【解決手段】光源装置1は、内部空間に導光体6を備えるようにした。導光体6は、筐体21、グローブ3及び光源4と同軸で、頭頂部61となる底部をグローブ3の頭頂部に向け、光源4の直上まで口縁64を近接させた、略円筒コップ形状を有する。導光体6は、口縁64から光源4の光線を受け入れ、略円筒コップ形状の胴部内をジグザグに全反射させながら、光源4の光線を底部に向けて導光し、底部からグローブ3の頭頂部へ向けて出射させる。
前記胴部の内周面、外周面又は両方に形成され、前記胴部内を進行する光線の向きを、前記胴部の外周面から出射する光進行角度に向かう方向に変更する側面出射部を備えること、
を特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の光源装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スピーカの周りにLEDをリング状に配置すると、グローブの頭頂部の中心領域に光源が無いことになり、グローブの頭頂部の中心領域の輝度が低下してしまう。また、スピーカの後方にLEDを配置すると、スピーカによって光路が遮られる領域が発生し、スピーカの前面には光線が届かず、グローブの頭頂部の中心領域の輝度が低下してしまう。
【0008】
そのため、これら光源装置の頭頂部から出射する光線は、中心領域が暗く、周端領域が明るい環状の模様を形成してしまい、これら光源装置に斑のある配光特性を与えてしまうため、これら光源装置の照明としての品質が低下してしまう。特に、光源としてLEDを利用する場合には、LEDの指向性により、照明としての品質低下が顕著である。即ち、音波の遮蔽物を存在させないようにスピーカを頭頂部に配置すると、このスピーカが光線の遮蔽物となってしまうものである。
【0009】
尚、近年、スピーカに代えて人感センサやカメラ等の機能機器が光源装置に収容される場合があり、これら機能機器もスピーカと同じ位置に配置されれば、光線の遮蔽物となって光源装置の頭頂部の照度が低下してしまう。
【0010】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために成されたものであり、その目的は、スピーカ等の光線障害物と光源とを内蔵する光源装置の照明としての品質を向上させ、特にグローブ頭頂部の中心領域の輝度を向上させる光源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の光源装置は、口金を介して電力供給を受ける光源装置であって、前記口金が接続された筐体と、前記筐体に被せられ、光の透過性を有するグローブと、前記筐体と前記グローブの共通軸周りに円環状に並ぶ複数の光源と、前記筐体、前記グローブ及び前記光源と同軸で、コップ形状の底部を前記グローブの頭頂部に向け、コップ形状の口縁を前記光源の直上まで近接させた、略円筒コップ形状の導光体と、を備え、前記導光体は、前記口縁から前記光源の光線を受け入れ、コップ形状の胴部内をジグザグに全反射させながら、前記光源の光線を前記コップ形状の底部に向けて導光し、コップ形状の胴部から暫次縮径することにより前記底部がドーム状に形成され、前記コップ形状の底部の内表面、外表面又は両方に、前記胴部内を導光されてきた光線を前記底部から前記グローブの頭頂部方向に出射する角度に変更する前方導光部を有すること、を特徴とする。
【0012】
前記前方導光部の表面には、刻み溝又はシボがあるようにしてもよい。
【0013】
前記口縁のうちの前記胴部から連続する領域は、前記光源の40%以上60%以下を覆うようにしてもよい。
【0014】
前記胴部の下端から前記グローブの側面側に膨出し、前記口縁と面一で、前記グローブの側面に凸面を向けた凸レンズ部を備えるようにしてもよい。
【0015】
前記口縁は、前記胴部の内周面側が前記光源に近く、前記胴部の外周面側が前記光源から離間するように傾斜するようにしてもよい。
【0016】
