特開2018-186721(P2018-186721A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2018-186721畦成形機および畦成形機用畦上面成形体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-186721(P2018-186721A)
(43)【公開日】2018年11月29日
(54)【発明の名称】畦成形機および畦成形機用畦上面成形体
(51)【国際特許分類】
   A01B 35/00 20060101AFI20181102BHJP
【FI】
   A01B35/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-90142(P2017-90142)
(22)【出願日】2017年4月28日
(71)【出願人】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100086184
【弁理士】
【氏名又は名称】安原 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100102015
【弁理士】
【氏名又は名称】大澤 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100099690
【弁理士】
【氏名又は名称】鷺 健志
(72)【発明者】
【氏名】蒲田 義明
(72)【発明者】
【氏名】横浜 雅透
(72)【発明者】
【氏名】野村 拓未
(72)【発明者】
【氏名】中村 太秋
【テーマコード(参考)】
2B034
【Fターム(参考)】
2B034AA02
2B034BA06
2B034BA07
2B034BC06
2B034DA03
2B034DB07
2B034DB13
2B034DB14
2B034DB24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】土質の異なる場合でも、畦上面成形体を複数準備する必要がない畦成形機および畦成形機用畦上面成形体を提供する。
【解決手段】土を盛り上げる盛土部41と、盛土部41によって盛り上げた盛土を締め固めて畦側面を形成する回転可能な畦側面成形体51と、盛土を締め固めて畦上面を形成する回転可能な畦上面成形体61とを備えた畦成形機11であって、畦上面成形体61は、回転軸方向視において、回転方向前方側が低く、後方側が高くなるように配置され、回転方向に並んで表面に設置する複数枚の畦上面成形板と、互いに隣り合う畦上面成形板の間に形成される段差部から、周方向に突没可能に設けられている第2成形板とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土を盛り上げる盛土部と、
前記盛土部によって盛り上げた盛土を締め固めて畦側面を形成する回転可能な畦側面成形体と、
前記盛土を締め固めて畦上面を形成する回転可能な畦上面成形体とを備えた畦成形機であって、
前記畦上面成形体は、
回転軸方向視において、回転方向前方側が低く、後方側が高くなるように配置され、回転方向に並んで表面に設置する複数枚の畦上面成形板と、
互いに隣り合う前記畦上面成形板の間に形成される段差部と、
前記段差部から、周方向に突没可能に設けられている第2成形板とを有することを特徴とする畦成形機。
【請求項2】
前記第2成形板は、弾性変形可能で、前記畦上面成形板と異なる材質又は剛性あるいは弾性の異なる成形板である請求項1記載の畦成形機。
【請求項3】
前記畦上面成形体は、
前記畦側面成形体に取り付けられる畦上面成形板を含む筒状部と、
前記筒状部に取り付けられる弾性変形可能な複数の第2成形板と、
前記筒状部に対し前記第2成形板を周方向に突没可能に移動させる案内部を有し、
前記案内部を前記筒状部の回転軸心を中心に回動させることにより、
前記第2成形板を周方向に突没可能に移動させる請求項1又は請求項2記載の畦成形機。
【請求項4】
前記第2成形板の周方向の突出量は、調整が可能である請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の畦成形機。
【請求項5】
前記畦上面成形体の複数の第2成形板は、少なくとも2種類以上の材質または剛性あるいは弾性の異なる成形板が、回転方向に互い違いに並んで配置されている請求項1又は請求項3又は請求項4のいずれかに記載の畦成形機。
【請求項6】
回転することで盛り上げられた盛土を締め固めて畦上面を形成する筒状部と、
回転軸方向視において、回転方向前方側が低く、後方側が高くなるように回転方向に並んで筒状部表面に設置する複数枚の畦上面成形板と、
