特開2018-189432(P2018-189432A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ナベルの特許一覧

<>
  • 特開2018189432-卵の検査装置 図000003
  • 特開2018189432-卵の検査装置 図000004
  • 特開2018189432-卵の検査装置 図000005
  • 特開2018189432-卵の検査装置 図000006
  • 特開2018189432-卵の検査装置 図000007
  • 特開2018189432-卵の検査装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-189432(P2018-189432A)
(43)【公開日】2018年11月29日
(54)【発明の名称】卵の検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/85 20060101AFI20181102BHJP
【FI】
   G01N21/85 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-90273(P2017-90273)
(22)【出願日】2017年4月28日
(71)【出願人】
【識別番号】597017812
【氏名又は名称】株式会社ナベル
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 貴之
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA01
2G051AB01
2G051AB03
2G051BA01
2G051BA06
2G051BB07
2G051BC03
2G051CA04
2G051CA07
2G051CB02
2G051DA06
2G051DA08
2G051EA11
2G051EA16
2G051EB01
2G051EC01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】卵の鋭端側または鈍端側に割れやひび、汚れの付着など卵の表面状態の欠陥が存在するか否かを検査することができる卵の検査装置を提供する。
【解決手段】光を卵に向けて照射する照射部と、前記光を透過させた卵を撮影する撮像部と、この撮像部により撮影された画像に基づいて卵の表面状態を判定する判定部とを備える卵の検査装置であって、前記照射部は、卵の一方の端部側から照射するための第一の照射部2と、卵の他方の端部側から照射するための第二の照射部3とを備え、前記撮像部は、前記第一の照射部及び第二の照射部のうちいずれか一方が卵を照射しているときに卵の他方の端部側から前記卵を撮影する第一の撮像部4と、前記第一の照射部及び第二の照射部のうちいずれか他方が卵を照射しているときに卵の一方の端部側から前記卵を撮影する第二の撮像部5とを備えている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を卵に向けて照射する照射部と、
前記光を透過させた卵を撮影する撮像部と、
この撮像部により撮影された画像に基づいて卵の表面状態を判定する判定部とを備える卵の検査装置であって、
前記照射部は、卵の一方の端部側から照射するための第一の照射部と、卵の他方の端部側から照射するための第二の照射部とを備え、
前記撮像部は、前記第一の照射部及び第二の照射部のうちいずれか一方が卵を照射しているときに卵の他方の端部側から前記卵を撮影する第一の撮像部と、前記第一の照射部及び第二の照射部のうちいずれか他方が卵を照射しているときに卵の一方の端部側から前記卵を撮影する第二の撮像部とを備えている卵の検査装置。
【請求項2】
前記照射部は、前記卵を回転させながら搬送する搬送部の下方に配置されており、
いったん搬送部側まで到達した光が反射されて再び搬送部側まで到達することを抑制する黒色の反射抑制部を前記搬送部の下方に設けている請求項1記載の卵の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵の表面状態を判定する検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