前記胴部は、前記内周面よりも前記外周面の抜き勾配が大きいようにしてもよい。
【0017】
前記胴部の内周面、外周面又は両方に形成され、前記胴部内を進行する光線の向きを、前記胴部の外周面から出射する光進行角度に向かう方向に変更する側面出射部を備えるようにしてもよい。
【0018】
前記側面出射部の表面には、刻み溝又はシボがあるようにしてもよい。
【0019】
前記導光体の前記底部外表面に凹凸を備えるようにしてもよい。
【0020】
前記底部外表面は、前記底部内表面よりも表面粗度が小さくするようにしてもよい。
【0021】
前記導光体は、前記底部に貫通孔を有するようにしてもよい。
【0022】
前記光源よりも頭頂部寄りに配置される光線障害物を備え、前記導光体は、前記光線障害物と前記グローブとの間に前記底部を介入させるように、前記光線障害物を覆うようにしてもよい。
【0023】
前記光線障害物は、スピーカ、センサ又はカメラであるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、光線障害物を光源よりも頭頂部寄りに配置し、光源を光線障害物の後方に配置しても、グローブの頭頂部の中心領域の輝度が向上し、頭頂部を斑無く光らせることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(構成)
図1は、本実施形態に係る光源装置の構成を示す断面図である。光源装置1は、一般の白熱電球用のソケットに装着可能な口金22を有し、典型的には電球型である。この光源装置1は、口金22が接続された筐体21に、光の透過性を有するグローブ3を口金22とは反対側から被せて、一体化して成る。筐体21とグローブ3で画成される内部空間には、光源4、スピーカ5a、及び光源4とスピーカ5aを制御する制御基板8が収容されている。即ち、この光源装置1は、照明機能及び放音機能を有する。
【0027】
筐体21は、内部部品のベースであり、概略筒形状を有する。筒形状の一方の末端部は尻窄みし、他端面は開口する。口金22は、筐体21の尻窄みした末端部に固定されている。筐体21の内周面には、内周面に沿って連続して1周したリング状の棚23が形成されている。棚23は、光源装置1の軸に向けて鍔状に延出し、筐体21の軸と垂直な平坦面を有する。光源4は、この棚23上に等間隔に並設されており、筐体21とグローブ3の共通軸周りに円環状に並ぶ。光源4は、LED(Light Emitting Diode)素子又は有機EL(Electro Luminescence)素子等の発光素子により成る。発光素子は、白色光又は白色光以外の単色若しくは複数色を発光する。
【0028】
光源4を支持する筐体21は、望ましくは、熱伝導性を有する金属、樹脂、又はセラミックで形成される。熱伝導性を有する金属としては例えばアルミニウムが挙げられる。熱伝導性を有する樹脂としては、例えばカーボンナノチューブ等の炭素繊維が挙げられる。筐体21の表面にフィンを形成して放熱性を高めるようにしてもよい。
【0029】
グローブ3は、一端有底の円筒コップ形状を有し、有底端部はドーム型に湾曲している。グローブ3の口縁周りと筐体21は同一の外径を有する。グローブ3と筐体21の両口縁を合わせ、グローブ3の外周面と筐体21の外周面を面一に合わせ、そして互いの中心軸を一致させることで、グローブ3は筐体21に被せられる。グローブ3の内周面は光源4が配置される棚23に及ばず、グローブ3は光源4を内包する。
【0030】
グローブ3は、光源4、スピーカ5a及び制御基板8の保護カバーであり、また光源4の光線を拡散させることで全光束の均一性を図る。即ち、このグローブ3は透過性材料により形成される。透過性材料は、例えばガラス、アクリル又はポリカーボネートである。グローブ22の周面には、エッチング、ブラスト加工又はコーティングにより透光性が付与されている。
【0031】