互いに隣り合う前記畦上面成形板の間に形成される段差部と、
前記段差部から、周方向に突没可能に設けられている第2成形板とを有することを特徴とする畦成形機用畦上面成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畦成形機および畦成形機用畦上面成形体に係る。更に詳細には、土質の異なる場合、又は土壌水分の多少の違い等、異なる条件下のため畦表面が滑らかに成形しにくい場合でも、畦上面成形体を複数準備する必要がない畦成形機および畦成形機用畦上面成形体に係る。
【背景技術】
【0002】
特許文献1記載の「畦塗り機の整畦体」は、「上面整畦部3を多角柱状の筒状材31と、筒状部材31の側面に重なり、筒状部材31の周方向に間隔を置いて接続される複数枚の弾性を有する羽根板32から構成し、複数枚の羽根板32を全体として筒状部材31の表面を覆う状態にする。」旨の記載がある([要約][解決手段])。更に、図1図2図4図5図8等にその旨の図示がある。
【0003】
特許文献2「畦塗り機」には、「畦上面形成体17は、ベース部材31と、このベース部材31とともに回転しながら畦上面を形成する複数の畦上面形成板32とを有する。畦上面形成体17は、ベース部材31との間で畦上面形成板32の一部を挟持する複数の挟持部材33」との記載がある([要約][解決手段])。更に、図2図3図5図6図18等にその旨の図示がある。
【0004】
特許文献3記載の「畦形成機」は、「畦形成装置41は、土を盛り上げ状態とされた畦形成箇所H上を回転しながら通過させる円筒回転体42と、円筒回転体42のトラクタ側にいく程径大となり円筒回転体42の中央に向けた傾斜面を有するとともに、表面は放射状の分割片44に分割され側面視ジグザグ状からなる円錐回転体43とからなる。」の記載がある([要約][解決手段])。更に、図2乃至図4図6の図示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010―51281号公報
【特許文献2】特開2012−65573号公報
【特許文献3】特開平10―276504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
土質の異なる場合、又は水分の多少等の土壌条件によって、同一の畦成形機用畦上面成形体を用いると、畦表面が滑らかに成形できなかったり、表面が剥離したり、崩れやすくなり、土壌条件によって畦の上面の仕上げ状態に影響を及ぼすことがある。
畦成形機用畦上面成形体における成形板が鉄製やステンレス製等からなるか、樹脂製の材質であるかによってそれぞれ成形が良好に行える土壌条件が異なるためである。しかし、従来の畦上面成形体は特定の素材からなる成形板が固定されていた。
【0007】
このため、土壌条件によって最良の作業を行なうには、畦上面成形体を交換する必要があり、効率よい作業が行えなかった。
特許文献1乃至3記載の畦上面成形体は、畦上面成形体の表面状態が変化するものではないので、土壌条件が変わる毎に、形状、材質の異なる「羽根板」等条件に合った成形板を有する畦上面成形体と交換する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の畦成形機は、
土を盛り上げる盛土部と、
前記盛土部によって盛り上げた盛土を締め固めて畦側面を形成する回転可能な畦側面成形体と、
前記盛土を締め固めて畦上面を形成する回転可能な畦上面成形体とを備えた畦成形機であって、
前記畦上面成形体は、
回転軸方向視において、回転方向前方側が低く、後方側が高くなるように配置され、回転方向に並んで表面に設置する複数枚の畦上面成形板と、
互いに隣り合う前記畦上面成形板の間に形成される段差部と、
前記段差部から、周方向に突没可能に設けられている第2成形板とを有する。
【0009】
更に加えて、本発明の畦成形機は、
前記第2成形板は、弾性変形可能で、前記畦上面成形板と異なる材質又は剛性あるいは弾性の異なる成形板である。
【0010】
更に加えて、本発明の畦成形機は、
前記畦上面成形体は、
前記畦側面成形体に取り付けられる畦上面成形板を含む筒状部と、
前記筒状部に取り付けられる弾性変形可能な複数の第2成形板と、
前記筒状部に対し前記第2成形板を周方向に突没可能に移動させる案内部を有し、
前記案内部を前記筒状部の回転軸心を中心に回動させることにより、
前記第2成形板を周方向に突没可能に移動させる。
【0011】
更に加えて、本発明の畦成形機は、
前記第2成形板の周方向の突出量は、調整が可能である。
【0012】
更に加えて、本発明の畦成形機は、
