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特開2018-192728リボン接合装置及び、リボン接合方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-192728(P2018-192728A)
(43)【公開日】2018年12月6日
(54)【発明の名称】リボン接合装置及び、リボン接合方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 31/00 20060101AFI20181109BHJP
   B29C 65/08 20060101ALI20181109BHJP
【FI】
   B41J31/00 F
   B29C65/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-99407(P2017-99407)
(22)【出願日】2017年5月19日
(71)【出願人】
【識別番号】592205045
【氏名又は名称】株式会社北村製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】北村 良朗
(72)【発明者】
【氏名】森 博義
【テーマコード(参考)】
2C068
4F211
【Fターム(参考)】
2C068AA01
2C068AA04
2C068AA11
2C068BB03
2C068BB06
2C068BD20
4F211AA29
4F211AC03
4F211AG01
4F211AG13
4F211AH81
4F211AR02
4F211AR06
4F211TA01
4F211TC02
4F211TC22
4F211TD11
4F211TN22
4F211TW23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】切断面の仕上がりを良好なものにすることができる切断機構を有するリボン接合装置及び、リボン接合方法を提供する。
【解決手段】帯状のインクリボンの接合位置近傍の4箇所をクランプするクランプ機構2と、接合位置を接合して接合部を形成する溶着機構と、クランプ機構2がクランプした状態で、接合部より各末端側の一対の末端部10A、10Bを切断する切断機構41,42と、を有し、切断機構41,42は、カット刃43、45と、板状の刃受け44、46と、を備え、カット刃の面が刃受けの面に対して所定の角θを成すように、カット刃及び刃受けが固定された状態で、カット刃及び刃受けをインクリボンの長手方向Yに交差する切断方向Cに移動させて一対の末端部を切断する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のインクリボンの両端部を重ねて接合してループ状のインクリボンとするリボン接合装置であって、
前記帯状のインクリボンの接合位置近傍の4箇所をクランプするクランプ機構と、
前記接合位置を接合して接合部を形成する溶着機構と、
前記クランプ機構がクランプした状態で、前記接合部より各末端側の一対の末端部を切断する切断機構と、を有し、
前記切断機構は、カット刃と、板状の刃受けと、を備え、
前記カット刃の面が前記刃受けの面に対して所定の角を成すように、前記カット刃及び前記刃受けが固定された状態で、前記カット刃及び前記刃受けを前記インクリボンの長手方向に交差する切断方向に移動させて、前記一対の末端部を切断することを特徴とするリボン接合装置。
【請求項2】
前記所定の角が、9度〜21度の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のリボン接合装置。
【請求項3】
前記切断機構が、前記切断方向に移動可能に設けられて当該切断方向の一方を待機位置とする第1カット刃及び第1刃受けと、
前記切断方向に移動可能に設けられて当該切断方向の他方を待機位置とする第2カット刃及び第2刃受けと、を備え、
前記第1カット刃及び前記第1刃受けが、前記待機位置から前記切断方向の他方側に移動することで、前記一対の末端部のうち一方を切断し、
前記第2カット刃及び前記第2刃受けが、前記待機位置から前記切断方向の一方側に移動することで、前記一対の末端部のうち他方を切断することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリボン接合装置。
【請求項4】
前記切断機構は、前記切断方向に移動可能に設けられ、
前記切断機構が、前記切断方向の一方から他方側に移動することで、前記一対の末端部のうち一方を切断し、
前記切断方向の他方から一方側に移動することで、前記一対の末端部のうち他方を切断することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリボン接合装置。
【請求項5】
前記切断機構が切断する切断位置は、前記接合位置から0.2mm〜1.5mm離れた位置であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうち何れか一項に記載のリボン接合装置。
【請求項6】
前記クランプ機構が、前記一対の末端部それぞれをクランプする第1クランプ及び第2クランプと、
前記接合位置を挟んで各前記末端部から離れた側をクランプする第3クランプ及び第4クランプと、を備え、
前記第1クランプ及び前記第2クランプは、前記接合位置を挟んで当該接合位置から離れる第1の直線方向に移動可能に設けられ、
前記第3クランプ及び前記第4クランプは、前記接合位置を挟んで当該接合位置から離れる第2の直線方向に移動可能に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうち何れか一項に記載のリボン接合装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のうち何れか一項に記載のリボン接合装置を用いたリボン接合方法であって、
前記クランプ機構により、前記帯状のインクリボンの接合位置の近傍の4箇所をクランプするクランプ工程と、
前記クランプ機構によりクランプされた状態で、前記溶着機構により前記接合位置を接合する第1回接合工程と、
