【解決手段】生タイヤの搬送システム100〜500は、積み付け装置2と、搬送装置1と、を備える。積み付け装置2は、生タイヤTが載置される第1面C11を有する載置部材C1と、上端が第1面C11に載置された生タイヤTの上面よりも高い位置にある側壁C2と、有する容器を積み付ける。積み付け装置2は、一方の容器Cを持ち上げて、当該一方の容器Cの直下に存在する他方の容器Cの側壁C2の上端に、一方の容器Cの第2面C12を載置することで、他方の容器Cに一方の容器Cを高さ方向に積み付ける。搬送装置1は、1つの容器C、又は、高さ方向に積み付けられた状態の複数の容器Cを搬送する。
生タイヤが載置される第1面を有する載置部材と、上端が前記第1面に載置された前記生タイヤの上面よりも高い位置となり、かつ、前記上端に他の容器が載置されたときに当該他の容器の底部が前記第1面に載置された前記生タイヤの上面よりも高くなるよう前記載置部材から直立して設けられ前記第1面とともに前記生タイヤを収納する収納空間を形成する側壁と、を有する容器を積み付ける装置であって、一方の容器を持ち上げて、当該一方の容器の直下に存在する他方の容器の前記側壁の前記上端に、前記一方の容器の前記載置部材の前記第1面とは反対側の第2面を載置することで、前記他方の容器に前記一方の容器を高さ方向に積み付ける積み付け装置と、
1つの前記容器、又は、前記高さ方向に積み付けられた状態の複数の前記容器を搬送する搬送装置と、
を備える生タイヤの搬送システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.第1実施形態
(1)搬送システムの構成
以下、第1実施形態に係る生タイヤTを搬送する生タイヤの搬送システム100の構成について、
図1を用いて説明する。
図1は、第1実施形態に係る生タイヤの搬送システムの構成を示す図である。第1実施形態に係る生タイヤの搬送システム100は、
図1に示すように、搬送装置1(後述)にて搬送される専用の容器Cに生タイヤTを収納して、生タイヤTの搬送を行うシステムである。このような生タイヤの搬送システム100は、例えば、タイヤ工場などに設置される。
生タイヤの搬送システム100は、搬送装置1を備える。搬送装置1は、容器Cを搬送方向(例えば、
図1の太矢印にて示した方向)に搬送する、コンベヤなどの物品を搬送する装置である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態の搬送装置1は、第1搬送装置11と、第2搬送装置13と、第3搬送装置15と、を有する。第1搬送装置11は、生タイヤTを収納した容器Cを積み付け装置2(後述)まで搬送する。第2搬送装置13は、積み付け装置2にて高さ方向に積み付けられた複数の容器C、又は、他の容器Cが積み付けられていない1つの容器Cを、例えばタイヤの次の製造工程が実施される箇所(図示せず)などに搬送する。
【0015】
第3搬送装置15は、第1搬送装置11から搬送されてきた生タイヤTを収納した容器Cを受け入れて、必要に応じて積み付け装置2にて、生タイヤTを収納した他の容器Cを積み付けた後、当該他の容器Cが積み付けられた生タイヤTを収納した容器C(すなわち、高さ方向に積み付けられた複数の容器C)を第2搬送装置13へと送出する。なお、第3搬送装置15は、ユーザの指令などに基づいて、積み付け動作を行うことなく生タイヤTを収納した容器Cを第2搬送装置13へと送出してもよい。
【0016】
生タイヤの搬送システム100は、積み付け装置2を備える。積み付け装置2は、第3搬送装置15が設けられた第1位置P1に対応するように設けられ、生タイヤTを収納した容器Cを第1位置P1にて把持した状態で上昇又は下降させる装置である。本実施形態の積み付け装置2の構成及び動作については、後ほど詳しく説明する。
【0017】
生タイヤの搬送システム100は、ストッパ3を備える。ストッパ3は、第1搬送装置11により第3搬送装置15へと搬送されてきた容器Cを、第3搬送装置15の搬送経路上の第1位置P1(所定の位置の一例)において停止させるための部材である。本実施形態においては、
図1に示すように、ストッパ3は、第1ストッパ31を有する。
【0018】
第1ストッパ31は、第3搬送装置15と第2搬送装置13との間に配置された一対のピン部材311により構成される。第1ストッパ31は、
図2に示すように、一対のピン部材311を第3搬送装置15と第2搬送装置13との間の搬送経路にて突出させ、当該一対のピン部材311に容器Cの前部の側壁C2を当接させることにより、容器Cを第1位置P1に停止できる。
図2は、容器を第1位置において停止させた状態を模式的に示す図である。
