【実施例1】
【0018】
本実施例にかかるトイレ装置は、本発明の最も基本的な構成である。具体的には、便座下にて使用時に局部を噴射水によって洗浄するための局部洗浄管を有する局部洗浄管付トイレ装置において、局部洗浄管は、少なくとも一部が紫外線透過材料で形成され、局部洗浄管の前記紫外線透過材料で形成されている部分に紫外線を照射するための紫外線照射部を有するトイレ装置である。
【0019】
図1は、本実施例におけるトイレ装置の一例を示す図である。
図1におけるトイレ装置は、局部洗浄管(0105)を有し、局部洗浄管に対して紫外線を照射するための紫外線照射部(0106)を有している。また、トイレ装置は、一般的に、
図1のように、便器本体(0101)、タンク(0102)、便座(0103)、便座蓋(0104)とからなり、タンク内の水を出水させるための出水弁(0107)、タンク内の水が便器本体に流れる出水口(0108)、局部洗浄管に水を送り込むための水ポンプ(0109)、水ポンプと局部洗浄管を繋ぐじゃばら管(0110)、紫外線照射部とモーターとポンプとを制御する制御部(0111)、それらに電気を供給する電源(0112)、局部洗浄管を出し入れするためのモーター(0113)、局部洗浄管が収納されている時に蓋として機能する収納蓋(0114)とからなる。
【0020】
<局部洗浄管について>
図2は、本実施例における局部洗浄管の一例を示す概念図である。局部洗浄管(0201)は、局部に対して水を噴射するための噴射口(0202)、水を取り込むための取り込み口(0203)を有している。
【0021】
この局部洗浄管は、便座下にて使用時に局部を噴射水によって洗浄する機能を有する。これにより、トイレ装置を使用する者は、便座に座ったままで局部を洗浄することが可能になる。
【0022】
図3は、局部洗浄管の噴射口の位置を比較する概念図である。
図3(b)の局部洗浄管(0301)は、(a)の局部洗浄管よりも、噴射口(0302)が管内前端壁(0303)に接する部分に存在している。このように噴射口の位置を管内前端壁に接する部分とすることにより、管内での乱流領域(0304)が発生しなくなり、局部洗浄管内部の管内前端壁(0303)付近に雑菌がたまることを防止することができる。そのため、局部洗浄管の噴射口は、管内前端壁に接する部分に存在することが望ましい。
【0023】
局部洗浄管は、雑菌が付着しにくいように工夫されていることが望ましい。そこで、局部洗浄管は、不使用時にはトイレ装置内に収納されており、噴射水を噴射する時にのみトイレ装置内から突出するものであることが望ましい。
【0024】
局部洗浄管の材料は、紫外線透過材料である。紫外線透過材料であれば、例えば、上方から紫外線を照射した場合、上面部だけではなく反対面の下面部にも紫外線が到達する。また、外面だけではなく局部洗浄管を透過して内面ないし内部にまで紫外線が到達する。これにより、上方からの紫外線照射のときに、上面部だけではなく、内面及び内部並びに下面部をも紫外線殺菌することが可能になる。このことは、下方又は側方から紫外線照射する場合であっても同様である。
【0025】
また、局部洗浄管の材料が紫外線透過材料であるということは、透明であるので、利用者が局部洗浄管内部の衛生状態を視覚的に認識することが可能である。また、視覚的に認識するための時間を確保するため、さらに局部洗浄管について、噴射するためではなく衛生状態を確認するために収納スペースから出てくるような機能を備えていても良い。そうすることで、利用者は、衛生状態を確認した上で利用することが可能となり、安心して利用することができる。
【0026】
同様に、局部洗浄管内部の衛生状態をチェックするため、局部洗浄管を撮像するCCDカメラと、CCDカメラの画像分析装置とを備えていても良い。透明チューブに対して菌類が繁殖する場合には、灰色がかったり黒ずんだり又は多種多様な色に汚れることで透明感が損なわれるので、これを検知して利用者に告知するように構成すれば、なお衛生状態を保ちやすくなる。予め画像分析装置には菌類の繁殖によって生じうる画像サンプルを保持しておき、これにCCDカメラの画像が合致した場合には警告する、というものである。また、CCDカメラで撮像した画像を、ディスプレイを介して利用者に確認可能としてもよい。
【0027】
紫外線透過材料の具体例としては、例えば、石英ガラス、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウムなどが挙げられる。
【0028】