市場に出荷される卵は、選別包装装置で重量などの物理的性状に応じて選別された後、透明な合成樹脂製のパックなどで包装される。この選別包装に先立って、または並行して、卵は種々の検査を受ける。一例としては、卵の表面状態(卵殻の物理的性状)、具体的には、卵の表面に割れ・ひびが生じているものや、卵の表面に糞汚れが付着したものなどを選別するための検査が挙げられる。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されている卵の検査装置は、ローラで卵の長軸を軸として回転されながら搬送される卵に向けて真下から光を照射する照明装置と、卵を真上から撮影する撮像装置と、撮影された画像に基づいて卵の表面状態を判定する判定手段とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−326202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような卵の検査装置では、卵の胴まわりについての検査は行えるものの、卵の鋭端側または鈍端側に存在する割れやひび、汚れの付着などについては見逃してしまう。卵の端部まで観察する場合には、卵を撮影するカメラの方向を斜めに向けることが考えられる。しかし、単にこれだけでは、照明装置から発する光が卵の外側から漏れて撮像装置に入り、白く写った部分を卵の割れであると誤判定する原因となってしまう。
【0006】
しかして、本発明は、卵の鋭端側または鈍端側に割れやひび、汚れの付着など卵の表面状態の欠陥が存在するか否かを検査することができる卵の検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述した目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。すなわち、請求項1に記載の卵の検査装置は、光を卵に向けて照射する照射部と、前記光を透過させた卵を撮影する撮像部と、この撮像部により撮影された画像に基づいて卵の表面状態を判定する判定部とを備えるものであって、前記照射部は、卵の一方の端部側から照射するための第一の照射部と、卵の他方の端部側から照射するための第二の照射部とを備え、前記撮像部は、前記第一の照射部及び第二の照射部のうちいずれか一方が卵を照射しているときに卵の他方の端部側から前記卵を撮影する第一の撮像部と、前記第一の照射部及び第二の照射部のうちいずれか他方が卵を照射しているときに卵の一方の端部側から前記卵を撮影する第二の撮像部とを備えている。
【0008】
また、請求項2に記載の卵の検査装置は、請求項1に記載の卵の検査装置において、前記照射部は、前記卵を回転させながら搬送する搬送部の下方に配置されており、いったん搬送部側まで到達した光が反射されて再び搬送部側まで到達することを抑制する黒色の反射抑制部を前記搬送部の下方に設けている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、卵の鋭端側または鈍端側に割れやひび、汚れの付着など卵の表面状態の欠陥が存在するか否かを検査することができる卵の検査装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態にかかる卵の検査装置の概略平面図。
図2】同実施形態にかかる卵の検査装置の搬送方向に沿って見た概略図。
図3】同実施形態にかかる搬送部の下面側を示す概略平面図。
図4】同実施形態の卵の検査装置で得られる画像の一例を示す図。
図5】同実施形態にかかる卵の検査装置の作動説明図。
図6】同実施形態にかかる卵の検査装置の作動説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図1図6を用いて説明する。本実施形態にかかる卵の検査装置1は、重量などの物理的性状に応じて選別するための卵の選別システム(図示しない)の中で用いられるものである。
【0012】
卵の選別システムは、原卵が供給される原卵供給部と、供給された複数の卵Eの方向を揃える方向整列部と、方向が揃えられた卵Eのうち主に卵殻が割れた卵(以下、「破卵」と呼ぶ。)を検出するための破卵検出部(本願の「卵の検査装置1」に該当する)と、破卵以外の卵Eが温水などを用いて洗浄される洗卵部と、洗浄後の卵Eの表面を乾燥させる乾燥部と、洗浄・乾燥された卵Eの物理的性状を公知の分光分析処理技術や音響処理技術を用いて検出し、ひび卵、汚卵、血卵、腐敗卵あるいは極小卵、極大卵などの鶏卵取引規格外の卵を選別対象から除外する選別集合部とを主体に構成されている。そして、取引規格外卵が除外された正常卵の重さを計測する卵重計測部での計測結果に基づいて農林規格の重量区分ごとに選別が行われる。原卵供給部、方向整列部、洗卵部、乾燥部、選別集合部、及び卵重計測部については、既知のものを種々適用できるため、詳細な説明を省略する。
