【実施例1】
【0021】
電子部品としてダイプレクサを例に説明する。
図1は、実施例1に係るダイプレクサの回路図である。
図1に示すように、ダイプレクサ100において共通端子Taと端子T1との間にLPF(ローパスフィルタ)24が接続されている。共通端子Taと端子T2との間にHPF(ハイパスフィルタ)26が接続されている。LPF24およびHPF26のグランド側はグランド端子Tgに接続されている。
【0022】
LPF24はインダクタL11およびL12とキャパシタC11からC13を備えている。インダクタL11およびL12は共通端子Taと端子T1との間に直列に接続されている。キャパシタC11はインダクタL12に並列に接続されている。キャパシタC12およびC13は、それぞれノードN1とグランド端子Tgとの間およびノードN2とグランド端子Tgとの間にそれぞれ接続されている。
【0023】
HPF26は、インダクタL21およびキャパシタC21からC23を備えている。キャパシタC21およびC23は共通端子Taと端子T2との間に直列に接続されている。キャパシタC22およびインダクタL21はキャパシタC21とC23との間のノードN3とグランド端子Tgとの間に直列に接続されている。
【0024】
各インダクタのインダクタンスは、例えば以下である。
L11:7nH、L12:4nH、L21:6nH
各キャパシタのキャパシタンスは以下である。
C11:2pF、C12:4pF、C13:2.5pF
C21:2.5pF、C22:5pF、C23:3pF
各フィルタの通過帯域は、例えば以下の周波数帯域を含むように設定されている。
LPF24:669MHz〜960MHz
HPF26:1710MHz〜2690MHz
【0025】
LPF24は、共通端子Ta(または端子T1)に入力する高周波信号のうち通過帯域内の信号を端子T1(または共通端子Ta)に通過させHPF26の通過帯域の信号を抑圧する。HPF26は、共通端子Ta(または端子T2)に入力する高周波信号のうち通過帯域内の信号を端子T2(または共通端子Ta)に通過させLPF24の通過帯域の信号を抑圧する。共通端子Taには例えばアンテナが接続される。端子T1およびT2には例えば高周波スイッチ等を介してそれぞれ低周波帯域用および高周波帯域用のデュプレクサが接続される。
【0026】
図2(a)および
図2(b)は、実施例1に係るダイプレクサの斜視図およびB−B断面図である。
図2(a)は、積層体10を透過して端子電極20を図示している。以下の斜視図も同様である。
図2(a)および
図2(b)に示すように、積層体10の下面に端子電極20が設けられている。端子電極20は、共通端子Ta、端子T1、T2およびグランド端子Tgを含む。端子電極20はLGAのランド電極であり、
図2(b)のように、マザーボード30(回路基板または配線基板)に接続するための端子である。このため、全ての端子が積層体10の下面に設けられている。端子電極20は、積層体10の下面に設けられた金属層21と、金属層21の積層体10と反対側に設けられた金属層22と、を有する。
【0027】
端子電極20の大きさおよび面積は、例えば以下である。
共通端子Ta:180μm×125μm、22500μm
2
端子T1:180μm×400μm、72000μm
2
端子T2:180μm×400μm、72000μm
2
グランド端子Tg:180μm×125μm、22500μm
2
【0028】
共通端子Taと端子T1とは
図1のようにインダクタL11およびL12を介し直流的に接続されている(
図2(a)の実線52)。端子T2およびグランド端子Tgは、他の端子との間にキャパシタC12、C13またはC22が接続されており、他の端子と直流的に接続されていない。
【0029】
図3および
図4は、実施例1における積層体の解体斜視図である。
図3および
図4に示すように、複数の誘電体層11aから11iが積層されている。誘電体層11bから11iの間に導電体パターン12bから12iが形成されている。誘電体層11iの下面に端子電極20が形成されている。端子電極20は、共通端子Ta、端子T1、T2およびグランド端子Tgに対応する。
【0030】
導電体パターン12bから12iはインダクタのコイル14およびキャパシタの電極15を形成する。導電体パターン12bから12i間はビア配線13により接続される。ビア配線13の接続は垂直方向の破線で示す。この例では、導電体パターン12bおよび12cにより、インダクタL11およびL21が形成され、導電体パターン12dおよび12eによりインダクタL12が形成される。導電体パターン12fおよび12gによりキャパシタC11およびC22が形成される。導電体パターン12fから12hによりキャパシタC12が形成される。導電体パターン12gから12iによりキャパシタC21およびC23が形成される。導電体パターン12hおよび12iによりキャパシタC13が形成される。
