【解決手段】トレッド部16にタイヤ周方向Cに延びる主溝18と、主溝により区画される陸部24,26とを備えた空気入りタイヤ10において、主溝18の溝底に、複数の突起50を溝長さ方向に間隔をおいて配置し、突起50の側面部52を、当該突起の高さH1以下の高さH2を持ちかつ当該突起の幅J1よりも狭い幅J2を持つ連結部54を介して、対向する陸部24,26の側面部28,36に連結する。
タイヤ周方向に延びる複数の主溝と前記主溝に交差する方向に延びる複数の横溝とにより形成されるブロックを備え、前記突起の側面部と当該側面部に対向するブロックの側面部とが前記連結部を介して連結された、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤのトレッド部には、一般にタイヤ周方向に延びる主溝が設けられている。従来、溝内への石の侵入を防止するために、主溝の溝底に石噛み防止用の突起を設けることがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、石噛み抑制効果を高めるために、ブロックを環状に取り囲むように石噛み防止用の突起体を設け、該突起体を、主突起部とこれを継ぐ幅狭の副突起部とで構成することが開示されている。特許文献2には、石噛み防止を図りつつ騒音を低減するために、主溝の溝底に、凹凸を繰り返すパターンで高さが異なる突起を配設することが開示されている。しかしながら、突起を主溝の溝壁面に連結させることは開示されていない。
【0004】
一方、特許文献3には、主溝の溝底に突起を設けた上で、気柱管共鳴を低減するための突出片を、主溝の溝壁面から突出させて、溝底の突起にかかるように形成することが開示されている。突出片は、突起と主溝の溝壁面を連結するように設けられているが、気柱管共鳴音を低減するために、主溝深さの略全体にわたって設けられている。そのため、突出片により主溝の流路が大きく塞がれることになり、主溝の排水性の低下により、湿潤路面での走行性能であるウェット性が損なわれる要因となる。
【0005】
また、特許文献4には、主溝の溝底に設けた突起体の剛性を高くするために、突起体の側壁面とブロックの側壁面とを連結部で連結することが開示されている。この連結部の高さは突起体の高さを越えないように設定されているが、連結部の幅については考慮されていない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
実施形態に係る空気入りタイヤ10は、
図1に示すように、左右一対のビード部12及びサイドウォール部14と、左右のサイドウォール部14の径方向外方端部同士を連結するように両サイドウォール部間に設けられたトレッド部16とを備えて構成されており、トレッドパターン以外については一般的なタイヤ構造を採用することができる。
【0014】
図1〜3に示すように、トレッド部16のトレッドゴム表面には、タイヤ周方向Cに延びる複数の主溝18と、主溝18に交差する複数の横溝20とにより、タイヤ幅方向Wに複数のブロック列22が設けられている。
【0015】
この例では、主溝18は、タイヤ幅方向Wに間隔をおいて3本形成されている。タイヤ赤道CL上に位置するセンター主溝18Aと、その両側に配された一対のショルダー主溝18B,18Bである。3本の主溝18は、いずれも屈曲しながらタイヤ周方向Cに延びるジグザグ状の溝である。なお、主溝18は、一般に5mm以上の溝幅(開口幅)を持つ周方向溝である。
【0016】
トレッド部16には主溝18によって複数の陸部が区画形成され、各陸部は、複数の横溝20がタイヤ周方向Cに間隔をおいて設けられることで、ブロック列22として形成されている。詳細には、センター主溝18Aとショルダー主溝18Bとの間に挟まれた左右一対のセンター陸部は、横溝20Aを設けることにより、複数のセンターブロック24をタイヤ周方向Cに配設してなるセンターブロック列22Aとして形成されている。センターブロック列22Aは、トレッド部16において、タイヤ幅方向Wの中央部に位置するブロック列である。また、ショルダー主溝18Bとタイヤ接地端Eとの間に挟まれた左右一対のショルダー陸部は、横溝20Bを設けることにより、複数のショルダーブロック26をタイヤ周方向Cに配設してなるショルダーブロック列22Bとして形成されている。ショルダーブロック列22Bは、トレッド部16において、タイヤ幅方向両端部に位置するブロック列である。
