【解決手段】第1の金属を主成分とする材料からなる導体部12が絶縁材11で被覆された電線10と、第1の金属とは別の第2の金属を主成分とする材料からなり、電線10の一端部にて露出した導体部12に接続された端子20と、を備え、導体部12と端子20との接触部16の全外周縁に導体部12と端子20とに跨って第1の金属と第2の金属とを含む合金層15が形成されている。
前記導体部は複数の芯線を含み、前記電線の一端部側に前記複数の芯線の端部が溶融接合した溶融接合部を有し、前記溶融接合部が前記端子に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の端子付き電線。
前記導体部における前記接触部側の端面が、前記端子における前記接触部側の端面と略同一形状を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の端子付き電線。
前記導体部における前記接触部側の端面が、前記端子における前記接触部側の端面と異なる大きさを有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の端子付き電線。
前記導体部の前記接触部側の端面に形成された凸部または前記導体部の端部が、前記端子の前記接触部側の端面に形成された凹部に嵌合しているか、あるいは前記端子の前記接触部側の端面に形成された凸部または前記端子の端部が、前記導体部の前記接触部側の端面に形成された凹部に嵌合していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の端子付き電線。
【背景技術】
【0002】
従来、電線の端部に端子が取付けられた端子付き電線では、電線を構成する芯線と端子とに異なる種類の金属が使用される場合がある。芯線と端子とに異種金属が用いられた場合には、芯線と端子とが接触する箇所に水分が付着すると腐食が発生しやすくなる。
【0003】
例えば、アルミニウム電線に銅製又は銅合金製の端子を圧着して取付けている場合、その接触箇所に水分が付着すると、イオン化傾向の高い方のアルミニウム電線に腐食が発生しやすい。
【0004】
このため、例えばアルミニウム電線に銅製の端子を圧着する等、異種金属同士を接続する場合には、その接続箇所にて異種金属接触腐食が発生することを防止するために、接続箇所に種々の防水シールド処理が施されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1には、被覆電線に端子が圧着された端子付き電線が開示されており、被覆電線の芯線と端子とが異種金属で構成されている。この芯線と端子との接続部に防食剤が塗布されており、接続部において異種金属接触腐食が発生するのを防止している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の端子付き電線にあっては、接続部の外側に防食剤を塗布して盛り上がっているため、接続部のサイズが大きくなるという問題があった。また、防食剤による防水シールドでは、防水性能の経年劣化や応力緩和により、防水シールドが破れて芯線と端子との接続部に水が浸入する懸念もあった。さらにまた、端子の圧着取付け作業に加え、防食剤を塗布する工程も必要とし、また、防食剤を塗布して固化するまで時間が掛かり、作業時間が長くなるという問題もあった。
【0008】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、電線の導体部と端子との導電性を確保しつつ、異種金属接触腐食を確実に防止することができる端子付き電線を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る端子付き電線は、上記目的を達成するため、第1の金属を主成分とする材料からなる導体部が絶縁材で被覆された電線と、前記第1の金属とは別の第2の金属を主成分とする材料からなり、前記電線の一端部にて露出した前記導体部に接続された端子と、を備え、前記導体部と前記端子との接触部の全外周縁に前記導体部と前記端子とに跨って前記第1の金属と前記第2の金属とを含む合金層が形成されていることを特徴とする。
【0010】
上述のように、本発明の端子付き電線は、導体部と端子との接触部の全外周縁に導体部と端子とに跨って第1の金属と第2の金属とを含む合金層が形成されているので、第1の金属と第2の金属とが直接接触しかつ外部に露出している部分が存在しない。このため、異種金属の接触部に水分が付着することがなく、合金層により電線の導体部と端子との導電性を確保しつつ、異種金属接触腐食を確実に防止することができる。
【0011】
また、本発明の端子付き電線は、従来のように導体部と端子との接続部に防食剤が塗布された構成ではないので、接続部のサイズが制限を越えて大きくなることもない。
【0012】