【0031】
LPF24に含まれるキャパシタの電極15およびコイル14と、HPF26に含まれるキャパシタの電極15およびコイル14と、は平面視において重なっていない。これにより、LPF24とHPF26との干渉を抑制することができる。
【0032】
各誘電体層11aから11iの膜厚は、例えば、35μm、15μm、80μm、15μm、75μm、10μm、10μm、10μmおよび35μmである。
【0033】
図5は、実施例1に係るダイプレクサの製造方法を示すフローチャートである。
図5に示すように、シート状の誘電体層11を形成する(ステップS10)。誘電体層11は例えばドクターブレード法を用い作製する。誘電体層11は、例えばAl、Siおよび/またはCa等の酸化物を含むセラミックス材料である。
【0034】
誘電体層11を貫通するビア配線13を形成する(ステップS12)。例えば誘電体層11を貫通するビアホールをレーザ光照射により形成する。スキージ法等を用いビアホール内にビア配線13を形成する。
【0035】
誘電体層11の表面に導電体パターン12を形成する(ステップS14)。導電体パターン12は例えばスクリーン印刷法または転写法を用い形成する。導電体パターン12およびビア配線13は、例えばAg、Pd、Pt、Cu、Ni、Au、Au−Pd合金またはAg−Pt合金等の金属層である。
【0036】
誘電体層11のうち最も下層の誘電体層11iの下面に端子電極20のうち金属層21を形成する(ステップS16)。金属層21は例えばスクリーン印刷法または転写法を用い形成する。金属層21は、例えばAg、CuまたはAu等の金属層である。
【0037】
誘電体層11を積層し圧着する(ステップS18)。誘電体層11の積層には例えば熱加圧または接着剤を用いる。これにより、積層体が形成される。
【0038】
積層体をカットし個片化する(ステップS20)。積層体のカットは、例えばブレードを用いた押し切りにより行う。積層体は焼成の前のため容易に押し切りすることができる。
【0039】
積層体を焼成する(ステップS22)。焼成温度は、700℃以上である。これにより、誘電体層11が焼結体となる。焼成温度は、導電体パターン12および金属層21の融点より低いため、導電体パターン12および金属層21が溶融することはない。
【0040】
メッキ法を用い金属層21の下面に金属層22を形成する(ステップS24)。金属層22の形成には例えばバレルメッキ法を用いる。バレルメッキ法では、積層体10と導電性の金属粒(メディア)をメッキ液に浸す。メッキ液を攪拌しながらメッキ液に電流を流す。これにより、金属層21の表面にメッキ金属が析出する。電流は、メディアが積層体10の電極に接触したときに流れメッキ金属が析出する。金属層21の面積が大きいと、金属層21がメディアに接触する確率が高くなる。これにより、メッキ金属の析出量が多くなる。このように、メッキ金属の析出量は、金属層21の面積に依存する。金属層22は、例えば金属層21側からNi膜およびSn膜である。Sn膜は、電子部品をマザーボード等に実装するための半田層であり、Ni膜は、半田層と金属層21との間の相互拡散を抑制するためのバリア層である。
【0041】
電子部品の特性を検査する(ステップS26)。以上により、実施例1に係るダイプレクサが完成する。
【0042】
ステップS20の積層体をカットし個片化する工程はステップS22の焼成工程の前が好ましい。積層体を焼成すると積層体が硬くなるため押し切りができず、高価なダイシング工程等を行うことになるためである。ステップS24の金属層22の形成はステップS22の焼成工程の後が好ましい。金属層22として焼成温度より融点の低い半田等を用いると、焼成工程で溶融してしまうためである。ステップS24では、個片化した積層体10に金属層22を形成するため、バレルメッキ法を用いる。
【0043】
図2(a)のように、共通端子Taおよびグランド端子Tgは端子T1およびT2の面積より小さい。共通端子Taおよびグランド端子Tgが小さいのは小型化のためである。端子電極20内で面積を異ならせるのは、マザーボード30に実装するときの要求による。特に、端子電極20をLGAとすると、端子電極20は、積層体10の面のうち下面にのみ設けられることになる。ダイプレクサを小型化しようとすると、積層体10の下面の面積が小さくなる。よって、端子電極20の配置に制約ができ、端子電極20のうち一部の面積が小さくなる。
【0044】
