特開2018-193030(P2018-193030A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-193030(P2018-193030A)
(43)【公開日】2018年12月6日
(54)【発明の名称】冷蔵冷凍車の中仕切り体の収納構造
(51)【国際特許分類】
   B60P 3/20 20060101AFI20181109BHJP
   A44B 11/02 20060101ALI20181109BHJP
【FI】
   B60P3/20 A
   A44B11/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-100834(P2017-100834)
(22)【出願日】2017年5月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000155573
【氏名又は名称】株式会社矢野特殊自動車
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】藤木 武
(72)【発明者】
【氏名】松野 竜飛
【テーマコード(参考)】
3B090
【Fターム(参考)】
3B090AD10
3B090BD03
(57)【要約】
【課題】
従来、冷蔵冷凍車で使用される軽量化した断熱部材で構成された中仕切り体を、天井部の保管場所へ持ちあげ収納、積み下ろしする作業にかかる作業者の作業負荷の低減を図る。
【解決手段】
冷蔵冷凍車の庫内において、天井部近傍の庫内両側間に架設し中仕切り体の前後の一側縁部を載置支持する支持パイプと、庫内両側間に架設し中仕切り体の前後の他側縁部を持ち上げ支持する支持操作ベルトと、支持操作ベルトの架設端部に配設したベルトロック機構と、ベルトロック機構に対向して配設したロック解除機構とよりなり、しかも、支持パイプと支持操作ベルトの間隔は中仕切り体の前後幅員より短い間隔に構成したことを特徴とする冷蔵冷凍車の中仕切り体の収納構造を提供する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵冷凍車の庫内において、天井部近傍の庫内両側間に架設し中仕切り体の前後の一側縁部を載置支持する支持パイプと、庫内両側間に架設し中仕切り体の前後の他側縁部を持ち上げ支持する支持操作ベルトと、支持操作ベルトの架設端部に配設したベルトロック機構と、ベルトロック機構に対向して配設したロック解除機構とよりなり、しかも、支持パイプと支持操作ベルトの間隔は中仕切り体の前後幅員より短い間隔に構成したことを特徴とする冷蔵冷凍車の中仕切り体の収納構造。
【請求項2】
支持パイプは、庫内両側に設けた左右のラッシングレールの係合孔に断面U字状のソケット金具を左右に取外し自在に係合して左右のソケット金具間に取外し自在に架設したことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵冷凍車の中仕切り体の収納構造。
【請求項3】
支持操作ベルトは、庫内両側に設けた左右のラッシングレールの係合孔に断面U字状のソケット金具を左右に取外し自在に係合して左右のソケット金具間に取外し自在に中空バーを架設し中空バー内に摺動自在にベルト本体を収納すると共に、ベルト本体の一端は固定しベルト本体中途部は下方に垂らして中仕切り体側縁部を支持持ち上げ可能な受けベルト部を形成したことを特徴とする請求項1ないし2に記載の冷蔵冷凍車の中仕切り体の収納構造。
【請求項4】
ベルトロック機構は、支持操作ベルトの架設部から垂下した垂下ベルトの中途部に配設し、上部を中空バーに枢支したロック操作金具と、ロック操作金具の下部に梃子支点として枢支したロック作動体と、ロック作動体の上部一側に設けた梃子力点としてのロックレバー部と、ロック作動体の下部他側に設けた梃子作用点としてのベルト付勢圧着部とより構成すると共に、ロック作動体の枢支部をロック操作金具上部の枢支部よりも後退位置に配設することによるカム機能によってベルト付勢圧着部のベルトロック機能を果し、ロック解除機構によるロック操作金具の回動によりロックレバー部が中空バーに架設したレバー受け軸と当接しベルト付勢圧着部の圧着解除を行うように構成したことを特徴とする請求項1ないし3に記載の冷蔵冷凍車の中仕切り体の収納構造。
