従来のフード付きアウターウェア等のフードは、雨天時の自転車走行等において、前方からの風雨による「フードの脱げ」「目元の濡れ」に対する機能が不十分であった。また、その機能を補填するための装置や防雨具が着用時の見た目を損ね、携帯にも不便であった。
フード付きアウターウェア等の上部内側に、目元に装着されるメガネとフード上部とを着脱自在に固定する保持具を設けた。これにより、メガネによってフードが頭部に被着した状態で固定され、且つ目元への雨をメガネのレンズで防ぐことができ、着用時の見た目と携帯性の問題を解決する事ができる。
前面に顔を露出するための開口部を有するフード本体部と、目元に装着され、レンズ部・ブリッジ部・アーム部を有し鼻梁と両耳に保持されるメガネの前記ブリッジ部又は両アーム部を保持するための帯状又は紐状の保持具とを備え、前記メガネ用保時具の一端部が、前記フード本体部の前記開口部の上部に固着される又は着脱可能に取り付けられ、前記保持具を前記ブリッジ部又は両アーム部に係止させることを特徴とするフード。
【背景技術】
【0002】
現在市販されているフード付きアウターウェア、主にレインウェアは、デザインや素材や機能性など様々な改良が施されている。しかし、フード部分に関しては、単に襟元にフードが付いているものと、フードが脱げぬよう顔周りを紐で絞って固定するものにとどまっていた。
【0003】
また、雨天時の自転車走行者用には、
図18に示すように、顔周りを紐で絞って固定するフード部分に、さらに顔面に対する雨を防ぎ、視界を確保する為の透明なビニール素材やプラスチック板から成る庇部付きのレインウェアがあった。
【0004】
その他には、特許文献1、2に示すように、野球帽等の鍔付き帽子を被った上で、フードを固定するレインウェアや、撥水加工が施してあり風で飛ばぬよう付属の紐で首元を絞って固定できる、晴雨兼用のハットがあった。他にも、自転車のハンドル部分に傘の柄を取り付けられる固定器具があり、走行中に傘を差した状態での両手運転が可能となり、買い物時に自転車を利用する主婦層を中心に使用されていた。
【0005】
また、顔面に対する防雨対策としては、
図19に示すように、顔の額部分に装着し、顔全体を覆う雨用バイザーがあり、前記で述べたフード脱げ防止紐付きレインウェアと併用されていた。また、バイク用には、雨や雪、塵などの飛来物を防ぐための、伸縮性バンドで目元に固定されるゴーグルがあり、ヘルメットと併用されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年フード付きアウターウェア、特に「レインウェア」の需要が、一昔前の機能性に特化した製品とは別に、自転車や、ランニング、トレッキング、登山、スノーボード、スキー、釣り、野外ライブ・フェス等の「アウトドアアクティビティ」が若者を中心にファッション化するに伴い、先に流行し女性の間では雨天時の定番とまでなった「レインブーツ(長靴)」の後を追うように、見た目のデザイン性・ファッション性に重点を置くものが急速に市場に出回り、年々売り場を拡大している。
【0008】
さらに、各国において自動車による交通死亡事故削減や、CO2削減、生活習慣病予防の観点から積極的な自転車政策がなされており、雨天時の自転車走行に最も適した「レインウェア」の需要が拡がっている。
【0009】
その上、国内においては2015年6月に施行された道路交通法改正に伴い、自転車走行時の傘差し運転が禁止となった。それを受け、警視庁のガイドラインによる傘差し固定器具への注意喚起があり、いずれも安全面に優れた「レインウェア」の着用が推奨され、需要を後押ししている現状がある。
【0010】
しかし、実際の自転車利用者の中には、雨天時のレインウェアの着用に対して「ダサい」「恥ずかしい」「面倒くさい」等の意見も多く、結果としてレインウェアの着用を避ける事となり、徒歩や他の交通手段を利用していた。しかし、中には従来通りに傘を使用するケースもあり、その危険性によって法律で禁止事項となった「傘差し運転」が未だ後を絶たない。
【0011】
一方で、自転車走行時に両手が使え、安全で便利であるはずのレインウェアの着用を避ける原因の一つに走行中の「フードの脱げ」がある。また、それを補うための従来の防雨機能や防雨具に、自転車利用者にとっての「ダサい」「恥ずかしい」「面倒くさい」と言われる要素があると考えられ、以下にそれらの問題点を述べる。
【0012】
