特開2018-188857(P2018-188857A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 丸一株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2018188857-排水トラップ 図000003
  • 特開2018188857-排水トラップ 図000004
  • 特開2018188857-排水トラップ 図000005
  • 特開2018188857-排水トラップ 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-188857(P2018-188857A)
(43)【公開日】2018年11月29日
(54)【発明の名称】排水トラップ
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/284 20060101AFI20181102BHJP
   A47K 1/00 20060101ALI20181102BHJP
【FI】
   E03C1/284
   A47K1/00 S
   A47K1/00 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-91653(P2017-91653)
(22)【出願日】2017年5月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】久保内 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】仁科 貴志
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA01
2D061DA02
2D061DA03
2D061DD01
2D061DD03
(57)【要約】
【課題】
少ない排水量でサイホン現象を生じさせることを可能にするとともに、洗浄器具が使用可能となる排水トラップの提供を目的とする。
【解決手段】
管体を略U字形状に屈曲させることによって封水部37を形成する排水トラップ3は、排水口11から連続する流入口31と、流入口11から下流側へ向けて流路が下降する第一下り部32と、上方へ向けて流路が上昇する上り部34と、第一下り部32と上り部34を繋ぎ、流路が屈曲して形成される第一屈曲部33と、排水を貯留し、封水を形成する封水部37を備えている。当該排水トラップ3は流入口31から封水部37上端にかけて排水流路の面積が縮小している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管体を略U字形状に屈曲させることによって封水部を形成する排水トラップであって、
排水口から連続する流入口と、
流入口から下流側へ向けて流路が下降する下り部と、
上方へ向けて流路が上昇する上り部と、
下り部と上り部を繋ぎ、流路が屈曲して形成される屈曲部と、
排水を貯留し、封水を形成する封水部を備え、
流入口から封水部上端の間における排水流路において、その面積が漸次縮小する部分を有することを特徴とする排水トラップ。
【請求項2】
前記屈曲部おける排水流路の面積は流入口より縮小しており、且つ封水部上端における排水流路の面積は屈曲部より縮小していることを特徴とする請求項1に記載の排水トラップ。
【請求項3】
上記下り部と上り部が鉛直方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の排水トラップ。
【請求項4】
前記排水トラップは、使用により排水が生じる設備機器と接続され、
上記設備機器は内部に収納空間を有し、
上記排水トラップは収納空間の壁面に沿って配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の排水トラップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シンクや洗面ボウル等、使用により排水が生じる設備機器の下流側に配置される排水トラップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
シンクや洗面ボウル等の設備機器は、その使用に伴い排水が生じるとともに、当該排水は設備機器に接続された排水配管を通じ、下水側へと排出される。又、排水配管は下流側からの臭気や害虫が屋内へと逆流することを防ぐため、排水トラップが設置される。排水トラップは内部に流入した排水の一部を貯留し、排水流路の一部を排水で満たすことによって封水部を形成し、上記臭気や害虫の逆流を防ぐよう構成されている。
上記排水トラップは、配管自体を略U字形状に屈曲させた屈曲部分を有することで封水部を形成する構造のものが知られている。又、当該配管自体を略U字形状に屈曲させた排水トラップは封水部より下流側が再度略U字形状に屈曲され、床下配管へと接続される略S字形状の構造と、封水部より下流側が略水平方向へと延設され、部屋の壁裏の配管へと接続される略P字形状の構造が知られている。
