【解決手段】圃場に対して作業を行う作業装置と、走行機体50の位置を検出する測位部と、畦際に位置する作業終了位置D1〜D7を取得する取得部とが備えられる。作業走行に伴って消費される所定の搭載物の残量を検出する搭載物検出部と、測位部及び搭載物検出部の検出に基づいて、走行機体50が現在位置K2から作業終了位置D1に達するまでに、搭載物が不足する状態となるか否かを検出する搭載物判定部とが備えられて、走行機体50が現在位置K2から作業終了位置D1に達するまでに、搭載物が不足する状態になると判断されると、搭載物の消費を抑える為の消費抑制モードが作動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のように、予備苗のせ台の苗を苗のせ台に補給する作業を繰り返していくと、予備苗のせ台の苗も無くなってしまう。
例えば作業走行の中間位置において、予備苗のせ台の苗が無くなってしまうと、作業走行を中断して、走行機体を畦際まで走行させる。畦際において、畦に置かれた苗を予備苗のせ台に補給するのであり、予備苗のせ台への苗の補給を終了すると、畦際から作業走行を中断した位置に走行機体を走行させて、作業走行を再開する。
【0008】
前述のような、作業走行の中間位置と畦際との往復走行は、作業を行わずに走行機体を移動させているだけなので、作業能率の向上という面で改善の余地がある。
本発明は、作業車において、走行機体や作業装置に搭載された搭載物が少なくなった場合、作業走行の中間位置と畦際との往復走行を少なくすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の作業車は、
圃場に対して作業を行う作業装置と、走行機体の位置を検出する測位部と、畦際に位置する作業終了位置を取得する取得部とが備えられ、
作業走行に伴って消費される所定の搭載物の残量を検出する搭載物検出部と、
前記測位部及び前記搭載物検出部の検出に基づいて、前記走行機体が現在位置から前記作業終了位置に達するまでに、前記搭載物が不足する状態となるか否かを検出する搭載物判定部とが備えられて、
前記走行機体が現在位置から前記作業終了位置に達するまでに、前記搭載物が不足する状態になると判断されると、前記搭載物の消費を抑える為の消費抑制モードが作動する。
【0010】
作業走行の中間位置において、このまま作業走行を続行すると、走行機体が作業終了位置に達する前に搭載物が不足する状態となった場合、本発明によると、消費抑制モードが作動する。
【0011】
これにより、本発明によると、搭載物の消費が抑えられながら(節約されながら)、作業走行を続行することができるのであり、走行機体が作業終了位置に達する前に搭載物が不足する状態となるのを避けながら、走行機体を作業終了位置まで走行させることができる。
走行機体が作業終了位置に達すると、走行機体を作業終了位置で停止させて、畦に置かれた搭載物を走行機体に搭載すればよいのであり、この後、作業終了位置から次の作業走行に無駄なく移行することができる。
【0012】
以上のように、本発明によると、作業走行の中間位置において作業走行を中断して、走行機体を畦際まで走行させ、次に畦際から作業走行を中断した位置に走行機体を走行させるというような、作業走行の中間位置と畦際との往復走行を行う必要が少なくなるので、作業能率の向上を図ることができる。
【0013】
本発明として、
前記取得部により、作業開始位置と前記作業終了位置とが取得されて、前記作業開始位置と前記作業終了位置とを結んだ作業走行ラインが取得され、
前記測位部の検出に基づいて、前記走行機体が前記作業走行ラインに沿って走行するように、前記走行機体の自動操縦を行う自動走行制御部が備えられていると好適である。
【0014】
作業車では、特許文献1に開示されているように、走行機体が作業走行ラインに沿って走行するように、走行機体の自動操縦を行う自動走行制御部を備えたものがある。この場合、作業終了位置に加えて作業開始位置を取得すれば、作業開始位置と作業終了位置とを結んだものが作業走行ラインとなる。
【0015】
これにより、本発明によると、取得部により、作業開始位置及び作業終了位置、作業走行ラインを取得することによって、取得部が消費抑制モードを作動させる為の機能と、自動走行制御部の為の機能とを備えることになるのであり、効率の良い所得を行うことができる。
【0016】
本発明として、
前記消費抑制モードにおいて、前記走行機体の運転者に、前記搭載物の消費を抑える為の操作を行うべきことが報知されると好適である。
【0017】
作業走行の中間位置において、このまま作業走行を続行すると、走行機体が作業終了位置に達する前に搭載物が不足する状態となった場合、本発明によると、消費抑制モードが作動して、運転者への報知が行われる。これにより、運転者は、搭載物の消費が抑えられるように(節約されるように)、適切な操作を行うことができる。
【0018】
本発明として、
前記消費抑制モードにおいて、前記搭載物の消費を抑える為の操作が自動的に行われると好適である。
【0019】
作業走行の中間位置において、このまま作業走行を続行すると、走行機体が作業終了位置に達する前に搭載物が不足する状態となった場合、本発明によると、消費抑制モードが作動して、搭載物の消費が抑えられる操作(節約される操作)が自動的に行われるので、作業性の良いものとなる。
【0020】
本発明として、
前記作業装置が、圃場に苗を植え付ける苗植付装置であり、前記搭載物が、苗であり、
前記消費抑制モードにおける前記搭載物の消費を抑える為の操作が、
植付アームによる前記走行機体の進行方向での苗の植付間隔を広くする操作と、
前記植付アームによる苗のせ台からの苗の取り出し量を少なくし、且つ、前記苗のせ台に備えられた縦送り機構の苗の縦送り量を小さくする操作と、
前記苗のせ台の横送り速度を遅くする操作と、
のうちの少なくとも一つの操作であると好適である。
【0021】
本発明によると、作業装置として苗植付装置を備えた場合、消費抑制モードが作動することにより、苗植付装置による苗の消費が適切に抑えられるようになる(適切に節約されるようになる)。
【0022】
本発明として、
前記作業装置が、圃場に種子、肥料及び薬剤のうちの少なくとも一つを供給する供給装置であり、前記搭載物が、種子、肥料及び薬剤のうちの少なくとも一つであり、
前記消費抑制モードにおける前記搭載物の消費を抑える為の操作が、前記供給装置の供給量を少なくする操作であると好適である。
【0023】
本発明によると、作業装置として、圃場に種子、肥料及び薬剤のうちの少なくとも一つを供給する供給装置を備えた場合、消費抑制モードが作動することにより、供給装置による種子、肥料及び薬剤のうちの少なくとも一つの消費が適切に抑えられるようになる(適切に節約されるようになる)。
【0024】
本発明として、
前記搭載物が、前記走行機体のエンジンに供給される燃料であり、
前記消費抑制モードにおける前記搭載物の消費を抑える為の操作が、
前記走行機体の走行変速装置を低速側に操作する操作と、前記エンジンのアクセルを低速側に操作する操作と、