前記の通り、従来のフード付きアウターウェアである、レインウェア等のフード部分の機能は主に二分化している。そのうち、単に襟元にフードが付いているだけのものは、雨天の自転車走行等の着用時には簡単にフードが脱げてしまい、頭部が濡れ、フード本来の意味をなさない。また、脱げたフードを何度も被り直したり、フードが脱げぬよう片手で押さえていなければならず、非常に不便であり、雨や雪が直接目元にかかり視界が悪い上に、地面がスリップしやすい状況での片手運転は大変危険であった。
【0013】
他にも、コンタクト使用者にとっては、前方からの風雨や雪が目に入りコンタクトが浮き上がることがあり、位置がずれる、外れる等大変不便であった。さらに女性の場合は、目元が濡れることによってアイメイクが落ち、マスカラ等で目の周りが黒く滲んでしまう等の問題があった。
【0014】
しかし、最近多く出回るようになったデザイン性やファッション性を重視したレインウェアのフードが、概ねこのタイプである。そのため購入者はレインウェアのデザイン性やファッション性を重視して購入しているにも関わらず、結果として着用時には後述に示すような
図19等のファッション性を損ねる防雨具を併用する必要性が出てくる。
【0015】
一方で、着用時の機能性を重視し、風で脱げぬようフードの顔周りを紐で絞るものは、頭部は濡れないが前記フードと同じく顔は露出している為、直接雨が目にかかるという前記フードと同じ問題があった。また、着用時にフードの顔周りを紐で絞った隙間から顔が覗く状態が、非常に不恰好であるという見た目の問題があった。
【0016】
次に、前記
図18で示したように、顔周りを紐で絞って固定するフード部分に、顔面への防雨と視界を確保する為の、透明なビニール素材やプラスチック板から成る庇部付きのレインウェアも、同じく顔周りを紐で絞る為、装着時の見た目の問題があった。その上、雨の強さや風向きによっては、庇の下から雨が吹き込み肝心の目元が濡れたり、目を細めて運転する事があった。さらに、目と離れた場所で雨を遮っているため、視線がビニールやプラスチック製の透明の庇部に付着した水滴を捉えてしまう為、いくら庇部が透明であっても、付着した水滴越しでは前方の見通しが悪くなる。
【0017】
次に、特許文献1のように、フードの固定に使用される野球帽等の鍔付きの帽子は、まず帽子自体を風で飛ばぬよう深く被る必要があり、脱いだ際に髪に痕が付く、前髪が潰れる等の問題と、鍔付きの帽子を携帯する不便さとがあった。さらに特許文献2に関しては、帽子が濡れるのを防ぐ為、鍔の先端までフードを被せて固定する為、左右の視界を塞ぐことになり、大変危険である。また、晴雨兼用の撥水性ハットも、上記の問題の他、使用後の濡れた帽子を携帯する不便さがあった。
【0018】
次に、自転車のハンドル部分に取り付ける傘さし固定器具に至っては、使用時に傘を広げて固定した状態が、既に法律で定められた自転車の積載物の許容サイズを超えている。走行時に傘が歩行者や車、電柱等に接触する危険があり、他にも傘が視界を妨げ、風に煽られる等問題点も多く、都道府県によっては既に禁止されている。その上、傘をわずかに前傾させて取り付けるため、後頭部や背中が濡れる事や、ハンドル部分に常時30センチ程の棒状の突起物を付けておかねばならない問題もあった。
【0019】
次に、
図19に示したように、額部に装着し、顔全体を覆うプラスチック製の雨用バイザーは、顔面への防雨にはなるが、当然バイザー自体のサイズが大きくなる。それによって装着時の見た目の不自然さが著しく、顔全体を覆う圧迫感や、呼吸時の曇り、携帯時にも嵩張る等の不便があった。
【0020】
その他、バイク用等で目元に使用されるゴーグルは、雨や雪を防ぐだけでなく、転倒時等の衝撃から目を保護するためにフレーム部が大きく、内側にはクッション部が付いており、厚手で頑丈に作られている。その為バイク用のヘルメットと併用したり、スキーやスノーボードの際に身につけるには向いているが、やはり自転車走行時に装着するには見た目にも大層で、携帯にも嵩張り不向きであった。
【0021】
以上に示すように、既存の頭部や目元に対する防雨対策は、顔面をすっぽりと覆うバイザー以外は、頭上で雨を遮る構造が多い。しかし、特に自転車走行においては風や走行スピードによる前方から吹き込む雨や雪の影響を重視した目元の防雨対策が必要となる事や、防雨具の形状による携帯性の問題、さらには装着時の見た目のファッション性が考慮されている等、上記の物では不十分であった。
【0022】
