集積回路を含む回路基板とは別の物理的要素である例では、電池相互接続により外部回路との接続が可能となってもよい。この接続は、はんだ付け、導電性テープ、導電性インク若しくは導電性エポキシ、又は他の手段で形成されてもよい。相互接続トレースは、電池外部の環境に耐える(例えば、酸素の存在下で腐食しない)必要があり得る。
【0059】
相互接続部は電池封止部を貫通するので、相互接続が封止部と共存し、かつ封止を可能にすることが非常に重要であり得る。封止部と電池パッケージとの間で必要となり得る接着に加えて、封止部と相互接続部との間の接着が必要となり得る。電池内部の電解質及び他の材料の存在下では、封止完全性が維持される必要があり得る。相互接続部は、典型的には金属性であり、電池パッケージングの破損点として知られている場合がある。電位及び/又は電流の流れにより、電解質が相互接続部に沿って「クリープ」する傾向が増大する場合がある。したがって、相互接続は、封止完全性を維持するように設計する必要があり得る。
【0060】
電池内部において、相互接続は、集電体と相互作用してもよく、又は集電体を実際に形成してもよい。この点で、相互接続は、本明細書に記載する集電体の要件を満たす必要があり得、又は、かかる集電体と電気的接続を形成する必要があり得る。
【0061】
相互接続部及び集電体の候補となる1つの分類は、金属箔である。そのような金属箔は、25マイクロメートル以下の厚さで利用可能であり、この厚さにより金属箔は、非常に薄型の電池に適したものとなる。そのような箔はまた、低表面粗さ及び低汚染の状態で得ることができ、これら2つの要素は電池性能にとって重要であり得る。箔としては、亜鉛、ニッケル、黄銅、銅、チタン、他の金属、及び種々の合金を挙げることができる。
【0062】
電解質
電解質は、電極の化学物質の間で生じる化学反応を促進する、電池の構成要素である。典型的な電解質は、電極に対して電気化学的に活性であってもよく、例えば、酸化還元反応を生じさせる。いくつかの例では、この重要な電気化学的活性は、生体適合性である装置を作る上での課題を生じさせる場合がある。例えば、水酸化カリウム(KOH)は、アルカリ電池でよく使用される電解質であり得る。この物質は、高濃度で高いpHを有し、様々な生体組織に対して不都合に作用する場合がある。一方、いくつかの例では、電気化学的に活性の低い電解質を使用することができる。
【0063】
しかし、これらの材料は、典型的には、セル電圧の低下やセル抵抗の増加など、電気的性能を低下させることがある。したがって、生物医学超小型電池の設計及びエンジニアリングの重要な側面の1つは、電解質であり得る。電解質は、電気的要件を満たすのに十分なほど活性であると同時に、身体内又は身体上で使用しても比較的安全であるのが望ましくあり得る。
【0064】
様々な試験シナリオを用いて、生体細胞に対する電池構成要素(特に電解質)の安全性を判定することができる。これら試験の結果を、電池パッケージの試験と共に用いることにより、要件を満たすことができる電池システムのエンジニアリング設計が可能となり得る。例えば、電動式コンタクトレンズを開発する場合、電池電解質をヒト角膜細胞モデル上で試験してもよい。こうした試験は、電解質濃度、暴露時間、及び添加剤に関する実験を含み得る。こうした試験の結果は、細胞代謝及び他の生理学的側面を示す場合がある。試験はまた、動物及びヒトに対する生体内試験を含んでもよい。
【0065】
本発明で使用する電解質は、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、酢酸アンモニウム、及び塩化アンモニウムを、約0.1パーセント〜50パーセント(及び非限定的な実施例において、およそ25%であり得る)の質量濃度で含んでいてもよい。具体的な濃度は、電気化学的活性、電池性能、貯蔵寿命、封止完全性、及び生体適合性に依存する場合がある。
【0066】
いくつかの例では、電池システムの組成物中で数種類の添加剤を使用してもよい。添加剤を電解質ベースに混入させて、電解質ベースの特性を変化させてもよい。例えば、寒天などのゲル化剤は、電解質が包装から漏れ出す能力を低下させることができ、それにより安全性高くなる。例えば、望ましくない亜鉛アノードの電解質中への溶解を低減させることによって有効寿命を長くするために、腐食防止剤を電解質に添加してもよい。こうした防止剤は、電池の安全性プロファイルに良い及ぼす場合と悪い影響を及ぼす場合とがある。例えば、電解質がセパレータを濡らすことができるように、又は電解質を電池パッケージ内に充填することができるように、湿潤剤又は界面活性剤を添加してもよい。この場合も同様に、こうした湿潤剤は安全性にとって良い場合と悪い場合とがある。電解質に界面活性剤を添加することにより、セルの電気インピーダンスが増大させることができる。したがって、所望の湿潤性又は他の特性を達成できる下限濃度の界面活性剤を使用すべきである。例示的な界面活性剤としては、0.01パーセント〜2パーセントの濃度の、Triton(商標)X−100、Triton(商標)QS44、及びDowfax(商標)3B2を挙げることができる。
【0067】
生物医学超小型電池の安全性プロファイルを飛躍的に改善することができる新規な電解質も登場してきている。例えば、ある種類の固体電解質は、好適な電気的性能を提供しながらも、漏れに対する耐性を本来的に有している場合がある。
【0068】
「塩水」電解液を使用する電池は、海上で使用するための保存型電池内で一般的に使用される。魚雷、ブイ、及び非常時用照明は、こうした電池を使用する場合がある。保存型電池は、活性物質、電極、及び電解質が、使用時まで分離されている電池である。この分離により、セルの自己放電は大幅に低減され、有効寿命は大幅に延長される。塩水電池は、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、銅、スズ、二酸化マンガン、及び酸化銀などの様々な電極材料から設計されてもよい。電解質は、実際の塩水であってもよく(例えば、接触すると電池が海水で満たされる)、又は特別にエンジニアリングされた生理食塩水製剤であってもよい。このタイプの電池は、コンタクトレンズに特に有用であり得る。生理食塩電解液は、水酸化カリウム及び塩化亜鉛のような古典的な電解質より優れた生体適合性を有し得る。コンタクトレンズは「包装用溶液」内で保存され、このパッケージ用溶液は、典型的には、塩化ナトリウムと、おそらくは他の塩及び緩衝剤との混合物である。この溶液は、亜鉛アノード及び二酸化マンガンカソードと組み合わされる電池電解質であることが明らかにされている。他の電解質と電極の組み合わせが可能である。「塩水」電池を使用するコンタクトレンズは、塩化ナトリウム系電解質、包装用溶液、又は更には涙液と類似した特別にエンジニアリングされた電解質を含んでいてもよい。そのような電池は、例えば、包装用溶液により活性化され、目に対する開口部を維持し、ヒトの涙に暴露された状態で動作を継続させる。
【0069】
より涙に類似した電解質を使用することによる、又は実際に涙を使用することによる生体適合性に関する考えられる利益に加えて、あるいはその代わりに、注液電池を使用して、コンタクトレンズ製品の有効寿命要件を満たしてもよい。典型的なコンタクトレンズの保存期間は3年以上と指定されている。この期間は、パッケージが小さくて薄い電池にとっては課題となる要件である。コンタクトレンズにおいて使用するための注液電池は、図1及び図3に示すものと類似の設計を有し得るが、電解質は製造時に加えられなくてもよい。電解質は、コンタクトレンズ内部のアンプル内に保存されて、電池に接続されてもよく、又は電池を取り囲む生理食塩水を電解質として使用してもよい。コンタクトレンズ及び電池パッケージの内部には、ユーザーがレンズを起動させるまで電解質を電極から分離するために、弁又はポートが設計されてもよい。グロースティックを起動するのと同様に、コンタクトレンズの縁部を単につまむなどしてコンタクトレンズが起動されると、電解質は、電池に流入して、電極間にイオン経路を形成することができる。これにより、電解質が1回だけ移送されてもよく、又は電池が継続的な拡散に暴露されてもよい。
【0070】
電池システムによっては、化学反応の間に電解質を使用又は消費するものもあり得る。したがって、一定量の電解質をエンジニアリングして、パッケージ化されたシステムに入れることが必要であり得る。この電解質は、セパレータ又はリザーバを含む様々は場所に格納され得る。
【0071】
いくつかの例では、電池システムの設計は、電池システムの放電容量を制限するように機能し得る部品(1又は複数)を含んでもよい。例えば、アノード、カソード、又は電解質の材料及び材料の量を、電池システムの反応過程の間にそれらのうちの1つを最初に使い切るように設計するのが望ましい場合がある。そのような例では、アノード、カソード、又は電解質のうちの1つを使い切ることにより、問題となる放電及び副反応が生じる可能性が低減され、これらがより低い放電電圧で起きないようにすることができる。こうした問題となる反応は、例えば、安全性及び他の要因を損なう可能性のある過剰なガス又は副生成物を生成し得る。
【0072】
モジュール化された電池構成要素
いくつかの例では、モジュール化された電池構成要素は、本発明のいくつかの態様及び実施例に従って形成され得る。こうした実施例では、モジュール化された電池アセンブリは、生物医学的装置の他の部品とは別個の構成要素であってよい。眼科用コンタクトレンズ装置の実施例では、かかる設計は、媒体インサートの残りの部分から分離された、モジュール化された電池を有してもよい。モジュール化された電池構成要素を形成することによる利点は数多く存在し得る。例えば、コンタクトレンズの実施例では、モジュール化された電池構成要素は、別個の非一体的なプロセスで形成され、それにより、三次元に形成された剛性光学樹脂部品を処理する必要性が軽減され得る。加えて、複数の供給メーカーをよりフレキシブルに選択することができ、この複数の供給メーカーは、生物医学的装置内部の他の部品の製造とより平行したやり方で、作業を行うことが可能である。更に、モジュール化された電池構成要素の製造を、三次元(3D)形状に成形される装置の特徴と切り離すことができる。例えば、最終的に三次元形態である必要がある用途では、モジュール化された電池システムは、平坦に、又はおおよそ二次元的(2D)全体像で製造された後、適切な三次元形状に成形されてもよい。モジュール化された電池構成要素は、残りの生物医学的装置とは独立に試験することができ、また、電池構成要素は組み立て前に選別される場合があるので、ロスが生じる場合がある。得られたモジュール化された電池構成要素は、上に電池構成要素を形成することができる適切な剛性領域を有さない様々な媒体インサート構造体内で使用することができ、更なる実施例では、モジュール化された電池構成要素の使用は、普通であれば用いることができる製造技術(例えば、ウェブベースの技術(ロールツーロール処理)、シートベースの技術(シートツーシート処理)、プリント処理、リソグラフィ処理、及び「スキージ」処理など)とは異なる選択肢の活用を促進することができる。モジュール化された電池のいくつかの実施例では、かかる装置は個別に収容されるという側面を有するので、生物医学的装置の構造全体に追加材料が加えられることになり得る。そうした影響は、利用可能な空間パラメータが溶液の最小の厚さ及び容積を必要とする場合に、モジュール化電池溶液の使用に制約を課する場合がある。
【0073】
電池の形状要件は、少なくとも一部には、電池を使用する用途によって決定されてもよい。従来の電池形状因子は、金属で製造された円筒形又は四角柱であり得、長期間にわたり大量の電力を必要とする製品を対象にしている場合がある。こうした用途は、形状因子の大きい電池を含むことができる程度に十分に大きくてもよい。別の実施例では、平型(2D)固体電池は薄い四角柱であり得、典型的には非可撓性のシリコン又はガラス上に形成される。こうした平型固体電池は、いくつかの例では、シリコンウェハ加工技術を用いて形成され得る。電池形状因子の別の種類では、低出力のフレキシブル電池は、薄箔又はプラスチックを使用して袋状構造物に形成されて、電池化学物質を封じ込めることができる。こうした電池は平型(2D)とすることができ、緩やかな面外(3D)湾曲状に曲げられたときに機能するように設計され得る。
【0074】
電池が可変視覚レンズ内で使用され得る本発明の電池用途例のいくつかにおいて、形状因子は、電池構成要素の三次元的な湾曲を必要とする場合があり、この湾曲の曲率半径は約8.4mm程度であり得る。そのような湾曲特性は比較的急であると考えることができ、参考までに、ヒトの指先に見られるタイプの湾曲に近似し得る。比較的急な湾曲特性により、製造側面において課題が生じる。本発明のいくつかの実施例では、モジュール化された電池構成要素は、平坦で二次元的に製造された後、比較的曲率の高い三次元形態に形成されるように設計され得る。
【0075】
電池モジュールの厚さ
生物医学的用途用の電池構成要素を設計する際には、様々なパラメータの兼ね合いを図って、技術的な要件と、安全要件と、機能要件とのバランスをとってもよい。電池構成要素の厚さは、重要かつ制約的なパラメータであり得る。例えば、光学レンズ用途では、ユーザーが快適に装着できる装置の能力は、生物医学的装置全体の厚さにクリティカルな依存を有し得る。したがって、電池をより薄く設計する際のクリティカルで実現可能な側面が存在し得る。いくつかの例では、電池の厚さは、上部シートと、底部シートと、スペーサシートを合わせた厚さ、及び接着剤層の厚さによって決定されてもよい。実際の製造態様は、膜厚のある種のパラメータを、使用可能なシート在庫の標準値に決定してもよい。加えて、膜は、厚さの最小値を有していてもよく、化学的適合性、湿気/ガス不透性、表面仕上げ、及び膜層上に堆積することができるコーティングとの適合性に関する技術的考慮事項に基づき、フィルムをこの値に特定してもよい。
【0076】
