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特開2018-194155軸部材ユニットの組立方法および組立装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-194155(P2018-194155A)
(43)【公開日】2018年12月6日
(54)【発明の名称】軸部材ユニットの組立方法および組立装置
(51)【国際特許分類】
   F16C 43/04 20060101AFI20181109BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20181109BHJP
   B62D 3/12 20060101ALI20181109BHJP
   F16B 4/00 20060101ALI20181109BHJP
   F16C 35/073 20060101ALI20181109BHJP
   B23P 21/00 20060101ALI20181109BHJP
【FI】
   F16C43/04
   B62D5/04
   B62D3/12
   F16B4/00 N
   F16C35/073
   B23P21/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-101002(P2017-101002)
(22)【出願日】2017年5月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】特許業務法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】曲 勝斌
(72)【発明者】
【氏名】畠山 敏
【テーマコード(参考)】
3C030
3D333
3J117
【Fターム(参考)】
3C030BC31
3C030BC34
3C030BD02
3C030CA02
3D333CB02
3D333CB15
3D333CC14
3D333CD16
3D333CD22
3D333CD23
3D333CD25
3D333CE06
3D333CE07
3J117AA02
3J117BA10
3J117CA06
3J117DA01
3J117DB07
3J117DB08
3J117HA02
3J117HA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】軸部材ユニットの組立を効率良く行える軸部材ユニットの組立方法を提供する。
【解決手段】圧入工程では、軸部材1の中心軸線方向X1に駆動される押圧ヘッド70の内周テーパ部74が、リング3を縮径側に塑性変形させることなく、リング3を介して内輪21を位置決めされる位置まで軸部材1に外嵌圧入する。また、かしめ工程では、押圧ヘッド70の内周テーパ部74が、リング3を内輪21側へ押すときに、リング3に塑性変形荷重以上の縮径力を与えて、リング3の一部を縮径側に塑性変形させて軸部材1の外周溝16にかしめ付ける。押圧ヘッド70を駆動する駆動部(昇降駆動部)の駆動力の変更により圧入工程およびかしめ工程に対応する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に位置決め段部と外周溝とを有する軸部材と、一端面と他端面とを有する内輪であって前記軸部材に外嵌圧入され前記一端面が前記位置決め段部に直接または介在部材を介して位置決めされた内輪を有する軸受と、一端部と他端部とを有し前記軸部材に外嵌され前記内輪の前記他端面に前記一端部が突き当てられた状態で一部が前記軸部材の前記外周溝にかしめ固定されたリングと、を含む軸部材ユニットを組み立てる、軸部材ユニットの組立方法であって、
前記軸部材に外嵌される環状の押圧ヘッドを駆動部によって前記軸部材の中心軸線方向に駆動することにより、前記押圧ヘッドの端面に開口する開口部の縁部に面取り状に形成された内周テーパ部によって、前記リングの前記他端部の外周縁部を前記中心軸線方向に押圧し、前記リングの前記一端部が前記内輪の前記他端面に突き当てられた状態で前記内輪の前記一端面が前記軸部材の前記位置決め段部に直接または前記介在部材を介して間接的に位置決めされるまで、前記内輪を前記リングを介して前記軸部材に外嵌圧入する圧入工程と、
前記圧入工程の後で、前記押圧ヘッドを前記駆動部によって前記中心軸線方向に駆動することにより、前記押圧ヘッドの前記内周テーパ部によって、前記リングの前記一部を縮径させて前記軸部材の前記外周溝にかしめ固定するかしめ工程と、を備え、
前記駆動部から前記押圧ヘッドに与えられる前記中心軸線方向の駆動力が、前記テーパ部によって前記リングを縮径させる縮径力に変換され、
前記圧入工程における前記縮径力が、前記リングの塑性変形荷重未満とされ、且つ前記かしめ工程における前記縮径力が、前記リングの塑性変形荷重以上とされるように、前記圧入工程および前記かしめ工程における前記駆動力が異ならせてある、軸部材ユニットの組立方法。