現在、様々な分野で求められるようになったデザイン性やファッション性、さらには携帯性が、レインウェアの「フード部分」の防雨機能において、利用者のニーズに応えられておらず、レインウェア全体の問題として残されていた。
【0023】
本発明は、このように従来にあった問題を解決する為に、レインウェア等のフードが本来の防雨機能を果たすと「同時」に、目元に直接かかる雨を防いで視界を確保し、装着時の見た目と携帯性を考慮したフード付きアウターウェアの改良を実現する事を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、上記課題を解決するために、前面に顔を露出する為の開口部を有するフード本体部と、目元に装着されるメガネを、前記メガネを着脱可能に前記フード本体部の前記開口部の上部内側に保持する為の前記メガネ用保持具とを備えてなるフードを提供するものである。
【0025】
ここで、「フード」とは、頭部に被着され、顔が露出されるよう開口部を有しているものである。主に上着や衣類等の襟部に使用され、襟部から取り外しできるものであっても良い。また、「メガネ」とは、一般的なメガネを指しており、主にレンズ部、ブリッジ部、アーム部等によって構成されるものであれば良い。また、前記レンズ部は度入り、度なし、色付き、でも良い。中には同じ形状で、「ゴーグル」という名称で呼ばれているものもある。
【0026】
前記フード本体の開口部の「上部」とは、頭部に前記フード本体を被着した時の、顔面の額からこめかみ辺りまでの部分を指す。また、前記フード本体の開口部の「内側」とは、前記で示した前記フード上部の額側に面する部分のことである。
【0027】
また、請求項2の、「視界を妨げない少なくとも一箇所である」と示す前記フード保持具の前記メガネに対する保持位置とは、前記メガネのブリッジ部の一箇所、両アーム部の二箇所、ブリッジ部と両アーム部の3箇所の内のいずれかである事を指す。
【0028】
また、請求項3の、前記メガネ用保持具の「表面」と表すのは、前記メガネ用保持具が、表と裏で二つの違う作用を有しているからである。そのため、一方の面を前記「表面」とし、前記フード本体部と前記メガネ用保持具の固着面を表しており、ここでの「固着」とは、主に縫製や接着等によって、前記フード本体部の前記開口部の上部内側に完全に固定されていることを示す。
【0029】
また、「着脱自在」とは、前記フード部に対して前記メガネ用保持具が前記フード本体部の前記開口部の上部内側に対し、例えば面ファスナー等のような着脱自在な係止部によって取り外し可能に固定されていることを示す。
【0030】
また、請求項4の前記保持具の「裏面」とは、前記で示す「表面」が、前記フード本体部と前記メガネ用保持具の固着面を表しているのに対し、前記「裏面」では、前記メガネ用保持具上において、前記一端部と前記他端部の固定位置を調節自在に選択できると共に、前記メガネを着脱自在に保持する係止部が設けられていることを示す。この場合、最も適しているのが面ファスナーである。
【0031】
また、請求項5の「フード付きアウターウェア」とは、フードを有する衣類のことである。主に防雨、防風、防寒、日よけ用の上着であり、フード部分が取り外し可能であっても良い。
【0032】
また、請求項6は、表面の一端部に、フードの開口部の上部に取り付け可能な固着部が設けられている、フード用メガネ保持具単体を表しており、メガネ用保持具付きでないアウターウェア等のフードに取り付ける為のものである。
【0033】
請求項9の「第一保持部」とは、前記フード本体部の前記開口部の上部をクリップ式にて保持する。その際の保持位置は、前記フードを被着した時の、前記フード本体部の開口部の上部の、顔面の額からこめかみに至る部分までの、視界を遮ることのない一箇所から複数箇所のことである。また、前記「第二保持部」は、第一保持部と同様にクリップ式にて前記メガネを保持する。その際の保持位置は、前記メガネのブリッジ部、両アーム部、両レンズ部の各アーム部からブリッジ部に至るまでの上部、及びブリッジ部と両アーム部の内、一箇所から複数箇所のことである。
【発明の効果】
【0034】
