特開2018-194099(P2018-194099A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-194099(P2018-194099A)
(43)【公開日】2018年12月6日
(54)【発明の名称】遊星ローラ式動力伝達装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 13/08 20060101AFI20181109BHJP
   F16H 57/04 20100101ALI20181109BHJP
【FI】
   F16H13/08 D
   F16H57/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-98908(P2017-98908)
(22)【出願日】2017年5月18日
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 肇
【テーマコード(参考)】
3J051
3J063
【Fターム(参考)】
3J051AA01
3J051BA03
3J051BB06
3J051BC01
3J051BD02
3J051BE04
3J051ED08
3J051FA10
3J063AA29
3J063AB35
3J063AC01
3J063BA04
3J063BA11
3J063BB19
3J063CA01
3J063CB36
3J063CB58
3J063XA04
3J063XD03
3J063XD13
3J063XD32
3J063XD62
3J063XD72
3J063XE18
3J063XF14
(57)【要約】
【課題】支持軸からの含油ローラの離脱を防止することができる遊星ローラ式動力伝達装置を提供することを目的とする。
【解決手段】遊星ローラ式動力伝達装置1は、固定輪2と、この固定輪2の径方向内側において当該固定輪2の軸心Oと同心状に配置された太陽軸3と、固定輪2と太陽軸3との間に圧接された状態で設けられた複数の遊星ローラ4と、各遊星ローラ4をそれぞれ回転自在に支持するとともに当該遊星ローラ4の公転に連動して回転するキャリア5と、遊星ローラ4の周面と接触可能な含油ローラ29と、含油ローラ29を回転自在に支持する支持軸28が固定輪2の軸心方向の一方側へ片持ち状に突出して設けられた支持体44とを備え、支持軸28の軸心Xは、支持軸28の基端部側よりも先端部側の方が固定輪2の軸心Oに近づくように傾斜している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定輪と、この固定輪の径方向内側において当該固定輪の軸心と同心状に配置された太陽軸と、前記固定輪と前記太陽軸との間に圧接された状態で設けられた複数の遊星ローラと、各遊星ローラをそれぞれ回転自在に支持するとともに当該遊星ローラの公転に連動して回転するキャリアと、前記遊星ローラの外周面と接触可能な含油ローラと、前記含油ローラを回転自在に支持する支持軸が前記固定輪の軸心方向の一方側へ片持ち状に突出して設けられた支持体と、を備えている遊星ローラ式動力伝達装置であって、
前記支持軸の軸心は、当該支持軸の基端部側よりも先端部側の方が前記固定輪の軸心に近づくように傾斜している、遊星ローラ式動力伝達装置。
【請求項2】
前記支持軸の先端部における外周の一部には、当該支持軸の径方向外方へ向けて突出する爪部が設けられている、請求項1に記載の遊星ローラ式動力伝達装置。
【請求項3】
前記爪部は、前記含油ローラが前記遊星ローラに接触する方向に向けて突出している、請求項2に記載の遊星ローラ式動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊星ローラ式動力伝達装置に関する。さらに詳しくは、含油ローラを用いて装置内の潤滑を行う遊星ローラ式動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遊星歯車式の動力伝達装置に比べて回転速度ムラがなく、高精度にモータの動力を伝達することができるので、従来、プリンターの給紙機構等に遊星ローラ式動力伝達装置が用いられている。かかる遊星ローラ式の動力伝達装置では、金属製の太陽軸、遊星ローラ及び固定輪間の摩擦により動力が順次伝達されるが、金属摩擦による部材の焼き付きを防止するために潤滑剤として一般にグリースが用いられている。