図5のステップS24において、メッキ金属の析出量は、端子電極20(すなわち金属層21)の面積にほぼ比例する。すなわち、金属層22の膜厚は端子電極20の面積にほぼ比例する。導電体パターンを介し直流的に接続されている端子電極20における金属層22の膜厚は、接続された端子電極20の合計の面積に比例する。例えば、共通端子Taおよび端子T1は、インダクタL11およびL12を介し(導電体パターン12bから12iを介し)直流的に接続されている。このため、バレルメッキを行なうときの共通端子Taおよび端子T1の実質的な面積は、共通端子Taと端子T1の合計の面積となる。
【0045】
図6(a)および
図6(b)は、比較例1に係るダイプレクサ110の断面図である。
図6(a)および
図6(b)は、それぞれ
図2(a)のA−A断面およびB−B断面に相当する。
図6(a)および
図6(b)に示すように、金属層21の膜厚t1は、一定とし、例えば10μmとする。端子T1、T2、共通端子Taおよびグランド端子Tgにおける金属層22の膜厚をそれぞれt12,t22、ta2およびtg2とする。
【0046】
比較例1におけるダイプレクサ110の各端子における金属層22の膜厚は各端子の面積(直流的に接続されている場合、接続された端子の面積の合計)に比例する。金属層22の最低の膜厚を3μmとしたとき、各端子電極20の実質的な面積(直流的に接続された端子電極20の合計の面積)および金属層22の膜厚は例えば以下となる。
共通端子Ta:94500μm
2、ta2=12.6μm
端子T1:94500μm
2、t12=12.6μm
端子T2:72000μm
2、t22=9.6μm
グランド端子Tg:22500μm
2、tg2=3μm
【0047】
端子T2およびグランド端子Tgは共通端子Taおよび端子T1より薄くなってしまう。これにより、ダイプレクサ110のコプラナリティが悪化する。よって、ダイプレクサ110をマザーボード30に実装したときに、端子T1およびグランド端子Tgとマザーボード30との接合が弱くなってしまう可能性がある。
【0048】
図7(a)および
図7(b)は、実施例1に係るダイプレクサの断面図である。
図7(a)および
図7(b)は、それぞれ
図2(a)のA−A断面およびB−B断面に相当する。実施例1のダイプレクサ100では、金属層21の膜厚を端子ごとに異ならせる。端子T1、T2、共通端子Taおよびグランド端子Tgにおける金属層21の膜厚をそれぞれt11,t21、ta1およびtg1とする。各端子電極20の金属層21および22の膜厚は例えば以下となる。
共通端子Ta:ta1=10μm、ta2=12.6μm
端子T1:t11=10μm、t12=12.6μm
端子T2:t21=13μm、t22=9.6μm
グランド端子Tg:tg1=19.6μm、tg2=3μm
以上により、各端子電極20の膜厚はほぼ22.6μmとなる。このように、端子電極20の膜厚を均一化でき、コプラナリティを向上できる。
【0049】
特許文献1の方法では、コプラナリティは向上するものの、導電体パターンと接続されるメッキ用電極を積層体の表面に設ける。これにより、他の導電体パターンと高周波的に干渉してしまう。干渉を抑制しようとすると、メッキ用電極と導電体パターンとの配置の関係が制限される。これにより、電子部品が大型化してしまう。実施例1では、このような導電体パターンの配置の制限がないため、電子部品を小型化できる。
【0050】
図5のステップS24における金属層22の形成方法の例を説明する。
図8(a)から
図8(c)は、実施例1における金属層21の形成方法を示す断面図である。
図8(a)に示すように、誘電体層11上(積層体の下面に相当する)に金属層21aを形成する。
図8(b)に示すように、誘電体層11上に金属層21bを形成する。
図8(c)に示すように、誘電体層11上に金属層21cを形成する。金属層21aから21cは、例えばスクリーン印刷法または転写法を用い形成する。このように、金属層21aから21cの厚さをそれぞれ異ならせて形成してもよい。金属層21aから21cを形成する順番は問わないが、金属層21aから21cのうち薄い金属層21aから順に形成することが好ましい。これにより、前に形成された金属層が後の金属層の形成工程の障害となることを抑制できる。
【0051】
図9(a)から
図9(c)は、実施例1における金属層21の別の形成方法を示す断面図である。
図9(a)に示すように、誘電体層11上に金属層21bおよび21cの一部となる金属層21dを形成する。
図9(b)に示すように、誘電体層11上に金属層21cの一部となる金属層21eを形成する。