スピーカ5aは、コーン型又はドーム型の形状を有し、電気信号を物理的振動により音波信号に変換する装置であり、無線により受信した音楽や音声を放音する。例えばスピーカ5aとしてはダイナミック型が挙げられる。このスピーカ5aは、光源4よりも光線進行方向前方に離されて、このグローブ3の頭頂部間近に設置される。例えば、このスピーカ5aは、筐体21ではなく、グローブ3、又はグローブ3から繋がる部品に固定されている。光源4とグローブ3の頭頂部とを結ぶ線上にはスピーカ5aが介入することになる。そのため、スピーカ5aによってグローブ3の頭頂部中心領域、換言するとスピーカ5aの前方領域への直達光路は遮断される。
【0032】
制御基板8は、スピーカ5aの後方に並び、光源4が並ぶ棚23の内側に収容されている。この制御基板8は、
図2に示すように、電源回路81、オーディオ制御回路82、光源制御回路83を備えている。
【0033】
電源回路81は、口金22を介して外部商用電源から電力を受け、整流及び平滑化によりAC/DC変換を行い、DC/DC変換によりオーディオ制御回路82及び光源制御回路83に駆動電力を供給する。オーディオ制御回路82は、アンテナ又は赤外線受光部によりブルートゥース、WiFi、ZigBee、無線LAN又は赤外線等の無線通信規格経由でオーディオ信号を受信し、オーディオ信号を復調、アナログ変換、増幅等してスピーカ5aへ出力する。光源制御回路83は、光源4の点灯、消灯、調光、調色を制御しつつ、光源4に電力を供給する。
【0034】
図1に戻り、スピーカ5aと制御基板8は、筒体9に収容されている。筒体9は光源装置1と同軸の円筒である。筒体9は、頭頂部側端部に放音孔を有し、スピーカ5aの放音面は解放しつつ、スピーカ5aの周囲を囲んでいる。また、筒体9は、制御基板8を内包している。但し、筒体9は、光源4が並ぶ棚23の内周面よりも小径を有し、光源4はスピーカ5aと制御基板8を収容した筒体9の外側に位置する。
【0035】
この筒体9は、筐体21に立設され、スピーカ5aまで延びる。この筒体9の他の設置態様としては、筒体9は、グローブ3の頭頂部裏から吊り下げられ、制御基板8を覆うまで垂れ下がるようにしてもよい。または、この筒体9は、下部筒9aと上部筒9bに分割され、下部筒9aは筐体21に立設して制御基板8を覆い、上部筒9bはグローブ3の頭頂部裏から吊り下げられてスピーカ5aを囲むようにしてもよい。
【0036】
筒体9は、スピーカ5aと制御基板8を外部から視認困難にしつつ、光源装置1の中心軸方向に向かう光線を外周方向に向けて反射させる反射板となる。これにより、スピーカ5aや制御基板8のシルエットによって光源装置1の光束ムラが生じることが抑制され、また光源4の光線を余すことなく外部へ出射でき、光源装置1の照度が向上する。
【0037】
或いは、この筒体9は、光源4の熱からスピーカ5aと制御基板8を保護するために設けられている。または或いは、筒体9は、これらの両方の目的で設けられている。反射板としての筒体9は、外表面が白系統色を有し、または外表面に反射材でコーティングされている。遮熱壁としての筒体9は、耐熱性の樹脂で成る。
【0038】
更に、
図1及び
図3に示すように、スピーカ5aには導光体6が被せられる。導光体6は、グローブ3の頭頂部裏に接着されて垂れ下がり、スピーカ5aを筒体9の外周囲から覆う。スピーカ5aは、光源4よりも光線進行方向前方に設置されているため、光源4とグローブ3の頭頂部とを結ぶ線上に介入し、グローブ3の頭頂部中心領域への直達光路を遮断してしまう。導光体6は、入射光を、スピーカ5aの前方、即ちグローブ3の頭頂部中心領域へ導光し、グローブ3の側面及び頭頂部へ光線を分配、集光及び拡散させるインナーレンズである。
【0039】
導光体6は、光線を境界面で全反射させながら、光線をグローブ3の頭頂部中心領域に向けて内部をジグザグに進行させるため、屈折率の高い素材が好ましく、例えばガラス、アクリル又はポリカーボネート等で成る。また各所に光線を出射及び拡散させる透光機能を有する。
