【解決手段】槽20には発泡混合物製造用の材料が供給され、蓋部材30で槽20の開口部20Kの側を閉塞した状態で槽20の内部の材料を攪拌機構12の攪拌羽根40が攪拌して発泡混合物を製造する。また、槽20における充填孔22は止栓機構18で開閉される。そして、圧縮空気供給機構50は、充填孔22を開放した状態で槽20の内部の発泡混合物を充填孔22から金型の被充填孔を介して金型のキャビティに充填させる場合に圧縮空気を槽20の内部に供給する。
前記第二工程における前記攪拌羽根の攪拌時の動作速度は、前記第一工程における前記攪拌羽根の攪拌時の動作速度よりも、低速になるように設定されている、請求項4記載の鋳型造型方法。
前記第一工程において前記槽の内部の材料を前記攪拌羽根で攪拌して発泡混合物を製造した後、前記第二工程において前記槽の内部の前記発泡混合物を前記充填孔から前記被充填孔を介して前記金型のキャビティに充填させる前に、前記攪拌羽根を前記底壁部から離間させる方向に移動させる、請求項4又は請求項5に記載の鋳型造型方法。
前記第二工程において前記槽の内部の前記発泡混合物を前記充填孔から前記被充填孔を介して前記金型のキャビティに充填させる場合に、前記発泡混合物の充填開始時から充填完了直前までの間に前記槽の内部に供給される圧縮空気の圧力は、前記発泡混合物の充填完了時及び充填完了直後に前記槽の内部に供給される圧縮空気の圧力よりも、低くなるように設定されている、請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の鋳型造型方法。
前記第二工程において前記槽の内部の前記発泡混合物を前記充填孔から前記被充填孔を介して前記金型のキャビティに充填させた後、前記充填孔の開口を前記攪拌羽根の一部が閉塞する位置に前記攪拌羽根を移動させる、請求項4〜請求項7のいずれか1項に記載の鋳型造型方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の構成では、混合時に退避されたピストンや充填時に退避された攪拌羽根に付着していた発泡混合物が飛散する恐れがある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、混合時及び充填時における発泡混合物の飛散を防止又は効果的に抑制することができる鋳型造型装置及び鋳型造型方法を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載する本発明の鋳型造型装置は、発泡混合物製造用の材料が供給され、底壁部に充填孔が貫通形成されると共に、前記底壁部の側とは反対側へ開放された開口部が形成された槽と、前記槽における前記開口部の側を閉塞する蓋部材と、前記槽における前記充填孔を開閉する充填孔開閉機構と、前記蓋部材で前記開口部の側を閉塞した状態で前記槽の内部の材料を攪拌羽根で攪拌して発泡混合物を製造する攪拌機構と、前記槽における前記充填孔に隣接配置される被充填孔が貫通形成された金型と、前記充填孔を開放した状態で前記槽の内部の前記発泡混合物を前記充填孔から前記被充填孔を介して前記金型のキャビティに充填させる場合に圧縮空気を前記槽の内部に供給する圧縮空気供給機構と、を有する。
【0007】
上記構成によれば、槽には発泡混合物製造用の材料が供給され、蓋部材で槽の開口部の側を閉塞した状態で槽の内部の材料を攪拌機構の攪拌羽根が攪拌して発泡混合物を製造する。また、槽における充填孔は充填孔開閉機構で開閉され、金型には、槽における充填孔に隣接配置される被充填孔が貫通形成されている。そして、充填孔を開放した状態で槽の内部の発泡混合物を充填孔から被充填孔を介して金型のキャビティに充填させる場合、圧縮空気供給機構が圧縮空気を槽の内部に供給する。
【0008】
以上により、槽で発泡混合物を製造する際に、金型へ発泡混合物を充填するための機構の一部を槽の中から槽の外に退避させる必要がなく、また、槽から金型に発泡混合物を充填させる際に、攪拌羽根の一部を槽の中から槽の外に退避させる必要もない。よって、発泡混合物は槽の外に飛散しない。
【0009】
請求項2に記載する本発明の鋳型造型装置は、請求項1記載の構成において、前記攪拌羽根に設けられて前記充填孔の開口を閉塞可能な孔開口閉塞部と、前記孔開口閉塞部を、前記充填孔の開口を開放する開放位置と、前記充填孔の開口を閉塞する閉塞位置と、の間で移動させる移動機構と、前記圧縮空気供給機構が圧縮空気を前記槽の内部に供給して前記槽の内部の前記発泡混合物を前記充填孔から前記被充填孔を介して前記金型のキャビティに充填させた後に、前記孔開口閉塞部を前記閉塞位置に移動させるように前記移動機構を制御する開閉制御部と、を有する。
【0010】
上記構成によれば、移動機構は、攪拌羽根に設けられた孔開口閉塞部を、充填孔の開口を開放する開放位置と、充填孔の開口を閉塞する閉塞位置と、の間で移動させる。また、開閉制御部は、圧縮空気供給機構が圧縮空気を槽の内部に供給して槽の内部の発泡混合物を充填孔から被充填孔を介して金型のキャビティに充填させた後に、孔開口閉塞部を閉塞位置に移動させるように移動機構を制御する。これにより、金型のキャビティから槽への発泡混合物の逆流を防止することができる。
【0011】
