特開2018-192562(P2018-192562A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-192562(P2018-192562A)
(43)【公開日】2018年12月6日
(54)【発明の名称】先端工具長さ調整具
(51)【国際特許分類】
   B23B 49/00 20060101AFI20181109BHJP
   E04F 21/00 20060101ALI20181109BHJP
   B23C 9/00 20060101ALI20181109BHJP
   B26F 1/34 20060101ALI20181109BHJP
   B26F 1/16 20060101ALI20181109BHJP
   B26D 7/26 20060101ALI20181109BHJP
【FI】
   B23B49/00 B
   E04F21/00 Z
   B23C9/00 A
   B26F1/34
   B26F1/16
   B26D7/26
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-98173(P2017-98173)
(22)【出願日】2017年5月17日
(71)【出願人】
【識別番号】510277512
【氏名又は名称】株式会社テクト
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】高木 一昌
(72)【発明者】
【氏名】高木 栄造
(72)【発明者】
【氏名】前橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】古谷 則之
(72)【発明者】
【氏名】阿部 幸典
(72)【発明者】
【氏名】坂巻 一弥
【テーマコード(参考)】
3C021
3C022
3C036
3C060
【Fターム(参考)】
3C021JA02
3C021JA09
3C022QQ01
3C036BB01
3C060AA20
3C060BA05
3C060BE08
3C060BG01
(57)【要約】
【課題】先端工具の突出長さを容易に調整することができる、先端工具長さ調整具を提供する。
【解決手段】対象物に当接するベースを有する電動工具における先端工具の該ベースからの突出長さを調整するための、先端工具長さ調整具1であって、長さ方向に沿ってスライド孔22を形成したスライド部2と、スライド部2の一方の端部に形成した頭部3と、スライド孔22に沿ってスライド部2の長さ方向に摺動するスライダー4と、を有し、頭部3は、スライド部2の長さ方向と直交するボード当接面31と、長さ方向と平行な挿通孔32を有することを特徴とする、先端工具長さ調整具。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に当接するベースを有する電動工具における先端工具の該ベースからの突出長さを調整するための、先端工具長さ調整具であって、
長さ方向に沿ってスライド孔を形成したスライド部と、前記スライド部の一方の端部に形成した頭部と、前記スライド孔に沿って前記スライド部の長さ方向に摺動するスライダーと、を有し、
前記頭部は、前記スライド部の長さ方向と直交するボード当接面と、前記長さ方向と平行な挿通孔を有することを特徴とする、先端工具長さ調整具。
【請求項2】
請求項1に記載の先端工具長さ調整具において、
前記スライド部は、前記長さ方向に形成したスライド溝を有し、
前記スライダーは、前記スライド溝内に配置するスライドブロックと、前記スライドブロックに形成したねじ孔に螺合する調整ねじと、からなり、
前記スライド孔は前記スライド溝の底面に形成し、
前記調整ねじの軸部は、前記スライド孔から前記スライドブロックに螺合して前記スライド溝から突出可能な長さであり、
前記挿通孔は前記スライド溝と連続することを特徴とする、先端工具長さ調整具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の先端工具長さ調整具において、
前記頭部は、前記ボード当接面と平行なベース係合面を有するベース係合片を有することを特徴とする、先端工具長さ調整具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニューアル工事等において、例えば天井ボードを切断する際に用いる電動工具の先端工具の突出長さを調整するための、先端工具長さ調整具に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の内装リニューアル工事や耐震補強工事を行う際、天井ボードを解体することがよく行われる。
天井ボードは主に石膏ボードからなり、天井下地材(野縁)に釘やビス、接着剤等によって固定されているため、天井ボードは解体しやすい大きさに予め切断し、それから作業員がバールや手作業によって天井下地材から天井ボードを剥がすのが好ましい。
