【解決手段】(A)ポリカーボネート、(B)難燃剤、および、(C)ポリテトラフルオロエチレンを含有する難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法であって、ポリカーボネート(A)とポリテトラフルオロエチレン(C)を予備混合して予備混合物を得る工程、および、得られた予備混合物を、ポリカーボネート(A)および難燃剤(B)と溶融混練して溶融混練物を得る工程を含む難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に関する。
予備混合する工程において、ポリテトラフルオロエチレン(C)とともに、さらに(D)熱可塑性樹脂を混合する請求項1〜3のいずれか1項に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
予備混合する工程の前に、ポリテトラフルオロエチレン(C)の水性分散体と、(D)熱可塑性樹脂の水性分散体を混合して混合分散体を得る工程を含む請求項4に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
難燃剤(B)が、シリコーン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、有機金属塩系難燃剤、および、リン酸エステル系難燃剤からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか1項に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
ポリカーボネート(A)100質量部に対して、難燃剤(B)が0.01〜25質量部である請求項1〜6のいずれか1項に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
熱可塑性樹脂(D)が、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリメタクリルスチレン、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリアミド、および、エチレンビニルアセテート重合体からなる群より選択される少なくとも1種である請求項4〜7のいずれか1項に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
ポリカーボネート(A)100質量部に対して、熱可塑性樹脂(D)が0.03〜5質量部である請求項4〜8のいずれか1項に記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、優れた難燃性と優れた外観を両立したポリカーボネート樹脂組成物成形品を成形するための新規なポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記課題を解決すべく製造方法について鋭意検討を行ったところ、ポリカーボネート(A)とポリテトラフルオロエチレン(C)を予備混合して得られた予備混合物を、ポリカーボネート(A)および難燃剤(B)と溶融混練することにより、優れた難燃性が維持されたうえで、ポリテトラフルオロエチレンを含む従来のポリカーボネート樹脂組成物では避けることができなかった外観の劣化(成形品の表面にフッ素樹脂が浮き出て筋状のラインが形成されたり、色相にばらつきが発生するなど)が、効果的に抑制されることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、(A)ポリカーボネート、(B)難燃剤、および、(C)ポリテトラフルオロエチレンを含有する難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法であって、
ポリカーボネート(A)とポリテトラフルオロエチレン(C)を予備混合して予備混合物を得る工程、および、
得られた予備混合物を、ポリカーボネート(A)および難燃剤(B)と溶融混練して溶融混練物を得る工程を含む難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に関する。
【0010】
また、本発明は、(A)ポリカーボネート、(B)難燃剤、および、(C)ポリテトラフルオロエチレンを含有する難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法であって、
ポリカーボネート(A)、難燃剤(B)およびポリテトラフルオロエチレン(C)を予備混合して予備混合物を得る工程、および、
得られた予備混合物を、ポリカーボネート(A)と溶融混練して溶融混練物を得る工程を含む難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に関する。
【0011】
予備混合する工程で使用するポリテトラフルオロエチレン(C)が、水性分散体であることが好ましい。
【0012】
