【解決手段】 身体冷却用の液体路部材は、少なくとも2枚の接合シートを接合することによって形成され、2次元的広がりを有する略平面形帯形蛇行パターンとして形成された液体が循環する蛇行形液体路3と、少なくとも2枚の布部30・31で構成され、曲率が大きな頭部等の身体面を覆う3次元的布部に形成される布部係止部28とから構成され、前記布部係止部28は前記蛇行形液体路3の蛇行形状と略相似形の係止ガイド部と、前記蛇行形液体路3を前記布部係止部28から出し入れできる開口部とを有し、さらに前記蛇行形液体路3を、前記3次元的布部に形成された前記布部係止部28に対応した略平面展開図となるように形成したことを特徴とする。
請求項1に記載の身体冷却用の液体路部材において、前記係止ガイド部(34)は前記少なくとも2枚の布部を前記略相似形の一部を固定した固定曲線(32)を備えており、前記開口部(33)を前記固定曲線(32)の固定されていない部分を設けることで構成した身体冷却用の液体路部材。
請求項2に記載の身体冷却用の液体路部材において、前記固定曲線(32)を前記少なくとも2枚の布部を縫い合わせた縫合曲線(32)で構成した身体冷却用の液体路部材。
請求項1〜請求項3のいずれか一つに記載の身体冷却用の液体路部材において、前記蛇行形液体路(3)の配置する方向(27)に対して蛇行部(36)が左右両側に形成されている身体冷却用の液体路部材。
請求項2〜請求項4のいずれか一つに記載の身体冷却用の液体路部材において、前記蛇行形液体路(3)における蛇行部(36)の内側部域に前記開口部(33)を設けた身体冷却用の液体路部材。
請求項5に記載の身体冷却用の液体路部材において、前記蛇行部(36)の内側部域を覆う布部に前記蛇行形液体路(3)が出入りしやすいように布部切開部(47)を設けた身体冷却用の液体路部材。
請求項5〜請求項6のいずれか一つに記載の身体冷却用の液体路部材において、前記布部係止部(28)は、その内部に保持された前記蛇行形液体路(3)の略全面を覆う布部を備えている身体冷却用の液体路部材。
請求項2〜請求項7のいずれか一つに記載の身体冷却用の液体路部材において、前記蛇行形液体路(3)の一部の蛇行形状は、入口部(43)と出口部(44)の横幅(D1)よりも蛇行部の最大幅(D2)が大きく形成された略先広形蛇行部(46)を含んでいる身体冷却用の液体路部材。
請求項1〜請求項8のいずれか一つに記載の身体冷却用の液体路部材において、前記布部係止部(28)は前記蛇行形液体路(3)が保持される布部筒部(37)を備え、前記開口部(33)を前記布部係止部(28)から出し入れできる布部切開部(47)で構成した身体冷却用の液体路部材。
請求項1〜請求項9のいずれか一つに記載の身体冷却用の液体路部材において、前記蛇行形液体路(3)の入口側と出口側に前記接合シート(4)と接合された接続口具(6)とを有しており、前記接続口具(6)は前記接合シート(4)が接合するための接合面部(8)と、前記蛇行形液体路(3)に連通する管部(11)を備えた管取付部(9)とを有するスパウト(6)で構成してあり、前記布部係止部(28)の両端部に前記蛇行形液体路(3)の流体の入口側、出口側に取り付けられた前記管取付部(9)が突出できる端部開口(38)を設け、前記突出した前記管取付部(9)に接続管(48)を接続した身体冷却用の液体路部材。
請求項1〜請求項10のいずれか一つに記載の身体冷却用の液体路部材において、頭部フード(40)は頭部を覆う頭部布部(49)と、首部を覆う首部布部(41)とを有し、少なくとも頭部布部(49)には前記蛇行形液体路(3)が収容される前記布部係止部(28)を有し、前記首部布部(41)には開閉自在を容易にする開閉部材(42)が設けられている身体冷却用の液体路部材。
請求項11に記載の身体冷却用の液体路部材において、前記蛇行形液体路(3)に連通するシリコンチューブのような柔軟性があり形状保持性のある管部(50)を前記首部布部(41)の略下端域に設けることで、前記首部布部(41)の形状安定性を維持するように構成した身体冷却用の液体路部材。
請求項11〜請求項12のいずれか一つに記載の身体冷却用の液体路部材において、前記開閉部材(42)によって開かれる2つの前記首部布部(41)の部分にそれぞれ、前記管部(50)を設け、かつ前記開閉部材(42)の近くに管部(50)を通した構成とした身体冷却用の液体路部材。
請求項11〜請求項13に記載の身体冷却用の液体路部材において、頭部フード(40)の構成において、前記蛇行形液体路(3)は、小さい凹凸(15)が形成された凹凸シート(2)を少なくとも1枚含んで複数枚のシートを重ね合わせ、その一部を平面的に離隔的に融着させて形成した融着部(14)と、前記融着部(14)の間において融着されずに形成された流路部(16)とを有し、
前記縁部接合部(7)を構成する場合に、前記上側接合シート(4a)と前記下側接合シート(4b)を構成する素材として合成樹脂を使用した身体冷却用の液体路部材。
少なくとも2枚の接合シート(4)を接合することによって形成され、2次元的広がりを有する略平面形帯形蛇行パターンとして形成された液体が循環する蛇行形液体路(3)と、
少なくとも2枚の布部で構成され、曲率が大きな頭部等の身体面を覆う3次元的布部に形成される前記布部係止部(28)とから構成され、
前記布部係止部28は前記蛇行形液体路(3)の蛇行形状と略相似形の係止ガイド部(34)と、前記蛇行形液体路3を前記布部係止部(28)から出し入れできる開口部(33)とを有し、
