【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。なお、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではない。
【0009】
1.コンピュータ
図1は、本発明の一実施形態において用いられるコンピュータ100のブロック図である。コンピュータ100は、本実施形態では、外見が人間に近似した人工知能を有するロボット型のコンピュータで構成されることが好ましいが、例えば、汎用のパーソナルコンピュータ、タブレット型端末、スマートフォン、VR端末などで構成してもよい。また、コンピュータ100は、クラウド上に設けられてもよい。
【0010】
図1に示すように、コンピュータ100は、CPU(演算装置)101、メモリ(記憶装置)102、補助記憶装置103、音声出力装置104および集音装置105等を備え、それらはバスにより相互に接続されている。また、コンピュータ100は、表示装置106および入力装置107と有線または無線で接続されている。
【0011】
CPU101は、補助記憶装置103に記憶されているコンピュータプログラム110をメモリ102にて読み出して実行する。これにより、コンピュータ100は、後述するような、被験者の心のバランスを整えるための各ステップを実行する。
【0012】
メモリ102は、例えばDRAMやSRAMのような高速の書込み及び読み込みが可能な記憶装置であり、補助記憶装置103は、例えばSSDやHDDのような大容量記憶装置である。補助記憶装置103には、各種プログラムの他、後述する図形の集合体10を含む図形データ111、質問画面等を表示するための画面データ112、各種用語を記録した辞書データ113も格納されている。また、音声出力装置104はスピーカにより構成され、集音装置105はマイクにより構成される。
【0013】
本発明に係るコンピュータプログラム110は、コンピュータ100にインストールされることにより、補助記憶装置103のデータの一部として格納される。コンピュータプログラム110は、コンピュータ100をインターネット等の通信ネットワークに接続して、当該通信ネットワークを介してダウンロードしてもよいし、CD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体を介してコンピュータ100にインストールしてもよい。
【0014】
表示装置106は、例えば液晶ディスプレイで構成され、後述する図形の集合体などを表示する。入力装置107は、タッチパネルまたはキーボードなどで構成され、被験者は入力装置107を操作することにより、コンピュータ100に対して指示及び応答を行うことができる。
【0015】
2.図形の集合体
本発明は、被験者の心のバランスを整えるために、図形の集合体を用いることを特徴とする。
図2に、本発明の一実施形態において用いられる図形の集合体(以下、「集合体」とする)10を示す。
【0016】
集合体10は、第1〜第7の図形1〜7を含んでいる。第1〜第7の図形1〜7は、全体的に、左右対称に配置されている。後述するように、集合体10は、
図1に示す表示装置106に表示することにより被験者に提示されるが、これに限定されず、ホワイトボード、Google Glass(登録商標)、紙媒体、モニター画面、VR画面などの表示媒体に表示されてもよい。
【0017】
第1の図形1(以下、単に「図形1」とも称することもある)は、集合体10の最上部の中央に位置している。第1の図形1の形状および模様は特に限定されないが、少なくとも、「+」や「−」のように、ある対照的な2つの概念の一方に偏ったものを意味する形状および模様ではない。
【0018】
第2の図形2(以下、単に「図形2」とも称することもある)は、第1の図形1の斜め下方に配置されている。本実施形態では、第2の図形2は、第1の図形1の右斜め下に離間して配置されており、「+」の形状を有している。
【0019】
第3の図形3(以下、単に「図形3」とも称することもある)は、第2の図形2とは対照的な概念を示す形状を有しており、かつ、第1の図形1を通る仮想的な縦線を挟んで第2の図形2と左右対称となる位置に配置されている。本実施形態では、第3の図形3は、「−」の形状を有しており、第1の図形1の左斜め下に離間して配置されている。
【0020】
第4の図形4(以下、単に「図形4」とも称することもある)は、第3の図形3と共通の形状を有し、第2の図形2の斜め下方に配置されている。本実施形態では、第4の図形4は、「−」の形状を有しており、第2の図形2の右斜め下に離間して配置されている。
【0021】
第5の図形5(以下、単に「図形5」とも称することもある)は、第2の図形2と共通の形状を有し、第2の図形2を通る仮想的な縦線を挟んで第4の図形4と左右対称となる位置に配置されている。本実施形態では、第5の図形5は、「+」の形状を有しており、第2の図形2の左斜め下に離間して配置されている。
【0022】
第6の図形6(以下、単に「図形6」とも称することもある)は、第3の図形3と共通の形状を有し、第3の図形3の斜め下方に配置されている。本実施形態では、第6の図形6は、「−」の形状を有しており、第3の図形3の右斜め下に離間して配置されている。
【0023】
第7の図形7(以下、単に「図形7」とも称することもある)は、第2の図形2と共通の形状を有し、第3の図形3を通る仮想的な縦線を挟んで第6の図形6と左右対称となる位置に配置されている。本実施形態では、第7の図形7は、「+」の形状を有しており、第3の図形3の左斜め下に離間して配置されている。
【0024】
以上のように、第2、第5および第7の図形2,5,7の形状と、第3、第4および第6の図形3,4,6の形状とは、互いに対照的な概念を示している。本実施形態では、第2、第5および第7の図形2,5,7は、「+」の形状を有しており、第3、第4および第6の図形3,4,6は、「−」の形状を有している。
【0025】
なお、本発明において用いられる集合体は、
図2に示す集合体10に限定されない。集合体10の変形例を