いくつかの例では、完成した電池構成要素の望ましい又は目標とする厚さは、220μm未満である構成要素厚であってよい。こうした例では、この望ましい厚さは、エンドユーザーの快適性、生体適合性、及び容認に関する制約を前提として、ヒドロゲルレンズ形状によって規定される利用可能な容積内部に電池構成要素を挿着する必要があり得る、例示的な眼用レンズ装置の三次元形状によって決定され得る。この容積及びこの容積が電池構成要素の厚さの必要性に与える影響は、装置全厚に関する仕様、並びに装置の幅、円錐角、及び内径に関する装置仕様の関数であってよい。得られる電池構成要素の設計に関する別の重要な設計考慮事項は、結果として得られる化学エネルギー(これは設計に起因し得る)に関してなされる電池構成要素の所与の設計において、活性電池化学物質及び材料が使用可能な容積に関連し得る。次いで、この結果として得られる化学エネルギーと、機能的生物医学的装置の、目標寿命及び動作条件に関する電気的要件とのバランスをとってもよい。
【0077】
電池モジュールの可撓性
電池の設計、及び電池をエネルギー源として利用する関連装置の設計と関係する別の側面は、電池構成要素の可撓性である。可撓性の電池形態によって与えられる利点は数多く存在し得る。例えば、可撓性の電池モジュールは、電池形態を二次元(2D)平面形態に形成するという前述の能力を容易にすることができる。形態の可撓性により、二次元の電池を、後に、コンタクトレンズなどの生物医学的装置内にフィットする適切な3D形状に形成することが可能となり得る。
【0078】
電池モジュールの可撓性により得ることができる利益の別の例において、電池及びそれに続く装置が可撓性である場合には、装置の使用に関連した利点が存在し得る。一例では、コンタクトレンズの形態の生物医学的装置は、媒体インサートベースのコンタクトレンズの挿入/取り外しが、非充填型の標準的なヒドロゲルコンタクトレンズの挿入/取り外しに近い場合があるという利点を有し得る。
【0079】
曲げ回数は、電池のエンジニアリングにとって重要であり得る。例えば、平面形態からコンタクトレンズにとって好適な形状へと1回だけ曲がることができる電池は、複数回曲がることができる電池と有意に異なる設計を有し得る。電池の曲げが、曲げ事象を機械的に乗り越える能力を超える場合もある。例えば、電極は、破損せずに物理的に曲げ可能であり得るが、電極の機械的及び電気化学的特性は、曲げにより変化する場合がある。曲げによって誘発される変化は、例えば、インピーダンスへの変化としてすぐに現れる場合もあり、又は、曲げは、長期に及ぶ有効寿命試験においてのみ明らかとなる変化を誘発する場合もある。
【0080】
電池モジュールの幅
本発明の生体適合性通電素子又は電池をその中で使用することができる多くの用途が存在し得る。広くは、電池の幅の要件は、主に、電池が適用される用途に応じて異なり得る。例示的なケースとして、コンタクトレンズの電池システムは、モジュール式電池構成要素の幅に関する仕様に対する、制約付きニーズを有し得る。装置が電池構成要素により給電される可変光学機能を有する眼科用装置のいくつかの例では、装置の可変光学部分は、直径約7.0mmの中央球面領域を占めてもよい。例示的な電池素子は、中央光学系の周囲に環円錐状スカートとしてフィットする三次元物体と考えることができ、切頭円錐状のリングに形成されることができる。必要とされる剛性インサートの最大直径が直径8.50mmであり、ある特定の直径(例えば、おおよそ直径8.40mm)の球体に接触することが目標であり得る場合には、形状が電池の可能な許容幅を決定し得る。得られる形状の望ましい仕様を計算するのに有用であり得る形状モデルが存在してもよく、これは、いくつかの例では、円環の扇形になるように平坦化された円錐台と呼ばれる場合もある。
【0081】
平坦化された電池の幅は、電池素子の2つの特徴である活性電池構成要素及び封止幅によって決定され得る。眼科用装置に関連したいくつかの例では、ターゲット厚は、片面当たり0.100mm〜0.500mmであってよく、活性電池構成要素のターゲット幅はおよそ0.800mmであってよい。他の生物医学的装置は異なる設計制約を有していてもよいが、可撓性平型電池素子の原理を同じように適用することが可能である。
【0082】
電池構成要素の設計における設計要素としてのキャビティ
いくつかの例では、電池素子は、活性電池化学物質の領域を分割するやり方で設計されてもよい。活性電池構成要素を個別のセグメントに分割することにより、多くの利点を得ることができる。非限定的な例において、製作する素子を個別で比較的小さくすることにより、こうした素子の製造を容易にすることができる。多数の比較的小さい素子を含む電池素子の機能を改善することができる。様々な種類の不具合をセグメント化することができ、機能しない素子を隔離することにより、場合によっては、機能の喪失を減少させることができる。これは、電池電解質の減少が生じ得る例に関連し得る。個別化された構成要素を隔離することにより、電池の重要領域からの電解質の漏れを生じさせる不具合を、電池素子全体のうちの小さなセグメントの機能低下に限定することができる一方、この不具合による電解質の減少は、単一セルとして構成された電池における著しく大きな領域を空にする可能性がある。セルを小さくすることにより、総じてみると、活性電池化学物質の量は低減することになり得るが、こうした小さいセルそれぞれを取り囲む材料の網目は、結果として全体構造を強化することができる。
【0083】
電池素子の内部封止
生物医学的装置において使用するための電池素子のいくつかの例では、電池の化学作用は水溶性化学を含み、その場合、水又は水分は制御すべき重要な構成成分となる。したがって、電池本体から出入りする水分の移動を遅らせる又は防止する封止機構を組み込むことが重要であり得る。防湿バリアは、内部の水分レベルを、ある程度の許容差範囲内で、設計されたレベルに維持するように設計され得る。いくつかの例では、防湿バリアを2つのセクション又は構成要素に分割してもよい。すなわち、パッケージと封止部である。
【0084】
パッケージは、エンクロージャの主要材料を指すことができる。いくつかの例では、パッケージはバルク材を含んでもよい。水蒸気透過率(WVTR)は性能を表す指標であってもよく、試験中に影響を与える環境条件を含む試験手順は、ISO、ASTM規格により制御される。理想的には、良好な電池パッケージの水蒸気透過率(WVTR)は「ゼロ」であり得る。水蒸気透過率(WVTR)がゼロに近い例示的な材料は、ガラス及び金属箔であり得る。一方で、プラスチックは、本質的に、水分に対して浸透性であり得、プラスチックの種類によって有意に異なり得る。エンジニアリングされた材料、積層体、又は共押出物は、通常、一般的なパッケージ材料の混成物であってよい。
【0085】
封止部は、2つのパッケージ表面間の境界面であってよい。封止部の表面を接続することにより、パッケージと共にエンクロージャを仕上げる。多くの例において、封止設計の特性により、封止部の水蒸気透過率(WVTR)の特性評価が困難である場合があり、その理由は、サンプルの寸法又は表面積がこうした手順に適合しない場合があるので、ISO又はASTM規格を用いて測定を行うのが困難であることによる。いくつかの例では、封止完全性を試験するための実践的な方法は、実際の封止設計の、いくつかの定義された条件についての機能試験であり得る。封止性能は、封止材料、封止厚、封止長、封止幅、及びパッケージ基材に対する封止部の接着又は密着性の関数であり得る。
【0086】
いくつかの例では、封止部は、熱加工、レーザー加工、溶媒加工、摩擦加工、超音波加工、又はアーク加工を含み得る溶接法によって形成されてもよい。他の例では、封止部は、粘着剤、エポキシ、アクリル、天然ゴム、及び合成ゴムなどの接着封止剤を使用して形成されてもよい。他の例では、ガスケットタイプの材料を利用することにより得てもよく、該材料は、非限定的な例を挙げると、コルク、天然及び合成ゴム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン、及びシリコーンから形成され得る。
【0087】
いくつかの例では、本発明による電池は、特定の動作期間を有するように設計されてもよい。作動期間は、特定の電池システムを用いて得ることができる実際の水分透過量を測定した後、そのような水分の漏れがいつ電池の寿命末期状態をもたらし得るのかを推定することによって、推定することができる。例えば、電池が湿潤環境において保存される場合には、電池の外側と内側の分圧差は最小となるので、水分損失率は低くなり、したがって電池の寿命は長くなる。非常に乾燥して熱い環境において保存される同じ例示的な電池は、水分を損失させる作用が強いので、著しく短い予想寿命を有する場合がある。
【0088】
電池素子のセパレータ
本発明に記載される種類の電池は、アノード及びアノード集電体部分を、カソード及びカソード集電体部分から物理的かつ電気的に分離するセパレータ材料を使用してもよい。セパレータは、水及び溶解した電解質成分に対して透過性である膜であってもよいが、それは、典型的には、非導電性であってもよい。無数の市販のセパレータ材料が当業者に既知であり得るが、本発明の新規な形状因子は、セパレータの選択、加工、及び取り扱いに固有の制約を提示し得る。
【0089】
本発明の設計は超薄型の輪郭を有し得るので、選択肢は、一般に入手可能な最も薄いセパレータ材料に限定され得る。例えば、厚さ約25μmのセパレータが望ましい場合がある。有利であり得るいくつかの実施例は、厚さ約12μmであり得る。条件を満たす多くの市販のセパレータが存在し得、例えば、Celgard(Charlotte,NC)製のセパレータのような、ミクロフィブリル化された微多孔性のポリエチレン単層及び/又はポリプロピレン−ポリエチレン−ポリプロピレン(PP/PE/PP)3層セパレータ膜が挙げられる。セパレータ材料の望ましい実施例は、厚さ12μmのCelgard M824 PP/PE/PP3層膜であり得る。本発明の実施例に有用なセパレータ材料の代替実施例としては、再生セルロース(例えばセロファン)を含むセパレータ膜を挙げることができる。
【0090】
PP/PE/PP3層セパレータ膜は、そのポリオレフィンの特性により、有利な厚さ及び機械的特性を有し得るが、本発明の実施例において有用とするためには克服する必要があり得るいくつかの不利な点も有し得る。PP/PE/PP3層セパレータ材料のロール又はシートは、本明細書に記載される電池に適用可能なマイクロメートルレベルの公差に悪影響を与える可能性のある、多数の皺又は他の形態のエラーを有する場合がある。更に、ポリオレフィンセパレータは、本発明の設計に含ませるためには超精密な公差で切断される必要があり得るので、個々の集電体を厳しい公差で望ましい形状に形成するための例示的な方法としてレーザー切断を行う必要があり得る。こうしたセパレータのポリオレフィンの特性により、マイクロ素子の製造に有用なある種の切断用レーザーはレーザー波長(例えば355nm)を使用する場合があるが、この波長ではポリオレフィンは切断されない。ポリオレフィンは、レーザーエネルギーを認め得るほどに吸収しないので、切断不可能である。最後に、ポリオレフィンセパレータは、本明細書に記載される電池で使用される水性電解質に対して本質的に湿潤性でない場合がある。
【0091】
しかし、ポリオレフィン系の膜に固有のこうした制限を克服するための方法が存在し得る。微多孔性セパレータ膜に高精度の切断用レーザー処理を施して、膜片をアークセグメント又は他の有利なセパレータ設計に切断するために、膜は平坦で皺のない状態である必要があり得る。こうした2つの条件を満たさない場合、入射レーザーエネルギーの焦点を合わせることができないか、あるいは別様に入射レーザーエネルギーが散乱してしまうため、切断ビームが妨げられ、それによりセパレータ膜を完全に切断することはできない。加えて、膜が平坦で皺のない状態でない場合、セパレータ膜の形状精度及び幾何公差を十分に得ることができない。現在の実施例のセパレータの許容公差は、例えば、特性長さ及び/又は半径に対して+0マイクロメートル及び−20マイクロメートルであってよい。+0マイクロメートル及び−10マイクロメートルといったより厳しい公差、更には+0マイクロメートル及び−5マイクロメートルの公差に関する利点が存在し得る。セパレータストック材料は、適切な低揮発性液体を有するフロートガラス製のキャリアにこの材料を一時的に積層することにより、平坦で皺のない状態にすることができる。セパレータ膜の脆弱性、及びセパレータ膜を接着剤層から剥離することが要求される場合がある加工時間に起因して、低揮発性液体は仮接着剤より有利であり得る。更に、いくつかの実施例では、液体を使用してフロートガラス上に平坦で皺のないセパレータ膜を得ることは、接着剤を使用するよりもはるかに容易であることが認められている。セパレータ膜は、積層する前に、粒子を含まないものとしてもよい。これは、表面に接着したあらゆる粒子を除去するために、セパレータ膜を超音波洗浄することにより達成することができる。いくつかの実施例では、セパレータ膜の取り扱いは、ラミナーフローフード又は少なくともクラス10,000のクリーンルームのような好適な低粒子環境内で行われてもよい。更に、フロートガラス基板は、適切な溶媒、超音波洗浄、及び/又はきれいなルームワイプで拭き取ることによって、粒子を含まないものとしてもよい。
【0092】
微多孔性ポリオレフィンセパレータ膜をフロートガラスキャリアに積層する機械的な目的で、多種多様な低揮発性液体を使用することができるが、別個のセパレータ形状の後続レーザー切断を容易にするために、該液体には具体的な要件が課せられる場合がある。要件のうちの1つは、液体が、セパレータ材料の孔に染み込むほど十分に低い表面張力を有し、それを目視検査で確認することができることであり得る。いくつかの実施例では、セパレータ材料は、液体が材料のミクロ細孔を充填すると、白色から半透明の外観に変化する。セパレータの調製及び切断作業にさらされることになる作業者にとって無害で「安全」であり得る液体を選択することが望ましくあり得る。加工の時間スケール(1日程度)の間に相当量の蒸発が生じないように、蒸気圧が十分に低くあり得る液体を選択することが望ましくあり得る。最後に、いくつかの実施例では、液体は、レーザー切断作業を促進することができる好都合な紫外線吸収剤を溶解するだけの十分な溶媒和力を有していてもよい。一実施例では、アボベンゾン紫外線吸収剤の12%(w/w)ベンジルベンゾエート溶液は上記要件を満たすことができ、かつ、高精度及び高い耐性で迅速に、切断用レーザービームの通過回数が過剰になることなく、ポリオレフィンセパレータのレーザー切断を促進するのに役立ち得る。いくつかの実施例では、セパレータは、8W 355nm ナノ秒ダイオード励起固体レーザーで、このアプローチを用いて切断されてもよく、その場合レーザーの設定は、低電力損失(例えば3パーセント電力)、1〜10mm/秒の適度な速度、及びレーザービームの通過は1〜3回だけとすることができる。この紫外線吸収性油状組成物は、効果的な積層及び切断加工助剤であることが証明されているが、当業者であれば他の油性製剤を想定することができ、これを制限なく使用することができる。
