特開2018-192557(P2018-192557A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2018-192557手掌構造およびこれを備えるロボットハンド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-192557(P2018-192557A)
(43)【公開日】2018年12月6日
(54)【発明の名称】手掌構造およびこれを備えるロボットハンド
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20181109BHJP
【FI】
   B25J15/08 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-97580(P2017-97580)
(22)【出願日】2017年5月16日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)集会での発表 ・集会名 ロボティクス・メカトロニクス講演会2017 ・開催日 平成29年5月11日 (2)刊行物などへの発表 ・発行者 一般社団法人 日本機械学会 ・刊行物名 No.17−2 ロボティクス・メカトロニクス講演会2017 講演論文集,1P1−Q01 ・発行日 平成29年5月9日
(71)【出願人】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142572
【弁理士】
【氏名又は名称】水内 龍介
(72)【発明者】
【氏名】小澤 隆太
(72)【発明者】
【氏名】米田 知生
(72)【発明者】
【氏名】森廣 大毅
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707ES05
3C707ES08
3C707EU02
3C707EU07
3C707HS27
3C707MT04
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で、対象物を確実に把持することができる手掌構造の提供。
【解決手段】手掌部2と複数の指部3とを有するロボットハンド1の手掌構造であって、手掌部2は、指部3が回動可能に設けられる手掌本体片5と、指部3とで対象物を把持する把持片6とを備える。把持片6は、手掌本体片5に回動可能に保持される軸部30に一体回転可能に設けられる。軸部30は、軸方向一端部である右端部が軸方向他端部である左端部よりも手掌本体片5の先端部に近くなるよう傾斜して配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手掌部と前記手掌部に回動可能に設けられる指部とを有するロボットハンドの手掌構造であって、
前記手掌部は、
前記指部が回動可能に設けられる手掌本体片と、
前記手掌本体片に回動可能に設けられ、前記指部とで対象物を把持する把持片と
を備えることを特徴とする手掌構造。
【請求項2】
前記把持片には、前記指部とで前記対象物を把持した際に前記対象物と接触する弾性材が設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の手掌構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の手掌構造を備える
ことを特徴とするロボットハンド。
【請求項4】
前記把持片は、前記手掌本体片に回動可能に保持される軸部に設けられ、
前記軸部は、軸方向一端部が軸方向他端部よりも前記手掌本体片の先端部に近くなるよう傾斜して配置されており、
前記把持片には、拇指部が回動可能に設けられる
ことを特徴とする請求項3に記載のロボットハンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を把持することができるロボットハンドの手掌構造に関するものである。また、そのような手掌構造が適用されるロボットハンドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、産業用のロボットハンドは、開閉可能な一対の指部を有するグリッパを備えたものであり、その一対の指部で対象物を挟むことができる。また、人間の手に近い構成のロボットハンドとしては、下記特許文献1に開示されるような多指ハンド装置が知られている。この多指ハンド装置は、手掌部から延設された複数の指機構を備え、各指機構が手掌部側から複数の関節を介して順次連接された複数のリンク機構を具備している。