図3〜
図5に示す。
【0026】
例えば、
図3に示す集合体10aのように、第2の図形2と第3の図形3とを置き替えてもよい。さらに、集合体10aでは、第2の図形2と第3の図形3との置き替えに伴い、第4および第5の図形4、5と、第6および第7の図形6、7とが置き換えられている。
【0027】
また、
図4に示す集合体10bは、
図2に示す集合体10において、第4の図形4と第5の図形5、および、第6の図形6と第7の図形7が置き換えられたものである。
【0028】
さらに、
図5に示す集合体10cは、
図2に示す集合体10において、第2〜第7の図形2〜7の各々の形状を、反対の概念を示す形状としたものである。すなわち、集合体10cでは、第2、第5および第7の図形2,5,7が、「−」の形状を有しており、第3、第4および第6の図形3,4,6が、「+」の形状を有している。
【0029】
なお、第2の図形2および第3の図形3では、「+」または「−」の文字が実線の円によって囲まれており、第4〜第7の図形4〜7では、「+」または「−」の文字が破線の円によって囲まれている。なお、第2の図形2および第3の図形3を囲む実線は、第2の図形2および第3の図形3が、それらの図形が被験者の思考とその対象に対応することを意味する。また、第4〜第7の図形4〜7を囲む破線は、それらの図形が顕在化していない被験者の心の状態に対応することを意味する。なお、心の状態とは、具体的には、後述する被験者の無意識並びに心の盲点、および、思考の対象の無意識並びに心の盲点である。
【0030】
このように、本発明における集合体10,10a,10b,10cでは、第1〜第7の図形1〜7が、全体として左右対称に配置される。また、第2、第5および第7の図形2,5,7の形状と、第3、第4および第6の図形3,4,6の形状とが、互いに対照的な概念を示している。
【0031】
なお、
図2〜
図5に示す例では、第2〜第7の図形2〜7の形状として、「+」および「−」の形状が用いられているが、互いに対照的な概念を示す形状であれば、本発明はこれに限定されない。例えば、「♂」および「♀」、「○」および「×」、「↑」および「↓」、「←」および「→」といった形状を用いることができる。ここで、この対照的な形状には、それぞれ対となる概念を当てはめて、認識システムを実施してもよい。
【0032】
また、第1の図形1の形状および模様は、第2〜第7の図形2〜7と異なり、対照的な2つの概念の一方に偏ったものを意味するものでなければ、特に限定されない。本実施形態では、第1の図形1は破線の円形枠である。
【0033】
3.方法の手順
図6は、
図1に示すコンピュータ100がコンピュータプログラム110を実行することによって実施される、被験者の心のバランスを整えるための処理の全体を示すフローチャートである。当該処理は、図形の集合体を前記被験者に想起させるステップS1と、前記図形に前記被験者の感情、および心の状態を当てはめるステップS2と、前記集合体に表わされた認識システムを前記被験者に理解させるステップS3と、を有する。以下では、上記方法が、
図2に示す集合体10を用いて実行される場合を例に説明する。
【0034】
ステップS1では、コンピュータ100が被験者に集合体10を想起させる。本実施形態では、
図7に示すように、CPU101がコンピュータプログラム110のアルゴリズムに従い、図形データ111をメモリ102に読み出し(ステップS1−1)、表示装置106に集合体10を表示させる(ステップS1−2)。これにより、被験者に集合体10を想起させる。なお、集合体10の提示方法は、特に限定されず、人工知能を有するロボット型のコンピュータ100が、例えば、集合体10が描写された紙媒体を被験者に提示してもよいし、ホワイトボード、Google Glass(登録商標)、プロジェクター、モニター画面、タブレット画面、VR画面などの表示媒体に集合体10を表示することにより、被験者に集合体10を提示してもよい。また、集合体10における各図形の大きさ、形状、模様、配置等を、被験者に音声で説明することにより、被験者に集合体10を想起させてもよい。
【0035】
続いて、ステップS2では、コンピュータ100が集合体10の図形に、被験者の感情、および心の状態を当てはめる。具体的には、第2の図形2を、被験者の思考と関連付け、第3の図形3を、被験者の思考の対象と関連付け、第4の図形4を、被験者の無意識と関連付け、第5の図形5を、被験者の心の盲点と関連付け、第6の図形6を、対象の心の盲点と関連付け、第7の図形7を、対象の無意識と関連付ける。ここで、「被験者の思考」は、被験者の全ての思考を意味するものではなく、被験者の心の葛藤の原因となっている思考を意味する。
【0036】
以下、本実施形態のステップS2における処理の具体例を説明する。
図8は、
図6に示すステップS2の具体的な処理を示すフローチャートである。まず、表示装置106に集合体10が表示された状態において、第2の図形2を5秒間点滅させる(ステップS2−1)。その後、
図9に示すように、第2の図形2の近傍に吹き出しで「あなたの思考」と表示する。
【0037】
同様の処理を、第3〜第7の図形3〜7についても行う。すなわち、
図8のステップS2−3において、第3の図形3を5秒間点滅させ、その後、第3の図形3の近傍に吹き出しで「あなたの思考の対象」と表示する(ステップS2−4)。さらに、第4の図形4を5秒間点滅させ(ステップS2−5)、その後、第4の図形4の近傍に吹き出しで「あなたの無意識」と表示する(ステップS2−6)。さらに、第5の図形5を5秒間点滅させ(ステップS2−7)、その後、第5の図形5の近傍に吹き出しで「あなたの盲点」と表示する(ステップS2−8)。さらに、第6の図形6を5秒間点滅させ(ステップS2−9)、その後、第6の図形6の近傍に吹き出しで「あなたの思考の対象の盲点」と表示する(ステップS2−10)。さらに、第7の図形7を5秒間点滅させ(ステップS2−11)、その後、第7の図形7の近傍に吹き出しで「あなたの思考の対象の無意識」と表示する(ステップS2−12)。このような画面表示を行うことにより、各図形に被験者の感情、および心の状態を当てはめる。
