【解決手段】ノズル装置は、本体部材10と、本体部材10からの放水の放水方向を選択する選択部材20と、自衛放水を行うための自衛放水選択部材30と、給水ホースと接続される給水部材40と、を備えている。放水流路13は、放水方向の中心軸線に対して複数種の放水角を有し、同じ放水角を有する複数本が群を成して形成されている。給水部材40に対して中心軸周りに本体部材10を回動させるという簡単な操作により、選択部材20により主流路11と連通する分配流路12を選択して、所望の放水角を有する放水流路13の群を選択することができ、操作性良く所望の放射角を選択し、放水を行うことができる。
前記選択部材は、前記主流路が連通する第1の分配流路を第2の分配流路に切り換えるときに、前記主流路が前記第1の分配流路と前記第2の分配流路とに連通する状態を経由することを特徴とする請求項3に記載のノズル装置。
前記選択部材は、前記給水部材と連通する放水水路の群を第1の放水流路の群から第2の放水流路の群に切り換えるときに、前記給水部材が第1の放水流路の群を第2の放水流路の群とに連通する状態を経由することを特徴とする請求項6または請求項7に記載のノズル装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献3に記載の消火用放水ノズル装置は、構造が複雑なため、大型なノズル装置になるとともに、コスト高となるおそれがある。また、機構上、角度調節装置のリング部を回転させるためには強い力が必要であり、消火者の操作性が高くないおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、簡単な構成であるとともに、操作性に優れた、放射角を変更可能なノズル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、消火用の放水を行うノズル装置であって、放水を行う本体部材と、給水装置から供給される水を前記本体部材に導入する給水部材と、を備え、前記本体部材は、中心軸に対して複数の放水角を有し、各放水角に対応する複数の放水流路の群と、前記放水流路の群から所望の放水角の放水流路を選択する選択部材と、を備えた、という技術的手段を用いる。ここで、「中心軸」とは、放水方向の対称軸を意味する。
【0010】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のノズル装置において、前記本体部材は、中心軸に沿って水を導く主流路と、前記主流路に交差して連通し、前記放水流路の群それぞれに対応して設けられる分配流路と、が形成され、前記選択部材は、前記給水部材に対して中心軸周りに前記本体部材を回動させることにより、前記主流路と連通する前記分配流路を選択可能に構成されている、という技術的手段を用いる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載のノズル装置において、前記選択部材は、前記主流路に挿入して設けられる管状の第1選択部材と、前記第1選択部材に挿入されて前記第1選択部材に対して相対的に回動可能に構成された第2選択部材と、を備え、前記第1選択部材は、前記分配流路に対応してそれぞれ形成された開口部を備え、前記第2選択部材は、前記第1選択部材の開口部に対応してそれぞれ形成された開口部を備え、前記第1選択部材に対して前記第2選択部材を相対的に回動することにより、前記主流路と連通する前記分配流路を選択可能に構成された、という技術的手段を用いる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載のノズル装置において、前記選択部材は、前記主流路が連通する第1の分配流路を第2の分配流路に切り換えるときに、前記主流路が前記第1の分配流路と前記第2の分配流路とに連通する状態を経由する、という技術的手段を用いる。
【0013】
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載のノズル装置において、前記本体部材には、自衛放水を行うための自衛放水専用流路が主流路を取り囲んで形成されており、前記給水部材には、主流路と、主流路から分岐した分岐流路と、が形成されており、前記自衛放水専用流路が前記分岐流路と連通する状態と連通しない状態とを選択可能に構成された自衛放水選択部材を備えた、という技術的手段を用いる。
【0014】
請求項6に記載の発明では、請求項1に記載のノズル装置において、前記本体部材の給水側の面には、前記放水流路の群のそれぞれに対応した開口部が形成されており、前記選択部材は、前記本体部材の給水側の面に摺動して相対的に回動可能に構成され、前記給水部材と連通する放水流路の群を選択する、という技術的手段を用いる。
【0015】
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載のノズル装置において、前記選択部材は、前記給水部材に固定されて設けられており、前記給水部材に対して中心軸周りに前記本体部材を回動させることにより、前記給水部材と連通する前記放水流路の群を選択可能に構成されている、という技術的手段を用いる。
