【解決手段】 真性半導体材料から構成され、かつ厚さ方向zを向く基板主面11を有するとともに、基板主面11から窪む凹部13が設けられた基板1と、基板主面11および凹部13に配置された内部配線層21と、基板主面11に配置された内部配線層21から基板主面11が向く方向に向けて突出する柱状導電体22と、基板主面11と同方向を向く素子主面311と有し、かつ内部配線層21に導通する半導体素子31と、凹部13に充填され、かつ柱状導電体22および半導体素子31のそれぞれ一部ずつを覆う封止樹脂4と、を備え、基板1の厚さ方向z視において、半導体素子31は、凹部13に重なる部分を有し、素子主面311に接し、かつ外部に露出する放熱層59が配置されている。
前記外部配線層は、前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜との間に介在し、かつ前記第1埋込部および前記第2埋込部の双方につながる中間部をさらに有する、請求項16に記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という。)について、添付図面に基づいて説明する。
【0028】
〔第1実施形態〕
図1〜
図9に基づき、本発明の第1実施形態にかかる半導体装置A10について説明する。半導体装置A10は、基板1、内部配線層21、柱状導電体22、半導体素子31および封止樹脂4を備え、半導体素子31には、放熱層59が配置されている。本実施形態では、半導体装置A10はさらに、内部絶縁膜19、保護膜29、受動素子32、外部絶縁膜51、外部配線層52および端子6を備える。また、内部配線層21には、第1接合層27および第2接合層28が設けられている。ここで、本発明の特許請求の範囲において、「接合層」は、第1接合層27を指す。
【0029】
図1は、理解の便宜上、封止樹脂4および外部絶縁膜51を透過している。なお、
図1において透過した封止樹脂4および外部絶縁膜51を、ともに想像線(二点鎖線)で示している。
図3は、理解の便宜上、外部絶縁膜51、外部配線層52、放熱層59および端子6を省略している。
図4は、理解の便宜上、
図3に対して半導体素子31を透過し、かつ封止樹脂4を省略している。
図4において透過した半導体素子31を想像線で示している。
【0030】
半導体装置A10は、様々な電子機器の回路基板に表面実装される。
図1および
図2に示すように、基板1の厚さ方向z視(以下「平面視」と呼ぶ。)における半導体装置A10は、矩形状である。ここで、説明の便宜上、基板1の厚さ方向z(以下、単に「厚さ方向z」と呼ぶ。)に対して直角である半導体装置A10の長手方向を第1方向xと呼ぶ。また、基板1の厚さ方向zおよび第1方向xの双方に対して直角である半導体装置A10の短手方向を第2方向yと呼ぶ。
【0031】
基板1は、
図1〜
図6に示すように、内部配線層21および柱状導電体22が配置され、かつ半導体装置A10を回路基板に実装するための部材である。本実施形態では、基板1は、半導体素子31および受動素子32を搭載している。基板1は、単結晶の真性半導体材料から構成される。本実施形態にかかる当該真性半導体材料は、Siである。平面視における基板1は、第1方向xが長手方向である矩形状である。基板1は、基板主面11、裏面12および凹部13を有する。
【0032】
図5および
図6に示すように、基板主面11は、厚さ方向zを向く。基板主面11は、平面視において凹部13を囲む枠状である。基板主面11には、内部配線層21の第1配線層211(詳細は後述)と、柱状導電体22が配置されている。
【0033】
図5および
図6に示すように、裏面12は、厚さ方向zにおいて基板主面11とは反対側を向く。裏面12は、矩形状で、かつ外部に露出している。半導体装置A10を回路基板に実装した際、裏面12は、当該回路基板と同方向を向く。
【0034】
図4〜
図6に示すように、凹部13は、基板主面11から窪むように形成された基板1の空洞領域である。凹部13には、内部配線層21の第2配線層212(詳細は後述)が配置されている。本実施形態では、凹部13には、受動素子32が収容され、かつ封止樹脂4が充填されている。凹部13は、底面131および中間面132を有する。
【0035】
図4〜
図6に示すように、底面131は、厚さ方向zにおいて基板主面11と裏面12との間に位置し、かつ基板主面11対して平行である。底面131は、矩形状である。
【0036】
図4〜
図6に示すように、中間面132は、底面131および基板主面11の双方につながり、かつ底面131に対して傾斜している。中間面132は、底面131の端縁である四辺を取り囲む4つの面から構成される。底面131に対する各々の中間面132の傾斜角はいずれも同一で、当該傾斜角の大きさは、54.74°である。このため、真性半導体材料から構成された基板1において、基板主面11は、(100)面に設定され、かつ中間面132は、(111)面に設定されている。