【0017】
横溝20A,20Bは、主溝18A,18Bに対して交差する方向に延びて上記各陸部を横断する溝である。横溝20A,20Bは、タイヤ幅方向Wに延びる溝であれば、必ずしもタイヤ幅方向Wに平行でなくてもよい。この例では、横溝20A,20Bは、傾斜しつつタイヤ幅方向Wに延びる溝である。
【0018】
センターブロック24は、
図2及び
図3に示すように、左右の主溝18A,18Bに面する左右一対の縦側面部28,28と、前後の横溝20A,20Aに面する前後一対の横側面部30,30とを備える。ここで、縦側面部28とは、ブロック24の側面部のうち主溝18に面する(即ち、主溝に接して主溝の溝壁面の一部を構成する)側面部である。横側面部30とは、ブロック24の側面部のうち横溝20に面する(即ち、横溝に接して横溝の溝壁面の一部を構成する)側面部である。
【0019】
この例では、センターブロック24は、平面視で略六角形状(凸六角形状)をなしている。詳細には、一対の縦側面部28,28が、タイヤ周方向Cに対して傾斜した互いに平行な一対の第1縦側面部32,32と、第1縦側面部32よりも長さが短くかつ第1縦側面部32よりもタイヤ周方向Cに対して大きく傾斜した互いに平行な一対の第2縦側面部34,34とからなる。第2縦側面部34は、第1縦側面部32と鈍角に交わるように形成されている。また、一対の横側面部30,30は、タイヤ幅方向Wに対して傾斜した互いに平行な側面部であり、横側面部30は、一方の縦側面部28の第1縦側面部32と他方の縦側面部28の第2縦側面部34との間に介在して、両者を連結している。
【0020】
ショルダーブロック26は、ショルダー主溝18Bに面する縦側面部36と、タイヤ接地端Eに面する(即ち、接地端壁面の一部を構成する)縦側面部38と、前後の横溝20B,20Bに面する前後一対の横側面部40,40とを備える。
【0021】
この例では、ショルダーブロック26は、平面視で略五角形状(凸五角形状)をなしている。詳細には、縦側面部36が、上記の縦側面部28と同様、タイヤ周方向Cに対して傾斜した第3縦側面部42と、第3縦側面部42よりも長さが短くかつ第3縦側面部42よりもタイヤ周方向Cに対して大きく傾斜した第4縦側面部44とからなる。第4縦側面部44は、第3縦側面部42と鈍角に交わるように形成されている。また、一対の横側面部40,40は、タイヤ幅方向Wに対して傾斜した互いに平行な側面部である。
【0022】
以上のようなセンターブロック24及びショルダーブロック26の形状を持つため、主溝18及び横溝20は次のように設けられている。
図3に示すように、主溝18は、タイヤ周方向Cに対して角度αで一方側に傾斜した第1溝部46と、タイヤ周方向Cに対して角度βで他方側に傾斜した第2溝部48とを、鈍角状の屈曲部を介して、タイヤ周方向Cに交互に繰り返してなるジグザグ形状を有する。第2溝部48は、第1溝部46よりも短く、タイヤ周方向Cに対する傾斜角度βが第1溝部46の傾斜角度αよりも大きく設定されている。そして、隣り合う主溝18A,18B間で、屈曲部の頂部同士が向かい合うように配置され、その頂部同士を横溝20Aで連結することにより、センターブロック列22Aが形成されている。また、ショルダー主溝18Bのタイヤ幅方向外側に向いた各屈曲部の頂部からタイヤ接地端Eまで横溝20Bを設けることで、ショルダーブロック列22Bが形成されている。
【0023】
図2及び
図4に示すように、主溝18の溝底には、石噛み防止用の突起50が、溝長さ方向(即ち、主溝18の長さ方向)に間隔をおいて複数配置されている。この例では、上記3本の主溝18A,18B,18Bの全ての溝底に、突起50が断続状に設けられている。突起50は、主溝18の幅方向中央部において溝底から隆起して設けられており、溝長さ方向に延びる細長い突起であり、両側の陸部であるブロック24,26の側面部(詳細には、縦側面部28,36)と間隙を有して設けられている。
【0024】
各突起50は、その側面部52が連結部54を介して、対向する主溝18の溝壁面、即ち、ブロック24,26の縦側面部28,36に連結されている。連結部54は、各突起50に1つずつ設けられており、突起50の側面部52と当該側面部52に対向するブロック24,26の縦側面部28,36とを連結する。詳細には、センター主溝18Aに設けられた突起50は、その側面部52が連結部54によりセンターブロック24の縦側面部28に連結され、ショルダー主溝18Bに設けられた突起50は、その側面部52が連結部54によりセンターブロック24の縦側面部28又はショルダーブロック26の縦側面部36に連結されている。