【0040】
この導光体6は、底部をグローブ3の頭頂部に向けた逆さまの円筒コップ形状を有する。導光体6は、グローブ3と光源4に同軸で、底部をグローブ3の頭頂部に向けており、口縁64を光源4の直上まで近接させている。換言すると、導光体6は、光源装置1の軸から距離を取って配置された端部を起点とし、光源装置1の外周方向にグローブ3に未達で延び、延び先から光源4に向けて折れ曲がった略L字断面を有し、この略L字断面を、光源装置1の軸周りに360度回転させて得られる立体形状を有する。以下、導光部6の底部を頭頂部61という。尚、底部には放音孔が貫通している。
【0041】
周壁で構成される導光体6の胴部62は、光源装置1の軸に沿って延びる。胴部62の開口側縁面である口縁64は、筐体21の棚23に設置された光源4と対面する。但し、導光体6の全高はグローブ3の頭頂部から光源4まで距離よりも短く、導光体6の口縁64は光源4の直上間近まで降りて対面する。周壁と底部とを接続する導光体6の腰部63は、スピーカ5aの脇に位置する。そして、導光体6の頭頂部61は、腰部63を基端とする庇611となっており、庇611は放音面前方に回り込むように暫次縮径し、少なくともスピーカ5aの放音面外周を覆う。
【0042】
この導光体6において、
図4及び
図5に示すように、口縁64は光線の入光面65となっている。入光面65は、光源4から出射する全光線を捉えるように、光源4全体に拡がる平坦面である。この入光面65は、光源4が並設された棚23、即ち光源4の光軸である光源装置1の軸方向と垂直な面に対して傾斜している。入光面65は、胴部62の内周面621側が光源4に近く、胴部62の外周面622が光源4から離間するように傾斜する。
【0043】
入光面65の傾斜角αは、導光体6の胴部62の内周面621及び外周面622で光線を全反射させる入射角を約39°以上40°以下とすることを前提に、3°以上6°以下が望ましい。この入光面65は、光源4からの光線の多くを取り込み、入射光を導光体6の胴部62の内周面621に対して約39°以上40°以下の入射角となるように屈折させる。これにより、導光体6の胴部62の内周面621と外周面622との間で全反射を繰り返しながら頭頂部61へ向かう光路に多くの光線を載せることができ、頭頂部61側へ向かう光量が向上する。尚、光源4のシルエットが間隔を開けて並んで見えるのが緩和され、光束が均一化する効果もある。
【0044】
但し、この入光面65の傾斜角αは、導光体6の頭頂部61へ向ける光量と、導光体6の胴部62から出射させてグローブ3の側面から拡散させる光量の配分に応じて調整されることが望ましい。即ち、傾斜角αを3°未満又は6°超とすることで、頭頂部61へ導光する光量を減らし、導光体6の胴部62から出射させる光量を増加させることができる。
【0045】
また、導光体6の胴部62の下端には凸レンズ部66が膨出している。凸レンズ部66は、光源4とは反対に膨らみ出たドーム状の突起物である。この凸レンズ部66は、導光体6の胴部62から光源装置1の半径方向外方に連続して存在する。凸レンズ部66の球面とは反対の面は平坦面であり、導光体6の口縁64と面一であり、導光体6の口縁64と連続する。即ち、入光面65は、導光体6の口縁64と凸レンズ部66の平坦面とにより成り、光線入口は胴部62の口縁64と凸レンズ部66とに続くこととなる。
【0046】
光源4の光線の全部又は大部分は、入光面65に入射するが、導光体6の胴部62に向かわずに凸レンズ部66に向かう。凸レンズ部66は、光線をグローブ3の側面に向けて拡散放射する。凸レンズ部66は、グローブ3の側面全体に向けて光線を均一に拡散させることが望ましく、凸レンズ部66の表面半径rは5ミリメートル以上15ミリメートル以下が望ましい。この表面半径rであると、凸レンズ部66から出射する光線は、グローブ3の側面と頭頂部との接続部から、グローブ3と筐体21との境界までの範囲に均一に拡散する。