請求項3に記載する本発明の鋳型造型装置は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記槽の側壁部における前記開口部の側には、前記槽の内部に材料を流し込むための材料供給部が形成されており、前記蓋部材を、前記材料供給部の流路下端よりも前記開口部の側に位置する第一位置と、前記材料供給部の流路下端よりも前記底壁部の側に位置する第二位置と、の間で昇降させる昇降機構と、前記材料供給部から前記槽の内部に材料が供給される時点で前記蓋部材が前記第一位置に配置されているように前記昇降機構を制御すると共に、前記槽の内部の前記発泡混合物を前記充填孔から前記被充填孔を介して前記金型のキャビティに充填させる時点で前記蓋部材が前記第二位置に配置されているように前記昇降機構を制御する昇降制御部と、を有する。
【0012】
上記構成によれば、槽の側壁部における開口部の側には、槽の内部に材料を流し込むための材料供給部が形成されており、昇降機構は、蓋部材を、材料供給部の流路下端よりも開口部の側に位置する第一位置と、材料供給部の流路下端よりも底壁部の側に位置する第二位置と、の間で昇降させる。ここで、昇降制御部は、材料供給部から槽の内部に材料が供給される時点で蓋部材が第一位置に配置されているように昇降機構を制御する。これにより、材料供給部を用いて槽の内部に材料を供給することができる。また、昇降制御部は、槽の内部の発泡混合物を充填孔から被充填孔を介して金型のキャビティに充填させる時点で蓋部材が第二位置に配置されているように昇降機構を制御する。これにより、発泡混合物の充填時に、圧縮空気供給機構から槽の内部に供給される圧縮空気が材料供給部から漏れてしまうのを抑えることができる。
【0013】
請求項4に記載する本発明の鋳型造型方法は、発泡混合物を金型のキャビティに充填して鋳型を造型する鋳型造型方法であって、底壁部に充填孔が貫通形成されると共に前記底壁部の側とは反対側へ開放された開口部が形成された槽に、発泡混合物製造用の材料を供給し、前記槽における前記開口部の側を蓋部材で閉塞しかつ前記充填孔を充填孔開閉機構で閉塞した状態で、前記槽の内部の材料を攪拌羽根で攪拌して発泡混合物を製造する第一工程と、前記第一工程の後に、前記充填孔開閉機構を作動させて前記充填孔を開放し、前記金型に貫通形成された被充填孔に前記充填孔を隣接配置させるように前記槽を前記金型に押し付け、前記攪拌羽根で前記槽の内部の前記発泡混合物を攪拌しながら、前記槽の内部に圧縮空気を供給して前記槽の内部の前記発泡混合物を前記充填孔から前記被充填孔を介して前記金型のキャビティに充填させる第二工程と、を有する。
【0014】
上記構成によれば、第一工程では、槽に発泡混合物製造用の材料を供給し、槽における開口部の側を蓋部材で閉塞しかつ槽における充填孔を充填孔開閉機構で閉塞した状態で、槽の内部の材料を攪拌羽根で攪拌して発泡混合物を製造する。第一工程の後の第二工程では、充填孔開閉機構を作動させて充填孔を開放し、金型に貫通形成された被充填孔に充填孔を隣接配置させるように槽を金型に押し付け、攪拌羽根で槽の内部の発泡混合物を攪拌しながら、槽の内部に圧縮空気を供給して槽の内部の発泡混合物を充填孔から被充填孔を介して金型のキャビティに充填させる。
【0015】
以上により、槽で発泡混合物を製造する際に、金型へ発泡混合物を充填するための機構の一部を槽の中から槽の外に退避させる必要がなく、また、槽から金型に発泡混合物を充填させる際に、攪拌羽根の一部を槽の中から槽の外に退避させる必要もない。よって、発泡混合物が槽の外に飛散しない。
【0016】
請求項5に記載する本発明の鋳型造型方法は、請求項4記載の構成において、前記第二工程における前記攪拌羽根の攪拌時の動作速度は、前記第一工程における前記攪拌羽根の攪拌時の動作速度よりも、低速になるように設定されている。
【0017】
上記構成によれば、第二工程における攪拌羽根の攪拌時の動作速度が第一工程における攪拌羽根の攪拌時の動作速度よりも低速になるように設定されているので、第二工程では、槽の内部の発泡混合物の性状を安定化させながら当該発泡混合物を充填孔から被充填孔を介して金型のキャビティに安定的に充填させることができる。
【0018】
請求項6に記載する本発明の鋳型造型方法は、請求項4又は請求項5に記載の構成において、前記第一工程において前記槽の内部の材料を前記攪拌羽根で攪拌して発泡混合物を製造した後、前記第二工程において前記槽の内部の前記発泡混合物を前記充填孔から前記被充填孔を介して前記金型のキャビティに充填させる前に、前記攪拌羽根を前記底壁部から離間させる方向に移動させる。
【0019】
上記構成によれば、槽の内部の発泡混合物を金型のキャビティに充填させる前に、攪拌羽根を底壁部から離間させる方向に移動させるので、金型のキャビティへの発泡混合物の充填時に、攪拌羽根において底壁部の側に配置される部位によって発泡混合物が充填孔を通りにくくなってしまうのを防止又は抑制することができる。
【0020】
請求項7に記載する本発明の鋳型造型方法は、請求項4〜請求項6のいずれか1項に記載の構成において、前記第二工程において前記槽の内部の前記発泡混合物を前記充填孔から前記被充填孔を介して前記金型のキャビティに充填させる場合に、前記発泡混合物の充填開始時から充填完了直前までの間に前記槽の内部に供給される圧縮空気の圧力は、前記発泡混合物の充填完了時及び充填完了直後に前記槽の内部に供給される圧縮空気の圧力よりも、低くなるように設定されている。