加えて、本発明の端子付き電線は、溶接等により導体部と端子との接触部の全外周縁に合金層が形成された構成であるので、従来のように圧着工程、防食剤の塗布工程などが不要となり、工程数を少なくでき低コストで製造可能である。しかも、本発明の導体部と端子との接触部の全外周縁に形成された合金層は、従来の防食剤のように防水シールドの経年劣化や応力緩和が起こりにくい。
【0013】
また、本発明の端子付き電線では、前記導体部は複数の芯線を含み、前記電線の一端部側に前記複数の芯線の端部が溶融接合した溶融接合部を有し、前記溶融接合部が前記端子に接続された構成であってもよい。
【0014】
この構成により、本発明の端子付き電線は、溶融接合部において複数の芯線が一体となっているので、芯線がばらけて他の電線等と短絡することがない。また、溶融接合部は、複数の芯線を加熱・加圧して形成することができ、その際に相手方の端子に適合するように所望の形状(板状、円柱状等)に容易に成形することができる。
【0015】
また、本発明の端子付き電線では、前記導体部は単芯線であり、前記単芯線は前記端子に接続された接続端部を有する構成であってもよい。
【0016】
この構成により、本発明の端子付き電線は、導体部が単芯線の場合に単芯線の接続端部と端子との接触部において異種金属接触腐食を確実に防止することができる。
【0017】
また、本発明の端子付き電線では、前記導体部における前記接触部側の端面が、前記端子における前記接触部側の端面と略同一形状を有した構成であってもよい。
【0018】
この構成により、本発明の端子付き電線は、導体部と端子とが段差なく接続されるので、例えば小サイズ・狭ピッチのコネクタに端子付き電線の端子を挿入する構成の場合にも適用することができる。
【0019】
また、本発明の端子付き電線では、前記導体部における前記接触部側の端面が、前記端子における前記接触部側の端面と異なる大きさを有した構成であってもよい。
【0020】
この構成により、本発明の端子付き電線は、例えば、電線の導体部の種々の径に対して同一の端子を接続することができる。電線に圧着端子を加締めて取付ける場合には、適合する電線サイズに限界があるが、本発明の構成ではこのような限界はない。
【0021】
また、本発明の端子付き電線では、前記導体部の前記接触部側の端面に形成された凸部または前記導体部の端部が、前記端子の前記接触部側の端面に形成された凹部に嵌合しているか、あるいは前記端子の前記接触部側の端面に形成された凸部または前記端子の端部が、前記導体部の前記接触部側の端面に形成された凹部に嵌合した構成であってもよい。
【0022】
この構成により、本発明の端子付き電線は、導体部と端子とを溶接等により接続する際に、端子側または導体部側の凹部が、接続する相手方に設けられた凸部等をガイドすることで、容易かつ正確に位置合わせすることができる。また、このように導体部と端子との接触部における凸部と凹部との嵌合により、電線の導体部と端子との接続強度を高めることができる。
【0023】
また、本発明の端子付き電線では、前記合金層は前記導体部と前記端子との前記接触部の全域に形成されていてもよい。
【0024】
この構成により、本発明の端子付き電線は、合金層が接触部の全外周縁だけでなく接触部の全域に形成されているので、異種金属の接触部での腐食を確実に防止するとともに、電線の導体部と端子との接続強度を高めることができる。
【0025】
また、本発明の端子付き電線では、前記第1の金属はアルミニウムまたはその合金であり、前記第2の金属は銅またはその合金であってもよい。
【0026】
この構成により、本発明の端子付き電線は、電線の導体部に軽量のアルミニウム線を用い、端子に電気伝導率の高い銅を用いることで、導体部と端子との導電性を確保しつつ、電線の軽量化を図ることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、電線の導体部と端子との導電性を確保しつつ、異種金属接触腐食を確実に防止することができる端子付き電線を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態に係る端子付き電線について、図面を参照して説明する。
【0030】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る端子付き電線1は、
図1(a)に示すように、電線10に端子20が取付けられたものであり、端子20を介して電子機器、電子部品、他の電線等に電気的に接続されるものである。
【0031】
図1(a)に示すように、電線10は、アルミニウム(第1の金属)を主成分とする材料からなる導体部12が絶縁材11で被覆されている。端子20は、アルミニウム(第1の金属)とは別の銅(第2の金属)を主成分とする材料からなり、電線10の一端部にて所定長さだけ絶縁材11が皮剥きされて露出した導体部12に接続されている。導体部12は、複数の芯線13を例えば撚り線の形態で含み、その先端部に後で説明する溶融接合部14が形成されている。
【0032】
