(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-192854(P2018-192854A)
(43)【公開日】2018年12月6日
(54)【発明の名称】洗浄カバー
(51)【国際特許分類】
B60S 1/66 20060101AFI20181109BHJP
【FI】
B60S1/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-96492(P2017-96492)
(22)【出願日】2017年5月15日
(71)【出願人】
【識別番号】517169872
【氏名又は名称】竹▲崎▼ 幸
(74)【代理人】
【識別番号】100129207
【弁理士】
【氏名又は名称】中越 貴宣
(72)【発明者】
【氏名】竹▲崎▼ 正裕
【テーマコード(参考)】
3D025
【Fターム(参考)】
3D025AA06
3D025AB03
3D025AC25
3D025AD17
(57)【要約】
【課題】 自転車を分解することなく、カセットスプロケットやディレイラー、チェーン等の自転車部品を、タイヤやホイール、フレーム等を汚すことなく洗浄することができる洗浄カバーを提供する。
【解決手段】 本発明の洗浄カバー1は、カバー本体2が扇形状をなす薄板部材で構成され、カバー本体2の弧部3と反対側に位置するカバー本体2の中心部4の近傍に、カバー本体2の一辺5又は他辺7から内側に向かって車軸挿通路6が形成されていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー本体が扇形状をなす薄板部材で構成され、
前記カバー本体の弧部と反対側に位置する前記カバー本体の中心部の近傍に、前記カバー本体の一辺又は他辺から内側に向かって車軸挿通路が形成されていることを特徴とする洗浄カバー。
【請求項2】
前記車軸挿通路を閉鎖するための閉鎖片を備えることを特徴とする請求項1に記載の洗浄カバー。
【請求項3】
前記車軸挿通路の終端部に、前記車軸挿通路の幅より幅広の係止部を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の洗浄カバー。
【請求項4】
前記カバー本体の弧部に沿って汚れ受部を備えることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の洗浄カバー。
【請求項5】
前記カバー本体の半径方向に沿って複数の凸条又は凹溝を備えることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の洗浄カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車のカセットスプロケットやディレイラー、チェーン等を、自転車を分解することなく洗浄することを可能とする洗浄カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
自転車のカセットスプロケットやディレイラー、チェーンといった自転車部品をスプレー式洗浄剤で洗浄したり、これらの自転車部品に潤滑油を塗布したりする際、自転車を分解せずに作業を行うとタイヤのリムやスポーク、フレーム等を洗浄剤や潤滑油で汚してしまうため、従来は自転車を分解した上で自転車部品の洗浄作業等を行っていた。
【0003】
また、自転車チェーンの清掃具(例えば、特許文献1参照。)や、自動車用ではあるが、タイヤをスプレー式洗浄剤で洗浄する際に洗浄剤によるホイールの汚れを防止するカバーは種々開示されている(例えば、特許文献2及び特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3077664号公報
【特許文献2】特開2005−1641号公報
【特許文献3】特開2003−25974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された清掃具のように、自転車のチェーンに取り付けて自転車を分解することなくチェーンを清掃することができるものは開示されている。しかし、自転車を分解することなく、カセットスプロケットやディレイラーを洗浄することができるものはなく、自転車を分解せずに、タイヤのリムやスポーク、フレーム等を汚すことなくカセットスプロケット等の自転車部品を洗浄することができるものが求められていた。