【0021】
上記構成によれば、発泡混合物の充填開始時から充填完了直前までの間に槽の内部に供給される圧縮空気の圧力は、発泡混合物の充填完了時及び充填完了直後に槽の内部に供給される圧縮空気の圧力よりも、低くなるように設定されているので、発泡混合物の充填時に圧縮空気が発泡混合物をすり抜けるのを防止又は抑制することができると共に、発泡混合物の充填完了後に発泡混合物が逆流するのを抑えることができる。
【0022】
請求項8に記載する本発明の鋳型造型方法は、請求項4〜請求項7のいずれか1項に記載の構成において、前記第二工程において前記槽の内部の前記発泡混合物を前記充填孔から前記被充填孔を介して前記金型のキャビティに充填させた後、前記充填孔の開口を前記攪拌羽根の一部が閉塞する位置に前記攪拌羽根を移動させる。
【0023】
上記構成によれば、発泡混合物を金型のキャビティに充填させた後、攪拌羽根の一部で充填孔の開口を閉塞するので、金型のキャビティから槽への発泡混合物の逆流を防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明によれば、混合時及び充填時における発泡混合物の飛散を防止又は効果的に抑制することができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の一実施形態に係る鋳型造型装置について
図1〜
図9を用いて説明する。なお、図を見易くするために、図中の細部におけるハッチングは適宜省略する。
図1には、本実施形態に係る鋳型造型装置10が概略正面図(一部については正面視の断面図)で示され、
図2には、
図1の鋳型造型装置10の一部を拡大した部分拡大図が示されている。また、
図3には、鋳型造型装置10の左側面図が示され、
図4には、鋳型造型装置10の発泡混合物充填直後の状態の一例が概略正面図で示され、
図6には、鋳型造型装置10の清掃時及びメンテナンス時の状態が概略正面図で示されている。
【0027】
(鋳型造型装置の全体構成)
まず、鋳型造型装置10の全体構成について概説する。なお、鋳型造型装置10は、図示しない制御盤を備えており、この制御盤は、図示しない操作部を備えると共に、鋳型造型装置10の制御処理のプログラムを記憶した記憶部を含んで構成されている。そして、鋳型造型装置10は、操作者による操作部の操作に応じてプログラムを実行して作動するようになっている。
【0028】
図2に示されるように、鋳型造型装置10は、槽20と蓋部材30とを備えている。槽20は、底壁部20Aを備えた有底円筒状(広義には容器状)とされて底壁部20Aの側とは反対側へ開放された開口部20Kが形成されている。槽20は、発泡混合物製造用の材料(砂(広義には粒子状骨材)、水溶性バインダ、水及び添加物(例えば発泡剤))が供給されてこれらを貯留可能とされている。なお、
図1〜
図4及び
図7〜
図9では、槽20の中の材料ないしは発泡混合物を簡略化してドットで示している。
【0029】
槽20の底壁部20Aには、充填孔22が貫通形成されている。槽20における充填孔22は、本実施形態では一例として一つ設定されており(
図5参照)、止栓機構18によって開閉される。また、槽20の側壁部20Bにおける開口部20Kの側には、槽20の内部に材料を流し込むための材料供給部24が形成されている。この材料供給部24は、側壁部20Bに貫通形成された孔部24Hと、材料を孔部24Hに案内するための傾斜状のシュート24Aと、を備えている。シュート24Aの上方側には材料供給装置28(ブロック化して図示)が設けられる。なお、材料供給装置28は、図示を省略するが、材料毎の供給機構を備える。また、蓋部材30は、槽20における開口部20Kの側を密閉状に閉塞するように配置されている。槽20の開口部20Kの側に接する蓋部材30の外周部には、槽20の内部が気密状態となるように、シール部材(パッキン)が設けられている。
【0030】
また、鋳型造型装置10は、攪拌機構12を備えている。攪拌機構12は、その下部に攪拌羽根40を備えており、蓋部材30で開口部20Kの側を閉塞した状態で槽20の内部の材料を攪拌羽根40で攪拌して発泡混合物を製造するようになっている。
【0031】
また、
図1及び
図4に示されるように、鋳型造型装置10は、装置下部側に金型機構14を備えている。金型機構14は、攪拌機構12で混練された発泡混合物を所定の形状に成形して鋳型を造型するための金型60を備える。
図4に示されるように、金型60には、槽20における充填孔22に隣接配置される被充填孔66が貫通形成されている。
【0032】
また、鋳型造型装置10は、圧縮空気供給機構50を備えている。圧縮空気供給機構50は、充填孔22を開放した状態で槽20の内部の発泡混合物を充填孔22から被充填孔66を介して金型60のキャビティ(鋳型造型用空間)に充填させる場合に圧縮空気を槽20の内部に供給する。なお、鋳型造型装置10は、金型機構14と連動して金型60を開くことで金型60から鋳型を取り出すための鋳型押出機構(図示省略)も備えている。
【0033】
さらに、