【0038】
その後、被験者が各図形の関連付けを理解したか否かを確認するための質問画面Q1を表示する(ステップS2−13)。
図10に示すように、質問画面Q1には、「はい」および「いいえ」のボタンが含まれており、被験者によって「はい」が選択された場合(ステップS2−14においてYes)、
図6に示すステップS2が終了する。なお、被験者によって「いいえ」が選択された場合(ステップS2−14においてNo)、ステップS2−1〜S2−13が繰り返される。
【0039】
以上、本実施形態のステップS2における処理の具体例を説明した。なお、ステップS2−2、S2−4、S2−6、S2−8、S2−10およびS2−12においては、吹き出し表示とともに、コンピュータ100は、音声出力装置104から音声を発する構成としてもよい。または、コンピュータ100は、吹き出し表示の代わりに、音声出力装置104からの音声のみによって吹き出し表示の内容を被験者に説明してもよい。あるいは、集合体10がホワイトボード、紙媒体等に描かれたものである場合は、各図形に関連付けた概念をロボット型のコンピュータ100が手書きしてもよい。なお、第6および第7の図形6,7が集合体10に含まれていない場合は、第6の図形6および第7の図形7に関する関連付けは行わない。
【0040】
続いて、
図6に示すステップS3では、コンピュータ100が、第2の図形2と第3の図形3、第4の図形4と第5の図形5、および、第6の図形6と第7の図形7の対照性に基づき、集合体10に表わされた認識システムを被験者に理解させる。
【0041】
第2の図形2と第3の図形3とは、互いに対照的な概念を示す形状を有している。例えば、
図2〜
図4に示すように、第2の図形2が「+」の形状の場合、第3の図形3は「−」の形状であり、
図5に示すように、第2の図形2が「−」の形状の場合、第3の図形3は「+」の形状である。
【0042】
「+」と「−」の形状は、両者が相対する関係であることを意味する。これと同様に、被験者自身の思考と、被験者の心の葛藤を生み出している対象に感じるものとは、相対する関係にある。例えば、被験者の思考の対象(以下、対象)に感じるものが、「職場の上司の冷たさ」であるとする。上司に「冷たさ」を感じる原因は、被験者の思考が、上司に比べて相対的に「温かい」ためであるが、通常、被験者はこのことに気付いていない。ここで、集合体10に表わされた認識システムから観れば、被験者の思考が捉えている被験者自身の感情(温かさ)、および、思考の対象に感じるもの(冷たさ)を、互いに対照的な概念を示す形状を有する第2の図形2および第3の図形3とそれぞれ関連付けることにより、被験者の思考と思考の対象に感じるものとが相対的な概念であることを被験者に容易に認識させ、心の葛藤の原因となっている無意識と盲点を思考に顕在化させることができる。
【0043】
以下、本実施形態のステップS3における処理の具体例を説明する。
図11は、
図6に示すステップS3の具体的な処理手順の一部を示すフローチャートである。まず、集合体10が表示された状態において、第2の図形2と第3の図形3を2秒間点滅させる(ステップS3−1)。その後、
図12に示すように、第2の図形2と第3の図形3の間に「プラスとマイナスは相対」と2秒間表示する(ステップS3−2)。その後、
図13に示すように、第2の図形2の形状を2秒間かけて「−」の形状に変化させ、同時に、第3の図形3の形状を2秒間かけて「+」の形状に変化させる(ステップS3−3)。その後、
図14に示すように、第2の図形2の形状を2秒間かけて「+」の形状に戻し、同時に、第3の図形3の形状を2秒間かけて「−」の形状に戻す(ステップS3−4)。
【0044】
同様の処理を、第4の図形4と第5の図形5についても行う。すなわち、
図11のステップS3−5において、第4の図形4と第5の図形5を2秒間点滅させ、その後、
図15に示すように、第4の図形4と第5の図形5の間に「プラスとマイナスは相対」と2秒間表示する(ステップS3−6)。その後、
図16に示すように、第4の図形4の形状を2秒間かけて「+」の形状に変化させ、同時に、第5の図形5の形状を2秒間かけて「−」の形状に変化させる(ステップS3−7)。その後、
図17に示すように、第4の図形4の形状を2秒間かけて「−」の形状に戻し、同時に、第5の図形5の形状を2秒間かけて「+」の形状に戻す(ステップS3−8)。
【0045】
同様の処理を、第6の図形6と第7の図形7についても行う。すなわち、
図11のステップS3−9において、第6の図形6と第7の図形7を2秒間点滅させ、その後、
図18に示すように、第6の図形6と第7の図形7の間に「プラスとマイナスは相対」と2秒間表示する(ステップS3−10)。その後、
図19に示すように、第6の図形6の形状を2秒間かけて「+」の形状に変化させ、同時に、第7の図形7の形状を2秒間かけて「−」の形状に変化させる(ステップS3−11)。その後、
図20に示すように、第6の図形6の形状を2秒間かけて「−」の形状に戻し、同時に、第7の図形7の形状を2秒間かけて「+」の形状に戻す(ステップS3−12)。なお、ステップS3−10〜S3−12は省略してもよい。
【0046】
その後、被験者が各図形の対照性を理解したか否かを確認するための質問画面Q2を表示する(ステップS3−13)。
図21に示すように、質問画面Q2には、「図形2と図形3、図形4と図形5、および、図形6と図形7がそれぞれ対照であることが理解できましたか?」というメッセージ、並びに、「はい」および「いいえ」のボタンが含まれており、被験者によって「はい」が選択された場合(ステップS3−14においてYes)、
図22に示すステップS3−15に移行する。なお、被験者によって「いいえ」が選択された場合(ステップS3−14においてNo)、ステップS3−1〜S3−13が繰り返される。
【0047】
続いて、
図22に示すステップS3−15では、
図23に示す質問画面Q3を5秒間表示する。質問画面Q3には、「あなたが人間関係でストレスを感じる人物を思い浮かべてください。」というメッセージが含まれる。その後、