【0003】
しかし、装置を使用しているうちにグリースが当該装置から排除され、グリースが枯渇することがある。グリースが枯渇すると、金属摩擦が始まるので焼き付きが発生して装置の寿命が低下する。
そこで、装置の寿命を延ばすために、合成樹脂粉末とオイルとを混合してローラ状に焼き固めた含油ローラを、グリースとともに用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
遊星ローラ式動力伝達装置は、例えば図7に示すように、円環状の固定輪102と、この固定輪102と同心状に配置された太陽軸103と、キャリア105に回転自在に支持されるとともに固定輪102の内周面上を自転しながら固定輪102の軸心回りに公転する複数の遊星ローラ104とを有している。固定輪102の軸方向の両面には、遊星ローラ104を案内する鍔輪110が取り付けられている。含油ローラ129は、複数の遊星ローラ104の間にそれぞれ配置され、支持プレート144によって太陽軸103の回りを公転可能に支持されている。支持プレート144は、軸方向の一方側へ向けて片持ち状に突出する複数の支持軸128を周方向に間隔をあけて備え、各支持軸128に含油ローラ129が回転自在に取り付けられている。また、支持プレート144の中心には、太陽軸103が所定のクリアランスをもって挿入される中央孔146が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017−15231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
太陽軸103は、支持プレート144の中央孔146に所定のクリアランスをもって挿入されているので、支持プレート144は、このクリアランスの範囲で軸心Oに対して傾くことがある。このとき、支持プレート144の径方向の一側部では、支持軸128の先端側が径方向外側へ向くように支持軸128が傾くため、遊星ローラ104との接触によって含油ローラ129には支持軸128から離脱する方向の力が作用する。また、支持プレート144の回転に伴う遠心力によっても含油ローラ129には支持軸128から離脱する方向の力が作用する。含油ローラ129が支持軸128から離脱する方向に移動すると、含油ローラ129が鍔輪110の内径側に接触したり、鍔輪110と遊星ローラ104との間で咬み込まれたりする可能性があり、キャリア105の回転抵抗の増大に繋がる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、支持軸からの含油ローラの離脱を防止することができる遊星ローラ式動力伝達装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の遊星ローラ式動力伝達装置は、
固定輪と、この固定輪の径方向内側において当該固定輪の軸心と同心状に配置された太陽軸と、前記固定輪と前記太陽軸との間に圧接された状態で設けられた複数の遊星ローラと、各遊星ローラをそれぞれ回転自在に支持するとともに当該遊星ローラの公転に連動して回転するキャリアと、前記遊星ローラの外周面と接触可能な含油ローラと、前記含油ローラを回転自在に支持する支持軸が前記固定輪の軸心方向の一方側へ片持ち状に突出して設けられた支持体と、を備えている遊星ローラ式動力伝達装置であって、前記支持軸の軸心が、当該支持軸の基端部側よりも先端部側の方が前記固定輪の軸心に近づくように傾斜している。
【0009】
本発明の動力伝達装置は、支持体に設けられた支持軸の軸心が、当該支持軸の基端部側よりも先端部側の方が前記固定輪の軸心に近づくように傾斜しているので、遊星ローラとの接触により、さらに、支持体の回転に伴う遠心力により、含油ローラには支持軸の基端部側へ向かう力が付与される。これにより、支持軸からの含油ローラの離脱を防止することができる。
【0010】
(2)前記支持軸の先端部における外周の一部には、当該支持軸の径方向外方へ向けて突出する爪部が設けられていることが好ましい。
このような構成によれば、支持軸の先端部に設けられた爪部が含油ローラに係合することによって、支持軸からの含油ローラの離脱をより確実に防止することができる。また、爪部は、支持軸の外周の一部に設けられているので、支持軸の先端側を含油ローラに挿入して含油ローラを支持軸に装着する作業を容易に行うことができる。