【0037】
内部絶縁膜19は、
図5〜
図8に示すように、基板主面11と、凹部13の底面131および中間面132とを覆っている。内部絶縁膜19は、電気絶縁性を有し、かつ熱伝導性に富んだ材料から構成される。本実施形態にかかる内部絶縁膜19は、AlN(窒化アルミニウム)から構成される。内部絶縁膜19の構成材料は、AlN以外に、たとえばSi
3N
4(窒化ケイ素)であってもよい。
【0038】
内部配線層21は、
図4〜
図6に示すように、基板主面11および凹部13に配置された導電部材である。内部配線層21は、内部絶縁膜19の表面に接している。
図7および
図8に示すように、内部配線層21は、互いに積層された下地層20aおよびめっき層20bから構成される。下地層20aは、内部絶縁膜19の表面に接し、かつ厚さが200〜300nmの金属層である。下地層20aは、互いに積層されたTi層およびCu層から構成され、Ti層が内部絶縁膜19に接している。めっき層20bは、下地層20aのCu層に接し、かつ厚さが3〜10μmの金属層である。このため、めっき層20bの厚さは、下地層20aの厚さよりも厚く設定されている。めっき層20bは、Cuから構成される。内部配線層21は、第1配線層211および第2配線層212を含む。
【0039】
図4〜
図6に示すように、第1配線層211は、基板主面11に配置されている。本実施形態では、第1配線層211は、6箇所配置され、いずれも第1方向xに延びる帯状である。
【0040】
図4〜
図6に示すように、第2配線層212は、凹部13に配置されている。本実施形態では、第2配線層212は、2箇所配置され、ともに平面視において第1方向xに延びる帯状である。第2配線層212は、底面部212aおよび中間面部212bを有する。底面部212aは、凹部13の底面131に配置されている。中間面部212bは、凹部13の中間面132に配置されている。中間面部212bは、底面部212aおよび第1配線層211の双方につながっている。
【0041】
柱状導電体22は、
図3〜
図6に示すように、第1配線層211に配置された導電部材である。柱状導電体22は、第1配線層211から基板主面11が向く方向(厚さ方向z)に向けて突出している。柱状導電体22は、Cuから構成される。本実施形態では、柱状導電体22は、4箇所配置され、いずれも平面視において半導体素子31の外周に位置する。本実施形態にかかる柱状導電体22は、角柱状である。柱状導電体22は、角柱状以外に、たとえば円柱状であってもよい。柱状導電体22は、頂面221および側面222を有する。頂面221は、基板主面11と同方向(厚さ方向z)を向く。頂面221は、封止樹脂4から露出している。側面222は、厚さ方向zに対して直角である方向を向く。本実施形態では、側面222は、4つの面から構成され、各々の側面222は、第1方向xおよび第2方向yのいずれか一方を向く。
図7に示すように、側面222は、いずれも封止樹脂4に覆われている。
【0042】
第1接合層27は、
図3〜
図5および
図7に示すように、第1配線層211に配置された導電部材である。第1接合層27は、第1配線層211から基板主面11が向く方向(厚さ方向z)に向けて突出し、かつ柱状導電体22から離間して位置する。第1接合層27は、互いに積層されたNi層およびSnを主成分とする合金層から構成される。Ni層は、第1配線層211と合金層との間に介在する。また、合金層は、たとえばSn−Sb系合金またはSn−Ag系合金などの鉛フリーはんだである。本実施形態では、第1接合層27は、5箇所配置され、いずれも平面視において凹部13と柱状導電体22との間に位置する。本実施形態にかかる第1接合層27は、直方体状である。
【0043】
第2接合層28は、
図4〜
図6および
図8に示すように、第2配線層212の底面部212aに配置された導電部材である。第2接合層28は、凹部13の内方に向けて突出している。第2接合層28は、互いに積層されたNi層およびSnを主成分とする合金層から構成される。Ni層は、底面部212aと合金層との間に介在する。また、合金層は、たとえばSn−Sb系合金またはSn−Ag系合金などの鉛フリーはんだである。本実施形態では、第2接合層28は、2箇所配置され、ともに第1方向xに延びる直方体状である。なお、第2接合層28は、第2配線層212の中間面部212bに配置することができる。
【0044】
保護膜29は、
図4〜
図8に示すように、第1配線層211および第2配線層212を覆っている。本実施形態では、第1配線層211および第2配線層212が配置されていない内部絶縁膜19の部分も、保護膜29が覆っている。保護膜29は、電気絶縁性および耐熱性を有する材料から構成される。当該材料は、たとえばポリイミドである。
図7およb
図8に示すように、柱状導電体22、第1接合層27および第2接合層28は、各々の一部が保護膜29から突出している。
【0045】
半導体素子31は、
図3、
図5および