前記クランプ機構によりクランプされた状態で、前記一対の末端部を切断する切断工程と、
前記クランプ機構によりクランプされた状態で、前記接合部を再び接合する第2回接合工程と、を有することを特徴とするリボン接合方法。
【請求項8】
前記クランプ機構が、前記一対の末端部それぞれをクランプする第1クランプ及び第2クランプと、
前記接合位置を挟んで各前記末端部から離れた側をクランプする第3クランプ及び第4クランプと、を備え、
前記第1回接合工程において、第1の引張り状態で、前記接合位置を接合し、
前記切断工程において、第2の引張り状態で、前記一対の末端部を切断し、
前記第2回接合工程において、第3の引張り状態で、前記接合部を接合し、
第1の引張り状態とは、前記第3クランプ及び前記第4クランプが前記接合位置の両側を1.47N〜7.85Nで引張りつつ、前記第1クランプ及び前記第2クランプが前記一対の末端部を移動不可能に固定した状態であり、
第2の引張り状態とは、前記第1クランプ及び前記第2クランプが前記一対の末端部を1.47N〜7.85Nで引っ張りつつ、前記第3クランプ及び前記第4クランプのうち一方のみが7.85N〜11.8Nで引張った状態であり、
第3の引張り状態とは、前記第3クランプ及び前記第4クランプが前記接合位置の両側を1.47N〜7.85Nで引張った状態であることを特徴とする請求項7に記載のリボン接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクリボンのリボン接合装置及び、リボン接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクリボンの両端部を厚さ方向に重ねて溶着するエンドレスリボンを製造する製造装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
特許文献1に開示された従来のエンドレスリボンの製造装置は、図12に示すように、厚さ方向に重ねたインクリボン101を溶着する超音波溶着ホーン102と、溶着された部分(溶着部103)の近傍部にある余端部分を切断する一対のレーザーヘッド(不図示)と、各レーザーヘッドとの間に余端部分を挟むように、各レーザーヘッドと余端部分との間に挿入されて余端部分より奥側へのレーザービームを遮断する一対のガイド板104A、104Bと、を備えている。各ガイド板104A、104Bは、先端に向かうに従って厚さが薄くなる傾斜面105を有し、傾斜面105が余端部分に接する向きで挿入される。図12は、従来のエンドレスリボンの製造装置100の要部を示す断面図である。
【0004】
このような従来のエンドレスリボンの製造装置100は、レーザーヘッドから照射されるレーザービームが、各ガイド板104A、104Bの傾斜面105に垂直に照射される。これにより、インクリボン101の余端部分が溶着部103の際で切断されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63−132030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来のエンドレスリボンの製造装置100にあっては、レーザービームを用いて切断する特性上、装置が高価で大掛かりなものになってしまうとともに、インクリボン101の表面の凹凸や傷により切断不良が生じてしまう場合がある。即ち、切断面の仕上がりを良好なものにすることができなかった。
【0007】
本発明の目的は、切断面の仕上がりを良好なものにすることができる切断機構を有するリボン接合装置及び、リボン接合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のリボン接合装置は、帯状のインクリボンの両端部を重ねて接合してループ状のインクリボンとするリボン接合装置であって、前記帯状のインクリボンの接合位置近傍の4箇所をクランプするクランプ機構と、前記接合位置を接合して接合部を形成する溶着機構と、 前記クランプ機構がクランプした状態で、前記接合部より各末端側の一対の末端部を切断する切断機構と、を有し、前記切断機構は、カット刃と、板状の刃受けと、を備え、前記カット刃の面が前記刃受けの面に対して所定の角を成すように、前記カット刃及び前記刃受けが固定された状態で、前記カット刃及び前記刃受けを前記インクリボンの長手方向に交差する切断方向に移動させて、前記一対の末端部を切断することを特徴とする。
【0009】
以上のような本発明によれば、切断機構は、カット刃と、板状の刃受けと、を備え、カット刃の面が刃受けの面に対して所定の角を成すように、カット刃及び刃受けが固定された状態で、カット刃及び刃受けをインクリボンの長手方向に交差する切断方向に移動させることにより、接合部から許容寸法の範囲内にある所定の位置で一対の末端部を切断することができる。これによれば、レーザーを放射するような高価で大掛かりな装置に比して、安価で小型な装置にできる。また、カット刃及び板状の刃受けにより、インクリボンの各末端部が切断されるので、インクリボンの表面に凹凸や傷等があった場合にも、切断不良を生じ難くすることができる。切断面の仕上がりを良好なものにすることができる切断機構を有するリボン接合装置を得ることができる。
【0010】
また、本発明のリボン接合装置は、前記所定の角が9度〜21度の範囲であることが好ましい。これによれば、カット刃に切りカスが付着することが抑制され、連続して切断作業を行うことができる。ここで、前記所定の角が8度以下である場合、或いは22度以上である場合には、切断することができるものの、切断面の仕上がりが良好ではなく、あるいは、カット刃に切りカスが付着して切断作業が連続して行われ難くなる場合がある。
【0011】