さらに前記蛇行形液体路(3)を、前記3次元的布部に形成された前記布部係止部(28)に対応した略平面展開図となるように形成し、
前記蛇行形液体路(3)は、小さい凹凸(15)が形成された凹凸シート(2)を少なくとも1枚含んで複数枚のシートを重ね合わせ、その一部を平面的に離隔的に融着させて形成した融着部(14)と、前記融着部(14)の間において融着されずに形成された流路部(16)とを有し、
前記縁部接合部(7)を構成する場合に、前記上側接合シート(4a)と前記下側接合シート(4b)を構成する素材として合成樹脂を使用したことを特徴とする身体冷却用の液体路部材。
請求項1〜請求項16のいずれか一つに記載の身体冷却用の液体路部材において、少なくとも頭部布部(49)は、前記蛇行形液体路(3)が収容される前記布部係止部(28)を有し、ヘルメット内面と作業者の頭部間の隙間に収容可能なように薄く頭部布部(49)を形成した身体冷却用の液体路部材。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、実用的な冷却服等を開発している過程において、人体の頭のような曲率半径の大きな部分や、動きの大きい箇所、例えば両手や肘などの身体部分を良好に冷却できるにはどのような構成が必要であるかを誠意、探求し続けてきた。
しかしながら、実際には曲率の大きな面に実用的で快適な冷却用の液体路部材を発明することは難しかった。
【0005】
一方、シリコンチューブのような柔らかい円管を冷却服に取り付ける構成に比べて、複数の接合シートを融着することによって略平面形で帯形に延びる液体路(以下、略平面形帯形液体路と称する)を形成した方が液体の流れる面の接触面積を大きくでき、冷却効果を大きくすることができることを把握している。
このような略平面形帯形の液体路を身体面に沿わせる場合において、本発明者が誠意努力したことによって気が付いた具体的な課題は以下の通りである。
(A)頭部などの曲率の大きな身体面に略平面形帯形液体路をどのように取り付ければいいのか?ということがある。例えば、面ファスナーを用いて布部に取り付ける構成では、面ファスナーの取付け工程が増えるとともに追従性が悪くなり、着心地が悪くなるという課題がある。
(B)一方、略平面形帯形液体路を製造時に簡単に布部に固定することができ、製造コストを抑えることが望まれている。
(C)さらに、略平面形帯形液体路を取り付けた布部から簡単に着脱自在にできる構成が望まれる。その理由の一つは、略平面形帯形液体路が破損した場合等にその破損部分だけを取り替えることがコスト的に有利であることによる。
(D)面ファスナーを設けることで、身体に接する布部の上に面ファスナーを介して略平面形帯形液体路が存在することになるので、身体に接する布部よりも離れた位置に略平面形帯形液体路にあることになり、冷却性が低下する課題がある。
(E)暑い季節にヘルメットを被って作業することは、頭部が高温になり、作業者にとって厳しい環境になる。また、頭部が高温になると思考力や判断力が低下して重大な人身事故を招くことが各種の文献で報告されている。この課題に対して、ヘルメット内に空隙を作り、外部の空気をヘルメット内に導くことによってヘルメット内の温度を下げることも提案されているが、外部空気が自然にヘルメット内に入るオートバイ用ヘルメット以外のヘルメットにおいては、その効果は低い。
さらに、本質的なことは、従来、水冷式冷却部材を頭に装着した状態で、ヘルメットを被るという発想は全くなかった。その理由は、ヘルメットと頭部の狭い隙間の空間に配置できるような薄い水冷式冷却部材を構成することは不可能であると全ての当業者が考えていたからである。
本発明は、ヘルメットの安全性を低下させることなく、水冷式頭部フードを頭部に装着しても、通常のヘルメットと頭部の間に形成される狭い空間においても水冷式頭部フードを問題なく配置できる薄型の身体冷却用の液体路部材を提供することを技術課題の一つとする。
本発明の目的は、上記従来技術の各課題を解決することができる液体路部材とその製造方法を提供することにある。
なお、上記に記載した以外の発明の課題、その解決手段及びその効果は、後述する明細書内の記載において詳しく説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は多面的に表現できるが、例えば、代表的なものを挙げると、次のように構成したものである。なお、下記各発明において、各符号は後述する実施形態との対応関係を分かりやすくするために一例として示したものであり、本発明の各構成要素は、実施形態に記載した符号に係る構成に限定されないことは言うまでもない。
【0007】
本発明に係る身体冷却用の液体路部材1は、少なくとも2枚の接合シート4を接合することによって形成され、2次元的広がりを有する略平面形帯形蛇行パターンとして形成された液体が循環する蛇行形液体路3と、
少なくとも2枚の布部で構成され、曲率が大きな頭部等の身体面を覆う3次元的布部に形成される布部係止部28とから構成され、
前記布部係止部28は前記蛇行形液体路3の蛇行形状と略相似形の係止ガイド部34と、前記蛇行形液体路3を前記布部係止部28から出し入れできる開口部33とを有し、
さらに前記蛇行形液体路3を、前記3次元的布部に形成された前記布部係止部28に対応した略平面展開図となるように形成したことを特徴とする(請求項1)。
なお、前記係止ガイド部の略相似形の意味は、蛇行形液体路の全体形状としての略相似形という意味ではなく、蛇行形液体路が布部係止部に係止される場合に、その係止の要点となる線分又は点群が前記略相似形に形成されているという意味である。