図7に示すように、内部配線層21に導通する。平面視において、半導体素子31は、凹部13に重なる部分を有する。本実施形態では、半導体素子31は、第1接合層27に接合され、かつ平面視において凹部13を跨いだ状態で第1配線層211に搭載されている。半導体素子31は、いわゆるフリップチップ型の素子である。本実施形態では、柱状導電体22によって、半導体素子31の収容空間が構成されている。本実施形態にかかる半導体素子31は、たとえばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などのスイッチング素子を駆動させるための回路が形成された集積回路(IC)である。なお、半導体素子31は、これに限定されず様々な回路が形成された素子とすることができる。半導体素子31は、素子主面311、素子裏面312および素子側面313を有する。
【0046】
図3および
図5〜
図7に示すように、素子主面311は、基板主面11と同方向(厚さ方向z)を向く。素子主面311は、封止樹脂4から露出している。また、素子主面311の中央には、放熱層59が配置されている。素子裏面312は、厚さ方向zにおいて素子主面311とは反対側を向き、かつ基板主面11および凹部13に対向する。
図7に示すように、素子裏面312には、複数の電極バンプ31aが配置されている。各々の電極バンプ31aは、第1接合層27に接合されている。本実施形態にかかる電極バンプ31aは、たとえばAlから構成される。
図3および
図7に示すように、素子側面313は、厚さ方向zに対して直角である方向を向く。本実施形態では、素子側面313は、4つの面から構成され、各々の素子側面313は、第1方向xおよび第2方向yのいずれか一方を向く。素子裏面312および素子側面313は、いずれも封止樹脂4に覆われている。
【0047】
受動素子32は、
図4〜
図6および
図8に示すように、第2配線層212の底面部212aに搭載され、かつ凹部13に収容されている。受動素子32は、第2接合層28に接合された、いわゆるフリップチップ型の素子である。受動素子32の裏面には、電極バンプ32aが設けられ、電極バンプ32aが第2接合層28に接合されている。本実施形態にかかる受動素子32は、薄膜チップインダクタである。なお、受動素子32は、これ以外にコンデンサや水晶振動子などでもよい。また、第2接合層28が第2配線層212の中間面部212bに配置されている場合は、受動素子32は、中間面部212bに搭載される。
【0048】
封止樹脂4は、
図3および
図5〜
図7に示すように、凹部13に充填され、かつ柱状導電体22および半導体素子31のそれぞれ一部ずつを覆う。封止樹脂4は、電気絶縁性を有する合成樹脂であり、たとえば黒色のエポキシ樹脂である。封止樹脂4は、樹脂主面41を有する。樹脂主面41は、基板主面11と同方向(厚さ方向z)を向く。柱状導電体22の頂面221と、半導体素子31の素子主面311とは、ともに樹脂主面41と面一である。
【0049】
外部絶縁膜51は、
図5〜
図7に示すように、半導体素子31の素子主面311の一部と、封止樹脂4の樹脂主面41とを覆う。外部絶縁膜51は、電気絶縁性および耐熱性を有する材料である感光性ポリイミドから構成される。外部絶縁膜51は、互いに積層された第1絶縁膜511および第2絶縁膜512を有する。第1絶縁膜511は、素子主面311の一部および樹脂主面41に接する。
図2および
図7に示すように、第1絶縁膜511には、厚さ方向zに沿って第1絶縁膜511を貫通し、かつ柱状導電体22の頂面221に通じる第1開口部511aが形成されている。第2絶縁膜512は、第1絶縁膜511に接し、かつ外部に露出する。
図2および
図7に示すように、第2絶縁膜512には、厚さ方向zに沿って第2絶縁膜512を貫通する第2開口部512aが形成されている。
【0050】
外部配線層52は、
図2、
図5および
図7に示すように、第1絶縁膜511および第2絶縁膜512の内部に配置され、かつ柱状導電体22と端子6とを接続する導電部材である。本実施形態では、外部配線層52は、4箇所配置されている。外部配線層52は、第1埋込部521、第2埋込部522および中間部523を有する。
【0051】
図2、
図5および
図7に示すように、第1埋込部521は、第1絶縁膜511に形成された第1開口部511aに埋め込まれ、かつ柱状導電体22の頂面221に接する。第1埋込部521は、内部配線層21と同じく、互いに積層された下地層20aおよびめっき層20bから構成される。下地層20aおよびめっき層20bの構成材料は、内部配線層21と同一である。第1埋込部521では、下地層20aが頂面221に接する。本実施形態にかかる第1埋込部521は、角柱状である。第1埋込部521は、角柱状以外に、たとえば円柱状であってもよい。
【0052】
図2、
図5および