また、本発明のリボン接合装置は、前記切断機構が、前記切断方向に移動可能に設けられて当該切断方向の一方を待機位置とする第1カット刃及び第1刃受けと、前記切断方向に移動可能に設けられて当該切断方向の他方を待機位置とする第2カット刃及び第2刃受けと、を備え、前記第1カット刃及び前記第1刃受けが、前記待機位置から前記切断方向の他方側に移動することで、前記一対の末端部のうち一方を切断し、前記第2カット刃及び前記第2刃受けが、前記待機位置から前記切断方向の一方側に移動することで、前記一対の末端部のうち他方を切断することが好ましい。ここで、第1カット刃及び第1刃受けと、第2カット刃及び第2刃受けと、が同時に移動する場合には、同時に末端部が切断される。従って、切断作業に要する時間を短時間にできる。
【0012】
また、本発明のリボン接合装置は、前記切断機構は、前記切断方向に移動可能に設けられ、前記切断機構が、前記切断方向の一方から他方側に移動することで、前記一対の末端部のうち一方を切断し、前記切断方向の他方から一方側に移動することで、前記一対の末端部のうち他方を切断することが好ましい。これによれば、一組のカット刃及び刃受けの無駄のない動きにより、切断機構による一対の末端部の切断作業を効率よく行うことができる。
【0013】
また、本発明のリボン接合装置において、前記切断機構が切断する切断位置は、前記接合部から0.2mm〜1.5mm離れた位置であることが好ましい。切断機構が、接合部から0.2mm〜1.5mm離れた位置を切断することにより、完成状態のループ状のインクリボンが、タイプライターやドットインパクト方式のプリンターにセットされた使用時に、繊維の毛羽立ちが生じ難い。即ち、インクリボンの使用時に、繊維の毛羽立ちが発生すると、印字ヘッドに繊維の毛羽立ちが引っ掛かり、印字不良が生じる場合があるが、切断機構が、接合部から0.2mm〜1.5mm離れた位置を切断することにより、インクリボンの使用時に、繊維の毛羽立ちが生じ難くすることができる。従って、印字不良が生じ難いループ状のインクリボンを製造することができる。
【0014】
また、本発明のリボン接合装置は、前記クランプ機構が、前記一対の末端部それぞれをクランプする第1クランプ及び第2クランプと、前記接合部を挟んで各前記末端部から離れた側をクランプする第3クランプ及び第4クランプと、を備え、前記第1クランプ及び前記第2クランプは、前記接合位置を挟んで当該接合部から離れる第1の直線方向に移動可能に設けられ、前記第3クランプ及び前記第4クランプは、前記接合位置を挟んで当該接合部から離れる第2の直線方向に移動可能に設けられていることが好ましい。これによれば、第1〜第4クランプにより、適宜なタイミング且つ適宜な力を接合位置(接合部)やその近傍部に作用させることができるから、完成状態のループ状のインクリボンは、接合部の接合強度を良好で安定なものにしつつ、切断機構により切断される切断面の仕上がりを良好なものにすることができる。
【0015】
本発明のリボン接合方法は、請求項1乃至請求項6のうち何れか一項に記載のリボン接合装置を用いたリボン接合方法であって、前記クランプ機構により、前記帯状のインクリボンの接合位置の近傍の4箇所をクランプするクランプ工程と、前記クランプ機構によりクランプされた状態で、前記溶着機構により前記接合位置を接合する第1回接合工程と、前記クランプ機構によりクランプされた状態で、前記一対の末端部を切断する切断工程と、前記クランプ機構によりクランプされた状態で、前記接合部を再び接合する第2回接合工程と、を有することを特徴とする。
【0016】
以上のような本発明によれば、クランプ工程により、インクリボンの接合位置の近傍の4箇所をクランプし、接合位置の近傍の4箇所がクランプされた状態のまま、第1回接合工程、及び切断工程が行われ、接合位置の近傍の2箇所がクランプされた状態で第2回接合工程が行われることにより、適宜なタイミング且つ適宜な力を接合位置(接合部)やその近傍部に作用させつつ各工程が行われることとなり、完成したループ状のインクリボンは、接合部の接合強度を良好で安定なものにしつつ、切断機構により切断される切断面の仕上がりを良好なものにすることができる。
【0017】
また、本発明のリボン接合方法は、前記クランプ機構が、前記一対の末端部それぞれをクランプする第1クランプ及び第2クランプと、前記接合部を挟んで各前記末端部から離れた側をクランプする第3クランプ及び第4クランプと、を備え、前記第1回接合工程において、第1の引張り状態で、前記接合位置を接合し、前記切断工程において、第2の引張り状態で、前記一対の末端部を切断し、前記第2回接合工程において、第3の引張り状態で、前記接合部を接合し、第1の引張り状態とは、前記第3クランプ及び前記第4クランプが前記接合位置の両側を150gf(1.47N)〜800gf(7.85N)で引張りつつ、前記第1クランプ及び前記第2クランプが前記一対の末端部を移動不可能に固定した状態であり、第2の引張り状態とは、前記第1クランプ及び前記第2クランプが前記一対の末端部を150gf(1.47N)〜800gf(7.85N)で引っ張りつつ、前記第3クランプ及び前記第4クランプのうち一方のみが800gf(7.85N)〜1200gf(11.8N)で引張った状態であり、第3の引張り状態とは、前記第3クランプ及び前記第4クランプが前記接合位置の両側を150gf(1.47N)〜800gf(7.85N)で引張った状態であることが好ましい。
【0018】
これによれば、第1〜第4クランプにより、適宜なタイミング且つ適宜な力を接合位置(接合部)やその近傍部に作用させることができるから、完成したループ状のインクリボンは、接合部の接合強度を十分に良好で安定なものにしつつ、切断機構により切断される切断面の仕上がりを十分に良好なものにすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のリボン接合装置及びリボン接合方法によれば、カット刃の面が刃受けの面に対して所定の角を成すようにカット刃及び刃受けが固定された状態で、インクリボンの末端部を切断することで、安価で小型な装置にできるとともに、インクリボンの表面に凹凸や傷等があった場合にも、切断不良を生じ難くできる。そして、切断機構により切断される切断面の仕上がりを良好なものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係るリボン接合装置を示す斜視図である。