【0016】
請求項8に記載の発明では、請求項6または請求項7に記載のノズル装置において、前記選択部材は、前記給水部材と連通する放水水路の群を第1の放水流路の群から第2の放水流路の群に切り換えるときに、前記給水部材が第1の放水流路の群を第2の放水流路の群とに連通する状態を経由する、という技術的手段を用いる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、選択部材により本体部材が備えた放水流路の群から所望の放水角の放水流路を選択することができ、簡単な構成により、操作性良く所望の放射角を選択し、放水を行うことができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、給水部材に対して中心軸周りに本体部材を回動させるという簡単な操作により、選択部材により主流路と連通する分配流路を選択して、所望の放水角を有する放水流路の群を選択することができ、放水を行うことができる。
【0019】
選択部材は、請求項3に記載の発明のような簡単な構造とすることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、放水角を選択し、切り換えるときに、主流路が第1の分配流路と第2の分配流路とに連通する状態を経由するので、水流が途絶することを防ぐことができるので、放水方向を切り換えるときに衝撃が生じることを防ぐことができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、放水流路とは別に、自衛放水を行う自衛放水専用流路を備えている。自衛放水選択部材により自衛放水を行うか否かを放水流路による放水と独立で選択することができる。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、選択部材により本体部材が備えた放水流路の群から所望の放水角の放水流路を選択することができ、簡単な構成により、操作性良く所望の放射角を選択し、放水を行うことができる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、給水部材に対して中心軸周りに本体部材を回動させるという簡単な操作により、所望の放水角を有する放水流路の群を選択することができ、放水を行うことができる。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、放水角を選択し、切り換えるときに、水流が途絶することを防ぐことができるので、放水方向を切り換えるときに衝撃が生じることを防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施形態)
第1実施形態のノズル装置について、
図1ないし
図7を参照して説明する。
【0027】
ノズル装置1は、水を射出し、主に消火用の放水を行う本体部材10と、本体部材10からの放水の放水方向を選択する選択部材20と、放水者を火災による熱から防ぐために自衛放水を行うための自衛放水選択部材30と、給水ホースと接続される給水部材40と、を備えている。ここで、水がノズル装置1から射出する中心軸方向を射出側、水をノズル装置1に給水する方向を給水側という。また、中心軸方向と直交する方向を径方向という。また、放水は真水に限定されるものではなく、発泡のための界面活性剤を含んだものなどを含む。
【0028】
本体部材10には、放水方向の中心軸線に沿って水を導く主流路11と、主流路に交差する分配流路12、分配流路と連通し所定の放水角度を有する放水流路13と、主流路を囲むように配置され、自衛放水を行う自衛放水専用流路14と、が形成されている。
【0029】
また、本体部材10の射出側の射出面10aからは、放水流路13が開口している。本体部材10の側面部10bには、傾斜部を有する凹部として形成された自衛放水射出部10cと、給水側に設けられた本体部材10の回動を行うための把持部10dが設けられている。
【0030】
分配流路12は主流路11に直交し、主流路11を囲む円盤状の流路として形成されている。本実施形態では、射出側から見て給水側に向かって、12a、12b、12c、12dの4つの分配流路が形成されている。これら分配流路12a、12b、12c、12dに対応して、後述する放水流路13a、13b、13c、13dがそれぞれ連通して形成されている。ここで、分配流路12は、放水流路13同士が干渉しないように、径方向に外径を変えて形成されている。
【0031】
放水ノズルとして作用する放水流路13は、放水方向の中心軸線に対して複数種の放水角を有し、同じ放水角を有する複数本が群を成して形成されている。放水流路13aは、分配流路12aと連通し、中心軸線に対して30°傾斜して形成されている。放水流路13aの先端は、本体部材10の射出面10aに開口しており、放水流路の先端には、放水の方向性を維持するためのチップ15が取り付けられている。放水流路13aは、射出口が射出面10aに同心円上に90°間隔で配置されるように、一つの分配流路12aに対して4本が一つの群をなして設けられている。