【請求項5】
ロック解除機構は、上端を中空バーに固定してそのまま下方に垂下した解除ベルトにより構成すると共に、解除ベルトは上端固定位置を中心にロック操作金具方向に揺動しロック操作金具に当接することによりロック作動体のベルト付勢圧着部が支持操作ベルトへの圧着を解除しベルトロック機構が解除されるように構成したことを特徴とする請求項1ないし4に記載の冷蔵冷凍車の中仕切り体の収納構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵冷凍車において冷蔵・冷凍室間を間仕切る中仕切り体を不使用時に庫内天井部に効率的に収納が行える冷蔵冷凍車の中仕切り体の収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、保冷車の荷台に設けられた保冷庫は積載する生鮮食品、チルド品、冷凍品等の積載物の種類によって冷蔵状態や冷凍状態に区分して保冷運搬することがある。
【0003】
かかる保冷車の効率的な有効稼働の観点から保冷車の庫内を中仕切り体によって冷凍室と冷蔵室に区分し冷凍・冷蔵の双方機能を保有する冷蔵冷凍車が生鮮食品等の保冷運搬作業に活躍する。
しかし、この中仕切り体の不使用時には作業の邪魔になるため庫内の適宜個所・適宜手段によって収納保管する必要がある。
【0004】
保冷庫内における中仕切り体の収納保管場所としては、天井面、壁面、床面などが考えられるが、壁面や床面では庫内の有効空間を塞いでしまい出し入れなどの作業時に邪魔になる。そのため、作業時に最も邪魔になりにくい天井面に保管することが適している。
【0005】
このように保冷庫内の中仕切り体を天井部に収納保管する方法については、下記特許文献に開示されている。
特許文献1には、保冷庫内の天井面左右側部及び天井面中央部に配設したレールに該レール上を摺動可能とするための走行体を中仕切り体の一側端縁に配設し、この中仕切り体の他側端縁には天井面に固定するためのワンタッチバックルを設けている。このように構成された中仕切り体を天井面に収納する際は、中仕切り体の一側端縁に配設した走行体を枢軸として中仕切り体を庫内後部に向けて回動し、他側端縁に配設したワンタッチバックルを該バックルと対を成す天井面に配設されたバックルとを係合することで天井面に固定し収納することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−114079号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記文献は中仕切り体の一端部を天井面に固定し、固定した部分を枢軸として庫内後部方向に対して中仕切り体の他端部を回転させることで中仕切り体を天井部に収納固定するため、中仕切り体を収納するためには中仕切り体の周囲に回転可能なスペースを確保する必要があり煩雑な収納作業で作業担当者に大きな負荷を与えていた。
【0008】
そこで本発明では、中仕切り体を庫内横断方向に懸架した持ち上げベルトにより天井部近傍まで持ち上げ庫内両側壁間に架設したパイプと持ち上げベルトを介して天井部近傍に収納することにより上記の課題を解決することができる冷蔵冷凍車の中仕切り体の収納構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、冷蔵冷凍車の庫内において、天井部近傍の庫内両側間に架設し中仕切り体の前後の一側縁部を載置支持する支持パイプと、庫内両側間に架設し中仕切り体の前後の他側縁部を持ち上げ支持する支持操作ベルトと、支持操作ベルトの架設端部に配設したベルトロック機構と、ベルトロック機構に対向して配設したロック解除機構とよりなり、しかも、支持パイプと支持操作ベルトの間隔は中仕切り体の前後幅員より短い間隔に構成したことを特徴とする冷蔵冷凍車の中仕切り体の収納構造を提供せんとする。