図1に示されるように、鋳型造型装置10は、装置左右方向に延びる機体上部フレーム70に沿って(矢印X方向に)槽20を移動させるための移動機構72を備えている。移動機構72は、槽20を、造型時に配置される第一の位置(
図1に示される位置)と、該第一の位置から装置右側に退避された第二の位置(
図6に示される位置)と、の間で移動させる機構とされている。
【0034】
(各機構について)
次に、各機構について説明する。
【0035】
図1に示される槽20を装置左右方向に移動させるための移動機構72は、機体上部フレーム70に沿って装置左右方向に延びる図示しないガイド部を備えると共に、前記ガイド部に沿って走行可能な走行台車72Bを備えている。なお、走行台車72Bをガイドするための前記ガイド部には、一例として公知のガイドレール構造が適用されているため、
図1等では、前記ガイド部の図示を省略している。走行台車72Bの走行範囲は、金型60の上方側を含む範囲とされている。走行台車72Bには、上下移動用のシリンダ72Yを介して槽20が取り付けられている。言い換えれば、槽20は、走行台車72Bに対してシリンダ72Yにより懸垂支持されている。
図4に示されるように、槽20は、シリンダ72Yの作動によって金型60に押し付けられる位置まで移動可能とされている。
【0036】
また、走行台車72Bの上端部には、装置左右方向に延在するロッド72D1の一端側が固定されている。ロッド72D1は、機体上部フレーム70の装置右側の部位に固定されたシリンダ72Dの一部を構成し、シリンダ72Dの作動によって装置左右方向に伸縮可能とされている。すなわち、移動機構72は、走行台車72Bが前記ガイド部(図示省略)に沿って走行(移動)することで、槽20を装置左右方向に移動させるようになっている。なお、図中の一点鎖線72Aは、ロッド72D1の軸心を示している。
【0037】
図2に示されるように、攪拌機構12は、攪拌羽根40を作動させるための攪拌羽根作動機構42を備えている。攪拌羽根作動機構42は、攪拌羽根40を回転させるための回転軸42Aを備えている。回転軸42Aは、装置上下方向(槽20の深さ方向と同じ方向)に沿って延在し、蓋部材30の中央部を貫通して下端部に攪拌羽根40が固定されると共に、自身の軸線周りに回転可能に配置されている。回転軸42Aは、上端部側が駆動力伝達部42Bを介してモータ42Mの出力軸に接続された構成となっている。すなわち、攪拌機構12は、モータ42Mが作動することで、回転軸42Aに懸垂支持された攪拌羽根40が回転して槽20の内容物を攪拌(混練)するようになっている。
【0038】
図2に示されるように、回転軸42Aは、水平に配置された中間板32Bに軸支されると共に、回転軸外筒42A1及び回転軸内筒42A2を備えて伸縮可能な構造になっている。回転軸外筒42A1及び回転軸内筒42A2は、装置上下方向に延在しており、回転軸内筒42A2は、回転軸外筒42A1の中から回転軸外筒42A1の下方側に延びている。回転軸内筒42A2の下端部には前述した攪拌羽根40が固定されている。
【0039】
図5に示されるように、回転軸内筒42A2の長手方向中間部には、鍔状のガイド円盤42Dが予め固着されている。ガイド円盤42Dは、回転軸内筒42A2と同軸的に設けられ、回転軸内筒42A2の半径方向外側に張り出すように配置されている。ガイド円盤42Dの半径方向外側部分の上面側には、ガイド円盤42Dが回転軸内筒42A2と一体的に回転した場合に従動回転する第一ローラ43Aが設けられている。また、ガイド円盤42Dの半径方向外側部分の下面側には、ガイド円盤42Dが回転軸内筒42A2と一体的に回転した場合に従動回転する第二ローラ43Bが設けられている。第二ローラ43Bは、ガイド円盤42Dを挟んで第一ローラ43Aの下方側に配置されている。
【0040】
第一ローラ43A及び第二ローラ43Bは、ロッドエンド44Zに回転自在に取り付けられており、第一ローラ43A及び第二ローラ43Bの各回転軸の方向は、ガイド円盤42Dの半径方向に沿って設定されている。ロッドエンド44Zは、逆L字状に形成されており、ガイド円盤42Dの上方側に配置される上壁部44Z1と、ガイド円盤42Dの側方側に配置される側壁部44Z2と、を備えている。ロッドエンド44Zの側壁部44Z2には、前述した第一ローラ43A及び第二ローラ43Bが回転自在に取り付けられ、ロッドエンド44Zの上壁部44Z1の上面側には、装置上下方向に延在するロッド本体44Aの下端部が固定されている。ロッド本体44A及びロッドエンド44Zは、サーボシリンダ44Yの一部を構成している。
【0041】
ロッド本体44Aの上部は、サーボシリンダ44Yのシリンダ44S内に配置されて、ボールネジ(図示省略)と連結されている。そして、前記ボールネジが回転することで、ロッド本体44Aが、装置上下方向に延在するシリンダ44Sに対して装置上下方向に相対移動するように構成されている。また、サーボシリンダ44Yは、前記ボールネジの回転駆動用の電動サーボモータ44M(ブロック化して図示)を備えている。以上により、攪拌羽根40は、電動サーボモータ44Mの駆動によってサーボシリンダ44Yが作動することで、装置上下方向に移動可能とされている。
【0042】