図2】前記リボン接合装置により製造されるループ状のインクリボンの製造途中を示す図であり、(A)は、インクリボンの斜視図であり、(B)は、その側面図であり、(C)は、その上面図である。
図3】前記リボン接合装置により製造されるループ状のインクリボンの完成状態を示す図であり、(A)は、インクリボンの斜視図であり、(B)は、その側面図である。
図4】前記リボン接合装置を構成する溶着機構を模式的に示す上面図である。
図5】前記リボン接合装置の動作及びループ状のインクリボンの製造過程を示す図であり、(A)は、クランプ機構により下側リボン及び下側リボン端がクランプされた状態を模式的に示す側面図であり、(B)は、(A)の次の段階を示す図であり、クランプ機構により上側リボン及び上側リボン端がクランプされた状態を模式的に示す側面図であり、(C)は、(B)の次の段階を示す図であり、溶着機構により接合位置を接合する様子を模式的に示す側面図であり、(D)は、(C)の次の段階を示す図であり、接合位置が接合された状態を模式的に示す側面図である。
図6】(A)は、前記リボン接合装置を構成する切断機構を模式的に示す上面図であり、(B)は、その要部を説明するための説明図である。
図7】(A)は、図6(A)の要部を拡大して示す図であり、(B)は、(A)を矢印E方向から見た矢視図である。
図8】前記リボン接合装置を構成する切断機構を模式的に示す上面図であり、(A)は、図6(A)の次の動作を示す図であり、(B)は、(A)のさらに次の動作を示す図である。
図9】前記リボン接合装置を構成する溶着機構を模式的に示す上面図である。
図10】前記リボン接合装置の動作及びループ状のインクリボンの製造過程を示す図であり、接合部が形成された状態を模式的に示す側面図である。
図11】完成状態のループ状のインクリボンを示す図であり、(A)は、インクリボンの上面図であり、(B)は、その側面図であり、(C)は(B)を拡大して示す図である。
図12】従来のエンドレスリボンの製造装置の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係るリボン接合装置を、図1図11を参照して説明する。
【0022】
本実施形態のリボン接合装置は、図1に示すように、帯状のインクリボン10の両端部を重ね、これらを接合してループ状のインクリボン10を製造する装置である。帯状のインクリボン10は、ポリアミド繊維(ナイロン66)から構成されたフィラメント34本が撚り合わされて構成された太さが45dtex(デシテックス)の糸を経糸、緯糸として平織りされて得られたものであり、厚さが0.1mm〜0.3mmに形成されている。ループ状のインクリボン10は、タイプライターやドットインパクト方式のプリンターにセットして用いられるものであり、文字や記号を紙に転写するために必要なインクが塗付された帯状の織布のことである。ループ状のインクリボン10は、活字を植付けたハンマーまたは細いワイヤピンを機械的に打ち付けることで、インクが印字用紙に転写される。
【0023】
ループ状のインクリボン10は、図2図3図5に示すように、帯状のインクリボン10の両端部を重ねて接合位置11A(11)(図5(B)に示す)を超音波溶着(接合)することで仮接合部11B(11)(図2(A)に示す)を形成し、この仮接合部11Bから所定の寸法L1(0.3mm)だけ末端側の切断位置T(図2(A)に示す)にて一対の末端部10A、10Bを切断し、この後、仮接合部11Bを含む場所を超音波溶着(接合)することで本接合部11Cを形成して得られたものである。本実施形態では、仮接合部11Bは、図2(C)に示すように、幅寸法L2が0.5mmとなるように形成され、本接合部11Cは、図11(A)に示すように、幅寸法L3が0.5mmとなるように形成されている。なお、本実施形態において、仮接合部11Bの厚さは、図2(B)に示すように、インクリボン10(以下では「リボン」と記す)2枚分の厚さよりも僅かに小さい程度であり、本接合部11Cの厚さは、図11(C)に示すように、リボン1枚分の厚さと略同じになるように形成されている。即ち、仮接合部11Bを含む場所を超音波溶着(接合)することで、本接合部11Cは、切断位置Tを各リボン10C、10Dの表面に接合しつつ、リボン1枚分の厚さと略同じになるように圧縮されている。図2は、リボン接合装置により製造されるループ状のインクリボン10の製造途中を示す図であり、図3は、リボン接合装置1により製造されるループ状のインクリボン10の完成状態を示す図である。本実施形態では、仮接合部11Bと本接合部11Cを総称して「接合部11」と記す場合がある。仮接合部11B及び本接合部11Cは、それぞれ、リボン10の幅方向の上辺及び下辺が平行な平行四辺形状となるように形成されている。これらの仮接合部11B及び本接合部11Cは、リボン10の長手方向Yに交差する方向C(「交差方向C」や「切断方向C」と記す場合がある)に延在して設けられている。
【0024】
なお、以下では、図2に示すように、一対の末端部10A、10Bのうち、一方を「上リボン端10A」と記し、他方を「下リボン端10B」と記す場合がある。また、「上リボン端10A」の下方に対向するリボン10の一部を「下リボン10C」と記し、「下リボン端10B」の上方に対向するリボン10の一部を「上リボン10D」と記す場合がある。
【0025】
第1実施形態にかかるリボン接合装置1は、図1図5に示すように、リボン10の接合位置11A近傍の4箇所(上リボン端10A、下リボン端10B、下リボン10C、上リボン10D)をクランプするクランプ機構2(図5に示す)と、接合位置11Aを接合して接合部11を形成する溶着機構3と、上リボン端10A及び下リボン端10Bを切断する切断機構4と、切断機構4により切断された上リボン端10A及び下リボン端10Bを吸引する真空機構(不図示)と、これらクランプ機構2、溶着機構3、切断機構4、及び真空機構に電力を供給するための駆動機構(不図示)と、これらクランプ機構2、溶着機構3、切断機構4、及び駆動機構を支持する支持台(不図示)と、駆動機構を制御する制御部と(不図示)、を有して構成されている。
【0026】