【0025】
図5〜7に示すように、連結部54は、突起50とこれに対向するブロック24,26との間の流路を塞ぐように、溝底から隆起した板状部分である。連結部54は、突起50の高さH1以下の高さH2を持ち、かつ、突起50の幅J1よりも狭い幅J2を持つ。ここで、突起50の高さH1及び連結部54の高さH2は、溝底からの突出高さである。また、突起50の幅J1とは、溝長さ方向に延びる突起50において該溝長さ方向に垂直な方向での寸法である。また、連結部54の幅J2は、突起と陸部との対向方向に垂直な方向での連結部54の寸法である。
【0026】
なお、突起50の高さH1は、特に限定されないが、この例では、主溝18の深さH0の10〜40%に設定されている。主溝深さH0の10%以上であることにより、石噛み抑制効果を高めることができる。また、主溝深さH0の40%以下であることにより、突起50の剛性低下を抑えて、突起50の欠けを抑制することができる。本実施形態では、連結部54によって突起50が補強されているので、連結していない場合に比べて突起50を高くできるという利点がある。突起50の高さは、この例では複数の突起50間で一定に設定されている。
【0027】
連結部54の断面形状としては、
図7に示すように、頂部から底部にかけて幅を一定に形成してもよいが、頂部から底部にかけて幅を漸増してもよい。また、底部(即ち、溝底に対する付け根部)の両側部の断面形状を円弧状にすることで、底部のみを末広がり状に形成してもよい。このように連結部54の底部を広げることにより、連結部54の剛性を高めて欠けを抑制することができる。
【0028】
連結部54は、突起50の側面部52において当該突起50の長手方向長さK0の両端5%を除く範囲K1内に設けられている。すなわち、溝長さ方向に細長い突起50の長手方向長さK0に対し、その両端からそれぞれ5%の範囲を除いた範囲K1内に連結部54が設けられている。連結部54は、より好ましくは、長手方向長さK0の両端20%(更に好ましくは両端30%)を除いた中央領域K2内に設けられることである。
【0029】
図4に示すように、連結部54は、主溝18の両側の陸部(ブロック24,26)の縦側面部28,36に対して溝長さ方向において左右交互に設けられている。すなわち、主溝18に沿ってタイヤ周方向Cに隣接する突起50,50間において、各連結部54は、主溝18を挟んで対向する左右両側のブロック24,26の縦側面部28,36のうち、互いに反対側の縦側面部28,36に対して連結されるように設けられている。
【0030】
図2〜4に示すように、主溝18を挟んで対向するブロック24,26の側面部には、トラクション要素を増やしてトラクション性を向上するために、それぞれ凹状のノッチ56,56が設けられている。ノッチ56は、ブロック上面から主溝18の溝底に向かってブロック底部まで切り欠かれた平面視コの字状の凹みである。
【0031】
詳細には、センター主溝18Aを挟んで対向するセンターブロック24,24の第1縦側面部32,32における中央部にそれぞれノッチ56,56が設けられている。ノッチ56は、第1縦側面部32の稜線方向における中央部、即ち稜線中央付近に設けられている。稜線とは、ブロックの側面と上面(トレッド面)とが交わったところに生じる線である。また、ショルダー主溝18Bを挟んで対向するセンターブロック24とショルダーブロック26において、その第1縦側面部32とこれに対向する第3縦側面部42における各中央部、即ち稜線中央付近にも、それぞれノッチ56,56が設けられている。このように、ノッチ56を第1縦側面部32や第3側面部42の中央部に設けたことにより、各ブロック24,26の剛性差を無くして偏摩耗を抑制することができる。
【0032】
図2及び
図4に示すように、主溝18を挟んで対向するノッチ56,56間には、両者の間を繋ぐ補強凸部58が設けられている。補強凸部58は、対向するノッチ56,56の底部同士を連結するように主溝18を横断する突起であり、主溝18の溝底から突出形成されている。上記の突起50は、前後の補強凸部58,58の間に複数並設されている。本実施形態において複数の突起50を溝長さ方向に間隔をおいて配置する場合、このように突起50間に補強凸部などの他の要素が設けられてもよい。なお、補強凸部58の高さは、突起50の高さと同等に設定されている。