なお、本実施形態では、一例として、ガイド円盤42Dに対して、サーボシリンダ44Y、第一ローラ43A及び第二ローラ43Bが一組設けられているが、例えば、ガイド円盤42Dに対して、回転軸内筒42A2を挟んだ両側にサーボシリンダ44Y、第一ローラ43A及び第二ローラ43Bが一対で設けられた構成とすることも可能である。また、サーボシリンダ44Yは、一例として、
図1〜
図4に示される断面から外れた位置に設定されているが、構成を分かり説明するために、便宜上、
図1〜
図4に示される断面に二点鎖線(想像線)で図示している。また、
図5以外では、第一ローラ43A及び第二ローラ43Bの図示は省略している。なお、
図2では、
図5に示される第一ローラ43A及び第二ローラ43Bに代えて、第一ローラ43A及び第二ローラ43Bの各回転軸線を一点鎖線で図示している。
【0043】
図5に示されるように、攪拌羽根40は、枠状に形成された枠体40Aを備えると共に、枠体40Aの枠内側に設けられた格子状の網部40Bを備えている。但し、本実施形態の攪拌羽根40に代えて、枠体40A及び網部40Bを備えないような他の形状の攪拌羽根が適用されてもよい。なお、
図5に示される斜視図では、槽20を簡略化して有底円筒状に示すと共に、この槽20を透視した状態で攪拌機構12の下部を簡略化して示している。攪拌機構12における攪拌羽根40の下端部には、充填孔22(
図5では想像線(二点鎖線)で図示)の開口を閉塞可能な孔開口閉塞部46が設けられている。孔開口閉塞部46は、攪拌羽根40の下端部から攪拌羽根40の厚み方向外側に張り出した張出部分を含む略矩形板状部(逆流防止用の遮蔽板)の一部とされている。
【0044】
また、本実施形態では、孔開口閉塞部46を、充填孔22の開口を開放する開放位置46X(
図2参照)と、充填孔22の開口を閉塞する閉塞位置46Y(
図4参照)と、の間で移動させる移動機構45が設けられている。この移動機構45は、前述したサーボシリンダ44Y、第一ローラ43A、第二ローラ43B、ガイド円盤42D、回転軸内筒42A2、回転軸外筒42A1、及び攪拌羽根40のうち孔開口閉塞部46を除く部分を含んで構成されている。移動機構45の一部を構成するサーボシリンダ44Yの電動サーボモータ44Mは、開閉制御部48に接続されて開閉制御部48によって駆動が制御されるようになっている。
【0045】
開閉制御部48は、圧縮空気供給機構50(
図2参照)が圧縮空気を槽20の内部に供給することで
図8(C)に示される槽20の内部の発泡混合物を充填孔22から被充填孔66を介して金型60のキャビティに充填させる前に
図5に示される孔開口閉塞部46を閉塞位置46Y(
図4参照)から離間する側(上方側)に移動させるように移動機構45(より具体的にはサーボシリンダ44Yの電動サーボモータ44Mの駆動)を制御する。また、開閉制御部48は、圧縮空気供給機構50(
図2参照)が圧縮空気を槽20の内部に供給して
図8(C)に示される槽20の内部の発泡混合物を充填孔22から被充填孔66を介して金型60のキャビティに充填させた後に、
図4に示される孔開口閉塞部46を閉塞位置46Yに移動させるように
図5に示される移動機構45(より具体的にはサーボシリンダ44Yの電動サーボモータ44Mの駆動)を制御する。
【0046】
一方、
図1に示される金型機構14においては、金型60が一方の型である固定型62と他方の型である可動型64とでキャビティを形成する。可動型64は、可動機構14Aによって装置左右方向に移動可能とされている。可動機構14Aは、機台14Bに設けられ、装置左右方向を軸方向として配置されたシリンダ14A1を含んで構成されている。なお、詳細説明を省略するが、
図6に示されるように、可動型64は、固定型62から離れた位置に配置された状態で可動型割面の向きを変えることが可能とされている。
【0047】
また、
図1に示されるように、固定型62は、機台14Bに設けられた支持機構部14Cに支持され、可動型64の側方側(本実施形態では装置左側)に配置されている。また、金型60において上側に配置される上壁部には既述した被充填孔66が貫通形成されている。なお、本実施形態における被充填孔66は、固定型62の上壁部62Aの切欠部分と可動型64の上壁部64Aの切欠部分とで構成されている。
【0048】
一方、機体上部フレーム70にはサーボシリンダ16Yが支持されている。このサーボシリンダ16Yは、装置上下方向を軸方向として配置されたシリンダ16S及びロッド16Aと、駆動用の電動サーボモータ16M(
図3参照)と、を備えている。
図2に示されるように、ロッド16Aの下端部は、連結構造部32を介して蓋部材30に接続されている。連結構造部32は、蓋部材30の上面側に固定されて立設された複数のロッド32Aと、ロッド32Aの上端部が固定されて前述した回転軸42Aを軸支する中間板32Bと、を含んで構成されている。
【0049】
蓋部材30は、槽20の内面とシール(密閉)された状態(密封状態)で摺動可能に配置され、サーボシリンダ16Yの電動サーボモータ16M(
図3参照)が作動することで槽20の底壁部20Aに接近する方向及びその反対方向(言い換えれば装置上下方向)に移動するようになっている。そして、サーボシリンダ16Y及び連結構造部32を含んで構成された昇降機構36は、蓋部材30を、材料供給部24の流路下端よりも開口部20Kの側に位置する第一位置30Xと、材料供給部24の流路下端よりも底壁部20Aの側に位置する第二位置30Y(