具体的には、導体部12は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製であり、端子20は、銅製または銅合金製である。導体部12がアルミニウム合金からなるときは、主成分としてのアルミニウムの他に、例えば、鉄、マグネシウムなどが単独又は組合されて添加されていてもよい。また、端子20が銅合金からなるときは、主成分としての銅の他に、例えば、ニッケル、ケイ素、亜鉛、錫などが単独又は組合されて添加されていてもよい。また、端子20は、その表面の一部または全部に、例えば金や銀などでメッキが施されていてもよい。
【0033】
本実施の形態では、導体部12がアルミニウム(第1の金属)を主成分とする材料からなり、端子20が銅(第2の金属)を主成分とする材料からなるが、異種金属の組合わせはこれに限定されない。要は、第1の金属と第2の金属が異なるものならばよく、例えば、第1の金属を銅とし、第2の金属をアルミニウムとしてもよい。
【0034】
端子20は、
図1(a)に示すように、直方体状(板状)の中実のコンタクトであるが、端子20の形状はこれに限定されるものではなく、接続対象に適合する任意の形状を採用でき、また中空構造であってもよい。また、端子20は、コネクタ等に挿入したときの抜け止め用として、板ばねや突起部など有していてもよい。また、端子20は、他機器の接続端子への取付け用に、貫通孔が形成されていてもよいし、先端がY型形状になっていてもよい。
【0035】
図1(a)に示すように、電線10の導体部12は、電線10の一端部側に複数の芯線13の端部が溶融接合した略直方体形状(板状)の溶融接合部14を有している。導体部12の溶融接合部14は、端子20との接触部16側の端面が、端子20における接触部16側の端面と略同一形状を有している。
【0036】
図1(b)は
図1(a)のA−A部分断面図である。
図1(b)に示すように、導体部12の溶融接合部14と端子20との接触部16の全外周縁に導体部12と端子20とに跨ってアルミニウム(第1の金属)と銅(第2の金属)とを含む合金層15が形成されている。この合金層15により、導体部12と端子20とが強固に接続されている。合金層15は、導体部12と端子20との接触部16の全域のうち、少なくとも外部に露出した表層部に形成されている。
【0037】
次に、端子付き電線1の製造方法を説明する。
【0038】
まず、
図2(a)に示すように、電線10の端部の絶縁材11を所定長さだけ皮剥ぎし、撚られた複数の芯線13を露出させる(皮剥ぎ工程)。
【0039】
次いで、
図2(b)に示すように、皮剥ぎ工程により露出した芯線13の端部を、一対の金型31、31からなる成形機30に入れて芯線13を加熱しつつ加圧して所望の形状に成形する。この成形工程により、
図2(c)に示すように、各芯線13の端部が溶融し、一体に接合されて溶融接合部14が形成される。
【0040】
次いで、
図2(d)に示すように、成形工程により芯線13が一体化した溶融接合部14と端子20とを突き合わせて、例えばレーザー溶接機40により、接触部16の全外周を接合する。この溶接工程により、溶融接合部14と端子20との接触部16の全外周縁にアルミニウムと銅の合金層15が形成される(
図1(b)参照)。
【0042】
本実施の形態に係る端子付き電線1は、導体部12と端子20との接触部16の全外周縁に導体部12と端子20とに跨ってアルミニウムと銅を含む合金層15が形成されているので、アルミニウム部材と銅部材とが直接接触しかつ外部に露出している部分が存在しない。このため、異種金属の接触部16に水分が付着することがなく、合金層15により電線10の導体部12と端子20との導電性を確保しつつ、異種金属接触腐食を確実に防止することができる。
【0043】
また、本実施の形態に係る端子付き電線1は、従来のように導体部と端子との接続部に防食剤が塗布された構成ではないので、接続部のサイズが制限を越えて大きくなることもない。
【0044】
加えて、本実施の形態に係る端子付き電線1は、溶接等により導体部12と端子20との接触部16の全外周縁に合金層15が形成された構成であるので、従来のように圧着工程、防食剤の塗布工程などが不要となり、工程数を少なくでき低コストで製造可能である。しかも、本実施の形態に係る導体部12と端子20との接触部16の全外周縁に形成された合金層15は、従来の防食剤のように防水シールドの経年劣化や応力緩和が起こりにくい。
【0045】
また、本実施の形態に係る端子付き電線1では、導体部12は複数の芯線13を含み、電線10の一端部側に複数の芯線13の端部が溶融接合した溶融接合部14を有する構成である。この構成により、溶融接合部14において複数の芯線13が一体となっているので、芯線13がばらけて他の電線等と短絡することがない。また、溶融接合部14は、複数の芯線13を加熱・加圧して形成することができ、その際に相手方の端子に適合するように所望の形状(板状、円柱状等)に容易に成形することができる。