【0019】
なお、一実施形態において、ストッパ3は、第2ストッパ33(
図1)を有していてもよい。第2ストッパ33は、第1搬送装置11と第3搬送装置15との間に配置された一対のピン部材331により構成される。第2ストッパ33は、一対のピン部材331を第1搬送装置11と第3搬送装置15との間の搬送経路にて突出させ、当該一対のピン部材331に、第1搬送装置11から第3搬送装置15へと移動しようとする容器Cの前部の側壁C2を当接させる。
これにより、第2ストッパ33は、例えば、第3搬送装置15に容器Cが存在するときに、第1搬送装置11から第3搬送装置15へと移動しようとする容器Cを第3搬送装置15の手前にて停止できる。
【0020】
また、他の実施形態において、第2ストッパ33は無くてもよい。この場合には、例えば、第1搬送装置11による容器Cの搬送を停止させることにより、第1搬送装置11にて搬送中の容器Cを、第3搬送装置15へと移動することを防止できる。
【0021】
さらに他の実施形態において、第2ストッパ33は、第3搬送装置15上にて停止している容器Cの位置合わせをする機能も有していてもよい。これにより、容器Cをより確実に第1位置P1に停止できる。
【0022】
生タイヤの搬送システム100は、コントローラ4を備える。コントローラ4は、CPU、記憶装置(RAM、ROM、ハードディスク又はSSDなどの大容量記憶装置、など)、各種インターフェース、ディスプレイ、などを有するコンピュータシステムである。
コントローラ4は、生タイヤの搬送システム100を制御する。具体的には、コントローラ4は、搬送装置1、積み付け装置2、及び、ストッパ3を制御する。生タイヤの搬送システム100のこれらの構成要素の制御の一部又は全部は、コントローラ4を構成するコンピュータシステムにて実行可能なプログラムにより実現されてもよい。また、生タイヤの搬送システム100のこれらの構成要素の制御の一部は、SoC(System On Chip)などによりハードウェア的に実現されてもよい。
【0023】
(2)生タイヤの構造
次に、本実施形態における搬送対象である生タイヤTの構造について、
図3を用いて説明する。
図3は、生タイヤの構造を示す図である。
図3に示すように、生タイヤTは、中心穴が設けられたゴム製の中空部材である。
【0024】
(3)容器の構造
次に、生タイヤTを収納して搬送する容器Cの構造について、
図4及び
図5を用いて説明する。
図4は、空の容器の構造を示す図である。
図5は、容器に生タイヤを収納した状態の一例を示す図である。
容器Cは、載置部材C1を有する。載置部材C1は、例えば、所定の厚みを有する円柱状のプラスチック製の部材であり、容器Cの底部となる。載置部材C1には、上面側から下面(底面)側に向かって直径が小さくなるテーパー状の開口が形成されており、
図5に示すように、当該テーパー状の開口の表面に生タイヤTが載置される。生タイヤTが載置される当該テーパー状の開口の表面を「第1面C11」と呼ぶことにする。
【0025】
一方、載置部材C1の底面(すなわち、載置部材C1の第1面C11とは反対側の面)は、
図5に示すように、容器Cを他の容器Cの上に積み付けたときに、当該他の容器Cの側壁C2の上端に載置される。他の容器Cを積み付けたときに当該他の容器Cの側壁C2の上端に載置される載置部材C1の底面を「第2面C12」と呼ぶことにする。
【0026】
また、
図4及び
図5に示すように、第2面C12には、側壁C2の内径よりも小さな直径を有する突起C13が、第2面C12と同心円状に設けられている。突起C13は、第2面C12が他の容器Cの側壁C2の上端に載置されたときに、容器Cが他の容器Cに対して横方向に過剰に移動することを抑制する。
なお、突起C13は、
図4及び
図5に示すような載置部材C1の底面における第2面C12以外の部分全体が突出する形態に限られず、第2面C12の内径の輪郭に沿って細く突出する形態であってもよい。この場合、当該細く突出する突起C13は、第2面C12の輪郭全体において突出していてもよいし、輪郭の一部において突出していてもよい。
【0027】
なお、第1面C11を形成する上記のテーパー状の開口は、
図4及び
図5に示すように載置部材C1を貫通していてもよいし、貫通していなくてもよい。
【0028】
容器Cは、側壁C2を有する。側壁C2は、例えば、載置部材C1の外周径と同じ外周径を有し、両端が開口した筒状のプラスチック製の部材である。筒状の側壁C2の一方の開口端は、載置部材C1の上面に固定されている。すなわち、側壁C2は、載置部材C1から直立した状態で、載置部材C1に固定されている。従って、載置部材C1と側壁C2とにより構成される容器Cは、平面視で円形を有している。