図8(C)参照)と、の間で昇降させるようになっている。
【0050】
図3に示されるように、昇降機構36の電動サーボモータ16Mは、昇降制御部38に接続されている。昇降制御部38は、
図2に示される材料供給部24から槽20の内部に材料が供給される時点で蓋部材30が第一位置30X(
図2に示される位置)に配置されているように昇降機構36を制御すると共に、
図8(C)に示される槽20の内部の発泡混合物を充填孔22から被充填孔66を介して金型60のキャビティに充填させる時点で蓋部材30が第二位置30Y(
図8(C)に示される位置)に配置されているように昇降機構36を制御する。
【0051】
図2に示されるように、槽20の下方側でかつ金型機構14(
図1参照)の上方側には、充填孔開閉機構としての止栓機構18が設けられている。止栓機構18は、槽20の底壁部20Aの充填孔22の閉塞用として止め栓18Aを備えている。止め栓18Aは、水平配置された止め栓プレート18Bから上方側に突出している。また、止め栓プレート18Bは、上向きのシリンダ18Yのピストンロッド18Rの上端部に取り付けられており、シリンダ18Yの作動により上下動するようになっている。そして、止栓機構18は、槽20の充填孔22を止め栓18Aで閉塞することが可能とされている。なお、シリンダ18Yを支持する支持部材18Dは、図示しない移動用機構によって装置左右方向に移動可能とされている。
【0052】
圧縮空気供給機構50は、蓋部材30にポート52A及び圧力ゲージ52Gを備え、ポート52Aには、ホース52B、流量計52D及び三方弁52Eを介して圧縮空気供給装置52Cが接続されている。圧縮空気供給装置52Cは、流量計52D、三方弁52E、ホース52B及びポート52Aを介して、槽20の内部空間への圧縮空気の供給が可能とされている。圧力ゲージ52Gは、槽20の内部空間の圧力を測定可能とされている。
【0053】
また、圧縮空気供給機構50は、圧力ゲージ52G、流量計52D、三方弁52E及び圧縮空気供給装置52Cにそれぞれ接続された空気供給制御部54を備えている。なお、図中では、圧力ゲージ52Gと空気供給制御部54との接続については図示を省略する。空気供給制御部54は、圧縮空気供給装置52C及び三方弁52Eの各作動を制御する。
【0054】
(作用・効果)
次に、鋳型造型装置10を用いて発泡混合物を金型60(
図1参照)のキャビティに充填して鋳型を造型する鋳型造型方法について
図7〜
図9を用いて説明しながら、上記実施形態の作用及び効果について説明する。なお、以下に説明する鋳型造型方法における制御処理は、鋳型造型装置10の操作者による操作部(図示省略)の操作に応じて鋳型造型装置10の記憶部(図示省略)に記憶された制御処理のプログラムが実行されることで、以下に説明する順に実行される。
【0055】
まず、
図7(A)に示される槽20における充填孔22が止栓機構18の止め栓18Aで閉塞され、槽20における開口部20Kの側が蓋部材30で閉塞された状態で、材料供給装置28(
図2参照)によって材料供給部24から槽20の内部に発泡混合物製造用の材料(砂、水溶性バインダ、水及び添加物)が供給(投入)される(矢印A参照)。
【0056】
次に、
図7(B)に示されるように、攪拌羽根40がサーボシリンダ44Yの作動によって下降された(矢印B参照)後、攪拌羽根作動機構42が作動することで槽20の内部の材料が攪拌羽根40で攪拌される。これにより、発泡混合物が製造される。なお、以上の
図7(A)及び
図7(B)に示される工程は本発明の第一工程に相当する。
【0057】
次に、
図7(C)に示されるように、攪拌羽根40がサーボシリンダ44Yの作動によって槽20の底壁部20Aから離間する方向に移動(上昇)される。また、蓋部材30がサーボシリンダ16Y(昇降機構36)の作動によって下降される(矢印C参照)。この時、槽20内の圧力を大気圧とするため、圧縮空気供給機構50に設けられた三方弁52E(
図2参照、大気への放散用の弁)を切り替えて排気する。蓋部材30は、材料供給部24の流路下端よりも底壁部20Aの側に位置する第二位置30Yに配置される。さらに、止栓機構18のシリンダ18Yが作動して止め栓18Aが下降する(矢印D参照)ことで、槽20の底壁部20Aの充填孔22が開放される。そして、止め栓18Aを備えた止栓機構18が図示しない移動用機構の作動によって装置右側に移動し、
図8(A)に示された状態となる。
【0058】
次に、
図8(B)に示されるように、槽20がシリンダ72Yの作動によって下降され、槽20が金型60に強く押し付けられる。これにより、槽20の充填孔22が金型60の被充填孔66に隣接配置される。また、このとき、槽20の中の蓋部材30及び攪拌羽根40もサーボシリンダ16Yの作動によって同調して下降される。
【0059】
次に、
図8(C)に示されるように、攪拌機構12の攪拌羽根作動機構42が作動することで攪拌羽根40が槽20の内部の発泡混合物(チキソトロピー性を有する混合物)を攪拌してその粘度を低下させながら、圧縮空気供給機構50によって槽20の内部に圧縮空気を供給して(矢印E参照)槽20の内部の発泡混合物を充填孔22から被充填孔66を介して金型60のキャビティに充填させる。