クランプ機構2は、図5等に示すように、第1クランプ21、第2クランプ22、第3クランプ23、及び第4クランプ24を有して構成されている。第1クランプ21は上リボン端10Aをクランプし、第2クランプ22は下リボン端10Bをクランプし、この状態で、接合位置11Aを挟んで当該接合位置11Aから離れる第1の直線方向に移動可能に設けられ、接合部11(接合位置11A)に所定の力を作用させて引っ張り状態を維持するように構成されている。
【0027】
第3クランプ23は下リボン10Cをクランプし、第4クランプ24は上リボン10Dをクランプし、この状態で、接合位置11Aを挟んで当該接合位置11Aから離れる第2の直線方向に移動可能に設けられ、接合部11(接合位置11A)に所定の力を作用させて引っ張り状態を維持するように構成されている。
【0028】
ここで、クランプ機構2は、接合部11(接合位置11A)に所定の力を作用させた第1引張り状態、第2引張り状態、第3引張り状態、となるように構成されている。第1引張り状態とは、第1クランプ21及び第2クランプ22がリボン10に張力をかけない位置にあり、第3クランプ23及び第4クランプ24が450gf(4.41N)で互いに離れる方向に引張って、接合位置11Aを含む場所に張力を作用させた状態のことである。また、第2引張り状態とは、第1クランプ21及び第2クランプ22が450gf(4.41N)で互いに離れる方向に引張りつつ、第3クランプ23は、インクリボン10に張力をかけない位置にあり、第4クランプ24が仮接合部11Bから離れる方向に1000gf(9.81N)で引っ張り、接合位置11Aを含む場所に張力を作用させた状態のことである。また、第3引張り状態とは、第3クランプ23及び第4クランプ24が450gf(4.41N)で互いに離れる方向に引張って、接合部11(接合位置11A)を含む場所に張力を作用させた状態のことである。
【0029】
溶着機構3は、図4図5に示すように、長方形状の台座30(図4に示す)と、仮接合部11Bを形成するための第1アンビル31と、本接合部11Cを形成するための第2アンビル32と、第1アンビル31及び第2アンビル32それぞれに対して上下方向に移動可能に設けられたホーン33と、を備えて構成されている。
【0030】
台座30は、図4に示すように、長辺方向が交差方向Cに沿うように支持台に移動可能に取り付けられている。また、この台座30は、中央部に長方形状の孔部34を有し、孔部34から露出させるように、第1アンビル31及び第2アンビル32が支持されている。第1アンビル31及び第2アンビル32の各上面31a、32aは、台座30の上面30aと略同じ高さ(位置)になるように固定されている。
【0031】
第1アンビル31及び第2アンビル32は、図4に示すように、台座30に形成された孔部34から各上面31a、32aが露出するように、台座30の長辺方向に並んで設けられている。第1アンビル31及び第2アンビル32は、各上面31a、32aが長方形状であるとともに、その長辺方向が台座30の長辺方向と平行になるように設けられている。第1アンビル31は、上面31aの短辺(幅)寸法が0.5mmとなるように形成され、第2アンビル32は、上面32aの短辺(幅)寸法が6mmとなるように形成されている。
【0032】
ホーン33は、図5に示すように、上下方向に第1アンビル31に接離可能に構成され、かつ、第2アンビル32が移動してホーン33の下方に位置した状態で上下方向に第2アンビル32に接離可能に構成されている。ホーン33は、第1アンビル31の上方に位置した状態で第1アンビル31に接離することで、これらの間に位置するリボン10の接合位置11A(仮接合部11Bとなる場所)が、超音波溶着されて仮接合部11Bが形成されるように構成されている。また、ホーン33は、第2アンビル32の上方に位置した状態で第2アンビル32に接離することで、これらの間に位置するリボン10の仮接合部11B(本接合部11Cとなる場所)が、超音波溶着されて本接合部11Cが形成されるように構成されている。
【0033】
このような溶着機構3により、帯状のリボン10は、クランプ機構2により第1引張り状態とされた状態で、第1アンビル31及びホーン33で接合位置11Aが接合されて仮接合部11Bが形成される。この後、台座30が移動され、第2アンビル32がホーン33の下方に位置しかつ、クランプ機構2により第3引張り状態とされた状態で第2アンビル32及びホーン33により接合されて本接合部11Cが形成される。本接合部11Cは、仮接合部11Bを含む位置に形成されている。
【0034】
切断機構4は、図6図8に示すように、支持台における交差方向Cの一方から他方側に移動することで、上リボン端10A(一対の末端部10A、10Bのうち一方)を切断する上リボン端切断機構41と、支持台における交差方向Cの他方から一方側に移動することで、下リボン端10B(一対の末端部10A、10Bのうち他方)を切断する下リボン端切断機構42と、を有して構成されている。
【0035】
上リボン端切断機構41は、図6図7に示すように、上カッター43(第1カット刃)と上ガイド44(第1刃受け)と、を有して構成されている。
【0036】
上カッター43は、図6図7に示すように、円盤状の外周に連続して鋭利な刃が形成された丸刃から構成されている。上カッター43は、図7(B)に示すように、中心側部分の厚さT1が、0.3mm程度に形成され、刃先に向かうに従って先細になるように形成されている。上ガイド44は、図6(A)、図7(A)に示すように、長方形状の平板から構成されている。上ガイド44は、第1長辺4a及び第2長辺4bが交差方向Cと平行になるように設けられ、溶着機構3の設置位置側が先細部40となるように形成されている。先細部40は、上カッター43から離れた側にある第1長辺4aに連続された連続辺4cが、交差方向Cと平行に設けられ、上カッター43側にある第2長辺4bに連続された斜辺4dが、先端に向かうに従って幅狭となるように設けられている。第1長辺4aから第2長辺4bまでの幅寸法W1が、図7(A)に示すように、18mm程度となるように形成されている。
【0037】