【0013】
破卵検出部(以下、「検査装置1」と呼ぶ。)は、卵Eを洗浄する洗浄部及び卵Eを乾燥させる乾燥部の上流側に配置されている。以下、本実施形態にかかる検査装置1について詳述する。
【0014】
検査装置1は、図1及び図2に示すように、光を卵Eに向けて照射する照射部2、3と、前記光を透過させた卵Eを撮影する撮像部4、5と、この撮像部4、5により撮影された画像Pに基づいて卵Eの表面状態を判定する判定部(図示しない)とを備える。そして、この検査装置1は、搬送部6により回転されながら下流側へと運ばれる卵Eを検査する。
【0015】
照射部2、3は、図1図3図5及び図6に示すように、卵Eの一方の端部E1側から照射するための第一の照射部2と、卵Eの他方の端部E2側から照射するための第二の照射部3とを備える。各照射部2、3は、赤外光を卵Eの下面側に向かって照射するもので、搬送部6の下方に配置されている。本実施形態では、照射部2、3として、例えば、750nm〜850nmの波長の赤外光を照射するLEDを用いている。
【0016】
各照射部2、3による照射は、当該各照射部2、3の上流側に設けられ卵Eの有無を検知するセンサ7からの信号に基づいて実行する。センサ7は、卵Eの上方に設けられており、搬送部6により上流側から搬送されてきた卵Eを検知する。そして、検知された卵Eが所定の位置まで搬送されると、照射部2、3が発光する。そのため、照射部2、3は、間欠的に点灯する。なお、図5及び図6では、センサ7の図示を省略している。
【0017】
本実施形態では、図1及び図3に示すように、搬送方向に沿って第一の照射部2が3つ、所定の間隔で並べられているとともに、この第一の照射部2から半ピッチずれた位置に第二の照射部3が3つ、所定の間隔で並べられている。また、第一の照射部2は、6列の搬送部6の各列の左右方向中心Cから一方側にずれた位置に配置されており、第二の照射部3は、各搬送部6の左右方向中心Cから他方側にずれた位置に配置されている。すなわち、前記第一の照射部2と前記第二の照射部3とが、卵Eの搬送方向に沿ってジグザグに配置されている。
【0018】
なお、第一の各照射部2は、後述する第一の撮像部4で撮影する画像P内において、搬送部6上に載せられた卵Eで隠される位置に設定されており、第二の各照射部3は、後述する第二の撮像部5で撮影する画像P内において、搬送部6上に載せられた卵Eで隠される位置に設定されている。言い換えれば、この卵の検査装置1は、前記撮像部が、卵Eの他方の端部E2側から卵Eを撮影する第一の撮像部4と、卵Eの一方の端部E1側から卵Eを撮影する第二の撮像部5とを備え、前記照射部が、第一の撮像部4と搬送部6上の卵E(または、搬送部6の後述する開口部63)を結ぶ線の延長線上に配置される第一の照射部2と、第二の撮像部5と搬送部6上の卵E(または、搬送部6の後述する開口部63)を結ぶ線の延長線上に配置される第二の照射部3とを備えている。
【0019】
撮像部4、5は、図1図2図5及び図6に示すように、卵Eの他方の端部E2側から卵Eを撮影する第一の撮像部4と、卵Eの一方の端部E1側から卵Eを撮影する第二の撮像部5とを備える。各撮像部4、5は、卵Eの上面側を撮影可能なもので、搬送部6の上方に設けられ、搬送部6や照射部2、3に対して斜めに配置されている。本実施形態では、各撮像部4、5として近赤外領域に感度をもったCCDカメラを用いており、これにより、赤外光を卵Eに透過させた画像Pを取得できるよう構成されている。各撮像部4、5は、3列分の卵Eが視野に入るように設定されており、本実施形態では、第一の撮像部4と第二の撮像部5とがそれぞれ2台ずつ設けられているが、このようなものに限られない。
【0020】
図4は、図2で示すように並んだ卵Eを撮像部4、5によって撮影した画像Pの一例を示す。本実施形態では3行×3列分に対応する画像Pが得られるが、この図4では説明用として、1行×6列分の形式で表している。ここで、左から順に、ホール卵E3、陥没卵E4、オープンクラック卵E5、糞汚れ卵E6、中身付着卵E7、内傷・点斑卵E8を模式的に示したものである。ホール卵E3やオープンクラック卵E5のように、卵殻表面に大きな穴が生じているものは廃棄対象となる。一方、陥没卵E4は、穴が開いていない限りは廃棄しないようにも設定可能であり、糞汚れ卵E6、中身付着卵E7(他の卵から漏れた卵黄や卵白が付着したもの)、内傷・点斑卵E8は廃棄しないように設定されている。