【0006】
また、特許文献2や特許文献3に記載されているカバー等は自動車用である。従って、カセットスプロケットやディレイラーが配設されている自転車の後輪部分は構造が複雑であるため、そのまま自転車に適用することはできない。
【0007】
そこで本願発明者は、上記の問題点に鑑み、自転車を分解することなく、カセットスプロケットやディレイラー、チェーン等の自転車部品を、タイヤやホイール、フレーム等を汚すことなく洗浄することができる洗浄カバーを提供するべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に至ったのである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
即ち、本発明の洗浄カバーは、カバー本体が扇形状をなす薄板部材で構成され、前記カバー本体の弧部と反対側に位置する前記カバー本体の中心部の近傍に、前記カバー本体の一辺又は他辺から内側に向かって車軸挿通路が形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の洗浄カバーにおいて、前記車軸挿通路を閉鎖するための閉鎖片を備えることを特徴とする。
【0010】
更に、本発明の洗浄カバーにおいて、前記車軸挿通路の終端部に、前記車軸挿通路の幅より幅広の係止部を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の洗浄カバーにおいて、前記カバー本体の弧部に沿って汚れ受部を備えることを特徴とする。
【0012】
更にまた、本発明の洗浄カバーにおいて、前記カバー本体の半径方向に沿って複数の凸条又は凹溝を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の洗浄カバーによると、自転車を分解することなく、カセットスプロケットやディレイラーといった自転車部品を、ホイールや後輪を洗浄剤等で汚すことなく容易に洗浄することができる。
【0014】
また、本発明の洗浄カバーにおいて、車軸挿通路を閉鎖するための閉鎖片を備えることによって、自転車部品の洗浄中に洗浄カバーが車軸から外れてしまうことを防止できると共に、車軸挿通路から露出するホイールが洗浄剤等によって汚れてしまうことを防止できる。
【0015】
更に、本発明の洗浄カバーにおいて、車軸挿通路の終端部に、車軸挿通路の幅より幅広の係止部を備えることによって、洗浄カバーを自転車に装着した際、車軸が係止部によって位置決めされるため、自転車部品の洗浄時に洗浄カバーが位置ズレを起こしにくくなり、洗浄作業をより効率的に行うことができる。
【0016】
また、本発明の洗浄カバーにおいて、カバー本体の弧部に沿って汚れ受部を備えることによって、洗浄剤や洗浄剤によって自転車部品から除去された汚れを汚れ受部で受けることができ、床面を汚すことがない。
【0017】
更にまた、本発明の洗浄カバーにおいて、カバー本体の半径方向に沿って複数の凸条又は凹溝を備えることによって、薄板部材で構成されるカバー本体の強度を増すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る洗浄カバーを示す平面図である。
【
図2】
図1に示した洗浄カバーを自転車に装着した状態を示す説明図である。
【
図3】
図1に示した洗浄カバーの自転車への装着方法を示す説明図である。
【
図4】本発明の他の実施形態に係る洗浄カバーを示す平面図である。
【
図5】
図4に示した洗浄カバーを自転車に装着した状態を示す説明図である。
【
図6】本発明の他の実施形態に係る洗浄カバーを示す平面図である。
【
図7】
図6に示した洗浄カバーの自転車への装着方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の洗浄カバーの実施形態について、図面に基づいて詳述する。
図1は、本発明の一実施形態に係る洗浄カバー1を示す平面図、
図2は
図1に示した洗浄カバー1を自転車20に取り付けた状態を示す説明図である。
【0020】
これら
図1、
図2に示すように、本実施形態に係る洗浄カバー1は、自転車20のカセットスプロケット22やチェーン25、ディレイラー26等(以下、これらを総称して「自転車部品」という。)を洗浄する際に、自転車20を分解することなく洗浄することができる洗浄カバーであって、カバー本体2が扇形状をなす薄板部材で構成され、カバー本体2の弧部3と反対側に位置するカバー本体2の中心部4の近傍に、カバー本体2の一辺5から内側に向かって車軸挿通路6が形成されていることを特徴とする。