このような上リボン端切断機構41は、図7(A)(B)に示すように、上カッター43の刃の一部が、上ガイド44の第2長辺4bと近接する格好で、上カッター43の表面43Aが上ガイド44の表面44Aに対して所定の角θ(本実施形態では15度)を成すように固定されている。以下では、図7(A)に示すように、上ガイド44において、第2長辺4bを含んで構成されて上カッター43に近接する部分を近接部47と記す。近接部47は、第2長辺4bを含んで、所定の幅寸法W2(1.5mm)を有して形成されている。この近接部47は、図7(B)に示すように、第2長辺4bに近づくに従って厚みが薄くなるように形成されている。このような上ガイド44と上カッター43は近接して、近接部47の表面47aと上カッター43の刃先を含む面43aとが対向して設けられている。そして、これら上カッター43及び上ガイド44が近接して、所定の角θを成すように固定された状態で、支持台における交差方向Cの一方から他方側に移動させる。すると、上ガイド44の先細部40が上リボン端10Aと下リボン10Cとの間に進入しつつ、上カッター43が上リボン端10Aを切断位置Tで切断する。
【0038】
下リボン端切断機構42は、図6(A)に示すように、下カッター45(第2カット刃)と下ガイド46(第2刃受け)と、を有して構成されている。下カッター45は上カッター43と同一形状乃至同一機能を有して構成され、下ガイド46は上ガイド44と同一形状乃至同一機能を有して構成されているので、その詳細な説明を省略する。
【0039】
このような下リボン端切断機構42は、下カッター45の刃の一部が、下ガイド46の第2長辺4bと近接する格好で、下カッター45の表面45Aが下ガイド46の表面46Aに対して所定の角θ(本実施形態では15度)を成すように固定されている。これら下カッター45及び下ガイド46が固定された状態で、支持台における交差方向Cの他方から一方側に移動させる。すると、下ガイド46の先細部40が下リボン端10Bと上リボン10Dとの間に進入しつつ、下カッター45が下リボン端10Bを切断位置Tで切断する。
【0040】
続いて、上述したリボン接合装置1を用いて、帯状のインクリボン10の両端部を重ねて接合してループ状のインクリボン10とするリボン接合方法について説明する。
【0041】
まず、図5(A)に示すように、下リボン端10Bを第2クランプ22でクランプし、接合位置11Aを挟んで下リボン端10Bとは反対側の下リボン10Cを第3クランプ23でクランプする。次に、図5(B)に示すように、上リボン端10Aを第1クランプ21でクランプし、接合位置11Aを挟んで上リボン端10Aとは反対側の上リボン10Dを第4クランプ24でクランプする。このようにして、クランプ機構2により、リボン10の接合位置11A近傍の4箇所をクランプする(クランプ工程)。
【0042】
次に、図5(C)に示すように、リボン10の4箇所がクランプされ、接合位置11Aを含む場所に張力を作用させた第1引張り状態で、接合位置11Aを第1アンビル31及びホーン33で超音波溶着する(第1回接合工程)。これにより、図2(A)(B)(C)に示すような仮接合部11Bが形成される。
【0043】
次に、図6(A)、図8(A)に示すように、リボン10の4箇所がクランプされ、仮接合部11B(接合位置11A)を含む場所に張力を作用させた第2引張り状態で、切断機構4の下リボン端切断機構42を用いて、仮接合部11Bから所定の寸法(本実施形態では0.3mm)だけ離間した切断位置Tで下リボン端10Bを切断する(第1回切断工程)。ここで、下カッター45及び下ガイド46を、支持台における交差方向Cの他方(待機位置)から一方側に移動させる。すると、下リボン端10Bと上リボン10Dとの間に下ガイド46の先細部40が進入する。さらに下カッター45及び下ガイド46が移動されることにより、下カッター45により下リボン端10Bが切断位置Tで切断される。
【0044】
この後、図6(A)、図8(B)に示すように、仮接合部11B(接合位置11A)を含む場所に張力を作用させた第2引張り状態で、切断機構4の上リボン端切断機構41を用いて、仮接合部11Bから所定の寸法(本実施形態では0.3mm)だけ離間した切断位置Tで上リボン端10Aを切断する(第2回切断工程)。ここで、上カッター43及び上ガイド44を、支持台における交差方向Cの一方(待機位置)から他方側に移動させる。すると、上リボン端10Aと下リボン10Cとの間に上ガイド44の先細部40が進入する。さらに上カッター43及び上ガイド44が移動されることにより、上カッター43により上リボン端10Aが切断位置Tで切断される。なお、下リボン端10Bが切断された後、下リボン端切断機構42は待機位置に戻されるが、下リボン端切断機構42は待機位置に戻される途中で、上リボン端切断機構41により、上リボン端10Aが切断される。この後、上リボン端切断機構41は待機位置に戻される。この後、第1クランプ21と第2クランプ22のクランプが解放され、切断された上リボン端10Aと下リボン端10Bは真空装置により吸引される。
【0045】
なお、本実施形態では、第1回切断工程が行われた後、第2回切断工程が行われるように上リボン端切断機構41及び下リボン端切断機構42は制御されているが、上リボン端切断機構41及び下リボン端切断機構42が同時に移動して、同時に上リボン端10A及び下リボン端10Bを切断するように制御されていてもよい。このように制御されることで、切断作業に要する時間を短時間にできる。
【0046】
また、本実施形態では、第1回切断工程において、下リボン端切断機構42により下リボン端10Bが切断され、第2回切断工程において、上リボン端切断機構41により上リボン端10Aが切断されるように制御されているが、第1回切断工程において、上リボン端切断機構41により上リボン端10Aが切断され、第2回切断工程において、下リボン端切断機構42により下リボン端10Bが切断されるように制御されていてもよい。
【0047】
次に、図9図10に示すように、仮接合部11B(接合位置11A)を含む場所に張力を作用させた第3引張り状態で、仮接合部11Bを第2アンビル32及びホーン33で超音波溶着する(第2回接合工程)。これにより、図11(A)に示すような本接合部11Cが形成される。こうして、図11(A)(B)(C)に示すように本接合部11C(仮接合部11B)は、リボン10の1枚分の厚さに圧縮される。このようにして、ループ状のインクリボン10が完成する。