この構成であれば、略平面形帯形の蛇行形液体路を布部係止部に係止できるので、身体の動きにかかわらず、蛇行形液体路を身体に沿うように保持でき、冷却性を維持できる。また、開口部から蛇行形液体路を布部係止部から出し入れできるので、製造時に製造しやくなるとともに、部分的な破損時に交換等も簡単に行える。
さらに、着脱自在にするための面ファスナーを必要としないので、液体路部材の厚さを薄く構成できるとともに、身体の冷却性能を高めることができ、かつ着心地を良くすることができる。
なお、本来、「2次元的広がりである平面蛇行パターンとして形成された蛇行形液体路」は3次元的な凹凸を有する曲面には対応できない。しかし、本発明の構成であれば、蛇行形液体路を「3次元的布部に対応した略平面展開図となる」構成を採用することで、布部係止部において接触面積を増やして冷却性能を向上できる利点がある。
【0008】
前記係止ガイド部34は前記少なくとも2枚の布部を前記略相似形の一部を固定した固定曲線32を備えており、前記開口部33を前記固定曲線32の固定されていない部分を設けることで構成したことを特徴とする(請求項2)。
前記固定曲線32を前記少なくとも2枚の布部を縫い合わせた縫合曲線32で構成したことを特徴とする(請求項3)。
前記蛇行形液体路3の配置する方向27に対して蛇行部36が左右両側に形成されていることを特徴とする(請求項4)。
【0009】
前記蛇行形液体路3における前記蛇行部36の内側部域に前記開口部33を設けたことを特徴とする(請求項5)。
前記蛇行部36の内側部域を覆う布部に前記蛇行形液体路3が出入りしやすいように布部切開部47を設けたことを特徴とする(請求項6)。
前記布部係止部28は、その内部に保持された前記蛇行形液体路3の略全面を覆う布部を備えていることを特徴とする(請求項7)。
前記蛇行形液体路3の一部の蛇行形状は、入口部43と出口部44の横幅D1よりも蛇行部の最大幅D2が大きく形成された略先広形蛇行部46を含んでいることを特徴とする(請求項8)。
前記布部係止部28は前記蛇行形液体路3が保持される布部筒部37を備え、前記開口部33を前記布部係止部28から出し入れできる布部切開部47で構成したことを特徴とする(請求項9)。
【0010】
前記蛇行形液体路3の入口側と出口側に前記接合シート4と接合された接続口具6とを有しており、前記接続口具6は前記接合シート4が接合するための接合面部8と、前記蛇行形液体路3に連通する管部11を備えた管取付部9とを有するスパウト6で構成してあり、前記布部係止部28の両端部に前記蛇行形液体路3の流体の入口側、出口側に取り付けられた前記管取付部9が突出できる端部開口38を設け、前記突出した前記管取付部9に接続管48を接続したことを特徴とする(請求項10)。
頭部フード40は頭部を覆う頭部布部49と、首部を覆う首部布部41とを有し、少なくとも頭部布部49には前記蛇行形液体路3が収容される前記布部係止部28を有し、前記首部布部41には開閉自在を容易にする開閉部材42が設けられていることを特徴とする(請求項11)。
前記開閉部材としてはジッパー等の線ファスナーや、マジックテープ(登録商標)などの面ファスナーなどが例示できる。
この構成であれば、首部布部に開閉部材を設けることで、装着性を向上できる。
本構成において、必要に応じて首部布部41にも前記布部係止部28を設けることもでき、この構成であれば頭部のみならず、首部も冷却することができ、暑さによる身体的疲労を一層低減できる。
前記蛇行形液体路3に連通するシリコンチューブのような柔軟性があり形状保持性のある管部50を前記首部布部の略下端域に設けることで、前記首部布部41の形状安定性を維持するように構成したことを特徴とする(請求項12)。
この構成であれば、首部布部41の略下端域に柔軟性があり形状保持性のある管部があることで、例えば、首回り及び肩部の形状に対応した形状である前記略下端域に管部を設けることで、首部布部が捲れる、風に吹かれて冷却性能が低下する等の不都合の発生を抑制することができる。
前記開閉部材42によって開かれる2つの前記首部布部41の部分にそれぞれ、前記管部50を設け、かつ前記開閉部材42の近くに管部50を通した構成としたことを特徴とする(請求項13)。
頭部フード40の構成において、前記蛇行形液体路3は、小さい凹凸15が形成された凹凸シート2を少なくとも1枚含んで複数枚のシートを重ね合わせ、その一部を平面的に離隔的に融着させて形成した融着部14と、前記融着部14の間において融着されずに形成された流路部16とを有し、
前記縁部接合部7を構成する場合に、前記上側接合シート4aと前記下側接合シート4bを構成する素材として合成樹脂を使用したことを特徴とする(請求項14)。
そのような構成としては、例えば、
図11及び
図12に一例として示すような構成が例示できる。
【0011】
本発明に係る身体冷却用の液体路部材1は、少なくとも2枚の接合シート4を接合することによって形成され、2次元的広がりを有する略平面形帯形蛇行パターンとして形成された液体が循環する蛇行形液体路3と、
少なくとも2枚の布部で構成され、曲率が大きな頭部等の身体面を覆う3次元的布部に形成される布部係止部28とから構成され、
前記布部係止部28は前記蛇行形液体路3の蛇行形状と略相似形の係止ガイド部34と、前記蛇行形液体路3を前記布部係止部28から出し入れできる開口部33とを有し、