のうちの少なくとも一つであると好適である。
【0025】
本発明によると、消費抑制モードが作動することにより、エンジンによる燃料の消費が適切に抑えられるようになる(適切に節約されるようになる)。
【0026】
本発明として、
前記消費抑制モードにおいて、前記搭載物の消費を抑える為の操作の操作限度が設定されており、
前記操作限度を人為的に変更可能な手動変更部が備えられていると好適である。
【0027】
作業装置として、圃場に肥料を供給する供給装置を一例として説明すると、消費抑制モードが作動することにより、供給装置による肥料の供給が少なくなり過ぎると、作物の収獲量が少なくなる可能性がある。
これにより、作物の収獲量が少なくなる可能性を避ける為に、作業走行の中間位置において作業走行を中断して、走行機体を畦際まで走行させ、畦に置かれた肥料を走行機体に補給すべきであるという判断も生じる。
【0028】
本発明によると、作業走行の中間位置において作業走行を中断し走行機体を畦際まで走行させて搭載物を補給することによる作業能率の低下と、消費抑制モードにおける搭載物の消費を抑える為の操作に伴う不都合とについて、運転者は作業能率の低下と不都合とを比較し、不都合の許容限度を判断すればよい。
これにより運転者は、消費抑制モードにおける搭載物の消費を抑える為の操作の操作限度を、不都合が許容限度を越えない程度に設定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態において、圃場(水田)で植付作業を行う作業車の一例である6条植え型式の乗用型田植機が示されている。
本発明の実施形態における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、以下のように記載している。走行機体50の走行時における前進側の進行方向が「前」であり、後進側の進行方向が「後」である。前後方向での前向き姿勢を基準として右側に相当する方向が「右」であり、左側に相当する方向が「左」である。
【0031】
(乗用型田植機の全体構成)
図1及び
図2に示すように、乗用型田植機は、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2を備えた走行機体50の後部に、リンク機構3及びリンク機構3を昇降駆動する油圧シリンダ4が備えられ、リンク機構3の後部に苗植付装置5(作業装置に相当)が支持されている。
【0032】
図1及び
図2に示すように、苗植付装置5は、左右方向に所定間隔を置いて配置された植付伝動ケース6、植付伝動ケース6の後部の右部及び左部に回転自在に支持された回転ケース7、回転ケース7の両端に備えられた植付アーム8、フロート9、苗のせ台10、苗のせ台10の苗のせ面10aの各々に設けられた縦送り機構11等を備えている。
【0033】
図1及び
図2に示すように、走行機体50及び苗植付装置5に亘って、施肥装置18(作業装置に相当)が備えられており、施肥装置18は、ホッパー13、繰り出し部14、ブロア15、作溝器16及びホース17等を備えている。
【0034】
図1及び
図2に示すように、走行機体50において運転座席12の後側に、肥料を貯留するホッパー13、及び、2つの植付条に対応した3個の繰り出し部14が備えられており、繰り出し部14の左の横外側にブロア15が備えられている。フロート9に作溝器16が連結されて、6個の作溝器16が備えられており、繰り出し部14と作溝器16とに亘って6本のホース17が接続されている。
【0035】
(前輪及び後輪への伝動系)
図1及び
図3に示すように、走行機体50の前部に備えられたエンジン31の動力が、伝動ベルト32を介して静油圧式の無段変速装置33(走行変速装置に相当)に伝達される。無段変速装置33の動力が、ミッションケース34の内部のギヤ変速型式の副変速装置35から前輪デフ装置41を介して、右及び左の前輪1に伝達される。
【0036】
図1及び
図3に示すように、副変速装置35の動力が、伝動軸36を介して、後車軸ケース37の伝動軸39に伝達され、右及び左のサイドクラッチ40を介して、右及び左の後輪2に伝達される。ミッションケース34の内部において、伝動軸36を制動可能なブレーキ38が備えられており、ブレーキ38により前輪1及び後輪2が制動可能である。
【0037】
図1,2,4に示すように、運転座席12の前側に操縦ハンドル20が備えられ、操縦ハンドル20の左の横側に変速レバー45が備えられている。変速レバー45によって、無段変速装置33を中立位置Nから前進側F及び後進側Rに無段階に操作することができる。
【0038】
図1,2,3に示すように、操縦ハンドル20を操作することによって、右及び左の前輪1を直進位置から、右及び左の操向限度に亘って操向操作することができる。
右及び左のサイドクラッチ40は摩擦多板式であり、バネ(図示せず)により伝動状態に付勢されており、操縦ハンドル20と右及び左のサイドクラッチ40とが、連係ロッド(図示せず)により機械的に接続されている。
【0039】
図1,2,3に示すように、右及び左の前輪1が直進位置、直進位置から右及び左の設定角度の範囲に操向操作されていると、右及び左のサイドクラッチ40は伝動状態に操作されている。これにより、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2(右及び左のサイドクラッチ40の伝動状態)に動力が伝達された状態で、走行機体50は前進(後進)する。
【0040】
図1,2,3に示すように、右及び左の前輪1が右の設定角度を越えて右の操向限度側に操向操作されると、右のサイドクラッチ40が遮断状態に操作される。
これにより、右及び左の前輪1、左の後輪2(旋回外側)(左のサイドクラッチ40の伝動状態)に動力が伝達され、右の後輪2(旋回中心側)(右のサイドクラッチ40の遮断状態)が自由回転する状態で、走行機体50は右に旋回する。
【0041】
図1,2,3に示すように、右及び左の前輪1が左の設定角度を越えて左の操向限度側に操向操作されると、左のサイドクラッチ40が遮断状態に操作される。
これにより、右及び左の前輪1、右の後輪2(旋回外側)(右のサイドクラッチ40の伝動状態)に動力が伝達され、左の後輪2(旋回中心側)(左のサイドクラッチ40の遮断状態)が自由回転する状態で、走行機体50は左に旋回する。
【0042】
図1,2,3に示すように、右及び左の前輪1が右(左)の操向限度側から右(左)の設定角度を越えて直進位置側に操向操作されると、遮断状態に操作されていた右(左)のサイドクラッチ40が伝動状態に操作されて、右及び左のサイドクラッチ40が伝動状態に操作された状態に復帰する。
【0043】
(苗植付装置への伝動系)
図1及び
図3に示すように、ミッションケース34において、副変速装置35の直前から分岐した動力が、バッククラッチ29、株間変速装置42、植付クラッチ26及びPTO軸43を介して苗植付装置5に伝達される。