前記畦上面成形体の複数の第2成形板は、少なくとも2種類以上の材質または剛性あるいは弾性の異なる成形板が、回転方向に互い違いに並んで配置されている。
【0013】
本発明の畦成形機用畦上面成形体は、
回転することで盛り上げられた盛土を締め固めて畦上面を形成する筒状部と、
回転軸方向視において、回転方向前方側が低く、後方側が高くなるように回転方向に並んで筒状部表面に設置する複数枚の畦上面成形板と、
互いに隣り合う前記畦上面成形板の間に形成される段差部と、
前記段差部から、周方向に突没可能に設けられている第2成形板とを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、一つの畦成形機で、土壌条件が異なる圃場での作業を良好に行える範囲が拡大し、汎用性が向上する。
更に、材質等の異なる畦上面成形体を複数準備し、土壌条件が異なる圃場毎に交換する必要がないので、経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の実施の形態に係る畦成形機の実施例の正面図である。
図2】この発明の実施の形態に係る畦成形機の実施例の一部断面平面図である。
図3】この発明の実施の形態に係る畦成形機の実施例の分解した斜視図である。
図4】この発明の実施の形態に係る畦成形機の実施例の第2成形板を没状態とした畦成形機用畦上面成形体にかかる一部拡大斜視図である。
図5】この発明の実施の形態に係る畦成形機の実施例の第2成形板を突状態とした畦成形機用畦上面成形体にかかる一部拡大斜視図である。
図6】この発明の実施の形態に係る畦成形機の実施例の第2成形板を没状態とした畦成形機用畦上面成形体にかかる一部断面図である。
図7】この発明の実施の形態に係る畦成形機の実施例の第2成形板を突状態とした畦成形機用畦上面成形体にかかる一部拡大断面図である。
図8】この発明の実施の形態に係る畦成形機の実施例の第2成形板を突状態とした畦上面成形体の正面断面図である。
図9】この発明の実施の形態に係る畦成形機の実施例の第2成形板を没状態とした畦上面成形体の正面断面図である。
図10】この発明の実施の形態に係る畦成形機の実施例の第2成形板を没状態とした使用状態の畦上面成形体の正面断面図である。
図11】この発明の実施の形態に係る畦成形機の実施例の第2成形板を突状態とした使用状態の畦上面成形体の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
11は、畦成形機である。畦成形機11には、盛土部41、畦側面成形体51、畦上面成形体61が設けられる。
21は、機枠である。22は、トップリンクピンである。23は、ロアリンクピンである。トップリンクピン22、ロアリンクピン23は、機枠21に取り付けられ、それぞれを図1図2の図右側に位置するトラクタ後部に設けられる3点リンク機構(図示せず)に連結して機枠21を取り付ける。
24は、入力軸である。入力軸24は、トラクタのPTO軸に連結され、トラクタの駆動力を畦成形機11に導入する。
【0017】
31は回動フレーム、32はオフセットシリンダである。回動フレーム31の一端は機枠21に取り付けられ、他端には、畦成形機11の盛土部41、畦側面成形体51、畦上面成形体61が取り付けられる。
オフセットシリンダ32は、伸縮することで回動フレーム31を移動させ、盛土部41、畦側面成形体51、畦上面成形体61等をトラクタ後部からトラクタ側方へオフセットさせあるいはトラクタ後部に移動する。
【0018】
33は畦高さ調整シリンダである。畦高さ調整シリンダ33は、油圧により伸縮することで盛土部41、畦側面成形体51、畦上面成形体61等の高さを調整する。
34は抵抗輪である。抵抗輪34は、作業時に圃場面に刺さり込み畦側面成形体51の受ける畦成形面からの反力を受け止めて畦成形機11の直進性を保持する。
41は、盛土部である。42は、盛土部41に取り付けられるローター軸である。ローター軸42は、畦成形機11の前部に水平方向に設置され回転される。
43は、耕耘刃である。耕耘刃43は、ローター軸42から多数突設させて取り付けられる。耕耘刃43は、ローター軸42の回転により回転され、土を畦に掻き上げ、盛り上げる。
【0019】
51は、畦側面成形体である。畦側面成形体51は、盛土部41の後部に設置される。畦側面成形体51表面は、複数の放射状の分割片52を並べて組み合わせて構成されており、畦側面成形体51は全体として外形は円錐台状からなる。隣接する分割片52と分割片52との表面端部は、相互に表面側裏面側にずれて段差53が設けられ、表面端部は凸凹状となる。