【0047】
胴部62の口縁64を由来とする入光面65の領域A1と、凸レンズ部66を由来とする入光面65の領域A2の面積の割合は、導光体6の頭頂部61へ向けて導光する光量の配分と、胴部62から出射させてグローブ3の側面に向かわせる光量の配分に関連する。領域A1は、胴部の断面から連続する軸方向投影領域である。
【0048】
例えば、光源装置1の頭頂部と側面とを均一に光らせるためには、胴部62の口縁64を由来とする入光面65の領域A1が、光源の軸方向正面投影面積の40%以上60%以下を覆うようにするのがよい。一方、光源装置1の頭頂部に光線を多く導光する場合には、胴部62の口縁64を由来とする入光面65の領域A1を60%超とすればよく、光源装置1の側面から光線を多く出射させる場合には、胴部62の口縁64を由来とする入光面65の領域A1を40%未満とすればよい。
【0049】
導光体6の頭頂部61への導光路となる導光体6の胴部62は、内周面621の抜き勾配βが1°以上3°以下であることが望ましく、内周面621よりも外周面622の抜き勾配γが大きくなっている。即ち、胴部62は頭頂部61にかけて薄厚化し、胴部62は口縁64にかけて肉厚化している。これにより、導光体6の胴部62は、導光路として多くの光線を全反射させながら頭頂部61へ誘導できる。
【0050】
図4及び
図6に示すように、頭頂部61へ向けた導光路である導光体6の胴部62には、内周面621に楔形の刻み溝67が穿設されている。刻み溝67は光源装置1の軸と直交して内周面621を1周する。刻み溝67は、螺旋状の1本であってもよい。この刻み溝67は、胴部62の外表面に臨界角よりも深い入射角で進行するように、光線を反射させる。これにより、頭頂部61へ向けた導光路である導光体6の胴部62にも、光源装置1の頭頂部と側面とに光線を配分する機能が付与される。
【0051】
この刻み溝67は、各刻み溝67は高さ方向に平行に並び、各刻み溝67は所定の間隔を空けている。高さ方向に等間隔に刻み溝67を設けることで、胴部62の側面全域から均一に光線が出射する。また、刻み溝67のピッチに応じて、頭頂部61へ導光する光量と胴部62で出射させる光量のバランスを調整できる。
【0052】
例えば、導光体6の胴部62内外表面での入射角を約39°以上40°以下に設定している場合、楔形に彫り込まれた刻み溝67の一底面S1は、光源装置1の軸から導光体6の外周面622側へ10°以上30°以下で倒された傾斜角εを有し、刻み溝67の最深部D1は、内表面621から1マイクロメートル以上20マイクロメートル以下とすればよい。これにより、頭頂部61へ向かう光束と側面から出射する光束とが等量となる。
【0053】
尚、
図7に示すように、導光体6の内周面621には、刻み溝67に代えて、エッチングやサンドブラスト処理等によってシボ67aを付けてもよい。内周面621に付けられたシワの密度は、頭頂部61へ導光する割合と側面から出射させる割合により決定される。例えば、JIS0601:2001による算術平均粗さがRa=0.8以上6.3以下となるように、導光体6の内周面621をエッチング又はサンドブラスト処理すればよい。
【0054】
更に、
図4及び
図8に示すように、導光体6の頭頂部61の外表面612は、腰部62を起点にして15°以上27°以下の範囲の勾配ζを有してドーム状に縮径している。この外表面612は、頭頂部61の中心側へ光線を屈曲させる中心導光部となり、導光体6の胴部62を全反射しながらジグザグに進行してきた光線は、この腰部62で反射して、スピーカ5aの前方である導光体6の頭頂部61の中心側へ向かう。
【0055】
導光体6の頭頂部61の内表面613は、光線をスピーカ5aの前方へ向けて出射する前方導光部として其の表面に刻み溝68が穿設されている。刻み溝68は光源装置1の軸と直交して内周面613を周回し、各刻み溝68は高さ方向に平行に並ぶ。刻み溝68は、螺旋状の1本であってもよい。この刻み溝68は、中心導光部である腰部63から進行してきた光線を、光源装置1の軸に沿って、導光体6の頭頂部61の外表面612に向けて反射させ、導光体6からグローブ3の頭頂部へ出射させる角度に変更する。