その一方、側壁C2の他方の開口端には、他の容器Cを積み付けたときに、当該他の容器Cの第2面C12が載置される。すなわち、側壁C2の他方の開口端は、他の容器Cの第2面C12が載置される側壁C2の上端となる。
【0029】
図5に示すように、筒状の側壁C2の内径は、生タイヤTの外径よりも大きくなっている。また、
図5に示すように、側壁C2の高さは、その上端が第1面C11に載置された生タイヤTの上面よりも高い位置に存在し、かつ、側壁C2の上端に他の容器Cが載置されたときに当該他の容器Cの底部(突起C13)が第1面C11に載置された生タイヤTの上面よりも高い位置に存在するように設計される。これにより、側壁C2(の内側)は、載置部材C1に形成された第1面C11とともに、生タイヤTを収納する収納空間を形成する。また、側壁C2が上記の高さとなるよう設計されることにより、生タイヤTを収納した容器Cを積み重ねたときに、容器Cに収納された生タイヤTが他の容器Cに接触することを回避して、当該生タイヤTが損傷することを防止できる。
【0030】
上記のように、容器Cの側壁C2と第1面C11とにより形成された収納空間に生タイヤTを収納可能とすることにより、容器Cは、載置部材C1と側壁C2とにより生タイヤTを外部から保護できる。
【0031】
側壁C2の上端が、第1面C11に載置された生タイヤTの上面よりも高い位置にあること、すなわち、側壁C2の高さを大きくして容器Cを深くすることにより、
図5に示すように、容器Cに生タイヤTを収納した状態であっても、当該容器Cの側壁C2の上端に他の容器Cを積み付けることができる。
これにより、搬送装置1にて一度に搬送できる容器Cの数を増加できる。その結果、生タイヤの搬送システム100における搬送効率を向上できる。
【0032】
図4及び
図5に示すように、側壁C2の上端には、側壁C2(の上端)の外周に沿ってフランジ状の突出部C21が設けられている。後述するように、積み付け装置2にて容器Cを上昇又は下降させる際に、積み付け装置2にて容器Cを把持するために、突出部C21の下側は、積み付け装置2の把持部21(後述)のフック211(後述)により支持される。
【0033】
(4)積み付け装置の構成
次に、本実施形態の積み付け装置2の構成について、
図6A及び
図6Bを用いて説明する。
図6Aは、積み付け装置を容器の搬送方向から見た図である。
図6Bは、フック211により容器を把持した状態を模式的に示す図である。
図6Aに示すように、積み付け装置2は、把持部21と、昇降装置23と、検出器25と、を有する。
把持部21は、第1位置P1にて容器Cを把持する。把持部21は、例えばモータの駆動などにより水平方向に移動して互いの距離を拡大又は縮小可能な一対のフック211を有する。
【0034】
一対のフック211のそれぞれは、
図6Bに示すように、上方から見た場合にU字形状を有している。把持部21は、当該一対のフック211のU字形状の二股になった先端部を、容器Cの突出部C21の下面に当接させ4点にて容器Cを支持することで、容器Cを把持する。
なお、フック211の形状は、上記に限られず、容器C(の突出部C21)を把持可能な任意の形状とできる。
【0035】
他の一実施形態として、把持部21は、把持部21の下端側に取り付けられ、容器Cが把持部21にて把持できる位置に存在するか否かを検出するセンサ213を有していてもよい。これにより、把持部21は、容器Cが把持部21により確実に把持できる位置にあることを確認後に、当該容器Cを把持できる。
【0036】
昇降装置23は、第3搬送装置15の直上(すなわち、第1位置P1の直上)において取付部材27に固定される。昇降装置23は、例えば、下端が把持部21に固定された吊り下げ部材231を、モータの駆動などにより巻き取る又は送り出すことで、把持部21を第1位置P1において上昇又は下降させる。
【0037】
検出器25は、昇降装置23の取付部材27を支持する支持部材29の側面の、第3搬送装置15の容器Cの搬送面よりも高い位置に取り付けられている。検出器25は、容器Cが第1位置P1に存在するか否かを検出する。検出器25としてとしては、例えば、投受光式のセンサ(光電センサ)を使用できる。投受光式のセンサを検出器25として用いた場合には、容器Cの側壁C2にて反射された光を検出したら、容器Cが第1位置P1に存在すると判定する。
【0038】
(5)生タイヤの搬送システムの動作
以下、生タイヤの搬送システム100における容器Cの搬送動作、及び、生タイヤTの移載及び搬送動作について説明する。第1実施形態に係る生タイヤの搬送システム100においては、第1位置P1への容器Cの搬送と、第1位置P1に到達した容器Cの他の容器への積み付けと、が実行される。