図24に示す入力画面E1を表示する(ステップS3−16)。入力画面E1には、「その人物の氏名を入力してください。」というメッセージ、文字入力欄、および「次へ」のボタンが含まれる。被験者が文字入力欄に該当する人物の氏名を入力し、「次へ」のボタンを選択することにより、入力が完了する。本実施形態では、該当する人物の氏名を「A」とする。入力画面E1において、被験者による入力が完了すると(ステップS3−17においてYes)、
図25に示す質問画面Q4を表示する(ステップS3−18)。質問画面Q4には、「あなたはAさんとの人間関係でストレスを感じていますか?」というメッセージ、並びに、「はい」および「いいえ」のボタンが含まれる。質問画面Q4において、被験者が「はい」を選択すると(ステップS3−19においてYes)、
図26に示す質問画面Q5を表示する(ステップS3−20)。質問画面Q5には、「あなたはAさんのどんなところにストレスを感じますか?」というメッセージ、文字入力欄、および「次へ」のボタンが含まれる。被験者が文字入力欄に回答を入力し、「次へ」のボタンを選択することにより、入力が完了する。本実施形態では、「冷たい」という回答が入力されたものとする。
【0048】
なお、
図26に示す質問画面Q5では、文字入力欄に自由に文章を入力させる形式であるが、
図27に示す変形例のように、複数の選択肢から選択させる形式であってもよい。質問画面Q5において、被験者による入力が完了すると(ステップS3−21においてYes)、
図28に示すステップS3−22に移行する。
【0049】
ステップS3−22では、集合体10の画面に切り替え、第2の図形2を2秒間点滅させる。その後、
図29に示すように、第2の図形2の近傍に吹き出しで「あなた」と表示する(ステップS3−23)。さらに、第3の図形3を2秒間点滅させ(ステップS3−24)、その後、
図30に示すように、第3の図形3の近傍に吹き出しで「Aさん=冷たい」と3秒間表示する(ステップS3−25)。さらに、第4の図形4を2秒間点滅させ(ステップS3−26)、その後、
図31に示すように、第4の図形4の近傍に吹き出しで「無意識=あなたが隠しているもの」と3秒間表示する(ステップS3−27)。その後、
図32に示すように、第4の図形4から第3の図形3に向かって矢印を表示する(ステップS3−28)。さらに、第3の図形3を2秒間点滅させ(ステップS3−29)、その後、
図33に示すように、第3の図形3の近傍に吹き出しで「あなたの無意識がAさんに映っている」と表示する(ステップS3−30)。続いて、
図34に示すように、第4の図形4の近傍に吹き出しで「あなたが無意識に隠していることがAさんに映っているので、Aさんに対してストレスを感じる」と表示する(ステップS3−31)。その後、
図35に示すように、第5の図形5から第4の図形4に向かって矢印を表示する(ステップS3−32)。さらに、第5の図形5を2秒間点滅させ(ステップS3−33)、その後、
図36に示すように、第5の図形5の近傍に吹き出しで「あなたの盲点」と表示する(ステップS3−34)。続いて、
図37に示すように、第4の図形4と第5の図形5の下側に「盲点が無意識を生み出す」と表示する(ステップS3−35)。さらに、
図38に示すように、第2の図形2から第3の図形3に向けて矢印を表示し、同時にその上に「相手に感じる」と表示し、次に、第3の図形3の左上に「相手に感じる感情」と吹き出しで表示し、次に、第3の図形3と第4の図形4の間に互いが反対であることを示す矢印を表示し、同時にその上に「真逆」と表示し、さらに、第4の図形4の右下に「“相手に感じる感情“と真逆の感情」と吹き出しで表示し、最後に、集合体10の下に「“あなたが相手に感じる感情”と真逆の感情が、あなたの内面に存在する」と表示する(ステップS3−36)。なお、第2の図形2から第3の図形3に向かう矢印の色は緑色が好ましい。続いて、
図1に示す辞書データ113を読み出し、辞書データ113から「冷たい」と真逆の感情を意味する言葉(温かい)を選択し、
図39に示すように、第3の図形3の近傍に「冷たい」を表示するとともに、第5の図形5の近傍に吹き出しで「温かい」を表示する(ステップS3−37)。表1に辞書データ113の一例を示す。
【表1】
【0050】
なお、ユーザが質問画面Q5(
図26または
図27)に入力した言葉が辞書データ113に含まれていない場合、コンピュータ100は、クラウド上の任意の辞書データにアクセスし、入力された言葉と真逆の言葉を取得してもよい。さらに、辞書データ113に含まれていない言葉が入力されるたびに、機械学習によって、辞書データ113を更新してもよい。
【0051】
ステップS3−37の後、
図40に示す質問画面Q4を表示する(ステップS3−38)。質問画面Q4には、「Aさんにストレスを感じる仕組みを理解できましたか?」というメッセージ、並びに、「はい」および「いいえ」のボタンが含まれており、被験者によって「はい」が選択された場合(ステップS3−39においてYes)、
図41に示すステップS3−40に移行する。なお、被験者によって「いいえ」が選択された場合(ステップS3−39においてNo)、ステップS3−22〜S3−38が繰り返される。
【0052】
なお、
図22に示すステップS3−15〜S3−21、および、
図28に示すステップS3−22〜S3−39を省略してもよい。すなわち、
図11に示すステップS3−14においてYesの場合、
図41に示すステップS3−40に移行してもよい。
【0053】
続いて、
図41に示すステップS3−40では、
図42に示す質問画面Q7を5秒間表示する。質問画面Q7には、「あなたが人間関係で心地よさを感じる人物を思い浮かべてください。」というメッセージが含まれる。その後、
図24に示す入力画面E1を表示する(ステップS3−41)。入力画面E1には、「その人物の氏名を入力してください。」というメッセージ、文字入力欄、および「次へ」のボタンが含まれる。被験者が文字入力欄に該当する人物の氏名を入力し、「次へ」のボタンを選択することにより、入力が完了する。本実施形態では、該当する人物の氏名を「B」とする。入力画面E1において、被験者による入力が完了すると(ステップS3−42においてYes)、