【0003】
ここで、上記排水トラップは内部を排水が通過するとともに、封水部において排水を貯留することから、排水流路内に汚れやヌメりが付着し易く、不衛生であった。そこで、当該付着する汚れやヌメりを除去する手段としては、排水トラップ自体の自浄性を向上させる方法と、清掃用器具を使用して内部の清掃を行う方法が知られている。
【0004】
特許文献1に記載の排水トラップは、流入口より垂下する下り部と、配管を約180度屈曲させる屈曲部と、屈曲部より鉛直方向に形成された上り部を有するとともに、封水部より下流側の配管部分が下方へと延設された略S字形状の排水トラップであり、サイホン現象を利用して自浄性を向上させている。尚、サイホン現象は排水流路が満水状態となることで発生し、下流側が負圧となることによって、排水の流速が増加する現象である。特許文献1に記載の排水トラップは底部に形成された屈曲部分より下流側の排水流路の立ち上がり部分において配管を縮径させることによってサイホン現象が生じ易くなるように構成し、流速の増加した排水によって内部に汚れが付着しにくく、且つ汚れが付着した場合であっても、サイホン現象発生時に勢いよく流れる排水によって付着した汚れを落とすことが可能となる。
【0005】
一方、排水配管内部の洗浄を行う器具として、特許文献2に記載のような洗浄器具が知られている。当該洗浄器具はホース状であって、先端において高圧水を噴射するノズルを備えている。
排水配管の洗浄を行う際には、上記洗浄器具の先端を排水口より挿通し、排水配管内部にて高圧の水を汚れやヌメりに直接噴射することで、排水配管内面を洗い流すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−098702号公報
【特許文献2】特開2016−138407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の通り、特許文献1に記載の排水トラップはサイホン現象を生じさせるために排水流路の一部を縮径しているが、サイホン現象が生じていない場合、逆に排水流量が悪くなってしまうという問題を有していた。又、上記縮径部分において汚れが詰まりやすいという問題を有していた。
一方、上記洗浄器具は使用可能となる排水トラップの形状が限られており、略S字形状の排水トラップに使用する際、略U字形状の屈曲部分をノズルが曲がることができず、清掃ができない場合があった。特に、上記特許文献1に記載の排水トラップのように、下り部と上り部が垂設されている場合、屈曲部において洗浄器具が約180度屈曲しなければならず、排水トラップの封水部以降へと挿入することが困難であった。又、特許文献1は封水部より下流側が垂下する略S字形状のトラップであるため、排水トラップの下端まで洗浄器具を挿入するためには、洗浄器具が上り部上端において再度約180度屈曲する必要があり、洗浄器具が排水トラップの内部で折れてしまい、端部まで洗浄器具を挿入することは非常に困難であった。
【0008】
本発明は上記問題に鑑み発明されたものであって、少ない排水量でサイホン現象を生じさせることを可能にするとともに、洗浄器具が使用可能となる排水トラップの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の本発明は、管体を略U字形状に屈曲させることによって封水部を形成する排水トラップであって、
排水口から連続する流入口と、
流入口から下流側へ向けて流路が下降する下り部と、
上方へ向けて流路が上昇する上り部と、
下り部と上り部を繋ぎ、流路が屈曲して形成される屈曲部と、
排水を貯留し、封水を形成する封水部を備え、
流入口から封水部上端の間における排水流路において、その面積が漸次縮小する部分を有することを特徴とする排水トラップである。
【0010】
尚、上記排水流路の面積とは、排水の流れ方向に対して垂直な面の面積を指す。又、「流入口から封水部上端の間における排水流路において、その面積が漸次縮小する部分を有する」とは、常に排水流路が縮小し続ける構造に限られるものではなく、流入口から封水部上端にかけての排水流路の面積が一部同一である部分を有していても良い。即ち、流入口から封水部上端にかけて、排水流路の面積が拡大されている部分を有していなければ良いものであり、排水流路の面積は漸次縮小しても良く、段階的に縮小しても良い。
【0011】
請求項2に記載の本発明は、前記屈曲部おける排水流路の面積は流入口より縮小しており、且つ封水部上端における排水流路の面積は屈曲部より縮小していることを特徴とする請求項1に記載の排水トラップである。
【0012】