このような構成であるので、下記特許文献1に記載の多指ハンド装置は、対象物に複数の指機構の先端部を接触させて、対象物を把持することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−347482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のロボットハンドでは、指部で対象物を把持するので、対象物の強い力での把持に適さない。従って、対象物の形状によっては、安定して対象物を把持することができないおそれがある。たとえば、従来のロボットハンドでは、バルブを回転させて開閉する際、バルブへの大きな把持力を発生しづらいので、バルブに対してロボットハンドが滑ってしまい、バルブを回転させることができないおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、簡易な構成で、対象物を確実に把持することができる手掌構造と、この手掌構造を備えるロボットハンドとを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係る手掌構造は、手掌部と前記手掌部に回動可能に設けられる指部とを有するロボットハンドの手掌構造であって、前記手掌部は、前記指部が回動可能に設けられる手掌本体片と、前記手掌本体片に回動可能に設けられ、前記指部とで対象物を把持する把持片とを備えることを特徴とする。
【0007】
さらに、本発明に係る手掌構造は、前記把持片には、前記指部とで前記対象物を把持した際に前記対象物と接触する弾性材が設けられることを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係るロボットハンドは、前述した手掌構造を備えることを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明に係るロボットハンドは、前記把持片は、前記手掌本体片に回動可能に保持される軸部に設けられ、前記軸部は、軸方向一端部が軸方向他端部よりも前記手掌本体片の先端部に近くなるよう傾斜して配置されており、前記把持片には、拇指部が回動可能に設けられることを特徴とする。すなわち、把持片は、指部と対向しやすい角度で配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る手掌構造によれば、手掌部が手掌本体片とこの手掌本体片に回動可能に設けられる把持片とを備えており、手掌本体片に設けられる指部と把持片とにより対象物を把持することができる。従って、対象物を強い力で把持することができ、対象物を確実に把持することができる。
【0011】
さらに、本発明に係る手掌構造によれば、把持片に弾性材が設けられるので、対象物をより確実に把持することができる。
【0012】
本発明に係るロボットハンドによれば、上述した作用効果を奏するロボットハンドを提供することができる。
【0013】
さらに、本発明に係るロボットハンドによれば、軸方向一端部が軸方向他端部よりも手掌本体片の先端部に近くなるよう傾斜して軸部が配置され、その軸部まわりに回動可能に設けられる把持片に拇指部が回動可能に設けられる。従って、人間の手の拇指球と指とで対象物を把持するように、把持片と指部とで複数の把持形態で対象物を把持することができ、対象物を確実に把持することができる。これに加えて、把持片に拇指部が回動可能に設けられるので、指部に対して拇指部を近接離隔させることができ、人間の手のような細かな動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の手掌構造の一実施例が適用されたロボットハンドの一例を示す概略正面図である。
図2図1のロボットハンドの斜め前方から見た概略斜視図である。
図3図1のロボットハンドの斜め後方から見た概略斜視図である。
図4図1のロボットハンドの把持状態を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1から図4は、本発明の手掌構造の一実施例が適用されたロボットハンドの一例を示す概略図であり、図1は概略正面図、図2は斜め前方から見た概略斜視図、図3は斜め後方から見た斜視図、図4は把持状態を示す概略斜視図である。本実施例のロボットハンド1は、手掌部2、指部3および拇指部4を備える。
【0017】