検出器35が、生タイヤTが収納された容器Cが第1搬送装置11により第1位置P1に向けて搬送されてきたことを検出すると、コントローラ4は、必要に応じて、第1位置P1に搬送された容器Cを他の容器Cに積み付ける。
【0039】
第1位置P1に搬送されてきた容器Cを他の容器Cに積み付ける場合、コントローラ4は、第3搬送装置15と第2搬送装置13との間に配置された第1ストッパ31の一対のピン部材311を、当該位置において突出させる。これにより、第1搬送装置11から第3搬送装置15へと搬送された容器Cは、一対のピン部材311により停止される。
【0040】
容器Cを第1位置P1にて停止させた後、コントローラ4は、積み付け装置2に対して、第1位置P1において容器Cを把持し上昇させることで、当該容器Cを持ち上げるよう指令する(
図7A、
図7B)。その後、容器Cを第1位置P1にて持ち上げた状態で、搬送装置1による容器Cの搬送を再開する。
【0041】
その後、積み付け装置2にて把持している容器Cを積み付ける他の容器Cが、第1位置P1まで搬送されてきたら、ピン部材311により、第1位置P1まで搬送されてきた他の容器Cは、
図7Cに示すように、第1位置P1にて停止する。なお、容器Cを第1位置P1にて持ち上げた状態で他の容器Cを第1位置P1まで搬送させようとしているときに、ピン部材311が下降している場合には、コントローラ4は、ピン部材311を再度突出させてもよい。
【0042】
他の容器Cを第1位置P1にて停止させた状態で、コントローラ4は、積み付け装置2に対して、把持部21にて把持している容器Cの第2面C12が第1位置P1にて停止されている他の容器Cの側壁C2の上端に到達するまで、把持している容器Cを第1位置P1にて下降させるよう指令する(
図7D)。
このようにして、積み付け装置2は、把持部21にて把持している一方の容器Cの直下の第1位置P1に存在する他の容器Cの側壁C2の上端に、当該一方の容器Cの載置部材C1の第2面C12を載置して、第1位置P1に存在する他の容器Cに、把持していた一方の容器Cを高さ方向に積み付けることができる。
【0043】
容器Cを他の容器Cに積み付けた後、
図7Eに示すように、把持部21のフック211による容器Cの把持が解除され、複数の容器Cの積み付けが完了する。
容器Cの把持の解除後にピン部材311を下降させて、積み付け後の複数(2個)の容器Cを第3搬送装置15により第2搬送装置13へと送出することにより、積み付け後の複数の容器Cは、第2搬送装置13にて第2位置P2に向けて搬送される。
【0044】
上記のようにして、第1実施形態に係る生タイヤの搬送システム100は、生タイヤTを搬送するための容器Cの積み付け動作、及び、生タイヤTの容器Cへの移載を効率よく実行できる。
また、容器Cの側壁C2の高さが、その上端が第1面C11に載置された生タイヤTの上面よりも高い位置に存在し、かつ、側壁C2の上端に他の容器Cが載置されたときに当該他の容器Cの底部(突起C13)が第1面C11に載置された生タイヤTの上面よりも高い位置に存在する高さであることにより、生タイヤTを収納した容器Cを積み重ねるときに、容器Cに収納された生タイヤTが他の容器Cに接触することを回避して、当該生タイヤTが損傷することを防止できる。
【0045】
2.第2実施形態
上記の第1実施形態における複数の容器Cの積み付けは、(1)一方の容器Cを積み付け装置2にて持ち上げる、(2)他方の容器Cを第1位置P1まで搬送して停止させる、(3)一方の容器Cを他方の容器Cに下降させて積み付ける、との工程により実行されていた。しかし、複数の容器Cの積み付け方法は、上記に限られない。
第2実施形態に係る生タイヤの搬送システム200では、第1位置P1に停止させた他方の容器Cを上昇させて、積み付け装置2にて持ち上げられた一方の容器Cを、他方の容器Cに積み付ける。
【0046】
上記の第2実施形態に係る生タイヤの搬送システム200では、第3搬送装置15を、例えば、リフター方式の搬送装置とする。生タイヤの搬送システム200の他の構成要素の構成及び機能については、第1実施形態にて説明したものと同様とできるので、説明を省略する。上記の生タイヤの搬送システム200は、具体的には、以下に示すようにして複数の容器Cの積み付けを実行する。
まず、
図8Aに示すように、一方の容器Cを積み付け装置2にて持ち上げた状態で、第1位置P1に他方の容器Cが到達して停止すると、他方の容器Cの側壁C2の上端が、積み付け装置2にて持ち上げられている一方の容器Cの第2面C12に当接するまで、第3搬送装置15の搬送面が上昇する(