【0056】
この刻み溝68は、最深部D2が0.1ミリメートル以上0.3ミリメートル以下であることが望ましい。また、刻み溝68のピッチPは、最深部間で計測すると、溝の深さの2倍以上4倍以下であることが望ましい。また、刻み溝68は、楔形に穿設され、光源装置1の外周に向かって下る溝底面S2は、光源装置1の軸に対して38°以上45°以下の傾斜角ηすることが望ましい。これにより、光線は効率よく光源装置1の軸に沿って反射する。
【0057】
更に、この刻み溝68のピッチは、望ましくは、光源装置1の外周側に行くほど広い。これにより、頭頂部61の外表面612全域に向けて均一な光束となり、頭頂部61に光束のムラが生じに難くなる。
【0058】
導光体6の頭頂部61の外表面612には、光線を拡散放射させるための光線拡散部が形成されている。光線拡散部は、例えば、外表面612に形成された凹凸面69である。凹凸面69は、外表面612の傾斜に沿って小さな湾曲面を積み重ねて成り、又は外表面612の傾斜に沿って溝が穿設され、又は外表面612にエッチング処理やサンドブラスト処理によって形成されたシボである。
【0059】
この凹凸面69は、JIS0601:2001による算術平均粗さにおいて、導光体6の頭頂部61の内表面613に形成された前方導光部よりも表面粗度を小さくしておくことが望ましい。頭頂部61の内表面613での反射を増加させ、頭頂部61の外表面612での反射を抑制することで、頭頂部61の全域で明るさを向上させる。
【0060】
(作用)
このような光源装置1において、外部商用電源から口金22を介して供給された電力が電源回路81で交直変換及び降圧されて、光源制御回路83の制御下で光源4に給電される。光源4は電力供給により発光する。また、オーディオ制御回路82の制御下でスピーカ5aにオーディオ信号が入力されると、スピーカ5aは、外部から受信したオーディオ信号を音波に変換して放音する。
【0061】
図9に示すように、光源4の光線は、入光面65が光源4全体を覆って直上に拡がるため、導光体6の入光面65に至り、導光体6に入射する。入光面65への入射光は、進行先を凸レンズ部66と胴部62とに振り分けられる。入光面65に占める凸レンズ部66を由来とする領域の割合に応じて、凸レンズ部66へ向けて光線が進行する。凸レンズ部66は、振り向けられた光線をグローブ3の側面全域に均一に広がるように拡散する。そのため、グローブ3の側面は均一な光束が得られる。
【0062】
また、
図10に示すように、入光面65に占める胴部62を由来とする領域の割合に応じて、頭頂部61への導光路である胴部62に向けて光線が進行する。胴部62に振り向けられた光線は、入光面65が傾斜していることにより、胴部62の内周面621に対して特定の角度が付けられる。即ち、胴部62に振り向けられた光線は、胴部62の内周面621に対して全反射する入射角が得られる。そして、胴部62の内周面621の抜き勾配、及び胴部62の内周面621よりも大きい抜き勾配を有する胴部62の外周面622により、胴部62に振り向けられた光線は、胴部62内をジグザグに進行しながら頭頂部61へ向けて進行する。
【0063】
更に、
図11に示すように、胴部62の内周面621に穿設された刻み溝67は、入射光を胴部62の外周面622に対する入射角が全反射以外となるように反射させ、外周面622で出射する光進行角度に変更する。刻み溝67で反射した光線は、胴部62の外周面622で全反射できず、導光体6を出射してグローブ3の側面から拡散放射する。
【0064】