予備混合する工程において、ポリテトラフルオロエチレン(C)とともに、さらに(D)熱可塑性樹脂を混合することが好ましい。
【0013】
予備混合する工程の前に、ポリテトラフルオロエチレン(C)の水性分散体と、(D)熱可塑性樹脂の水性分散体を混合して混合分散体を得る工程を含むことが好ましい。
【0014】
難燃剤(B)が、シリコーン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、有機金属塩系難燃剤、および、リン酸エステル系難燃剤からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0015】
ポリカーボネート(A)100質量部に対して、難燃剤(B)が0.01〜25質量部であることが好ましい。
【0016】
熱可塑性樹脂(D)が、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリメタクリルスチレン、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリアミド、および、エチレンビニルアセテート重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0017】
ポリカーボネート(A)100質量部に対して、熱可塑性樹脂(D)が0.03〜5質量部であることが好ましい。
【0018】
予備混合する工程で使用するポリカーボネート(A)が、多孔質フレーク状物であることが好ましい。
【0019】
また、本発明は、(A)ポリカーボネート、(B)難燃剤、および、(C)ポリテトラフルオロエチレンを含有する難燃性ポリカーボネート樹脂組成物成形品の製造方法であって、
ポリカーボネート(A)とポリテトラフルオロエチレン(C)を予備混合して予備混合物を得る工程、
得られた予備混合物を、ポリカーボネート(A)および難燃剤(B)と溶融混練して溶融混練物を得る工程、および、
得られた溶融混練物を成形する工程
を含む難燃性ポリカーボネート樹脂組成物成形品の製造方法に関する。
【0020】
また、本発明は、(A)ポリカーボネート、(B)難燃剤、および、(C)ポリテトラフルオロエチレンを含有する難燃性ポリカーボネート樹脂組成物成形品の製造方法であって、
ポリカーボネート(A)、難燃剤(B)およびポリテトラフルオロエチレン(C)を予備混合して予備混合物を得る工程、
得られた予備混合物を、ポリカーボネート(A)と溶融混練して溶融混練物を得る工程、および、
得られた溶融混練物を成形する工程
を含む難燃性ポリカーボネート樹脂組成物成形品の製造方法に関する。
【0021】
溶融混練物の成形が射出成形であることが好ましい。
【0022】
さらに、本発明は、前記難燃性ポリカーボネート樹脂組成物成形品の製造方法によって得られた成形品に関する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法によれば、ポリカーボネート(A)とポリテトラフルオロエチレン(C)を予備混合した予備混合物、または、ポリカーボネート(A)、難燃剤(B)およびポリテトラフルオロエチレン(C)を予備混合して予備混合物を溶融混練に使用するため、ポリテトラフルオロエチレンを含む従来のポリカーボネート樹脂組成物では避けることができなかった外観の劣化が効果的に抑制され、優れた難燃性と優れた外観を両立したポリカーボネート樹脂組成物成形品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法は、(A)ポリカーボネート、(B)難燃剤、および、(C)ポリテトラフルオロエチレンを含有する難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法であって、
ポリカーボネート(A)とポリテトラフルオロエチレン(C)を予備混合して予備混合物を得る工程、および、
得られた予備混合物を、ポリカーボネート(A)および難燃剤(B)と溶融混練して溶融混練物を得る工程を含むことを特徴とする。
また、本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法は、(A)ポリカーボネート、(B)難燃剤、および、(C)ポリテトラフルオロエチレンを含有する難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法であって、
ポリカーボネート(A)、難燃剤(B)およびポリテトラフルオロエチレン(C)を予備混合して予備混合物を得る工程、および、
得られた予備混合物を、ポリカーボネート(A)と溶融混練して溶融混練物を得る工程を含むことを特徴とする。
【0025】
<配合成分>
本発明で使用するポリカーボネート(A)とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体である。代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