図8B)。これにより、第3搬送装置15の搬送面上の他方の容器Cに、積み付け装置2にて持ち上げられている一方の容器Cが積み付けられる。
【0047】
その後、積み付け装置2による一方の容器Cの把持が解除され、さらに、積み付けられた容器Cを載置した第3搬送装置15の搬送面が元の位置(第1搬送装置11及び第2搬送装置13の搬送面と同じ高さ)まで下降される(
図8C)。
第2実施形態に係る複数の容器Cの積み付け方法では、積み付け装置2の把持部21の上昇及び下降の回数を減少して複数の容器Cの積み付けを実行できる。
【0048】
3.第3実施形態
複数の容器Cの積み付けは、上記の第1実施形態及び第2実施形態にて説明した方法に限られない。第3実施形態に係る複数の容器Cの積み付けは、第1位置P1に到達した容器C(当該容器Cの個数は、1つに限られず、積み付けられた複数の容器Cであってもよい)に、他の箇所において供給された他の容器Cを移載することにより実行される。
【0049】
この場合、第3実施形態に係る生タイヤの搬送システム300は、
図9に示すように、容器Cを供給するための容器供給部5を第1位置P1(第3搬送装置15)の近傍に備える。また、生タイヤの搬送システム300の積み付け装置2の把持部21は、容器供給部と第1位置P1との間を移動可能となる。
【0050】
具体的には、例えば、
図9に示すように、第1位置P1と容器供給部5との間(の上方)に設けられたガイドレール233に沿って昇降装置23が移動して、当該昇降装置23の移動に伴って把持部21も移動できる。
図9は、第3実施形態に係る生タイヤの搬送システムの構成の一例を示す図である。なお、第3実施形態に係る生タイヤの搬送システム300の他の構成要素の構成及び機能については、第1実施形態にて説明したものと同様とできるので、説明を省略する。
【0051】
上記の第3実施形態に係る生タイヤの搬送システム300では、以下のようにして、第1位置に到達した容器Cに他の容器Cが積み付けされる。
まず、
図10Aに示すように、一方の容器Cが第1位置P1に到達すると、積み付け装置2の把持部21が容器供給部5まで移動する。その後、把持部21が、容器供給部5にて供給された他方の容器Cを把持する。
【0052】
次に、
図10Bに示すように、積み付け装置2の昇降装置23が把持部21を上昇させ、さらに、第1位置P1の上方に移動させる。これにより、把持部21に把持された他方の容器Cは、第1位置P1の上方に移動される。
その後、
図10Cに示すように、昇降装置23は、第1位置P1の上方において、把持部21に把持された容器Cの第2面C12が、第1位置P1に存在する容器Cの側壁C2の上端に当接するまで、把持部21を下降させる。これにより、第3搬送装置15の搬送面の第1位置P1に載置された容器Cに、容器供給部5にて供給された容器Cが積み付けられる。
さらに、
図10Dに示すように、把持部21による容器Cの把持が解除された後、昇降装置23が把持部21を上昇させることで、複数の容器Cの積み付けが完了する。
【0053】
第3実施形態に係る複数の容器Cの積み付け方法では、容器Cが第1位置P1に搬送されてくる毎に、容器供給部5にて供給された他の容器Cを、第1位置P1に搬送されてきた容器Cに積み付けることができる。その結果、第1位置P1に搬送されてきた容器Cを持ち上げる工程を省略して、より高い頻度にて複数の容器Cの積み付けを実行できる。
【0054】
4.第4実施形態
上記の第1及び第2実施形態においては、積み付け装置2は移動可能となっておらず、第3実施形態においては、積み付け装置2は容器Cの搬送方向とは垂直な方向に移動可能となっていた。しかし、これに限られず、第4実施形態に係る生タイヤTの搬送システム400においては、積み付け装置2は容器Cの搬送方向と平行に移動可能となっている。
具体的には、
図11に示すように、例えば、昇降装置23が、第1搬送装置11、第2搬送装置13、及び第3搬送装置15の長さ方向に延びるレール235に沿って、移動可能となっている。
図11は、第4実施形態に係る生タイヤの搬送システムの構成を示す図である。
なお、搬送システム400の他の構成要素の構成及び機能については、上記の第1〜第3実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0055】
図11に示す第4実施形態に係る生タイヤの搬送システム400においては、例えば、以下のようにして、第1搬送装置11に存在する容器Cを、第3搬送装置15(第1位置P1)に存在する容器に積み付けることができる。