上述したように、本発明のレインウェア等のアウターウェアの「フード」は、フード上部内側に固着された「メガネ用保持具」によって、目元に装着され鼻梁と両耳元において確実に固定される「メガネ」を保持する事が可能となる。目元に最も密着し、風の抵抗を受けにくく、確実に固定された「メガネ」をフードの内側で保持する事によって、フードが脱げないだけでなく、フード先端部の内側にメガネのレンズ上部が収まり、目元への雨を完全に防ぐ事ができる。それによって、従来の庇部のように風向きや雨の強さによって雨が目元に吹き込む事や、目を細めながら運転する必要もなくなる。
【0035】
さらに、目元に密着した硬性のレンズ部により、付着した水滴の合間から前方を見通すことが可能となり、目元と離れた場所に設けられた従来の透明なビニールやプラスチック性の庇部越しの視界に比べ、良好な視界を確保する事ができる。また、目元の防雨具がメガネである事によって、撥水加工が施されているレンズの使用や、市販されているメガネ専用の撥水用や曇り止め用スプレー等を使用すれば、レンズに対する撥水効果をさらに上げる事も可能である。
【0036】
前記構成によって、従来のようにフードや自転車のハンドルに、透明の庇部や鍔付きの帽子やバイザー、固定器具等、見た目を損ね携帯に嵩張る等の余分な製品を使用することなく、良好な視界を確保し、防雨装置の簡略化をはかることができ、着用時の見た目もすっきりする。
【0037】
さらに、保持具がメガネを着脱自在に保持するため、不使用時にはメガネを取り外しておくことができる。その際メガネはアーム部分を折りたたんでレインウェア等のポケットに収納する事ができるため、従来の雨用バイザーや雨用ハット等と比べ、最も携帯性に優れており、常時レインウェア等のポケットに携帯しておけば持ち出し忘れや紛失を防ぐ効果もある。
【0038】
また、本発明のメガネ用保持具に使用されるメガネは、専用の形状である必要がなく、一般的なメガネの形状に対応できるため、使用者は市販されている100円代から手に入るメガネや、手持ちのメガネを活用することができる。よって、不要なコストがかからず、またメガネのデザインや色、レンズの補正機能や伊達メガネやサングラスなど、使いやすさや自分の好みに合ったものを選択することができる。
【0039】
以上に述べたように、本発明によるレインウェア等のフードにメガネを固定可能にするメガネ用保持具を備えることによって、「メガネ一つ」で、メガネ本来の機能とは違う効果である、「フードを固定する為の重石代わり」と、「雨天時の目元の防雨具」としての二つの機能を同時に得ることができる。また、保持具自体もフード内部に固定されており雨に濡れにくく、保持具をフード本体部と同じ素材や色を使用すれば、目立つ事もない。よって、従来のフードに設けた透明な庇部のようにフードの外観を損ねる事なく防雨効果を得る事ができる。
【0040】
すなわち本発明のフードによって、雨天時のレインウェア等のフードや着用時の姿を、よりシンプルに違和感なくまとめることが可能となる。本発明のレインウェアの着用時は、見た目には使用者がフードをかぶり、メガネをつけている姿にすぎない。しかし実際には、フードの内側にフードとメガネを固定させるためのメガネ用保持具が備えられており、フードが脱げず、目元に雨や雪が入り込まない仕組みになっている。よって見た目のファッション性を損なうことなく、従来の防雨機能の改良を実現され、雨天時の自転車走行等における「レインウェアの新しいスタイル」を与えるものである。
【0041】
次に、請求項2によれば、フードとメガネを、前記メガネの形状を利用して、メガネのブリッジ部、アーム部等において、目と目の間と、目元の両端において視界を遮ることなく保持することができる。さらにブリッジ部またはアーム部は、メガネのレンズ部に対し中央より上方に構成されているため、フードが目線の位置より上部で保持される事となる。それによって、フードが目線に被さる事なく良好な視界を確保することが可能となる。
【0042】
また、フードが保持具によってブリッジ部やアーム部に保持されている事で、「顔面」ではなく「目元」においてフードを固定することが可能となり、左右や後方確認する際に、フードが目元の動き連動し、従来にあったフードの側面によって視界が遮られることを防ぐ。なお、その時保持具の取り付け位置を、フードの先端部より上方奥側にずらすことで、額に対するフードの先端部に庇部を形成することができる。さらに、保持具がブリッジ部を保持する事で、メガネのブリッジ部の凹状の隙間を保持具で埋めることができ、より目元への防雨が増す効果もある。
【0043】
請求項3によれば、固着すれば確実な固定が得られ、着脱可能にすれば、保持具が劣化した際等に付け替えることができる。
【0044】