【0093】
いくつかの実施例では、セパレータは、フロートガラスに固定された状態で切断されてもよい。フロートガラスに固定した状態でセパレータをレーザー切断することの利点の1つは、半導体ダイがシリコンウェハ上に密に配列され得るのと同様に、非常に高い数密度のセパレータを1枚のセパレータストックシートから切断することができることである。かかるアプローチは、半導体プロセスに固有の大量生産による生産コストの削減及び並列処理の利点をもたらすことができる。更に、セパレータ膜のスクラップが生じる可能性が最小となる。セパレータが切断されたら、混和性溶媒を用いる一連の抽出工程により、油性液体である加工助剤を除去してよく、最後の抽出は、いくつかの実施例では、イソプロピルアルコールなどの高揮発性溶媒を用いて行われてもよい。個々のセパレータは、抽出が終わると、任意の好適な低粒子環境内で無期限に保管されてもよい。
【0094】
前述したように、ポリオレフィンセパレータ膜は、本質的に疎水性であり得、本発明の電池内で使用する水溶性界面活性剤に対して湿潤性を有する状態にする必要があり得る。セパレータ膜を湿潤性にするアプローチの1つは、酸素プラズマ処理であり得る。例えば、セパレータを、酸素100%のプラズマ中で、様々な電力設定及び酸素流量にて、1〜5分間処理してもよい。このアプローチは、湿潤性を一時的に改善することができるが、プラズマ表面改質は一過性の効果をもたらすことが既知であり得、この効果は、電解質溶液で確実に湿潤するのに十分なだけ長く続かない場合がある。セパレータ膜の湿潤性を改善するための別のアプローチは、膜に好適な界面活性剤を組み込むことによって表面を処理することであってよい。場合によっては、界面活性剤は親水性ポリマーコーティングと共に使用してもよく、該コーティングはセパレータ膜の孔内部に留まる。
【0095】
酸化プラズマ処理によって付与された親水性をより永続的にするための別のアプローチは、好適な親水性オルガノシランで引き続き処理することであってよい。このように、酸素プラズマを用いて、微多孔性セパレータの全表面面積全体に官能基を付与しかつ活性化することができる。次に、プラズマ処理された表面にオルガノシランを共有結合させてもよい及び/又は非共有的に付着させてもよい。オルガノシランを用いる例では、微多孔性セパレータの固有多孔性を認め得るほどに変化させることはできず、単層で表面を被覆することも可能であり、かつ望ましくあり得る。ポリマーコーティングと共に界面活性剤を組み込む従来技術の方法は、膜に塗布されるコーティングの実際の量を厳密に制御する必要があり得、したがってプロセス変動を受ける可能性がある。極端な実施例では、セパレータの孔がブロックされ、それにより電気化学セルの動作中にセパレータの有用性に悪影響が及ぶ可能性がある。本開示で有用な例示的なオルガノシランは、(3−アミノプロピル)トリエトキシシランであり得る。親水性オルガノシランは当業者に既知であり、制限なく使用することができる。
【0096】
セパレータ膜を水性電解質にして湿潤性にするための更に別の方法は、好適な界面活性剤を電解質製剤に組み込むことであり得る。セパレータ膜を湿潤性にするための界面活性剤を選択する際の考慮事項の1つは、界面活性剤が、例えば、セルの電気インピーダンスを上昇させることにより、電気化学セル内の1つ又は複数の電極の活性に与える可能性がある影響であり得る。場合によっては、界面活性剤は、特に水性電解質中のアノードが亜鉛の場合に、有利な防食性を有し得る。亜鉛は、水とゆっくり反応して水素ガスを放散させることで知られる例であり得、これは望ましくない場合がある。該反応の速度を有利なレベルまで制限する多くの界面活性剤が、当業者には既知であり得る。他の事例では、界面活性剤は亜鉛電極表面と強く相互作用するので、電池性能を阻害する場合がある。したがって、セルの電気化学的性能に悪影響を及ぼすことなくセパレータの湿潤性を確実に得ることができるように、界面活性剤の適切な種類及び充填レベルを選択する際には、多くの注意を払う必要があり得る。場合によっては、セパレータ膜に湿潤性を付与するために存在するものもあれば、亜鉛アノードに対する防食性を促進するために存在するものもるといったように、複数の界面活性剤を使用してもよい。一実施例として、セパレータ膜に親水化処理が施され、セパレータ膜を湿潤性にするのに十分な量の界面活性剤又は複数の界面活性剤が電解質配合物に添加される。
【0097】
個々のセパレータは、アセンブリ内に設計されているキャビティ、ポケット、又は構造体などの格納手段の中に直接配置することによって、超小型層状電池に組み込むことができる。望ましくは、この格納手段は、切り欠き部を有する層状構造体によって形成され得、この切り欠き部は、セパレータ形状の幾何学的オフセットであり得、アセンブリ内のキャビティ、ポケット、又は構造体となり得る。更に、格納手段は、組立中にセパレータがその上に載る出っ張り又は階段状部を有していてもよい。上記出っ張り又は階段状部は、必要に応じて、個々のセパレータを保持する感圧接着剤を有していてもよい。有利には、感圧接着剤は、例示的な超小型層状電池の他の素子を構成及び積み重ねる際に使用するものと同じであってもよい。
【0098】
感圧接着剤
いくつかの実施例では、本発明の超小型層状電池を構成する複数の構成要素は、感圧接着剤(PSA)によって一体に保持されてもよく、この感圧接着剤はシーラントとしての役割も果たす。無数の市販の感圧接着剤配合物が存在し得るが、そうした配合物はほとんどの場合、そのせいで感圧接着剤が生体適合性超小型層状電池内で使用するのに適さないものとなり得る成分を含んでいる。感圧接着剤で使用するのに望ましくない成分の例としては、低分子量の浸出性成分、酸化防止剤(例えばBHT及び/又はMEHQ)、可塑化用オイル、不純物、例えば、不飽和化学結合、残留溶媒及び/又はモノマー、重合開始フラグメント、極性粘着付与剤等を含む酸化に不安定な部分が挙げられる。
【0099】
一方、好適なPSAは以下の特性を示すことができる。層状構成要素に塗布して、約2〜20マイクロメートルの薄層を得ることが可能であり得る。その上、好適なPSAは、望ましくない又は非生体適合性の成分を最低限含んでもよく、例えば、全く含まなくてもよい。加えて、好適なPSAは十分な接着性及び凝集性を有するので、層状電池の構成要素を結合することができる。また、好適なPSAは、電池内の電解質を確実に封止しながら、本構成の装置に固有のマイクロメートルスケールの特徴部に流入することが可能であり得る。好適なPSAのいくつかの実施例では、電池が極度の湿度に長時間さらされる場合であっても所望の水性電解質成分を電池内部に維持するために、PSAは水分に対する透過性が低くてもよい。PSAは、酸類、界面活性剤、及び塩類などの電解質成分に対して、良好な耐化学性を有していてよい。好適なPSAは、浸水の影響に対して不活性であり得る。好適なPSAは、自己放電の形態をとり得る亜鉛アノードの直接酸化速度を最小限に抑えるために、酸素に対する透過性が低くてもよい。また、水性電解質中の亜鉛アノードからゆっくりと放出され得る水素ガスに対する有限透過性を促進することができる。水素ガスに対する有限透過性という特性により、内部圧力が蓄積されるのを防ぐことができる。
【0100】
こうした要件を考慮すると、望ましい要件の全てではないが、その多くを満たすPSA組成物に配合することができる市販材料は、ポリイソブチレン(PIB)であり得る。更に、PIBは、吸水性が非常に低く、かつ酸素透過性が低い、優れたバリアシーラントであり得る。本発明の実施例で有用なPIBの例は、BASF CorporationのOppanol(登録商標)B15であり得る。Oppanol(登録商標)B15は、トルエン、ヘプタン、ドデカン、ミネラルスピリット等のような炭化水素溶媒に溶解することができる。1つの例示的なPSA組成物は、70%(w/w)のトルエンと30%のドデカンとを含む溶媒混合物中に溶解した30%のOppanol(登録商標)B15(w/w)を含むことができる。PIBベースのPSA感圧接着剤の接着性及びレオロジー特性は、いくつかの実施例では、異なる分子量グレードのPIBをブレンドすることにより決定され得る。一般的なアプローチは、湿潤性、粘着性、及び接着性に影響を与えるために、低モル質量のPIB(例えばOppanol(登録商標)B10)を多く使用し、強靭性及び流れ抵抗に影響を与えるために、高モル質量のPIBを少量使用するといったものであってよい。したがって、モル質量グレードの異なる任意の数のPIBのブレンドを想定することができ、該ブレンドは本発明の範囲内で実施可能であり得る。更に、上記要件を満たすことができるのであれば、PSA配合物に粘着付与剤を添加してもよい。粘着付与剤は、その性質上、PSA配合物に極性を付与するので、PSAのバリア特性に悪影響を与えないように注意して使用する必要があり得る。更に、粘着付与剤は、場合によっては酸化的に不安定であり得、また、酸化防止剤を含む場合があり、酸化防止剤がPSAから浸出する可能性がある。こうした理由から、生体適合性超小型層状電池用のPSAにおいて使用するための例示的な粘着付与剤としては、全面的に又は大部分が水素化された炭化水素樹脂粘着付与剤(例えばEastman Chemical CorporationのRegalrezシリーズなど)を挙げることができる。
【0101】
生体適合性電池モジュールのパッケージ及び基板に関する更なる考慮事項
パッケージング及び基板に関する考慮事項は数多く存在し得、そうした考慮事項が、生体適合性超小型層状電池で用いられるパッケージ設計の望ましい特性を決定する。例えば、パッケージングは、主に箔及び/又は膜ベースであるのが望ましいかもしれず、パッケージング層は極力薄くてもよい(例えば、10〜50μm)。加えて、パッケージングは、有効寿命中の水分の得失に対する十分な拡散バリアを提供することができる。多くの望ましい実施例において、パッケージングは、酸素の侵入に対する十分な拡散バリアを提供して、直接酸化による亜鉛アノードの劣化を最小限に抑えることができる。
【0102】
いくつかの実施例では、パッケージングは、亜鉛による水の直接還元により放出される水素ガスに対する有限透過経路を提供することができる。また、パッケージングは、電池の内容物を十分に封じ込めることができ、かつこれを隔離することができるのが望ましく、それにより、ユーザーへの暴露の可能性を最小限にすることができる。
【0103】
本発明において、パッケージング構造体は、以下の種類の機能構成要素、即ち、上部及び底部パッケージング層、PSA層、スペーサ層、相互接続ゾーン、充填ポート、並びに二次パッケージング、を含み得る。
【0104】
いくつかの実施例では、上部及び底部パッケージング層は、金属箔又はポリマー膜を含み得る。上部及び底部パッケージング層は、複数のポリマー及び/又はバリア層を含む多層膜構造体を含み得る。そうした膜構造体は、共押出バリア積層膜と呼ぶことができる。本発明において特に有用な市販の共押出バリア積層膜の例は、3M(登録商標)Scotchpak 1109裏材であり得、該裏材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)キャリアウェブ、蒸着アルミニウムバリア層、及びポリエチレン層からなり、合計平均膜厚さは33マイクロメートルである。数多くの他の同様の多層バリア膜を利用することができ、本発明の代替の実施例において使用することができる。
【0105】
PSAを含む設計構造体では、PSAはパッケージング層の対向面を封止する必要もあり得るので、パッケージング層の表面粗さは特に重要となり得る。表面粗さは、箔及び膜の製造で用いる製造プロセス(例えば、中でも、圧延、押出、エンボス加工、及び/又はカレンダー工法を用いるプロセス)によって生じる場合がある。表面が粗すぎる場合、所望のPSA厚さが表面粗さRa(粗さプロファイルの算術平均)程度であり得るとき、PSAを均一な厚さで塗布することができない場合がある。更に、対向面がPSA層厚さ程度であり得る粗さを有する場合、PSAは、対向面を適切に封止することができない場合がある。本発明において、10μm未満の表面粗さRaを有するパッケージング材は、許容可能な実施例であり得る。いくつかの実施例では、表面粗さの値は、5マイクロメートル以下であってよい。また、更なる実施例では、表面粗さは1マイクロメートル以下であってよい。表面粗さの値は、白色光干渉法、スタイラス形状測定等のような測定技術であるが、これらに限定されない、様々な方法によって測定することができる。表面粗さをいくつかの代替パラメータで説明することができる、及び、本明細書で論じる平均表面粗さRa値が、前述の製造プロセスに固有の特徴の種類を表すことを意味するようにしてもよい、多くの例が、表面形状測定の分野に存在し得る。
【0106】
生体適合性通電の図示の例示的な加工−セパレータの配置
生体適合性通電素子の加工に関与し得る工程の実施例は、図4A図4Nを参照して見られる場合がある。例示的な工程のいくつかにおける加工は、個々の図で見られる場合がある。図4Aにおいて、PETカソードスペーサ401とPETギャップスペーサ404の組み合わせを示すことができる。PETカソードスペーサ401は、PET膜403を適用することによって形成することができ、この膜の厚さは、例えば、およそ0.08mm(3ミル)であってよい。PET層の両側にはPSA層を見出すことができ、又はこれらの層は、PVDF剥離層402でキャッピングされてもよく、該層の厚さはおよそ0.03mm(1ミル)であってよい。PETギャップスペーサ404は、PVDF層409から形成されてよく、該層の厚さはおよそ0.08mm(3ミル)であってよい。キャッピングPET層405が存在してもよく、該層の厚さはおよそ0.01mm(0.5ミル)であってよい。PVDF層409とキャッピングPET層405との間は、いくつかの実施例では、PSA層であってよい。