畦側面成形体51は、回転することで、分割片52と段差53との相互作用で、盛土部41によって畦上に盛り上げた盛土側面を締め固めて畦側面を形成する。
【0020】
61は、畦上面成形体である。畦上面成形体61は、全体として筒状の筒状部62からなりこの実施例では円筒状からなる。畦上面成形体61は、一方の筒状の端面を畦側面成形体51の頂部に取り付けられる。畦上面成形体61は、回転して盛土を締め固めて畦上面を形成する。
63は、周方向案内板である。周方向案内板63は、筒状部62の両方の端面を塞ぐように取り付けられる。周方向案内板63表面には、周方向のガイドである周方向案内部631が両端面を貫通孔状に設けられる。周方向案内部631は、筒状部62の軸心方向視において、円弧状長穴であり、回転方向前方側が低く、後方側が高くなるように設けられる。
632は、貫通孔である。貫通孔632は、周方向案内板63中心に貫通して設けられる。
【0021】
64は、放射方向案内板である。放射方向案内板64は、内側放射方向案内板641と、外側放射方向案内板642とからなる。
内側放射方向案内板641は、畦側面成形体51側の筒状部62の開口部内に周方向案内板63に当接して取り付けられる。外側放射方向案内板642は、畦側面成形体51の反対側の筒状部62の端面部に周方向案内板63に当接して取り付けられる。放射方向案内板64は、筒状部62の両端面部に周方向案内板63に当接してそれぞれ重ねて設置する。
内側放射方向案内板641と外側放射方向案内板642とには、放射方向に設けた長穴状の放射方向案内部643、放射方向案内部644がそれぞれ設けられる。
【0022】
645は、回転軸である。回転軸645は、外側放射方向案内板642の畦側面成形体51側の面から畦側面成形体51に向けて突設させて取り付けられ、畦側面成形体51側の端部には内側放射方向案内板641と当接して一体に固定するためのフランジ621が設けられている。フランジ621に内側放射方向案内板641を固定すると、外側放射方向案内板642と内側放射方向案内板641は一体となって回動可能となる。回転軸645は、筒状部62の貫通孔632を通して挿通され筒状部62の回転軸心と同心となるように取付けられる。
646は固定ボルト、647は座金、648は挟持プレートである。固定ボルト646は2本設けられ、それぞれ一端は畦側面成形体51に螺着され、他端は筒状部62の畦側面成形体51と反対側の周方向案内板63と、外側放射方向案内板642と、挟持プレート648とを挟持して筒状部62を畦側面成形体51頂部に座金647を挟んで取付ける。固定ボルト646を締め付けることによって、挟持プレート648と周方向案内板63とに挟持された放射方向案内板64の筒状部62に対する回動も固定される。
【0023】
71は、畦上面成形板である。この実施例では、畦上面成形板71は、ステンレス板等の金属板からなる。畦上面成形板71は、図3図8乃至図11に図示するように、回転軸方向視において、円弧状のほぼ長方形からなる。畦上面成形板71は、回転方向前方側が低く、後方側が高くなるように周方向案内部631の外側に、畦上面成形体61に設置する。畦上面成形体61周表面には、複数枚の畦上面成形板71を回転方向に並べて設けている。
72は、段差部である。隣接する畦上面成形板71と畦上面成形板71とは、図8乃至図11に図示するように段差部72は、隣接する畦上面成形板71と畦上面成形板71との間の互いに隣り合う回転方向前方側の後端部と回転方向後方側の前端部との間に生じる半径方向の段差である。
【0024】
81は、第2成形板である。第2成形板81は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂からなり、弾性変形可能であり、接触した畦上面から離脱するにつれて元の形状に復元する弾性を有する。第2成形板81は、畦上面成形板71と異なる材質からなる。第2成形板81は、合成樹脂の代わりに、畦上面成形板71より薄いより変形可能な金属板、鋼板等の金属材料等を使用してもよい。
【0025】
65は成形板保持シャフトである。成形板保持シャフト65は、放射方向の放射方向案内部643、放射方向案内部644と、周方向の周方向案内部631の両方を、貫通して取り付けられる。成形板保持シャフト65には、それぞれ第2成形板81が取付けられる。
複数枚の第2成形板81は、図8乃至図11に図示されるように、それぞれ一辺を上部を成形板上部保持プレート82で、下部を成形板下部保持プレート83で成形板保持シャフト65とともに挟んで、ボルト、ナットで締結され、筒状部62に取り付けられる。
【0026】
成形板保持シャフト65は、それぞれ放射方向案内部644および周方向案内部631を貫通して取り付けられるため、これらに沿って移動可能である。