【0026】
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのような、ジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。
【0027】
これらは単独または2種類以上混合して使用されるが、これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
【0028】
さらに、上記のジヒドロキシアリール化合物とともに以下に示すような3価以上のフェノール化合物を混合使用してもよい。3価以上のフェノール化合物としてはフロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンおよび2,2−ビス−〔4,4−(4,4′−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル〕−プロパンなどが挙げられる。
【0029】
ポリカーボネート(A)の粘度平均分子量は、特に限定されないが、成形加工性、強度の面より10000〜100000が好ましく、15000〜35000が好ましい。また、かかるポリカーボネートを製造するに際し、分子量調整剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。なお、ポリカーボネートの粘度平均分子量(Mv)は、0.5質量%の塩化メチレン溶液とし、キャノンフェンスケ型粘度管を用い、温度20℃で比粘度(ηsp)を測定し、濃度換算により極限粘度〔η〕を求め、下記のSCHNELLの式から算出した値である。
〔η〕=1.23×10
−4×Mv
0.83
【0030】
本発明の製造方法によって得られる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリカーボネートの割合としては、ポリカーボネート樹脂組成物に対して優れた難燃性および優れた外観を付与する観点から、50〜99.5質量%が好ましく、70〜99.5質量%がより好ましく、85〜99.5質量%がさらに好ましい。
【0031】
ポリカーボネート(A)の形態は特に限定されず、たとえばペレット状物、フレーク状物、ビーズ状物等が挙げられる。なかでも、均質な分散性を得られる点で、フレーク状物が好ましく、多孔質フレーク状物がより好ましい。ポリカーボネートの嵩密度も特に限定されないが、0.1〜0.9が好ましく、0.1〜0.7がより好ましい。ここで、嵩密度とは、JISK7370 固め見かけかさ密度に準拠して測定される値をいう。ポリカーボネートの大きさは特に制限されないが、5mm以下が好ましい。
【0032】
本発明で使用する難燃剤(B)は特に限定されないが、例えばシリコーン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤、有機金属塩系難燃剤、リン酸エステル系難燃剤等が挙げられる。優れた難燃性と優れた外観を発揮する観点から、シリコーン系難燃剤が特に好ましい。シリコーン系難燃剤としては、例えば、特開平11−217494号公報に記載された主鎖が分岐構造でかつ含有する有機官能基中に芳香族基を持つシリコーン化合物が好ましい。
【0033】
より具体的には、下記一般式に示されるような、主鎖が分岐構造でかつ有機官能基として芳香族基を含有するもの、すなわち、分岐単位として T単位および/またはQ単位を持つものが好ましい。
【0035】
これらは全体のシロキサン単位の20mol%以上含有することが好ましい。20mol%未満であると、シリコーン化合物の耐熱性が低下してその難燃性の効果が下がり、またシリコーン化合物自体の粘度が低すぎてポリカーボネートとの混練性や成形性に悪影響を及ぼす場合がある。さらに好ましくは30mol%以上、95mol%以下である。30mol%以上だとシリコーン化合物の耐熱性が一層上がり、これを含有したポリカーボネート樹脂の難燃性が大幅に向上する。しかし95mol%を超えるとシリコーンの主鎖の自由度が減少して、燃焼時の芳香族基の縮合が生じにくくなる場合があり、顕著な難燃性を発現しにくくなる場合がある。
【0036】
また、シリコーン化合物が有する有機官能基のうち、芳香族基が20mol%以上であることが好ましい。この範囲未満であると、燃焼時に芳香族基同士の縮合が起こりにくくなり難燃効果が低下する場合がある。さらに好ましくは40〜95mol%である。40mol%以上であれば、燃焼時の芳香族基が一層効率的に縮合できると同時に、ポリカーボネート樹脂(A)中でのシリコーン化合物の分散性が大幅に改良され、極めて良好な難燃効果を発現できる。95mol%を超えると芳香族基同士の立体障害により、これらの縮合が生じにくくなる場合があり、顕著な難燃効果を発現できにくくなる場合がある。
【0037】