また、天井に点検口を設ける場合や空調機器等を増設する際にも、天井ボードの切断が必要となる。
従来、天井ボードの切断には、天井ボードに当接するベースを設けた電動工具が用いられる。切断に用いる先端工具は電動工具のチャックに取り付け、ベースの刃孔から突出している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常、天井ボードの上面には照明などの配線が施されている。
電動工具に取り付けた先端工具の突出長さが短すぎると天井ボードが切断できず、逆に長すぎると、天井ボードを貫通し、上面の配線を切断してしまうおそれがある。
従来、先端工具の突出長さの調整は、切断するボードの厚さをスケール等により計測し、ベースからの突出長さを計測した厚さになるように再度スケール等により計測しながら先端工具の後部を電動工具のチャックに挿入して行う。
この作業はスケールを二度合わせる必要があるため時間がかかり、施工効率が悪くなってしまう。
また、スケール等による計測を誤ると、先端工具の突出長さが短すぎたり長すぎたりしてしまう。
【0004】
本発明は、先端工具の突出長さを容易に調整することができる、先端工具長さ調整具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた本願の第1発明は、対象物に当接するベースを有する電動工具における先端工具の該ベースからの突出長さを調整するための、先端工具長さ調整具であって、長さ方向に沿ってスライド孔を形成したスライド部と、前記スライド部の一方の端部に形成した頭部と、前記スライド孔に沿って前記スライド部の長さ方向に摺動するスライダーと、を有し、前記頭部は、前記スライド部の長さ方向と直交するボード当接面と、前記長さ方向と平行な挿通孔を有することを特徴とする、先端工具長さ調整具を提供する。
本願の第2発明は、第1発明の先端工具長さ調整具において、前記スライド部は、前記長さ方向に形成したスライド溝を有し、前記スライダーは、前記スライド溝内に配置するスライドブロックと、前記スライドブロックに形成したねじ孔に螺合する調整ねじと、からなり、前記スライド孔は前記スライド溝の底面に形成し、前記調整ねじの軸部は、前記スライド孔から前記スライドブロックに螺合して前記スライド溝から突出可能な長さであり、前記挿通孔は前記スライド溝と連続することを特徴とする、先端工具長さ調整具を提供する。
本願の第3発明は、第1発明又は第2発明の先端工具長さ調整具において、前記頭部は、前記ボード当接面と平行なベース係合面を有するベース係合片を有することを特徴とする、先端工具長さ調整具を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、上記した課題を解決するための手段により、次のような効果の少なくとも一つを得ることができる。
(1)対象物の厚さに合わせてスライダーの位置を決め、それに合わせて先端工具の突出長さを調整するため、スケール等による計測が不要である。
(2)スケール等による計測が不要であるため、短時間に施工することができ、施工効率が高い。
(3)スケール等による計測ミスのおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】先端工具長さ調整具の説明図
図2】先端工具長さ調整具による先端工具長さ調整の説明図(1)
図3】先端工具長さ調整具による先端工具長さ調整の説明図(2)
図4】先端工具の長さを調整した電動工具による天井ボードの切削状態の説明図
図5】実施例2にかかる先端工具長さ調整具の説明図
図6】実施例2にかかる先端工具長さ調整具により先端工具の長さを調整した電動工具による天井ボードの切削状態の説明図
図7】実施例3にかかる先端工具長さ調整具の説明図
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0009】
<1>先端工具長さ調整具
本発明の先端工具長さ調整具1は、柱状のスライド部2と、スライド部2の一方の端部に形成した頭部3と、を有する(図1)。
【0010】
<2>スライド部
スライド部2は、長さ方向に沿ってスライド溝21を有する。また、スライド溝21の底面には、スライド溝21に沿った、スライド溝21より幅の狭いスライド孔22を有する。
スライド溝21には、スライド溝21内をスライド部2の長さ方向に摺動するスライダー4を収める。
【0011】
<3>頭部
頭部3は、スライド部2のスライド溝21を有する面に、スライド部2の長さ方向と直交するボード当接面31を形成し、スライド部2の幅よりも大きく形成する。
また、頭部3は、スライド部2と逆側の端面にチャック当接面34を形成し、チャック当接面34からスライド部2の長さ方向と平行に、スライド溝21内に貫通する挿通孔32を有する。
さらに、頭部3は、ボード当接面31の形成方向と直交する方向に突設するベース係合片33を有する。
【0012】
<4>スライダー