【0033】
図2〜4において、符号60は、トラクション性を向上するために各ブロック24,26に設けられた切れ込み、即ちサイプであり、各ブロック24,26にそれぞれ複数設けられている。また、符号62は、前後のセンターブロック24,24間、及び前後のショルダーブロック26,26間を、それぞれ繋ぐブリッジ部であり、各横溝20の溝底に隆起状に設けている。
【0034】
以上よりなる本実施形態によれば、主溝18の溝底に設けた突起50に連結部54を設けて、対向する陸部の縦側面部28,36に繋げたことにより、突起50を補強して、石の衝撃による突起50の欠けを抑制することができる。また、連結部54により摩耗末期でのトラクション性を向上することができる。また、タイヤ加硫成形時のゴム流れを良くし、ゴム流れ不良を抑制して突起50の成型性を改善することができる。
【0035】
また、連結部54の高さH2を突起50の高さH1以下に設定したことにより、主溝18の排水性の低下を抑えてウェット性を改善することができ、また連結部54自体の欠けを抑制することができる。連結部54の高さH2は、突起50の高さH1の70〜100%であることが好ましい。70%以上であることにより、連結部54による突起50の補強効果を高めて、突起50の欠け抑制効果を高めることができる。
【0036】
また、連結部54の幅J2を突起50の幅J1よりも狭く設定したことにより、タイヤ転動時に、ブロック24,26の動きに応じて連結部54が動きやすく、排土性を向上することができる。すなわち、ブロック24,26に連結された連結部54が薄肉状であれば、ブロック24,26の動きに連動して連結部54が振動しやすいので、主溝18内に侵入する土(泥)を排出しやすく、排土性を向上することができる。連結部54の幅J2は、好ましくは突起50の幅J1の20〜60%であり、より好ましくは30〜50%である。20%以上であることにより連結部54による補強効果を高めることができ、また、60%以下であることにより排土性の向上効果を高めることができるとともに、ウェット性の低下を抑制することができ、また、ベタ感によるタイヤ交換の要因になることを抑えることができる。
【0037】
本実施形態によれば、連結部54を突起50の側面部52において当該突起50の長手方向長さK0の両端5%を除く範囲K1内に設けたことにより、排土性の向上効果を高めることができる。すなわち、連結部54は、突起50の側面部52の中央に近い位置で連結されているほど、その両側の土を振動により動かして排出しやすく、排土性を向上することができる。
【0038】
また、連結部54が、主溝18の左右のブロック24,26に対し、溝長さ方向において左右交互に連結するように設けられており、すなわち、隣接する突起50,50間で異なるブロック24,26に連結されている。そのため、タイヤ転動時において、隣接する突起50,50における連結部54の振動のタイミングをずらすことができ、排土性を向上することができる。
【0039】
なお、上記実施形態では、全ての突起50について連結部54により隣接する陸部24,26に連結したが、必ずしも全ての突起50に連結部54を設けなくてもよい。また、全ての主溝18に突起50を設けなくてもよい。また、トレッドパターンは上記実施形態のものに限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、主溝18を3本としたが、主溝の本数は特に限定されず、例えば4本や5本でもよい。好ましくは3本又は4本である。また、主溝18をジグザグ状溝としたが、ストレート状溝でもよく、また、ジグザグ状溝とストレート状溝を組み合わせたトレッドパターンに適用してもよい。更に、ブロック列22を有するものに限定されず、タイヤ周方向に連続したリブ状の陸部を持つパターンにおいて、該リブ状の陸部に対し連結部を介して突起を連結するようにしてもよい。
【0040】
本実施形態に係る空気入りタイヤとしては、乗用車用タイヤ、トラック、バス、ライトトラック(例えば、SUV車やピックアップトラック)などの重荷重用タイヤなど、各種車両用のタイヤが挙げられ、また、サマータイヤ、ウインタータイヤ、オールシーズンタイヤなどの用途も特に限定されない。好ましくは、重荷重用タイヤである。
【0041】