【0107】
図4Bに進むと、レーザー切断処理によってPETギャップスペーサ層404に孔406を切断することができる。次に、図4Cでは、切断したPETギャップスペーサ層404をPETカソードスペーサ層に積層401することができる。図4Dに進むと、カソードスペーサ孔410を、レーザー切断処理によって切断し得る。この切断工程のアラインメントは、PETギャップスペーサ層404内の予め切断した特徴部に対して位置合わせされ得る。図4Eでは、最終的にセパレータ層になるCelgard 412が、キャリア411に接合され得る。図4Fに進むと、Celgard材料が、先の2つのレーザー切断された孔の寸法の間であり、かつPETギャップスペーサ404内の孔406の寸法に近い形状に切断されて、予備カットされたセパレータ420が形成され得る。図4Gに進むと、ピックアンドプレイスツール421を使用して、Celgardの個々の片を成長装置上の所望の位置にピックアンドプレイスすることができる。図4Hにおいて、配置されたCelgard片422を適所に固定した後、PVDF剥離層423を除去することができる。図4Iに進むと、成長する装置構造体を、アノード425の膜に接合することができる。アノード425は、上に亜鉛アノード膜が電着されているアノードコレクタ膜を含んでもよい。
【0108】
図4Jに進むと、カソードスラリー430が、形成された間隙に入れられてもよい。いくつかの実施例では、スキージ431を使用して、カソード混合物を被加工物全体に広げ、このプロセスでは、形成される電池装置の間隙を充填してよい。充填後、残っているPVDF剥離層432を除去することができ、そうすることにより図4Kに示す構造体を得ることができる。図4Lでは、構造体全体に乾燥プロセスを施すことができ、これによりカソードスラリー440は、PET層の上部の高さまで収縮することができる。図4Mに進むと、その上にカソードコレクタ膜を既に有していてよいカソード膜層450が、成長構造体に接合され得る。図4Nにおいて、レーザー切断プロセスが行われて、側部領域460を除去し、電池素子470を得ることができる。本発明の趣旨の範囲内で有用であり得る、材料及び目標厚さに対する多くの修正、削除、変更が存在し得る。
【0109】
例示的な加工の結果を図5においてある程度詳細に示すことができる。一実施例では、以下の参照特徴部を定義することができる。カソード化学物質510は、カソード及びカソードコレクタ520と接触した状態で位置付けられてよい。感圧性接着剤層530は、カソードコレクタ520をPETスペーサ層540に対して保持しかつ封止することができる。PETスペーサ層540の反対側は別のPSA層550であってよく、このPSA層550は、PETスペーサ層540をPET間隙層560に対して封止しかつ接着する。別のPSA層565は、PET間隙層560をアノード及びアノード集電体層に対して封止しかつ接着することができる。亜鉛めっき層570がアノード集電体580にめっきされ得る。セパレータ層590は構造体内部に位置付けられて、本発明で定義した関連機能を行うことができる。いくつかの実施例では、装置の加工中に電解質を加えてもよく、他の実施例では、セパレータが既に電解質を含んでいてもよい。
【0110】
生体適合性通電の例示的加工図−セパレータの堆積
生体適合性通電素子の加工に含ませることができる工程の実施例を、図6A図6Fに見ることができる。例示的な工程のいくつかにおける加工は、個々の図で見られる場合がある。本発明の趣旨の範囲内で有用であり得る、材料及び目標厚さに対する多くの修正、削除、変更が存在し得る。
【0111】
図6Aには、例示的な層状構造物600が示されている。層状構造体は、2つの層状構造剥離層602及び602a、層状構造剥離層602と602aとの間に位置付けられた2つの層状構造接着剤層604及び604a、及び2つの層状構造接着剤層604と604aとの間に位置付けられた層状構造コア606を含み得る。層状構造剥離層602及び602a、並びに接着剤層604及び604aは、製造してもよく、又は購入してもよい(一次ライナー層を有する市販の感圧接着剤転写テープなど)。層状構造接着剤層は、厚さ約1〜3ミリメートルであり得るPVDF層であってよく、層状構造コア606をキャップすることができる。層状構造コア606は、例えば、厚さおよそ3ミリメートルであってよい、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性ポリマー樹脂を含み得る。図6Bに進むと、カソード混合物を格納する手段(カソードポケット608用のキャビティなど)を、レーザー切断処理によって層状構造物に切り込むことができる。
【0112】
次に、図6Cにおいて、底部層状構造剥離層602aを層状構造物から除去し、層状構造接着剤層604aを露出させることができる。次に、層状構造接着剤層604aを使用してアノード接続箔610を接着し、カソードポケット608の底部開口部を覆うことができる。図6Dに進むと、アノード接続箔610は、マスキング層612を接着させることにより、露出した底部層上に保護され得る。マスキング層612は、一次ライナーを有する市販のPSA転写テープであってよい。次に、図6Eにおいて、アノード接続箔610は、コヒーレント金属614(例えば亜鉛)で電気めっきされてよく、このコヒーレント金属614は、カソードポケット内部のアノード接続箔610の露出部分をコーティングする。図6Fに進むと、電気めっきの後、アノード集電マスキング層612がアノード接続箔610の底部から除去される。
【0113】
図7A図7Fは、図6A図6Fに図示した加工工程の代替の例示的なモードを示す。図7A図7Bは、図6A図6Bに図示したのと同様のプロセスを示し得る。層状構造体は、両端に1層ずつ配置されている2つの層状構造剥離層702及び702a、層状構造剥離層702と層状構造剥離層702aとの間に位置する2つの層状構造接着剤層704及び704a、及び2つの層状構造接着剤層704と層状構造接着剤層704aとの間に位置する層状構造コア706で構成され得る。層状構造剥離層及び接着剤層は、製造してもよく、又は購入してもよい(一次ライナー層を有する市販の感圧接着剤転写テープなど)。層状構造接着剤層は、厚さ約1〜3ミリメートルであり得るポリビニリデンフルオリド(PVDF)層であってよく、層状構造コア706をキャップすることができる。層状構造コア706は、例えば、厚さおよそ3ミリメートルであってもよい、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性ポリマー樹脂を含み得る。図7Bに進むと、カソードポケット708用の格納手段(例えばキャビティ)を、レーザー切断処理によって、層状構造物に切り込むことができる。図7Cにおいて、アノード接続箔710を得ることができ、保護マスキング層712が片面に適用される。次に、図7Dにおいて、アノード接続箔710をコヒーレント金属(例えば、亜鉛)の層714で電気めっきすることができる。図7Eに進むと、図7Bの構造物を図7Dの電気めっきされた層714に接着することによって、図7B及び図7Dの層状構造物を組み合わせて、図7Eに示す新たな層状構造物を形成することができる。図7Bの剥離層702aは、図7Bの接着剤層704aを露出させて、図7Dの電気めっきされた層714上に接着するために除去され得る。図7Fに進むと、アノード保護マスキング層712は、アノード接続箔710の底部から除去され得る。
【0114】
図8A図8Hは、生体適合性層状構造体に対する通電素子の例示的な実装を示し、この生体適合性層状構造体は本明細書において、層状アセンブリ又は積層アセンブリと呼ぶこともあり、例えば、図6A図6F及び図7A図7Fに示されているものと類似している。図8Aに進むと、ヒドロゲルセパレータ前駆体混合物820は、積層アセンブリの表面上に堆積され得る。いくつかの実施例では、図のように、ヒドロゲル前駆体混合物820は剥離層802の上に塗布されてもよい。次に、図8Bにおいて、ヒドロゲルセパレータ前駆体混合物820は、剥離層802から拭い取りながら、カソードポケットの中へとスキージ(850)され得る。用語「スキージされる」は、一般に、平坦化又は掻き取り工具を使用して表面全体をこすり、液体物質を該表面上で移動させてキャビティ(存在する場合)の中に移動させることを指す。スキージングプロセスは、一般に言うところの「スキージ」タイプの装置と同様の器具によって、あるいは、移動させる物質と化学的に一致し得る多くの物質で製造されていてよい、ナイフの刃、かみそりの刃等のような平坦化装置によって実施され得る。
【0115】
図8Bに示す加工は、カソードポケットを確実にコーティングし、得られる特徴部の厚さを増加させるために、数回行われてよい。次に図8Cにおいて、典型的には溶媒又は様々な種類の希釈剤であり得る物質をヒドロゲルセパレータ前駆体混合物から蒸発させるために、ヒドロゲルセパレータ前駆体混合物を乾燥させることができ、次に分配されて塗布された材料を硬化させることができる。いくつかの実施例では、図8B及び図8Cに示されるプロセスの両方を組み合わせて繰り返すことが可能であり得る。いくつかの実施例では、ヒドロゲルセパレータ前駆体混合物は、熱に暴露することによって硬化することがでるが、他の実施例では、硬化は、光子エネルギーに暴露することによって行われてもよい。更なる実施例では、硬化は、光子エネルギー及び熱の両方に暴露することを含み得る。ヒドロゲルセパレータ前駆体混合物を硬化する方法は数多く存在し得る。
【0116】
硬化の結果、ヒドロゲルセパレータ前駆体材料は、キャビティの壁、並びに、アノード又はカソード特徴部(本実施例ではアノード特徴部であり得る)に近接した表面領域へと形成され得る。キャビティの側壁への材料の付着は、セパレータの分離機能にとって有用であり得る。硬化の結果、無水重合前駆体混合濃縮物822が形成され得、これは単純に、セルのセパレータと考えることができる。図8Dに進むと、層状構造剥離層802の表面上にカソードスラリー830を堆積させることができる。次に、図8Eにおいて、カソードスラリー830が、カソードポケットの中及び無水の重合された前駆体混合濃縮物822の上へとスキージされ得る。カソードスラリーは、キャビティ内の所望の位置へと移動させてもよく、一方で同時に、層状構造剥離層802からその大部分が拭い取られる。図8Eのプロセスは、カソードスラリー830を無水の重合された前駆体混合濃縮物822の上へと確実にコーティングするために、数回実施されてもよい。次に、図8Fでは、カソードスラリーを乾燥させて、無水の重合された前駆体混合濃縮物822の上に隔離されたカソード充填物832を形成して、カソードポケットの残部を充填することができる。
【0117】
図8Gに進むと、電解質配合物840を隔離されたカソード充填物832の上に加え、隔離カソード充填物832及び無水の重合された前駆体混合濃縮物822に水和させることができる。次に、図8Hでは、残存している層状構造剥離層802を除去し、接続箔816を適所に押圧することによって、カソード接続箔816を、残存している層状構造接着剤層804に付着させることができる。こうして得られた配置により、水和したカソード充填物842を覆うことができると共に、カソード集電体及び接続手段としてのカソード充填物842との電気的接点を確立することができる。
【0118】
図9A図9Cは、図7Dで得た積層アセンブリの代替実施例を示す。図9Aにおいて、アノード接続箔710を得ることができ、保護マスキング層712が片面に適用される。アノード接続箔710は、コヒーレント金属(例えば、亜鉛)の層714でめっきされ得る。先の図で説明したのと同じやり方で。図9Bに進むと、ヒドロゲルセパレータ910を、図8Eに示すスキージ法を用いずに適用することができる。ヒドロゲルセパレータ前駆体混合物は、様々な方法で適用することができ、例えば、混合物の予め形成されたフィルムを物理的付着によって付着させることができる。別の方法としては、ヒドロゲルセパレータ前駆体混合物の希釈混合物を分配し、次いでスピンコーティングの処理によって所望の厚さに調節することができる。あるいは、材料を、スプレーコーティングによって、又は任意の他の同等の加工法によって塗布されてもよい。次に、図9Cでは、セパレータ領域を囲む収容体として機能し得る、ヒドロゲルセパレータのセグメントを形成する加工を図示している。この加工により、電解質などの材料が、形成された電池素子の内部構造の外へと流れ出るか又は拡散するのを制限する領域が形成され得る。したがって、様々な種類のブロッキング特徴920を形成することができる。ブロッキング特徴は、いくつかの実施例では、セパレータ層の高架橋領域に対応してよく、いくつかの実施例では、ブロッキング特徴920の所望の領域を光子エネルギーに長く暴露することによって形成され得る。別の実施例では、ヒドロゲルセパレータ材料を硬化する前に、ある材料をヒドロゲルセパレータ材料に添加して、硬化するとブロッキング特徴920となる、領域的に差別化された部分を形成してもよい。更なる実施例では、ヒドロゲルセパレータ材料のある領域を、例えば、領域範囲を画定するマスキングを用いた層の化学エッチングを含む種々の技術によって、硬化の前又は後のいずれかに除去してもよい。材料が除去された領域は、それ自体でブロッキング特徴を形成することができ、あるいは、実質的にボイドの中に戻されて、ブロッキング特徴を形成してもよい。不透過性セグメントの加工は、イメージアウト(image out)加工、架橋の増加、大量の光線量(heavy pHotodosing)、埋め戻し、又はボイドを形成するためのヒドロゲル剥離強さの欠落などのいくつかの方法で実施することができる。いくつかの実施例では、図9Cにおける加工の結果として示される、図示される種類の層状構造体又はアセンブリは、ブロッキング特徴920を有さずに形成されてもよい。
【0119】