スライダー4は、スライド溝21と略同幅でスライド溝21内に収まり、スライド部2の長さ方向に摺動可能なスライドブロック41と、スライドブロック41に形成したねじ孔411と螺合する調整ねじ42と、を有する。
調整ねじ42は、スライドブロック41のねじ孔411に螺合する軸部421と、ねじ頭部422とからなる。
調整ねじ42は、軸部421をスライド部2のスライド孔22側から挿通し、スライド溝21内のスライドブロック41と螺合する。
調整ねじ42を締め込むことにより、軸部421の軸力によってねじ頭部422とスライドブロック41とでスライド部2を挟み込み、調整ねじ42とスライドブロック41は固定される。このとき、螺合した軸部421がスライド溝21から突出するように、軸部421の長さを設定する。
【0013】
<5>調整方法
次に、先端工具長さ調整具1を用いた、先端工具長さの調整方法について説明する。
【0014】
<5.1>スライダーおよび調整ねじの位置合わせ
切断対象となる天井ボードBを、頭部3のボード当接面31と、スライド溝21から突出する、スライドブロック41に螺合した調整ねじ42の軸部421とで挟みこんだ状態で調整ねじ42を締め込み、スライドブロック41および調整ねじ42を固定する(図2(a))。
このとき、ボード当接面31と軸部421との間隔が天井ボードBの厚さtと等しい状態で、スライドブロック41および調整ねじ42が固定される(図2(b))。
天井ボードBを挟み込んだ状態で調整ねじ42を締め込むだけの作業であり、短時間で、誰でも行うことができる。
【0015】
<5.2>先端工具の長さ調整
調整ねじ42を締め込んだ状態で、先端工具長さ調整具1を天井ボードBから取り外す。
そして、先端工具長さ調整具1は、ドリルやエンドミル等の先端工具102を頭部3の挿通孔32に挿通し、ベース101の刃孔103に頭部3を収めた状態で回転させて、頭部3のベース係合片33をベース101に係合する(図3)。
ベース係合片33の下面には、ボード当接面31と平行なベース係合面331を形成する。ベース係合面331には磁石を埋設しておくと、先端工具長さ調整具1とベース101とが一体となる。この状態は、先端工具102が露出していないため、先端工具長さ調整具1がカバーとなり、先端工具102を取り付けた状態で電動工具100を持ち運んでも安全である。
次に、頭部3のチャック当接面34を電動工具100のチャック104に当接させ、先端工具102の先端をスライドブロック41に当接させながら、電動工具100のチャックに固定する。
ベース101からの先端工具102の突出長さLは、スライドブロック41までの長さとなるためスライドブロック41の大きさは予め設定しておく。大きさの異なるスライドブロック41を複数用意し、必要となる突出長さLに合わせて適宜スライドブロック41を選択してもよい。
対象物となる天井ボードBの厚さに合わせて位置決めされたスライドブロック41に合わせて先端工具102の突出長さを調整するため、スケール等による計測は不要であり、短時間に施工することができ、施工効率が高くなる。
スライド部2には、チャック当接部34をチャック104に当接した際のベース101の下面の位置を0とする目盛23を予め設けておくことにより、例えば対象物に先端工具長さ調整具1を合わせることができない場合であっても、目盛23に合わせて先端工具102の突出長さLを調整することができる。
【0016】
<5.3>切断
先端工具102の突出長さLを調整した電動工具100により、天井ボードBを切断する(図4)。
突出長さLが天井ボードBの厚さtよりも短い場合、先端工具102は天井ボードBを貫通しない。先端工具102が天井ボードBを貫通しないため、天井ボードB上面の配線等を傷つけるおそれがない。
そして、先端工具102がエンドミル状であれば突出長さLの深さの切削溝が形成され、切削溝に沿って容易に天井ボードBを切断することができる。
先端工具102の突出長さLはスケール等により計測したものではないため、計測ミスのおそれがなく、長すぎて天井ボードBから大幅に突出して配線等を傷つけたり、逆に短すぎて天井ボードBが切断できないという問題が生じることがない。
【実施例2】
【0017】
上記実施例1においては、先端工具102がドリルやエンドミルのため挿通孔32はキリ穴としたが、挿通孔32を溝状とすることにより、鋸等の平板状の先端工具102にも対応することができる(図5図6)。
【実施例3】
【0018】
上記実施例1、2においては、スライド部2にスライド溝21を形成してスライドブロック41を収めたが、スライド部2にはスライド孔22のみを形成してもよい(図7)。
そして、スライダー4は、スライドブロック41にスライド孔22に挿通する軸部421を直接突設してナット412で固定する等、スライド孔22に沿って摺動しつつ所定の位置で固定できる構造であればよい。
【符号の説明】
【0019】
1 先端工具長さ調整具
2 スライド部
3 頭部
4 スライダー
100 電動工具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7