【0010】
また、支持パイプは、庫内両側に設けた左右のラッシングレールの係合孔に断面U字状のソケット金具を左右に取外し自在に係合して左右のソケット金具間に取外し自在に架設したことを特徴とする。
【0011】
また、支持操作ベルトは、庫内両側に設けた左右のラッシングレールの係合孔に断面U字状のソケット金具を左右に取外し自在に係合して左右のソケット金具間に取外し自在に中空バーを架設し中空バー内に摺動自在にベルト本体を収納すると共に、ベルト本体の一端は固定しベルト本体中途部は下方に垂らして中仕切り体側縁部を支持持ち上げ可能な受けベルト部を形成したことを特徴とする。
【0012】
また、ベルトロック機構は、支持操作ベルトの架設部から垂下した垂下ベルトの中途部に配設し、上部を中空バーに枢支したロック操作金具と、ロック操作金具の下部に梃子支点として枢支したロック作動体と、ロック作動体の上部一側に設けた梃子力点としてのロックレバー部と、ロック作動体の下部他側に設けた梃子作用点としてのベルト付勢圧着部とより構成すると共に、ロック作動体の枢支部をロック操作金具上部の枢支部よりも後退位置(庫内中心側)に配設することによるカム機能によってベルト付勢圧着部のベルトロック機能を果し、ロック解除機構によるロック操作金具の回動によりロックレバー部が中空バーに架設したレバー受け軸と当接しベルト付勢圧着部の圧着解除を行うように構成したことを特徴とする。
【0013】
また、ロック解除機構は、上端を中空バーに固定してそのまま下方に垂下した解除ベルトにより構成すると共に、解除ベルトは上端固定位置を中心にロック操作金具方向に揺動しロック操作金具に当接することによりロック作動体のベルト付勢圧着部が支持操作ベルトへの圧着を解除しベルトロック機構が解除されるように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、冷蔵冷凍車の庫内において、天井部近傍の庫内両側間に架設し中仕切り体の前後の一側縁部を載置支持する支持パイプと、庫内両側間に架設し中仕切り体の前後の他側縁部を持ち上げ支持する支持操作ベルトと、支持操作ベルトの架設端部に配設したベルトロック機構と、ベルトロック機構に対向して配設したロック解除機構とよりなり、しかも、支持パイプと支持操作ベルトの間隔は中仕切り体の前後幅員より短い間隔に構成したことにより、中仕切り体を庫内天井部に収納する際には、支持操作ベルトを引っ張って緊張状態とすることにより中仕切り体は持ち上げられて前後端縁部が支持パイプと支持操作ベルトによって支持され天井部近傍に収納される。
庫内を中仕切り体で冷蔵冷凍室に仕切るに際しては、緊張して持ち上げた支持操作ベルトを弛緩して中仕切り体を床部に積み降ろす。このように支持操作ベルトの操作で安全容易にかつ作業者に大きな労働負荷をかけることなく中仕切り体の収納取り出しを行うことができる効果がある。
【0015】
請求項2の発明によれば、支持パイプは、庫内両側に設けた左右のラッシングレールの係合孔に断面U字状のソケット金具を左右に取外し自在に係合して左右のソケット金具間に取外し自在に架設したことにより、中仕切り体の収納位置を予め勘案しながらソケット金具を左右のラッシングレールの選択した係合孔に係合することができる。すなわち、支持パイプの庫内前後の架設位置をソケット金具の単なる位置変え操作で行うことができ、また中仕切り体を冷蔵冷凍室の仕切りに使用する場合は、その位置を予め想定してソケット金具の係合位置を選択しておくことにより積み下ろし作業が最も行い易い位置において予め収納位置決定し収納作業をすることができる効果がある。
【0016】