図4に示すように、植付クラッチ26を伝動状態及び遮断状態に操作する電動モータ28が備えられており、制御装置23により電動モータ28が操作される。
【0044】
図3に示すように、苗植付装置5に伝達された動力が2系統に分岐して、回転ケース7及び横送り変速装置44に伝達される。回転ケース7に伝達された動力により、回転ケース7が回転駆動されて、植付アーム8が植付作動する。横送り変速装置44に伝達された動力により、横送り軸(図示せず)が回転駆動され、横送り軸により苗のせ台10が往復横送り駆動される。
【0045】
図3及び
図4に示すように、変速レバー45とバッククラッチ29とが、機械的に接続されている。変速レバー45が中立位置N及び前進側Fに操作されると、バッククラッチ29が伝動状態に操作され、変速レバー45が後進側Rに操作されると、バッククラッチ29が遮断状態に操作される。
【0046】
図1及び
図2に示すように、植付クラッチ26が伝動状態に操作されると、苗のせ台10が左右に往復横送り駆動されるのに伴って、回転ケース7が回転駆動され、苗のせ台10の下部から植付アーム8が交互に苗を取り出して圃場に植え付ける。苗のせ台10が往復横送り駆動の右及び左の端部に達すると、縦送り機構11が作動して、苗のせ台10の苗が下側に送られる。植付クラッチ26が遮断状態に操作されると、苗のせ台10及び回転ケース7が停止する。
【0047】
(施肥装置の駆動系)
図4に示すように、施肥装置18において、繰り出し部14が繰り出しモータ54により駆動されるのであり、制御装置23により繰り出しモータ54が操作される。植付クラッチ26が伝動状態に操作されると、繰り出しモータ54が作動し、植付クラッチ26が遮断状態に操作されると、繰り出しモータ54が停止する。
【0048】
図1及び
図2に示すように、繰り出しモータ54によって繰り出し部14が駆動されると、ホッパー13から肥料が所定量ずつ繰り出し部14により繰り出され、ブロア15の送風により肥料がホース17を通って作溝器16に供給され、作溝器16を介して肥料が圃場に供給される。
【0049】
(苗植付装置の自動昇降制御)
図4に示すように、苗植付装置5の横軸芯P1周りに、中央のフロート9の後部が上下に揺動自在に支持されている。苗植付装置5に対する中央のフロート9の高さを検出するポテンショメータ型式の高さセンサー22が備えられており、高さセンサー22の検出値が制御装置23に入力されている。走行機体50の進行に伴って中央のフロート9が圃場に接地追従するのであり、高さセンサー22の検出値により、圃場(中央のフロート9)から苗植付装置5までの高さを検出することができる。
【0050】
図4に示すように、油圧シリンダ4に作動油を給排操作する制御弁24が備えられており、制御装置23により制御弁24が操作される。
自動昇降制御の作動状態において、圃場から苗植付装置5までの高さに基づいて、苗植付装置5が圃場から設定高さに維持されるように、制御弁24が操作されて、油圧シリンダ4が伸縮作動し、苗植付装置5が自動的に昇降する。これにより、苗の植付深さが設定深さに維持される。
【0051】
(走行機体の位置及び走行機体の方位の検出の構成)
図1及び
図2に示すように、走行機体50の前部の右部及び左部に右及び左の支持フレーム19が備えられており、支持フレーム19に予備苗のせ台21が支持されている。右及び左の支持フレーム19の上部に亘って、支持フレーム25が連結されている。
【0052】
図1及び
図2に示すように、支持フレーム25において、平面視で走行機体50の左右中央CLに位置する部分に、計測装置30(測位部に相当)が取り付けられている。計測装置30には、衛星測位システムにより位置情報を取得する受信装置(図示せず)、走行機体50の傾き(ピッチ角、ロール角)を検出する慣性計測装置(図示せず)が備えられており、計測装置30は走行機体50の位置を示す測位データを出力する。
【0053】
図1及び
図2に示すように、後車軸ケース37において平面視で走行機体50の左右中央CLに位置する部分に、慣性情報を計測する慣性計測装置48が取り付けられている。慣性計測装置48及び計測装置30の慣性計測は、IMU(Inertial Measurement Unit)により構成されている。
【0054】
前述の衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satelite System)には、代表的なものとしてGPS(Global Positioning System)が挙げられる。GPSは、地球の上空を周回する複数のGPS衛星や、GPS衛星の追跡と管制を行う管制局や、測位を行う対象(走行機体50)が備える受信装置を使用して、計測装置30の受信装置の位置を計測するものである。
【0055】
慣性計測装置48は、走行機体50のヨー角度(走行機体50の旋回角度)の角速度を検出可能なジャイロセンサー(図示せず)、及び、互いに直交する3軸方向の加速度を検出する加速度センサー(図示せず)を備えている。慣性計測装置48により計測される慣性情報には、ジャイロセンサーにより検出される方位変化情報と、加速度センサーにより検出される位置変化情報とが含まれている。
これにより、計測装置30及び慣性計測装置48によって、走行機体50の位置及び走行機体50の方位が検出される。
【0056】
(走行機体の自動走行に関する構成)
図4に示すように、変速レバー45の操作位置が制御装置23に入力されている。操縦ハンドル20を操作する操向モータ51が備えられ、変速レバー45を操作する変速モータ53が備えられている。
【0057】
図4に示すように、作業走行ライン取得部61(取得部に相当)、旋回ライン取得部62、自動走行制御部63、自動旋回制御部64が、ソフトウェアとして制御装置23に備えられている。
【0058】
図2及び
図4に示すように、自動走行制御部63及び自動旋回制御部64を作動状態及び停止状態に人為的に操作する押しボタン型式の操作部52が、変速レバー45の握り部に備えられており、操作部52の操作信号が制御装置23に入力される。操縦ハンドル20の前側に、液晶ディスプレイ等により構成された表示装置27が備えられている。
【0059】
(作業走行ライン及び旋回ラインの設定)
制御装置23において、以下に記載のように、作業走行ラインL01〜L07及び旋回ラインLL1〜LL6の設定が行われる。
又は、外部の制御装置(図示せず)において、以下に記載のように、作業走行ラインL01〜L07及び旋回ラインLL1〜LL6の設定が行われ、設定された作業走行ラインL01〜L07及び旋回ラインLL1〜LL6を、制御装置23が取得する。
【0060】
図5に示すように、例えば畦B1,B2,B3,B4を備えた圃場において、畦B1〜B4の畦際ラインB11,B21,B31,B41の位置データに基づいて、畦際ラインB11,B21から走行機体50(苗植付装置5)の横幅だけ圃場の中央側の位置に、畦際ラインB11,B21に沿って枕地ラインLA1,LA2が設定される。畦際ラインB31,B41から走行機体50(苗植付装置5)の横幅だけ圃場の中央側の位置に、畦際ラインB31,B41に沿って枕地ラインLB1,LB2が設定される。