芳香族基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフタレン基、またはこれらの誘導体であるが、シリコーン化合物の安全面からは、フェニル基が好ましい。シリコーン化合物中の有機官能基で、主鎖や分岐した側鎖に付いたもののうち、芳香族基以外の有機基としてはメチル基が好ましく、さらに、末端基はメチル基、フェニル基、水酸基、アルコキシ基(特にメトキシ基)の内から、選ばれた1種またはこれらの2種から4種までの混合物であることが好ましい。これらの末端基の場合、反応性が低いため、ポリカーボネート樹脂(A)とシリコーン化合物の混練時に、シリコーン化合物のゲル化(架橋化)が起こりにくいので、シリコーン化合物がポリカーボネート樹脂(A)中に均一に分散でき、その結果、一層良好な難燃効果を持つことができ、さらに成形性も向上する。特に好ましくはメチル基である。これの場合、極端に反応性が低いので、分散性が極めて良好になり、難燃性をさらに向上することができる。
【0038】
シリコーン化合物の重量平均分子量は、5000〜50万が好ましい。5000未満だとシリコーン化合物自体の耐熱性が低下して難燃性の効果が低下し、さらに溶融粘度が低すぎて成形時にポリカーボネート樹脂(A)の成形体表面にシリコーン化合物が浸み出して成形性を低下させる場合があり、また50万を超えると溶融粘度が増加してポリカーボネート樹脂(A)中での均一な分散が損なわれ難燃性の効果や成形性が低下する場合がある。さらに特に好ましくは10000〜27万である。この範囲ではシリコーン化合物の溶融粘度が最適となるため、ポリカーボネート樹脂(A)中でシリコーン化合物が極めて均一に分散でき、表面への過度な浸みだしもないため、一層良好な難燃性と成形性を達成できる。
【0039】
本発明の製造方法によって得られる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に含まれる難燃剤(B)の割合としては、ポリカーボネート樹脂組成物に対して優れた難燃性および優れた外観を付与する観点から、0.001〜40質量%が好ましい。ハロゲン系難燃剤の場合は1〜40質量%が好ましく、5〜35質量%がより好ましく、8〜25質量%がさらに好ましい。有機金属塩系難燃剤の場合は0.001〜5質量%が好ましく、リン酸エステル系難燃剤の場合は3〜25質量%が好ましい。
【0040】
本発明で使用するポリテトラフルオロエチレン(C)は特に限定されず、ポリテトラフルオロエチレンホモポリマーを使用しても良いが、ポリテトラフルオロエチレンの性能を損なわない程度のコポリマー及びターポリマーを含有しているものを使用してもよい。また、ポリテトラフルオロエチレンは、コポリマーであっても良い。
【0041】
ポリテトラフルオロエチレン(C)の形態は特に限定されないが、粒子が好ましい。平均粒子径は200μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。200μm以下であれば、優れた難燃性及び優れた外観を付与することができる。ここで、平均粒子径とは、複合樹脂粒子1gに対して、50mlの塩化メチレンを加えて、23℃下、3時間放置して得られた溶液を20分間スターラーで攪拌し、溶解せずに残ったPTFE粒子100個について、長径及び短径を測定し、(長径+短径)/2を粒径とし、100個のPTFE粒子の粒径の平均値をいう。
【0042】
なお、ポリテトラフルオロエチレン粒子をポリカーボネート樹脂組成物に添加するために使用することができる、PTFE含有添加剤が市販されているが(例えば、三菱レイヨン社製のA3800、シャインポリマー社製のSN3307など)、該添加剤は、上記の測定方法で測定した平均粒子径は200μm以下にはならない。
【0043】
ポリテトラフルオロエチレン(C)は、比較的均一な分散性を得る、すなわち、ポリテトラフルオロエチレンの凝集物の発生を少なく、均一な分散性・再現性に優れる点で、水性分散体として使用することが好ましい。水性分散体におけるポリテトラフルオロエチレン(C)の固形分率は特に限定されないが、20〜65質量%が好ましく、20〜70質量%がより好ましい。
【0044】
本発明の製造方法によって得られる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリテトラフルオロエチレン(C)の割合としては、ポリカーボネート樹脂組成物に対して優れた難燃性および優れた外観を付与する観点から、0.005〜5質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。
【0045】
本発明の製造方法によって得られる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、樹脂組成物中においてポリテトラフルオロエチレンを均一性高く分散させる機能を発揮させる点で、熱可塑性樹脂(D)を含有することが好ましい。
【0046】