請求項3の発明によれば、また、支持操作ベルトは、庫内両側に設けた左右のラッシングレールの係合孔に断面U字状のソケット金具を左右に取外し自在に係合して左右のソケット金具間に取外し自在に中空バーを架設し中空バー内に摺動自在にベルト本体を収納すると共に、ベルト本体の一端は固定しベルト本体中途部は下方に垂らして中仕切り体側縁部を支持持ち上げ可能な受けベルト部を形成したことにより、中空パイプと同様に予め中仕切り体の持ち上げ収納位置及び積み下ろし位置をラッシングレールの係合孔に係合したソケット金具の位置選択によって行うことができ、適切な中仕切り体の位置で収納積み下ろし作業が行え作業者の労働負荷を低減できる効果がある。また、中仕切り体の持ち上げ、積み下ろし作業は支持操作ベルトの緊張、弛緩作業により行うことができるために庫内での中仕切り体の取扱い作業が安全容易に行え作業負荷も可及的に低減することができる効果がある。
【0017】
請求項4の発明によれば、また、ベルトロック機構は、支持操作ベルトの架設部から垂下した垂下ベルトの中途部に配設し、上部を中空バーに枢支したロック操作金具と、ロック操作金具の下部に梃子支点として枢支したロック作動体と、ロック作動体の上部一側に設けた梃子力点としてのロックレバー部と、ロック作動体の下部他側に設けた梃子作用点としてのベルト付勢圧着部とより構成すると共に、ロック作動体の枢支部をロック操作金具上部の枢支部よりも後退位置(庫内中心側)に配設することによるカム機能によってベルト付勢圧着部のベルトロック機能を果し、ロック解除機構によるロック操作金具の回動によりロックレバー部が中空バーに架設したレバー受け軸と当接しベルト付勢圧着部の圧着解除を行うように構成したことにより、梃子原理を応用した簡単な機械的構造のベルトロック機構を提供することができる効果がある。
【0018】
請求項5の発明によれば、また、ロック解除機構は、上端を中空バーに固定してそのまま下方に垂下した解除ベルトにより構成すると共に、解除ベルトは上端固定位置を中心にロック操作金具方向に揺動しロック操作金具に当接することによりロック作動体のベルト付勢圧着部が支持操作ベルトへの圧着を解除しベルトロック機構が解除されるように構成したことにより、梃子原理と強制的なベルト操作機構を応用した機械的構造で支持操作ベルトのロック解除が安全容易に行えるロック解除機構を提供することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態にかかる冷蔵冷凍車の中仕切り体を配設した状態を示す側面図である。
図2】本発明の実施形態にかかる冷蔵冷凍車の中仕切り体を天井面に収納した状態を示す側面図である。
図3】本発明の実施形態にかかる支持パイプとラッシングレールとソケット金具の関係を示す拡大斜視図である。
図4】本発明の実施形態にかかる中空バーとラッシングレールとソケット金具と支持操作ベルトとロック解除ベルトの関係を示す拡大斜視図である。
図5】本発明の実施形態にかかるベルトロック機構の固定状態を示す側面図である。
図6】本発明の実施形態にかかるベルトロック機構の開放状態を示す側面図である。
図7】本発明の実施形態にかかるベルトロック機構の固定状態と開放状態を示す模式図である。
図8】本発明の実施形態にかかる中仕切り体を天井部に収納したり、積み下ろしたりする際の状態を示した図の支持パイプに中仕切り体の一側端縁を当接させた状態を示す図である。
図9】本発明の実施形態にかかる中仕切り体を天井部に収納したり、積み下ろしたりする際の状態を示した図の支持操作ベルトに中仕切り体の他側端縁を載置し脱落防止ベルトにて中仕切り体を固定した状態を示す図である。
図10】本発明の実施形態にかかる中仕切り体を天井部に収納したり、積み下ろしたりする際の状態を示した図の垂下ベルトを下方に引張り支持操作ベルトを緊張状態として中仕切り体を天井部に収納した状態を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
この発明の要旨は、冷蔵冷凍車の庫内において、天井部近傍の庫内両側間に架設し中仕切り体10の前後の一側縁部を載置支持する支持パイプ20と、庫内両側間に架設し中仕切り体10の前後の他側縁部を持ち上げ支持する支持操作ベルト40と、支持操作ベルト40の架設端部に配設したベルトロック機構50と、ベルトロック機構50に対向して配設したロック解除機構60とよりなり、しかも、支持パイプ20と支持操作ベルト40の間隔は中仕切り体10の前後幅員より短い間隔に構成したことを特徴とする冷蔵冷凍車の中仕切り体10の収納構造に関する。