請求項3に記載の本発明は、上記下り部と上り部が鉛直方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の排水トラップである。
【0013】
請求項4に記載の本発明は、前記排水トラップは、使用により排水が生じる設備機器と接続され、
上記設備機器は内部に収納空間を有し、
上記排水トラップは収納空間の壁面に沿って配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の排水トラップである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1又は請求項2に記載の本発明によれば、少ない排水流量であってもサイホン現象を容易に生じさせることが可能となり、排水流路の内部に汚れが付着しにくくなるとともに、内部を流れる排水によって付着した汚れを洗い流すことができる。
請求項3に記載の本発明によれば、洗浄器具を内部に挿入しやすく、清掃性が向上する。
請求項4に記載の本発明によれば、排水トラップの水平方向の幅が大型化したとしても、収納空間を圧迫することがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の排水トラップの施工状態を示す断面図である。
図2】排水トラップが取り付けられる流し台を示す平面図である。
図3】排水トラップを示す断面図である。
図4】洗浄器具を用いた洗浄を行っている様子を示す参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の弁部材を、図面を参照しつつ説明する。尚、以下に記載する説明は実施形態の理解を容易にするものであって、これによって本発明が制限して理解されるものではない。又、以下の実施形態においては、特に断りの無い限り図1に示す施工状態を基準として上下左右を説明する。
【0017】
本実施形態の排水トラップ3は図1乃至図3に示すように、使用により排水が生じる設備機器としての流し台Kと接続されている。
【0018】
流し台Kは上方に槽体Sが取り付けられているとともに、内部に収納空間を有しており、当該収納空間内には調味料等を収納可能な引き出し(図示せず)が配置されている。
【0019】
槽体Sは上方が開口された箱体であって、図2に示すように、平面視において奥側且つ左隅寄りに円筒状の陥没部を備えるとともに、当該陥没部の底面に形成された円形の開口に排水器1が取り付けられている。
【0020】
排水器1は図3に示すように、上端が排水口11として機能するよう開放された筒状の胴部12を有し、当該胴部12上端より外側に向けて鍔部13が突設されている。又、胴部12はその外周において雄螺子が形成されており、槽体Sの裏側に配置されたナット2の雌螺子と螺合されている。又、排水器1は内部に排水流路を形成するとともに、その底面より斜め下方に向けて排出口14が形成されている。
鍔部13は排水器1上端の全周に亘り形成されており、その外径は槽体Sに形成された上記円形の開口よりも大径であり、パッキンを介して上記開口の周縁に当接し、鍔部13とナット2によって開口周縁を挟持している。
排出口14は鉛直方向に対して約35度の角度を有して下方に向けて傾斜する筒状であり、ナット及びパッキンを介して排水トラップ3の流入口31が水密に接続されている。又、排出口14は流し台Kの背面に平行となるように配置されている。
【0021】
排水トラップ3は円筒状の配管を屈曲させて形成された側面視略S字形状を成す排水トラップであって、流入口31、第一下り部32、第一屈曲部33、上り部34、第二下り部35、第二屈曲部36を備えており、内部に排水を貯留して封水を形成する封水部37が形成されている。又、排水トラップ3は流し台Kの背面に沿って平行となるように配置されている。即ち、本実施形態においては図2に示すように、排水トラップ3はその上流側が槽体Sの左奥隅であって、下流側が右奥隅に向かうように配置されている。
流入口31は排水トラップ3の上流側端部であり、上記排水器1の排出口14に接続されている。尚、流入口31の端部は後述するように、排水トラップ3の排水流路の中で最も流路面積が大きくなるよう形成されている。
第一下り部32は流入口31から連続する直管状の排水流路であり、鉛直方向に対して約35度の角度を有して下方に向けて傾斜するよう延設されている。従って、第一下り部32においては下流側に向かうにつれて流路が下降している。
第一屈曲部33は上記第一下り部32と上り部34とを繋ぐ略U字形状の排水トラップ3の屈曲部分である。
上り部34は第一屈曲部33から連続する直管状の排水流路であり、鉛直方向に対して約45度の角度を有して上方に向けて傾斜するよう延設されている。従って、上り部34においては下流側に進むに連れて流路が上昇している。尚、上述の通り、第一下り部32は約35度の角度を有して傾斜していることから、第一下り部32と上り部34の直線部分が成す角は約80度となっている。