このように紫外線透過材料で構成されている部分は、全部であっても一部であってもいい。全部の場合には、局部洗浄管の全体が透過するので、全体の殺菌が容易に実現できる。他方、一部の場合には、特に殺菌の必要性が高い部分について紫外線透過材料であることが望ましい。例えば、使用時に人体臀部下に配置される部分については、全体が紫外線透過材料にて形成されていることが望ましい。紫外線透過材料を一部とした場合には、例えば紫外線透過材料の難点である高価であること、加工しにくいこと、衝撃に弱いことなどの問題点を目的達成のための最小限度に抑えることができる。
【0029】
また、後述の紫外線照射による殺菌を効率的に行うために、局部洗浄管は、その場で時計回り又は反時計回りに回転する構造を有していても良い。
図4は、そのような構造を有する局部洗浄管を示す図である。
図4の左図は、便座(0401)と便器本体(0402)及び便座下には紫外線照射部(0403)が存在し、紫外線照射部は、左右の上方から局部洗浄管(0404)に向けて紫外線を照射していることを示している。
図4の右図は、左図のX方向視の図である。最初は紫外線が局部洗浄管(0404)の下方である「C」の部分には当たってない(STEP1)が、局部洗浄管が反時計回りに回転することにより(STEP2)、「C」の部分も紫外線の照射範囲に入ることとなる(STEP3)。このように局部洗浄管が時計回り又は反時計回りに回転することによって、紫外線照射部からの紫外線を均等に受けることができる。
【0030】
さらに、局部洗浄管は、紫外線照射を長手方向にも均等に受けることができるように、局部洗浄終了後に、紫外線照射をしながら低速で収納されていくというのが望ましい。
【0031】
<紫外線照射部について>
紫外線照射部は、局部洗浄管の紫外線透過材料で形成されている部分に対して紫外線を照射する機能を有する。紫外線は光殺菌の効果を有するので、局部洗浄管に紫外線を照射すれば、局部洗浄管を殺菌することができる。また、紫外線透過材料で形成されている部分に対して紫外線を照射すれば、その紫外線は、局部洗浄管を透過して反対面、並びに局部洗浄管の内面ないし内部にまで達するのであるから、一方からの照射で両面並びに内面及び内部を殺菌することができる。
【0032】
紫外線照射部による照射は、費用が安いものであることが望ましい。紫外線LEDであれば、照射のための費用が安くなる。そのため、紫外線照射部は、紫外線LEDであることが望ましい。
【0033】
紫外線照射部は、局部洗浄管の上方に設置されていてもいいし、局部洗浄管の下方又は側方に設置されていてもいい。雑菌が多く付くのが局部洗浄管の上面部であることを考えると、紫外線照射部は、局部洗浄管の上方に設置されることが望ましい。
【0034】
紫外線照射部の数は、1つであっても良いし、2つ以上の複数であっても良い。2つ以上であれば、同時に複数方向から紫外線を照射することができるので、効率的に殺菌をすることができる。
図5は、紫外線照射部が2つある場合の本実施例におけるトイレ装置を示す図である。
図5のトイレ装置は、基本的には
図1のトイレ装置と異ならないが、紫外線照射部(0506)が、局部洗浄管(0505)の上方及び下方に存在している点が異なっている。
【0035】
また、紫外線照射部は、局部洗浄管を効率よく殺菌するための構造として、局部洗浄管の周りを移動するという構造を有していても良い。
図6は、そのような構造を有する紫外線照射部を示す図である。便器本体(0601)と便座(0606)と便座蓋(0602)が存在するところ、紫外線照射部(0603)は、局部洗浄管(0604)の周りに存在するレール(0605)上を移動することにより、局部洗浄管の周りを移動する。そうすることで、局部洗浄管を効率よく殺菌することができる。
【0036】
<タンクについて>
上記の局部洗浄管と紫外線照射部の工夫に加えて、噴射する水を衛生的に保つため、タンク内の水に対しても紫外線を照射するための工夫が存在していることが望ましい。
図7は、タンク内に紫外線照射部を備えているトイレ装置のタンク部分を示す図である。トイレ装置のタンク内(0701)には、紫外線照射部(0702)が備えられている。これにより、タンク内の水を殺菌することができる。
【0037】
<便座について>
また、トイレの便器自体を雑菌するための構造を備えている方が望ましい。具体的には、便座の裏側に紫外線照射部を備えることにより、トイレの便器内を雑菌することができる。
図8は、そのような特徴を備えたトイレ装置を示す図である。