重合した電池素子の架橋セパレータ
一部の電池設計では、(前項で説明した)個々のセパレータの使用は、非限定的な例として、コスト、材料の入手可能性、材質、又は一部の材料選択肢に関する加工の複雑性といった様々な理由から、不可能な場合がある。そのような場合、例えば、図8A図8Hのプロセスにおいて図示される成型(cast)又は現場成形(form-in-place)セパレータが、望ましい利益をもたらすことができる。デンプン又はペーストを用いたセパレータは、単3電池及び他の形式のルクランシェ電池又は亜鉛炭素電池において商業ベースで成功裏に使用されているが、こうしたセパレータは、色々な意味で、超小型層状電池のある種の実施例において使用するのに適さない場合がある。本開示の電池で使用するあらゆるセパレータに関して特に注意を払う必要があり得るのは、形状の均一性及び一貫性である。既知のカソード容積を後に精密に組み込み、かつ一貫した放電容量及びセル性能を後に実現するのを促進にするために、セパレータ容積の精密な制御が必要であり得る。
【0120】
均一で機械的に頑丈な現場成形セパレータを得る方法は、UV硬化性ヒドロゲル配合物を使用することであり得る。多くの水透過性ヒドロゲル配合物が、種々の業界(例えば、コンタクトレンズ業界)において既知であり得る。コンタクトレンズ業界において一般的なヒドロゲルの例は、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)架橋ゲル、又は単にpHEMAであり得る。本発明の多くの用途に関し、pHEMAは、ルクランシェ及び亜鉛炭素電池で使用するのに多くの魅力的な特性を有する場合がある。pHEMAは、典型的には、約0.7MPa(100psi)以上の弾性率を維持しながら、水和状態において約30〜40パーセントの含水量を維持することができる。更に、当業者は、追加の親水性モノマー(例えばメタクリル酸)又はポリマー(例えばポリビニルピロリドン)成分を組み込むことによって、架橋ヒドロゲルの弾性率及び含水量特性を調整することができる。このようにして、ヒドロゲルの含水量、又は、より詳細には、イオン透過性を、配合によって調整することができる。
【0121】
特に有利な点として、いくつかの実施例では、注型可能及び重合可能なドロゲル配合物は、加工を容易にするために、1つ又は複数の希釈剤を含有していてよい。希釈剤は、注型可能な混合物をキャビティ内にスキージした後、揮発性溶媒成分を除去するのに十分な乾燥時間が可能となり得るように、揮発性であるように選択することができる。乾燥後、選択した光開始剤(CGI 819など)に適した波長(420nmの青色/UV光など)の化学線に暴露することによって、バルク光重合を開始してもよい。揮発性希釈剤は、重合性材料の均一層をキャビティ内に注型成形するのを容易にするように、望ましい塗布時の粘度をもたらすのに役立ち得る。揮発性希釈剤はまた、特に強い極性のモノマーを配合物に組み込む場合に、有益な表面張力低減効果をもたらすことができる。キャビティ内への重合性材料の均一層の注型成形を達成するために重要であり得る別の態様は、塗布時の粘度であり得る。一般的な低モル質量の反応性モノマーは典型的に、粘度があまり高くなく、典型的にはわずか数センチポアズであり得る。注型可能かつ重合可能なセパレータ材料の粘度を有利に制御する目的で、重合性材料と適合性があることで知られている高モル質量のポリマー成分を選択して、配合物に組み込んでもよい。例示の配合物に組み込むのに適し得る高モル質量のポリマーの例としては、ポリビニルピロリドン及びポリエチレンオキシドを挙げることができる。
【0122】
いくつかの実施例では、注型可能かつ重合可能なセパレータは、前述したように、設計されたキャビティに好都合に塗布することができる。代替実施例では、重合時にキャビティが存在しなくてもよい。代わりに、注型可能かつ重合可能なセパレータ配合物を電極含有基板(例えば、パターニングして亜鉛めっきを施した黄銅)にコーティングした後、続いてフォトマスクを使用して化学線に暴露して、標的領域内のセパレータ材料を選択的に重合させてもよい。次に、適切なリンス溶媒に暴露することにより、未反応のセパレータ材料を除去することができる。こうした実施例では、セパレータ材料は、フォトパターニング可能なセパレータとして設計され得る。
【0123】
多成分セパレータ配合物
本発明の実施例により有用であるセパレータは、その機能にとって重要であり得る、多くの特性を有し得る。いくつかの実施例において、セパレータは望ましくは、セパレータの両側の層が互いに物理的に接触しないように、物理的な障壁を生成するような様式で形成され得る。したがって層は、様々な理由により薄層が望ましい一方で、空隙又はギャップのない層が必要であるため、均一な厚さという重要な特性を有し得る。これに加えて、薄層は、イオンが自由に流れることができるように高い透過性を有するのが望ましくあり得る。更に、セパレータは、セパレータの機械的特性を最適化するのに最適な水のとりこみを必要とする。したがって、配合物は、架橋成分、親水性ポリマー成分、及び溶媒成分を含有し得る。
【0124】
架橋剤は、2つ以上の重合可能二重結合を有するモノマーであり得る。好適な架橋剤は、2つ以上の重合可能官能基を化合物であり得る。好適な親水性架橋剤の例としては、2つ以上の重合可能官能基、並びに親水性官能基(例えば、ポリエーテル、アミド、又はヒドロキシル基)を有する化合物を含み得る。具体的な実施例としては、TEGDMA(テトラエチレングリコールジメタクリレート)、TrEGDMA(トリエチレングリコールジメタクリレート)、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、エチレンジアミンジメタクリルアミド、グリセロール、ジメタクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0125】
いくつかの実施例において使用され得る架橋剤の量は、例えば、反応混合物内の反応性構成成分100グラム当たり、約0.000415〜約0.0156モルの範囲であり得る。使用される親水性架橋剤の量は一般的に、約0〜約2重量%、及び例えば、約0.5〜約2重量%であり得る。反応性混合物の粘度を増加させることができ、及び/又は遅反応性親水性モノマーとの水素結合の度合いを増加させることができる、親水性ポリマー成分(例えば、高分子量親水性ポリマー)が望ましい場合がある。
【0126】
高分子量親水性ポリマーは、改善された湿潤性をもたらし、いくつかの実施例では、本発明のセパレータに対する湿潤性を改善することができる。非限定的な実施例において、高分子量親水性ポリマーは、水素結合受容体であると考えられ、これは水生環境において水と水素結合し、よって効果的により親水性となる。水の非存在下では、反応混合物中への親水性ポリマーの取り込みが促進され得る。具体的に挙げた高分子量親水性ポリマー以外にも、あらゆる高分子量のポリマーが本発明において有用であることが期待できるが、但し、ポリマーが例示のシリコーンヒドロゲル配合物に添加されたときに、親水性ポリマーが、(a)反応混合物から実質的に相分離せず、かつ(b)得られる硬化ポリマーに対して湿潤性を付与する、ことが条件となる。
【0127】
いくつかの実施例において、高分子量親水性ポリマーが、処理温度において、希釈剤中に溶解可能であり得る。水、又はイソプロピルアルコール(IPA)などの水溶性希釈剤を使用する製造プロセスは、プロセスが単純で低コストであることから、望ましい実施例であり得る。これらの実施例において、処理温度において水溶性である、高分子量親水性ポリマーもまた、望ましい実施例であり得る。
【0128】
高分子量親水性ポリマーの例としては、ポリアミド、ポリラクトン、ポリイミド、ポリラクタム、並びに、例えばPVP及びそのコポリマー、あるいは、比較的に少ないモル量のHEMAのようなヒドロキシル官能性のモノマーと共にDMAを共重合してからその得られたコポリマーのヒドロキシル基をラジカルな重合性の基を含む材料と共に反応させることにより官能性化されているDMAのような、官能性化したポリアミド、ポリラクトン、ポリイミド、ポリラクタムを挙げることができるが、これらに限定されない。高分子量親水性ポリマーとしては、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ−N−ビニル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−メチル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−メチル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−4−メチル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−4−メチル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、及びポリ−N−ビニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリ−N−−N−ジメチルアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド、ポリ−2−エチルオキサゾリン、ヘパリンポリサッカリド、ポリサッカリド、これらの混合物及びコポリマー(ブロック又はランダム状、分枝状、多数鎖状、くし形状、又は星形状を含む)を挙げることができるがこれらに限定されず、この場合、ポリ−N−ビニルピロリドン(PVP)が特に望ましい例であり得、PVPは、内部浸透性の網状構造を形成するためにヒドロゲル組成物に添加されており、この網状構造は低い表面摩擦性及び低い脱水速度を示す。
【0129】
当該技術分野において一般的に既知であり得る追加の成分及び添加剤を含むこともできる。添加剤としては、紫外線吸収性化合物、CGI 819などの光開始剤、反応性着色剤、抗菌性化合物、顔料、光発色剤、剥離剤、及びこれらの組み合わせ等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0130】
こうした種類のセパレータに関連する方法はまた、CGI 819を受容することと、次にPVP、HEMA、EGDMA、及びIPAと混合することと、次に熱源又は光子への暴露によって、得られた混合物を硬化することと、を含み得る。いくつかの実施例では、光子への暴露は、光子のエネルギーが、電磁スペクトルの紫外部において生じる波長と一致する場合に実施してもよい。重合反応において一般的に実施される他の重合開始方法は、本発明の範囲内である。
【0131】
集電体及び電極
亜鉛炭素電池及びルクランシェ電池のいくつかの実施例では、カソード集電体は、焼結した炭素棒であってよい。この種の材料は、本発明の薄型電気化学セルの技術的障害に直面する場合がある。いくつかの実施例では、印刷されたカーボンインクが、薄型電気化学セルにおいて、焼結した炭素棒の代わりにカソード集電体で使用される場合があり、こうした実施例では、得られる電気化学セルに有意な損害を与えることなく、得られる装置を形成することができる。典型的には、上記カーボンインクは、ポリマー膜、又は場合によっては金属箔を含む場合があるパッケージング材に、直接適用することができる。パッケージング膜が金属箔であり得る実施例では、カーボンインクは、下にある金属箔を、電解質による化学的な劣化及び/又は腐食から保護する必要があり得る。更に、こうした実施例では、カーボンインク集電体は、電気化学セルの内側から電気化学セルの外側まで電気を伝導する必要があり得るので、カーボンインクの周り又は全体の封止を必要とする。カーボンインクは多孔質であるので、これは簡単に達成することはできず、非常に困難である。カーボンインクはまた、厚さが有限の比較的薄い(例えば、10〜20μmの)層で塗布されてもよい。パッケージ内部の総厚さがわずか約100〜150μmであり得る薄型電気化学セル設計では、カーボンインク層の厚さは電気化学セルの総内容積のかなりの割合を占め、それによりセルの電気的性能にマイナスの影響を与える場合がある。更に、電池全体、特に集電体が薄いということは、集電体の断面積が小さいことを意味し得る。トレースの抵抗は、トレースの長さと共に増大し、断面積と共に低減するので、集電体の厚さと抵抗との間には直接トレードオフであってもよい。カーボンインクのバルク抵抗率は、薄型電池の抵抗要件を満たすには不十分であり得る。銀又は他の導電性金属を充填したインクはまた、抵抗及び/又は厚さを低下させると考えられるが、新規な電解質との不適合性といった新たな課題をもたらし得る。こうした要因を考慮すると、いくつかの実施例では、薄い金属箔を集電体として使用することによって、又は薄い金属膜を下にあるポリマーパッケージング層に適用して集電体として機能させることによって、本発明の高効率で高性能の薄型電気化学セルを実現するのが望ましくあり得る。そのような金属箔の固有抵抗は有意に低くあり得るので、印刷されたカーボンインクよりもはるかに薄い厚さで、電気的抵抗に関する要件を満たすのが可能となる。
【0132】
いくつかの実施例では、上部及び/又は底部パッケージング層のうちの1つ又は複数は、スパッタリングされた集電体用金属又は金属積層体のための基板としての役割を果たし得る。例えば、3M(登録商標)Scotchpak 1109裏材は、カソードの集電体として有用な1つ又は複数の金属層の物理気相蒸着(PVD)を用いて金属化されてもよい。カソード集電体として有用な例示的な金属積層体は、Ti−W(チタン−タングステン)接着層及びTi(チタン)導体層であり得る。アノード集電体として有用な例示的な金属積層体は、Ti−W接着層、Au(金)導体層、及びIn(インジウム)蒸着層であり得る。PVD層の厚さは、合計で500nm未満であってよい。金属の多層を用いる場合、電気化学的特性及びバリア特性は電池と適合している必要があり得る。例えば、導電体の厚い層を成長させるために、シード層の上に銅を電気めっきしてもよい。銅の上に追加の層をめっきしてもよい。しかしながら、銅は、特に亜鉛の存在下において、特定の電解質と電気化学的に不適合であり得る。したがって、電池内の層として銅を使用する場合、電池電解質から銅を十分に隔離する必要があり得る。あるいは、銅を除外してもよく、又は他の金属で置き換えてもよい。