【0061】
図5に示すように、作業走行ラインL01,L02,L03,L04,L05,L06,L07が、枕地ラインLB1,LB2と平行で、且つ、所定間隔W1(走行機体50(苗植付装置5)の横幅)を置いて互いに平行となるように、枕地ラインLA1,LA2に亘って設定され、作業走行ラインL01〜L07の向き(
図5に示す作業走行ラインL01〜L07の矢印参照)が設定される。
【0062】
図5に示すように、作業走行ラインL01〜L07の始端部(一方の端部)が、作業開始位置C1,C2,C3,C4,C5,C6,C7となる。作業走行ラインL01〜L07の終端部(他方の端部)が、作業終了位置D1,D2,D3,D4,D5,D6,D7となる。これにより、作業開始位置C1〜C7と作業終了位置D1〜D7とを結んだものが、作業走行ラインL01〜L07となる。
【0063】
図5に示すように、作業終了位置D1と作業開始位置C2とを接続するように、平面視で円状の旋回ラインLL1が圃場に設定される。同様に、作業終了位置D2と作業開始位置C3、作業終了位置D3と作業開始位置C4、作業終了位置D4と作業開始位置C5、作業終了位置D5と作業開始位置C6、作業終了位置D6と作業開始位置C7とを接続するように、平面視で円状の旋回ラインLL2,LL3,LL4,LL5,LL6が設定される。
【0064】
表示装置27に、作業開始位置C1〜C7及び作業終了位置D1〜D7、作業走行ラインL01〜L07、旋回ラインLL1〜LL6、計測装置30による走行機体50の位置が、表示装置27(
図4参照)に表示されるので、運転者が問題は無いと判断すると、運転者は承認ボタン(図示せず)を押し操作する。
【0065】
これにより、作業走行ラインL01〜L07、作業開始位置C1〜C7及び作業終了位置D1〜D7の位置データが、位置データとして作業走行ライン取得部61に取得されて記憶される。同時に旋回ラインLL1〜LL6が、位置データとして旋回ライン取得部62に取得されて記憶される。
【0066】
(走行機体の自動走行)
前述の(作業走行ライン及び旋回ラインの設定)に記載のように、作業走行ラインL01〜L07、及び旋回ラインLL1〜LL6が設定された状態において、
図5に示すように、走行機体50をスタート位置K1に位置させた状態で、運転者が操作部52を操作して作業走行を開始する。
【0067】
自動走行制御部63は、以下の説明のように、変速レバー45(変速モータ53)を所定の変速位置に操作して、走行機体50が作業走行ラインL01〜L07に沿って走行するように(計測装置30の位置が作業走行ラインL01〜L07に位置するように)、操縦ハンドル20(操向モータ51)を操作する。
【0068】
自動旋回制御部64は、以下の説明のように、変速レバー45(変速モータ53)を所定の低速位置に操作して、走行機体50が旋回ラインLL1〜LL6に沿って走行するように(計測装置30の位置が旋回ラインLL1〜LL6に位置するように)、操縦ハンドル20(操向モータ51)を操作する。
【0069】
図5に示すように、作業開始位置C1〜C7において、苗植付装置5が圃場に下降操作され、苗植付装置5の自動昇降制御の作動状態となる。植付クラッチ26が伝動状態に操作され、繰り出しモータ54が作動状態となり、苗植付装置5による苗の植え付け及び施肥装置18による肥料の供給が開始される。
【0070】
これと同時に、
図5に示すように、計測装置30及び慣性計測装置48の検出に基づいて、自動走行制御部63により、前輪1の自動的な操向操作が行われて、走行機体50は作業走行ラインL01〜L07に沿って自動的に走行するのであり、苗植付装置5による苗の植え付け及び施肥装置18による肥料の供給が行われる。
【0071】
図5に示すように、走行機体50が作業終了位置D1〜D7に達すると、植付クラッチ26が遮断状態に操作され、繰り出しモータ54が停止状態となり、苗植付装置5の自動昇降制御が停止状態となり、苗植付装置5が圃場から上昇操作される。
【0072】
これと同時に、
図5に示すように、計測装置30及び慣性計測装置48の検出に基づいて、自動旋回制御部64により、前輪1の自動的な操向操作が行われて、走行機体50は旋回ラインLL1〜LL6に沿って自動的に走行する。
【0073】
図5に示すように、走行機体50が旋回ラインLL1〜LL6から作業開始位置C1〜C7に達すると、前述と同様に、苗植付装置5が圃場に下降操作され、苗植付装置5の自動昇降制御の作動状態となる。植付クラッチ26が伝動状態に操作され、繰り出しモータ54が作動状態となり、苗植付装置5による苗の植え付け及び施肥装置18による肥料の供給が開始される。
【0074】
これと同時に、
図5に示すように、計測装置30及び慣性計測装置48の検出に基づいて、自動走行制御部63により、前輪1の自動的な操向操作が行われて、走行機体50は作業走行ラインL01〜L07に沿って自動的に走行するのであり、苗植付装置5による苗の植え付け及び施肥装置18による肥料の供給が行われる。
【0075】
(苗の消費について株間変速装置に関する構成)
図4に示すように、株間変速装置42を操作する株間モータ71と、株間変速装置42の変速位置を検出する株間センサー72とが備えられている。制御装置23により株間モータ71が操作されるのであり、株間センサー72の検出値が制御装置23に入力されている。
【0076】
図1及び
図3に示すように、株間変速装置42を低速側に操作すると、回転ケース7の回転速度が低速となり、植付アーム8による走行機体50の進行方向での苗の植付間隔が広くなる。株間変速装置42を高速側に操作すると、回転ケース7の回転速度が高速となり、植付アーム8による走行機体50の進行方向での苗の植付間隔が狭くなる。株間変速装置42の変速位置を株間センサー72により検出することによって、植付アーム8による走行機体50の進行方向での苗の植付間隔を検出することができる。
【0077】
図3に示すように、無段変速装置33の下手側に株間変速装置42が配置されている。無段変速装置33が操作されて走行機体50の走行速度が変更されても、これに連動して回転ケース7の回転速度も変更されるので、植付アーム8による走行機体50の進行方向での苗の植付間隔は変化しない。
【0078】
図4に示すように、植付間隔設定部46が走行機体50に備えられており、植付間隔設定部46の信号が制御装置23に入力されている。植付間隔設定部46はダイヤル操作型式であり、運転者が植付間隔設定部46を操作することによって、株間モータ71により株間変速装置42を操作して、植付アーム8による走行機体50の進行方向での苗の植付間隔を任意に設定することができる。
【0079】
(苗の消費について植付アームによる苗のせ台からの苗の上下方向での取り出し量に関する構成)
