特開2018-191753(P2018-191753A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-191753(P2018-191753A)
(43)【公開日】2018年12月6日
(54)【発明の名称】情報発信アダプタ
(51)【国際特許分類】
   A62C 35/68 20060101AFI20181109BHJP
【FI】
   A62C35/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-96118(P2017-96118)
(22)【出願日】2017年5月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】林 健太
(72)【発明者】
【氏名】工藤 彰久
(72)【発明者】
【氏名】國司 一宏
(72)【発明者】
【氏名】西村 栄三
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189CC08
(57)【要約】
【課題】建物の天井に設置されるスプリンクラーヘッドに容易に取り付けることができる情報発信アダプタを実現する。
【解決手段】情報発信アダプタ100は、スプリンクラーヘッド10の少なくとも一部を包囲可能な開口120aを有するアダプタベース120と、アダプタベース120に内蔵された情報発信モジュール110を備えており、アダプタベース120の下面側で、アダプタベース120の開口120aからスプリンクラーヘッド10を露出させるように、情報発信アダプタ100をスプリンクラーヘッド10に容易に固定することができる。特に、情報発信アダプタ100(アダプタベース120)の下面側の開口120a部分からスプリンクラーヘッド10を露出させた状態で、情報発信アダプタ100がスプリンクラーヘッド10に固定されるので、スプリンクラーヘッド10からの散水を情報発信アダプタ100が妨げることはない。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプリンクラーヘッドに取り付けるためのアダプタベースと、
前記アダプタベースに内蔵された情報発信モジュールと、を備え、
前記アダプタベースは、前記スプリンクラーヘッドの少なくとも一部を包囲可能な開口を有していることを特徴とする情報発信アダプタ。
【請求項2】
前記アダプタベースは、
略環状を切り欠いた一方の部材からなる第一ベースおよび他方の部材からなる第二ベースを有し、
前記第一ベースおよび前記第二ベースの両端部同士が連結可能であり、前記第一ベースと前記第二ベースの間に前記開口が形成されることを特徴とする請求項1に記載の情報発信アダプタ。
【請求項3】
前記アダプタベースは、
略環状を切り欠いた一方の部材からなる第一ベースおよび他方の部材からなる第二ベースと、前記第一ベースの一端部と前記第二ベースの一端部とを連結するヒンジ部と、を有し、
前記第一ベースおよび前記第二ベースの他端部同士が開閉可能であり、前記他端部同士が閉じられた状態で前記第一ベースと前記第二ベースの間に前記開口が形成されることを特徴とする請求項1に記載の情報発信アダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビーコン等の情報発信端末を備える情報発信モジュールを搭載した情報発信アダプタに関し、特に建物の天井に設置されるスプリンクラーヘッドに取り付け可能な情報発信アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、機器固有の識別情報を位置検出用の情報として無線により発信するビーコン等の情報発信端末や当該情報発信端末に電力を供給する電池などを備えた情報発信モジュールが建物に設置されることがある。このような情報発信モジュールを利用した位置検出システムでは、複数の情報発信モジュールの各識別情報と各設置箇所とを対応付けたマップ情報が予め用意され、端末装置に与えられる。そして、端末装置が建物内で情報発信モジュールから識別情報を受信することで、受信した識別情報とマップ情報とから建物内で位置を検出することができる。
【0003】
ところで、建物の天井等に設置される火災感知器には、アドレス機能付火災感知器の他に、アドレス機能を有しない火災感知器である一般火災感知器もあり、この一般火災感知器にアドレス機能を付与する中継器が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
具体的には、当該中継器は、自己の固有のアドレスを有しており、建物の天井等(感知器取着面)に固着された感知器ベース(ベース)と、感知器ベースに取り付けられる感知器本体(一般火災感知器)との間に配設可能に構成されている。そして、当該中継器は、一般火災感知器が発報すれば、発報信号とともに自己のアドレスを火災受信機に送信するようになっている。
当該中継器のように、例えば情報発信モジュールが搭載された情報発信アダプタを、建物の天井等に設置されている火災感知器に取り付けることで、情報発信モジュール専用の設置箇所を別途設けることなく、複数の情報発信モジュールを建物の適切な位置に適切な間隔で配置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−293891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、建物に設置されている全ての火災感知器に情報発信アダプタを取り付けるのみならず、さらに多くの情報発信アダプタ(情報発信モジュール)を建物に配置して、より詳細な位置検出を行うようにする要望がある。
そこで本発明者らは、建物の天井に設置されているスプリンクラーヘッドに着目した。