【0046】
また、本実施の形態に係る端子付き電線1では、導体部12の溶融接合部14における接触部16側の端面が、端子20における接触部16側の端面と略同一形状である。この構成により、本実施の形態に係る端子付き電線1は、導体部12の溶融接合部14と端子20とが段差なく接続されるので、例えば小サイズ・狭ピッチのコネクタに端子付き電線1の端子20を挿入する構成の場合にも好適に使用することができる。
【0047】
また、本実施の形態に係る端子付き電線1では、芯線13はアルミニウム製またはアルミニウム合金製であり、端子20は銅製または銅合金製である。この構成により、本実施の形態に係る端子付き電線1は、電線10の導体部12に軽量のアルミニウム線を用い、端子20に電気伝導率の高い銅を用いることで、導体部12と端子20との導電性を確保しつつ、電線10の軽量化を図ることができる。
【0048】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係る端子付き電線1Aについて図面を参照して説明する。
【0049】
図3は、端子付き電線1Aについて
図1(b)と同様の部分断面を示す図である。
図3に示すように、端子付き電線1Aは、導体部12と端子20との接触部16の全域において、導体部12と端子20とに跨ってアルミニウムと銅を含む合金層15Aが形成されている。この点において、第2の実施形態は、導体部12と端子20との接触部16の全外周縁に合金層15が形成されている第1の実施の形態と相違しており、その他の構成は同じである。
【0050】
第2の実施の形態の上記構成により、端子付き電線1Aは、合金層15Aが接触部16の全外周縁だけでなく接触部16の全域に形成されているので、異種金属の接触部16での腐食を確実に防止するとともに、電線10の導体部12と端子20との接続強度を高めることができる。
【0051】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態に係る端子付き電線1Bについて図面を参照して説明する。
【0052】
図4(a)に示すように、第3の実施の形態に係る端子付き電線1Bでは、導体部12Bが単芯線13Bであり、この単芯線13Bの接続端部14Bが、端子20に接続されている。この点において、第3の実施形態は、複数の芯線13の端部に形成された溶融接合部14と端子20とが接続された第1の実施の形態と相違しており、その他の構成は同じである。
【0053】
単芯線13Bの接続端部14Bは、
図2(b)に示す成形工程と同様の工程によって直方体状(板状)に成形され、接続端部14Bの接触部16側の端面が、端子20の接触部16側の端面と同一形状(同サイズの長方形)となっている。なお、本実施形態では、単芯線13Bの接続端部14Bを成形しているが、必ずしも成形する必要はなく、端部が成形されていない単芯線13Bを端子20に直接接続してもよい。
【0054】
第3の実施の形態の上記構成により、端子付き電線1Bは、導体部12Bが単芯線13Bの場合に単芯線13Bの接続端部14Bと端子20との接触部16において異種金属接触腐食を確実に防止することができる。
【0055】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態に係る端子付き電線1Cについて図面を参照して説明する。
【0056】
図5に示すように、本実施の形態に係る端子付き電線1Cでは、導体部12Cの溶融接合部14Cにおける接触部16側の端面14Caが、端子20における接触部16側の端面20cと異なる大きさである。具体的には、溶融接合部14C側の端面14Caが、端子20側の端面20cより大きくなっている。そして、溶融接合部14Cと端子20との接触部16の全外周縁(隅部)に、導体部12Cと端子20とに跨ってアルミニウムと銅を含む合金層15Cが例えばレーザ溶接により形成されている。
【0057】
この構成により、本実施の形態に係る端子付き電線1Cは、電線10Cの導体部12Cの種々の径に対して同一の端子20を接続することができる。電線に圧着端子を加締めて取付ける場合には、適合する電線サイズに限界があるが、本実施の形態の構成ではこのような限界はない。
【0058】
本実施の形態では、溶融接合部14Cの接触部16側の端面14Caのサイズが、端子20の接触部16側の端面20cのサイズより大きいが、サイズの大小関係はこれに限定されず、溶融接合部14Cの接触部16側の端面14Caのサイズを、端子20の接触部16側の端面20cのサイズより小さくしてもよい。
【0059】
また、本実施の形態では、
図5の部分断面図において、端子20の上面20aが、溶融接合部14Cの上面14Caよりも低い段差状になっているが、端子20の配置を上にずらして端子20の上面20aが、溶融接合部14Cの上面14Caよりも高い段差状にしてもよい。同様に、