図4に示すように、植付アーム8による苗のせ台10からの苗の上下方向での取り出し量を変更する取り出し量モータ73と、植付アーム8による苗のせ台10からの苗の上下方向での取り出し量を検出する取り出し量センサー74とが備えられている。制御装置23により取り出し量モータ73が操作されるのであり、取り出し量センサー74の検出値が制御装置23に入力されている。
【0080】
取り出し量モータ73は、植付アーム8の回転軌跡に対して苗のせ台10の位置を上下に変更するものである。
植付アーム8の回転軌跡に対して苗のせ台10の位置を上側に変更すると、植付アーム8が通過する苗のせ台10の下部の領域が上下方向で短いものとなるので、植付アーム8による苗のせ台10からの苗の上下方向での取り出し量が少なくなる。
植付アーム8の回転軌跡に対して苗のせ台10の位置を下側に変更すると、植付アーム8が通過する苗のせ台10の下部の領域が上下方向で長いものとなるので、植付アーム8による苗のせ台10からの苗の上下方向での取り出し量が多くなる。
【0081】
植付アーム8の回転軌跡に対する苗のせ台10の位置と、縦送り機構11の苗の縦送り量とは連動している。
植付アーム8による苗のせ台10からの苗の上下方向での取り出し量が少なくなると、縦送り機構11の苗の縦送り量が小さくなり、植付アーム8による苗のせ台10からの苗の上下方向での取り出し量が多くなると、縦送り機構11の苗の縦送り量が大きくなる。
【0082】
取り出し量センサー74は、植付アーム8の回転軌跡に対して苗のせ台10の位置を検出するものである。取り出し量センサー74の検出値によって、植付アーム8による苗のせ台10からの苗の上下方向での取り出し量を検出することができる。
【0083】
図4に示すように、取り出し量設定部47が走行機体50に備えられており、取り出し量設定部47の信号が制御装置23に入力されている。取り出し量設定部47はダイヤル操作型式であり、運転者が取り出し量設定部47を操作することにより、取り出し量モータ73を作動させて、植付アーム8による苗のせ台10からの苗の上下方向での取り出し量を任意に設定することができる。
【0084】
(苗の消費について横送り変速装置に関する構成)
図4に示すように、横送り変速装置44を操作する横送りモータ75と、横送り変速装置44の変速位置を検出する横送りセンサー76とが備えられている。制御装置23により横送りモータ75が操作されるのであり、横送りセンサー76の検出値が制御装置23に入力されている。
【0085】
横送り変速装置44を低速側に操作すると、苗のせ台10の横送り速度が低速となり、植付アーム8が通過する苗のせ台10の下部の領域が左右方向で短いものとなるので、植付アーム8による苗のせ台10からの苗の左右方向での取り出し量が少なくなる。
【0086】
横送り変速装置44を高速側に操作すると、苗のせ台10の横送り速度が高速となり、植付アーム8が通過する苗のせ台10の下部の領域が左右方向で長いものとなるので、植付アーム8による苗のせ台10からの苗の左右方向での取り出し量が多くなる。横送り変速装置44の変速位置を横送りセンサー76で検出することによって、植付アーム8による苗のせ台10からの苗の左右方向での取り出し量を検出することができる。
【0087】
図4に示すように、横送り設定部49が走行機体50に備えられており、横送り設定部49の信号が制御装置23に入力されている。横送り設定部49はダイヤル操作型式であり、運転者が横送り設定部49を操作することにより、横送りモータ75を作動させて、植付アーム8による苗のせ台10からの苗の左右方向での取り出し量を任意に設定することができる。
【0088】
(苗の補給に関する説明)
乗用型田植機では、苗の植え付け及び肥料の供給が行われるのに伴って、苗植付装置5において、苗のせ台10の苗(搭載物に相当)が消費されて少なくなっていき、施肥装置18において、ホッパー13の肥料(搭載物に相当)が消費されて少なくなっていき、燃料タンク(図示せず)の燃料(搭載物に相当)が少なくなっていく。
【0089】
図1,2,5に示すように、走行機体50が作業走行ラインL01〜L07に位置した状態で、苗のせ台10の何れかの苗のせ面10aの苗が少なくなると、作業走行を中断して、走行機体50を作業走行ラインL01〜L07の位置で停止させ、予備苗のせ台21の苗を苗のせ台10の前述の苗のせ面10aに補給するのであり、この後に作業走行を再開する。
【0090】
図1,2,5に示すように、走行機体50が作業走行ラインL01〜L07に位置した状態で、予備苗のせ台21の苗を消費すると、作業走行を中断して、走行機体50を作業走行ラインL01〜L07の位置から畦際まで走行させる。
畦際において、畦B1〜B4に置かれた苗を予備苗のせ台21に補給するのであり、予備苗のせ台21への苗の補給を終了すると、走行機体50を畦際から作業走行を中断した作業走行ラインL01〜L07の位置に走行させて作業走行を再開する。
【0091】
(苗の消費の抑制に関する操作)(消費抑制モードが作動しない状態)
前項(苗の補給に関する説明)に記載のような、作業走行を中断した作業走行ラインL01〜L07の位置と畦際との往復走行を少なくする為に、制御装置23により消費抑制モードが作動することがある。先ず消費抑制モードが作動しない状態について説明する。
【0092】
図4に示すように、ソフトウェアとして苗検出部65(搭載物検出部に相当)及び苗判定部66(搭載物判定部に相当)が、制御装置23に備えられている。
全ての予備苗のせ台21の各々に、苗の存否を検出する予備苗センサー55が備えられて、苗のせ台10の苗のせ面10aの各々に、苗の長さ(苗の量)を検出する苗残量センサー56が備えられており、予備苗センサー55及び苗残量センサー56の検出値が制御装置23に入力されている。
【0093】
図5に示すように、走行機体50の現在位置が、作業走行ラインL01の位置K2であったとする。
計測装置30の検出に基づいて、位置K2から作業終了位置D1までの距離E1が検出される。予備苗センサー55の検出値及び苗残量センサー56の検出値に基づいて、苗検出部65により、位置K2における苗のせ台10及び予備苗のせ台21の苗量が検出される。
【0094】
株間センサー72により、植付アーム8による走行機体50の進行方向での苗の植付間隔が検出されると、距離E1に基づいて、苗判定部66により、位置K2から作業終了位置D1までの植付アーム8による苗の植付回数が検出される。
取り出し量センサー74及び横送りセンサー76により、植付アーム8による苗のせ台10からの苗の上方方向及び左右方向での取り出し量が検出されると、苗判定部66により、植付アーム8が苗を植え付ける際の1回の苗の量が検出される。
【0095】
前述の苗の植付回数、及び、植付アーム8が苗を植え付ける際の1回の苗の量(6条分)に基づいて、苗判定部66より、位置K2から作業終了位置D1までに消費される苗の総量が検出される。
【0096】
苗判定部66により、位置K2における苗のせ台10及び予備苗のせ台21の苗量と、位置K2から作業終了位置D1までに消費される苗の総量とが比較される。