【0021】
また、支持パイプ20は、庫内両側に設けた左右のラッシングレール80の係合孔に断面U字状のソケット金具82を左右に取外し自在に係合して左右のソケット金具82間に取外し自在に架設したことを特徴とする。
【0022】
また、支持操作ベルト40は、庫内両側に設けた左右のラッシングレール80の係合孔に断面U字状のソケット金具82を左右に取外し自在に係合して左右のソケット金具82間に取外し自在に中空バー30を架設し中空バー30内に摺動自在に支持操作ベルト40本体を収納すると共に、支持操作ベルト40本体の一端は固定し支持操作ベルト40本体中途部は下方に垂らして中仕切り体10側縁部を支持して持ち上げ可能な受けベルト部42を形成したことを特徴とする。
【0023】
また、ベルトロック機構50は、支持操作ベルト40の架設部から垂下した垂下ベルト41の中途部に配設し、上部を中空バー30に枢支したロック操作金具51と、ロック操作金具51の下部に梃子支点として枢支したロック作動体52と、ロック作動体52の上部一側に設けた梃子力点としてのロックレバー部53と、ロック作動体52の下部他側に設けた梃子作用点としてのベルト付勢圧着部54とより構成すると共に、ロック作動体52の枢支部55をロック操作金具51上部の枢支部56よりも後退位置(庫内中心側)に配設することによるカム機能によってベルト付勢圧着部54のベルトロック機能を果し、ロック解除機構60によるロック操作金具51の回動によりロックレバー部53が中空バー30に架設したレバー受け軸70と当接しベルト付勢圧着部54の圧着解除を行うように構成したことを特徴とする。
【0024】
また、ロック解除機構60は、上端を中空バー30に固定してそのまま下方に垂下した解除ベルト61により構成すると共に、解除ベルト61は上端固定位置を中心にロック操作金具51方向に揺動しロック操作金具51に当接することによりロック作動体52のベルト付勢圧着部54が支持操作ベルト40への圧着を解除しベルトロック機構50が解除されるように構成したことを特徴とする。
【0025】
この発明の実施例を図面に基づき詳説する。
【0026】
図1は、本発明実施例の冷蔵冷凍車の中仕切り体10の収納構造に関する全体の説明図である。すなわち、本発明は、図1に示すように、冷蔵冷凍車の庫内において冷蔵室と冷凍室の境に中仕切り体10を介在して両部屋を仕切り、不用のときは中仕切り体10を庫内の天井部の近傍に収納するための構造に関する。
【0027】
中仕切り体10は庫内の横断面に略相当する面積を有し庫内を仕切って冷蔵室と冷凍室に区分する断熱機能を有するボードからなり、収納時あるいは収納する際に落下して怪我をする蓋然性を可及的に低減するために長手方向一側端縁の短手方向略中央部に前後方向への摺動を規制する脱落防止ベルト11を配設している。
【0028】
通常は、庫内の横断面に略相当する面積の中仕切り体10を中央から左右に分離した単体の仕切り体とし、本件発明の収納構造においては左右単体の仕切り体に分離してそれぞれを別個に庫内に収納する。
【0029】
すなわち、庫内には前後位置において本発明の冷蔵冷凍車の中仕切り体10の収納構造を設置しそれぞれの前後の収納構造に左右分離した中仕切り体10単体を収納する。中仕切り体10を仕切りとして使用する場合は、前後の中仕切り体10の収納構造からそれぞれ中仕切り体10を積み下ろして左右の中仕切り体10を一体に組み立て中仕切り体10として庫内の仕切り位置に設置する。
【0030】
以下においては庫内の前後に設置する中仕切り体10の収納構造のうちいづれか一方の収納構造について説明し、他方の中仕切り体の収納構造は同様の技術とする。
【0031】
図1に示すように、冷蔵冷凍品専用の運搬車庫内には前後位置において庫内を横断する状態に中仕切り体10が庫内両側壁に架設されている。なお、図中、Tは冷蔵冷凍車専用の運搬車を示す。