即ち、刻み溝67を有する導光体6は、頭頂部61への導光路でありながら、頭頂部61への進行過程から脱落させ、グローブ3の側面へ光線を振り向ける。この導光体6は、刻み溝67の密度に比例した光量をグローブ3の側面へ振り向ける。刻み溝67は、光源4からスピーカ5aの脇まで延びる胴部62に均等なピッチで形成されており、グローブ3の側面へ均一に光線を出射させる。このように、刻み溝67はグローブ3の側面から光線を出射させる側面出射部となる。側面出射部となる刻み溝67やシボは、其の表面に形成できれば、胴部62の内周面621に代えて、胴部62の外周面622に形成されていてもよいし、内周面621と外周面622の両方に形成されていてもよい。
【0065】
図12に示すように、導光体6の胴部62を進行した光線は腰部63に入射する。腰部63は、中心導光部として光線を導光体6の頭頂部61の中心側へ反射させる。頭頂部61の中心側に進行した光線は、頭頂部61の内表面613に穿設された刻み溝68に入射する。刻み溝68は、前方導光部として、光線をスピーカ5aの前方位置で、光源装置1の軸に沿って反射させる。
【0066】
刻み溝68が反射させた光線は、導光体6の頭頂部61の外表面612から出射する。このとき、導光体6の頭頂部61の外表面612には凹凸面69が形成されており、この凹凸面69は光線拡散部として光線を拡散放射し、スピーカ6の前方領域は明るさが均一となる。尚、頭頂部61の中心側に進行した光線は、外表面612で内表面613側に反射する場合もあり、また外表面612でグローブ3の頭頂部へ向けて出射する場合もある。即ち、刻み溝68やシボ等の前方導光部は、内表面613に代えて外表面612に形成してもよいし、内表面513と外表面612の両方に形成してもよい。
【0067】
(効果)
このように、光源装置1は、口金22が接続された筐体21と、筐体21に被せられ、光の透過性を有するグローブ3と、筐体21とグローブ3の共通軸周りに円環状に並ぶ複数の光源4とを備えている。この光源装置1は、筐体21とグローブ3とで画成された内部空間に、導光体6を備えるようにした。導光体6は、筐体21、グローブ3及び光源4と同軸で、頭頂部61となる底部をグローブ3の頭頂部に向け、光源4の直上まで口縁64を近接させた、略円筒コップ形状を有する。
【0068】
導光体6の底部は、ドーム状に暫次縮径し、導光体6の底部の内表面613に、底部外表面612から反射してきた光線を底部から出射する入射角に変更する刻み溝68又はシボを備える。この導光体6は、口縁64から光源4の光線を受け入れ、略円筒コップ形状の胴部内をジグザグに全反射させながら、光源4の光線を底部に向けて導光し、底部からグローブ3の頭頂部へ向けて出射させる。
【0069】
これにより、スピーカ5aを光源4よりも頭頂部寄りに配置し、光源4をスピーカ5aの後方に配置しても、グローブ3の頭頂部の中心領域の輝度が向上し、頭頂部を斑無く光らせることができる。
【0070】
本実施形態では、スピーカ5aを例示したが、スピーカ5a以外の光線遮蔽物を光源4よりも頭頂部寄りに配置し、光源4を光線遮蔽物の後方に配置しても、この光線遮蔽物を回り込んで光線をグローブ3の頭頂部へ導くことができる。光線遮蔽物としては、スピーカ5aのほか、
図13に示すように、カメラ5bを設置することができる。また、スピーカ5aとカメラ5bのほかには、光線遮蔽物として人感センサ等の各種センサを挙げることができる。
【0071】
また、口縁64のうちの胴部62から連続する領域は、光源4の40%以上60%以下を覆うようにした。これにより、頭頂部と側面に向かう光量の配分調整が可能となる。
【0072】
また、胴部62の下端からグローブ3の側面側に膨出し、口縁64と面一で、グローブ3の側面に凸面を向けた凸レンズ部66を備えるようにした。これにより、胴部全域の光束を均一にすることができる。
【0073】
また、口縁64は、胴部62の内周面621側が光源4に近く、胴部62の外周面622が光源4から離間するように傾斜するようにした。これにより、胴部62の内周面621への入射角が調整でき、光線を効率よくジグザグに全反射させながら頭頂部61へ導くことができる。