熱可塑性樹脂(D)は特に限定されないが、ポリカーボネート樹脂及びフッ素樹脂と親和性のあるものを用いることが好ましい。たとえば、スチレン−アクリロニトリル共重合体(SAN)、ポリメタクリルスチレン重合体(MS)、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリアミド、エチレンビニルアセテート重合体(EVA)などが挙げられる。これらの中でも特にスチレン−アクリロニトリル共重合体(SAN)が好ましい。熱可塑性樹脂としては、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0047】
熱可塑性樹脂の形態は特に限定されないが、粒子の状態で使用することが好ましい。平均粒子径は5μm以下が好ましく、0.01〜2μmがより好ましい。5μm以下であれば、ポリカーボネート樹脂組成物に対して、フッ素樹脂を好適に分散させて、優れた難燃性及び優れた外観を付与することができる。
【0048】
熱可塑性樹脂(D)は、難燃樹脂組成物内のポリテトラフルオロエチレン凝集物発生を少なくし、均一な分散性が得られる点で、水性分散体として使用することが好ましい。熱可塑性樹脂(D)の固形分濃度は特に限定されないが、20〜70質量%が好ましい。また、熱可塑性樹脂(D)の配合量は、ポリカーボネート(A)100質量部に対して、0.03〜5質量部が好ましい。
【0049】
本発明の製造方法によって得られる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に含まれる熱可塑性樹脂(D)の割合としては、ポリカーボネート樹脂組成物に優れた難燃性及び優れた外観を付与する観点からは、0.005〜5質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。
【0050】
本発明の製造方法によって得られる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、前述した(A)〜(D)成分以外に、難燃性のポリカーボネート樹脂組成物に配合される各種成分を配合することができる。このような成分としては、例えば、各種の樹脂、さらなる難燃剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、着色剤、充填材、離型剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、ゴム(エラストマー)、軟化材、展着剤(流動パラフィン、エポキシ化大豆油等)、さらなる有機金属塩(例えば、芳香族硫黄化合物金属塩、パーフルオロアルカン酸金属塩など)などが挙げられる。
【0051】
各種の樹脂としては、ポリカーボネート樹脂組成物に配合される公知の樹脂を配合することができる。各種の樹脂としては、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、ABS、AES、AAS、AS、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0052】
酸化防止剤としては、ポリカーボネート樹脂組成物に配合される公知の酸化防止剤を使用することができる。酸化防止剤としては、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤などが挙げられる。なかでも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好適に使用され、例えば、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チオジエチレン−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどが挙げられる。酸化防止剤の配合量としては、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、例えば0.005〜1質量部が挙げられる。
【0053】
着色剤としては、ポリカーボネート樹脂組成物に配合される公知の着色剤を使用することができる。着色剤としては、特に制限されず、染料、顔料(二酸化チタン、カーボンブラックなど)を使用することができる。着色剤の配合量としては、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、例えば0.0001〜10質量部が挙げられる。
【0054】
充填材としては、ポリカーボネート樹脂組成物に配合される公知の充填材を使用することができる。充填材としては、特に制限されず、ガラス繊維、炭素繊維、シリカ、タルク、マイカなどが挙げられる。充填材の配合量としては、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、3〜120質量部が好ましい。
【0055】