【0032】
放水流路13bは、分配流路12bと連通し、中心軸線方向に向かって(放水角0°)形成されている。放水流路13bの先端は、本体部材10の射出面10aに開口しており、放水流路の先端には、放水の方向性を維持するためのチップ15が取り付けられている。放水流路13bは、射出口が同心円上に90°間隔で配置されるように、一つの分配流路12bに対して4本が一つの群をなして設けられている。
【0033】
放水流路13cは、分配流路12cと連通し、中心軸線に対して15°傾斜して形成されている。放水流路13cの先端は、本体部材10の射出面10aに開口しており、放水流路の先端には、放水の方向性を維持するためのチップ15が取り付けられている。放水流路13cは、射出口が同心円上に90°間隔で配置されるように、一つの分配流路12cに対して4本が一つの群をなして設けられている。
【0034】
放水流路13dは、自衛放水用の放水流路であり、自衛放水射出部10cの底部から開口して設けられている。放水流路13dは、分配流路12dと連通し、中心軸線に対して60°傾斜して形成されている。放水流路13dは、射出口が同心円上に等間隔で配置されるように、一つの分配流路12dに対して8本が一つの群をなして設けられている。
【0035】
主流路11には、主流路11と連通する分配流路12a、12b、12c、12dを選択するための選択部材20が挿入されて設けられている。
図3に示すように、選択部材20は、本体部材10に固定される管状の第1選択部材21と、第1選択部材21に挿入され第1選択部材21に対して回動可能に構成された管状の第2選択部材22と、を備えている。
【0036】
第1選択部材21は、分配流路12a、12b、12c、12dにそれぞれ対応して開口する4つの円形の開口部21a、21b、21c、21dを有している。分配流路12aに対応する開口部21aは、図面右側に開口している。分配流路12bに対応する開口部21bは図面左側、分配流路12cに対応する開口部21cは図面奥側、分配流路12dに対応する開口部21dは図面手前側に開口している。
【0037】
本実施形態では、開口部21a、21b、21c、21dは、射出側から見ると、反時計回りに放水角が小さい順に90°ずつずらして等間隔で配置されている。つまり、21b、21c、21a、21dの順に並んでいる。
【0038】
第2選択部材22は、第1選択部材21に挿入され第1選択部材21の内面を摺動面として回動可能な管状部材として構成されている。第2選択部材22の長さは、第1選択部材21よりも長く、給水側の端部側面において給水部材40に固定されて設けられている。
【0039】
第2選択部材22は、分配流路12a、12b、12c、12dにそれぞれ対応する位置に4つの開口部22a、22b、22c、22dを有している。開口部22a、22b、22c、22dは、周方向(回動方向)に長く形成された長孔であって、長手方向の直線上に並んで配置されている。
【0040】
開口部22a、22b、22c、22dは第1選択部材21を回動させるとき、射出方向から見たときに、射出側から見て90°位置がずれている2か所の開口部(例えば、21b、21c)に対して開口部22b及び開口部22cが面する姿勢と、開口部22bまたは22cのいずれか一方にのみ面する姿勢との、2つの姿勢を取ることができる。つまり、選択部材20は、主流路11が、複数の分配流路12に連通可能な姿勢と、選択された分配流路12とのみ連通可能な姿勢と、を選択可能に構成されている。
【0041】
図5に示すように、本体部材10は給水側から見ると、円周状の自衛放水給水溝10eが形成されており、この自衛放水給水溝10eと連通して、自衛放水専用流路14が設けられている。自衛放水専用流路14は、中心軸に対して15°傾斜して、等間隔で16本設けられており、その開口端は、自衛放水射出部10cの傾斜面に対向するように開口している。
【0042】
自衛放水選択部材30は、外形が円柱状の部材であり、軸方向中央に本体部材10の主流路11と給水部材40の主流路42とを連通する孔部31と、円弧状に形成され、中心軸に対して対称の位置に配置された2箇所の通水孔32を備えている。通水孔32は、給水部材40に対して中心軸周りを回動可能に構成されている。自衛放水選択部材30は、通水孔32が給水部材40に設けられた分岐流路43と連通する姿勢と、連通しない姿勢とを選択することができる。
【0043】
給水部材40は、自衛放水選択部材30を介して本体部材10に接続されており、他端には、給水設備と接続された放水ホースを接続する接続部41が設けられている。
【0044】
給水部材40は、内部に、本体部材10の主流路11と連通し、水を導入するための主流路42と、主流路42から径方向に分岐した後に、長手方向に延伸して、一端が接続部41と反対側の面に左右2か所で開口する分岐流路43と、を備えている。