図9(c)に示すように、誘電体層11上に金属層21aから21cの一部となる金属層21fを形成する。金属層21fにより金属層21aが形成される。金属層21dおよび21fにより金属層21bが形成される。金属層21dから21fにより金属層21cが形成される。金属層21dから21fは、例えばスクリーン印刷法または転写法を用い形成する。
【0052】
金属層21aから21cは、スクリーン印刷法および転写法以外に、インクジェット法を用い形成してもよい。
【0053】
このように、1または複数の金属層21dから21fを積層することにより金属層21aから21cを形成してもよい。金属層21aから21cを形成する順番は問わないが、金属層21dから21fのうち薄い金属層21dから順に形成することが好ましい。これにより、前に形成された金属層が後の金属層の形成工程の障害となることを抑制できる。金属層21bおよび21cの膜厚が、スクリーン印刷法または転写法を用い一度に形成できる膜厚を越えている場合、
図9(a)から
図9(c)の金属層21の形成方法を用いることが好ましい。
【実施例3】
【0059】
図13は、実施例3に係るダイプレクサの回路図である。
図13に示すように、ダイプレクサ104では、グランド端子Tgが2つ設けられている。インダクタおよびキャパシタに接続されていないダミー端子Tdが設けられている。その他の構成は実施例2の
図10と同じであり説明を省略する。
【0060】
図14は、実施例3に係るダイプレクサの斜視図である。
図14に示すように、ダイプレクサ104では、端子電極20は、共通端子Ta、端子T1、T2、2つのグランド端子Tgおよびダミー端子Tdを含む。ダミー端子Tdは積層体10内の導電体パターンとは電気的に接続されておらず、マザーボード30と機械的に接続するための端子である。
【0061】
共通端子Taおよび端子T1と端子T2と2つのグランド端子Tgとダミー端子Tdとの実質的な面積比は2:1:2:1である。実施例1および2と同様に、金属層21の膜厚を各端子電極20で異ならせる。これにより、端子電極20の膜厚を均一化でき、コプラナリティを向上できる。その他の構成は実施例2と同じであり説明を省略する。
【0062】
以下に実施例1から3をまとめる。積層体10の下面に設けられた複数の端子電極20を、複数の端子群AからCに分けて考える。積層体10内の導電体パターン12bから12iのいずれを介しても他の端子電極20に直流電流が導通しないように設けられておらず、複数の導電体パターン12bから12iの少なくとも1つを介し互いに直流電流が導通するように設けられた1または複数の端子電極20を端子群AからCとする。
【0063】
表1は実施例1における端子群AからCをまとめた表である。実施例1では、表1および
図2(a)のように、端子T1と共通端子Taが端子群Aであり、グランド端子Tgは端子群B、端子T2は端子群Cである。
【表1】
【0064】
表2は実施例2における端子群AからCをまとめた表である。実施例2では、表2および
図11のように、3つのグランド端子Tgが端子群Aであり、端子T1と共通端子Taが端子群Bであり、端子T2は端子群Cである。
【表2】
【0065】
表1および表2に示すように、端子群Aが最も合計の面積が大きく金属層22が最も厚くなる。このため、端子群Aの金属層21を最も薄くする。端子群Cが最も合計の面積が小さく金属層22が最も薄くなる。このため、端子群Cの金属層21を最も厚くする。端子群Bにおける合計の面積は端子群Aより小さく端子群Cより大きい。端子群Bの金属層22は、端子群Aより薄く端子群Cより厚くなる。このため、端子群Bの金属層21を、端子群Aより厚く端子群Cより薄くする。
【0066】
例えば、端子群A(1または複数の第2端子)の合計の面積は端子群B(1または複数の第1端子)より大きい。このとき、端子群Aの金属層21(第3金属層)は、端子群Bの金属層21(第1金属層)より薄い。端子群Aの金属層22(第4金属層)は、端子群Bの金属層22(第2金属層)より厚い。端子群Aと端子群Cとの関係、および端子群Bと端子群Cとの関係も上記端子群Aと端子群Bとの関係と同様である。
【0067】
このように、合計面積の大きい端子群Aの金属層22が端子群Bより厚くなっても、端子群Aの金属層21を端子群Bより薄くする。これにより、端子電極20の厚さを均一化することができる。特許文献1のように導電体パターンの一部と接続されたメッキ用電極を形成すると、導電体パターンとメッキ用電極との干渉を抑制するため積層体10が大型化する。実施例1から3では、導電体パターン12bから12iと接続されたメッキ用電極を設けなくてもよいため、積層体10の小型化が可能となる。
【0068】
端子群Aと端子群Bとの端子電極20の厚さの差は、端子群Aの金属層22と端子群Bの金属層22との厚さの差より小さい。このように、金属層21の厚さを調整することで、端子電極20の厚さを均一化することができる。端子群AからCの端子電極20の厚さは、互いに略同じであることが好ましい。