【0032】
本発明においては、中仕切り体10は一端側縁部を支持パイプ20に載置支持させると共に、支持パイプ20に載置された中仕切り体10の幅員と略同等の幅位置に位置決めガイド21を配設して横方向への摺動を規制し、他端側縁部を支持操作ベルト40のベルト本体の中途たるみ部分に載置支持させて、中仕切り体10の一側端縁の左右方向略中央部に配設した前後方向への摺動を規制する脱落防止ベルト11を該支持操作ベルト40と係合した状態で支持操作ベルト40のベルト本体を緊張弛緩させることにより、中仕切り体10を庫内で持ち上げ収納し、積み下ろし使用することを基本としている。
【0033】
支持パイプ20と対となって庫内に架設されている中空バー30内には摺動自在に支持操作ベルト40のベルト本体を収納すると共に、ベルト本体の一端は固定しベルト本体中途部は下方に垂らして中仕切り体10側縁部を支持して持ち上げ可能な受けベルト部42を形成し、しかも、支持パイプ20と中空バー30(もしくは受けベルト部42)との前後間隔は中仕切り体10の前後幅員よりも短い長さに構成している。
【0034】
従って、略長方形の中仕切り体10は前後の一側縁部を載置支持する支持パイプ20と、中仕切り体10の前後の他側縁部を持ち上げ支持する受けベルト部42とによって中仕切り体10の前後側縁部が支持され庫内天井部近傍に収納される。
【0035】
以下に図面に基づきかかる構造の詳細を順次説明する。
【0036】
天井部近傍の庫内両側間に架設して中仕切り体10の一側縁部を載置支持する支持パイプ20は、図3に示すように庫内両側に設けた左右のラッシングレール80の係合孔に断面U字状のソケット金具82を左右とも取外し自在に係合することにより左右のソケット金具82間に取外し自在に架設している。
【0037】
庫内両側に設けた左右のラッシングレール80は、前後所定位置の係合孔を選択してソケット金具82を係合することにより庫内の前後位置における支持パイプ20と後述する中空バー30の前後の架設位置を調整することができる。
【0038】
また、ラッシングレール80は、庫内両側の中段にもラッシングレール81を配設している。図1及び図2に示すようにこのラッシングレール81は、中仕切り体10を冷蔵冷凍の仕切り体として立設する際に使用する。すなわち、中仕切り体10を所定位置に立設固定するために庫内中段のラッシングレール81を使用し、中段のラッシングレール81にソケット金具82を介して支持パイプ20を庫内中途部に架設し左右の中仕切り体10単体を支持パイプ20に立てかけ後述する中空バー30とともに挟持固定することにより中仕切り体10の仕切り状態をつくる。
【0039】
また、庫内には支持パイプ20と一定の間隔を保持して中空バー30が横架されている。
【0040】
すなわち、図1及び図2に示すように支持パイプ20と同様に庫内両側に設けた左右のラッシングレール80の係合孔に断面U字状のソケット金具82を左右に取外し自在に係合して左右のソケット金具82間に取外し自在に中空バー30を架設している。
【0041】
中空バー30は、図4に示すように下方開口の断面逆U字状に形成されており、しかも、中空バー30内には摺動自在に支持操作ベルト40のベルト本体を収納すると共に、ベルト本体の一端は中空バー30に固定しベルト本体中途部は下方に垂らして中仕切り体10側縁部を支持持ち上げ可能な受けベルト部42を形成している。すなわち、支持操作ベルト40はベルト本体によって庫内両側間に架設され中仕切り体10の前後の他側縁部を持ち上げ支持する機能を果たす。
【0042】
なお、支持パイプ20と中空バー30内に摺動自在に収納した支持操作ベルト40との間隔は中仕切り体10の前後幅員より短い間隔に構成している。
【0043】
また、支持操作ベルト40の架設端部にはベルトロック機構50を配設すると共に、ベルトロック機構50に対向してロック解除機構60を配設している。
【0044】