【0060】
ここで、蓋部材30は上述した第二位置30Yに配置されているので、本実施形態では圧縮空気供給機構50から槽20の内部に供給される圧縮空気が材料供給部24から漏れてしまうのを抑えることができる。また、攪拌羽根40が槽20の内部の発泡混合物を攪拌しながら圧縮空気供給機構50によって槽20の中に圧縮空気を供給しているので、例えば発泡混合物の攪拌をしない状態で槽20の中に圧縮空気を供給する場合に比べて、圧縮空気量を抑えること(ひいては圧縮空気を供給するためのエネルギーを低減すること)ができる。すなわち、金型60のキャビティへの発泡混合物の供給時(充填時)に、攪拌羽根40を回転させることで、発泡混合物(非ニュートン流体)の粘度が下げられて発泡混合物を供給する時の流動性を向上させることができるので、発泡混合物の供給性が向上する。さらに、圧縮空気が発泡混合物表面の凹凸を平滑にすることで、安定した供給性能を担保することができる。なお、以上の
図7(C)〜
図8(C)に示される工程は本発明の第二工程に相当する。
【0061】
また、
図8(C)に示される工程(第二工程)における攪拌羽根40の攪拌時の動作速度は、
図7(B)に示される工程(第一工程)における攪拌羽根40の攪拌時の動作速度よりも、低速になるように設定されている。これにより、本実施形態では、
図8(C)に示される槽20の内部の発泡混合物の性状を安定化させながら当該発泡混合物を充填孔22から被充填孔66を介して金型60のキャビティに安定的に充填させることができる。
【0062】
また、
図8(C)に示される工程(第二工程)において槽20の内部の発泡混合物を充填孔22から被充填孔66を介して金型60のキャビティに充填させる場合に、発泡混合物の充填開始時から充填完了直前までの間に槽20の内部に供給される圧縮空気の圧力は、発泡混合物の充填完了時及び充填完了直後に槽20の内部に供給される圧縮空気の圧力よりも、低くなるように設定されている。このため、発泡混合物の充填時に圧縮空気が発泡混合物をすり抜けるのを防止又は抑制することができると共に、発泡混合物の充填完了後に熱膨張した発泡混合物が金型60のキャビティから逆流するのを抑えることができる。
【0063】
さらに、本実施形態では、槽20の内部の発泡混合物を金型60のキャビティに充填させる前に、攪拌羽根40を底壁部20Aから離間させる方向に移動させているので、金型60のキャビティへの発泡混合物の充填時に、孔開口閉塞部46を含む攪拌羽根40によって発泡混合物が充填孔22を通りにくくなってしまうのを防止又は抑制することができる。
【0064】
その後、
図9(A)に示される攪拌機構12の攪拌羽根作動機構42の作動を停止することで攪拌羽根40の回転を停止する。また、圧縮空気供給機構50が供給する圧縮空気による圧力を減圧した後、圧縮空気による加圧を解除する。
【0065】
なお、本実施形態では、一例として、(第二工程において)槽20の内部の発泡混合物を充填孔22から被充填孔66を介して金型60のキャビティに充填させた後、サーボシリンダ44Yが作動することで、
図4に示されるように、攪拌羽根40の一部である孔開口閉塞部46が閉塞位置46Yに移動され、孔開口閉塞部46が充填孔22の開口を所定時間閉塞する。これによっても、金型60のキャビティから槽20への発泡混合物の逆流を防止することができる。
【0066】
次に、
図9(B)に示されるように、槽20がシリンダ72Yの作動によって上昇され、槽20が金型60から離れる。また、このとき、槽20の中の蓋部材30及び攪拌羽根40もサーボシリンダ16Yの作動によって上昇され、蓋部材30は、材料供給部24の流路下端よりも開口部20Kの側に位置する第一位置30Xに配置される。
【0067】
次に、
図9(C)に示されるように、止栓機構18が図示しない移動用機構の作動によって装置右側から槽20の直下に移動する。また、止栓機構18のシリンダ18Yが作動して止め栓18Aが上昇する(矢印F参照)ことで、
図7(A)に示されるように、槽20の底壁部20Aの充填孔22が閉塞される。すなわち、鋳型造型装置10は、
図9(C)の作動状態の後、
図7(A)の作動状態に戻り、以下、以上説明したサイクルが繰り返される。なお、
図7(A)の作動状態に戻った鋳型造型装置10について補足すると、
図7(A)の状態では蓋部材30が前述した第一位置30Xに配置されているため、材料供給部24を用いて槽20の内部に材料を供給することができる。
【0068】
以上により、
図1に示される槽20で発泡混合物を製造する際に、金型60へ発泡混合物を充填するための機構の一部を槽20の中から槽20の外に退避させる必要がなく、また、槽20から金型60に発泡混合物を充填させる際に、攪拌羽根40を槽20の中から槽20の外に退避させる必要もない。よって、発泡混合物が槽20の外に飛散しない。
【0069】
以上説明したように、本実施形態によれば、混合時及び充填時における発泡混合物の飛散を防止又は効果的に抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態では、金型60へ発泡混合物を充填するための機構の一部や攪拌羽根40を槽20から出し入れする必要もないので、発泡混合物を製造して金型60に充填するまでの時間を短縮することもでき、ひいては造型サイクルを短縮することができる。また、本実施形態では、鋳型造型装置10の中に可動部が少なく、また金型60への発泡混合物の充填を圧縮空気による加圧で実現しているため、装置そのものを簡素化、コンパクト化することもできる。