第二屈曲部36は上り部34上端と第二下り部35を繋ぐ略U字形状の屈曲部分であり、排水流路を約45度屈曲させ、第二下り部35を垂下するよう形成されている。尚、本実施形態における排水トラップ3は第二屈曲部36においてその排水流路の面積が最小となるよう構成されている。
第二下り部35は第二屈曲部36より垂下する排水配管であり、その端部において、更に下流側の配管であるホース管4を介して図示しない床下配管に接続されている。
封水部37は排水トラップ3内に封水を形成する部分であって、第一屈曲部33上面と第二屈曲部底面までの箇所を指す。尚、実施形態においては、第一屈曲部33底面から第二屈曲部36底面までの高さに排水が貯留されているが、当該貯留された排水の内、封水としての機能を奏するのは第一屈曲部33の上面から第二屈曲部36の底面までの間に貯留された排水であり、当該封水としての機能を奏する部分の高さ幅を封水深という。即ち、貯留された排水の水面が第一屈曲部33の上面よりも下方となった場合、貯留された排水と第一屈曲部33上面との間には臭気や害虫が通過可能な空間が形成されてしまい、逆流防止の機能を果たすことができなくなる。尚、本実施形態において、第一屈曲部33の上面と第二屈曲部36の底面との距離に関し、当該2点間における鉛直方向の距離H(封水深)は約50mmであるのに対し、水平方向の距離Lは約92mmとなっており、封水深よりも水平方向の距離の方が長くなっている。
【0022】
上記排水トラップ3において、第一屈曲部33及び第二屈曲部36には排水流路の内面を平滑にするため清掃口は設けられていない。これにより、後述する清掃器具が使用された際、第一屈曲部33や第二屈曲部36を清掃器具が容易に通過することが可能となる。
【0023】
又、上記排水トラップ3は流入口31から封水部37上端、即ち、第二屈曲部36にかけて排水流路の面積が漸次縮小している。詳述すると、図2に示すように、流入口31において、その内径R1は約34mmであるが、第一下り部32の下流側に進むに伴い排水流路が段部など形成することなく、滑らかに排水流路の面積が漸次縮小し、第一屈曲部33においてその内径R2は約30mmとなる。そして、上り部34の下端、即ち第二屈曲部36において、排水流路の内径R3は最小となる約16mmとなり、第二屈曲部36以降は内径R3と同径のまま下流側配管に接続される。従って、本実施形態においては、流入口31における排水流路の面積と封水部37上端における排水流路の面積比率は17:8、即ち約2:1となっている。尚、「排水流路の面積」とは、排水の流れ方向に対して垂直な面の面積を指す。
【0024】
ここで、排水器1は平面視において槽体Sの奥側の左隅寄りに配置されており、排水トラップ3は流し台Kの背面と略平行となるように配置されている。これにより、本発明の排水トラップ3は第一下り部32及び上り部34が鉛直方向に対して傾斜しているが、流し台K内部の収納空間に配置された引き出しと干渉することはない。
【0025】
本発明の排水トラップ3における排水の流れは以下の通りである。
【0026】
まず、流し台Kの使用により槽体S内に排水(湯水等)が排出されると、排水口11より排水器1内に排水が流入し、排出口14を通じて流入口31より排水トラップ3内に排水が流入する。流入口31より流入した排水は第一下り部32を通過し、鉛直方向に対して約35度の角度で下方へ向けて排水流路内を流れ、第一屈曲部33においてその流れ方向が約80度屈折し、上り部34内を流れる。そして、上り部34上端に到達した排水は約45度屈曲し、第二下り部35内を垂下してホース管4より更に下流側の排水配管へと排出される。
【0027】
上述の通り、本発明における排水トラップ3は流入口31から下流側に進むにつれて漸次排水流路の面積が縮小する。従って、上記排水の流れの中で、流入口31から流入した排水はベンチュリ効果によって徐々に流速が増加するとともに、排水流路内を流れる排水が少量であっても、排水配管内部を容易に満たすことが可能となり、サイホン現象が発生し易い。
【0028】
尚、上記サイホン現象が発生した際、排水配管は下流側が負圧の状態となることによって、排水配管内の流速が上昇し、排水流路内部に付着した汚れやヌメを洗い流すことが可能となり、自浄性が向上する。
【0029】
次に、洗浄器具5を用いた本発明の排水トラップ3の洗浄について説明する。
【0030】
図4に示すように、洗浄器具5は可撓性を有する中空のチューブ状であって、一端にノズル51が取り付けられており、他端は図示しない水源に接続されている。ノズル51には小孔が複数箇所開口されており、当該小孔より洗浄器具5内部に流入した洗浄水を高圧で噴射することが可能となっている。