検出器35が、生タイヤTが収納された容器Cが第1搬送装置11により第1位置P1に向けて搬送されてきたことを検出すると、コントローラ4は、第3搬送装置15に存在する容器Cを第1位置P1にて停止させる一方、第1搬送装置11による容器の搬送を停止する。
【0056】
その後、コントローラ4は、積み付け装置2を、第1搬送装置11の積み付け対象の容器Cが存在する位置まで移動させる。そして、当該位置において、把持部21を、フック211にて積み付け対象の容器Cの突出部C21を把持できる位置まで下降させ、フック211にて積み付け対象の容器Cを把持する(
図12A)。
【0057】
次に、コントローラ4は、積み付け装置2に対して、把持部21を上昇させて積み付け対象の容器Cを持ち上げるよう指令する。その後、積み付け対象の容器Cを持ち上げた状態で、当該積み付け対象の容器Cを第1位置P1の直上に移動させる(
図12B)。
【0058】
積み付け対象の容器Cを第1位置P1の直上に移動後、コントローラ4は、積み付け装置2に対して、把持部21を下降させて、積み付け対象の容器Cを第1位置P1に存在する容器Cの上に積み付ける(
図12C)。
積み付け対象の容器Cを第1位置P1の容器Cに積み付けた後、フック211による容器Cの把持を解除して把持部21を上昇させて、第1搬送装置11に存在した上流側の容器Cを、下流側(第1位置P1)にある容器Cに積み付ける動作を完了する(
図12D)。
【0059】
なお、第4実施形態に係る生タイヤの搬送システム400では、上記とは反対に、第1位置P1にある容器Cを第1搬送装置11にある容器Cに積み付けることもできる。また、第1位置P1にある容器Cに、第1位置P1よりも下流側の第2搬送装置13にある容器Cへ、またその逆に積み付けることもできる。さらに、第1搬送装置11にある容器Cを第2搬送装置13にある容器Cへ、またその逆に積み付けることができる。
【0060】
上記のように第2搬送装置13にある容器Cに他の容器Cを積み付ける場合には、またはその逆に積み付ける場合には、第2搬送装置13の所定の位置に、第1実施形態において第3搬送装置15の下流側に設けられていたピン部材311と同様の部材を設けていてもよい。
【0061】
5.第5実施形態
上記の第1〜第4実施形態に係る搬送システム100、200、300、400では、生タイヤTを収納した容器Cが主として搬送されていた。しかし、これに限られず、生タイヤTを収納した容器Cのみでなく、生タイヤTを収納していない空の容器Cを搬送し、当該空の容器Cに別の箇所から供給される生タイヤTを収納することもできる。
上記の機能を達成するため、第5実施形態に係る搬送システム500は、
図13に示すように、空の容器Cへ生タイヤTを移載する移載装置6と、生タイヤTを供給する供給部7と、を備える。また、積み付け装置2は、容器Cの搬送方向に延びるレール235に沿って移動可能となっている。
図13は、第5実施形態に係る搬送システムの構成を示す図である。なお、第5実施形態においては、搬送システム500は、移載装置6と供給部7とを備え、積み付け装置2が容器Cの搬送方向に移動可能となっていること以外は、上記の第1〜第4実施形態と同様の構成および機能を有する。従って、搬送システム500の移載装置6及び供給部7以外の構成要素の説明を省略する。
【0062】
移載装置6は、第2搬送装置13の搬送経路上の第2位置P2に対応する位置に設けられる。移載装置6は、第2搬送装置13にて第2位置P2まで搬送されてきた空の容器Cに、当該第2位置P2の近傍に設けられた供給部7にて供給される生タイヤTを移載する装置である。
【0063】
以下、本実施形態の移載装置6の構成について、
図14A及び
図14Bを用いて具体的に説明する。
図14Aは、移載装置を容器の搬送方向から見た図である。
図14Bは、フック631の先端により生タイヤを把持した状態を模式的に示す図である。
図14Aに示すように、移載装置6は、走行台車61と、把持部63とを有する。
走行台車61は、モータなどにより駆動される走行輪を備え、第2搬送装置13の第2位置P2上と、供給部7とに重複するように敷設された2本のガイドレール611上を移動する。すなわち、走行台車61は、ガイドレール611上の第2位置P2に対応する位置と供給部7との間を走行する。
【0064】
走行台車61は、把持部63を下端に固定したワイヤWを巻き取る又は送り出すことにより把持部63を昇降させる昇降装置613と、走行台車61から垂下して下端が把持部63に取り付けられ、把持部63の昇降に従って伸縮可能な4個の摺動筒615と、を有する。摺動筒615は、互いに径寸法の異なる複数の剛体筒をテレスコープ状に嵌合させて上下伸縮自在とした部材であり、把持部63の横揺れを防止する。