図7に示すように、第2埋込部522は、第2絶縁膜512に形成された第2開口部512aに埋め込まれ、かつ端子6に接する。第2埋込部522は、内部配線層21と同じく、互いに積層された下地層20aおよびめっき層20bから構成される。下地層20aおよびめっき層20bの構成材料は、内部配線層21と同一である。第2埋込部522では、めっき層20bが端子6に接する。本実施形態にかかる第2埋込部522は、角柱状である。第2埋込部522は、角柱状以外に、たとえば円柱状であってもよい。
【0053】
図2、
図5および
図7に示すように、中間部523は、第1絶縁膜511と第2絶縁膜512との間に介在し、かつ第1埋込部521および第2埋込部522の双方につながる。中間部523は、内部配線層21と同じく、互いに積層された下地層20aおよびめっき層20bから構成される。下地層20aおよびめっき層20bの構成材料は、内部配線層21と同一である。中間部523では、下地層20aが第1埋込部521および第1絶縁膜511の双方に接し、めっき層20bが第2埋込部522に接する。平面視における中間部523は、矩形状である。なお、平面視において第2埋込部522が、いずれも第1埋込部521と重なる部分を有する場合は、中間部523の配置を省略することができる。
【0054】
放熱層59は、
図2、
図5および
図6に示すように、半導体素子31の素子主面311に接し、かつ外部に露出した状態で配置されている。放熱層59は、平面視において半導体素子31の中央に配置され、かつ外部絶縁膜51から露出している。
図9に示すように、放熱層59は、互いに積層された第1層591、第2層592、第3層593および第4層594から構成される。
【0055】
図9に示すように、第1層591は、素子主面311に接する。第1層591は、構成材料が外部配線層52の第1埋込部521と同一であり、その厚さは、第1絶縁膜511および第1埋込部521の各々の厚さと同一である。第2層592は、第1層591に接する。第2層592は、構成材料が外部配線層52の中間部523と同一であり、その厚さは、中間部523の厚さと同一である。第3層593は、第2層592に接する。第3層593は、構成材料が外部配線層52の第2埋込部522と同一であり、その厚さは、第2埋込部522の厚さと同一である。第2層592と第3層593との合計の厚さは、第2絶縁膜512の厚さに等しい。第4層594は、第3層593に接し、かつ外部に露出する。第4層594は、構成材料が端子6と同一であり、その厚さは、端子6の厚さと同一である。なお、外部配線層52において中間部523の配置を省略する場合は、第2層592の配置があわせて省略される。また、第4層594の配置を省略することが可能である。この場合は、第3層593が外部に露出する。
【0056】
端子6は、
図2および
図5〜
図7に示すように、外部配線層52を介して柱状導電体22に導通し、かつ外部に接続される導電部材である。端子6は、放熱層59と同じく外部絶縁膜51から露出している。半導体装置A10を実装する際、端子6にクリームはんだなどが付着する。本実施形態にかかる端子6は、互いに積層されたNi層、Pd層およびAu層から構成される。この場合では、Ni層が外部配線層52の第1埋込部521に接し、かつAu層が外部に露出するとともに、Pd層がNi層とAu層との間に介在する。本実施形態では、端子6は、4箇所配置され、いずれも平面視において放熱層59の外周に位置する。
【0057】
次に、
図10〜
図30に基づき、半導体装置A10の製造方法の一例について説明する。
【0058】
図10および
図12〜
図29の断面位置および範囲は、いずれも
図5のこれらと同一である。
図10〜
図30において示される基材80(詳細は後述)の厚さ方向z、第1方向xおよび第2方向yは、
図1〜
図6において示される厚さ方向z、第1方向xおよび第2方向yに相当する。
【0059】
最初に、
図10〜
図12に示すように、厚さ方向zを向く主面801を有し、かつ単結晶の真性半導体材料から構成される基材80に、主面801から窪む凹部81を形成する。基材80は、半導体装置A10の基板1に相当する部分の集合体である。本実施形態にかかる基材80を構成する真性半導体材料はSiであり、たとえば基材80はシリコンウエハである。凹部81は、次の手順により形成される。
【0060】
まず、
図10に示すように、基材80の主面801に対して第1絶縁膜802を形成する。本実施形態にかかる第1絶縁膜802は、たとえばSi
3N
4から構成される薄膜であり、プラズマCVDにより形成される。この場合において、主面801は(100)面であり、かつ第1絶縁膜802により全面が覆われた状態になる。そして、形成した第1絶縁膜802に対してフォトリソグラフィによりマスクを形成した後、ドライエッチングの代表例である反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)により第1絶縁膜802を部分除去する。第1絶縁膜802がSi
3N
4から構成される場合は、たとえばCF