また、請求項4によれば、保持具の固定位置が調整自在で、且つ着脱可能である面ファスナー等の係止部が設けられていることによって、様々なフードやメガネの形状に関わらず、フードをメガネのブリッジ部やアーム部と並行するレンズ上部に被さるようにフードを前方へ引きおろして固定する事ができる。それによって、フード先端の内側にメガネが重なるように固定され、フードとメガネの間に隙間を作る事なくフードを保持することができる為、雨や雪はフードとレンズ部に遮られ、頭部から目元のレンズ下部までが濡れずに済む。特に女性においては、頭部から目元まで確実に雨が遮られている事は非常に重要であり、通勤時や子供の送迎時等にアイメイクの崩れを気にする必要がなくなり、雨天時の自転車走行が非常に快適なものになる。
【0045】
また、面ファスナー等による係止部によって保持具が確実に固定されているため、固定された位置より下方にフードが下がってくる事はなく、視界を安定して確保することができる。
さらにはその係止部によって、不使用時の保持具をフード内側に密着させて収納できるため、フードの外観に影響を与える事なく、また保持具が邪魔になる事もない。また、保持具の固定方法が面ファスナー等の係止部による非常に単純な構成であるため、取り付けに簡単で、子供からお年寄りに至るまで使用者を選ばない。
【0046】
また請求項5においては、フードつきアウターウェアの生産者側に対し、本発明のメガネ用保持具は単純な構造で、レインウェアやフード付きアウターウェア等を製造する際の端材や部材によって製造でき、ウェア本体のデザイン変更なく、フード本体部にメガネ用保持具を取り付けるだけで、フード及びフード付きアウターウェアの防雨機能を非常に低いコストで改良する事ができる。
【0047】
また、請求項6から8に記載の本発明のフード用メガネ保持具によれば、フード自体に防雨機能のない従来のレインウェアに対しても、使用者が自ら本発明の効果を実施することが可能となる。
【0048】
また、構成が単純であり、保持具本体や係止部用の部材には、大量生産され一般的に流通されている部材を使用することができる為、生産者側にとって、コストがかからず、その上形状も小さく軽い為、出荷や保管に場所をとらず大量生産、大量出荷することが可能である。同時にそれらの要素は販売者側においても大きなメリットである。
【0049】
また、請求項6、9に示す保持具は、フード本体部に固着させる必要がないので、その場ですぐ取り付けが可能であり、不使用時にはフード本体部と保持具とを分離した状態で携帯することができる。
【0050】
以上に示す本発明の請求項2から9によって、従来のフード付きアウターウェア、主にレインウェアの着用時や携帯時にあった問題を解消することができる。また、本発明は使用者によって様々な実施形態をとることが可能であり、その事によって、レインウェア等のフード付きアウターウェアを選ぶ際、着用時の頭部や目元の防雨効果を気にする事なく、デザインや機能など、自分の好みに合ったものを選択でき、購入時の選択肢を拡げることができる。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、本発明の実施の形態1〜4を、
図1〜
図17において説明する。
(実施の形態1)
図1において、1はフード本体部であり、フード開口上部1Aの内側1Cに、本発明であるメガネ保持具2が固着された状態のアウターウェア本体部5の一例を示す全体概略図である。他に、フード本体部1の開口下部1Bを調節できる首部3と、フード本体部1をアウターウェア本体部5から取り外すことのできる襟部4と、ポケット部6から構成され、なおポケット部6には本発明に使用されるメガネ7が携帯されている。
【0053】
使用者はフード本体部1の開口上部1Aに固着されている保持具2に対し、メガネ7を保持させることで、雨天時の自転車走行等で、フードが風で脱げるのを防ぐと同時に、目元に装着したメガネ7によって目元への雨を防ぐことができる。
【0054】
ここで、アウターウェアの本体部である5は主にレインウェアであり、レインコート、レインポンチョ、上下に分かれたレインスーツ、つなぎタイプ等がある。その他にウィンドブレーカー、ジャンバー、ブルゾン、コート、パーカー等「フード」を有する衣類でも良い。
【0055】
更に、コートやパーカー等の雨具以外の衣類に使用される素材、例えば綿、麻、アクリル、レーヨン等を用いることも可能である。その場合日よけなどにも役立ち、海辺で日に焼けぬようサングラスをかけ、パーカーなどを着用する際に役立つ。