【0045】
接続部材16は、円筒状の本体16aの一端に2箇所の突起部16b、16bにより周状に形成される溝部16cを備えている。接続部材16は、自衛放水選択部材30の孔部31に挿通され、給水側の端部16dにおいて給水部材40に固定されている。第2選択部材22は、接続部材16に挿通され端部22eにおいて給水部材40に固定されている。これにより、給水部材40の主流路42と本体部材10の主流路11とは、接続部材16を介して連通することになる。
【0046】
ガイドピン17は、把持部10dから径方向に挿入され、先端が溝部16cに挿入され本体部材10の回動を阻害しない位置で固定されている。これにより、本体部材10を回転可能に係止して保持し、本体部材10が中心軸方向に移動することを制限するため、放水時の水圧により本体部材10が給水部材40から外れてしまうことを防止することができる。
【0047】
(放水動作)
中心軸方向(放水角0°)に放水している状態から、放水角を増大させる動作について説明する。
【0048】
図6は、放水角の異なる放水流路の群を切り換えるときの第1選択部材21の開口部と第2選択部材22の開口部との位置関係を射出側から見て模式的に示す説明図であり、
図6(A)―(D)各図の左図には第1選択部材21の開口部21cと第2選択部材22の開口部22cとの位置関係を、右図には第1選択部材21の開口部21cと第2選択部材22の開口部22bとの位置関係をそれぞれ示す。
【0049】
まず、本体部材10の把持部10dを回動させて、第1選択部材21の開口部21bに第2選択部材22の開口部22bが面するようにする。これにより、
図6(A)の状態となり、主流路11と分配流路12bとが連通するようになるため、放水流路13bから放水することができる。
【0050】
次に、放水角を大きくするために、把持部10dを給水側から見て右回りに回動させる。
【0051】
把持部10dを右回りに回動させると、第2選択部材22の開口部22a、22b、22c、22dがそろって右回り方向に移動する。把持部10dの回動角を大きくしていくと、
図6(B)の位置関係を経て
図6(C)の位置関係となる。このとき、第2選択部材22の開口部22bは一部が第1選択部材21の開口部21bに面したままの状態である。つまり、主流路11と分配流路12bとが連通している状態である。
【0052】
また、回動前には第1選択部材21の開口部21cに面していなかった第2選択部材22の開口部22cの一部が、第1選択部材21の開口部21cに面するようになる。つまり、主流路11と分配流路12cとが連通している状態となる。
【0053】
これにより、放水流路13b、13cが主流路11と連通されるため、放水流路13b、13cから放水される状態となる。
【0054】
更に回動角を大きくして
図6(D)の位置関係を経て
図6(E)の位置関係とすると、第2選択部材22の開口部22cが、第1選択部材21の開口部21cの正面に面するようになる。第2選択部材22の開口部22bは第1選択部材21の開口部21bに面しなくなる。つまり、主流路11と分配流路12cとが連通し、分配流路12bは主流路11から遮断された状態に切り替わる。これにより、放水流路13bからの放水を放水流路13cからの放水に切り換えることができ、放水角を大きくすることができる。
【0055】
このように、第2選択部材22の開口部22a、22b、22c、22dを長孔とすることにより、水流が途絶することを防ぐことができるので、放水方向を切り換えるときに衝撃が生じ、ホースが外れたり、破損することを防ぐことができる。
【0056】
更に把持部10dを回動させると、主流路11と連通する分配流路12を
分配流路12c→分配流路12a→分配流路12d
の順に切り換えることができ、
図7(A)−(D)の放水W1−W4に示すように、放水角を拡げたり、自衛放水に切り換えたりすることができる。
【0057】
ここで、放水による圧力は放水方向に負荷されるため、これと直交する把持部10dの回動方向にはほとんど負荷されない。これにより、選択部材20を本体部材10により回動し、放水方向を切り換えるときに、水圧が操作を阻害しないので、小さな力で操作して放射角を容易に変化させることができる。
【0058】
次に、自衛放水専用流路14による自衛放水について説明する。
【0059】
自衛放水を行うか否かの切り換えは、自衛放水選択部材30により行う。自衛放水選択部材30の通水孔32が給水部材40の分岐流路43に面しない状態を選択すると、自衛放水専用流路14は給水部材40の分岐流路43と連通しないため、自衛放水専用流路14による自衛放水は行われない。
【0060】
自衛放水選択部材30を回動させて通水孔32が給水部材40の分岐流路43に面する状態を選択すると、自衛放水専用流路14が給水部材40の分岐流路43と連通し、自衛放水専用流路14による自衛放水を行うことができる。ここで、通水孔32は円弧状に形成されているので、通水孔32が給水部材40の分岐流路43に面しない状態から面する状態に切り換えるために自衛放水選択部材30を回動させる角度を小さくすることができる。これにより、すばやい切り換えを行うことができる。