手掌部2は、ロボットハンド1の手掌部分を構成するものであり、指部3が回動可能に設けられる手掌本体片5と、指部3とで対象物を把持することができる把持片6とを有している。手掌本体片5は、手掌部2の先端部を含む領域である。本実施例の手掌本体片5は、矩形板状に形成されており、板面を前後に向けて配置される。手掌本体片5の前面には、合成ゴムなどからなる薄い板状の弾性材7が設けられる。
【0018】
手掌本体片5の上端部である先端部には、上方および前後方向へ開口する開口部8が三箇所に形成されている。三箇所に形成された開口部8は、互いに左右に離隔して配置される。手掌本体片5の後面には、指部3の支持片9が形成されている。支持片9は、板状とされ、各開口部8の近傍において開口部8を挟むようにして、手掌本体片5の後面に形成されている。開口部8を挟むようにして形成される一対の支持片9,9は、互いに対面して配置される。手掌本体片5の先端部には、三本の指部3が略放射状に設けられる。
【0019】
各指部3は、同様の構成とされ、それぞれが複数の節と、互いに隣接する節同士を接続する関節とを備えて構成される。本実施例では、指部3は、手掌本体片5に遠い方から順に、第一節10、第二節11および第三節12を有しており、第一節10と第二節11とが第一関節13を介して互いに回動可能に接続され、第二節11と第三節12とが第二関節14を介して互いに回動可能に接続されて構成される。各指部3の第三節12の前面には、合成ゴムなどからなる薄い板状の弾性材15が設けられる。各指部3は、その第三節12の下端部である基端部が一対の支持片9,9間に配置された状態で、第三関節16を介して一対の支持片9,9に回動可能に接続される。このようにして、各指部3は、手掌本体片5の先端部に回動可能に設けられる。なお、本実施例では、各指部3は、同様の構成とされたが、これに限定されるものではない。たとえば、三本の指部3を互いに比較した際に、節の数および対応する節の長さが異なってもよい。また、各指部3の根元の関節が直交関節であってもよい。
【0020】
第一節10、第二節11および第三節12を回動させる回動機構は、従来公知の機構が用いられる。たとえば、第一節10、第二節11および第三節12は、前述した関節13,14,16を介して、公知のリンク機構または複数の歯車によって接続される。この場合、第三関節16を回動させることで、その回動に伴って第二関節14および第一関節13を連動して回動させることができる。従って、図1に示すように指部3が伸長した状態から、各節10,11,12を手掌本体片5の前面側に回動させて、図4に示すように指部3を屈曲させることができる。また、これとは逆に、図4に示すように指部3が屈曲した状態から、各節10,11,12を手掌本体片5から離れるように回動させて、図1に示すように指部3を伸長させることができる。なお、第三関節16を回動させるモータは、手掌本体片5の後面に設けられる。
【0021】
また、各指部3の回動機構として、各関節13,14,16にモータを設けてもよい。この場合、各関節13,14,16に設けられたモータを駆動させることで、各関節13,14,16を回動させ、これにより、第一節10、第二節11および第三節12を回動させることができる。
【0022】
把持片6は、その形状を特に問わないが、本実施例では、大板17と小板18とを有する。大板17は、略山形に屈曲された板材から構成されており、第一板19、第二板20および第三板21を有して構成される。第一板19、第二板20および第三板21は、左右方向を長手方向とする略長方形の板状に形成されている。第一板19と第二板20とは、互いに長辺部同士が連接されており、第二板20と第三板21とは、互いに長辺部同士が連接されている。小板18は、矩形板状に形成されており、大板17の内側に傾斜するようにして、第二板20の右端部に連接される。小板18の内面には、拇指部4の支持板22が左右に離隔して形成されている。支持板22は、板状とされ、互いに対面して配置される。
【0023】
把持片6には、拇指部4が回動可能に設けられる。拇指部4は、複数の拇指節と、互いに隣接する拇指節同士を接続する拇指関節とを備えて構成される。本実施例では、拇指部4は、把持片6に遠い方から順に、第一拇指節23および第二拇指節24を有しており、第一拇指節23と第二拇指節24とが第一拇指関節25を介して互いに回動可能に接続されて構成される。拇指部4は、その第二拇指節24の基端部が一対の支持板22,22間に配置された状態で、第二拇指関節26を介して一対の支持板22,22に回動可能に接続される。なお、拇指部4の構成は、これに限定されるものではなく、たとえば、拇指部4の根元の関節が直交関節であってもよい。
【0024】