スプリンクラーヘッドは、床に向けて隙間なく一様に散水する必要があるため、所定間隔をあけて高い位置精度で設置されているので、位置検出用の情報発信アダプタの取り付け箇所として好適であること、また、スプリンクラーヘッドは、建物の配管位置に対応するように設置されており、その設置位置を容易に移動できないので、位置検出用の情報発信アダプタの取り付け箇所として好適であること、などを本発明者らは見出した。
【0006】
本発明の目的は、建物の天井に設置されるスプリンクラーヘッドに容易に取り付けることができる情報発信アダプタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
スプリンクラーヘッドに取り付けるためのアダプタベースと、
前記アダプタベースに内蔵された情報発信モジュールと、を備え、
前記アダプタベースは、前記スプリンクラーヘッドの少なくとも一部を包囲可能な開口を有していることを特徴とする。
【0008】
上記構成の情報発信アダプタであれば、アダプタベースの下面側における開口部分からスプリンクラーヘッドを露出させた状態で、建物の天井に設置されているスプリンクラーヘッドに容易に取り付けることができる。
特に、情報発信アダプタ(アダプタベース)の開口からスプリンクラーヘッドを露出させた状態で、情報発信アダプタがスプリンクラーヘッドに固定されるので、スプリンクラーヘッドからの散水を情報発信アダプタが妨げることはない。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の情報発信アダプタにおいて、
前記アダプタベースは、
略環状を切り欠いた一方の部材からなる第一ベースおよび他方の部材からなる第二ベースを有し、
前記第一ベースおよび前記第二ベースの両端部同士が連結可能であり、前記第一ベースと前記第二ベースの間に前記開口が形成されることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、情報発信アダプタをスプリンクラーヘッドに容易に取り付けることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の情報発信アダプタにおいて、
前記アダプタベースは、
略環状を切り欠いた一方の部材からなる第一ベースおよび他方の部材からなる第二ベースと、前記第一ベースの一端部と前記第二ベースの一端部とを連結するヒンジ部と、を有し、
前記第一ベースおよび前記第二ベースの他端部同士が開閉可能であり、前記他端部同士が閉じられた状態で前記第一ベースと前記第二ベースの間に前記開口が形成されることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、情報発信アダプタをスプリンクラーヘッドに容易に取り付けることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、建物の天井に設置されるスプリンクラーヘッドに容易に取り付けることができる情報発信アダプタが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】天井に設置されているスプリンクラーヘッドを示す説明図(a)と、本実施形態の情報発信アダプタがスプリンクラーヘッドに取り付けられた状態を示す側面図(b)である。
図2】本実施形態の情報発信アダプタを示す平面図(a)(b)である。
図3】情報発信アダプタの変形例を示す平面図(a)(b)である。
図4】情報発信アダプタの変形例を示す側面図(a)(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る情報発信アダプタの実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0016】
図1(a)は、天井(天井板3)に設置されているスプリンクラーヘッド10を示す説明図であり、図1(b)は、本実施形態の情報発信アダプタ100が、スプリンクラーヘッド10に取り付けられた状態を示す側面図である。図2(a)(b)は、本実施形態の情報発信アダプタ100を示す平面図である。
本実施形態の情報発信アダプタ100は、例えば、図1(b)、図2(a)に示すように、スプリンクラーヘッド10の少なくとも一部を包囲可能な開口120aを有している。
【0017】
スプリンクラーヘッド10は、例えば、図1(a)に示すように、給水配管である立下り配管1に接続管2を介して繋がれており、天井板3の穴3aからその一部を突き出して設置されている。立下り配管1は、天井裏にて留め金具4に支持されている。
また、スプリンクラーヘッド10には、天井板3の穴3aを覆い隠すためのシーリングプレート11が取り付けられている。
【0018】
情報発信アダプタ100は、例えば、図2(a)(b)に示すように、情報発信モジュール110が内蔵されたアダプタベース120を備えている。
【0019】
情報発信モジュール110は、位置検出用に機器固有の識別情報を無線により発信するモジュールである。情報発信モジュール110は、例えば、図2(a)(b)に示すように、電源111と、回路基板や送信回路部やアンテナ部などを備える情報発信端末112と、を有している。
【0020】
なお、ビーコンなどの情報発信端末112に電力を供給する電源111は、1つの電池により構成される電池電源に限定されず、適宜変更可能であり、例えば、複数の電池を並列接続して構成される電池電源であってもよい。
また、電源111を構成する電池は、ボタン形電池に限定されず、適宜変更可能であり、例えば、円筒形電池(円筒形リチウム電池)であってもよい。
【0021】
また、電源111は、電池電源に限定されず、適宜変更可能であり、例えば光発電装置等であってもよい。
電源111が光発電装置である場合、当該電源111は、例えば、アダプタベース120の外周側面に配設された光電池(太陽電池等)と、当該光電池からの電力を集電して外部(情報発信端末112)に出力する出力部とからなる。