【0021】
扇形状をなす薄板部材で構成されるカバー本体2において、薄板部材の材質は特に限定されず、紙や樹脂、金属等の何れであってもよい。紙製であれば使い捨ての洗浄カバー1として、自転車部品の洗浄後、洗浄カバー1をそのまま廃棄することができる。また、樹脂製や金属製であれば、繰り返し使用することができて経済的である。なお、本発明の洗浄カバーは、
図2に示すように、自転車20のホイール21とカセットスプロケット22との間に装着して使用するものであるため、紙製や樹脂製のものが自転車20本体や自転車部品を傷つけることがほぼ無いため特に好ましい。
【0022】
そして、本実施形態の洗浄カバー1に係るカバー本体2の弧部3と反対側に位置するカバー本体2の中心部4の近傍には、カバー本体2の一辺5から内側に向かって車軸挿通路6が形成されている。この車軸挿通路6は、自転車部品の洗浄時において
図2に示すように、自転車20のホイール21とカセットスプロケット22との間に装着する際、自転車20の後輪23の車軸24を挿通するために形成されている。
【0023】
より具体的には、まず
図3(a)に示すように、スタンド13に自転車20を固定し、本実施形態の洗浄カバー1に係る弧部3を上方に位置させた状態で、後輪23のホイール21とカセットスプロケット22との間に位置する車軸24を車軸挿通路6に挿通する。そして、車軸挿通路6の終端部(最も奥の部分)に車軸24が当接したら、
図3(b)に示すように、洗浄カバー1を反時計回りに回転させることによって、洗浄カバー1が所定の位置に装着されることとなる。
【0024】
ここで、洗浄カバー1を所定の位置に装着するにあたって、洗浄カバー1に係る一辺5が、自然と他辺7より下方に位置するように装着されることが特に好ましい。
図2に示すように、洗浄カバー1の一辺5が他辺7より下方に位置するように装着されることによって、自転車部品、特にカセットスプロケット22や上側に位置するチェーン25の洗浄時に、自転車20のホイール21や後輪23を洗浄剤やそれによって除去された油汚れ等で汚してしまうおそれがない。
【0025】
なお、洗浄カバー1を
図2の状態に自然に装着する方法は特に限定されないが、例えば洗浄カバー1に係る一辺5側に重り(ウエイト)を予め配設して重量バランスを調整する、或いは一辺5の長さを他辺7の長さより長くすることによって、カバー本体2の一辺5側の面積を大きくすることによって一辺5側の重量を重くする、等の方法が挙げられる。
【0026】
また、本実施形態の洗浄カバー1に係る車軸挿通路6には、
図1(b)に示すような、車軸挿通路6を閉鎖するための閉鎖片8を備えることが好ましい。
図2に示すように、洗浄カバー1を車軸24に装着した後、閉鎖片8によって車軸挿通路6を閉鎖することによって、自転車部品の洗浄中に洗浄カバー1が外れてしまうことを防止できると共に、車軸挿通路6から露出するホイール21が洗浄剤等によって汚れてしまうことを防止できる。
【0027】
なお、車軸挿通路6への閉鎖片8の取付方法としては、例えば
図1に示すように、洗浄カバー1に係るカバー本体2及び閉鎖片8の所定の箇所にそれぞれ面ファスナー12を配設しておく。そして、洗浄カバー1を自転車20に装着後、車軸挿通路6の上から車軸挿通路6を覆うように閉鎖片8を面ファスナー12で貼り付けることによって、容易に車軸挿通路6を閉鎖片8で閉鎖することができる。
【0028】
更に、本実施形態の洗浄カバー1において、車軸挿通路6の終端部には、車軸挿通路6の幅より幅広の係止部9を備えることがより好ましい。この係止部9を車軸挿通路6の終端部に設けることによって、洗浄カバー1を自転車20に装着した際、後輪23の車軸24が係止部9によって位置決めされるため、自転車部品の洗浄時に洗浄カバー1が位置ズレを起こしにくくなり、洗浄作業をより効率的に行うことができる。
【0029】
以上のように、本発明の一実施形態に係る洗浄カバー1によると、自転車20を分解することなく、ホイール21や後輪23を洗浄剤等で汚すことなく自転車部品の洗浄を容易に行うことができる。
【0030】
以上、本発明の一実施形態に係る洗浄カバー1について詳述したが、本発明の洗浄カバーは上記の実施形態に限定されるものではない。本発明の他の実施形態として、例えば