【0065】
把持部63は、供給部7に供給されている生タイヤTを把持し、第2搬送装置13の第2位置P2にて生タイヤTの把持を解除して、生タイヤTを容器Cに収納する。把持部63は、例えばモータの駆動などにより、水平方向に移動して互いの距離を拡大又は縮小可能な4個のフック631を有する。
【0066】
把持部63は、
図14Bに示すように、当該4個のフック631の先端を生タイヤTの第1被把持部T1に当接させ4点にて生タイヤTを支持することで、生タイヤTを把持する。
【0067】
他の一実施形態として、把持部63は、把持部63の下端側に取り付けられ、生タイヤTが把持部63にて把持できる位置に存在するか否かを検出するセンサ633を有していてもよい。これにより、把持部63は、生タイヤTが把持部63により確実に把持できる位置にあることを確認後に、当該生タイヤTを把持できる。
さらに他の一実施形態において、当該センサ633は、生タイヤTを容器Cに収納する際、第2位置P2に生タイヤTを収納可能な空の容器Cが存在することを検知するために用いられてもよい。これにより、把持部63は、第2位置P2に、生タイヤTを収納可能な空の容器Cが存在することを確認後に、把持した生タイヤTの把持を解除して、生タイヤTを確実に容器Cに収納できる。
【0068】
以下、第5実施形態に係る搬送システム500の動作について説明する。以下では、第1搬送装置11が、生タイヤTを収納した容器Cと空の容器Cとを交互に搬送し、第1搬送装置11にて搬送されてきた生タイヤTを収納した容器Cに、当該容器Cの次に第1搬送装置11にて搬送されてきた空の容器Cを積み付け、積み付けられた空の容器Cに生タイヤTを移載する例について説明する。
【0069】
搬送システム500において、第1位置P1に生タイヤTを収納した容器Cが到達したことが検知されると、コントローラ4は、未だ第1搬送装置11に存在し当該生タイヤTを収納した容器Cの次に搬送されてきた空の容器Cを、第1位置P1にある生タイヤTを収納した容器Cに積み付ける。第1搬送装置11に存在する空の容器Cの、第1位置P1に存在する生タイヤTを収納した容器Cへの積み付けは、例えば、第4実施形態において説明したのと同様にして実行できる。
【0070】
なお、搬送システム500においては、空の容器Cを第1位置P1に最初に搬送し、その後、次に搬送されてきた生タイヤTを収納した容器Cに、当該空の容器Cを積み付けてもよい。
【0071】
積み付けられた複数の容器Cが、第2搬送装置13により第2位置P2に搬送されてきたとき、コントローラ4は、第2位置P2に搬送されてきた複数の容器の最上段に空の容器Cが積み付けられているか否かを検知し、当該空の容器Cに生タイヤTを収納するか否かを判定する。
第2位置P2に搬送されてきた複数の容器Cの最上段に空の容器Cが積み付けられておりに生タイヤTを当該空の容器Cに収納すると決定した場合、コントローラ4は、移載装置6に対して、供給部7に供給されている生タイヤTを、当該空の容器Cに移載するよう指令する。
【0072】
上記の指令を受けた移載装置6は、まず、走行台車61が、供給部7の生タイヤTが供給されている箇所まで移動する。その後、把持部63を下降させて、4個のフック631の互いの距離を拡大させる(
図15A)。この状態で、把持部63を上昇させて生タイヤTの第1被把持部T1をフック631の先端と当接させることにより、
図15Bに示すように、生タイヤTが把持部63に把持される。
【0073】
次に、走行台車61は、把持部63にて生タイヤTを把持した状態で、第2搬送装置13の第2位置P2まで移動する(
図15C)。その後、当該位置において把持部63が下降されることにより、把持部63に把持した生タイヤTが、容器Cの第1面C11に載置される(
図15D)。
生タイヤTを容器Cの第1面C11に載置後、フック631の先端による生タイヤTの把持を解除することで、生タイヤTが容器Cの収納空間に収納される(
図15E)。
【0074】
上記のようにして、第5実施形態に係る搬送システム500では、最上段に積み付けられた空の容器Cに、他の箇所から供給された生タイヤTを収納できる。
第5実施形態に係る搬送システム500では、上記のように生タイヤTを収納した容器Cと空の容器Cが交互に第1搬送装置11にて搬送される場合以外にも、例えば、複数の生タイヤTを収納した容器Cが連続して第1搬送装置11にて搬送されその後空の容器Cが搬送されてきた場合、複数の空の容器Cのみが第1搬送装置11にて搬送されてきた場合、又は、複数の空の容器Cの間に生タイヤTを収納した容器Cが第1搬送装置11にて搬送されてきた場合であっても、積み付けられた複数の容器Cにおいて最上段に空の容器Cが積み付けられていれば、上記の動作にて空の容器Cに生タイヤTを移載できる。