さらに前記蛇行形液体路3を、前記3次元的布部に形成された前記布部係止部28に対応した略平面展開図となるように形成し、
前記蛇行形液体路3内に装着時に人体面から見て上下方向Yに柔軟性を有する立体構造体5を収容し、前記蛇行形液体路3が屈曲したときであっても、前記立体構造体5の存在によって液体の流れる空間を確保するように構成し、
前記蛇行形液体路3を上側接合シート4aと下側接合シート4bの両縁をシールした縁部接合部7で囲むことによって製造し、
前記縁部接合部7を構成する場合に、前記上側接合シート4aと前記下側接合シート4bを構成する素材として合成樹脂を使用したことを特徴とする(請求項15)。
【0012】
本発明に係る身体冷却用の液体路部材1は、少なくとも2枚の接合シート4を接合することによって形成され、2次元的広がりを有する略平面形帯形蛇行パターンとして形成された液体が循環する蛇行形液体路3と、
少なくとも2枚の布部で構成され、曲率が大きな頭部等の身体面を覆う3次元的布部に形成される布部係止部28とから構成され、
前記布部係止部28は前記蛇行形液体路3の蛇行形状と略相似形の係止ガイド部34と、前記蛇行形液体路3を前記布部係止部28から出し入れできる開口部33とを有し、
さらに前記蛇行形液体路3を、前記3次元的布部に形成された前記布部係止部28に対応した略平面展開図となるように形成し、
前記蛇行形液体路3は、小さい凹凸15が形成された凹凸シート2を少なくとも1枚含んで複数枚のシートを重ね合わせ、その一部を平面的に離隔的に融着させて形成した融着部14と、前記融着部14の間において融着されずに形成された流路部16とを有し、
前記縁部接合部7を構成する場合に、前記上側接合シート4aと前記下側接合シート4bを構成する素材として合成樹脂を使用したことを特徴とする(請求項16)。
少なくとも頭部布部49は、前記蛇行形液体路3が収容される前記布部係止部28を有し、ヘルメット内面と作業者の頭部間の隙間に収容可能なように薄く頭部布部49を形成したことを特徴とする(請求項17)。
本構成であれば、面ファスナーの雄・雌の2つの係合部材を布部に設けない構成で、布部係止部に蛇行形液体路が係止されるので、従来、当業者が想起する構成に比べて上下方向の厚さを薄くでき、ヘルメット用に最適な冷却路部材を提供できる。
なお、上記請求項14及び請求項16に係る構成を採用すれば、頭部布部に形成される蛇行形液体路をより薄くできるのでさらに好適と言える。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明であれば、面ファスナーの取付工程が増えるとともに追従性が悪くなり、着心地が悪くなるという課題を解決できた。また、冷却服等の布部に略平面形帯形液体路を製造時に簡単に固定することができ、製造コストを抑えることができた。また、面ファスナーを設けることで冷却性が低下する課題を解決できた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、
図1〜
図9に示す本発明に係る第1実施形態について、図面に基づき説明する。
まず、本実施形態の前提となる蛇行形液体路3について説明する。
図1に示すように、蛇行形液体路3は複数の接合シート4・4を接合することで液体路3が構成されている。
この蛇行形液体路3は、複数の接合シート4・4の外縁部及び内縁部(図面上で左側及び右側、又は上側及び下側)を接合して縁部接合部7・7を作る。また、中心領域である液体路3となる領域を接合せずに帯形の液体通路を残すことによって
図1及び
図3に示すような所定形状パターンの蛇行形液体路3が形成される。
但し、
図3は、蛇行形液体路3は縁部接合部7・7の幅を記載せず簡素化して描いている。
【0016】
本実施形態における蛇行とは、曲面部の液体路3が例えば、上下方向に伸びている場合は、左右方向に振れて広がっているような略平面形状の帯形の曲面部がある意味である。
図1に示す構成では、入口部43と出口部44の横幅D1と蛇行部36の最大幅D2とが同じ横幅を有している構成(D1=D2)が示してある。曲率が大きな身体の部分であれば、
図1に示す構成(D1=D2)では、その曲率が大きな身体の部分に横幅のある帯形液体路3を良好に接触することは容易でないと言える。この点については、後で
図3〜
図6を参照しつつ、説明する。
なお、本実施形態の基本的概念は、3次元の最終的な製品である身体覆い部材に2次元の帯形蛇行液体路3を沿わせることができるように構成した点である。具体的には、平面形状である蛇行液体路3を3次元凹凸形状に対応した2次元展開図として形成されている点である。
【0017】
また、蛇行形液体路3の縁部接合部7・7を構成する場合に、上側接合シート4と下側接合シート4を構成する素材として合成樹脂を使用し、熱融着によって蛇行形液体路3を形成してある。
さらに、蛇行形液体路3が折れ曲がって液体が流れないことの不都合を解決するために、
図1に示すように、立体構造体5を蛇行形液体路3内に収容している。立体構造体5は身体からみて上下方向Yに幅を有して柔軟性を有するメッシュのような物体である。立体構造体5には液体が流れる隙間を有する物体である。
このような立体構造体5を有する構成であれば、蛇行形液体路3が屈曲したときであっても、立体構造体5の存在によって冷却液体の流れる空間を確保することができる。
図1に示す構成ではメッシュ6を蛇行形液体路3の延びる方向の中心線に沿って1本だけ配置するように構成してある。立体構造体5の本数を1本に限定することで、液体路3の液体の流通性、循環性を向上できることが多いことを本発明者は確認している。