上記洗浄器具5を用いて排水トラップ3の洗浄を行う場合、洗浄水を高圧で噴射しつつノズル51を排水器1の排出口14を介して排水トラップ3へと挿入する。更に挿入を続けると、ノズル51は流入口31、第一下り部32を通じて、第一屈曲部33へと到達する。尚、洗浄器具5が第一屈曲部33に到達すると、ノズル51が第一屈曲部33の底面に当接するが、この時、第一下り部32が鉛直方向に対して約35度の角度で下方へ向けて傾斜していることから、ノズル51は第一屈曲部33底面上を容易に摺動可能であり、その先端が上り部34へ向かうよう屈曲する。そして、更に挿入が続けられると、洗浄器具5は上り部34を通り、第二屈曲部36へと到達する。尚、洗浄器具5が屈部34に到達すると、ノズル51が第二屈曲部36の上面に当接するが、上り部34は鉛直方向に対して約45度の角度で上方へ向けて傾斜していることから、ノズル51は第二屈曲部36上面上を容易に摺動可能であり、その先端が第二下り部35へ向かうよう屈曲する。そして、ノズル51が第二屈曲部36よりも下流側に配置された洗浄器具5は、第二下り部35を通じてホース管4まで挿入可能となるため、排水トラップ3内部を全て洗浄することができる。
【0031】
上記本発明の排水トラップ3においては、内部の排水流路の面積が流入口31から下流側に向かうにつれて漸次縮小するよう構成されている。従って、少ない排水流量であってもサイホン現象を生じ易くすることができ、内部に汚れが付着しにくくなるとともに、内部をサイホン現象による負圧によって自然排水以上の速さで流れる排水によって付着した汚れ等を洗い流すことができる。又、流路面積が段部を有さず漸次縮小するように形成されていることから、内部における乱流の発生を防止することができ、流入した排水を円滑に排水させることが可能になるため、特定の箇所に汚れが堆積することを防ぐことができる
又、第一下り部32と第二下り部35はそれぞれ鉛直方向に対して約35度及び約45度の角度を有して傾斜しているため、第一屈曲部33及び第二屈曲部36にノズル51が当接した際、容易に洗浄器具5を屈曲させることができる。
従って、本発明の排水トラップ3においては、サイホン現象を利用して排水トラップ3の自浄性を向上させるとともに、洗浄器具5による内部洗浄が可能となることから、従来の排水トラップに比べて衛生的である。
又、排水トラップ3は流し台Kの背面と略平行となるように配置されているため、流し台K内部の収納空間を圧迫することはなく、収納空間に配置された引き出しと干渉することなく配置することができる。
【0032】
又、上記本発明の排水トラップ3においては、第一屈曲部33における排水流路の面積は流入口31より縮小しており、且つ封水部37上端における排水流路の面積は第一屈曲部33より縮小している。即ち、排水流路の面積は流入口31>第一屈曲部33>上り部34>封水部37上端となる。このようにすると共に、途中部分で拡径することさえなければ、サイホン現象により流入した排水を円滑に排出することが可能となる。しかし、流入口31から封水部37上端に至るまで常に排水流路が縮小し続ける必要は無く、例えば第一下り部32や上り部34の一部に排水流路が同一となる部分が形成されていても良い。即ち、排水流路の面積は漸次縮小しても良く、段階的に縮小しても良い。
【0033】
本発明の実施形態は以上であるが、本発明の排水トラップ3は上記実施形態における形状に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の設計変更が可能である。例えば、上記実施形態において、排水器1は平面視において槽体Sの奥側左隅に配置されており、排出口14が右方を向くように配置されていたが、槽体Sの奥側右隅に配置され、且つ排出口14が流し台Kの背面に沿って左方を向くように配置されていても良い。又、排出口14が流し台Kの側面に沿って手前側を向くように配置しても良い。即ち、本発明の排水トラップ3は流し台Kの壁面に沿って配置されることによって、槽体S下方の収納空間を圧迫することなく配置することが可能となる。
又、上記実施形態において排水トラップ3は設備機器としての流し台Kから生じる排水が流れる排水配管に設置されていたが、設備機器としての浴槽や洗面ボウル等からの排水が流れる排水配管に設置されていても良く、その用途が限定されるものではない。又、上記実施形態における排水トラップ3の内径や封水深等に係る寸法についても、設置される設備機器や排水配管に応じて適宜変更可能である。尚、上記実施形態は略U字状の屈曲部を2箇所備えた略S字形状の排水トラップであったが、封水部より下流側が略水平方向へと延設され、部屋の壁裏の配管へと接続される略P字形状の排水トラップであっても良い。
【符号の説明】
【0034】
1 排水器
11 排水口
12 胴部
13 鍔部
14 排出口
2 ナット
3 排水トラップ
31 流入口
32 第一下り部
33 第一屈曲部
34 上り部
35 第二下り部
36 第二屈曲部
37 封水部
4 ホース管
5 洗浄器具
51 ノズル
K 流し台
S 槽体
図1
図2
図3
図4