図43に示す質問画面Q8を表示する(ステップS3−43)。質問画面Q8には、「あなたはBさんとの人間関係で心地よさを感じていますか?」というメッセージ、並びに、「はい」および「いいえ」のボタンが含まれる。質問画面Q8において、被験者が「はい」を選択すると(ステップS3−44においてYes)、
図44に示す質問画面Q9を表示する(ステップS3−45)。質問画面Q9には、「あなたはBさんのどんなところに心地よさを感じますか?」というメッセージ、文字入力欄、および「次へ」のボタンが含まれる。被験者が文字入力欄に回答を入力し、「次へ」のボタンを選択することにより、入力が完了する。本実施形態では、「謙虚」という回答が入力されたものとする。質問画面Q9において、被験者による入力が完了すると(ステップS3−46においてYes)、
図45に示すステップS3−47に移行する。
【0054】
ステップS3−47では、集合体10の画面に切り替え、第3の図形3を2秒間点滅させる。その後、
図46に示すように、第3の図形3の近傍に吹き出しで「あなた」と表示する(ステップS3−48)。さらに、第2の図形2を2秒間点滅させ(ステップS3−49)、その後、
図47に示すように、第3の図形3の近傍に吹き出しで「Bさん=謙虚」と3秒間表示する(ステップS3−50)。さらに、第7の図形7を2秒間点滅させ(ステップS3−51)、その後、
図48に示すように、第7の図形7の近傍に吹き出しで「無意識=あなたが隠しているもの」と3秒間表示する(ステップS3−52)。その後、
図49に示すように、第7の図形7から第2の図形2に向かって矢印を表示する(ステップS3−53)。さらに、第2の図形2を2秒間点滅させ(ステップS3−54)、その後、
図50に示すように、第2の図形2の近傍に吹き出しで「あなたの無意識がBさんに映っている」と表示する(ステップS3−55)。続いて、
図51に示すように、第7の図形7の近傍に吹き出しで「あなたが無意識に隠していることがBさんに映っているので、Bさんに対して心地よさを感じる」と表示する(ステップS3−56)。その後、
図52に示すように、第6の図形6から第7の図形7に向かって矢印を表示する(ステップS3−57)。さらに、第6の図形6を2秒間点滅させ(ステップS3−58)、その後、
図53に示すように、第6の図形6の近傍に吹き出しで「あなたの盲点」と表示する(ステップS3−59)。続いて、
図54に示すように、第6の図形6と第7の図形7の下側に「盲点が無意識を生み出す」と表示する(ステップS3−60)。さらに、
図55に示すように、第3の図形3から第2の図形2に向けて緑色の矢印を表示し、同時にその上に「相手に感じる」と表示し、次に、第2の図形2の右上に「相手に感じる感情」と吹き出しで表示し、次に、第2の図形2と第7の図形7の間に互いが反対であることを示す矢印を表示し、同時にその上に「真逆」と表示し、さらに、第7の図形7の左下に「“相手に感じる感情“と真逆の感情」と吹き出しで表示し、最後に、集合体10の下に「“あなたが相手に感じる感情”と真逆の感情が、あなたの内面に存在する」と表示する(ステップS3−61)。なお、第3の図形3から第2の図形2に向かう矢印の色は緑色が好ましい。続いて、
図1に示す辞書データ113を読み出し、辞書データ113から「謙虚」と真逆の感情を意味する言葉(傲慢)を選択し、
図56に示すように、第2の図形2の近傍に「謙虚」を表示するとともに、第6の図形6の近傍に吹き出しで「傲慢」を表示する(ステップS3−62)。
【0055】
その後、
図57に示す質問画面Q10を表示する(ステップS3−63)。質問画面Q10には、「Bさんに心地よさを感じる仕組みを理解できましたか?」というメッセージ、並びに、「はい」および「いいえ」のボタンが含まれており、被験者によって「はい」が選択された場合(ステップS3−64においてYes)、
図58に示すステップS3−65に移行する。なお、被験者によって「いいえ」が選択された場合(ステップS3−64においてNo)、ステップS3−47〜S3−62が繰り返される。
【0056】
なお、
図41に示すステップS3−41〜S3−66、および、
図45に示すステップS3−47〜S3−64を省略してもよい。すなわち、
図28に示すステップS3−39においてYesの場合、
図58に示すステップS3−65に移行してもよい。
【0057】
続いて、
図58に示すステップS3−65では、集合体10が表示された状態において、第1の図形1、第4〜第7の図形4〜7を2秒間点滅させてから非表示にする。これにより、
図59に示す状態となる。さらに、
図60に示すように、第2の図形2と第3の図形3の間に双方向の矢印を「相対」の文字とともに3秒間点滅させる(ステップS3−66)。その後、
図61に示すように、「+」と「−」の図形が図形2の背後から表示され、それぞれが第5の図形5と第4の図形4の位置に移動する(ステップS3−67)。同様に、
図62に示すように、「+」と「−」の図形が図形3の背後から表示され、それぞれが第7の図形7と第6の図形6の位置に移動する(ステップS3−68)。続いて、
図63に示すように、第4の図形4と第5の図形5を破線の四角枠8で囲む(ステップS3−69)。さらに、
図64に示すように、四角枠8の直下に「図形2は相反するプラスとマイナスによってできている」と3秒間表示する(ステップS3−70)。同様に、
図65に示すように、第6の図形6と第7の図形7を破線の四角枠9で囲み(ステップS3−71)。さらに、
図66に示すように、四角枠9の直下に「図形3は相反するプラスとマイナスによってできている」と3秒間表示する(ステップS3−72)。その後、
図67に示すように、四角枠8と四角枠9の間に「=」を3秒間表示する(ステップS−73)。続いて、
