【実施例1】
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0009】
<1>先端工具長さ調整具
本発明の先端工具長さ調整具1は、柱状のスライド部2と、スライド部2の一方の端部に形成した頭部3と、を有する(
図1)。
【0010】
<2>スライド部
スライド部2は、長さ方向に沿ってスライド溝21を有する。また、スライド溝21の底面には、スライド溝21に沿った、スライド溝21より幅の狭いスライド孔22を有する。
スライド溝21には、スライド溝21内をスライド部2の長さ方向に摺動するスライダー4を収める。
【0011】
<3>頭部
頭部3は、スライド部2のスライド溝21を有する面に、スライド部2の長さ方向と直交するボード当接面31を形成し、スライド部2の幅よりも大きく形成する。
また、頭部3は、スライド部2と逆側の端面にチャック当接面34を形成し、チャック当接面34からスライド部2の長さ方向と平行に、スライド溝21内に貫通する挿通孔32を有する。
さらに、頭部3は、ボード当接面31の形成方向と直交する方向に突設するベース係合片33を有する。
【0012】
<4>スライダー
スライダー4は、スライド溝21と略同幅でスライド溝21内に収まり、スライド部2の長さ方向に摺動可能なスライドブロック41と、スライドブロック41に形成したねじ孔411と螺合する調整ねじ42と、を有する。
調整ねじ42は、スライドブロック41のねじ孔411に螺合する軸部421と、ねじ頭部422とからなる。
調整ねじ42は、軸部421をスライド部2のスライド孔22側から挿通し、スライド溝21内のスライドブロック41と螺合する。
調整ねじ42を締め込むことにより、軸部421の軸力によってねじ頭部422とスライドブロック41とでスライド部2を挟み込み、調整ねじ42とスライドブロック41は固定される。このとき、螺合した軸部421がスライド溝21から突出するように、軸部421の長さを設定する。
【0013】
<5>調整方法
次に、先端工具長さ調整具1を用いた、先端工具長さの調整方法について説明する。
【0014】
<5.1>スライダーおよび調整ねじの位置合わせ
切断対象となる天井ボードBを、頭部3のボード当接面31と、スライド溝21から突出する、スライドブロック41に螺合した調整ねじ42の軸部421とで挟みこんだ状態で調整ねじ42を締め込み、スライドブロック41および調整ねじ42を固定する(
図2(a))。
このとき、ボード当接面31と軸部421との間隔が天井ボードBの厚さtと等しい状態で、スライドブロック41および調整ねじ42が固定される(
図2(b))。
天井ボードBを挟み込んだ状態で調整ねじ42を締め込むだけの作業であり、短時間で、誰でも行うことができる。
【0015】
<5.2>先端工具の長さ調整
調整ねじ42を締め込んだ状態で、先端工具長さ調整具1を天井ボードBから取り外す。
そして、先端工具長さ調整具1は、ドリルやエンドミル等の先端工具102を頭部3の挿通孔32に挿通し、ベース101の刃孔103に頭部3を収めた状態で回転させて、頭部3のベース係合片33をベース101に係合する(
図3)。
ベース係合片33の下面には、ボード当接面31と平行なベース係合面331を形成する。ベース係合面331には磁石を埋設しておくと、先端工具長さ調整具1とベース101とが一体となる。この状態は、先端工具102が露出していないため、先端工具長さ調整具1がカバーとなり、先端工具102を取り付けた状態で電動工具100を持ち運んでも安全である。
次に、頭部3のチャック当接面34を電動工具100のチャック104に当接させ、先端工具102の先端をスライドブロック41に当接させながら、電動工具100のチャックに固定する。
ベース101からの先端工具102の突出長さLは、スライドブロック41までの長さとなるためスライドブロック41の大きさは予め設定しておく。大きさの異なるスライドブロック41を複数用意し、必要となる突出長さLに合わせて適宜スライドブロック41を選択してもよい。
対象物となる天井ボードBの厚さに合わせて位置決めされたスライドブロック41に合わせて先端工具102の突出長さを調整するため、スケール等による計測は不要であり、短時間に施工することができ、施工効率が高くなる。
スライド部2には、チャック当接部34をチャック104に当接した際のベース101の下面の位置を0とする目盛23を予め設けておくことにより、例えば対象物に先端工具長さ調整具1を合わせることができない場合であっても、目盛23に合わせて先端工具102の突出長さLを調整することができる。
【0016】
<5.3>切断
先端工具102の突出長さLを調整した電動工具100により、天井ボードBを切断する(
図4)。
突出長さLが天井ボードBの厚さtよりも短い場合、先端工具102は天井ボードBを貫通しない。先端工具102が天井ボードBを貫通しないため、天井ボードB上面の配線等を傷つけるおそれがない。
そして、先端工具102がエンドミル状であれば突出長さLの深さの切削溝が形成され、切削溝に沿って容易に天井ボードBを切断することができる。
先端工具102の突出長さLはスケール等により計測したものではないため、計測ミスのおそれがなく、長すぎて天井ボードBから大幅に突出して配線等を傷つけたり、逆に短すぎて天井ボードBが切断できないという問題が生じることがない。