【0011】
(3)前記爪部は、前記含油ローラが前記遊星ローラに接触する方向に向けて突出していることが好ましい。
このような構成によって、含油ローラが遊星ローラに接触することによって爪部が含油ローラに係合しやすくなり、支持軸からの含油ローラの離脱をより確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の遊星ローラ式動力伝達装置によれば、支持軸からの含油ローラの離脱を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る遊星ローラ式動力伝達装置の横断面図である。
図2図1のII−II線断面図である。
図3】含油ローラが設けられる支持プレートの縦断面図である。
図4】支持プレートの斜視図である。
図5】(a)は、遊星ローラと含油ローラとの接触部を拡大して示す正面図、(b)は、(a)のVb−Vb線断面図である。
図6】本発明の他の実施形態における支持プレートの支持軸を示す正面図である。
図7】従来技術に係る遊星ローラ式動力伝達装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る遊星ローラ式動力伝達装置の横断面図、図2は、図1のII−II線断面図である。遊星ローラ式動力伝達装置1は、モータの回転を減速して出力する装置であり、固定輪2と、太陽軸3と、複数の遊星ローラ4と、キャリア5と、支持プレート(支持体)44と、含油ローラ29とを備えている。
【0016】
固定輪2は、モータのハウジング7に形成されたブラケット8にボルト9で固定されている。ブラケット8は、一端側が開放された円筒形状を呈しており、その内部に太陽軸3及び支持プレート44が配置されている。固定輪2の軸方向両側面には、遊星ローラ4をガイドするための鍔輪10がそれぞれ配置されている。鍔輪10の内周面10aは、自転及び公転する遊星ローラ4の軸方向への移動を規制するために、固定輪2の内周面2aよりもわずかに径方向内方へ突出している。鍔輪10は固定輪2とともにブラケット8にボルト9で固定されている。固定輪2は、例えば高炭素クロム軸受鋼等の金属で作製することができ、また、鍔輪10は、例えば工具鋼等の金属で作製することができる。
【0017】
太陽軸3は、固定輪2の軸心Oと同心状に配置されている。したがって、太陽軸3は、固定輪2と同じ軸心Oを有する。太陽軸3は、ハウジング7から突出するモータ軸43に直接圧入されることによって固定されている。具体的に、太陽軸3は、モータ軸43に形成された穴45内に圧入されている。これにより、太陽軸3はモータ軸43の回転に同期して回転する。
【0018】
遊星ローラ4は、固定輪2と太陽軸3との間に圧接された状態で配置されている。本実施形態では、図1に示すように、3つの遊星ローラ4が周方向に等間隔で配置されている。遊星ローラ4は、例えば高炭素クロム軸受鋼等の金属で作製することができる。
【0019】
図2に示すように、キャリア5は、遊星ローラ4の軸方向一方側(図2において左側)であって、モータとは反対側に配置されている。キャリア5は円板形状を呈しており、その外周部に形成された周孔16にはローラ軸17が圧入されている。ローラ軸17は円柱体からなり、その一部が軸方向に突出するように周孔16内に圧入されている。ローラ軸17の先端部、すなわち軸方向に突出している側の端部はすべり軸受18を介して遊星ローラ4の孔4a内に挿入されている。すべり軸受18は、遊星ローラ4の内周面4bと、ローラ軸17の外周面17aとの間に設けられている。キャリア5の中央孔19には、出力軸20の一端部20aが圧入されている。
【0020】
ブラケット8の開口は円板形状のカバー21により閉止されている。カバー21は、ボルト9によって、固定輪2及び鍔輪10とともにブラケット8に固定されている。カバー21の中央孔22には玉軸受23が嵌入されている。玉軸受23の外輪24はカバー21の中央孔22内に圧入されており、ボール25を挟んで外輪24の内方に設けられた内輪26内に出力軸20が圧入されている。
【0021】
図3は、含油ローラ29が設けられる支持プレート44の縦断面図である。図4は、支持プレート44の斜視図である。