【0021】
判定部は、撮像された画像Pに基づいて表面の状態を判定するものである。なお、判定部(画像処理手段)の具体的な態様は、以下に説明する実施形態に限られないのはもちろんであり、この分野で知られた種々の方法を適用できる。
【0022】
本実施形態の検査装置1を制御するための制御装置(図示しない)は、プロセッサ、メモリ、入力インタフェース、出力インタフェースなどを有したマイクロコンピュータシステムである。制御装置のメモリには、撮影された画像Pを数値化したグレイ値と比較するための所定の閾値が記憶されている。所定の閾値としては、例えば、赤外光で撮影された画像Pにおいて「割れ」や「糞汚れ付着」を判定するためのものが考えられる。
【0023】
赤外光で撮影された画像Pのグレイ値が、所定の閾値よりも小さい(暗い)範囲内に収まれば、「割れ」がないと判定できる。一方、赤外光で撮影された画像Pのグレイ値が、所定の閾値よりも大きい(明るい)部分があれば、その部分が「割れ」であると判定できる。すなわち、画像P中の明るい領域(所定の閾値よりも大きい部分)は、赤外光がより強く透過している部分であると言える。
【0024】
赤外線が透過された卵Eは、卵殻内で光が散乱し、卵E全体が発光体のように光を放出する。表面の割れ部分は、割れていない部分に比べて透過すべき卵殻が存在しないため、その部分がより明るく表れる。
【0025】
各画像Pに対して画像処理を行う際の具体的な一方法としては、各画像Pを所定の閾値を用いて2値化すればよい。これにより、画像P中に「割れ」があれば、その部分が他よりも明るい(白い)領域となって表れる。判定部は、明るい領域が少しでも存在する場合に「割れ」があると判断してもよいし、判定領域に対する明るい領域の面積割合が閾値を超える場合に、「割れ」があると判断してもよい。なお、「糞汚れ付着」についても別の閾値を用いて同様な処理を行えば、その部分が他よりも暗い(黒い)領域となって表れる。
【0026】
搬送部6は、図1及び図2に示すように、複数の卵Eを整列させた状態で搬送するもので、ローラ軸61に取り付けられ搬送方向と直交する方向に沿って並んだ複数のつづみ状のローラ62を主体に構成されたこの分野でよく知られるものである。搬送方向に沿って隣接するローラ62同士の間には、上下方向に貫通する開口部63が形成されている。この開口部63に対応する箇所、すなわち、搬送方向に沿って隣接するローラ62の間に、卵Eが保持されるようになっており、本実施形態の検査装置1が配置される領域においては、卵Eがローラ62の回転とは逆方向に回転するように構成されている。なお、図3では、ローラ軸61及びローラ62を二点鎖線で示している。
【0027】
搬送部6の下方には、図2及び図3に示すように、照射部2、3上にごみや卵Eの中身が直接落ちるのを防止するための保護部材8が設けてある。この保護部材8は、照射部2、3が配置される領域全体を覆う板状のもので、赤外線を透過する素材を用いて形成されている。図2では、照射部2、3により照射される光の経路を破線で模式的に示している。
【0028】
また、図1図3に示すように、いったん搬送部6側まで到達した光が反射されて再び搬送部6側まで到達することを抑制する黒色の反射抑制部9を前記搬送部6の下方に設けている。言い換えれば、搬送部6の下方には、前記卵Eや前記搬送部6の下面側で反射された光を弱める黒色の反射抑制部9が設けられている。反射抑制部9は、保護部材8の上面側に設けられている。反射抑制部9は、図1図3で色を付して示す部分に形成されたものであり、前記照射部2、3から卵Eに向かう光の経路を避けるようにして、搬送方向に沿って複数本の帯状に設けられている。
【0029】
次に、本実施形態の検査装置1の照射部2、3と撮像部4、5に対する制御の一例を説明する。
【0030】
まず、検査するべき卵Eの有無を検知する。具体的には、各照射部2、3から所定距離上流側に配置されたセンサ7を用いて隣接するローラ62間に卵Eが載っているかを検出し、その旨の信号を出力する。
【0031】
卵Eがあれば、搬送部6上の卵Eが第一の照射部2の真上に来たタイミングで、図5に示すように、第一の照射部2を点灯して赤外光を照射する。その際、照射された赤外光(直接光)が撮像部4、5に入ると卵Eの撮影に不具合を与えるため、卵殻の適切な範囲内に照射できるように、照射位置や照射タイミングなどを設定することが望ましい。そして、赤外光の照射に合わせて第一の撮像部4で卵Eを撮影する。なお、このとき、第二の照射部3は消灯させている。