【0071】
(実施形態の補足説明)
なお、上記実施形態では、槽20から金型60のキャビティへの発泡混合物の供給方向が装置上方側から装置下方側へ向かう縦方向とされているが、槽から金型のキャビティへの発泡混合物の供給方向は、横方向や斜め下方向に設定されてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、槽20の内部への材料供給は、材料供給部24の上方側からとされているが、上記実施形態の変形例として、例えば、蓋部材(30)に材料供給口を貫通形成すると共に当該材料供給口を開閉する開閉部を設け、前記材料供給口から槽(20)の内部へ材料を供給するような構成としてもよい。
【0073】
また、上記実施形態の変形例として、金型の内部への発泡混合物の充填性を向上しかつ発泡混合物を安定的に供給する性能を担保するために、攪拌羽根(40)を回転させることに加えて、攪拌羽根(40)を振動させる又は槽(20)を振動させる、といった機能を設けてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、
図5に示される孔開口閉塞部46及び開閉制御部48が設けられており、上述した逆流防止の観点からはそのような構成が好ましいが、孔開口閉塞部46及び開閉制御部48が設けられない構成も採り得る。
【0075】
また、上記実施形態では、槽20の底壁部20Aに一つの充填孔22が貫通形成されているが、上記実施形態の変形例として、槽(20)の底壁部(20A)に複数の充填孔が貫通形成されると共に、これらの充填孔に対応して止栓機構(充填孔開閉機構)に複数の閉塞用の止め栓が設定されている構成も採り得る。そのような変形例の場合、複数の充填孔は、例えば、
図5に示される充填孔22と同様の位置に設定された充填孔を含むと共に装置平面視で一列に並ぶように設定されてもよく、その場合には、一例として、攪拌羽根(40)は、装置平面視で複数の充填孔の並ぶ方向と同じ方向に延在した状態で停止するように設定(言い換えれば、攪拌羽根(40)の停止時に装置平面視で攪拌羽根(40)と複数の充填孔とが重なるように設定)されてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、第二工程における攪拌羽根40の攪拌時の動作速度が第一工程における攪拌羽根40の攪拌時の動作速度よりも低速になるように設定されており、このような構成が好ましいが、例えば、第一工程における攪拌羽根(40)の攪拌時の動作速度の設定等によっては、上記実施形態の設定以外の設定も採り得る。
【0077】
また、上記実施形態の変形例として、
図7(B)に示される槽20の内部の材料が攪拌羽根40で攪拌される時の蓋部材30の位置は、
図7(B)に示される第一位置30Xとされずに第二位置30Y(
図7(C)参照)とされてもよい。補足すると、蓋部材30の位置を第一位置30Xから第二位置30Y(
図7(C)参照)に変位させるタイミングは、
図7(A)に示される材料供給部24から槽20の内部に材料が供給された後でかつ
図8(C)に示される槽20の内部の発泡混合物を充填孔22から被充填孔66を介して金型60のキャビティに充填させる前であれば、いずれのタイミングに設定することも可能である。また、蓋部材30の位置を第二位置30Yから第一位置30X(
図7(A)参照)に変位させるタイミングは、
図8(C)に示される槽20の内部の発泡混合物を充填孔22から被充填孔66を介して金型60のキャビティに充填させた後でかつ
図7(A)に示される材料供給部24から槽20の内部に材料が供給される前であれば、いずれのタイミングに設定することも可能である。
【0078】
また、上記実施形態では、
図7(C)に示されるように、金型60のキャビティに発泡混合物を充填させる前に、攪拌羽根40をサーボシリンダ44Yの作動によって槽20の底壁部20Aから離間させる方向に移動させており、このような構成が好ましいが、そのような移動の設定がなされない構成も採り得る。
【0079】
また、第二工程において
図8(C)に示される槽20の内部の発泡混合物を充填孔22から被充填孔66を介して金型60のキャビティに充填させる場合において圧縮空気供給機構50が供給する圧縮空気の圧力の設定は、上記実施形態のような設定が好ましいが、上記実施形態の設定以外の設定も採り得る。
【0080】
また、圧縮空気供給機構(50)が槽(20)の内部に供給する圧縮空気は、大気とは限らず、ガスボンベから供給される窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガスや炭酸ガスであってもよい。
【0081】
なお、上記実施形態及び上述の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
【0082】
以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。