【0018】
また、
図1に示すように、接合口具6としてのスパウト6は、幅広の熱融着シート4を融着するための接合面部8と、接合面部8を貫くように管部11が設けられた管取付部9とを有している。接合面部8の形状は四角形形、半円形状など各種の形状が採用できるが、いずれの構成も熱融着シート4を液体が漏れないようにしっかり密閉する水平方向Xに広がりを持った領域面を備えている。
図1に示す構成では、接合口具6としてのスパウト6は、液体路3の内側に臨む位置に設けられた管口10が設けてあり、その管口10によって蛇行形液体路3と連通されている。
【0019】
接合面部8から突出した管部11の周囲には、管部11から外周側に拡径するように突出する先細形状部12が形成してある。この先細形状部12は、スパウト6に連結する接続管、例えば液体供給管、液体戻り管、連結管等の各種接続管をワンタッチで取付け、抜けることを抑制する構造にするための構成である。先細形状部12としては、略円錐形(略タケノコ形状とも言える)、略球形、略楕円球形などの各種の構成が採用できる。
このような先細形状部12を有する管取付部9を採用することで、雄ねじと雌ねじの螺合結合のように、通常の液体容器に採用されるスパウトの構成に比べて着脱の処理を簡便化することができる。この構成は液体路部材を構成する一部の蛇行形液体路3が破損した場合にその部分だけを交換する場合に有利となる。
スパウト6は、接合シート4と接合しやすい同じ種類系統の合成樹脂、例えばPE、PVC等で構成してある。好ましくは同一の合成樹脂材で構成する。同一の合成樹脂材であれば、熱融着に必要な条件、例えば、溶ける温度等が同じであり、接合が良好になるからである。
【0020】
この第1実施形態に係る液体路部材1では、
図2(A)(B)に示すように取付布部30と基部布部31を有している。但し、取付布部30と基部布部31の区別は技術的・構成的な意味において厳密に区別することは難しい。一般的には、基部布部31は衣服などの形状を構成する基本となる布地に対応し、取付布部30は前記基本となる布地を覆う布地で構成される場合が多い。
例えば、一例を挙れば、基部布部31は頭部や肩部などの曲率の大きな箇所を構成するための身体型用の布部である。また、その基部布部31に被せ布としての取付布部30を重ねて、
図1に示す接合線としての想定ガイド部29に沿って、
図9に示すようなそれぞれの曲線となる各係止ガイド部34a〜係止ガイド部34gを形成することで布部係止部28を形成する。
なお、
図2及び
図7〜
図9にS字形の蛇行形液体路3が形成された場合を一例と示している。その理由は、S字形であれば、左右に振れる蛇行部36を有する点において、蛇行の最も典型的な基本的単位と言えるので、その点においてS字形の蛇行形液体路3を示している。
なお、S字形の横幅や長さを変えて、複数形状のS字形を適宜、連結することで、
図3及び
図14に示すような蛇行形液体路3を形成することができる。
また、
図2では平面として示しているが、基部布部31は型紙に沿って切り出し、通常は縫い合わせることによって、身体の所定部分、即ち
図3〜
図5に示すような曲率の大きな面を覆う例えば、頭部フード40の形状に構成することになる。
【0021】
図2では、想定ガイド部29を構成する固定曲線32は布を縫い合わせた縫合曲線32で構成した例が示してある。しかし、固定曲線32は接着剤や熱融着などの方法で形成することを除外するものではない。
また、布部係止部28は、
図9に示すように、蛇行形液体路3の形状よりも若干大きな相似形の形状の略袋形体35としてある。ここで、「略」袋形体35と言う理由は、袋に開口部33が形成されている理由による。具体的に言うと、略楕円形の蛇行部36の内側に第1開口部33a、第2開口部33bが形成されており、略楕円形の蛇行部36の外側に第1係止ガイド部34a,第2係止ガイド部34bが形成してある。
【0022】
さらに、第1開口部33a、第2開口部33bが形成されている取付布部30(上面布部)にはスリット形の布部切開部47が形成されているので、観音開きのように取付布部30が開くので、蛇行形液体路3を出し入れしやすくなっている。
また、
図9に示すように、本実施形態の係止ガイド部34をより詳細に説明すると、係止ガイド部34は、前記した第1係止ガイド部34a,第2係止ガイド部34b以外に、第3係止ガイド部34c,第4係止ガイド部34d,第5係止ガイド部34e,第6係止ガイド部34f,第7係止ガイド部34gを有している。
第3係止ガイド部34cは、蛇行部36の内側である第1開口部33a側であって、液体の流れにおいて一方側(
図9において下側)の接続口具6aに近くに設けられた係止ガイド部34である。
第4係止ガイド部34dは、蛇行部36の外側である第1係止ガイド部34a側であって、液体の流れにおいて一方側(
図9において下側)の接続口具6aを受け止める第4係止ガイド部34eに連設する係止ガイド部34である。
【0023】
第5係止ガイド部34eは、第3係止ガイド部34cと第4係止ガイド部34dを繋ぐように設けられた端部ガイド部である。第5係止ガイド部34eには管取付部9が突出できる端部開口38aを設けている。
第6係止ガイド部34fは、内側の第2開口部33b側であって、液体の流れにおいて他方側(
図9において上側)の接続口具6bに近くに設けられた係止ガイド部34である。