ゴム(エラストマー)としては、ポリカーボネート樹脂組成物に配合される公知の充填材を使用することができる。ゴム(エラストマー)としては、特に制限されず、イソブチレン/イソプレンゴム、スチレン/ブタジエン、アクリル系エラストマー、ポリエステルエラストマー、コアシェル型エラストマーなどが挙げられる。ゴム(エラストマー)の配合量としては、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、0.05〜20質量部が好ましい。
【0056】
本発明の製造方法によって得られた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、UL規格94(機器の部品用プラスチック材料の燃焼性試験)の垂直燃焼試験(V試験)を、試験片の厚み1.5mmで行った場合の等級が、V−0またはV−1であることが好ましい。
【0057】
<製造方法>
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法では、ポリカーボネート(A)とポリテトラフルオロエチレン(C)を予備混合して予備混合物を得る工程、および、得られた予備混合物を、ポリカーボネート(A)および難燃剤(B)と溶融混練して溶融混練物を得る工程を含む。または、ポリカーボネート(A)、難燃剤(B)およびポリテトラフルオロエチレン(C)を予備混合して予備混合物を得る工程、および、得られた予備混合物を、ポリカーボネート(A)と溶融混練して溶融混練物を得る工程を含む。
【0058】
予備混合工程
予備混合とは、溶融混練させる前に、ポリカーボネート(A)とポリテトラフルオロエチレン(C)を混合して、マスターバッチを作製する。必要に応じて、難燃剤(B)も合わせて予備混合しても良い。混合方法としては特に限定されず、固体状態のポリカーボネート(A)とポリテトラフルオロエチレン(C)の水性分散体を混合する方法、ポリカーボネート(A)とポリテトラフルオロエチレン(C)を固体状態で混合するドライブレンドなどが挙げられる。なかでも、均一な分散性が得られる点で、固体状態のポリカーボネート(A)とポリテトラフルオロエチレン(C)の水性分散体を混合する方法が好ましい。混合手段は特に限定されないが、撹拌しながら混合することが好ましく、一般的なミキサー(例えば、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、バタフライミキサーなど)、ホモジナイザー、ブレンダーなどを使用できる。また、これらの樹脂粒子の混合分散体を調製する際には、酸または塩基を用いてpHを調整してもよい。
【0059】
予備混合工程におけるポリテトラフルオロエチレン(C)の混合量は特に限定されないが、予備混合工程で使用するポリカーボネート(A)100質量部に対して、0.1〜33質量部が好ましく、0.2〜25質量部がより好ましく、3〜20質量部がさらに好ましい。難燃剤(B)も予備混合する場合、難燃剤(B)の混合量は特に限定されないが、予備混合工程で使用するポリカーボネート(A)100質量部に対して、0.005〜100質量部が好ましく、0.01〜80質量部がより好ましい。
【0060】
予備混合工程では、ポリカーボネート(A)とポリテトラフルオロエチレン(C)とともに、熱可塑性樹脂(D)を混合しても良く、予めポリテトラフルオロエチレン(C)と熱可塑性樹脂(D)を混合した後に、ポリカーボネート(A)と予備混合しても良い。ポリテトラフルオロエチレン(C)および熱可塑性樹脂(D)は、水性分散体として使用することが好ましい。
【0061】
予備混合における熱可塑性樹脂(D)の混練量も特に限定されないが、予備混合工程で使用するポリカーボネート(A)100質量部に対して、0.1〜33質量%が好ましく、0.2〜25質量%がより好ましく、3〜20質量%がさらに好ましい。
【0062】
予備混合の後に、乾燥工程を設けることが好ましい。乾燥手段としては、熱風乾燥、真空乾燥、蒸気乾燥、スピン乾燥、吸引乾燥などの各種乾燥手段が挙げられる。
【0063】
溶融混練工程
溶融混練とは、予備混合工程で得られた予備混合物を、ポリカーボネート(A)および難燃剤(B)と溶融混練する。予備混合工程で難燃剤(B)を混合した場合には、溶融混練工程で難燃剤を混練しなくても良い。混練方法としては特に限定されず、例えば押出機(溶融混練機、溶融捏和機)、バッチ式混練機などが挙げられる。押出機としては、単軸でも多軸でも良く、多軸の場合、噛合い型同方向回転二軸押出機等の二軸押出機、二軸以上の多軸押出機を好ましく使用することができる。通常、通常の噛合い型同方向回転二軸押出機等が好ましく使用される。
【0064】
溶融混練工程で新たに配合するポリカーボネート(A)の添加量は特に限定されないが、予備混合物100質量部に対して、250〜10000質量部が好ましく、500〜5000質量部がより好ましい。10000質量部を超えると、生産性が劣り、250質量部未満では、均一な難燃性が得られなくなる傾向がある。
【0065】