【0056】
また、レインウェア5の前身頃に設けたポケット部6は、面ファスナー又はスナップボタン又はボタン又はファスナー等で開閉可能にすることにより、本発明に用いるアイウェア7を常時携帯することができ、紛失や持ち出し忘れを防ぐことができる。その際ポケットの内側に例として吸水速乾性の素材を使用すれば、濡れたアイウェア7の水滴を吸収し、再び使用する際にも快適である。
【0057】
次に、この時のメガネ7は、度入り・度なしメガネ、サングラス等の色付きメガネ等があり、主にレンズ部9、ブリッジ部8、アーム部10によって形成される。
そして目元に装着される「メガネ」は、一般的なものとして目元に最も密着した形状のフレームから成り、メガネの7ブリッジ部8のパッド部分で鼻梁と、両方のアーム部10で両方のこめかみ部分で保持されている。これによって顔面の中心部と両脇においてメガネ7が確実に固定されることとなり。結果、メガネ7に保持されるフード1が確実に固定され、フードの脱げを防ぐことができる。
【0058】
本発明のフード保持具2に、世界共通の形状を持ち、昔から広く一般に使用され、近年ではファッション性を向上させるアイテムとして定着したメガネをフードと固定させる事は、フード装着時の見た目の自然さ、コンパクトな携帯性、耐水性、利便性、ファッション性を伴い、老若男女を問わず世界中で幅広い層に効果を発揮する事ができる。
さらに、メガネは大量生産され100円台からでも入手できる為、雨天時の防雨具としても、ビニール性の傘と同様に気軽に購入でき、従来の防雨具と比較し低コストに抑えることができる。
【0059】
また、メガネ7の特性として、水洗い出来ること、さらにレンズ9に対して撥水性や曇り止め等を施すことができる為、雨除け効果を向上・持続させることが可能である。さらには、メガネ自体が用途やデザインに豊富な選択肢があり、且つファッション性を向上させるアイテムである事も今までの防雨具にはない特徴である。
【0060】
また、目元に最も密着した形状により、帽子やバイザーのように風に煽られたり飛ばされる事がない。また、顔全体を覆うバイザーのように鼻部分が覆われておらず、呼吸もスムーズで圧迫感もない。さらに、非常にコンパクトであることから、携帯性にも優れている。更に、フードの形状や大きさ、メガネ7のブリッジ部8の幅やブリッジ部8の底部からレンズ上部までの高さは、概ね世界共通の寸法となっており、世界中の様々なフード付きアウターウェアにおいて本発明の保持具の効果を実施する事ができる。
【0061】
また、安全面においても、ツール・ド・フランスで知られるロードレース(主に舗装された道路を自転車で走行しタイムを競う)の選手の多くが、雨天時のレース中においてもヘルメットとともにサングラス等のメガネを装着しており、公的なレースで使用が認められている事からも、雨天着用時の視界の安定性と安全性が保障されていると言える。
【0062】
図2は
図1の状態を示す断面図である。フード本体部1に対し、フード開口上部1Aの、先端部よりわずか上部の中央内側1Eに、保持具2の表面一端部2Aが縫製や接着によって固着されている。保持具の取り付け位置をフードの先端部より頭頂へ向かって上方に取り付けることよって、フード上部1Aの先端部とメガネの固着部との間に空間ができ、そこが庇部1Dとなり、レンズ部へかかる雨を軽減する事ができる。
【0063】
また、保持具2の裏面一端部2Bに面ファスナーのループ部と裏面他端部2Cには面ファスナーのフック部が縫製や接着によって固着されており、互いの固定位置をメガネのフレーム部の形状などによって調節自在で且つ着脱可能に固定することができる。この係止部によって、保持具2の不使用時には、フード内側1Cに互いを密着して固定し収納することができるため、保持具が邪魔にならない。また、この時係止部は、面ファスナーの他に、スナップボタン、ホック、マグネット、クリップ、ボタン、ベルト部、等であっても良い。
【0064】
また、既存のレインウェアに本発明の保持具2を付ける場合は、使用者が
図1及び
図2と同様に、フード本体1の開口部の上部の中央内側1Fにメガネのブリッジ部8を保持させる為の本発明の保持具2を固着させる。もしくは
図14に示す、メガネ7の両アーム部10をフード本体部1の内側1Fに固着させる。またその両方であっても良い。
【0065】