【0075】
6.実施形態の共通事項
上記第1〜第5実施形態は、下記の構成及び機能を共通に有している。
生タイヤの搬送システム100、200、300、400、500(生タイヤの搬送システムの一例)は、積み付け装置2(積み付け装置の一例)と、搬送装置1(搬送装置の一例)と、を備える。積み付け装置2は、容器Cを積み付ける装置である。容器Cは、載置部材C1(載置部材の一例)と、側壁C2(側壁の一例)とを有する。載置部材C1は、生タイヤT(生タイヤの一例)が載置される第1面C11(第1面の一例)を有する。側壁C2は、その上端が第1面C11に載置された生タイヤTの上面よりも高い位置となり、かつ、上端に他の容器Cが載置されたときに当該他の容器Cの底部が第1面C11に載置された生タイヤTの上面よりも高くなるよう、載置部材C1から直立して設けられている。また、側壁C2は、第1面C11とともに生タイヤを収納する収納空間を形成する。
【0076】
積み付け装置2は、一方の容器Cを持ち上げて、当該一方の容器Cの直下に存在する他方の容器Cの側壁C2の上端に、一方の容器Cの第2面C12(第2面の一例)を載置することで、他方の容器Cに一方の容器Cを高さ方向に積み付ける。第2面C12は、一方の容器Cの載置部材C1の第1面C11とは反対側の面である。搬送装置1は、1つの容器C、又は、高さ方向に積み付けられた状態の複数の容器Cを搬送する。
【0077】
容器Cが上記の構成を有することにより、容器Cの収納空間内に搬送対象である生タイヤTを収納できる。また、容器Cの収納空間は、載置部材C1と、載置部材C1に載置したときの生タイヤTの高さ位置よりも上端が高い位置にある側壁C2とにより形成されている。これにより、収納空間に収納された生タイヤTを、容器Cの載置部材C1と側壁C2により保護できる。
さらに、容器Cが上記のように高さ方向に積み付け可能となることにより、搬送装置1にて搬送できる容器Cの数を増加できる。その結果、生タイヤの搬送システム100、200、300、400、500における搬送効率を向上できる。
【0078】
7.他の実施形態
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
(A)第1〜第5実施形態に係る積み付け装置2は、第1〜第5実施形態にて説明した把持部21を有するロボットアームであってもよい。
【0079】
(B)上記の第1〜第5実施形態においては、容器Cの底面である第2面C12に設けられた突起C13により、複数の容器Cを積み重ねた場合の各容器Cの位置決めがなされていたが、これに限られない。例えば、側壁C2の上端に溝を設けて、複数の容器Cを積み重ねる場合に、当該溝に容器Cの底面(第2面C12)を載置することにより、容器Cの位置決めをしてもよい。
【0080】
または、高さ方向に突出し、積み重ねる容器Cの外径よりも大きな内径を有するガイドを、側壁C2の上端に設けてもよい。
【0081】
(C)
図16に示すように、容器Cは、載置部材C1と、側壁C2と、突出部C21とを、一体的に形成したものであってもよい。その他、例えば、上記の3つの部材の内の2つの部材を一体的に形成し、当該一体形成した部材を、残りの一つの部材に固定して容器Cとしてもよい。
図16は、容器の他の実施形態を示す図である。
また、
図16に示すような、突出部を設けない容器Cを用いる場合には、積み付け装置2を第5実施形態にて説明した移載装置6と同様の構成とし、例えば、フックが通過可能な開口を容器Cに設け、当該開口から容器Cの底面をフックの先端部にて把持することで、容器Cを把持可能な構成としてもよい。
【0082】
(D)上記の第1〜第5実施形態は、任意に組み合わせることができる。例えば、第3実施形態と第5実施形態を組み合わせてもよい。この場合、第1位置P1に到達した容器C(生タイヤTを収納した容器C)に、第3実施形態の容器供給部5から供給された空の容器Cを積み付けて、第2位置P2まで移動させ、最上段の容器Cに生タイヤTを収納してもよい。
【0083】
(E)移載装置6を備える第5実施形態において、移載装置6が容器Cの底面をフック631の先端にて引っ掛けることで把持可能としてもよい。この場合、容器Cの底面に、搬送装置と容器Cの底面の間にフック631の先端が入り込むことが可能な空間を形成する。その他、容器Cに設けられた開口が容器Cを貫通していない場合には、例えば、容器Cの第1面C11の所定の箇所に、フック631の先端が入る込むことが可能な空間(溝など)が形成されていてもよい。