第7係止ガイド部34gは、第2係止ガイド部34bと第6係止ガイド部34fを繋ぐように設けられた端部ガイド部である。第1係止ガイド部34eには管取付部9が突出できる端部開口38bを設けている。
【0024】
ここで、第5係止ガイド部34eに設けられた端部開口38aから突出する管取付部9にシリコンチューブ等の接続管48aを取り付ける。これとともに、第7係止ガイド部34gに設けられた端部開口38bから突出する管部付部9にシリコンチューブ等の接続管48bを取り付けることによって、布部係止部28内の蛇行形液体路3の位置ズレを強力に抑制することができる。
その理由は、入口と出口において、管取付部9・9と接続管48a・48bが接続されることによって、蛇行形液体路3の幅広の接合面部8の左右角部がそれぞれ入口と出口において、第5係止ガイド部34e及び第7係止ガイド部34gにおいて受け止められることになるからである。つまり、上下左右方向に激しい身体の動きが行なわれた場合でも入口と出口の位置が規定されれば、蛇行部36を有する液体路3が布部係止部28内の所定位置を外れて移動することはありえないということを利用しているのである。
【0025】
図3は本実施形態に係る蛇行形液体路3を頭部フード40に適用した場合を示している。
蛇行形液体路3の一部の蛇行形状は、
図3に示す入口部43と出口部44の横幅D1よりも蛇行部36の最大幅D2が大きく形成された略先広形蛇行部46を有していることによって略平面形帯形が曲率の大きな身体部分に接触面積が大きくなるように構成してある。
図3に示すように、この工夫は、例示的に説明すると、例えば、顔の頬から頭部の頂点に向かう曲率の大きな部分に略平面形帯形液体路を追従させる場合に単位面積当たりにおいて、蛇行させれば直線形の液体路に比べて液体が流れる面積を増やすことができることは容易に理解できる。
但し、同じ蛇行形態であっても「略玉子形蛇行部、円形に近い略楕円形蛇行部等の形状」を採用し、「入口部43と出口部44の横幅D1よりも蛇行部の最大幅D2が大きく形成された略先広形蛇行部46を有している」構成を採用することで、さらに、曲率の大きな部分に略平面形帯形液体路を良好に追従させ、体表面の温度を冷却できることが多いのである。
【0026】
なお、略先広形蛇行部46の蛇行部の曲率は、縁部接合部7・7の外縁で計るのではなく、中央部に形成された実質的に液体の流れる流路の曲線で計測すべきである。
他に、
図3の蛇行形液体路3の配置形態の特徴を記述すると、蛇行形液体路3が蛇行しつつ広がる方向(前記した配置する方向27)に対して略先広形蛇行部46が左右両側に形成されている。
【0027】
本実施形態における作用について簡単に説明する。
[面ファスナーを省略することができる利点]
取付布部30と基部布部31の間に形成された係止ガイド部34内に蛇行形液体路3が略収容されることになるので、マジックテープ(登録商標)のような面ファスナーを設ける構成に比べて
図1に示すY方向の液体路3の厚さを薄くできる。また、面ファスナーを設けること自体が装着性を劣化させることになるので、面ファスナーを省略することで着心地を良くすることができる。
また、伸縮性、通気性のある機能性のある布部を用いても面ファスナーを設けた部分はその機能性を発揮できないので、着心地が悪くなるが、本構成ではそのような部分がなくなる点においても利点がある。
また、本実施形態の構成であれば、2枚の布部30・31を縫付ける縫合曲線32において、縫合距離が増えるだけなので、個別に面ファスナーを設ける構成に比べて製造コストを大幅に低減することができる。また、布部係止部28は、蛇行形液体路3の略全面を覆う布部を備えているので、液体路3が流れる液体の温度が外部の温度によって高くなることを抑制できる。
【0028】
[布部係止部28内に蛇行形液体路3を出し入れする場合の処理が簡単に行なえる利点]
図7に示すようにまず、最初に接続口具6bを第1開口部33aに入れて、第2開口部33bから出した状態にする。この状態から
図8に示すように、接続口具6aを端部開口38aから出した状態にすることによって蛇行形液体路3の下側半部を布部係止部28内に収容することができる。そして、
図8の状態から接続口具6bを端部開口38bから出して、
図9に示すように布部係止部28内に蛇行形液体路3を収納した状態にする。
このように蛇行した液体路であっても布部係止部28内に収容することができ、第1係止ガイド部34a,第2係止ガイド部34bによって蛇行形液体路3の外側域蛇行部36a・36bをそれぞれ受け止めて、その収容位置を維持することができる。
また、前記したように、接続口具6aの管取付部9を端部開口38aから出して接続管48aに接続し、接続口具6bの管取付部9を端部開口38bから出して接続管48bに接続する構成を採用しているので安定性は高まる。
なお、先に接続口具6aの管取付部9を端部開口38aから出してから、後から接続口具6bを開口部33bに出した状態にしてから、接続口具6bの管取付部9を端部開口38bから出す手順も採用できる。
【0029】
収容状態から蛇行形液体路3を布部係止部28から外す工程の場合は、それぞれ前記した収容する動作を逆に行なえば、簡単にできる。
また、蛇行形液体路3のS字形を複数個設けた長い蛇行形液体路3でも同様に第n開口部33と第n係止ガイド部34を設ければ、同じように出し入れを簡単に行えることが理解できる。この場合、S字形の形状・大きさの異なるものを連結して、
図3に示すような複雑な蛇行形液体路3を布部係止部28内に収容することができる。