その時、保持具2の表面一端部2Aには、使用者が本体に取り付けやすい固着部である必要がある。例えば、ボンドや瞬間接着剤などの接着剤や強力な両面テープによるもの、また、アイロン等の熱を利用して固定するものや、取り外すことのできる面ファスナーにしても良い。なお、裏面2Bにはあらかじめ、面ファスナー等の係止部が
図2のように、縫製や接着などによって固着されている。こちらも前述のように着脱可能に互いを固定できるものであれば良い。また、その時保持具2は、雨に濡れることを想定し、アウターウェアやフードと同素材を用いることが好ましく、主にレインウェアの材質に多いナイロン、ポリエステル、ポリウレタン等である。本発明の単体の保持具により、従来のレインウェア等の様々なフード付き衣類にて本発明の防風雨対策を実施する事ができる。
【0066】
図3は、前記に説明した係止部2Bと2Cを備えた保持具2によって、目元に装着されるメガネ7が保持される途中図であり、メガネ7のブリッジ部8に保持具2を前方から巻き付けるようにして保持させる。使用者は、まずレインウェアを着用し、次にフードの開口上部を前方へ引き出し、中央部に固着されている保持具をメガネのブリッジ部に巻きつけて固定する。そのまま目元へメガネを装着すれば、フードが自然と頭部に被着される。
【0067】
図4はこの時の状態を示す断面図であり、フード本体部1の上部中央内側1Cに固着された保持具2の裏面2Cへ向かって使用者の指11により固定される途中図である。
【0068】
図5は、フード本体部1に固着された保持具2によって、視界を妨げる事なく眉間の前方から包み込むようにメガネのブリッジ部8を保持した後、フード上部1Aの内側1Cにおいて、保持具2の一端部2Bと他端部2Cが面ファスナーによって互いに密着接合した後、メガネ7のアーム部10を耳元で保持する事でメガネ7が目元に装着された際の状態斜視図である。
【0069】
この時、保持具2がメガネ7のブリッジ部8で保持されることによって、フード上部1Aの内側1Cにメガネ7の両レンズ部9の上部9Aが、わずかにフード内側に収まるため、雨はフード1とメガネの両レンズ部9に遮られ、頭部からレンズの下部9Bに至るまで雨に濡れることがなくなる。レンズ部の大きいものであれば、より目元に対する防雨範囲が広くなる。
【0070】
また、保持具2を目と目の間に位置するブリッジ部8で保持する事は、視界を妨げないだけでなく、フードとメガネを固定する際にも、ブリッジ部がメガネの構成上目線を遮らない目元の上部に位置し、面ファスナー等によって確実に固定されるため、レンズの上部をわずかにフードの内側に入れ確実に防雨効果を果たしながらも、視界にまでフードが落ちてくる事はない。そのため、良好な視界を確保することが可能となる。さらに、ブリッジ部は両方のレンズ部によって挟まれていることから、左右にずれることなく確実に固定される利点もある。
【0071】
また、保持具2がフード開口上部1Aを固定し、フード開口下部1Bが首部3において固定されているため、フード本体部1の開口部に対する風の抵抗を減らす補助的役割を果たし、フードの脱げを防止する効果をさらに上げることができる。
【0072】
図6はこの時の状態を示す断面図である。
【0073】
図7は、
図5に示す状態を真横から捉えた図である。フード本体部1の開口上部1Aの内側1Cの上方である中央部1Eに保持具2を縫製または接着によって固着させることで、フード本体部1の先端にわずかに庇部1Dを形成していることがわかる。これによって、直接メガネ7のレンズ部9へかかる雨を減らすことができる。
【0074】
図8は、フード本体部1からメガネ7を外し、フードを脱いだ際の背面図であり、フード本体部1の内側1Cに保持具が収納され、フード本体1の表面からは保持具2が取り付けられているのが見えず、フードの外観を損ねていないことがわかる。
図9はこの時の状態を示す断面図であり、保持具2が係止部に縫製または接着によって固着された面ファスナー2Bと2Cによって密着結合し、フード内側1C内に収まるように調節して固定されており、フードの外観だけでなく、フード内側においても目立たず、邪魔にならない。
【0075】
図10〜
図12は、保持具2の一端部と他端部に、他の係止部を設けた際の一例を示す拡大正面図である。その他にも、ホック、マグネット等、着脱可能な係止部であれば良い。
図10は、フード内側1Cにおいて、保持具2の裏面一端部2Dにスナップボタンの凹部と、他端部2Eにはスナップボタンの凸部によって、調節可能に固定するための複数個の係止部が縫製等によって固着されている。