【0069】
実施例2の端子群Aと端子群Bのように、1または複数の第1端子および1または複数の第2端子はいずれも複数でもよい。実施例1の端子群Aと端子群B、実施例2の端子群Aと端子群Cまたは端子群Bと端子群Cとのように、1または複数の第1端子および1または複数の第2端子のいずれか一方の端子は複数であり、他方の端子は1であってもよい。実施例1の端子群Bおよび端子群Cのように、1または複数の第1端子および1または複数の第2端子はいずれも1でもよい。
【0070】
端子群Aを1または複数の第1端子とし、端子群Cを1または複数の第2端子としてもよい。端子群Bを1または複数の第3端子としてもよい。端子群Bの合計の面積は端子群Cの合計の面積より大きく端子群Aの合計の面積より小さくなる。このとき、端子群Bの金属層21は端子群Aの金属層21より厚く端子群Cの金属層21より薄い。端子群Bの金属層22は端子群Aの金属層21より薄く端子群Cの金属層21より厚い。このように、端子電極20は、3以上の端子群を有してもよい。
【0071】
実施例1および2のように、端子電極20は全て導電体パターン12bから12iの少なくとも1つに接続されていてもよい。実施例3のダミー端子Tdのように、端子電極20の一部の端子電極20は、導電体パターン12bから12iのいずれとも接続されていなくてもよい。実装に影響せず、コプラナリティが問題とならない端子電極20は、金属層21の膜厚を調整しなくてもよい。
【0072】
図3および
図4のように、1または複数のインダクタが複数の導電体パターン12bから12iの少なくとも1つから形成され、1または複数のキャパシタが複数の導電体パターン12bから12iの少なくとも一部から形成されている。
図1および
図10のように、各端子群AからCは、1または複数のキャパシタの少なくとも1つを介し他の端子と直流電流が導通しないように設けられている。また、同じ端子群AからはC内の複数の端子電極20は、1または複数のインダクタの少なくとも1つを介し互いに直流電流が導通する。このように、導電体パターン12bから12iにより、インダクタおよびキャパシタが形成されていてもよい。
【0073】
図1および
図10のように、積層体10には、1または複数のインダクタの少なくとも1つおよび1または複数のキャパシタの少なくとも1つを有するフィルタ(LPF24およびHPF26)が形成されていてもよい。各フィルタ内のキャパシタおよびインダクタの個数および接続関係は任意に設計できる。また、フィルタは、バンドパスフィルタまたはバンドストップフィルタでもよい。積層体10にはカップラが形成されていてもよい。
【0074】
LPF24(第1フィルタ)は、1または複数のインダクタのうち少なくとも1つおよび1または複数のキャパシタのうち少なくとも1つを有する。HPF26(第2フィルタ)は、1または複数のインダクタのうち別の少なくとも1つおよび1または複数のキャパシタのうち別の少なくとも1つを有する。電子部品はLPF24とHPF26を有するマルチプレクサでもよい。マルチプレクサとしてはダイプレクサ以外に、デュプレクサ、トライプレクサまたはクワッドプレクサ等でもよい。
【0075】
金属層22は、バレルメッキ法を用い形成される。バレルメッキ法を用いると合計の面積が大きい端子群Aの金属層22が端子群Bより厚くなる。よって、端子群Aの金属層21を端子群Bより薄くすることが好ましい。これにより、端子電極20の厚さを均一化することができる。
【0076】
図5のステップS16において金属層21を形成した後、ステップS20のように積層体10を個片化する。これにより、個片化工程を押し切り等の簡易な方法で行うことができる。個片化後、ステップS24のように、個片化された積層体10に焼成温度より融点の低い金属層を含む端子群Aと端子群Bとの金属層22を同時にバレルメッキ法を用い形成する。バレルメッキ法により、焼成温度より融点の低い金属層22を個片化された積層体10に形成できる。
【0077】
実施例1から3では、積層体10の上面に他の電子部品を実装する端子が設けられていない誘電体フィルタを例に説明したが、積層体10は回路基板であり、積層体10上に他の電子部品が実装されていてもよい。積層体10を誘電体フィルタとして用いる場合、積層体10の直方体形状のうち最も大きい面の短辺および長辺は、それぞれ0.8mm以下および1.6mm以下であることが好ましい。短辺および長辺は0.7mm以下および1.5以下がより好ましい。
【0078】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。