ベルトロック機構50は、図5に示すように支持操作ベルト40の架設部から垂下した垂下ベルト41の中途部に配設しており、上部を中空バー30に枢支したロック操作金具51と、ロック操作金具51の下部に梃子支点として枢支したロック作動体52と、ロック作動体52の上部一側に設けた梃子力点としてのロックレバー部53と、ロック作動体52の下部他側に設けた梃子作用点としてのベルト付勢圧着部54とより構成している。
【0045】
しかも、図5に示すようにかかるベルトロック機構50において、ロック作動体52の枢支部55はロック操作金具51上部の枢支部56よりも後退位置(庫内中心側)に配設すると共に、該枢支部55には付勢バネ(図示せず)を介在することによりカム機能とバネ付勢機能によってベルト付勢圧着部54を支持操作ベルト40に圧着しベルト本体の摺動を阻止するロック機能を果たす。なお、ベルト付勢圧着部54はベルト本体との当接面にローレット加工や凹凸加工等を行うことによりベルトの滑動を防止している。
【0046】
また、ベルトロック機構50に対向する位置にはロック解除機構60を配設している。
【0047】
ロック解除機構60は図5に示すように上端を中空バー30に固定してそのまま下方に垂下した解除ベルト61により構成し、解除ベルト61は上端固定位置を中心にロック操作金具51方向に揺動しロック操作金具51に当接することによりベルト付勢圧着部54を支持操作ベルト40から離反させ圧着解除を行うことによりベルトロック機構50の解除を遂行するように構成している。
【0048】
具体的に述べれば、図6に示すように解除ベルト61が揺動してロック操作金具51と当接し後退方向に押しやればロック操作金具51は上部の枢支部56を中心として後退方向に揺動する。
【0049】
同時にロック操作金具51の下部に枢支したロック作動体52もロック操作金具51と共に後退方向に揺動する。他方、ロック作動体52には上方に起立したロックレバー部53を連設しており、しかも、ロックレバー部53の後面部はロック操作金具51の後方に配設したレバー受け軸70に常時当接している。
【0050】
すなわち、図5に示すように、起立状態のロックレバー部53はロック操作金具51やロック作動体52と共に後退方向に変位すると、ロックレバー部53の後面部はレバー受け軸70と当接しているためにロックレバー部53は図6に示すように右方向に回動することになりロックレバー部53と一体のベルト付勢圧着部54は支持操作ベルト40の垂下ベルト41面から離反し、支持操作ベルト40はロックが解除されてフリー状態となる。
【0051】
この作動状態を図7に示す模式図に基づき説明すると、ロック操作金具51のロック状態では、ロックレバー部53のレバー伸延方向の仮想直線90は、ロック操作金具51上部の枢支部56とロック作動体52の枢支部55との仮想直線91とαの角度を保持してベルト付勢圧着部54のロック作動が行われている。
【0052】
ところが、ロック解除すべくロック操作金具51を後退方向に変位すると、起立状態のロックレバー部53は後面部がレバー受け軸70と当接しているためにロックレバー部53は図面の右方向に強制回動することになり、ロックレバー部53のレバー伸延方向の仮想直線90はロック操作金具51上部の枢支部56とロック作動体52の枢支部55とを結んだ仮想直線91とで形成される角度はβとなる。すなわち、ロックレバー部53の角度がαからβの角度に変更されることになり、必然的に角度βが角度αよりも小さくなる。そのため、ロックレバー部53は模式図面で右回動してベルト付勢圧着部54は支持操作ベルト40の垂下ベルト41面から離反し支持操作ベルト40はロックが解除されてフリー状態となり摺動できる。
【0053】
この発明の中仕切り体10の収納構造は上記のように構成されており、かかる構造を利用した中仕切り体10の収納操作および中仕切り体10の積み下ろし設置操作を具体的に説明する。
【0054】