【0133】
いくつかの他の実施例では、上部及び/又は底部パッケージング箔はまた、集電体として機能し得る。例えば、25μmの黄銅箔は、亜鉛アノードのアノード集電体として有用であり得る。黄銅箔は、所望により、亜鉛で電気めっきする前にインジウムで電気めっきしてもよい。一実施例では、カソード集電体パッケージング箔は、チタン箔、ハステロイC−276箔、クロム箔、及び/又はタンタル箔を含んでもよい。ある種の設計では、1つ又は複数のパッケージング箔を精密打ち披き、エンボス加工、エッチング、テクスチャ加工、レーザー加工、又は別の方法で加工して、最終的なセルパッケージングにとって望ましい形態、表面粗さ、及び/又は形状を得てもよい。
【0134】
アノード及びアノード腐食防止剤
本発明の層状電池のアノードは、例えば、亜鉛を含んでもよい。従来の亜鉛炭素電池では、亜鉛アノードは物理的に缶の形状をとることができ、その中に電気化学セルの内容物を収容することができる。本発明では、亜鉛缶は一実施例であり得るが、超小型電池設計を実現するために望ましい形状を提供することができる、他の物理的形状の亜鉛が存在してもよい。
【0135】
電気めっき亜鉛の使用例はいくつかの業界で見出すことができ、例えば、金属部品の保護コーティング又は美観用コーティングなどが挙げられる。いくつかの実施例では、電気めっき亜鉛は、本発明の電池に有用な薄型の共形アノードを形成するために使用することができる。更に、電気めっき亜鉛は、設計意図に応じて無限と思われるような形状にパターニングすることができる。電気めっき亜鉛をパターニングするための容易な手段は、フォトマスク又は物理的なマスクを用いた加工であり得る。様々な手法でめっきマスクを作製することができる。手法の一つは、フォトマスクの使用であり得る。こうした実施例では、フォトレジストが導電性基板に塗布されてもよく、後にこの基板上に亜鉛をめっきすることができる。次に、フォトマスクを用いてフォトレジストに所望のめっきパターンを投影し、それによってフォトレジストの選択領域を硬化させることができる。次に、適切な溶媒及び清掃技術を用いて、未硬化のフォトレジストを除去することができる。こうして、導電材料のパターン領域を得、このパターン領域上に亜鉛電気めっき処理を施すことができる。この方法は、めっきされる亜鉛の形状又は設計に利益をもたらすことができるが、この技法は、セルパッケージ構造体全体に対して拘束性を有し得る、入手可能なフォトパターニング可能な材料を使用することを必要とし得る。したがって、本開示の超小型薄型電池のいくつかの設計を実現するために、亜鉛をパターニングするための新しい新規な方法が必要とされ得る。
【0136】
亜鉛アノードのパターニングの代替手段は、物理的なマスクの適用によるものであってよい。物理的なマスクは、所望のバリア及び/又はパッケージング特性を有する膜に所望の開口を切り込むことによって作製され得る。加えて、膜の片面又は両面に感圧接着剤を塗布してもよい。最後に、膜の片面又は両面の接着剤に保護剥離ライナーを適用してもよい。剥離ライナーは、開口の切断中に接着剤を保護する目的と、以下の記述で説明される、電気化学セルの組み立ての特定の加工段階(具体的にはカソード充填工程)の間、接着剤を保護する目的の両方に役立ち得る。いくつかの実施例では、亜鉛用マスクは、厚さ約100マイクロメートルのPET膜を含んでいてよく、この膜の両面に感圧接着剤を層厚約10〜20マイクロメートルで塗布してもよい。両方のPSA層は、PET剥離膜で覆われてよく、このPET剥離膜は、低表面エネルギー表面処理が施されていてもよく、およその厚さが50マイクロメートルであってよい。こうした実施例では、多層亜鉛用マスクは、PSA及びPETフィルを含み得る。本明細書に記載するPET膜及びPET/PSA亜鉛用マスク構造体は、マスクに超精密な開口を形成して、後で行うめっきを容易にするために、Oxford Lasers Eシリーズレーザー微細加工ワークステーションのような精密なナノ秒レーザー微細加工機器で処理されるのが望ましくあり得る。本質的に、亜鉛用マスクを製造したら、片面の剥離ライナーを除去してもよく、開口を有するマスクを、アノード集電体及び/又はアノード側のパッケージ膜/箔に積層することができる。このようにして、PSAは開口の内側縁部に封止部を形成し、電気めっきを施している間、亜鉛を汚すことなく精密にマスキングするのが容易となる。
【0137】
亜鉛用マスクを配置した後に、1つ又は複数の金属材料の電気めっきを行ってもよい。いくつかの実施例では、亜鉛を、黄銅などの電気
化学的に適合性のあるアノード集電体箔上に直接電気めっきしてもよい。アノード側のパッケージングがポリマー膜又は多層ポリマー膜を含み、該膜の上にシードメタライゼーション(seed metallization)が適用されている代替設計例では、亜鉛、及び/又は亜鉛を堆積させるために使用するめっき溶液が、下にあるシードメタライゼーションと化学的に適合性がない場合がある。適合性の欠落は、膜の亀裂、腐食、及び/又はセル電解質と接触した際のH発生の悪化として顕在化し得る。そのような場合、シード金属に追加の金属を塗布して、システムの全体的な化学的適合性の改善に影響を与えてもよい。電気化学セル構造体において特に有用性を見出すことができる金属の1種は、インジウムであり得る。インジウムは、電池グレードの亜鉛において合金化剤として広く使用することができ、その主な役割は、電解質の存在下で亜鉛に防食性をもたらすことである。いくつかの実施例では、インジウムは、Ti−W及びAuなどの様々なシードメタライゼーション上に首尾良く堆積させることができる。上記シードメタライゼーション層上に得られる1〜3μmのインジウム膜は、低応力であり、接着性であり得る。このようにして、アノード側のパッケージング膜、及びインジウム最上層を有する取り付けられた集電体は、応従可能で耐久性があってもよい。いくつかの実施例では、インジウム処理の施された表面上に亜鉛を堆積させることが可能であり得るが、得られる堆積物は非常に不均一で小塊を有する場合がある。この影響は、低電流密度設定(例えば、20ASF)で起こり得る。顕微鏡で見ると、下にある滑らかなインジウム堆積物上に亜鉛の小塊が形成されているのを観察することができる。ある種の電気化学セル設計において、亜鉛アノード層のための垂直空間許容度は、最大で約5〜10マイクロメートルであり得るが、いくつかの実施例では、低電流密度を用いて亜鉛めっきを行う場合があり、その結果生じる小塊の成長は、アノードの最大垂直許容度よりも高くなる可能性がある。亜鉛小塊の成長は、インジウムの過電圧が高いことと、インジウムの酸化物層の存在が組み合わさることにより生じる可能性がある。
【0138】
いくつかの実施例では、より高い電流密度でのDCめっきにより、インジウム表面上の比較的大きな亜鉛小塊成長パターンを克服する場合がある。例えば、100ASFめっき条件は小塊亜鉛を生じさせ得るが、亜鉛小塊の寸法は、20ASFめっき条件と比べて著しく縮小され得る。更に、小塊の数は、100ASFめっき条件下で非常に多くなり得る。得られる亜鉛膜は、最終的には、約5〜10マイクロメートルの垂直空間許容度を満たしながらも、小塊成長の残存特徴を若干有する、ほぼ均一な層へと融合することができる。
【0139】
電気化学セルにおけるインジウムの追加利益は、亜鉛を含有する水性電気化学セルで起こるゆっくりとしたプロセスであり得る、Hの減少であり得る。インジウムは、アノード集電体のうちの1つ又は複数に、共めっき合金化成分としてアノード自体に、又は電気めっき亜鉛上の表面コーティングとして、有利に塗布され得る。後者のケースでは、インジウム表面コーティングは、三塩化インジウム又は酢酸インジウムなどの電解質添加剤を通じてその場で塗布されるのが望ましくあり得る。そのような添加剤が低濃度で電解質に添加され得る場合、インジウムは、露出している亜鉛表面、並びに露出しているアノード集電体の一部に、自然発生的にめっきされ得る。
【0140】
市販の一次電池で一般に使用されている亜鉛及び類似のアノードは、典型的には、シート、ロッド、及びペーストの形態で入手できる。小形生体適合性電池のアノードは、同様な形態のもの(例えば薄箔)であってもよく、又は前述したようにめっきされてもよい。このアノードの特性は、例えば、加工及びめっきプロセスに起因する汚染物質又は表面仕上げが異なるため、既存の電池の特性と著しく異なり得る。したがって、電極及び電解質は、容量、インピーダンス、及び有効寿命要件を満たす特別な設計を必要とし得る。例えば、電極性能を最適化するために、特別なめっきプロセスパラメータ、めっき浴組成、表面処理、及び電解質組成が必要であり得る。
【0141】
カソード混合物
本発明の概念と一致し得る多数のカソード化学物質混合物が存在し得る。いくつかの実施例では、電池のカソードを形成するために用いられる化学配合物を表す用語であり得るカソード混合物は、ペースト、ゲル、懸濁液、又はスラリーとして適用されてもよく、かつ、二酸化マンガンなどの遷移金属酸化物、例えば、カーボンブラック又は黒鉛のような導電性粉末の形態であり得るある種の形態の導電性添加剤、及びポリビニルピロリドン(PVP)又は他の何らかの結合剤添加物などの水溶性ポリマーを含み得る。いくつかの実施例では、結合剤、電解質塩、腐食防止剤、水又は他の溶媒、界面活性剤、レオロジー変性剤、及び導電性ポリマーなどの他の導電性添加剤のうちの1つ又は複数の他の成分が含まれてもよい。カソード混合物は、配合されて適切に混合されると、セパレータ及び/又はカソード集電体の所望部分の上に分配することができるか、あるいは同様のやり方でスキージによりスクリーン又はステンシルに通すことができる、望ましいレオロジーを有することができる。いくつかの実施例では、カソード混合物は、後のセル組み立て工程で使用する前に乾燥させてもよいが、他の実施例では、カソードは、電解質成分の一部又は全てを含んでいてもよく、選択した含水量まで部分的に乾燥させるだけであってもよい。
【0142】
遷移金属酸化物は、例えば、二酸化マンガンであってよい。カソード混合物で用いることができる二酸化マンガンは、例えば、電解二酸化マンガン(EMD)であり得、その理由は、この種の二酸化マンガンから得られる比エネルギーが、天然二酸化マンガン(NMD)又は化学二酸化マンガン(CMD)などの他の形態と比べて有利に付加的であることによる。更に、本発明の電池で有用なEMDは、堆積可能又は印刷可能なカソード混合物ペースト/スラリーをもたらすことができる粒径及び粒径分布を有する必要があり得る。具体的には、EMDを処理して、電池の内寸、セパレータ厚さ、分注チップの直径、ステンシル開口部寸法、又はスクリーンメッシュ寸法などの他の特徴に対して大きいと考えられ得る、著しく大きな粒子成分を除去してもよい。また、粒径の最適化を用いて、電池性能(例えば、内部インピーダンス及び放電能)を改善してもよい。
【0143】
ミル粉砕は、粉砕、研削、切断、振動、又は他のプロセスによる、ある平均粒径からより小さい平均粒径への固体材料の縮小である。ミル粉砕はまた、有用な材料が埋め込まれていてよいマトリックス材料から有用な材料を取り除くため、及び鉱物を濃縮するために使用され得る。ミル粉砕機は、研削、粉砕、又は切断により、固体材料をより小さな片に破砕する装置である。ミル粉砕のための手段は複数存在し、該手段で処理される多様な材料が存在し得る。そのようなミル粉砕手段としては、他のミル粉砕の代替手段の中でも、ボールミル、ビーズミル、乳鉢と乳棒、ローラプレス、及びジェットミルを挙げることができる。ミル粉砕の一例は、ジェットミル粉砕であり得る。ミル粉砕の後、固体の状態(例えば、粒径、粒径配列、及び粒子形状)が変化する。凝集体をミル粉砕する工程はまた、凝集体から混入物又は水分を除去又は分離して、移送又は構造物充填に先立って「乾燥充填物」を作製するために用いられてもよい。一部の機器は、粒径が最小粒径及び最大粒径の両方によって限定された粒子の混合物に固体材料を分類するために、種々の技術を組み合わせることができる。かかる加工は、「分級」又は「分類」と呼ばれる場合がある。
【0144】
ミル粉砕は、カソード混合物成分の粒径分布を均一にするための、カソード混合物の製造の一態様であり得る。カソード混合物中の均一な粒径は、カソードの粘度、レオロジー、電気伝導性、及び他の特性を補助することができる。ミル粉砕は、カソード混合物成分の凝集、つまり塊集を制御することによって、こうした特性を補助することができる。凝集(カソード混合物の場合には炭素同素体及び遷移金属酸化物であり得る、異種の要素のクラスタリング)は、図11に示すように所望のカソードキャビティ内にボイドが残ることにより、充填プロセスに悪影響を与える場合がある。
【0145】
また、濾過は、凝集した又は望ましくない粒子を除去するための、別の重要な工程であり得る。望ましくない粒子としては、大き過ぎる粒子、混入物、又は調製プロセスにおいて明示的に理由が与えられない他の粒子を挙げることができる。濾過は、濾紙濾過、真空濾過、クロマトグラフィー、精密濾過、及び他の濾過手段といった手段によって達成され得る。
【0146】
いくつかの実施例では、EMDは、7マイクロメートルの平均粒径を有していてよく、大径粒子の含有量は、最大約70マイクロメートルまでの粒子を含み得る。代替実施例では、大径粒子の含有量を一定の閾値未満(例えば、25マイクロメートル以下)に限定するために、EMDをふるいにかけ、更に粉砕し、ないしは別の方法で分離又は処理してもよい。
【0147】
カソードはまた、二酸化銀又はオキシ水酸化ニッケルを含んでもよい。かかる材料は、二酸化マンガンと比べて、容量を増大させ、かつ放電時の負荷時電圧の低下を少なくすることができ、これらは共に電池において望ましい特性である。こうしたカソードベースの電池は、業界及び文献に見られる現行例を有し得る。二酸化銀カソードを用いる新規な超小型電池は、生体適合性電解質(例えば、水酸化カリウムの代わりに塩化亜鉛及び/又は塩化アンモニウムを含むもの)を含んでいてよい。
【0148】