【0076】
図11は、フード内側1Cにおいて、保持具2の裏面一端部2Fにボタンが縫製等によって固着され、他端部2Gにはボタンホールが複数個設けてあり、保持具2の係止部を調節可能に固定する。
【0077】
図12は、フード内側1Cにおいて、保持具2がシリコン製やゴム性、革製などの滑りにくい素材を使用し、フード本体1の内側1Cに固定されたベルト部2Hの一端部に設けられた固定部へ向かって、他端部を滑り込ませるようにして調節可能に固定するものである。なお、ベルト部2Hであれば、一端部を輪の中に通す仕組みであるため、限りなく細い形状であっても固定が可能である。
【0078】
図13は、保持具2のフード本体部1の内側1Cに対する表面固着部2Aの他の形状を示す一例図である。フード本体部1に対する保持具2の接地面を大きくし、横幅を広く設けることでよりフード本体部1に対する固定部を強化するためのものである。
【0079】
(実施の形態2)
図14は、フード本体部1の内側1Fに対して、メガネのアーム部10を保持する際の装着時の状態を示すものである。これによって、フードが、視界を妨げることのなく目元二箇所において固定されることとなる。またこの他に、
図5のようにブリッジ部を固定した後、両アーム部を固定すれば、フードが顔面の三箇所において固定されることとなり、より強力にフード本体部1への固定することができる。
【0080】
図15は、
図14に示す保持具2に、ゴム等の弾性紐を使用し、ループ状にフードの内側1Cに縫製などで固着させており、メガネの7の両アーム部をループの中に通すだけで固定することができる。保持具2がゴム等の弾性紐であれば、メガネのアーム部10の太さ等に対応することが可能である。また、ゴムの他にはシリコンやラバー素材等でも良い。
【0081】
(実施の形態3)
図16は、フード本体部1の上部の外側と内側を、クリップ式22に前記フードを挟んで保持する第一保持部20と、前記第一保持部20の裏側に接続部23を設け、その先に、メガネ7のレンズ部9Aの前面と裏面とをクリップ式22に挟んで保持する第二保持部21を備えた、フード用メガネ保持具2の別の形態である一例を示す装着図である。この保持具2は、フード1とメガネ7に対する保持部をクリップ式にすることで、フードに保持具2を固着することなく、不使用時にはフード本体部1から完全に取り外しておくことができる。
【0082】
図17は、
図16の断面図であり、第一保持部20は、下方部の両端を指で押すと上方が開いてフード1を挟むことのできるクリップ式22の一例である。また、第二保持部21の上方には、指で押すと下方が開き、メガネ7のレンズ部9Aの前面と裏面を挟んで固定することのできるクリップ式22の一例となっている。この時、保持部20と21はシリコン性やラバー性等の、フードやレンズを傷つけず、滑らずに固定することのできるものであるのが良い。
また、フード1の上部を第一保持部20が保持し、第二保持部21をフード内側1Cに保持する際の接続部23で庇部1Dを形成するために、第一保持部20と第二保持部21の針金や金属製でできた接続部23の間に、わずかに距離を設けている。また、第一保持部20の形状は、フード1の上部を保持すればよく、保持部20の形状が、それぞれメガネのレンズ部9の上を分裂して保持するものであっても良い。また、第二保持部21が、メガネ7のブリッジ部8を保持するものでも良い。
【0083】
以上によって、フード自体に防雨機能のない従来のレインウェアに対しても、本発明による保持具2の一例に示すように様々な実施形態によって、本発明の効果を実施することができ、また使用者はそれによってデザインや機能性等自分の好みに合ったレインウェアを選択することができ、購入時の選択肢を拡げることができる。
【0084】
また、生産者側にとっても本発明のフード用メガネ保持具及び保持具付きフードを備えたアウターウェアは、どちらも保持具が単純な構成且つ取り付けに簡単で、アウターウェア製造時の端材や部材によって製造できるため、非常に低コストで自社製品の改良を実施できる。さらに保持具単体の場合は、形状が非常に小さく軽量であり、量産向きで、配送や保管等の面でも非常に優れている。それらの利点とレインウェアの需要が世界中にあることを鑑みて、世界中のフード付きアウターウェアにおいて、従来の不便さを解決し「新しいフードのスタイル」を築くものである。