【0032】
その後、搬送部6により卵Eが移動して、卵Eが第二の照射部3の真上に来たタイミングで、図6に示すように、第二の照射部3を点灯して赤外光を照射する。そして、前述したのと同様に、赤外光の照射に合わせて第二の撮像部5で卵Eを撮影する。なお、このとき、第一の照射部2は消灯させている。
【0033】
すなわち、第一の撮像部4は、第一の照射部2が卵Eを照射しており、かつ、第二の照射部3が卵Eを照射していないときに卵Eの他方の端部E2側から前記卵Eを撮影する。一方、第二の撮像部5は、前記第一の照射部2が卵Eを照射しておらず、かつ、前記第二の照射部3が卵Eを照射しているときに卵Eの一方の端部E1側から前記卵Eを撮影する。
【0034】
なお、これらの工程は、回転しながら移動する1つの卵Eに対して第一の撮像部4による撮影が3回と、第二の撮像部5による撮影が3回の、計6回繰り返される。そのため、卵の全周にわたって検査が可能となる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態にかかる卵の検査装置1は、光を卵Eに向けて照射する照射部2、3と、前記光を透過させた卵Eを撮影する撮像部4、5と、この撮像部4、5により撮影された画像Pに基づいて卵Eの表面状態を判定する判定部とを備える。そして、前記照射部2、3が、卵Eの一方の端部E1側から照射するための第一の照射部2と、卵Eの他方の端部E2側から照射するための第二の照射部3とを備え、前記撮像部4、5は、前記第一の照射部2が卵Eを照射しているときに卵Eの他方の端部E2側から前記卵Eを撮影する第一の撮像部4と、前記第二の照射部3が卵Eを照射しているときに卵Eの一方の端部E1側から前記卵Eを撮影する第二の撮像部5とを備えている。
【0036】
そのため、卵Eの鋭端側または鈍端側に割れやひび、汚れの付着など卵Eの表面状態の欠陥が存在するか否かを検査することができる。特に、卵Eがローラ62で卵Eの長軸を軸として回転されながら搬送されて、卵Eの全周にわたって次々に検査される。なお、第一の撮像部4には、卵Eの他方の端部E2から卵Eの胴まわりにかけての領域が撮影され、第二の撮像部5には、卵Eの一方の端部E1から卵Eの胴まわりにかけての領域が撮影されるため、胴まわり付近の割れ等についての検査ができるのももちろんである。このようにして、従来、破卵や、卵殻の割れた部分から卵の中身が漏れ出したリーク卵などについて、人手により目視で確認していた部分を自動化できるため、人件費の削減も可能となる。
【0037】
特に、本実施形態によれば、照射部2、3によって照らされている端部側とは逆側から卵Eを撮影するので、点灯している側の照射部2、3の全体が卵Eによって隠れるようになっている。言い換えれば、照射部2、3からの直接光が卵Eによって遮られる位置で撮像部4、5が撮影できるように、照射部2、3及び撮像部4、5が配置されている。すなわち、照射部2、3から発する光と撮像部4、5とを結んだ位置に卵Eが位置することとなり、この卵Eが照射部2、3からの直接光を遮り、撮像部4、5に直接光が入ることを抑制でき、割れ等の検出を適切に行うことが可能となる。
【0038】
また、前記照射部2、3は、前記卵Eを回転させながら搬送する搬送部6の下方に配置されており、いったん搬送部6側まで到達した光が反射されて再び搬送部6側まで到達することを抑制する黒色の反射抑制部9を前記搬送部6の下方に設けている。そのため、搬送部6上の卵Eで反射した光が保護部材8(保護ガラス)の上面に当たって反射することで、撮像部4、5に入り込む迷光を抑制でき、判定精度の低下を防止できる。また、本実施形態のように反射抑制部9が配置されていれば、照射部2、3からの光を絞る役割も担う。
【0039】
また、本実施形態の検査装置1は、卵の選別システムのうち卵Eを洗浄する洗浄部及び卵Eを乾燥させる乾燥部の上流側に配置されているので、洗浄部や乾燥部を汚し得る破卵やリーク卵がこれらの装置に搬送される前に選別され得る。そのため、装置や水の汚染などを抑制でき、清掃の手間も省くことができる。
【0040】
なお、本発明は上述した実施形態に限られない。
【0041】