支持プレート44は、遊星ローラ4よりもモータ側(図2において右側)に配置されている。支持プレート44は、本体44aと、この本体44aの中央に形成された凸部44bと、本体44aの外周縁から軸方向一方側(図3において左側)に突出する環状の突出壁44cとを備えている。凸部44bは、短円筒形状の側壁44b1と、円板状の天井壁44b2とを備えている。天井壁44b2の中央には、太陽軸3が挿入可能な中央孔46が形成されている。
【0022】
支持プレート44の外周側には、軸方向一方側(図3において左側)に向けて片持ち状に突出する支持軸28が設けられている。この支持軸28に、含油ローラ29が回転自在に支持されている。本実施形態における支持軸28は、支持プレート44の本体44a及び突出壁44cと一体に形成されている。ただし、支持プレート44の本体44a及び突出壁44cとは別体の支持軸28が当該本体44a及び突出壁44cに固定されていてもよい。
【0023】
図3に示すように、突出壁44cは、支持プレート44の遊星ローラ4側の側面に、グリース溜り47を形成することができる。このようなグリース溜り47を設けることにより、装置内にグリースを留めておくことが可能となり、当該グリース溜り47に付着したグリースを遊星ローラ4に戻すことができる。その結果、長期間に亘り遊星ローラ4と固定輪2との転動面を潤滑させることができ、動力伝達装置1の寿命低下を防止することができる。
【0024】
支持プレート44の孔46の周縁と、太陽軸3の外周面との間には、所定の第1クリアランスC1aが設けられている。また、支持プレート44の突出壁44cの外周面44c1と、鍔輪10の内周面10aとの間には、所定の第3クリアランスC3aが設けられている。第3クリアランスC3aは、第1クリアランスC1aより大きくなるように設定されている。このように設定することで、駆動時に、支持プレート44と鍔輪10とが接触して異音等が発生するのを防止することができる。
【0025】
また、第1クリアランスC1aは、固定輪2の内周面2aと含油ローラ29の外周面との間の所定の第2クリアランスC2a以下になるように設定されている。このため、仮に装置の組立時に芯ずれが生じたとしても、含油ローラ29の外周が固定輪2の内周に接触するよりも先に支持プレート44の孔46の周縁が太陽軸3の外周面に接触する。これにより、含油ローラ29が固定輪2に接触し、当該固定輪2と遊星ローラ4との間に含油ローラ29が噛み込まれるのを防止することができる。第1クリアランスC1aの大きさは、本発明において特に限定されるものではないが、通常は、例えば1mm以下である。
【0026】
支持プレート44は、モータ軸43と遊星ローラ4とで軸方向の移動が制限されている。太陽軸3は、モータ軸43に圧入により固定されることによってモータ軸43と一体回転する。このため、太陽軸3の外周にわずかな第1クリアランスC1aを介して設けられた支持プレート44は、当該太陽軸3の外周面と接触しつつ太陽軸3の回転により当該太陽軸3に対して相対回転することが可能である。
【0027】
支持プレート44の支持軸28には、含油ローラ29が回転自在に設けられている。具体的には、含油ローラ29の中心に形成された孔29aに支持軸28が挿入されることによって、含油ローラ29が支持軸28によって回転自在に支持されている。含油ローラ29は、例えば超高分子量ポリエチレン、ナイロン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂と、ナフテン系鉱油やシリコーンオイルのようなトラクション係数の高い潤滑油との混合物を前記各樹脂の融解温度に加熱し、冷却により固形化して得られたものを円筒形状に形成したものである。含油ローラ29の内部の小孔には前記潤滑油が含浸されている。また、含油ローラ29は、合成樹脂粉末と潤滑剤粉末とを加圧成形することで作製することもできる。
【0028】
図1に示すように、軸心Oまわりの遊星ローラ4の公転で遊星ローラ4が含油ローラ29に接触することによって、図2及び図3に示す支持プレート44も軸心Oまわりに回転する。そのため、支持プレート44は、遊星ローラ4とは異なる回転速度の太陽軸3と接触しつつ太陽軸3に対して相対回転する。含油ローラ29は、図1に示すように、その周方向両側に配置された遊星ローラ4のうちの一方に常時接触することによって、当該遊星ローラ4にオイルを確実に供給することができる。そのため、遊星ローラ4と固定輪2の軌道面に安定してオイルを供給し、オイル不足による軌道面の焼き付けを防止することができる。その結果、動力伝達装置1の寿命を延ばすことができる。