位置K2における苗のせ台10及び予備苗のせ台21の苗量が、位置K2から作業終了位置D1までに消費される苗の総量よりも多いと判断されると、走行機体50が位置K2から作業終了位置D1に達するまでに、苗が不足する状態にはならないと判断される。
【0097】
これにより、消費抑制モードは作動せずに作業走行が続行される。苗判定部66による消費抑制モードを作動させるか否かの判断は、走行機体50が所定距離だけ走行するごとに繰り返して行われる。
【0098】
この間において、苗のせ台10の何れかの苗のせ面10aの苗が少なくなると、作業走行を中断し、走行機体50を作業走行ラインL01の途中で停止させて、予備苗のせ台21の苗を苗のせ台10の前述の苗のせ面10aに補給するのであり、この後に作業走行を再開する。
【0099】
(苗の消費の抑制に関する操作)(消費抑制モードが作動する状態)
図5に示すように、走行機体50の現在位置が作業走行ラインL01の位置K2であった状態において、苗判定部66により、位置K2における苗のせ台10及び予備苗のせ台21の苗量が、位置K2から作業終了位置D1までに消費される苗の総量よりも少ない判断されると、走行機体50が位置K2から作業終了位置D1に達するまでに、苗が不足する状態になると判断される。
【0100】
これにより、消費抑制モードが作動するのであり、消費抑制モードが作動したことが表示装置27に表示される。
図5に示すように、位置K2における苗のせ台10及び予備苗のせ台21の苗量と、位置K2から作業終了位置D1までに消費される苗の総量との比較により、走行機体50が位置K2から作業終了位置D1に達するまでに、苗が不足する状態にならないように、以下の操作(1−1)(1−2)(1−3)のうちの少なくとも一つの操作が自動的に行われる。
【0101】
(1−1)株間モータ71により株間変速装置42が自動的に低速側に操作されて、植付アーム8による走行機体50の進行方向での苗の植付間隔が、植付間隔設定部46により設定された値よりも広くなる。
【0102】
(1−2)取り出し量モータ73により植付アーム8の回転軌跡に対する苗のせ台10の位置が自動的に上側に変更されて、植付アーム8による苗のせ台10からの苗の上下方向での取り出し量が、取り出し量設定部47により設定された値よりも少なくなる。
【0103】
(1−3)横送りモータ75により横送り変速装置44が自動的に低速側に操作されて、植付アーム8による苗のせ台10からの苗の左右方向での取り出し量が、横送り設定部49により設定された値よりも少なくなる。
【0104】
図4に示すように、走行機体50に手動変更部57が備えられており、手動変更部57の信号が制御装置23に入力されている。
運転者が手動変更部57を操作することにより、制御装置23により消費抑制モードが作動した際に、前述の(1−1)(1−2)(1−3)のうちのどの操作が行われるようにするかを、事前に選択することができる。
【0105】
この場合に、前述の(1−1)(1−2)(1−3)のうちのいずれか一つを選択したり、前述の(1−1)(1−2)(1−3)のうちのいずれか二つを選択したり、前述の(1−1)(1−2)(1−3)の全てを選択したりすることができる。
消費抑制モードが作動した状態において、前述の(1−1)(1−2)(1−3)のうちのどの操作が行われているのかが、表示装置27に表示される。
【0106】
以上のように、消費抑制モードが作動した状態において、前述の(1−1)(1−2)(1−3)の操作が行われながら、作業走行が続行される。
この間において、苗のせ台10の何れかの苗のせ面10aの苗が少なくなると、作業走行を中断し、走行機体50を作業走行ラインL01の途中で停止させて、予備苗のせ台21の苗を苗のせ台10の前述の苗のせ面10aに補給するのであり、この後に作業走行を再開する。
【0107】
図5に示すように、走行機体50が作業終了位置D1に達すると、運転者は走行機体50を停止させて、畦B1に置かれた苗を予備苗のせ台21や苗のせ台10に補給する。予備苗のせ台21や苗のせ台10への苗の補給を終了すると、走行機体50を作業開始位置C2に走行させて、次の作業走行ラインL02の作業走行を開始する。
【0108】
(手動変更部による操作限度の設定)
前述のように、消費抑制モードが作動した場合、株間変速装置42が低速側に操作され過ぎると、植付アーム8による走行機体50の進行方向での苗の植付間隔が、広くなり過ぎることがある。
植付アーム8の回転軌跡に対して苗のせ台10の位置が上側に変更され過ぎたり、横送り変速装置44が低速側に操作され過ぎたりすると、植付アーム8が苗を植え付ける際の1回の苗の量が少なくなり過ぎることがある。
【0109】
この場合、手動変更部57により、消費抑制モードが作動した状態での株間変速装置42の低速側への操作限度、植付アーム8の回転軌跡に対する苗のせ台10の位置の上側への変更限度、横送り変速装置44の低速側への操作限度を、各々独立に任意に設定及び変更することができる。
【0110】
手動変更部57により前述のような操作を行うと、消費抑制モードが作動した状態において、株間変速装置42の低速側への操作が操作限度で止められることにより、又は植付アーム8の回転軌跡に対する苗のせ台10の位置の上側への変更が変更限度で止められることにより、又は横送り変速装置44の低速側への操作が操作限度で止められることにより、走行機体50が作業終了位置D1〜D7に達するまでに、苗が不足する状態になることがある。
【0111】
前述のような状態になると、苗が不足する状態になることが、表示装置27に表示される。これにより、作業走行を中断して、走行機体50を作業走行ラインL01〜L07の位置から畦際まで走行させ、畦際において畦B1〜B4に置かれた苗を予備苗のせ台21や苗のせ台10に補給し、走行機体50を畦際から作業走行を中断した作業走行ラインL01〜L07の位置に走行させて作業走行を再開することになる。
【0112】
(発明の実施の第1別形態)
前述の(発明を実施するための形態)において、以下の説明のように、施肥装置18に消費抑制モードを適用してもよい。
【0113】
図1,2,5に示すように、走行機体50が作業走行ラインL01〜L07に位置した状態で、施肥装置18において、ホッパー13の肥料が少なくなると、作業走行を中断して、走行機体50を作業走行ラインL01〜L07の位置から畦際まで走行させる。
畦際において、畦B1〜B4に置かれた肥料をホッパー13に補給するのであり、ホッパー13への肥料の補給を終了すると、走行機体50を畦際から作業走行を中断した作業走行ラインL01〜L07の位置に走行させて作業走行を再開する。
【0114】
図6に示すように、施肥装置18において、繰り出しモータ54により繰り出し部14が駆動されるのであり、繰り出しモータ54の回転速度を変更することにより、繰り出し部14の繰り出し量(供給量)を変更することができる。
肥料設定部58が走行機体50に備えられており、肥料設定部58の信号が制御装置23に入力されている。肥料設定部58はダイヤル操作型式であり、運転者が肥料設定部58を操作することにより、繰り出し部14の繰り出し量を任意に設定することができる。