4をエッチングガスとする。これにより、第1絶縁膜802には、平面視において矩形状である開口部803が形成される。開口部803から主面801が露出する。
【0061】
次いで、
図11および
図12に示すように、開口部803から露出する主面801から窪む凹部81を基材80に形成する。凹部81が半導体装置A10の基板1の凹部13に相当する。凹部81は、主面801と平行であり、かつ矩形状の底面811と、底面811および主面801の双方につながり、かつ底面811に対して傾斜している4つの中間面812とを有する。凹部81は、アルカリ性の溶液を用いた異方性エッチングにより形成される。当該溶液は、たとえばKOH(水酸化カリウム)溶液またはTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)溶液である。この場合において、各々の中間面812は、いずれも(111)面である。凹部81を形成した後、基材80に形成された第1絶縁膜802を全て除去する。第1絶縁膜802がSi
3N
4から構成される場合は、たとえばCF
4をエッチングガスとした反応性イオンエッチングまたは加熱リン酸溶液を用いたウェットエッチングにより除去される。このとき、
図11に示すように、基材80において互いに離間する複数の凹部81と、各々の凹部81を囲む主面801とが現れる。
図11において、半導体装置A10の基板1に相当する範囲を想像線で示す。以上の手順により凹部81が形成される。
【0062】
次いで、
図13に示すように、主面801および凹部81に接する第2絶縁膜804と、第2絶縁膜804に接する第1下地層821をそれぞれ形成する。第2絶縁膜804が半導体装置A10の内部絶縁膜19に相当する。第2絶縁膜804は、AlNから構成される薄膜であり、たとえばCVDにより形成される。なお、第2絶縁膜804は、Si
3N
4から構成される薄膜とすることができ、その場合は第1絶縁膜802と同じくプラズマCVDにより形成される。また、第1下地層821は、互いに積層されたTi層およびCu層であり、それぞれスパッタリング法により形成される。第1下地層821の形成にあたっては、先にTi層を形成し、その後にCu層を形成する。
【0063】
次いで、
図14に示すように、第1下地層821に接する第1めっき層822を形成する。第1めっき層822は、Cuから構成される。第1めっき層822は、フォトリソグラフィによりパターンを形成した後、第1下地層821を活用した電解めっきにより形成される。第1めっき層822は、パターンを構成するレジスト層(図示略)から露出した第1下地層821に形成される。第1めっき層822を形成した後、当該レジスト層を除去する。
【0064】
次いで、
図15に示すように、主面801および凹部81に配置された第1めっき層822に接する接合層823を形成する。接合層823は、互いに積層されたNi層およびSnを主成分とする合金層から構成される。接合層823は、フォトリソグラフィによりパターンを形成した後、第1下地層821を活用した電解めっきにより形成される。接合層823は、パターンを構成するレジスト層(図示略)から露出した第1めっき層822に形成される。接合層823の形成にあたっては、先にNi層を形成し、その後に合金層を形成する。接合層823を形成した後、当該レジスト層を除去する。
【0065】
次いで、
図16に示すように、主面801に配置された第1めっき層822に接する柱状体824を形成する。柱状体824は、Cuから構成される。柱状体824は、フォトリソグラフィによりパターンを形成した後、第1下地層821を活用した電解めっきにより形成される。柱状体824は、パターンを構成するレジスト層(図示略)から露出した第1めっき層822に形成される。柱状体824を形成した後、当該レジスト層を除去する。
【0066】
次いで、
図17に示すように、第1めっき層822に覆われていない第1下地層821を除去した後、第2絶縁膜804および第1めっき層822を覆う保護膜825を形成する。保護膜825が半導体装置A10の保護膜29に相当する。まず、第1下地層821を、たとえばウェットエッチングにより除去する。当該ウェットエッチングでは、たとえばH
2SO
4(硫酸)およびH
2O
2(過酸化水素)の混合溶液が用いられる。第1下地層821を除去した部分から第2絶縁膜804が現れる。次に、保護膜825を形成する。保護膜825は、たとえばスピンコータ(回転式塗布装置)を用いて感光性ポリイミドを主面801および凹部81に塗布した後、フォトリソグラフィの露光・現像により形成される。露光・現像によって、接合層823および柱状体824のそれぞれ一部を露出させることができる。保護膜825の形成が完了した状態において、互いに積層された第1下地層821および第1めっき層822が半導体装置A10の内部配線層21に相当し、接合層823が半導体装置A10の第1接合層27および第2接合層28に相当する。