溶融混練工程で添加する難燃剤(B)の添加量は特に限定されないが、予備混練物に含まれるポリカーボネートと新たに添加するポリカーボネートの合計100質量部に対して、0.01〜25質量部が好ましく、0.01〜10質量部がより好ましく、0.01〜5質量部がさらに好ましい。0.01質量部未満では、安定した難燃性を得ることが難しくなり、25質量部を超えると、ポリカーボネートの分解を引き起こしたり、製造上において不具合が発生する可能性がある。
【0066】
また、本発明の(A)ポリカーボネート、(B)難燃剤、および、(C)ポリテトラフルオロエチレンを含有する難燃性ポリカーボネート樹脂組成物成形品の製造方法は、
ポリカーボネート(A)とポリテトラフルオロエチレン(C)を予備混合して予備混合物を得る工程、
得られた予備混合物を、ポリカーボネート(A)および難燃剤(B)と溶融混練して溶融混練物を得る工程、および、
得られた溶融混練物を成形する工程
を含むことを特徴とする。
また、本発明は、(A)ポリカーボネート、(B)難燃剤、および、(C)ポリテトラフルオロエチレンを含有する難燃性ポリカーボネート樹脂組成物成形品の製造方法は、
ポリカーボネート(A)、難燃剤(B)およびポリテトラフルオロエチレン(C)を予備混合して予備混合物を得る工程、
得られた予備混合物を、ポリカーボネート(A)と溶融混練して溶融混練物を得る工程、および、
得られた溶融混練物を成形する工程
を含むことを特徴とする。
【0067】
予備混練工程および溶融混練工程は、前述した通りである。得られた溶融混練物を成形する工程における成型方法は特に限定されず、射出成形、押出成形、ブロー成形、圧縮成形、インフレーション成形などが挙げられる。なかでも、高せん断が印加される射出成形であっても、外観不良が発生せずに好適に使用される。
【実施例】
【0068】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、特にことわりがない限り、「部」及び「%」はそれぞれ重量基準である。
【0069】
(製造例1)予備混合物Aの製造
ポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液(一次粒子径0.15〜0.25μm:ダイキン工業株式会社製ポリフロンD210−C)と、スチレン−アクリルニトリル共重合体粒子水性分散液(一次粒子径0.05〜1μm:日本A&L社製K−1158)とを、50:50(=PTEF粒子:SAN粒子)の質量比(固形分比)で混合した。得られた混合液を酸で中和して中和混合液を得た。次に、ポリカーボネート樹脂粒子(一次粒子径1mm)の粉末4質量部に、中和混合液(固形分0.46質量部)を添加した。次に、80℃に加温して、スーパーミキサーを用いて0.5時間攪拌した後、乾燥させて予備混合物Aを製造した。予備混合物A中のPC樹脂粒子と、PTFE粒子と、SAN粒子の質量比は、89.0:6.5:6.5である。また、得られた予備混合物Aは、前述の方法により測定した結果、5mm以下の平均粒子径を有していた。
【0070】
(PTFE粒子の平均粒子径の測定)
予備混合物A1gに対して、50mlの塩化メチレンを加えて、23℃下、3時間放置した。次に、得られた溶液を20分間スターラーで攪拌し、溶解せずに残ったPTFE粒子100個について、長径及び短径を測定し、(長径+短径)/2を粒径とし、100個のPTFE粒子の粒径の平均値を、PTFE粒子の平均粒子径とした。その結果、予備混合物Aにおける当該平均粒子径は、70μmであった。なお、短径の最小値は9μm、長径の最大値は264μmであった。
【0071】
(製造例2)予備混合物Bの製造
ポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液(一次粒子径0.15〜0.25μm :ダイキン工業株式会社製ポリフロンD210−C)と、スチレン−アクリルニトリル共重合体粒子水性分散液(一次粒子径0.05〜1μm:日本A&L社製K−1158)とを、65:35(=PTEF粒子:SAN粒子)の質量比(固形分比)で混合したこと以外は、製造例1と同様にして、予備混合物Bを製造した。予備混合物B中のPC樹脂粒子と、PTFE粒子と、SAN粒子の質量比は、89.7:6.7:3.6である。また、得られた予備混合物Bは、前述の方法により測定した結果、5mm以下の平均粒子径を有していた。
【0072】
(製造例3)予備混合物Cの製造
ポリテトラフルオロエチレン粒子水性分散液(一次粒子径0.15〜0.25μm :ダイキン工業株式会社製ポリフロンD210−C)と、スチレン−アクリルニトリル共重合体粒子水性分散液(一次粒子径0.05〜1μm:日本A&L社製K−1158)とを、35:65(=PTEF粒子:SAN粒子)の質量比(固形分比)で混合したこと以外は、製造例1と同様にして、予備混合物Cを製造した。予備混合物C中のPC樹脂粒子と、PTFE粒子と、SAN粒子の質量比は、82.3:6.2:11.5である。また、得られた予備混合物Cは、前述の方法により測定した結果、5mm以下の平均粒子径を有していた。
【0073】
(実施例1〜7及び比較例1〜5)