【0115】
図6に示すように、ホッパー13の肥料の量を検出する肥料センサー67(搭載物検出部に相当)が備えられており、肥料センサー67の検出値が制御装置23に入力されている。ソフトウェアとして肥料判定部68(搭載物判定部に相当)が、制御装置23に備えられている。
【0116】
(肥料の消費の抑制に関する操作)(消費抑制モードが作動しない状態)
図5に示すように、走行機体50の現在位置が、作業走行ラインL01の位置K2であり、位置K2から作業終了位置D1までの距離E1であったとする。
【0117】
変速レバー45の操作位置の検出に基づく走行機体50の走行速度、及び、肥料設定部58の操作位置に基づく繰り出し部14の繰り出し量に基づいて、肥料判定部68によって、単位走行距離当たりの繰り出し量が検出される。肥料判定部68により、距離E1に基づいて、位置K2から作業終了位置D1までに消費される肥料の総量が検出される。
【0118】
肥料判定部68によって、位置K2におけるホッパー13の肥料の量と、位置K2から作業終了位置D1までに消費される肥料の総量とが比較される。位置K2におけるホッパー13の肥料の量が、位置K2から作業終了位置D1までに消費される肥料の総量よりも多いと判断されると、走行機体50が位置K2から作業終了位置D1に達するまでに、ホッパー13の肥料が不足する状態にはならないと判断される。
【0119】
これにより、消費抑制モードは作動せずに作業走行が続行される。肥料判定部68による消費抑制モードを作動させるか否かの判断は、走行機体50が所定距離だけ走行するごとに繰り返して行われる。
【0120】
(肥料の消費の抑制に関する操作)(消費抑制モードが作動する状態)
図5に示すように、走行機体50の現在位置が作業走行ラインL01の位置K2であった状態において、肥料判定部68により位置K2におけるホッパー13の肥料の量が、位置K2から作業終了位置D1までに消費される肥料の総量よりも少ないと判断されると、走行機体50が位置K2から作業終了位置D1に達するまでに、ホッパー13の肥料が不足する状態になると判断される。
【0121】
これにより、消費抑制モードが作動するのであり、消費抑制モードが作動したことが表示装置27に表示される。
図5に示すように、位置K2におけるホッパー13の肥料の量と、位置K2から作業終了位置D1までに消費される肥料の総量との比較により、走行機体50が位置K2から作業終了位置D1に達するまでに、ホッパー13の肥料が不足する状態にならないように、施肥装置18において、繰り出しモータ54の回転速度が自働的に低速側に操作される。
【0122】
図5に示すように、走行機体50が作業終了位置D1に達すると、運転者は走行機体50を停止させて、畦B1に置かれた肥料をホッパー13に補給する。ホッパー13への肥料の補給を終了すると、走行機体50を作業開始位置C2に走行させて、次の作業走行ラインL02の作業走行を開始する。
【0123】
(手動変更部による操作限度の設定)
前述のように、消費抑制モードが作動した場合、施肥装置18において、繰り出しモータ54の回転速度が低速側に操作され過ぎると、圃場への肥料の供給が少なくなり過ぎることがある。
【0124】
この場合、手動変更部57により、消費抑制モードが作動した状態での繰り出しモータ54の回転速度の低速側への操作限度を、任意に設定及び変更することができる。
手動変更部57により前述のような操作を行うと、消費抑制モードが作動した状態において、繰り出しモータ54の回転速度の低速側への操作が操作限度で止められることにより、走行機体50が作業終了位置D1〜D7に達するまでに、ホッパー13の肥料が不足する状態になることがある。
【0125】
前述のような状態になると、ホッパー13の肥料が不足する状態が、表示装置27に表示される。これにより、作業走行を中断して、走行機体50を作業走行ラインL01〜L07の位置から畦際まで走行させ、畦際において畦B1〜B4に置かれた肥料をホッパー13に補給し、走行機体50を畦際から作業走行を中断した作業走行ラインL01〜L07の位置に走行させて作業走行を再開することになる。
【0126】
(発明の実施の第2別形態)
前述の(発明を実施するための形態)(発明の実施の第1別形態)において、以下の説明のように、燃料タンクの燃料に消費抑制モードを適用してもよい。
【0127】
図1,2,5に示すように、走行機体50が作業走行ラインL01〜L07に位置した状態で、燃料タンクの燃料が少なくなると、作業走行を中断して、走行機体50を作業走行ラインL01〜L07の位置から畦際まで走行させる。
畦際において、畦B1〜B4に置かれた燃料を燃料タンクに補給するのであり、燃料タンクへの燃料の補給を終了すると、走行機体50を畦際から作業走行を中断した作業走行ラインL01〜L07の位置に走行させて作業走行を再開する。
【0128】
図7に示すように、アクセル設定部59が走行機体50に備えられており、アクセル設定部59の信号が制御装置23に入力されている。エンジン31のアクセル(図示せず)を操作するアクセルモータ60が備えられており、制御装置23によりアクセルモータ60が操作される。アクセル設定部59は操作レバー型式であり、運転者がアクセル設定部59を操作することにより、アクセルモータ60によってエンジン31のアクセルの操作位置を任意に設定することができる。
【0129】
図7に示すように、燃料タンクの燃料の量を検出する燃料センサー69(搭載物検出部に相当)が備えられて、燃料センサー69の検出値が制御装置23に入力されている。ソフトウェアとして燃料判定部70(搭載物判定部に相当)が、制御装置23に備えられている。
【0130】
(燃料の消費の抑制に関する操作)(消費抑制モードが作動しない状態)
図5に示すように、走行機体50の現在位置が、作業走行ラインL01の位置K2であり、位置K2から作業終了位置D1までの距離E1であったとする。
【0131】
変速レバー45の操作位置の検出に基づく走行機体50の走行速度、及び、アクセル設定部59の操作位置に基づくエンジン31のアクセルの操作位置によって、燃料判定部70により、単位走行距離当たりの燃料の消費量が検出される。燃料判定部70により、距離E1に基づいて、位置K2から作業終了位置D1までに消費される燃料の総量が検出される。
【0132】
燃料判定部70によって、位置K2における燃料タンクの燃料の量と、位置K2から作業終了位置D1までに消費される燃料の総量とが比較される。位置K2における燃料タンクの燃料の量が、位置K2から作業終了位置D1までに消費される燃料の総量よりも多いと判断されると、走行機体50が位置K2から作業終了位置D1に達するまでに、燃料タンクの燃料が不足する状態にはならないと判断される。
【0133】
これにより、消費抑制モードは作動せずに作業走行が続行される。燃料判定部70による消費抑制モードを作動させるか否かの判断は、走行機体50が所定距離だけ走行するごとに繰り返して行われる。
【0134】