【0061】
自衛放水専用流路14から射出された水は、自衛放水射出部10cの傾斜面に衝突し、霧状に放散される。これにより、放水範囲を拡げ、自衛放水の効果を増大させることができる。なお、自衛放水専用流路14の先端にはチップは設けない。そして、
図7(E)に示すように、例えば、消火のための放水W1と自衛放水W5との両方を同時に行い、安全な消火活動を行うことができる。
【0062】
(変更例)
放水流路13の群の本数・放水角は任意に設定することができる。また、放水流路13の群は、異なる放水角で群を形成してもよい。放水流路13は本体部材10の側面部10bに開口する構成を採用することもできる。分配流路12、選択部材20の開口部の数は、放水流路13の切り換え数により決定される。複数の放水流路13の群の同時放水が可能な構成を採用することもできる。
【0063】
第1選択部材21は本体部材10と一体的に構成することができる。また、第1選択部材21の開口部の配置方法と第2選択部材22の開口部の配置方法は入れ替えることもできる。
【0064】
本体部材10の把持部10dを回動させるときに、放水流路13の切り換えが行われる所定の回動角で位置決めを行うストッパなどの位置決め部材を設けることができる。ノズル装置1は、自衛放水専用流路14を備えない構成を採用することもできる。
【0065】
(第1実施形態の効果)
本発明のノズル装置1は簡単な構成であり、給水部材40に対して中心軸周りに本体部材10を回動させるという簡単な操作により、選択部材20により主流路11と連通する分配流路12を選択して、所望の放水角を有する放水流路13の群を選択することができ、操作性良く所望の放射角を選択し、放水を行うことができる。
また、放水流路13とは別に、自衛放水を行う自衛放水専用流路14を備えた構成では、自衛放水選択部材30により自衛放水を行うか否かを放水流路13による放水と独立で選択することができる。
【0066】
(第2実施形態)
第2実施形態のノズル装置について、
図8ないし
図11を参照して説明する。ここで、
図9及び
図10(A)の上図において、放水流路51a、51b、51c、51dの位置関係をわかりやすくするために、
図10(A)の下図のA、B、C、D断面を重ね合わせて示している。
【0067】
ノズル装置2は、水が射出し、主に消火用の放水を行う本体部材50と、本体部材50からの放水の放水方向を選択する選択部材60と、給水ホースと接続される給水部材70と、を備えている。
【0068】
選択部材60は、給水部材70において、給水設備と接続された放水ホースを接続する接続部71と反対側の開口部72に向かって拡がる給水路73を覆って、給水部材70に固定されて設けられている。
【0069】
選択部材60の径方向の中心には、本体部材50を取り付けるための取付部60aが設けられている。
【0070】
本体部材50は、取付部材80を、回動中心に形成された取付部50cに係止し、選択部材60の取付部60aに挿入し固定することにより、選択部材60に対して径方向に回動可能に取り付けられている。
【0071】
本体部材50には、放水ノズルとして作用する放水流路51が設けられている。放水流路51は、放水方向の中心軸線に対して複数種の放水角を有し、同じ放水角を有する複数本が群を成して形成されている。放水流路51の一端は、本体部材50の射出側に凸に形成された射出面50aに開口し、他端は給水側の給水面50bに開口している。各放水流路の先端には、放水の方向性を維持するためのチップ53が取り付けられている。なお、射出面50aは平坦面としてもよい。
【0072】
本実施形態では、中心軸線に対してそれぞれ、0°、15°、30°、45°傾斜して形成されている放水流路51a、51b、51c、51dが、それぞれ4本が一つの群をなして射出口が射出面50aに同心円上に90°間隔で配置されるように設けられている。
【0073】
放水流路51a、51b、51c、51dは、給水面50bにおいて開口部52a、52b、52c、52dでそれぞれ開口している。
【0074】
本体部材50を給水側から見ると、開口部52a、52b、52c、52dは、給水面50bの中心から外方に向かって22.5°ずつ左方向にずれながら、52c、52d、52a、52bの順で配置されている。開口部52c、52d、52a、52bの組は、90°ずつ回転させた位置に計4組が配置されている。
【0075】
選択部材60は、
図10に示すように、本体部材50の給水面50bに摺動して相対的に回動可能に構成された円板状の選択部60bを備えている。
【0076】
選択部60bには、本体部材50の開口部52a、52b、52c、52dにそれぞれ対応して開口する開口部61a、61b、61c、61dが形成されている。開口部61a、61b、61c、61dは、選択部60bの中心から外方に向かって、直線上に61c、61d、61a、61bの順で配置されている。開口部61c、61d、61a、61bの組は、90°ずつ回転させた位置に計4組が配置されている。