【0029】
図3に示すように、支持プレート44の支持軸28は、その軸心Xが固定輪2の軸心Oと平行ではなく、軸心Oに対して僅かに傾斜して配置されている。具体的に、支持軸28の軸心Xは、支持軸28の先端部側(図3において左側)が基端部側(図3において右側)よりも固定輪2の軸心Oに径方向内方へ近づくように傾斜している。つまり、支持軸28の先端面28aにおける中心から軸心Oまでの距離r1と、支持軸28の基端面28bにおける中心から軸心Oまでの距離r2とは、r1<r2の関係がある。例えば、距離r1と距離r2との差は、0.01mm〜0.5mm程度に設定される。また、図4に示すように、支持軸28の先端面28aにおけるピッチ円直径D1は、基端面28bにおけるピッチ円直径D2よりも小さい寸法に設定されている。すなわち、D1<D2に設定されている。
【0030】
以上のように、支持軸28の軸心Xは、支持軸28の先端部側が基端部側よりも固定輪2の軸心Oに径方向内方へ近づくように傾斜しているので、遊星ローラ4との接触によって含油ローラ29には支持軸28の基端部側へ向かう力が作用する。また、支持プレート44の回転に伴う遠心力によっても、含油ローラ29には支持軸28の基端側へ向かう力が作用する。そのため、含油ローラ29は、支持軸28から離脱し難くなる。
【0031】
また、支持軸28から含油ローラ29が離脱し難いため、含油ローラ29が消耗して外径が小さくなったとしても、含油ローラ29が鍔輪10の内径側に接触したり、鍔輪10と遊星ローラ4との間に含油ローラ29が咬み込まれたりすることもなく、含油ローラ29がキャリア5の回転抵抗となるのを防止することができる。
【0032】
図5(a)は、遊星ローラ4と含油ローラ29との接触部を拡大して示す正面図、図5(b)は、(a)のVb−Vb線断面図である。
支持軸28の外径は、含油ローラ29の孔29aの内径よりもやや小さく、支持軸28の外周面28cと含油ローラ29の孔29aの内面との間には微小な隙間が形成されている。また、支持軸28の先端部における外周の一部には、支持軸28の径方向外方へ突出する爪部28dが形成されている。
【0033】
含油ローラ29が遊星ローラ4に接触すると、支持軸28は、含油ローラ29の孔29aの一側部寄り(遊星ローラ4寄り)に偏って配置される。このような支持軸28の配置に鑑み、爪部28dは、含油ローラ29が遊星ローラ4に接触する方向に向けて突出している。そのため、含油ローラ29が支持軸28の先端側へ移動しようとしても、爪部28dが含油ローラ29に係合し、支持軸28からの含油ローラ29の離脱がより確実に防止される。
【0034】
また、爪部28dは、支持軸28の先端部における外周全体ではなく、外周の一部に形成されているので、含油ローラ29の孔29aに支持軸28を挿入して支持軸28に含油ローラ29を装着する作業を容易に行うことができる。
【0035】
図6は、本発明の他の実施形態における支持プレート44の支持軸28を示す正面図である。この実施形態の支持軸28は、先端部の外周に設けられた爪部28dが、隣接する両側の遊星ローラ4に向けて突出するように2箇所に形成されている。そのため、モータの回転方向に応じて、含油ローラ29がいずれの遊星ローラ4に接触した場合でも、爪部28dを含油ローラ29に係合させることができ、支持軸28からの含油ローラ29の離脱を確実に防止することができる。
【0036】
本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、前述した実施形態では、3つの遊星ローラが太陽軸の周りに配置されているが、遊星ローラの数は、本発明において特に限定されるものではなく、他の数、例えば4つの遊星ローラを太陽軸の周りに配置することもでき、この遊星ローラの数に応じて含油ローラの数も変更することができる。
【符号の説明】
【0037】
1:遊星ローラ式動力伝達装置、2:固定輪、3:太陽軸、4:遊星ローラ、5:キャリア、28:支持軸、28d:爪部、29:含油ローラ、O:固定輪の軸心、X:支持軸の軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7