【0048】
このようなリボン接合装置1によれば、切断機構4は、上カッター43及び下カッター45としてのカット刃と、上ガイド44及び下ガイド46としての板状の刃受けと、を備え、カット刃の面(上カッター43の表面43A、下カッター45の表面45A)が刃受けの面(上ガイド44の表面44A、下ガイド46の表面46A)に対して所定の角θを成すようにカット刃及び刃受けが固定された状態で、カット刃及び刃受けをインクリボン10の長手方向Yに交差する切断方向Cに移動させることにより、接合部11から許容寸法の範囲内にて、一対の末端部10A、10Bを切断することができる。これによれば、レーザーを放射するような高価で大掛かりな装置に比して、安価で小型な装置にできる。また、カット刃及び板状の刃受けにより、インクリボン10の各末端部10A、10Bが切断されるので、インクリボン10の表面に凹凸や傷等があった場合にも、切断不良を生じ難くすることができる。切断面の仕上がりを良好なものにすることができる切断機構4を有するリボン接合装置1を得ることができる。
【0049】
また、本実施形態では、上カッター43及び下カッター45としてのカット刃は、円盤状の外周に連続して鋭利な刃が形成された丸刃から構成されている。ここで、各リボン10端を連続して切断する場合には、刃の切れ味が悪くなるのでカット刃を交換する必要がある。その際、丸刃であれば、刃の交換を必要とせず、当該丸刃を所定の角度だけ回転させればよい。従って、カット刃を丸刃から構成することで、リボン接合装置1のメンテナンス性の向上を図ることができる。
【0050】
また、本実施形態のリボン接合装置1は、所定の角が15度と成るように上カッター43及び下カッター45としてのカット刃と、上ガイド44及び下ガイド46としての板状の刃受けとが固定されている。これによれば、インクリボン10を切断後のカット刃に、切りカスが付着することなく、切断作業を連続して行うことができる。または、カット刃と刃受けとが成す所定の角が9度〜21度の範囲と成るように固定されていてもよい。これによれば、本実施形態と略同様の効果が奏される。ここで、前記所定の角が8度以下である場合或いは、22度以上である場合には、切断することができるものの、切断面の仕上がりが良好ではなく、あるいは、カット刃に切りカスが付着して切断作業が連続して行われ難くなる場合がある。
【0051】
また、本実施形態のリボン接合装置1は、切断機構4が、切断方向Cに移動可能に設けられて当該切断方向Cの一方を待機位置とする上カッター43(第1カット刃)及び上ガイド44(第1刃受け)と、切断方向Cに移動可能に設けられて当該切断方向Cの他方を待機位置とする下カッター45(第2カット刃)及び下ガイド46(第2刃受け)と、を備え、下カッター45及び下ガイド46が、待機位置から切断方向Cの一方側に移動することで、上リボン端10A、下リボン端10Bのうち一方を切断し、上カッター43及び上ガイド44が、待機位置から切断方向Cの他方側に移動することで、上リボン端10A、下リボン端10B(一対の末端部)のうち他方を切断する。ここで、上カッター43(第1カット刃)及び上ガイド44(第1刃受け)と、下カッター45(第2カット刃)及び下ガイド46(第2刃受け)と、が略同時に移動する場合には、略同時にリボン端10A、10B(末端部)が切断される。従って、切断作業に要する時間を短時間にできる。
【0052】
また、本実施形態のリボン接合装置1において、切断機構4が切断する切断位置Tは、接合位置11Aから0.3mm離れた位置となるように制御されている。これによれば、完成状態のループ状のインクリボン10が、タイプライターやドットインパクト方式のプリンターにセットされた使用時に、繊維の毛羽立ちが生じ難い。即ち、インクリボン10の使用時に、繊維の毛羽立ちが発生すると、印字ヘッドに繊維の毛羽立ちが引っ掛かり、印字不良が生じる場合があるが、切断機構4が、接合位置11Aから0.3mm離れた位置を切断することにより、インクリボン10の使用時に、繊維の毛羽立ちが生じ難くすることができる。従って、印字不良が生じ難いループ状のインクリボン10を製造することができる。または、切断機構4が切断する切断位置Tは、接合位置11Aから0.2mm〜1.5mm離れた位置となるように制御されていてもよい。これによれば、本実施形態と略同様の効果が奏される。
【0053】
また、本実施形態のリボン接合装置1は、クランプ機構2が、上リボン端10A、下リボン端10B(一対の末端部)それぞれをクランプする第1クランプ21及び第2クランプ22と、接合部11を挟んで各上リボン端10A、下リボン端10B(各末端部)から離れた側をクランプする第3クランプ23及び第4クランプ24と、を備え、第1クランプ21及び第2クランプ22は、接合位置11Aを挟んで当該接合位置11Aから離れる第1の直線方向に移動可能に設けられ、第3クランプ23及び第4クランプ24は、接合位置11Aを挟んで当該接合位置11Aから離れる第2の直線方向に移動可能に設けられている。これによれば、第1〜第4クランプ21、22、23、24により、適宜なタイミング且つ適宜な力を接合位置11A(接合部11)やその近傍部に作用させることができるから、完成状態のループ状のインクリボン10は、接合部11の接合強度を良好で安定なものにしつつ、切断機構4により切断される切断面の仕上がりを良好なものにすることができる。
【0054】
本実施形態のリボン接合方法は、リボン接合装置1を用いたリボン接合方法であって、クランプ機構2により、帯状のインクリボン10の接合位置11Aの近傍の4箇所をクランプするクランプ工程と、クランプ機構2によりクランプされた状態で、溶着機構3により接合位置11Aを接合する第1回接合工程と、クランプ機構2によりクランプされた状態で、上リボン端10A、下リボン端10B(一対の末端部)を切断する切断工程と、クランプ機構2によりクランプされた状態で、接合部11を再び接合する第2回接合工程と、を有することを特徴とする。
【0055】