カソード混合物のいくつかの例は、ポリマー結合剤を含んでいてもよい。結合剤は、カソード混合物においていくつかの機能を果たすことができる。結合剤の主要機能は、EMD粒子と炭素粒子との間に、粒子間の十分な電気的ネットワークを作り出すことであり得る。結合剤の2つ目の機能は、カソード集電体に対する機械的接着及び電気的接触を促進することであり得る。結合剤の3つ目の機能は、好都合に分配及び/又はステンシリング/スクリーニングするために、カソード混合物のレオロジー特性に影響を与えることであり得る。更に、結合剤の4つ目の機能は、カソード内への電解質の吸い上げ及び分布を向上させることであり得る。
【0149】
結合剤ポリマーの選択並びに使用する量は、本発明の電気化学セルにおけるカソードの機能にとって有益であってよい。使用する電解質に結合剤ポリマーが可溶性であり過ぎる場合には、結合剤の主要機能(即ち、電気的導通)は、セルが機能しなくなる程度まで大幅な影響を受け得る。これに対して、使用する電解質に結合剤ポリマーが不溶性であり過ぎる場合には、EMDの一部は電解質からイオン的に絶縁され、その結果、容量低下、開回路電圧の低下、及び/又は内部抵抗の上昇など、セル性能が衰える。
【0150】
結合剤は、疎水性であってよく、また親水性であってもよい。本発明にとって有用な結合剤ポリマーの例は、中でも、PVP、ポリイソブチレン(PIB)、Kraton Polymers製のもののようなスチレン末端ブロックを含むゴムトリブロックコポリマー、スチレン−ブタジエンラテックスブロックコポリマー、ポリアクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ化炭素固形物を含む。
【0151】
溶媒は、カソード混合物の1つの構成要素であり得る。溶媒は、カソード混合物を湿潤させるのに有用であり得、それにより混合物の粒子分布を助けることができる。溶媒の一例はトルエンであり得る。界面活性剤もまた、カソード混合物の湿潤(したがって分布)に有用であり得る。界面活性剤の一例は、Triton(商標)QS−44などの洗剤であり得る。Triton(商標)QS−44は、カソード混合物中の凝集成分の分離を助けて、カソード混合物成分のより均一な分布を可能にすることができる。
【0152】
導電性炭素は、典型的には、カソードの作製に使用され得る。炭素は、多くの同素体、又は異なる構造修飾を形成することができる。異なる炭素同素体は、電気伝導率の変動を可能にする異なる物理特性を有する。例えば、カーボンブラックの「弾力性」は、集電体へのカソード混合物の貼着を助けることができる。しかしながら、必要となるエネルギー量が比較的小さい通電素子では、こうした電気伝導率の変動は、他の特性の中でも特に、密度、粒径、熱伝導率、及び相対的統一性などの他の有利な特性と比べて、あまり重要ではない場合がある。炭素同素体の例としては、ダイヤモンド、黒鉛、グラフェン、比結晶質炭素(非公式にはカーボンブラックと呼ばれる)、バックミンスターフラーレン、ガラス状炭素(ガラス質炭素とも呼ばれる)、カーボンエアロゲル、及び電気を通すことができる他の可能な形態の炭素が挙げられる。炭素同素体の一例は黒鉛であり得る。
【0153】
完成したカソード混合物の配合の一例を下表に示すことができる。
【0154】
【表1】
【0155】
表中、PIBはポリイソブチレンであり、JMEMDはジェットミル粉砕された二酸化マンガンであり、KS6はTimcal社製の黒鉛であり、PIB B10は、分子量グレードがB10のポリイソブチレンである。
【0156】
カソード混合物が配合されて処理されたら、この混合物は、ヒドロゲルセパレータなどの表面又はカソード集電体上に、あるいは層状構造体内のキャビティなどの容積の中に、分配、塗布、及び/又は格納されてよい。表面上に充填することにより、経時的に容積が充填されることになり得る。混合物を塗布、分配、及び/又は格納するためには、分配、塗布、及び/又は格納プロセスを最適化するために、特定のレオロジーが望ましい場合がある。例えば、低粘度のレオロジーは、キャビティのより良好な充填を可能にし得るが、それと同時に、粒子分布が犠牲となる場合がある。より高粘度のレオロジーは、最適化された粒子分布を可能にし得るが、キャビティを充填する能力が低減する可能性があり、かつ電気伝導性が失われる可能性がある。
【0157】
例えば、図10A図10Fは、キャビティ内への最適化された及び最適化されていない分配又は塗布を示す。図10Aは、塗布、分配、及び/又は格納後にカソード混合物で最適に充填されたキャビティの例を示す。図10Bは、底部左側1/4区1002が不十分に充填されたキャビティの例を示しており、これはカソード混合物の望ましくないレオロジーから生じた直接的な結果であり得る。図10Cは、上部右側1/4区1004が不十分に充填されたキャビティの例を示しており、これはカソード混合物の望ましくないレオロジーから生じた直接的な結果であり得る。図10D及び図10Eは、キャビティの中央1006又は底部1008が不十分に充填されたキャビティの例を示しており、これはカソード混合物の望ましくないレオロジーから生じた直接的な結果が原因の気泡であり得る。図10Fは、キャビティの上部1010が不十分に充填されたキャビティの例を示しており、これはカソード混合物の望ましくないレオロジーから生じた直接的な結果であり得る。図10B図10Fに示された例示的な欠陥は、複数の電池の課題(例えば、容量低下、内部抵抗の増大、及び信頼性の劣化)をもたらす可能性がある。
【0158】
更に、図11では、カソード混合物の望ましくないレオロジーの結果として、凝集1102が生じる可能性がある。凝集は、カソード混合物の性能低下(例えば、放電能力の低下及び内部抵抗の増大)をもたらす可能性がある。
【0159】
一実施例では、カソード混合物は、電気伝導性を維持しながら層状構造キャビティをスキージで充填するために最適化されたピーナッツバター状の稠度に似ていてよい。別の実施例では、混合物は、キャビティ内に印刷できるだけ十分に粘性であってよい。更に別の実施例では、カソード混合物は、乾燥され、キャビティ内に配置されて、キャビティ内に格納されてもよい。
【0160】
カソードの作製
カソードスラリー化学物質は、カソードスラリーの性能を決定する役割を担い得る。カソードスラリーに対する添加剤は、酸化剤、緩衝剤、安定剤、界面活性剤、不動態化剤、錯化剤、腐食防止剤、又は様々な表面に選択性を付与するための他の添加剤からなり得る。加えて、カソードスラリーは、コロイド安定性のための添加剤及び/又はpHショックに耐えるための緩衝剤を含有してもよい。良好なカソードスラリーの開発は、これら及び他の添加剤の組み合わせのバランスをとって、該組み合わせが要求される性能並びに必要な物理的及び化学的特性を提供するようにすることが必要であり得る。
【0161】
粒径は、カソードスラリーの性能に影響を及ぼし得る。粒径分布は、例えば、レーザー回折法、動的光散乱法、ハイドロダイナミックフラクショネーション法、沈殿法、及び超音波法によって測定することができる。いくつかの例では、粒径の見積もりにより、絶対値ではなく相対値が生成される場合があるが、これは用いる測定技術に依存し得る。それでもなお、スラリー材料特性のプロセス制御は、プロセス制御仕様内の相対値の制御に基づいて有効であり得る。
【0162】
カソードスラリーは、溶媒などの液相、並びに酸化剤、界面活性剤、錯化剤、緩衝剤、及び/又は他の添加剤などの固相からなり得る。これら2つの構成成分は、物理的又は化学的安定性のために、別々に保管され得る。カソードスラリー中の構成成分の数は、製造プロセスに影響を及ぼす場合がある。特に構成成分の数が増加する場合には、構成要素の混合比のばらつきを最小限に抑えることが、製造プロセスのロバスト性を決定する場合がある。その一方で、追加構成成分を含めるための重要な動因が存在し得る。非限定的な例では、カソードスラリー配合物の構成成分として殺生物剤を含むことは、生体適合性及びスラリーの可使時間(構成成分が混合された後のカソードスラリーの耐用期間)の延長の両方の理由から、有用であり得る。そのような例では、追加の殺生物剤成分の添加は、得られる電池の有意な性能に関連するものではあり得ないが、それにもかかわらず上に述べた理由から重要であり得る。スラリー混合物中の全構成成分の混合比の制御は、複合配合物の全体的な制御を助けることができる。他の例では、複合成分カソードスラリーは、限定された可使時間を有し得る。一部の複合配合物では、混合物からのガスの蒸発又は吸収又は脱着などの影響により、混合された後のスラリーに、経時的な変化が生じる場合がある。そのような例では、追加の構成成分を加える場合には、希釈及びpHの制御を考慮に入れる必要があり得る。
【0163】
カソードスラリーのコロイド安定性もまた、重要な製造考慮事項であり得る。例えば、コロイド的性質が不安定であるカソードスラリーでは、より多くの粒子が混合物から沈殿する可能性がある。したがって、不安定なカソードスラリーでは、フィルタをより頻繁に交換する必要があり得、また、特別な混合装置が必要となる場合がある。配合物が実現可能な限り最適化され、かつある程度のコロイド状不安定性を有する場合には、該配合物が所望の仕様範囲内にあるのを確実にするために、様々なプロセスパラメータをしっかりとモニタリングする必要があり得る。ある程度のコロイド安定性に到達するための一環として、配合物は、界面活性剤を含んで、スラリー中の一部の固体の表面特性を変化させてもよい。他の例では、環境制御を用いて、コロイド安定性を向上させてもよい。例えば、スラリー混合物の温度、及びこの温度をある範囲内に制御することは、安定性を向上させることができる。したがって、いくつかの例では、カソードスラリーのための配合物は、保管、混合、及び分配態様、並びに電池加工態様自体を含み得る製造中に、理想的な温度範囲を必要とし得る。
【0164】
カソードスラリーの特性及び組成は、製造可能性に影響を及ぼし得る。大規模製造では、カソードスラリーは、図12に例示的に示されているようなカソードスラリー分配システム(cSDS)によって製造され、供給される。図12において、カソードスラリー用の試薬1200は全て、個別の保持セル内に独立して保持され得る。これには、個別の固相試薬1202、1204、1208、及び個別の液相試薬1206が含まれてよい。一実施例では、第1の固相成分は、ジェットミル粉砕された電解二酸化マンガン(JMEMD)であってもよく、第2の固相試薬はカーボンブラックであってもよく、第3の固相成分はポリイソブチレン(PIB)であってもよく、第1の液相成分はトルエンであってもよい。これら試薬は、商業供給業者より購入しても、自社で製造してもよい。
【0165】
試薬の入手源にかかわらず、あるレベルの試薬の加工1210を実施する必要がある。試薬の加工は、ふるい分け1212、1214、1218、濾過1216、又はその両方を含み得る。一実施例では、JMEMDを最適粒子サイズにふるい分け(1212)してもよく、カーボンブラックを最適粒子サイズにふるい分け(1214)してもよく、PIBを最適粒子サイズにふるい分け(1218)してもよく、トルエンを濾過(1216)して、汚染物または望ましくない粒子を除去してもよい。ふるい分けの手段は、ふるい具、例えば、バスケットストレーナ、Yストレーナ、ベルマウスストレーナ、フットバルブストレーナ、金属製ふるい、こし器、目盛り付きふるい(graduated sieves)、メッシュストレーナ、及び粒径分布のために用いられる他の装置などの使用を含み得る。濾過は、濾過手段、例えば、濾紙、精密濾過、限外濾過、クロマトグラフィー、及び他の形態の濾過などを使用することによって達成され得る。
【0166】
試薬が処理されたら、処理済みの試薬は、試薬予混合1220へと移動する準備が整っていてよい。該試薬は、所望の種類のカソードスラリーに応じて、様々な組み合わせで予混合され得る。一実施例は、1つのセル内で2つの固相を予混合し、別のセル内で1つの固相と1つの液相を予混合するといったものであり得る。例えば、JMEMD及びカーボンブラックは、予混合されてある固相予混合物1222となってもよく、トルエン及びPIBは、予混合されて別の液相予混合物1224となってもよい。
【0167】
予混合の後、cSDSは、カソードスラリーの品質のモニタリング及び維持1230を可能にする追加の機能性を組み込んでもよく、この機能性は、収量を最大にするために重要であり得る。各予混合セルは、該セルが受容している予混合相のために最適化された、異なる品質管理手段1232及び1234を必要とし得る。一般に測定されるパラメータとしては、pH、比重、及び粒径分布、並びに酸化剤濃度を挙げることができる。更に、ポンプ、弁、金具、及び他の構成要素が、カソードスラリーの特性に影響を与える場合がある。一例として、固相予混合物1222は、適切な検査による粒径分布品質管理1232を必要とする場合がある。
【0168】
カソードスラリーの挙動をモニタリングするために、物理的特性と化学的特性の両方を測定してもよい。物理的特性の測定値としては、pH、1ガロン当たりの重量、比重、伝導率、及び固形百分率を挙げることができる。粘度は、BROOKFIELD粘度計を使用して測定することができ、この粘度計は、カソードスラリーがニュートン的に挙動する(粘度が剪断速度と無関係である)場合に有用であり得る。しかしながら、カソードの形成に有用な一部のスラリー配合物は、非ニュートン性のカソードスラリーとして特徴付けることができるスラリーとなる場合がある。非ニュートン性スラリー力学の例において、粘度は、剪断速度又は応力レオメーターを使用して、剪断速度の関数として測定され得る。キャビティを充填するために本開示の実施例に従ってカソードスラリーを塗布するのに有用な粘度の一例は、約250,000Pa・sであり得る。粘度は、生体適合性電池の製造中に供給されるスラリーの特性変動を最小限に抑えるために、品質管理システムの一部として、cSDSのループにおいて並びに分配中に測定される必要があり得る重要なメトリックであり得る。
【0169】
品質管理の後、固相及び液相は混合され1240、スラリー混合物1242を形成する。スラリー混合物はセル内に収容され、スラリー相が分離しないようにするために継続的に混合され続ける。これは、工業サイズの混合容器によって達成され得る。
【0170】