【0067】
次いで、
図18に示すように、第1素子831および第2素子832を接合層823に接合させる。第1素子831が半導体装置A10の受動素子32に相当する。また、第2素子832は、半導体素子である。第1素子831および第2素子832の接合層823への接合は、ともにフリップチップボンディングにより行う。まず、第1素子831の電極バンプ831aにフラックスを塗布した後、フリップチップボンダを用いて第1素子831を凹部81の底面811に配置された接合層823に仮付けする。このとき、第1素子831が凹部81に収容される。次に、第2素子832の電極バンプ832aにフラックスを塗布した後、フリップチップボンダを用いて第2素子832を主面801に配置された接合層823に仮付けする。次に、リフローにより接合層823を溶融させ、その後冷却により接合層823を固化させることによって、第1素子831および第2素子832の接合層823への接合が完了する。
【0068】
次いで、
図19に示すように、凹部81に充填され、かつ柱状体824および第2素子832を覆う封止樹脂84を形成する。本実施形態にかかる封止樹脂84は、黒色のエポキシ樹脂である。封止樹脂84は、コンプレッション成形により形成される。
【0069】
次いで、
図20に示すように、厚さ方向zにおける柱状体824、第2素子832および封止樹脂84の各々の一端を除去する。除去は、機械研削により行われる。また、厚さ方向zにおける除去の範囲は、回路が形成されていない第2素子832の部分に対応する範囲である。これらの除去が完了した状態において、柱状体824が半導体装置A10の柱状導電体22に相当し、第2素子832が半導体装置A10の半導体素子31に相当し、封止樹脂84が半導体装置A10の封止樹脂4に相当する。
【0070】
次いで、
図21に示すように、厚さ方向zにおいて柱状体824、第2素子832および封止樹脂84の各々の一端に接する第3絶縁膜851を形成する。第3絶縁膜851が半導体装置A10の外部絶縁膜51の第1絶縁膜511に相当する。第3絶縁膜851は、たとえばスピンコータを用いて感光性ポリイミドをこれらの一端に塗布した後、フォトリソグラフィの露光・現像により形成される。このとき、露光・現像によって、第3絶縁膜851には、柱状体824の端面に通じる第1開口851aと、第2素子832の端面に通じる第2開口851bとが形成される。
【0071】
次いで、
図22に示すように、第3絶縁膜851に接する第2下地層861を形成する。第2下地層861は、構成材料が第1下地層821と同一であり、かつスパッタリング法により形成される。このとき、第1開口851aから露出する柱状体824と、第2開口851bから露出する第2素子832とが、ともに第2下地層861に覆われる。
【0072】
次いで、
図23に示すように、第2下地層861に接し、かつ第1開口851aおよび第2開口851bを埋める第2めっき層862を形成する。第2めっき層862は、構成材料が第1めっき層822と同一である。第2めっき層862は、フォトリソグラフィによりパターンを形成した後、第2下地層861を活用した電解めっきにより形成される。第2めっき層862を形成した後、パターンを構成するレジスト層(図示略)と、第1開口851aおよび第2開口851b以外に形成された第2下地層861を除去する。第2下地層861の除去方法は、
図17に示す工程における第1下地層821の除去方法と同一である。第2下地層861の除去が完了した状態において、第1開口851aを埋める第2下地層861および第2めっき層862が、半導体装置A10の外部配線層52の第1埋込部521に相当する。あわせて、第2開口851bを埋める第2下地層861および第2めっき層862が、半導体装置A10の放熱層59の第1層591に相当する。
【0073】
次いで、
図24に示すように、第3絶縁膜851および第2めっき層862に接する第3下地層863を形成する。第3下地層863は、構成材料が第1下地層821と同一であり、かつスパッタリング法により形成される。
【0074】
次いで、
図25に示すように、第3下地層863に接する第3めっき層864を形成する。第3めっき層864は、構成材料が第1めっき層822と同一である。第3めっき層864は、フォトリソグラフィによりパターンを形成した後、第3下地層863を活用した電解めっきにより形成される。第3下地層863は、パターンを構成するレジスト層(図示略)から露出した第3下地層863に形成される。第3めっき層864を形成した後、当該レジスト層と、第3めっき層864に覆われていない第3下地層863とを除去する。第3下地層863の除去方法は、
図17に示す工程における第1下地層821の除去方法と同一である。第3下地層863の除去が完了した状態において、互いに積層された第3下地層863および第3めっき層864が、半導体装置A10の外部配線層52の中間部523と、放熱層59の第2放熱層とに相当する。