中仕切り体10を構成する左右の中仕切り体10単体を天井部近傍に収納する手順は、図8から図10に示すようにまず中仕切り体10の一側縁部を支持パイプ20に配設された位置決めガイド21内に立てかけて縦又は斜め方向の姿勢とし、次いで手動により中仕切り体10の他側縁部を支持操作ベルト40を弛緩して形成した受けベルト部42に載置し脱落防止ベルト11で固定する。次いで、支持操作ベルト40の垂下ベルト41を下方に引っ張ると弛んだ受けベルト部42は緊張状態で上昇し中仕切り体10を庫内天井部近くまで持ち上げる。
【0055】
その際に中仕切り体10の一側縁部は支持パイプ20上で回転しながら中仕切り体10が縦姿勢から略水平姿勢に変位し天井部に近づく動作を補助する。
【0056】
この際に、ロック作動体52には垂下ベルト41を下方に引っ張ることで垂下ベルト41と当接したベルト付勢圧着部54を介して枢支部55を中心に、図5におけるロックレバー53を右方向に回動させる回転モーメントが発生する。そのため、ベルト付勢圧着部54からの垂下ベルト41への圧力が低下し、ロック機能が作動することなく垂下ベルト41を摺動することができる。
【0057】
さらに、中仕切り体10が所定の収納位置まできたら垂下ベルト41を下方に引っ張ることを停止すると、受けベルト部42に載置された中仕切り体10の重さにより垂下ベルト41が上方に引っ張られる。しかし、ロック作動体52には垂下ベルト41と当接したベルト付勢圧着部54を介して枢支部55を中心に、図5におけるロックレバー53を左方向に回動させる回転モーメントが発生するため、ベルト付勢圧着部54からの垂下ベルト41への圧力が上昇する。その結果、垂下ベルト41が上方に変移することを規制して、中仕切り体10が天井部近傍に持ち上げられた状態で支持操作ベルト40にロックされて収納作業が完了する。
【0058】
また、中仕切り体10を庫内の仕切りとして使用するために支持パイプ20と支持操作ベルト40とから積み下ろす場合は、図6に示すようにまず解除ベルト61をロック操作金具51方向に引っ張ることによりロック作動体52を介してベルト付勢圧着部54を垂下ベルト41面から離反させてロック解除操作を行う。
【0059】
その後図9に示すように支持操作ベルト40を弛緩して受けベルト部42を弛ませて降下させ中仕切り体10の他側縁部を庫内床面まで下ろす。その後は積み下ろした中仕切り体10単体の略中央部に配設された脱落防止ベルト11を外して中仕切り体10を稼動できる状態にしてから手動で組み合わせて庫内の所定の位置に設置し、図1に示すようにラッシングレール81に配設した支持パイプ20で中仕切り体10の前後を挟持して冷蔵と冷凍の各室の間仕切りを行う。
【0060】
このように中仕切り体10は支持パイプ20と支持操作ベルト40の弛緩緊張による受けベルト部42の昇降作動によって庫内での収納、積み下ろし設置作業を安全容易に行うことができるものである。また、中仕切り体10の取り扱いが全て機械的な構造の組み合わせで行われるためコスト的にも有利となる。また、操作もベルトの引張弛緩操作で行うため簡便で安全である。
【0061】
しかも、本発明の要旨である支持パイプ20と、支持操作ベルト40を摺動挿入した中空バー30とを庫内に架設する場合、架設位置をラッシングレール80における係合孔の選択で自在に変更することができ中仕切り体10の収納構造の使い勝手を更に向上することができるものである。
【0062】
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
T 運搬車
10 中仕切り体
20 支持パイプ
21 位置決めガイド
30 中空バー
40 支持操作ベルト
41 垂下ベルト
42 受けベルト部
50 ベルトロック機構
51 ロック操作金具
52 ロック作動体
53 ロックレバー
54 ベルト付勢圧着部
55 枢支部
56 枢支部
60 ロック解除機構
61 解除ベルト
70 レバー受け軸
80 ラッシングレール
81 ラッシングレール
82 ソケット金具
90 仮想直線
91 仮想直線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10