第一拇指節23および第二拇指節24を回動させる回動機構は、前述した各指部3の回動機構と同様の機構とされ、従来公知の機構が用いられる。たとえば、第一拇指節23および第二拇指節24は、第一拇指関節25および第二拇指関節26を介して、公知のリンク機構または複数の歯車によって接続される。この場合、第二拇指関節26を回動させることで、その回動に伴って第一拇指関節25を連動して回動させることができる。従って、図1に示すように拇指部4が伸長した状態から、各拇指節23,24を把持片6の外面側に回動させて、図4に示すように拇指部4を屈曲させることができる。また、これとは逆に、図4に示すように拇指部4が屈曲した状態から、各拇指節23,24を把持片6から離れるように回動させて、図1に示すように拇指部4を伸長させることができる。なお、第二拇指関節26を回動させるモータは、把持片6の後面に設けられる。
【0025】
また、拇指部4の回動機構として、各拇指関節25,26にモータを設けてもよい。この場合、各拇指関節25,26に設けられたモータを駆動させることで、各拇指関節25,26を回動させ、これにより、第一拇指節23および第二拇指節24を回動させることができる。
【0026】
把持片6の外面には、把持片6と各指部3とで対象物を把持した際に対象物と接触する弾性材27が設けられる。具体的には、弾性材27は、大板17に設けられる箇所では略山形に形成されており、小板18に設けられる箇所では略板状に形成されている。弾性材27の略山形に形成された箇所では、一方の傾斜面が幅の広い平面状に形成されており、この幅広の平面部28と小板18に設けられた略板状部29とが滑らかに連続している。弾性材27は、この構成に限定されるものではなく、たとえば、軸方向に波を打っていてもよい。なお、本実施例では、弾性材27は、合成ゴムなどから構成される。
【0027】
以上のような構成のロボットハンド1には、本発明の手掌構造が適用される。この手掌構造は、各指部3と把持片6とで対象物を把持させるものであり、ロボットハンド1の手掌部2が、前述した手掌本体片5と、手掌本体片5に回動可能に設けられる前述した把持片6とを備える。すなわち、手掌構造は、手掌本体片5に対して把持片6を回動させるものである。把持片6は、手掌本体片5に回動可能に保持される軸部30に設けられる。軸部30は、円柱状に形成されており、第一保持部31および第二保持部32を介して、手掌本体片5に保持される。
【0028】
第一保持部31は、手掌本体片5への固定片33と、軸部30の保持片34とを有している。固定片33は、板状に形成されており、板面を前後に向けて配置される。固定片33の下端部には、左右に離隔して保持片34が設けられる。各保持片34は、縦断面略六角形状の板状とされ、板面を貫通して円形の貫通穴が形成されている。両保持片34,34は、各貫通穴の軸方向が左右方向に沿うと共に、各貫通穴が同一軸線上に配置されるようにして、固定片33に設けられる。このような構成の第一保持部31は、その固定片33の前面が手掌本体片5の後面に固定される。この際、第一保持部31は、その各保持片34が手掌本体片5から外方へ突出すると共に、右側に配置される保持片34が左側に配置される保持片34よりも手掌本体片5の先端部に近くなるように、傾斜して配置される。
【0029】
第二保持部32は、手掌本体片5への固定片35と、軸部30の第一保持片36および第二保持片37とを有している。固定片35は、左右に細長い矩形板状に形成されており、板面を前後に向けて配置される。固定片35の左端部には、第一保持片36が設けられる。第一保持片36は、矩形板状に形成されており、板面を貫通して円形の貫通穴が形成されている。第一保持片36は、板面を左右に向けた状態で、固定片35に設けられる。第一保持片36の右面には、第二保持片37が設けられる。第二保持片37は、円筒状に形成されており、軸方向左端部が第一保持片36の右面に固定される。この際、第一保持片36に形成された貫通穴と第二保持片37の内穴とは、同一軸線上に配置される。このような構成の第二保持部32は、その固定片35が第一保持部31の固定片33を介して手掌本体片5の後面に固定される。この際、第二保持部32は、その各保持片36,37が第一保持部31の左側の保持片34よりも左側に配置されると共に、第一保持片36に形成された貫通穴および第二保持片37の内穴が、第一保持部31の保持片34に形成された貫通穴と同一軸線上に配置されるように、傾斜して配置される。
【0030】