図68に示す質問画面Q11を表示する(ステップS3−74)。質問画面Q11には、「四角枠8と四角枠9が表面的に相対であるが、本質的に等しいことが理解できましたか?」というメッセージ、並びに、「はい」および「いいえ」のボタンが含まれており、被験者によって「はい」が選択された場合(ステップS3−75においてYes)、
図69に示すステップS3−76に移行する。なお、被験者によって「いいえ」が選択された場合(ステップS3−75においてNo)、ステップS3−65〜S3−74が繰り返される。
【0058】
続いて、
図69に示すステップS3−76では、第2〜第7の図形2〜7が表示された状態において、
図70に示すように、第2の図形2の形状を2秒間かけて「−」の形状に変化させ、同時に、第3の図形3の形状を2秒間かけて「+」の形状に変化させる(ステップS3−76)。さらに、
図71に示すように、第2の図形2の形状を2秒間かけて「+」の形状に戻し、同時に、第3の図形3の形状を2秒間かけて「−」の形状に戻す(ステップS3−77)。これらのステップS3−76およびS3−77を5回繰り返した後(ステップS3−78においてYes)、図形2の近傍に「感情や心の状態によってプラスにもなりマイナスにもなる。しかし、プラスとマイナスは、実はペアで存在する。」と表示する(ステップS3−79)。続いて、
図73に示すように、第1の図形1を3秒間点滅させて、その後表示する(ステップS3−80)。その後、
図74に示すように、第1の図形1の近傍に「この新しい視点が生まれる。図形2〜7を俯瞰することで、図形2と図形3がもともと等しいことが分かる」と表示する(ステップS3−81)。続いて、
図75に示すように、図形2の右横に「あなた」、図形3の左横に「相手」と表示する(ステップS3−82)。さらに、
図76に示すように、図形2と図形3の間に「=」を表示する(ステップS3−83)。続いて、
図77に示す質問画面Q12を表示する(ステップS3−84)。質問画面Q12には、「相手に感じていることが実はあなたの内面にあるものと同じということが理解できましたか?」というメッセージ、並びに、「はい」および「いいえ」のボタンが含まれており、被験者によって「はい」が選択された場合(ステップS3−85においてYes)、
図6に示すステップS3が終了する。なお、被験者によって「いいえ」が選択された場合(ステップS3−85においてNo)、ステップS3−76〜S3−84が繰り返される。
【0059】
以上、本実施形態のステップS3における処理の具体例を説明した。なお、コンピュータ100の補助記憶装置103に、事前に被験者からアンケート等で聞き出した被験者の心の葛藤の具体的原因や生活背景に関する情報を格納しておき、コンピュータ100が、各図形の形状が示す意味を「温かさ(+)」や「冷たさ(−)」といった表現を用いて、具体的に被験者に説明してもよい。このように、対となる二つの感情、又は心の状態として、「温かさ」と「冷たさ」の他に、「自立」と「依存」、「楽観」と「悲観」、などの概念が挙げられる。
【0060】
第4の図形4および第5の図形5にそれぞれ関連付けられた被験者の無意識および心の盲点は、被験者の心の中で葛藤を生み出す二つの極性を持つ概念である。これらの概念は、誰もが心に有しており、第4の図形4および第5の図形5と同様に、無意識および心の盲点は常に心の中で葛藤している。上記の例で、被験者が職場の上司に冷たさを感じているとすると、このとき、被験者の心の中には「温かさ(+)」と「冷たさ(−)」という二つの極性を持つ概念が存在しており、心の中の葛藤で、「温かさ(+)」が勝って、被験者の思考(第2の図形2)が「温かさ(+)」に同化する。その結果、被験者の思考の対象に「冷たさ(−)」を感じる現象が現れる。この「温かさ(+)」は、被験者が同化したものであるので、通常は、被験者は自身の「温かさ」に気付くことはない(盲点=第5の図形5)。同時に、被験者の「冷たさ(−)」は意識下に落ちているため、被験者自身の状態であることを認識できず、無意識の状態になっている(第4の図形4)。そして、被験者が上司に対して感じる「冷たさ」(第3の図形3)は、無意識の状態となった被験者の「冷たさ(−)」が目の前の思考の対象に投影されたものである。つまり、被験者の見ている思考の対象(冷たい上司)に感じているものは、被験者自身の無意識が思考上に顕在化したものである。
【0061】
このように、主観となる被験者が同化した思考(+)が、目の前の他者(客観:(−))に反転して投影される現象を「同化と反転」の現象と定義する。上記の例では、被験者(主観)が同化した「温かさ(+)」が目の前の思考の対象である上司(客観)に反転し、冷たさ(−)として投影されたことになる。
【0062】
コンピュータ100は、以上のように、第5の図形5と関連付けられた被験者の心の盲点は、第2の図形2と関連付けられた被験者の思考が同化したものを表すとともに、第4の図形4と関連付けられた被験者の無意識を生み出しているものであること、そして、第3の図形3と関連付けられた思考の対象が、第4の図形4と関連付けられた被験者の無意識の投影であることを被験者に説明する。ここで、集合体10では、第3の図形3と第4の図形4とが共通の形状を有しており、第5の図形5は、第3および第4の図形3,4とは対照的な概念を示す形状を有しているので、図形の形状から容易に、図形同士の関係性を把握して、集合体10が表わす認識システムを理解しやすくなっている。
【0063】
また、コンピュータ100は、被験者の思考(主観)とその思考の対象(客観)が逆転したケースも説明する。その場合、第6の図形6と関連付けられた前記対象の心の盲点は、第3の図形3と関連付けられた前記対象の思考と同化したものであるとともに、第7の図形7と関連付けられた前記対象の無意識を生み出しているものであることを被験者に説明する。また、コンピュータ100は、「同化と反転」の現象によって、第2の図形2と関連付けられた被験者の思考は、第7の図形7と関連付けられた前記対象の無意識の投影であることを被験者に説明する。つまり、極性は異なるが、被験者の思考の対象の心の中でも、上述の被験者の心の中と同様に、無意識および心の盲点が存在していることを説明する。なお、集合体10に第6および第7の図形6,7が含まれていない場合、本段落の説明は省略可能である。