【0022】
アダプタベース120は、例えば、図2(a)(b)に示すように、スプリンクラーヘッド10の少なくとも一部を包囲可能な開口120aを有している。この開口120aからスプリンクラーヘッド10の放水部が露出するようになっている。
このアダプタベース120は、略環状を切り欠いた一方の部材からなる第一ベース121および他方の部材からなる第二ベース122を有している。本実施形態のアダプタベース120は、難燃性樹脂材料からなる略半円弧状の第一ベース121および第二ベース122を有しており、第一ベース121と第二ベース122の両端部同士を連結することで、それらの間に開口120aが形成されるようになっている。
なお、第一ベース121および第二ベース122の両端部にはそれぞれ、凸部120bと凹部120cが設けられており、凸部120bと凹部120cを嵌合させることで、第一ベース121と第二ベース122を連結することが可能になっている。
【0023】
ここで、本実施形態の情報発信アダプタ100の設置方法の一例を説明する。
まず、天井裏の留め金具4を緩めるように調整し、スプリンクラーヘッド10の位置を下げる。本実施形態では、スプリンクラーヘッド10に取り付けられているシーリングプレート11ごと、その位置を下げる。
次いで、スプリンクラーヘッド10を挟み込むように、第一ベース121と第二ベース122を連結して、略円板状のアダプタベース120を組み立てる。本実施形態では、スプリンクラーヘッド10をシーリングプレート11ごと第一ベース121と第二ベース122とで挟み込んでいる。つまり、情報発信アダプタ100(アダプタベース120)の開口120aの径が、シーリングプレート11の径に対応するように形成されている。
次いで、スプリンクラーヘッド10を適正な位置に合わせた後、天井裏の留め金具4を締め付けるように調整する。
こうして、シーリングプレート11のフランジ11aと天井板3の間に情報発信アダプタ100を設置するように、情報発信アダプタ100をスプリンクラーヘッド10に固定することができる。
このとき、アダプタベース120の下面側で、アダプタベース120の開口120aからスプリンクラーヘッド10を露出させるように、情報発信アダプタ100がスプリンクラーヘッド10に固定されている。
【0024】
このように、情報発信アダプタ100は、建物の天井に設置されるスプリンクラーヘッド10に容易に取り付けることができる。
特に、情報発信アダプタ100(アダプタベース120)の下面側の開口120a部分からスプリンクラーヘッド10を露出させた状態で、情報発信アダプタ100がスプリンクラーヘッド10に固定されているので、スプリンクラーヘッド10からの散水を情報発信アダプタ100が妨げることはない。
【0025】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、図3(a)(b)に示すように、情報発信アダプタ100のアダプタベース120は、難燃性樹脂材料からなる略半円弧状の第一ベース121および第二ベース122と、第一ベース121の一端部と第二ベース122の一端部とを連結するヒンジ部123とを有し、第一ベース121および第二ベース122の他端部同士が開閉可能に構成されているものでもよい。なお、第一ベース121および第二ベース122は、略半円弧状であることに限らず、略環状を切り欠いた略円弧形状を有していてもよい。
このような情報発信アダプタ100であれば、建物の天井に設置されるスプリンクラーヘッド10に巻き付けるようにして容易に取り付けることができる。
【0026】
また、図4(a)(b)に示すように、天井板3の穴3aを覆い隠すシーリングプレートの機能を兼ね備えたアダプタベース120に情報発信モジュール110を内蔵させた情報発信アダプタ100であってもよい。
このアダプタベース120は、円筒状のベース部125と、ベース部125の下部外面に設けられたフランジ部126とを備えており、ベース部125の開口120aの内壁面にはスプリンクラーヘッド10の一部に係着する係着部125aが設けられている。なお、この開口部120aは、スプリンクラーヘッド10を挿通可能なサイズを有している。
このような情報発信アダプタ100であれば、スプリンクラーヘッド10に下方から被せるように嵌め入れて、アダプタベース120の下面側でそのアダプタベース120の開口120aからスプリンクラーヘッド10を露出させるように容易に取り付けることができるとともに、天井板3の穴3aを覆い隠すことができる。
【0027】
なお、以上の実施の形態においては、図3(a)(b)に示したように、ヒンジ部123を介して連結した第一ベース121と第二ベース122を備えたアダプタベース120を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、略C字形状を呈するアダプタベースを、可撓性を有する樹脂材料(難燃性樹脂材料)にて成形するようにしてもよい。そして、略C字形状を呈するアダプタベースの両端部を一時的に拡開するように変形させて、スプリンクラーヘッド10の周囲に情報発信アダプタ100を取り付けるようにしてもよい。
【0028】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0029】
1 立下り配管
2 接続管
3 天井板
3a 穴
4 留め金具
10 スプリンクラーヘッド
11 シーリングプレート
11a フランジ
100 情報発信アダプタ
110 情報発信モジュール
111 電源
112 情報発信端末
120 アダプタベース
120a 開口
120b 凸部
120c 凹部
121 第一ベース
122 第二ベース
123 ヒンジ部
125 ベース部
125a 係着部
126 フランジ部
図1
図2
図3
図4