卵の検査装置は破卵か否かを検査するもの以外に用いてもよい。また、卵の選別システムにおけるどの位置に配置されるものであってもよい。すなわち、本発明の卵の検査装置が配置される場所は、洗浄部の上流側のみに限られず、洗浄部の下流側であって乾燥部の上流側、もしくは、乾燥部の下流側であってもよい。
【0042】
卵の選別システムについても、本発明にかかる検査装置以外の部分については種々変更可能である。本発明の検査装置は洗浄部や乾燥部を備えていない卵の選別システムに適用されるものであってもよい。
【0043】
照射部は、卵を照射できるものであれば、種々変更可能である。具体的には、透過用の照射部として、可視光〜赤外光の成分を含んでいるものを用いることができ、赤外線の中でも、波長が780nm〜870nmの近赤外光を用いることが好ましい。すなわち、780nmよりも短い波長を用いると卵殻色の影響を受けやすくなり、870nmよりも長い波長を用いると水の吸収が大きくなることで卵黄や卵白の影響を受けやすくなったり、撮像手段の感度が低下してしまったりする不具合が生じるためである。また、照射部は、レンズなどの「光を屈折させて集束させるもの」や、絞りなどの「光の角度を制限するもの」を含むものであってもよい。
【0044】
また、照射部の位置は、卵の端部側から照射できるものであれば、図示したような卵の各端部の真下に位置して、搬送方向に沿って隣接するローラ間に形成される開口部に向けて真上に照射するものに限られない。例えば、卵の各端部より外側に位置して、開口部に向けて斜め上に照射するものであってもよい。具体的な一例としては、照射部が、照射対象の卵が載るローラの外側や、照射対象の卵以外の卵の下側に配置されて、照射部が卵の胴まわりを照らすようなものが考えられる。なお、この場合に、反射抑制部の配置される位置を上述した実施形態から好適に変更させる必要がある。
【0045】
さらに、撮像部が撮影する際に、照射部からの直接光が、照射対象の卵以外の卵、または、卵以外の遮蔽物によって遮られるようなものであれば、照射部とその照射部で照射される卵を撮影する撮像部とが、卵の同じ端部側に配置されていてもよい。すなわち、本発明の撮像部は、(卵の他方の端部側から照射するための)第二の照射部が卵を照射しているときに卵の他方の端部側から前記卵を撮影する第一の撮像部と、(卵の一方の端部側から照射するための)第一の照射部が卵を照射しているときに卵の一方の端部側から前記卵を撮影する第二の撮像部とを備えていてもよい。
【0046】
第一の照射部と第二の照射部は、搬送方向に直交する方向に沿って並んでいてもよい。
【0047】
各撮像部での撮影タイミングと重ならなければ、第一の照射部が点灯しているタイミングと第二の照射部が点灯しているタイミングの一部が重複していてもよい。また、第一の照射部の全部を同じタイミングで点灯させてもよいし、複数のグループに分けて、グループごとにタイミングをずらして点灯させてもよい。第二の照射部についても同様である。
【0048】
撮像部は、卵を撮影可能なものであれば上述したものに限られない。また、これらの撮像部によって撮影された画像についても、図示したものは一例に過ぎない。
【0049】
判定部は、撮像された画像の明度差(コントラスト)に基づいて表面の状態を判定してもよい。例えば、画像中に輝度が大きく変化しているところ(エッジ)を有していれば、その部分に「割れ」や「糞汚れ付着」があると判定できる。なお、エッジ検出に先駆けて、この分野でよく知られる前処理を画像に施してもよい。
【0050】
搬送部は、卵を回転させながら搬送するものには限られず、卵の長軸を搬送方向横向きに配置して搬送するものにも限られない。また、列数も6列には限られない。
【0051】
反射抑制部は、卵や搬送部の下面側で反射された光を弱めることが可能な素材や形状を備えたものであれば、図示したものには限られない。また、反射抑制部が配置される場所も、搬送部の下方であれば保護部材の上面には限られない。
【0052】
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、卵の表面状態を判定する検査装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1…卵の検査装置
2…第一の照射部
3…第二の照射部
4…第一の撮像部
5…第二の撮像部
6…搬送部
9…反射抑制部
P…画像
E…卵
E1…一方の端部
E2…他方の端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6