図4に示す洗浄カバー1aのように、洗浄カバー1aに係るカバー本体2の弧部3に沿って、汚れ受部10が設けられてもよい。汚れ受部10の形状、構造等は特に限定されないが、例えばU字溝のような態様が挙げられる。
【0031】
本実施形態の洗浄カバー1aを自転車20にセットした状態を
図5に示す。同図に示すように、汚れ受部10を備える洗浄カバー1aを使用することによって、自転車20に係るカセットスプロケット22等の自転車部品の洗浄時、洗浄剤や洗浄剤によって自転車部品から除去された汚れを汚れ受部10で受けることができ、床面を汚すことがない。また、この汚れ受部10に予めウエス等を敷き詰めておくことによって、洗浄カバー1aに係るカバー本体2の表面を流れ落ちてきた洗浄剤等をウエスに吸収させることができるため、洗浄作業後の片付けの手間を大幅に軽減することができる。
【0032】
また本発明の他の実施形態として、
図6に示す洗浄カバー1bのように、洗浄カバー1bに係るカバー本体2の他辺7から内側に向かって車軸挿通路6が形成されてもよい。更に、この車軸挿通路6を閉鎖すべく、閉鎖片8aがカバー本体2に回動自在に取り付けられてもよい。
【0033】
本発明に係る閉鎖片は、
図1に示した洗浄カバー1に係る面ファスナー12による着脱式の他、スナップによる着脱式、洗浄カバーに係るカバー本体又は閉鎖片の何れかにガイド溝を設けた差し込み式等が挙げられるが、特に限定されるものではない。ここで、本実施形態の洗浄カバー1bに係る閉鎖片8aのように、カバー本体2にピン等で回動自在に配設されていることによって、閉鎖片8aを回動させるのみで車軸挿通路6の閉鎖を容易に行うことができると共に、閉鎖片8aを紛失するおそれもない。
【0034】
本実施形態の洗浄カバー1bを自転車20に装着する方法を
図7に示す。まず
図7(a)に示すように、スタンド13に自転車20を固定し、本実施形態の洗浄カバー1bに係る他辺7に形成された車軸挿通路6に、後輪23のホイール21とカセットスプロケット22との間に位置する車軸24を挿通する。そして、車軸挿通路6の終端部に形成された係止部9に車軸24を位置させた後、
図7(b)に示すように、洗浄カバー1bを反時計回りに回転させ、最後に閉鎖片8aを回動させて車軸挿通路6を閉鎖することによって、洗浄カバー1bを所定の位置に装着することができる。
【0035】
本実施形態の洗浄カバー1bによると、車軸挿通路6がカバー本体2の他辺7に形成されているため、洗浄カバー1bの装着時におけるカバー本体2の回転距離を、上記実施形態に係る洗浄カバー1や洗浄カバー1bに比べて短くすることができ、自転車20への装着をより容易にすることができる。
【0036】
また、車軸挿通路6を閉鎖するための閉鎖片が上記実施形態に係る閉鎖片8のような態様であれば、車軸挿通路6をカバー本体2の他辺7に設けた場合、カバー本体2の装着後に閉鎖片8を取り付ける際、自転車20のフレーム等が邪魔となって取り付けにくくなる。しかし、本実施形態に係る閉鎖片8aは回動させるのみで車軸挿通路6を閉鎖することができるため、車軸挿通路6をカバー本体2の他辺7に設けても、自転車20のフレーム等の影響を殆ど受けることがなく、閉鎖片8aによって容易に車軸挿通路6を閉鎖することができる。
【0037】
以上、本発明の実施形態に係る洗浄カバーについて詳述したが、上記の実施形態に係る洗浄カバー1、1a、1bにおいて、カバー本体2の半径方向に沿って、複数の凸条11又は凹溝を備える態様であることが好ましい。各実施形態に係る洗浄カバー1、1a、1bにおいて、カバー本体2に複数の凸条11、或いは凹溝が形成されることによって、薄板部材で構成されるカバー本体2の強度を増すことができる。
【0038】
以上、本発明の洗浄カバーの実施形態について詳述したが、上記の実施形態は本発明の技術的思想を実質的に限定するものと解してはならない。本発明はその要旨を逸脱しない範囲で、当業者の創意と工夫により、適宜に改良、変更又は追加をしながら実施できる。
【符号の説明】
【0039】
1、1a、1b:洗浄カバー
2:カバー本体
3:弧部
4:中心部
5:一辺
6:車軸挿通路
7:他辺
8、8a:閉鎖片
9:係止部
10:汚れ受部
11:凸条
12:面ファスナー
13:スタンド
20:自転車
21:ホイール
22:カセットスプロケット
23:後輪
24:車軸
25:チェーン
26:ディレイラー