表1に記載の組成となるようにして、各成分をタンブラーに投入し、10分間乾式混合した。次に、二軸押出機((株)日本製鋼所製のTEX30α)を用いて、溶融温度280℃で混練し、各ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットから、射出成形機(FANAC社製のROBOSHOT S−2000i)を用いて、試験片を作製して、後述の評価に供した。表1に記載の成分の詳細は、以下の通りである。なお、予備混合物A〜Cは、前述の製造例1〜3で製造したものである。また、全ての実施例及び比較例において、共通して、酸化防止剤(リン系及びフェノール系)、エラストマー、及び離型剤が微量添加されている。
【0074】
(各成分)
・PC:ポリカーボネート樹脂(住化スタイロンポリカーボネート社製のカリバー200−20:芳香族ポリカーボネート樹脂、嵩密度 0.7g/ml )
・難燃剤:シリコーン系難燃剤(ジオルガノジクロロシラン、モノオルガノトリクロロシラン、及びテトラクロロシランの共重合体であり、主鎖構造のM/D/T/Q=14/16/70/0(モル比)、全有機官能基中のフェニル基の比率が32モル%、末端基がメチル基、重量平均分子量が65000程度)
・A3800:三菱レイヨン社製のPTFE/MS(ポリメタクリルスチレン)=50/50の粒子
・SN3307:シャインポリマー社製のPTFE/SAN(スチレン−アクリルニトリル共重合体)=50/50の粒子
・PTSNa:パラトルエンスルホン酸ナトリウム塩
・C4:パーフルオロブタンスルホン酸カリウム塩
【0075】
(A3800及びSN3307のPTFE粒子の平均粒子径の測定)
A3800及びSN3307について、前述の予備混合物Aと同様にして、PTFE粒子の平均粒子径を測定した。その結果、A3800の当該平均粒子径は、317μmであった。なお、短径の最小値は82μm、長径の最大値は715μmであった。一方、SN3307の当該平均粒子径は、253μmであった。なお、短径の最小値は79μm、長径の最大値は633μmであった。
【0076】
<難燃性評価>
UL規格94(機器の部品用プラスチック材料の燃焼性試験)に従い、垂直燃焼試験(V試験)を、試験片の厚み1.5mmで行い、その等級を評価した。結果を表1に示す。
【0077】
<外観評価1:表面のざらつき>
実施例1〜7及び比較例1〜5で得られたペレットを、125℃で4時間乾燥後、射出成形機(FANAC社製のROBOSHOT S−2000i)を用いて、試験片成形時の温度300℃、射出圧力100MPa、金型温度100℃の条件下で試験片(80mm×52mm×2mmの平板)を作製した。次に、各試験片の表面を目視及び光学顕微鏡で観察して、直径が50μm以上の異物の数をカウントした。以下の基準により、表面のざらつきを評価した。結果を表1に示す。
〇:異物の数が0〜5個であり、表面のざらつきが殆どない
△:異物の数が6〜10個であり、表面のざらつきがややある
×:異物の数が10個超であり、表面のざらつきが大きい
【0078】
<外観評価2:表面の色むら>
着色剤としてTiO
2を1.0質量%、カーボンブラックを0.0025質量%配合したこと以外は、実施例1〜7及び比較例1〜5と同様にして作製した、ポリカーボネート樹脂組成物を試験片とした。具体的には、着色剤としてTiO
2を1.0質量%、カーボンブラックを0.0025質量%配合したこと以外は、実施例1〜7及び比較例1〜5と同様にして得られたペレットを、125℃で4時間乾燥後、射出成形機(FANAC社製のROBOSHOT S−2000i)を用いて、試験片成形時の温度300℃、射出圧力100MPa、金型温度100℃の条件下で試験片(80mm×52mm×2mmの平板)を作製した。次に、暗幕中で、試験片の一方側の主面に対して90°の両方向から、ライト光面 約170mm×120mmのLED平面ライト(NanGuang製Web LED Photo Light WP−960)を用いてライト照度(約2180Lx/50cm)の白色光を照射した。試験片の当該主面から垂直方向に約10cmの距離をおいて、2次元色彩輝度計(コニカミノルタ社製CA2000)を設置し、前記主面の12箇所について輝度を測定した。得られた各輝度のうちの最大輝度及び最小輝度、12箇所の平均輝度を用いて、色相ばらつき=((最大輝度−最小輝度)/平均輝度)×100を算出した。5つの試験片についての色相ばらつき(%)の平均を、平均色相ばらつき(%)とした。得られた平均色相ばらつき(%)の結果から、以下の基準により表面の色むらを評価した。結果を表1に示す。
◎:平均色相ばらつきが、31.0%未満であり、色むらが極めて少なく、目視でも色むらは殆ど認識できない。
〇:平均色相ばらつきが、31.0%以上32.0%未満であり、色むらは少ないが、目視で若干色むらが認識できる。
×:平均色相ばらつきが、32.0%以上であり、色むらは多く、目視で色むらがはっきりと認識できる。
【0079】
【表1】