【0064】
本実施形態では、第2および第3ステップS2,S3は、人工知能を有するロボットであるコンピュータ100が被験者と対話して被験者の理解度を確認しながら実施することが好ましい。具体的には、音声出力装置104を介して被験者に説明を行うと共に、被験者の発言を集音装置105を介して受信し、音声認識処理を行うことによって、被験者の理解度を判定する。また、表示装置106に、理解できたか否かを示す質問を提示し、入力装置107を介して被験者に回答させることにより、被験者の理解度を判定してもよい。また、音声認識処理を行わずに、所定の対話パターンに沿って第2および第3ステップS2,S3を実施してもよい。
【0065】
なお、この第3のステップS3に要する時間には個人差があるが、ステップS3を一度実施するだけで認識システムを理解できる被験者もいれば、ステップS3を何度も繰り返し実施することを必要とする被験者もいる。
【0066】
被験者は、第3のステップS3において、認識システムを理解することにより、被験者の心の葛藤を解消させて、心のバランスを整えることができる。具体的には、被験者の無意識と被験者の心の盲点とが被験者の思考上に顕在化する。無意識および心の盲点は、いずれも被験者が感じていなかったものであるが、第3のステップS3において、「同化と反転」の現象によって被験者の中にある無意識が目の前の思考の対象に投影されていることを理解することにより、被験者は、自身の心に内在する無意識を自覚し、顕在化させることができる。
【0067】
言い換えると、被験者から思考の対象(第3の図形3)に向けられていた思考の方向性を反転させ、自分の無意識(第4の図形4)に向ける。例えば、「上司の冷たさ」が思考の対象に感じるものである場合、「上司の冷たさ」は被験者の無意識の冷たさが上司に投影されているものである。その冷たさを感じている思考の方向性を被験者自身に反転させて向けることにより、被験者の無意識(冷たさ)が思考上に顕在化する。これに伴い、被験者は、自身と同化した心の盲点である「温かさ」にも気付くことができる。これはすなわち、被験者の心の盲点が思考上において顕在化した状態でもある。
【0068】
被験者の無意識(第4の図形4)および心の盲点(第5の図形5)が被験者の思考上に顕在化すると、両者は電気的エネルギーのプラスとマイナスのように融合して対消滅する。その結果、第2の図形2に関連付けられた被験者の心の葛藤の原因となっていた思考も消滅する。ここで、第1の図形1は、左右対称に配置された第1〜第7の図形1〜7を含む集合体10の頂点に位置しており、かつ、「+」および「−」のどちらにも偏っていない形状および模様を有している。すなわち、第1の図形1は、「+」に偏った被験者の思考(第2の図形2)が消滅し、被験者の視点が第2の図形2から、集合体10に示された認識システム全体を俯瞰する位置(第1の図形1)に移行したものを象徴しているといえる。これにより、第4の図形4(−)および第5の図形5(+)が対消滅して、被験者の視点が第2の図形2から第1の図形1に移行することを被験者が理解することで、容易に被験者の無意識および心の盲点が対消滅する。すなわち、第1の図形1は、温かいか否か、冷たいか否か、といったジャッジを行わない、心のバランスが整った状態を示している。つまり、第1の図形1は、第2の図形2および第3の図形3を同時に俯瞰し、また、さらに第2の図形2から第7の図形7をも俯瞰して、新たな視点を獲得することで、被験者が心に「肯定(+)」も「否定(−)」、すなわち(+)(−)の両極がいずれも存在しない寛いだ状態となったことを示している。
【0069】
被験者の無意識(第4の図形4)が消滅することで、同時に、被験者の無意識が投影されたもの、つまり被験者が思考の対象に感じるもの(第3の図形3)も消滅する。その結果、被験者は心のバランスを整えることができる。
【0070】
例えば、「上司の冷たさ」が思考の対象に感じるものである場合、心の葛藤が解消することで、被験者は上司に冷たさを感じることはなくなり、上司を原因とするストレスも生じることはなくなる。
【0071】
なお、主観と客観が逆転した場合においても同様である。すなわち、第2の図形2に関連付けられた被験者の心の葛藤の原因となっていた思考が消滅し、同時に、思考の対象である第3の図形3も消滅する。このとき、その心の中にある第7の図形7と関連付けられた無意識も消滅し、これに伴い、第6の図形6と関連付けられた盲点も消滅することとなる。
【0072】
第6および第7の図形6,7を、思考の対象の心の盲点および無意識とそれぞれ関連付けることにより、被験者は、集合体10に示された認識システムをさらに容易に理解することができる。
【0073】
4.その他
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0074】
上記実施形態では、第1の図形1は破線の円形枠であったが、例えば、
図78(a)に示すような白い円、
図78(b)に示すような黒い円、
図78(c)に示すような、メビウスの帯を4対組み合わせた形状であってもよい。
【0075】
上記実施形態では、被験者の思考の対象が被験者の上司である場合を例に説明したが、被験者の思考の対象はこれに限定されない。思考の対象は、被験者の親であってもよいし、被験者の配偶者、友人、子息など、被験者の心の葛藤の原因となっているものであれば、特に限定されない。
【0076】
4−1.変形例1
さらに、被験者の思考の対象は、人物でなくてもよい。例えば、被験者が属するコミュニティーに対して「理不尽」を感じている被験者がいたとすると、この被験者の思考の対象は「そのコミュニティー」である。この被験者に対して、本発明に係る方法を適用した例を、
図6に基づいて説明すると、以下のようになる。
【0077】
まず、ステップS1において、コンピュータ100が被験者に集合体10を想起させる。続いて、ステップS2において、コンピュータ100が集合体10の図形に、被験者の感情、および心の状態を当てはめる。これらのステップS1及び2の内容は、上述の実施形態におけるものと同様である。