このような構成であれば、頭部や肩部などの曲率が大きい曲面に帯形の平面液体路の接触面積を増やして、取り付けることができる。
【0030】
[2次元的な平面的な蛇行形液体路3を3次元的凹凸曲面に対応させる構成]
図5(A)(C)に示すように頭部の頭面22の立体形状に沿うように基部布部31が形成されており、その基部布部31上に略袋形の布部係止部28が形成されている。この布部係止部28内に収容される蛇行形液体路3は
図5(B)に示すように頭面22の3次元立体形状に沿うような略2次元展開図になっているので、
図5(C)に示すように、布部係止部28内の蛇行形液体路3の状態を頭面22に沿うように構成することができる。
これに対して、
図6(B)に示すように頭部の頭面22の立体形状に対応しない、単純なU字形のような蛇行形液体路3を採用すると、
図6(C)に示すように、布部係止部28内の蛇行形液体路3は、捻じれたり、頭面22から浮いたりする状態(例えば、
図6(C)の状態)になって、良好な冷却性を得ることができなくなる。
本実施形態であれば、製造時の蛇行型液体路3を基部布部31への取付けコスト、故障時の蛇行型液体路3取替コストの削減を行なうことができるとともに、冷却性能を高く維持できる。
また、前記したように、従来の面ファスナーで基部布部に蛇行形液体路3を取り付ける構成に比べて、雄型・雌型の2つの取付け部材が不要になり、追従性が良く、薄く形成することができる。したがって、頭部にかぶっても、ヘルメット内に違和感なく、強力に冷却することができる。特に、暑い時期にヘルメットを被ることが必要な作業場所やオートバイの運転者に好適な冷却部材を提供できる。
【0031】
[第2実施形態]
図10〜
図12に示す本発明に係る第2実施形態について、図面に基づき説明する。
図10に示すように、例えば、エンボス加工等で形成した、小さい凹凸15が形成された凹凸シート2を少なくとも1枚含んで複数枚のシートを重ね合わせ、その一部を平面的に離隔的に融着させて形成した融着部14と、前記融着部14の間において融着されずに形成された流路部16とを有し、液体路3を融着部14と流路部16とを平面的に広がりを持って配置し、さらに縁部接合部7・7を設けることによっても、前記した蛇行形液体路3を構成することもできる。
合成樹脂シートなどのシート自体を形成するときに予め凹凸を形成してよい。また、合成樹脂シートに対して各種の後処理で凹凸を形成してもよい
【0032】
前記凹凸シート2を少なくとも2枚重ね合わせて液体路3を構成することで帯形に延びる液体路部材1を構成することができる。この構成であれば、上側、下側のシートに凹凸が形成されているので、大きく折れ曲がった状態でも流路部16においても十分な空間を確保しやすくなる。
次に、前記したように、薄く構成でき、曲率の大きな部分にも冷却用の液体を流すことができる融着部14と流路部16を備えた液体路3の製造方法の一例について説明する。
身体冷却用の液体路部材1は、小さい凹凸が形成された凹凸シート2を少なくとも1枚含んで複数枚のシートを重ね合わせた平面形の導液部材である。上側シートと下側シートの両方が凹凸シート2・2であることが好ましいが、一方が平坦シート、他方が凹凸シートの構成も実用上、十分に採用できる。
【0033】
また、蛇行形液体路3は、平面的に広がるシートにおいて、その一部を平面的に離隔的に融着させて形成した融着部14と、融着部14の間において融着されずに凹凸15を残した状態で形成された流路部16とを有している。
図10に示す流路部16が冷却用液体の流れる通路となる。液体路部材1の全体形状は、
図10に示す蛇行形は一例であり、
図3に示すような頭部形状に対応させることもできる。
なお、
図10においては簡便のために液体路3の一部を切り出した状態で融着部14、流路部16、凹凸15の構成を説明しているが、実際は液体路3の全面に亘って融着部14、流路部16、凹凸15が形成されている。
液体路部材1を薄く形成して、冷却水量を減らして迅速に冷やすことや着心地を良くすることに重点を置く場合は、1mm〜3mm程度に液体路部材1の厚さを薄く製造することも可能になる。その時の凹凸の高さ設定は、例えば一例を挙げれば、0.05mm〜1mmにすることもできる。
【0034】
以下、小さい凹凸15が形成された凹凸シート2を少なくとも1枚含んで複数枚のシートを重ね合わせて本実施形態に係る液体路3を作る工程の一例について説明する。
まず、
図11(A)(B)に示すように2枚の例えば合成樹脂で構成された平坦シート17・17を用意して、
図11(C)(D)に示すようにエンボス加工などの方法によって凹凸シート2・2を得る。凹凸15の高さ、横幅は冷却服などに採用した場合、良好に液体が良好に流れる大きさであれば特に制限はない。一例を挙げれば、前記凹凸の高さHを0.05mm〜10mmの範囲に構成し、さらに好ましくは高さHを0.5mm〜5mmの範囲に構成することもできる。
また、横幅Wを0.05mm〜10mmの範囲に構成し、さらに好ましくは横幅Wを0.5mm〜5mmの範囲に構成することもできる。
次いで、
図12(A)に示すように平面的に所定の融着パターンを有する融着部押圧型18で凹凸シート2・2を挟み込んで融着させる。
そして、
図12(B)(C)に示すように平面的に離隔して配置された融着部14とその間に凹凸部15を有する流路部16を形成する。
【0035】
図10〜
図12に示す構成では融着部14の融着パターンは、縦方向及び横方向一定間隔で円形の融着部を配置した構成となっている。融着部14間の配置間隔は液体が流れて、良好に身体を冷却できる配置間隔の範囲であれば特に限定されない。