【0075】
次いで、
図26に示すように、第3絶縁膜851に接する第4絶縁膜852を形成する。第4絶縁膜852が半導体装置A10の外部絶縁膜51の第2絶縁膜512に相当する。第4絶縁膜852は、構成材料が第3絶縁膜851と同一であり、その形成方法は、
図20に示す工程における第3絶縁膜851の形成方法と同一である。フォトリソグラフィの露光・現像によって、第4絶縁膜852には、柱状体824の端面の上方に形成された第3めっき層864に通じる第3開口852aが形成される。あわせて、第4絶縁膜852には、第2素子832の端面の上方に形成された第3めっき層864に通じる第4開口852bが形成される。
【0076】
次いで、
図27に示すように、第4絶縁膜852に接する第4下地層865を形成する。第4下地層865は、構成材料が第1下地層821と同一であり、かつスパッタリング法により形成される。このとき、第3開口852aから露出する第3めっき層864と、第4開口852bから露出する第3めっき層864とが、ともに第4下地層865に覆われる。
【0077】
次いで、
図28に示すように、第4下地層865に接し、かつ第3開口852aおよび第4開口852bを埋める第4めっき層866を形成する。第4めっき層866は、構成材料が第1めっき層822と同一である。第4めっき層866は、フォトリソグラフィによりパターンを形成した後、第4下地層865を活用した電解めっきにより形成される。第4めっき層866を形成した後、パターンを構成するレジスト層(図示略)と、第3開口852aおよび第4開口852b以外に形成された第4下地層865を除去する。第4下地層865の除去方法は、
図17に示す工程における第1下地層821の除去方法と同一である。第4下地層865の除去が完了した状態において、第3開口852aを埋める第4下地層865および第4めっき層866が、半導体装置A10の外部配線層52の第2埋込部522に相当する。あわせて、第4開口852bを埋める第4下地層865および第4めっき層866が、半導体装置A10の放熱層59の第3層593に相当する。
【0078】
次いで、
図29に示すように、第4めっき層866に接する金属薄膜87を形成する。金属薄膜87は、互いに積層されたNi層、Pd層およびAu層から構成される。金属薄膜87は、Ni層、Pd層、Au層の順に無電解めっきにより各金属層を析出させることによって形成される。金属薄膜87の形成が完了した状態において、第3開口852aを埋める第4めっき層866に接する金属薄膜87が、半導体装置A10の端子6に相当する。あわせて、第4開口852bを埋める第4めっき層866に接する金属薄膜87が、半導体装置A10の放熱層59の第4層594に相当する。なお、金属薄膜87の形成の際、第4開口852bを埋める第4めっき層866にマスキングを施すことによって、第4層594の配置が省略された放熱層59を得ることができる。
【0079】
最後に、
図30に示すように、切断線CLに沿って基材80および封止樹脂84などを切断することによって、様々な構成要素が搭載された基材80を半導体装置A10に相当する個片に分割する。切断にあたっては、たとえばプラズマダイシングを適用する。分割された各々の個片が半導体装置A10となる。以上の工程を経ることによって、半導体装置A10が製造される。
【0080】
次に、半導体装置A10の作用効果について説明する。
【0081】
半導体装置A10は、基板1の凹部13に収容され、かつ柱状導電体22および半導体素子31のそれぞれ一部ずつを覆う封止樹脂4を備える。また、半導体装置A10では、平面視において凹部13に重なる部分を半導体素子31が有するとともに、半導体素子31の素子主面311に接し、かつ外部に露出する放熱層59が配置されている。このような構成をとることによって、半導体装置A10の通電時に半導体素子31から発生した熱は、放熱層59を経由して外部に効率よく放熱される。したがって、半導体装置A10によれば、半導体素子31から発生した熱を効率よく外部に放出することが可能となる。
【0082】
半導体装置A10は、基板主面11および凹部13を覆う内部絶縁膜19を備える。このような構成をとることによって、半導体素子31から発生した熱の放熱性をより向上させることができる。なお、内部絶縁膜19の構成物質は、AlNであることが好ましい。
【0083】
半導体装置A10では、半導体素子31は、平面視において凹部13を跨いだ状態で第1配線層211に搭載されている。このような構成をとることによって、凹部13に受動素子32を収容することができるため、半導体装置A10における回路構成の幅を拡げることができる。
【0084】
半導体装置A10では、第1配線層211から基板主面11が向く方向に向けて突出し、かつ柱状導電体22から離間して位置する第1接合層27が第1配線層211に設けられている。半導体素子31は、第1接合層27に接合されている。このような構成をとることによって、フリップチップ実装により半導体素子31を第1配線層211に搭載できるため、半導体装置A10の小型化を図ることが可能である。