【請求項2】
前記圧入工程では、圧入荷重と圧入変位とが検出され、前記圧入荷重と前記圧入変位との関係に基づいて圧入工程の異常が判定される、請求項1に記載の軸部材ユニットの組立方法。
【請求項3】
前記かしめ工程では、前記中心軸線方向に関してかしめ荷重とかしめ変位とが検出され、前記かしめ荷重と前記かしめ変位との関係に基づいて圧入工程の異常が判定される、請求項1に記載の軸部材ユニットの組立方法。
【請求項4】
外周面に位置決め段部と外周溝とを有する軸部材と、一端面と他端面とを有する内輪であって前記軸部材に外嵌圧入され前記一端面が前記位置決め段部に直接または介在部材を介して位置決めされた内輪を有する軸受と、一端部と他端部とを有し前記軸部材に外嵌され前記内輪の前記他端面に前記一端部が突き当てられた状態で一部が前記軸部材の前記外周溝にかしめ固定されたリングと、を含む軸部材ユニットを組み立てる、軸部材ユニットの組立装置であって、
前記軸部材を支持する支持機構と、
前記支持機構で支持された前記軸部材に外嵌されて前記軸部材の中心軸線方向に移動可能な環状の押圧ヘッドであって、端面と、この端面に開口する開口部の縁部に面取り状に形成された内周テーパ部とを含み、前記リングを介して前記内輪を前記中心軸線方向に押圧する押圧ヘッドと、
前記押圧ヘッドを前記中心軸線方向に駆動する駆動部と、を備え、
前記駆動部から前記押圧ヘッドに与えられる前記中心軸線方向の駆動力は、前記内周テーパ部によって前記リングを縮径させる縮径力に変換され、
前記駆動力は、前記内周テーパ部によって前記リングの前記他端部の外周縁部を前記中心軸線方向に押圧することにより、前記リングの前記一端部が前記内輪の前記他端面に突き当てられた状態で前記内輪の前記一端面が前記位置決め段部に直接または前記介在部材を介して間接的に位置決めされるまで、前記内輪を前記リングを介して前記軸部材に外嵌圧入するときの圧入時駆動力と、前記内周テーパ部によって前記リングを前記位置決め段部に位置決めされた前記内輪側へ前記中心軸線方向に押圧することにより、前記内周テーパ部によって前記リングの前記一部を縮径させて前記軸部材の前記外周溝にかしめ固定するときのかしめ時駆動力と、を含み、
前記圧入時駆動力が変換された圧入時縮径力が、前記リングの塑性変形荷重未満とされ、前記かしめ時駆動力が変換されたかしめ時縮径力が、前記リングの塑性変形荷重以上とされている、軸部材ユニットの組立装置。
【請求項5】
前記軸部材の端面に当接する端面と、前記内輪および前記リングが外嵌されて仮保持される外周面とを含み、前記軸部材と同心的に配置され、前記押圧ヘッドに前記開口部を通して進退可能に内嵌された仮保持部材と、
前記仮保持部材を前記軸部材側へ弾性的に付勢する付勢部材と、を備える、請求項4に記載の軸部材ユニットの組立装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸部材ユニットの組立方法および組立装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ステアリングホイールの回転がステアリングホイールに連結されたコラムシャフトを介してピニオンシャフトに伝えられ、このピニオンシャフトに噛み合うラックシャフトを介して車輪が転舵される。また、コラムシャフトに発生しているトルクをトルクセンサが検出し、このトルクに応じて電動モータが発生するアシストトルクが、ウォームギヤ機構を介してピニオンシャフトに伝達される電動パワーステアリング装置が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
前記ピニオンシャフトは、軸受を介してギヤハウジングに支持される。軸受の内輪は、ピニオンシャフトに外嵌圧入される。前記内輪は、ピニオンシャフトに外嵌固定されたウォームホイールの端面と、ピニオンシャフトにかしめ付けられたリングとの間に挟持される場合がある。また、前記内輪は、ピニオンシャフトの外周面に設けられた環状段部と、ピニオンシャフトにかしめ付けられたリングとの間に挟持される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−255121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通例、圧入装置において圧入治具を用いて、ピニオンシャフトに軸受を圧入する(圧入工程)。その後、リングをピニオンシャフトに外嵌し、かしめ装置においてかしめ治具を用いてリングをピニオンシャフトの外周にかしめ付けて(かしめ工程)、サブアセンブリとしてのピニオンシャフトユニット(軸部材ユニット)を組み立てている。