スラリーの混合が達成されたら、別の濾過及び品質管理工程1244を実施することができる。この品質管理工程を終えたカソードスラリーは、スラリー貯留部1250に進むことができる。スラリー貯留部は、容量要件に対応するために大量生産で使用され得る。貯留容器内に収容されたカソードスラリー混合物は、固相及び液相を再混合してスラリー混合物に戻すために、スラリー混合1242に戻されて再循環1253させる必要がある。cSDS全体にわたって移送ライン内に維持されているスラリーも同様に再混合を必要とし得るので、この工程を用いることができる。カソードスラリー混合物の再循環は、ダブルダイヤフラムポンプ又はベローポンプを用いて、並びに圧力/圧力(pressure/pressure)又は真空/圧力法によって実施されてもよい。ギヤポンプ、ベーンポンプ、又は遠心ポンプは、システム内で凝集を引き起こす場合がある高剪断を発生させる可能性がある。一例として、1m/秒の最小流量を、カソードスラリーの再循環で用いてもよい。次に、スラリー貯留部1252内のカソードスラリー混合物は、スラリー分配/充填1260へと進む前に、濾過及び品質管理工程1254へと進むことができる。
【0171】
スラリー分配/充填では、キャビティ1262を有する層状構造体を得ることが必要であり得る。キャビティ1262を有する層状構造体が得られたら、カソードスラリー混合物は、所望の表面(例えば、層状構造体)上に堆積され得る。分配/充填は、例えば、図8に示すスキージ法により達成され得る。スラリーの分配/充填の後、トルエンなどの余剰液相を乾燥又は蒸発させる1272ことを含む乾燥工程1270を行ってもよい。
【0172】
多くの工程を、本発明を参照し、例示する方法で説明してきた。かかる特性の様々な変更、追加、削除が本明細書の範囲内において可能であることは理解され得る。一例として、種々の材料には、記載してきた処理とは別の前処理又は後処理が更に行われてもよい。
【0173】
cSDSにおけるカソードスラリーの取り扱いは細心の注意を要する場合があり、カソードスラリーがダメージを受けることがないことを保証するように注意が払われる場合がある。これは、カソードスラリーが高すぎる(これは凝集を生じさせる可能性がある)又は低すぎる(これは沈殿を生じさせる可能性がある)剪断を受けないようにし、タンク内のヘッドスペースを湿潤した状態に保ち、システムの定期保守を行うことを意味し得る。凝集を低減し、かつプロセス変動を最小限に抑えるためには、cSDSシステムの最適化が必要であり得る。
【0174】
電池アーキテクチャ及び製造
電池アーキテクチャと製造技術は密接に関連し合っている場合がある。本発明の前の項で論じたように、電池は、次の素子、即ち、カソード、アノード、セパレータ、電解質、カソード集電体、アノード集電体、及びパッケージングを有する。巧みな設計により、こうした素子を、製造が容易なサブアセンブリに組み付ける試みがなされてもよい。他の実施例では、最適化された設計は、例えば金属パッケージが集電体の役割も果たすといったように、二重用途の構成要素を有していてもよい。相対容積及び厚さの観点から、こうした素子は、カソードを除き、ほぼ全て同じ容積であってよい。いくつかの実施例では、機械的密度、エネルギー密度、放電効率、材料純度、並びに、結合剤、充填剤、及び導電剤の有無が有意に異なることから、電気化学システムは、カソードの容積の約2〜10倍のアノードを必要とし得る。こうした実施例では、様々な構成要素の相対的な大きさは、次の素子厚さに近似され得る:アノード集電体=1μm;カソード集電体=1μm;電解質=間質液(概ね0μm);セパレータ=計画最大厚さが約15μmであり得る所望の薄さ又は厚さ;アノード=5μm;及びカソード=50μm。素子のこうした実施例では、使用環境において電池化学物質を維持するために十分な保護を提供するのに必要なパッケージングは、最大約50μmの予定最大厚を有し得る。
【0175】
円筒形状又は矩形形状といった大型の角柱構造体とは本質的に異なっていてよく、また、ウェハベースのソリッドステート構造体と異なっていてよいいくつかの実施例では、かかる実施例は、様々な構成に作製されたウェブ又はシートを使用し、電池素子がその内部に配置されている、「パウチ」状の構造体とすることができる。この収容体は、他面の上に折り重ねられた2つの膜又は1つの膜を有してもよく、これら構造のいずれも略平面状の表面を2つ形成することができ、次にこれら平面の外周を封止して容器を形成することができる。この薄いが幅広の形状因子により、電池素子自体が薄くかつ幅広となり得る。更に、こうした実施例は、コーティング、グラビア印刷、スクリーン印刷、スパッタリング、又は他の同様の製造技術を用いる用途に好適であり得る。
【0176】
薄いが幅広の形状因子を有するこうした「パウチ状」電池の実施例では、アノード、セパレータ、及びカソードなどの内部構成要素の配置は数多く存在し得る。2枚の膜によって形成された密閉領域内において、こうした基本素子は、同一平面上に並んでいる「共平面」であるか、又は対向面上で向かい合っていてよい「コフェイシャル」のいずれかであり得る。共平面配置では、アノード、セパレータ、及びカソードは、同一表面上に堆積され得る。コフェイシャル配置では、アノードは表面−1に堆積されてよく、カソードは表面−2に堆積されてよく、セパレータは、これら2つの素子の間に、両面のうちの一方に堆積されるか又はそれ自体個別の素子として挿入されるかのいずれかで配置されてよい。
【0177】
別の種類の実施例は積層アセンブリとして分類することができ、該アセンブリは、ウェブ又はシートの形態の膜を使用して、電池層を一層ずつ構築することを含み得る。シートは、感圧接着剤、熱活性接着剤、又は化学反応型接着剤などの接着剤を使用して互いに接合されてよい。いくつかの実施例では、シートは、熱溶着、超音波溶接等などの溶接技術によって接合されてよい。シートは、ロール・ツー・ロール(R2R)、又はシート・ツー・シートアセンブリのような標準的な工業的手法に適していてもよい。先に指摘(indicted)したように、カソード用の内部容積は、電池内の他の活性素子よりも実質的に大きい必要があり得る。電池構造体の多くは、このカソード材料のスペースを作り出し、電池が屈曲する際にカソードが移動しないように支持する必要があり得る。厚さのかなりの部分を消費する場合がある電池構造物の別の部分は、セパレータ材料であり得る。いくつかの実施例では、シート形状のセパレータは、積層加工の有利な解決法を生み出すことができる。他の実施例では、セパレータは、セパレータとして機能する層にヒドロゲル材料を分配することによって形成されてもよい。
【0178】
こうした積層電池アセンブリの実施例では、成形品は、アノードシート(これはパッケージ層とアノード集電体の組み合わせであってよい)並びにアノード層の基板を有し得る。成形品はまた、任意のセパレータスペーサシート、カソードスペーサシート、及びカソードシートを有し得る。カソードシートは、パッケージ層とカソード集電体層の組み合わせであってよい。
【0179】
電極と集電体との間が密接に接触していることが、インピーダンスを低減し、かつ放電容量を増大させるために非常に重要である。電極の一部が集電体と接触していない場合、電気の伝導が電極を通って生じることから(電極の導電性は通常、集電体よりも低い)、又は電極の一部が完全に切断された状態になることから、抵抗が増大し得る。コインセル及び円筒電池において、密着性は、缶をクリンプする機械的力、缶にペーストを詰める機械的力、又は同様の手段によって実現される。ウェーブワッシャ又は類似のバネは、電池内で力を維持するために市販のセルで使用される。
【0180】
しかし、これらは小型電池の全体の厚さが増す可能性がある。典型的なパッチ電池(patch電池)では、セパレータは、電解質に浸漬され、電極を挟んで配置され、外部パッケージングによって押圧され得る。コフェイシャル層状電池では、電極密着性を増強させるための方法がいくつか存在する。アノードは、ペーストを使用するのではなく、集電体上に直接めっきされてもよい。この方法は本質的に、高レベルの密着性及び導電性をもたらす。しかしながら、カソードは、典型的にはペーストである。カソードペースト中に存在する結合剤材料は、接着力と凝集性を提供することができるが、カソードペーストを確実にカソード集電体と接触した状態に保つためには、機械的圧縮が必要となり得る。パッケージは曲げられることから、及び、例えば、薄くて小さい封止部を通って水分がパッケージから放出するにつれて、電池は経年劣化して放電することから、これは特に重要であり得る。コフェイシャル層状電池では、カソードの圧縮は、アノードとカソードとの間に柔軟なセパレータ及び/又は電解質を導入することによって達成することができる。例えば、ゲル電解質又はヒドロゲルセパレータは、アセンブリを圧縮することができ、液体電解質のように電池から簡単に流れ出ることはない。電池を封止し終わったら、電解質及び/又はセパレータはカソードを押し返すことができる。層状積層体の組み立て後にエンボス加工工程を行って、積層体を圧縮してもよい。
【0181】
生体適合性電池において使用するためのカソード混合物は、例えば、ペースメーカー及びマイクロエネルギーハーベスタなどの埋め込み型電子装置、生物学的機能のモニタリング及び/又は検査を行うための電子ピル、能動部品を備える外科用装置、眼科用装置、マイクロサイズのポンプ、除細動器、ステント等のような生体適合性装置内で使用され得る。
【0182】
具体的な実施例は、生体適合性電池で使用するためのカソード混合物のサンプル実施形態を説明するために記載されている。これらの実施例は、上記の例示のためであり、いかなる方式でも特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。したがって、本説明は、当業者には明らかであり得る全ての実施例を含むことを意図する。
【0183】
〔実施の態様〕
(1) コンタクトレンズに使用するための生体適合性電池の製造方法であって、
液相予混合物のうちの1つ又は複数を、固相予混合物のうちの1つ又は複数と混合して、カソードスラリー混合物とする工程と、
前記カソードスラリー混合物を濾過する工程であって、前記濾過は、前記生体適合性電池の積層コアの不十分な充填を引き起こし得る粒子を前記カソードスラリーから除去する、工程と、
生体適合性電池で使用するための生体適合性カソードに前記カソードスラリー混合物を分配する工程であって、前記濾過は、前記カソードスラリーを分配する前に行われる、工程と、
生体適合性のために前記積層コアを封止する工程と、
前記生体適合性電池をコンタクトレンズに挿入する工程であって、前記カソードスラリー混合物の濾過は、前記生体適合性電池を前記コンタクトレンズに適合させるのに十分に小さい形態に形成することを支持する、工程と、
を含む方法。
(2) 前記濾過は、カソードスラリー分配システムの再循環ループにおいて行われる、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記カソードスラリー混合物を濾過する工程の後に、前記カソードスラリー混合物を貯留する工程及び前記カソードスラリー混合物を再循環させる工程を更に含む、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記カソードスラリー混合物を乾燥させる工程を更に含む、実施態様2に記載の方法。
(5) 前記液相予混合物が1つ又は複数の試薬を含み、少なくとも1つの試薬が液相試薬である、実施態様2に記載の方法。
【0184】
(6) 前記液相試薬を濾過する工程を更に含む、実施態様5に記載の方法。
(7) 1つの液相試薬が、溶媒を含む、実施態様5に記載の方法。
(8) 前記固相予混合物が、1つ又は複数の固相試薬を含む、実施態様2に記載の方法。
(9) 前記固相試薬を均一な粒径にふるい分けする工程を更に含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記固相試薬が、ジェットミル粉砕された電解二酸化マンガンを含む、実施態様8に記載の方法。
【0185】
(11) 1つの固相予混合物が、遷移金属酸化物を含む、実施態様8に記載の方法。
(12) 前記遷移金属酸化物が、二酸化マンガンを含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 1つの固相試薬が、炭素同素体を含む、実施態様8に記載の方法。
(14) 前記炭素同素体が、黒鉛を含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記黒鉛が、カーボンブラックを含む、実施態様14に記載の方法。
【0186】
(16) 前記液相予混合物が、疎水性結合剤を含む、実施態様5に記載の方法。
(17) 前記疎水性結合剤が、ポリイソブチレン(PIB)を含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記疎水性結合剤が、フッ化炭素固体を含む、実施態様16に記載の方法。
(19) 前記フッ化炭素固体が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 層状構造を得る工程であって、前記層状構造の体積が除去されてキャビティを形成し、前記層状構造が第1の層状構造コアに積層された第1のアノードコレクタ層を含み、前記第1の層状構造コアが前記第1のアノードコレクタ層に積層される前にその本体から前記体積が除去されており、前記層状構造が電気めっきされたアノードフィルム及びその上に堆積されたセパレータフィルムを前記キャビティ内に含み、前記堆積されたセパレータフィルムが、蒸発してセパレータフィルムを形成する溶媒を含む溶液として堆積されている、工程と、
前記固相予混合物及び前記液相予混合物の品質をチェックする工程であって、前記チェックされる品質が粒径分布である、工程と、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図4K
図4L
図4M
図4N
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図11
図12
【外国語明細書】
2018186086000001.pdf