各周方向案内部631は、図8図9に図示されるように、回転軸方向視において、円弧状であり、回転方向前方側が低く、後方側が高く、先に行くほど外側になるように各段差部72に設けている。そのため、放射方向案内板64を筒状部62の回転軸心645を中心に回動させることにより、放射方向案内部644および周方向案内部631にそって成形板保持シャフト65は移動する。
【0027】
成形板保持シャフト65を移動させると、ほぼ斜め周方向に成形板保持シャフト65は移動する。第2成形板81は、成形板保持シャフト65に取り付けられているので、同様に移動し、畦上面成形体61に対し、各段差部72から周方向に突没可能に移動される。
第2成形板81の周方向の突出量は、成形板保持シャフト65の移動量によって調整が可能で、第2成形板81を周方向案内部631に沿って周方向に伸ばしたり、ひっこめたりすることが可能である。
【0028】
第2成形板81の周方向の突出量を調整することで、押圧時の動的圧力変化、スリップ回転するときの摩擦力の変化をさせて、多様な土壌条件に対応する。
成形板81の突出位置を最大寸法から最小寸法の間で調整することで、畦上面成形板71の枚数が増えたような状態となり、押圧の強弱のサイクルが変更され、締め固め条件を変更することができる。成形板81の突出量を調整することで畦上面成形体61表面の押圧力の条件を変更できる。
畦上面成形体61は、第2成形板が突出した状態と、突出しない状態と、途中まで突出させた状態のいずれでも作業が可能である。成形板保持シャフト65を移動させるには、固定ボルト646を緩めて放射方向案内板64を回動させ、周方向案内板63の周方向案内部631を移動させる。任意の移動位置になったら固定ボルト646を締め付けて固定する。
【0029】
他の実施例として、複数の第2成形板を少なくとも2種類以上の材質や剛性の異なるもので構成し、回転方向に互い違いに配置することによって押圧面に作用する条件を変更することも可能である。例としてステンレス板、樹脂板が互い違いに並んでいる状態、あるいは、板厚の異なるステンレス板を互い違いに並べで配置している状態とすることができる。そのため、畦上面成形体61の表面状態を同一の表面状態とは異なった状態とさせ、土壌の違いに対応する選択枝を増やすことが可能となる。
変形しない畦上面成形板71と弾性変形可能な第2成形板との組み合わせによる相乗効果が得られる。
【0030】
第2成形板81を伸ばすことで、第2成形板81は、畦上面成形板71を被覆する。第2成形板81は、畦上面成形板を覆ってスリップさせながら回転する。
土と金属板からなる畦上面成形板71が接触するのが望ましい場合と、樹脂板からなる第2成形板81が接触するのが望ましい場合とがあるが、それぞれ対応可能である。選択は、水分の多少、土質の違いにより行う。更に、第2成形板81を伸ばす量を調整することで、畦上面成形板71を被覆する樹脂板と金属板とが混在して表面にある状態を作り出すことも可能である。更に、周表面に第2成形板81と畦上面成形板71とを混在させることで、段差を多く作り出すことが可能で、段差が多いほうが望ましい土壌条件にも対応可能である。
【0031】
金属板からなる畦上面成形板71だけであると、土との接触点をすぎると、畦上面成形板71の後端部で急激に押圧力が弱められて離される。樹脂板等の弾性部材からなる第2成形板81で金属板からなる畦上面成形板71表面が被覆されると、土との接触点を過ぎても、第2成形板81の後端部側が弾性力によって滑らかに土から離れる。このため、材質の異なることによる作用の他の効果も期待できる。
畦上面成形体61を土壌条件が異なる圃場毎に交換する必要がないので、経済的である。
【0032】
本発明の畦成形機11で畦成形作業を行なうには、走行機であるトラクタ後部の3点リンク機構に畦成形機11を連結して装着する。トラクタ側方に盛土部41、畦側面成形体51、畦上面成形体61等の作業部をオフセットさせ、トラクタを旧畦に沿って走行させ作業部を駆動する。
盛土部41にて畦塗り用の土が元畦上に盛り上げられ、この盛り上げられた盛土は、畦側面成形体51にて締め固められて傾斜状の畦側面が形成され、畦上面成形体61の畦上面成形板71にて締め固められて水平面状の畦上面が形成される。こうして、元畦が修復されて崩れにくい強固な新畦が形成される。
【符号の説明】
【0033】
11 畦成形機
41 盛土部
51 畦側面成形体
61 畦上面成形体
71 畦上面成形板
81 第2成形板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11