【0077】
開口部61c、61d、61a、61bは、外方に配置された開口部ほど周方向(回動方向)に長く形成された長孔に形成されている。
【0078】
選択部材60は、給水部材70に対して中心軸周りに本体部材50を回動させることにより、給水部材70と連通する放水流路51の群を選択可能に構成されている。
【0079】
選択部材60は、給水部材70と連通する放水流路から放水角が隣接する放水流路、例えば、放水流路51aから放水流路51b、に切り換えるときに、給水部材70が放水流路51aと放水流路51bとに連通する状態を経由するように構成されている。
【0080】
(放水動作)
中心軸方向(放水角0°)に放水している状態から、放水角を増大させる動作について説明する。
【0081】
図11は、放水角の異なる放水流路の群を切り換えるときの、放水流路51a、51b、51c、51dの開口部52a、52b、52c、52dと選択部60bの開口部61a、61b、61c、61dとの位置関係を給水側から見た平面説明図である。
【0082】
まず、本体部材50を給水部材70に対して回動させて、放水流路51aの開口部52aを選択部60bの開口部61aに面するようにする。これにより、
図11(A)の状態となり、放水流路51aが給水部材70の給水路73と連通するようになるため、放水流路51aから放水することができる。
【0083】
次に、放水角を大きくするために、本体部材50を給水側から見て右回りに回動させる。
【0084】
本体部材50を右回りに回動させると、放水流路51a、51b、51c、51dの開口部52a、52b、52c、52dがそろって右回り方向に移動し、
図11(B)の位置関係となる。このとき、放水流路51aの開口部52aは一部が選択部材60の開口部61aに面したままの状態である。つまり、放水流路51aが給水部材70の給水路73と連通している状態である。
【0085】
また、回動前には選択部材60の開口部61bに面していなかった放水流路51bの開口部52bの一部が、選択部材60の開口部61bに面するようになる。つまり、放水流路51bが給水部材70の給水路73と連通している状態である。
【0086】
これにより、放水流路51a、51bが給水部材70の給水路73と連通されるため、放水流路51a、51bから放水される状態となる。
【0087】
更に回動角を大きくして
図11(C)の位置関係とすると、放水流路51bの開口部52bが選択部材60の開口部61bの正面に面するようになり、放水流路51aの開口部52aが選択部材60の開口部61aに面しなくなる。つまり、放水流路51bが給水部材70の給水路73と連通し、放水流路51aは給水部材70の給水路73から遮断された状態に切り換わる。これにより、放水流路51aからの放水を放水流路51bからの放水に切り換えることができ、放水角を大きくすることができる。
【0088】
このように、開口部61c、61d、61a、61bを外方に配置された開口部ほど周方向(回動方向)に長く形成された長孔とすることにより、水流が途絶することを防ぐことができるので、放水方向を切り換えるときに衝撃が生じ、ホースが外れたり、破損することを防ぐことができる。
【0089】
更に本体部材50を回動させると、給水部材70の給水路73と連通する放水流路51を
放水流路51b→放水流路51c→放水流路51d
の順に切り換えることができ、放水角を選択することができる。
【0090】
ここで、放水による圧力は放水方向に負荷されるため、これと直交する本体部材50の回動方向にはほとんど負荷されない。これにより、本体部材50を回動し、放水方向を切り換えるときに、水圧が操作を阻害しないので、小さな力で操作して放射角を容易に変化させることができる。
【0091】
(変更例)
放水流路51の群の本数・放水角は任意に設定することができる。また、放水流路51の群は、異なる放水角で群を形成してもよい。複数の放水流路51の群の同時放水が可能な構成を採用することもできる。
【0092】
第1選択部材21は本体部材10と一体的に構成することができる。また、選択部材60の開口部の配置方法と本体部材50の開口部の配置方法は入れ替えることもできる。
【0093】
ノズル装置2は、第1実施形態のノズル装置1同様に自衛放水専用流路を備える構成を採用することもできる。
【0094】
(第2実施形態の効果)
ノズル装置2によれば、第1実施形態のノズル装置1と同様に、簡単な構成であり、給水部材70に対して中心軸周りに本体部材50を回動させるという簡単な操作により、選択部材60により所望の放水角を有する放水流路51の群を選択することができ、操作性良く所望の放射角を選択し、放水を行うことができる。
また、給水部材からの給水を流路を絞らずに直接放水流路51に導入するとともに、放水に至るまでの流路を短くすることができるので、圧損を小さくすることができ、放水の飛距離を増大させることができる。