本明細書における上記各寸法は、空気入りタイヤを正規リムに装着して正規内圧を充填した無負荷の正規状態でのものである。正規リムとは、JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、又はETRTO規格における「Measuring Rim」である。正規内圧とは、JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の「最大値」、又はETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」である。
【実施例】
【0042】
上記の効果を確認するために、実施例1〜3および比較例1〜3の重荷重用空気入りタイヤ(タイヤサイズ:11R22.5)を22.5×7.50のリムに装着し、内圧700kPaを充填して、定積載量10tの車輌に装着し、耐クラック性、末期トラクション性、ウェット性、排土性について評価を行った。
【0043】
実施例3のタイヤは、
図1〜7に示す実施形態の特徴を備えたものである。実施例3において、主溝18の溝幅=11.5mm、主溝18の深さH0=16.5mm、突起50の幅J1=3.0mm、突起50の高さH1=4.0mm、連結部54の幅J2=1.0mm、連結部54の高さH2=4.0mmとし、連結部54は突起50の長手方向長さK0の中心に設定した。また、連結部54を、主溝18の左右のブロック24,26に対し溝長さ方向において左右交互に連結するように配置した(表1で「千鳥状」と表示)。実施例1のタイヤは、連結部54を、主溝18の左右のブロック24,26に対し溝長さ方向において同じ側に連結するように配置し(表1で「同一」と表示)、その他は実施例3のタイヤと同じ構成を持つものである。実施例2のタイヤは、連結部54の幅J2=1.5mmとし、その他は実施例1のタイヤと同じ構成を持つものである。比較例1のタイヤは、連結部を設けておらず、その他は実施例3と同じ構成を持つものである。比較例2のタイヤは、連結部54の高さH2=6.0mmとし、その他は実施例1と同じ構成を持つものである。比較例3のタイヤは、連結部の幅J2=3.0mmとし、その他は実施例1と同じ構成を持つものである。
【0044】
各評価方法は以下の通りである。
【0045】
・耐クラック性:20,000km走行後の主溝底突起及び連結部のクラック(欠け)の数を測定し、その逆数について比較例1の値を100として指数化した。指数が大きい程、クラックが少なく、耐クラック性に優れることを示す。
【0046】
・末期トラクション性:トレッドゴムの摩耗率75%時点で水深1.0mmの路面上を停止状態から20m進んだ時点の到達時間を測定し、到達時間の逆数について比較例1の値を100として指数化した。指数が大きい程、到達時間が短く、トラクション性が良いことを示す。
【0047】
・ウェット性(ウェット制動):水深1.0mmの路面を時速40km/hで進入し、急制動した時の制動距離を測定し、制動距離の逆数について比較例1の値を100として指数化した。指数が大きい程、制動距離が短く、ウェット性に優れることを示す。
【0048】
・排土性(マッド性):泥濘地を停止状態から20m進んだ時点の到着時間を測定し、到達時間の逆数について比較例1の値を100として指数化した。指数が大きい程、到着時間が短く、排土性が良いことを示す。
【0049】
【表1】
【0050】
結果は、表1に示す通りであり、連結部を設けていない比較例1に対し、比較例2では、連結部を設けたことにより、耐クラック性及び末期トラクション性は向上したものの、連結部の高さが大きく、ウェット性に劣っていた。比較例3では、耐クラック性及び末期トラクション性は向上したものの、連結部の幅が大きく、ウェット性及び排土性に劣っていた。これに対し、実施例1〜3であると、耐クラック性及び末期トラクション性を向上することができ、しかも、ウェット性を損なうことなく、排土性を向上することができた。また、実施例1では、実施例2に対し、連結部の幅を小さくしたことにより、耐クラック性と末期トラクション性はやや低下したものの、ウェット性と排土性に向上効果がみられた。また、実施例3では、連結部を千鳥状に配置したことにより、実施例1に対して末期トラクション性及び排土性に更なる改善効果が得られた。
【0051】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。