【0085】
半導体装置A10は、第1配線層211および第2配線層212を覆う保護膜29を備える。柱状導電体22および第1接合層27は、各々の一部が保護膜29から突出している。このような構成をとることによって、フリップチップ実装により半導体素子31を第1配線層211に搭載する際、溶融した第1接合層27が第1配線層211から溢れ出た場合であっても、内部配線層21に意図しない導線経路が形成されない。
【0086】
半導体装置A10は、素子主面311の一部および樹脂主面41を覆い、かつ外部に露出する外部絶縁膜51を備える。このような構成をとることによって、柱状導電体22と端子6とを接続する外部配線層52を外部絶縁膜51の内部に配置することができる。このため、平面視において半導体素子31に重なる外部配線層52の配置パターンをとることができる。したがって、半導体装置A10の大型化を回避しつつ、外部配線層52の配線パターンを自在に設定することができる。
【0087】
また、外部絶縁膜51を備えることによって、外部配線層52とともに端子6が平面視において半導体素子31と重なる配置形態をとることができる。このため、平面視における端子6の面積を極力拡大し、半導体装置A10の放熱性をさらに向上させることが可能となる。
【0088】
柱状導電体22の頂面221と、樹脂主面41とは、ともに素子主面311と面一である。このような構成をとることによって、半導体装置A10の厚さ方向zの寸法を短く設定し、装置の低背化を図ることができる。また、フォトリソグラフィおよび電解めっきによって、外部配線層52および放熱層59を同時に形成することができる。
【0089】
〔第2実施形態〕
図31〜
図34に基づき、本発明の第2実施形態にかかる半導体装置A20について説明する。これらの図において、先述した半導体装置A10と同一または類似の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略することとする。
【0090】
図32は、理解の便宜上、封止樹脂4、外部絶縁膜51、外部配線層52、放熱層59および端子6を省略している。また、
図33は、
図31に示す一点鎖線に沿う断面図である。
【0091】
本実施形態にかかる半導体装置A20は、内部配線層21に搭載される半導体素子31の構成が先述した半導体装置A10と異なる。
【0092】
図31〜
図34に示すように、半導体素子31は、凹部13に配置された第2配線層212の底面部212aに搭載されている。この場合において、半導体素子31は、その一部が凹部13に収容されているとともに、厚さ方向zにおいて素子主面311が、基板主面11に対して凹部13から離れて位置する。なお、本実施形態においても、柱状導電体22の頂面221と、樹脂主面41とは、ともに素子主面311と面一である。
【0093】
図32〜
図34に示すように、第1接合層27は、第2配線層212の底面部212aに設けられている。第1接合層27は、第2配線層212から凹部13の内方に向けて突出している。内部配線層21、柱状導電体22および第1接合層27は、半導体素子31の電極バンプ31aに対応した配置形態となり、いずれも10箇所配置されている。また、
図31に示すように、柱状導電体22の配置形態に対応して、外部配線層52および端子6の配置形態が設定されている。
【0094】
本実施形態では、受動素子32が内部配線層21に搭載されない構成となっている。このため、受動素子32を内部配線層21に接合するための第2接合層28が省略されている。
【0095】
なお、半導体装置A20の製造方法は、先述した半導体装置A10の製造方法の一例と同様である。
【0096】
次に、半導体装置A20の作用効果について説明する。
【0097】
半導体装置A20は、先述した半導体装置A10と同様に、基板1の凹部13に収容され、かつ柱状導電体22および半導体素子31のそれぞれ一部ずつを覆う封止樹脂4を備える。また、半導体装置A20においても、平面視において凹部13に重なる部分を半導体素子31が有するとともに、半導体素子31の素子主面311に接し、かつ外部に露出する放熱層59が配置されている。したがって、半導体装置A20によっても、半導体素子31から発生した熱を効率よく外部に放出することが可能となる。
【0098】
半導体装置A20では、第2配線層212から凹部13の内方に向けて突出する第1接合層27が第2配線層212に設けられている。半導体素子31は、第1接合層27に接合されている。このような構成をとることによって、フリップチップ実装により半導体素子31を第2配線層212に搭載できるため、半導体装置A20の小型化を図ることが可能である。
【0099】
本発明は、先述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。