これによれば、クランプ工程により、インクリボン10の接合位置11Aの近傍の4箇所をクランプし、接合位置11Aの近傍の4箇所がクランプされた状態のまま、第1回接合工程、及び切断工程が行われ、接合位置11Aの近傍の2箇所がクランプされた状態で第2回接合工程が行われることにより、適宜なタイミング且つ適宜な力を接合位置11A(接合部11)やその近傍部に作用させつつ各工程が行われることとなり、完成したループ状のインクリボンは、接合部11の接合強度を良好で安定なものにしつつ、切断機構4により切断される切断面の仕上がりを良好なものにすることができる。
【0056】
また、本実施形態のリボン接合方法は、クランプ機構2が、上リボン端10A、下リボン端10B(一対の末端部)それぞれをクランプする第1クランプ21及び第2クランプ22と、接合位置11Aを挟んで各上リボン端10A、下リボン端10B(各末端部)から離れた側をクランプする第3クランプ23及び第4クランプ24と、を備え、第1回接合工程において、第1の引張り状態で、接合位置11Aを接合し、切断工程において、第2の引張り状態で、上リボン端10A、下リボン端10B(一対の末端部)を切断し、第2回接合工程において、第3の引張り状態で、仮接合部11Bを成形している。ここで、本実施形態において、第1の引張り状態とは、第3クランプ23及び第4クランプ24が接合位置11Aの両側を450gf(4.41N)で引張りつつ、第1クランプ21及び第2クランプ22が上リボン端10A、下リボン端10B(一対の末端部)を移動不可能に固定した状態であり、第2の引張り状態とは、第1クランプ21及び第2クランプ22が上リボン端10A、下リボン端10B(一対の末端部)を450gf(4.41N)で引っ張りつつ、第3クランプ23及び第4クランプ24のうち一方のみが1000gf(9.81N)で引張った状態であり、第3の引張り状態とは、第3クランプ23及び第4クランプ24が接合位置11Aの両側を450gf(4.41N)で引張った状態である。
【0057】
これによれば、第1〜第4クランプ21、22、23、24により、適宜なタイミング且つ適宜な力を接合位置11A(接合部11)やその近傍部に作用させることができるから、完成したループ状のインクリボン10は、接合部11の接合強度を十分に良好で安定なものにしつつ、切断機構により切断される切断面の仕上がりを十分に良好なものにすることができる。または、第1の引張り状態が、第3クランプ23及び第4クランプ24が接合位置11Aの両側を150gf(1.47N)〜800gf(7.85N)で引張りつつ、第1クランプ21及び第2クランプ22が上リボン端10A、下リボン端10B(一対の末端部)を移動不可能に固定した状態であり、第2の引張り状態が、第1クランプ21及び第2クランプ22が上リボン端10A、下リボン端10B(一対の末端部)を150gf(1.47N)〜800gf(7.85N)で引っ張りつつ、第3クランプ23及び第4クランプ24のうち一方のみが800gf(7.85N)〜1200gf(11.8N)で引張った状態であり、第3の引張り状態が、第3クランプ23及び第4クランプ24が接合位置11Aの両側を150gf(1.47N)〜800gf(7.85N)で引張った状態である。これによれば、本実施形態と略同様の効果が奏される。
【0058】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形例も本発明に含まれる。
【0059】
上記実施形態では、上ガイド44(刃受け)と上カッター43(カット刃)は近接して、近接部47の表面47aと上カッター43の刃先を含む面43aとが対向して設けられているが、本発明はこれに限定されるものではない。近接部47の表面47aと上カッター43の刃先を含む面43aとが対向しつつ、上ガイド44(刃受け)と上カッター43(カット刃)が接触して設けられていてもよい。
【0060】
上記実施形態では、カット刃としての上カッター43及び下カッター45は、円盤状の外周に連続して鋭利な刃が形成された丸刃から構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。カット刃は、長方形板状のかみそり刃から構成されていてもよい。
【0061】
上記実施形態では、切断機構4は、支持台において、交差方向Cの一方から他方側に移動することで、一対の末端部10A、10Bのうち一方を切断する上リボン端切断機構41と、支持台において、交差方向Cの他方から一方に移動することで、一対の末端部10A、10Bのうち他方を切断する下リボン端切断機構42と、を有して構成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。切断機構4が、一組のカッター及びガイドを有し、これらカッター及びガイドが、切断方向Cの双方向に移動可能に構成されていてもよい。その場合には、カッター及びガイドが、切断方向Cの一方から他方側に移動することで、一対の末端部10A、10Bのうち一方を切断し、切断方向Cの他方から一方側に移動することで、一対の末端部10A、10Bのうち他方を切断するように構成されていてもよい。これによれば、一組のカット刃及び刃受けの無駄のない動きにより、切断機構4による一対の末端部10A、10Bの切断作業を効率よく行うことができる。
【0062】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び、目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0063】
1 リボン接合装置
2 クランプ機構
3 溶着機構
4 切断機構
10 インクリボン
10A 上リボン端(末端部)
10B 下リボン端(末端部)
11 接合部
11A 接合位置
43 上カッター(カット刃、第1カット刃)
44 上ガイド(刃受け、第1刃受け)
45 下カッター(カット刃、第2カット刃)
46 下ガイド(刃受け、第2刃受け)
T 切断位置
Y インクリボンの長手方向
C 切断方向
θ 所定の角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12