軸部30は、第一保持部31の各保持片34に形成された貫通穴、第二保持部32の第一保持片36に形成された貫通穴および第二保持部32の第二保持片37を貫通した状態で、第一保持部31および第二保持部32に回動可能に保持される。すなわち、軸部30は、軸方向一端部である右端部が軸方向他端部である左端部よりも手掌本体片5の先端部に近くなるよう傾斜して配置される。
【0031】
軸部30には、第一固定部38および第二固定部39を介して、把持片6が固定される。第一固定部38は、把持片6の支持片40と、軸部30への固定片41とを有している。支持片40は、矩形板状に形成されており、板面を上下に向けて配置される。支持片40の前端部の上面には、左右に離隔して固定片41が設けられる。各固定片41は、短円筒状に形成されており、軸線が左右方向へ沿って配置されると共に、同一軸線上に配置される。一方、第二固定部39は、把持片6の支持片42と、軸部30への固定片43とを有している。支持片42は、矩形板状に形成されており、板面を上下に向けて配置される。支持片42の前端部の上面には、短円筒状の固定片43が設けられる。固定片43は、軸線が左右方向へ沿うようにして配置される。
【0032】
第一固定部38および第二固定部39は、各支持片40,42の下面が把持片6の大板17の第一板19の外面に固定される。この際、第一固定部38の各固定片41と第二固定部39の固定片43とが同一軸線上に配置される。各固定部38,39が設けられた把持片6は、各固定部38,39の固定片41,43に軸部30が貫通した状態で、軸部30に支持される。この際、第一固定部38の右側の固定片41は、第一保持部31の右側の保持片34の右側に配置され、第一固定部38の左側の固定片41は、第一保持部31の保持片34,34間に配置される。また、第二固定部39の固定片43は、第一保持部31の左側の保持片34と第二保持部32の第二保持片37との間に配置される。把持片6は、各固定部38,39の固定片41,43が軸部30に回転不能に取り付けられるので、軸部30と一体回転可能とされる。なお、本実施例では、軸部30を回転させるモータは、把持片6の後面に設けられる。
【0033】
本実施例の場合、図4に示されるように、各指部3の各節10,11,12を手掌本体片5側に回動させると共に、把持片6を手掌本体片5側に回動させることができる。これにより、各指部3と把持片6とで対象物を把持することができる。従って、従来の多指を有するロボットハンドのように指だけで対象物を把持する場合と比較して、対象物を強い力で把持することができ、対象物を確実に把持することができる。たとえば、バルブを回転させて開閉する場合、バルブを把持することに加えて、回転時に生じるモーメントを抑制する必要があるが、本実施例では、各指部3と把持片6とでバルブを把持することができるので、その抑制が可能である。なお、この際、拇指部4は、図4に示すように回動させてもよいし、回動させなくてもよい。
【0034】
また、本実施例の場合、把持片6および各指部3に弾性材27,15が設けられているので、把持片6の弾性材27の平面部28と各指部3の弾性材15の前面とで対象物を把持することができる。従って、バルブの回転時に生じるモーメントをより確実に抑えることができ、バルブをより強い力で把持することができる。また、本実施例の場合、軸部30が傾斜して設けられているので、人間の手が拇指球と指とで対象物を把持する場合と同様に、把持片6と指部3とで対象物を把持することができる。従って、本実施例によれば、対象物をより自然にかつより強く把持することができる。さらに、本実施例の場合、把持片6に拇指部4が設けられており、指部3に対して拇指部4を近接離隔することができるので、ロボットハンド本来の指先や手全体での把持を行うことができ、人間の手のような細かな作業を行うことができる。
【0035】
本発明は、前記実施例の構成に限らず、適宜変更可能である。たとえば、前記実施例では、指部3は、三本とされたが、これに限定されるものではなく、人間の手のように四本であってもよい。また、前記実施例では、弾性材27が設けられたが、省略してもよい。この場合、指部3とで対象物を把持する把持片6が幅広に形成されている。本実施例では、把持片6の第二板20が幅広に形成されることになる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、対象物を把持するロボットハンドに好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 ロボットハンド
2 手掌部
3 指部
4 拇指部
5 手掌本体片
6 把持片
27 弾性材
30 軸部
図1
図2
図3
図4