図8の左図のように、便器本体(0801)に接続部を介して繋がれている便座(0802)の裏側に、内側を向いた紫外線照射部(0803)が配置されている。これにより、
図8の右図のように便座を下した際に紫外線を照射すれば、便器本体の縁の汚れがつきやすい部分に向けて照射することができる。これにより、便器本体の縁の部分の殺菌をすることができる。
【0038】
以上のような発明により、内面部を含めた局部洗浄管などの殺菌ができる工夫を備えたトイレ装置を提供することが可能となる。
【実施例2】
【0039】
本実施例におけるトイレ装置は、実施例1の特徴に加えて、局部洗浄管が、反射層を内面又は/及び外面に有する紫外線導光機能を有し、紫外線照射部が、局部洗浄管の材料断面に対して紫外線を照射するトイレ装置である。
【0040】
図9は、本実施例における局部洗浄管と紫外線照射部の関係を示す概念図である。紫外線照射部(0901)は、局部洗浄管(0902)の材料断面(0903)に対して紫外線を照射するように配置されている。
【0041】
また、さらに紫外線照射部は、局部洗浄管内に備えられていても良い。その場合には、局部洗浄管内を直接的に殺菌することができるので、局部洗浄管内部の衛生状態が良好に保たれることになる。
図10は、このような構造を備える局部洗浄管と紫外線照射部の関係を示す概念図である。紫外線照射部(1001)は、局部洗浄管(1002)の内部に備えられている。紫外線照射部は、気密端子(1003)を通じて電流(1004)の供給を受ける。
【0042】
図11は、本実施例における局部洗浄管の断面図である。
図11の(a)では、局部洗浄管(1102)は、外側に反射層(1101)を有している。
図11の(b)では、局部洗浄管(1102)は、内側に反射層(1101)を有している。
図11の(c)では、局部洗浄管(1102)は、両面に反射層(1101)を有している。ここにいう「反射層」とは、表面を荒らしている艶消しの状態の層である。このような反射層を有することによって、局部洗浄管が紫外線導光機能を有することになり、紫外線が乱反射を起こすので、局部洗浄管の全体を満遍なく殺菌することができる。
【0043】
このような特徴をもつ局部洗浄管と紫外線照射部によって、紫外線が局部洗浄管の全体に行きわたるようになり、かつ、局部洗浄管の内部についても効率的に殺菌することができるようになる。
【実施例5】
【0053】
本実施例におけるトイレ装置は、実施例1から4の特徴に加えて、着座姿勢にて排尿する際の便器壁面尿進行路上にPhセンサーを設けたトイレ装置である。
【0054】
トイレ装置は、尿の排出の際にも用いられる。尿は、血液中の不要物・有害物、及び新陳代謝の老廃物などを体外へ捨てるために腎臓で濾過されて生産される。このため、尿は、身体状態を反映する形で水素イオン指数 (Ph) が変化し、内科の診断では主要な検査対象となっている。そこで、着座姿勢にて排尿する際の便器壁面尿進行路上にPhセンサーを設けられていれば、自然とPhを測定することができ、健康状態の管理などに資することになる。特に、Phセンサーは、健康状態を示す物質であるケトン体や糖度を検出できるようにしておくことが望ましい。
【0055】
図13及び
図14は、便器壁面尿路進行路の一例を示す図である。便器本体(1301、1401)と便座(1302、1402)が存在するところ、便器本体の斜線部分が便器壁面尿路進行路として想定されている部分であり、その部分にPhセンサーが設けられている。
【0056】
図13では、便器本体の水滞留部分(1304)には待機水が存在するところ、便器壁面尿路進行路(1303)は、尿が便器壁面に到達してから水滞留部に向かって流れる経路である。その部分にPhセンサーが設けられている。
【0057】
図14のように、水滞留部分(1404)にもPhセンサーを設ければ、水滞留部分において、待機水を抜いた上で尿を滞留させて、Phの測定が可能になる。そのためには、トイレ装置が、待機水を一時的に抜いて出水しない機能を備えていることが望ましい。
【0058】
また、Phセンサーが不衛生な状態であると精確な検査ができないことから、紫外線照射部は、前記Phセンサーをも照射するものであることが望ましい。そうすれば、Phセンサーについても殺菌することができるので、衛生状態が良好である状態を保つことができ、精確な検査をすることができる。
【0059】
さらに、Phセンサーについては電流が流れているので、人体が尿を介してPhセンサーに触れることにより、静電気などの帯電を除去することができる。