(燃料の消費の抑制に関する操作)(消費抑制モードが作動する状態)
図5に示すように、走行機体50の現在位置が作業走行ラインL01の位置K2であった状態において、燃料判定部70により、位置K2における燃料タンクの燃料の量が、位置K2から作業終了位置D1までに消費される燃料の総量よりも少ないと判断されると、走行機体50が位置K2から作業終了位置D1に達するまでに、燃料タンクの燃料が不足する状態になると判断される。
【0135】
これにより、消費抑制モードが作動するのであり、消費抑制モードが作動したことが表示装置27に表示される。
図5に示すように、位置K2における燃料タンクの燃料の量と、位置K2から作業終了位置D1までに消費される燃料の総量との比較により、走行機体50が位置K2から作業終了位置D1に達するまでに、燃料タンクの燃料が不足する状態にならないように、以下の操作(2−1)(2−2)のうちの少なくとも一つの操作が自動的に行われる。
【0136】
(2−1)変速モータ53により無段変速装置33が自働的に低速側に操作されて、燃料の消費が抑えられる。
(2−2)アクセルモータ60によりエンジン31のアクセルが自働的に低速側に操作されて、燃料の消費が抑えられる。
【0137】
運転者が手動変更部57を操作することにより、制御装置23により消費抑制モードが作動した際に、前述の(2−1)(2−2)のうちのどの操作が行われるようにするかを事前に選択することができる。
この場合、前述の(2−1)(2−2)のうちのいずれか一つを選択したり、前述の(2−1)(2−2)の両方を選択したりすることができる。消費抑制モードが作動した状態において、前述の(2−1)(2−2)のうちのどの操作が行われているのかが、表示装置27に表示される。
【0138】
以上のように、消費抑制モードが作動した状態において、前述の(2−1)(2−2)の操作が行われながら、作業走行が続行される。
図5に示すように、走行機体50が作業終了位置D1に達すると、運転者は走行機体50を停止させて、畦B1に置かれた燃料を燃料タンクに補給する。燃料タンクへの燃料の補給を終了すると、走行機体50を作業開始位置C2に走行させて、次の作業走行ラインL02の作業走行を開始する。
【0139】
(手動変更部による操作限度の設定)
前述のように、消費抑制モードが作動した場合、無段変速装置33が低速側に操作され過ぎると、苗植付装置5において、回転ケース7の回転速度が遅くなり過ぎて、植付アーム8による苗の植え付けに不具合が発生する可能性が生じる。
エンジン31のアクセルが低速側に操作され過ぎると、エンジン31の出力不足になる可能性がある。
【0140】
この場合、手動変更部57により、消費抑制モードが作動した状態での無段変速装置33の低速側への操作限度、エンジン31のアクセルの低速側への操作限度を、各々独立に任意に設定及び変更することができる。
【0141】
手動変更部57により前述のような操作を行うと、消費抑制モードが作動した状態において、無段変速装置33の低速側への操作が操作限度で止められることにより、又はエンジン31のアクセルの低速側への操作が操作限度で止められることにより、走行機体50が作業終了位置D1〜D7に達するまでに、燃料タンクの燃料が不足する状態になることがある。
【0142】
前述のような状態になると、燃料タンクの燃料が不足する状態が、表示装置27に表示される。これにより、作業走行を中断して、走行機体50を作業走行ラインL01〜L07の位置から畦際まで走行させ、畦際において畦B1〜B4に置かれた燃料を燃料タンクに補給し、走行機体50を畦際から作業走行を中断した作業走行ラインL01〜L07の位置に走行させて作業走行を再開することになる。
【0143】
(発明の実施の第3別形態)
前述の(発明を実施するための形態)(発明の実施の第1別形態)(発明の実施の第2別形態)において、消費抑制モードが作動した場合、制御装置23により各種の自動的な操作が行われるように構成するのではなく、以下の説明のように構成してもよい。
【0144】
消費抑制モードが作動した場合に、以下の(3−1)(3−2)(3−3)の状態のうち、どの状態となったかが表示装置27に表示される。
(3−1)走行機体50が位置K2から作業終了位置D1に達するまでに苗が不足する状態。
(3−2)走行機体50が位置K2から作業終了位置D1に達するまでに、ホッパー13の肥料が不足する状態。
(3−3)走行機体50が位置K2から作業終了位置D1に達するまでに、燃料タンクの燃料が不足する状態。
【0145】
運転者は、表示装置27の表示に従って、以下の(4−1)〜(4−6)に示す操作のうち、運転者が適切と判断する一つ又は複数の操作を手動で行う。
(4−1)植付間隔設定部46を操作して、株間変速装置42を操作する。
(4−2)取り出し量設定部47を操作して、植付アーム8による苗のせ台10からの苗の上下方向での取り出し量を変更する。
(4−3)横送り設定部49を操作して、植付アーム8による苗のせ台10からの苗の左右方向での取り出し量を変更する。
(4−4)肥料設定部58を操作して、繰り出しモータ54の回転速度を変更する。
(4−5)変速レバー45を操作して、無段変速装置33を操作する。
(4−6)アクセル設定部59を操作して、エンジン31のアクセルを操作する。
【0146】
(発明の実施の第4別形態)
粉粒状や液状の薬剤(搭載物に相当)を圃場に供給する薬剤供給装置(図示せず)(供給装置に相当)を装備した場合や、苗植付装置5に代えて種子(搭載物に相当)を圃場に供給する播種装置(供給装置に相当)(図示せず)を装備した場合、消費抑制モードの構成を薬剤供給装置や播種装置に適用してもよい。
【0147】
(発明の実施の第5別形態)
前述の(発明を実施するための形態)(発明の実施の第1別形態)〜(発明の実施の第4別形態)の消費抑制モードにおいて、走行機体50が作業終了位置D1〜D7に達すると、警報装置(図示せず)が作動しながら、苗植付装置5が圃場から自働的に上昇操作されたり、ホッパー13の上部の蓋部が自働的に開き操作されたりした後、エンジン31が自働的に停止するように構成してもよい。
【0148】
複数の予備苗のせ台21を、前後方向に一列状に並んだ使用姿勢、積み重ねられるように折り畳まれた非使用姿勢に切り換える支持機構(図示せず)を備えてもよい。
畦B1〜B4から苗や肥料、燃料等の搭載物を補給する際に、畦B1〜B4からの搭載物を受ける使用姿勢、及び非使用姿勢に切換自在な補給台(図示せず)を備えてもよい。
消費抑制モードが作動した場合、走行機体50が作業終了位置D1〜D7に達すると、支持機構が自動的に使用姿勢に操作されたり、補給台が自動的に使用姿勢に操作されたりするように構成してもよい。
【0149】
(発明の実施の第6別形態)
前述の(発明を実施するための形態)(発明の実施の第1別形態)〜(発明の実施の第5別形態)において、作業走行ライン取得部61及び旋回ライン取得部62、自動走行制御部63及び自動旋回制御部64を廃止して、取得部により作業終了位置D1〜D7だけを取得するように構成してもよい。