【0078】
続いて、ステップS3において、コンピュータ100は、第2の図形2と第3の図形3、および、第4の図形4と第5の図形5との対照性に基づき、集合体10に表わされた認識システムを被験者に理解させる。具体的には、コンピュータ100は、以下の事象を被験者に説明する。
【0079】
被験者の心には「正義感(+)」と「理不尽(−)」という二つの極性を持つ概念が存在しており、その二つの概念が生み出している心の葛藤において、「正義感」が「理不尽」に勝って、被験者の思考(第2の図形2)が「正義感」に同化している。そのため、通常は、被験者は自身の「正義感」に気付くことはなく、「正義感」は、第5の図形5に対応付けられた盲点となっている。同時に、被験者の「理不尽」は、意識下に落ちているため、被験者自身の状態であることを認識できず、第4の図形4に対応付けられた無意識となっている。被験者がコミュニティー(第3の図形3)に感じている「理不尽」は、無意識の状態となった被験者の「理不尽」が思考の対象に投影されたものである。すなわち、被験者の同化した「正義感」が、「同化と反転」の現象によって、思考の対象に「理不尽」となって投影されている。
【0080】
以上の説明により、被験者が、集合体10が表わす認識システムを理解すると、被験者の無意識と被験者の心の盲点とが被験者の思考上に顕在化する。すなわち、被験者がコミュニティーに「理不尽」を感じていた思考の方向性を反転させて被験者自身に向けることにより、被験者は自身の無意識(理不尽)に気付き、その無意識が思考上に顕在化する。これに伴い、被験者は、自身と同化していた心の盲点である「正義感」にも気付くことができ、被験者の心の盲点も思考上に顕在化する。
【0081】
これにより、被験者の無意識(第4の図形4)と心の盲点(第5の図形5)とが対消滅し、その結果、第2の図形2に関連付けられた被験者の心の葛藤の原因となっていた思考も消滅し、同時に、被験者の無意識が投影された被験者の思考の対象に感じるもの(第3の図形3)も消滅する。その結果、被験者は心のバランスを整えることができる。よって、被験者は、コミュニティーに対して理不尽を感じることはなくなる。
【0082】
4−2.変形例2
他の例として、他人にコンプレックスを感じている被験者に対して、本発明に係る方法を適用すると、以下のようになる。
【0083】
まず、ステップS1において、コンピュータ100が被験者に集合体10を提示することにより集合体10を想起させ、ステップS2において、コンピュータ100が集合体10の図形に、被験者の感情、および心の状態を当てはめる。これらのステップS1及び2の内容は、上述の実施形態におけるものと同様である。
【0084】
続いて、ステップS3において、コンピュータ100は、第2の図形2と第3の図形3、および、第4の図形4と第5の図形5との対照性に基づき、集合体10に表わされた認識システムを被験者に理解させる。具体的には、コンピュータ100は、以下の事象を被験者に説明する。
【0085】
被験者の心には「優越感(+)」と「コンプレックス(−)」という二つの極性を持つ概念が存在しており、心の葛藤で、「優越感」が勝って、被験者の思考(第2の図形2)が「優越感」に同化している。そのため、通常は、被験者は自身の「優越感」に気付くことはなく、「優越感」は、第5の図形5に対応付けられた盲点となっている。同時に、被験者の「コンプレックス」は、意識下に落ちているため被験者自身の状態であることを認識することはできず、第4の図形4に対応付けられた無意識となっている。被験者が思考の対象(第3の図形3)に感じている「コンプレックス」は、被験者の無意識の「コンプレックス」が、思考の対象に投影されたものである。
【0086】
以上の説明により、被験者が、集合体10が表わす認識システムを理解すると、被験者の無意識と被験者の心の盲点とが被験者の思考上に顕在化する。すなわち、被験者が思考の対象に「コンプレックス」を感じていた思考の方向性を反転させて被験者自身に向けることにより、被験者は自身の無意識に気付いて、その無意識が顕在化する。これに伴い、被験者は、自身と同化した心の盲点である「優越感」にも気付くことができ、被験者の心の盲点も顕在化する。
【0087】
これにより、被験者の無意識(第4の図形4)と心の盲点(第5の図形5)とが対消滅し、その結果、第2の図形2に関連付けられた被験者の心の葛藤の原因となっていた思考も消滅し、同時に、被験者の無意識が投影された被験者の思考の対象に感じていたもの(第3の図形3)も消滅する。その結果、被験者は心のバランスを整えることができる。よって、被験者は、他人に対してコンプレックスを感じることはなくなる。
【実施例】
【0088】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0089】
実施例では、被験者265名に対し、コンピュータ100を用いて本発明を実施した。コンピュータ100として、本発明に係るコンピュータプログラムがインストールされた汎用のパーソナルコンピュータを用いた。本発明の実施後、被験者に対してアンケートを行い、10%(26名)を無作為に抽出して集計した。アンケートでは、本発明の実施前後の被験者が感じた変化について質問した。その回答結果を、
図79(a)〜(b)に示す。
(a):この集合体10に表された認識システムを理解できましたか?
理解できた:90%、理解できなかった:10%
(b):「(a)」で理解できたと答えた方を対象に、何か変化はありましたか?
変化があった:100%
【0090】
図79(b)に示すように、集合体10に表された認識システムを「理解できた」と回答した全員が、本発明の実施前後に「変化があった」と回答した。このことは、被験者が集合体10に表された認識システムを理解した後は、少なくとも第4および第5の図形4,5に対応する心の二つの極性を持つ概念に気付かされ、それぞれが思考上に顕在化し、その無意識と盲点が消滅したことによって心のバランスが整ったことを示している。