図5の部分断面図において、端子20の下面20bが、溶融接合部14Cの下面14Cbよりも高い段差状になっているが、端子20の配置を下にずらして端子20の下面20bが、溶融接合部14Cの下面14Cbよりも低い段差状にしてもよい。
【0060】
(第5の実施の形態)
次に、本発明の第5の実施の形態に係る端子付き電線1Dについて図面を参照して説明する。
【0061】
図6に示すように、本実施の形態に係る端子付き電線1Dでは、導体部12の溶融接合部14の端部14aが、端子20Dの接触部側の端面20Daに形成された凹部21Dに嵌合している。溶融接合部14と端子20Dとの接触部の全外周縁(隅部)に、導体部12と端子20Dとに跨ってアルミニウムと銅を含む合金層15Dが例えばレーザ溶接により形成されている。
【0062】
この構成により、本実施の形態に係る端子付き電線1Dは、導体部12の溶融接合部14と端子20Dとを溶接等により接続する際に、端子20D側の凹部21Dが、溶融接合部14の端部14aをガイドすることで、容易かつ正確に位置合わせすることができる。また、このように導体部12と端子20Dとの接触部における嵌合により、電線10の導体部12と端子20Dとの接続強度を高めることができる。
【0063】
本実施の形態では、溶融接合部14の端部14aが端子20Dの凹部21Dに嵌合する構成であるが、この嵌合構造に限定されず、端子20Dの端部が溶融接合部14に形成された凹部に嵌合する構成であってもよい。
【0064】
(第6の実施の形態)
次に、本発明の第6の実施の形態に係る端子付き電線1Eについて図面を参照して説明する。
【0065】
図7に示すように、本実施の形態に係る端子付き電線1Eでは、導体部12Eの接触部側の端面(すなわち溶融接合部14Eの端面14Ea)に形成された凸部19が、端子20Eの接触部側の端面20Eaに形成された凹部21Eに嵌合している。溶融接合部14Eと端子20Eとの接触部の全外周縁に、導体部12Eと端子20Eとに跨ってアルミニウムと銅を含む合金層15Eが例えばレーザ溶接により形成されている。
【0066】
この構成により、本実施の形態に係る端子付き電線1Eは、第5の実施の形態に係る端子付き電線1Eが奏する上記効果に加えて、導体部12Eと端子20Eとを段差なく接続することができるので、例えば小サイズ・狭ピッチのコネクタに端子付き電線1Eの端子20Eを挿入する構成の場合にも好適に使用することができる。
【0067】
本実施の形態では、溶融接合部14Eの凸部19が端子20Eの凹部21Eに嵌合する構成であるが、この嵌合構造に限定されず、端子20Eに形成された凸部が溶融接合部14Eに形成された凹部に嵌合する構成であってもよい。
【0068】
(第7の実施の形態)
次に、本発明の第7の実施の形態に係る端子付き電線1Fについて図面を参照して説明する。
【0069】
図8に示すように、本実施の形態に係る端子付き電線1Fでは、導体部12の溶融接合部14の上面14bに端子20Fの下面20Fbが一部重ねられて接続された構造である。溶融接合部14と端子20Fとの接触部16Fの全外周縁に、導体部12と端子20Fとに跨ってアルミニウムと銅を含む合金層15Fが例えばレーザ溶接により形成されている。端子20Fには板バネなどの付属物22Fが設けられているが、付属物22Fがない構成であってもよい。
【0070】
本実施の形態の構成により、端子20Fが薄い板状の場合であって、端子20Fと溶融接合部14とを突き合わせて溶接したのでは必要な接続強度が得られないようなときに、端子20Fと溶融接合部14との接触面積を増やして接続強度を高めることができる。
【0071】
(第8の実施の形態)
次に、本発明の第8の実施の形態に係る端子付き電線1Gについて図面を参照して説明する。
【0072】
図9は、本実施の形態に係る端子付き電線1Gの製造方法を示す説明図である。
図2に示す第1の実施の形態に係る端子付き電線1の製造方法とは、
図9(b)の成形工程において芯線13Gの端部を円柱状に成形している点で相違している。
【0073】
本実施形態に係る端子付き電線1Gは、
図9(c)に示す電線10Gの円柱状の溶融接合部14Gに、
図9(d)に示すように円柱状の端子20Gが例えばレーザー溶接機40などにより接合されている。本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、溶融接合部14Gと端子20Gとの接触部16Gの全外周縁に、導体部12Gの溶融接合部14Gと端子20Gとに跨ってアルミニウムと銅を含む合金層15Gが形成されている。
【0074】
上記実施の形態では、第3の実施形態を除いて主に導体部が複数の芯線を含む形態の端子付き電線について説明してきたが、導体部が単芯線の場合についても同様の構成にできることはもちろんである。
【0075】
以上説明したように、本発明は、電線の導体部と端子との導電性を確保しつつ、異種金属接触腐食を確実に防止することができるという効果を有し、端子付き電線の全般に有用である。