【0074】
また、胴部62は、内周面621よりも外周面622の抜き勾配が大きいようにした。これにより、より多くの光線が胴部62内で終始ジグザグに全反射し、より多くの光線が頭頂部61へ到達する。
【0075】
また、胴部62の内周面621に形成され、胴部62内を進行する光線を、胴部62の外周面622から出射する入射角に変更する刻み溝67又はシボ67aを備えるようにした。これにより、導光体6は、頭頂部61へ導光する役割を得ながら、各光路途中で光線を側面に出射でき、光源装置1の側面の光束がより均一になる。即ち、入光面65の傾斜角αと、胴部62の口縁64を由来とする入光面65の領域A1の占有面積と、刻み溝67の存在とによって、光源装置1の頭頂部から出射させる光量と側面から出射させる光量の割合を自由に変化させることができる。
【0076】
また、導光体6の底部の外表面612に凹凸面69を備えるようにした。これにより、頭頂部61から外部へ出射する光線が多方向へ拡散し、頭頂部61の全域を均一な光束とすることができる。
【0077】
また、底部の外表面612は、底部の内表面613よりも表面粗度が小さくした。これにより、内表面613では反射が増加し、外表面612では反射が抑制され、頭頂部61の光束が向上する。
【0078】
特に、入光面65の傾斜角αを3°以上6°以下とし、胴部62の内周面621の抜き勾配βを1°以上3°以下とし、胴部62の外周面622を内周面621の抜き勾配より大きくすることで、頭頂部61へより多くの光線を導くことができ、頭頂部61の光束が更に向上する。
【0079】
また、頭頂部61の外表面612の勾配ζを15°以上27°以下の範囲とし、内周面612の刻み溝68の溝平面S2の傾斜角ηを38°以上45°以下の傾斜角とし、この溝平面S2の長さを最深部D2の2倍以上4倍以下とすることで、内周面612全域に光線が配分され、内周面612で光源装置1の軸に沿って光線が反射し、その光線が外表面612から出射するので、頭頂部61全域の光束がより均一化する。
【0080】
(他の実施形態)
以上のように本発明の各実施形態を説明したが、筐体21、グローブ3及び光源4と同軸で、頭頂部61となる底部をグローブ3の頭頂部に向け、光源4の直上まで口縁64を近接させた、略円筒コップ形状を有する導光体6を備えていれば、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。そして、これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0081】
図14に示すように、例えば、光源装置1を頭頂部側の照明装置11と口金22側の電源アダプタ装置12に分割し、照明装置11と電源アダプタ装置12とを着脱自在としてもよい。この光源装置1は、筐体21を光源装置1の軸と直交する方向に2分割される。電源アダプタ装置12は、口金22側の第1の筐体211であり、照明装置11は、頭頂部側の第2の筐体212及びグローブ3を一体化して成る。
【0082】
第2の筐体212は有底であり、この第2の筐体212は光源4と筒体9を支持する。第2の筐体212に被さるグローブ3は、導光体6とスピーカ5aと一体化して成る。制御基板8のうち、電源回路81とオーディオ制御回路82の無線受信部は、電源アダプタ装置12に配置され、制御基板8のうち、無線受信部を除いたオーディオ制御回路82と光源制御回路83は、照明装置11の筒体9内に配置される。電源アダプタ装置12は頭頂部側に天井面を有し、電源アダプタ装置12の天井面と照明装置11の底面には、互いの基板を電気的に接続するコネクタ14が配置される。
【0083】
更に、照明装置11と電源アダプタ装置12の外周囲には、ネジ孔13が設けられている。互いのコネクタ14を接続し、互いのネジ孔13を合わせ、ネジ孔13にネジを通すことで、照明装置11と電源アダプタ装置12は着脱自在に接続され、光源装置1となる。