一般的には、融着部14の構成に関する考え方は、
(1)ポンプ等によって圧送された液体の流量を確保できて、十分な冷却ができるような大きさの面積がある流路部16に設定する、
(2)液体を所定圧力で流した際、液体の圧力又は身体の動きによって融着部14が剥離しない程度の大きさに設定する、
(3)縦方向、横方向、斜め方向などのできるだけ全方位方向に液体が流れるような融着部14の形状を設定する。
の3点を考慮しつつ、それらのバランスを取って設定される。概して言えば、円形、楕円、多角形を平面上に離隔的に配置した構成が上記2つの要望を満たすことが多いと予想される。
【0036】
本実施形態の構成であれば、平面的に離隔的に融着箇所を設けることによって、液体に圧力をかけた状態でも液体路3の膨らみを抑制でき、身体に対する当接面積を増やすことができる。また、凹凸シート2で形成しているので、必要であれば薄く形成できるので着心地が良くなり、かつ冷却に要する水量を減らすことができる。単位面積に対する冷却水量を減らすことができるので即座に身体を冷やすことができる。また、平面的に離隔的に融着させて形成した融着部14を有しているので、横、縦、斜め方向においても液体の流路を確保できる利点がある。しかも、身体の動きに応じて液体路3が曲がっても小さい凹凸15によって流路部3が閉鎖されることが抑制される。また、小さい凹凸15が形成された凹凸シート2を作ること、及び融着部14を形成することは簡単に行えるので、製造コストを大幅に低減することができる。
特に、蛇行形液体路3の厚さをできるだけ薄くしたい液体路部材の用途であれば、この第2実施形態に係る蛇行形液体路3を採用する利点は大きいと言える。
【0037】
[第3実施形態]
第1実施形態では開口部33を、縫合曲線32を設けないことで構成したが、
図13に示すように、この第3実施形態では、開口部33を帯形の略袋形体35に布部切開部47として形成し、その布部切開部47から蛇行形液体路3を出し入れする構成に形成してある。布部切開部47は、身体に接する基部布部31に被せる取付布部30に矩形、円形等の開口としての布部切開部47が設けられている。
図13に示す構成では、布部係止部28の取付布部30に複数の布部切開部47を設けることで、複数個の離隔した布部筒部37が形成された例が示されている。
【0038】
[第4実施形態]
図4及び
図14に示すように、この第4実施形態は、頭部フード40において開閉部材42と管部50の配置構成を工夫した実施形態である。
具体的な工夫点としては、頭部フード40の正面側の中央線位置(図示せず)に首部布部41を左右に2分割する線ファスナー42を設けるとともに、線ファスナー42の部分を首部布部41よりも下方に延ばした延長部23・23を設けた点がある。
前記首部布部41よりも下方に延ばした延長部23・23を設けることで、腰部に支持されることが多い冷却用液体容器に向けて管路50・50を外部物に引っかかったりなどすることなく、確実に冷却用液体容器に接続することができる利点がある。
また、延長部23・23において、線ファスナー42の左右にある延長部23・23に供給液の管路50と戻り液の管部50とを設けている点がある。
図14(A)に示すように、首部布部41の管部50を首部布部41の略下端域に設けてある。
また、頭部に対して左右対称形に蛇行形液体路3・3を配置した構成としてあり、頭部布部49の後頭部側からそれぞれの左右の蛇行形液体路3・3を略下端域の左右の管部50・50に接続した構成にしてある。
さらに、首部布部41の略下端域には布部で構成された管形収容布部21を設け、その管形収容布部21内に管部50・50を収容し、その管部50・50を前面に設けられた延長部23・23に引き出した点がある。
また、
図4に示すように、管路50は頭部の背面側から作業者の前面側に向けて略S字形又は略U字形に湾曲して、管路収容布部21内に収容されているので、延長部23・23から出た管路50・50が引っ張られることがあっても、管路収容布部21によってその引っ張り力を受け止めることができる。したがって、
図4・
図14に示す接続口具6に前記引っ張り力が係って接続口部6・6から管路50・50が抜けることを強力に抑制することができる。
【0039】
本発明は上記実施形態以外にも本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形を行うことが可能である。
(1)前記実施形態では液体として水が好ましい。但し、水に熱交換を促進する物質(液体)を混合した液体や、熱交換に適した水以外の液体を採用して本発明を構成することもできる。これらの構成であっても前記した熱交換を促進する液体は人体に有害でない構成を採用することが好ましい。
(2)本発明において、液体を液体路内に循環するためにポンプを設けることや低い温度の液体を保持する液体容器を備えていることは公知技術であるので、本発明の目的において適宜、ポンプや液体容器などの最適な構成を採用すればよい。
(3)本発明における身体には犬、猫、競走馬などの動物も含む意味で用いている。
(4)本発明における開口部33は、簡単に布部係止部28から蛇行形液体路3を出し入れできる構成であれば、その形状や形態・構成は一切限定されない。
例えば、前記各実施形態では、開口部33を第1開口部33a,第2開口部33bや布部切開部47で構成した場合を例示したが、その他の構成の開口部33を布部係止部28に設けることが可能である。