しかしながら、工程毎に設備や治具を替えるため、軸部材ユニットの組立を効率良く行えないという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、軸部材ユニットの組立を効率良く行える軸部材ユニットの組立方法および組立装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、外周面(1c)に位置決め段部(14)と外周溝(16)とを有する軸部材(1)と、一端面(21a)と他端面(21b)とを有する内輪(21)であって前記軸部材に外嵌圧入され前記一端面が前記位置決め段部に直接または介在部材(200)を介して位置決めされた内輪を有する軸受(2)と、一端部(31a)と他端部(31b)とを有し前記軸部材に外嵌され前記内輪の前記他端面に前記一端部が突き当てられた状態で一部が前記軸部材の前記外周溝にかしめ固定されたリング(3)と、を含む軸部材ユニット(U)を組み立てる、軸部材ユニットの組立方法であって、前記軸部材に外嵌される環状の押圧ヘッド(70)を駆動部(43)によって前記軸部材の中心軸線方向(X1)に駆動することにより、前記押圧ヘッドの端面(71a)に開口する開口部(73a)の縁部に面取り状に形成された内周テーパ部(74)によって、前記リングの前記他端部の外周縁部(31e)を前記中心軸線方向に押圧し、前記リングの前記一端部が前記内輪の前記他端面に突き当てられた状態で前記内輪の前記一端面が前記軸部材の前記位置決め段部に直接または前記介在部材を介して間接的に位置決めされるまで、前記内輪を前記リングを介して前記軸部材に外嵌圧入する圧入工程と、前記圧入工程の後で、前記押圧ヘッドを前記駆動部によって前記中心軸線方向に駆動することにより、前記押圧ヘッドの前記内周テーパ部によって、前記リングの前記一部を縮径させて前記軸部材の前記外周溝にかしめ固定するかしめ工程と、を備え、前記駆動部から前記押圧ヘッドに与えられる前記中心軸線方向の駆動力(F1,F2)が、前記テーパ部によって前記リングを縮径させる縮径力(G1,G2)に変換され、前記圧入工程における前記縮径力(G1)が、前記リングの塑性変形荷重未満とされ、且つ前記かしめ工程における前記縮径力(G2)が、前記リングの塑性変形荷重以上とされるように、前記圧入工程および前記かしめ工程における前記駆動力が異ならせてある、軸部材ユニットの組立方法を提供する。
【0008】
なお、括弧内の英数字は、後述する実施形態における対応構成要素等を表すが、このことは、むろん、本発明がそれらの実施形態に限定されるべきことを意味するものではない。以下、この項において同じ。
請求項2のように、前記圧入工程では、圧入荷重と圧入変位とが検出され、前記圧入荷重と前記圧入変位との関係に基づいて圧入工程の異常が判定されてもよい。
【0009】
請求項3のように、前記かしめ工程では、前記中心軸線方向に関してかしめ荷重とかしめ変位とが検出され、前記かしめ荷重と前記かしめ変位との関係に基づいて圧入工程の異常が判定されてもよい。
請求項4に記載の発明では、外周面に位置決め段部と外周溝とを有する軸部材と、一端面と他端面とを有する内輪であって前記軸部材に外嵌圧入され前記一端面が前記位置決め段部に直接または介在部材を介して位置決めされた内輪を有する軸受と、一端部と他端部とを有し前記軸部材に外嵌され前記内輪の前記他端面に前記一端部が突き当てられた状態で一部が前記軸部材の前記外周溝にかしめ固定されたリングと、を含む軸部材ユニットを組み立てる、軸部材ユニットの組立装置(40)であって、前記軸部材を支持する支持機構(61,52)と、前記支持機構で支持された前記軸部材に外嵌されて前記軸部材の中心軸線方向に移動可能な環状の押圧ヘッド(70)であって、端面(71a)と、この端面に開口する開口部(73a)の縁部に面取り状に形成された内周テーパ部(74)とを含み、前記リングを介して前記内輪を前記中心軸線方向に押圧する押圧ヘッドと、前記押圧ヘッドを前記中心軸線方向に駆動する駆動部(43)と、を備え、前記駆動部から前記押圧ヘッドに与えられる前記中心軸線方向の駆動力は、前記内周テーパ部によって前記リングを縮径させる縮径力に変換され、前記駆動力は、前記内周テーパ部によって前記リングの前記他端部の外周縁部(31e)を前記中心軸線方向に押圧することにより、前記リングの前記一端部が前記内輪の前記他端面に突き当てられた状態で前記内輪の前記一端面が前記位置決め段部に直接または前記介在部材を介して間接的に位置決めされるまで、前記内輪を前記リングを介して前記軸部材に外嵌圧入するときの圧入時駆動力(F1)と、前記内周テーパ部によって前記リングを前記位置決め段部に位置決めされた前記内輪側へ前記中心軸線方向に押圧することにより、前記内周テーパ部によって前記リングの前記一部を縮径させて前記軸部材の前記外周溝にかしめ固定するときのかしめ時駆動力(F2)と、を含み、前記圧入時駆動力が変換された圧入時縮径力(G1)が、前記リングの塑性変形荷重未満とされ、前記かしめ時駆動力が変換されたかしめ時縮径力(G2)が、前記リングの塑性変形荷重以上とされている、軸部材ユニットの組立装置を提供する。
【0010】
請求項5のように、前記軸部材の端面(1e)に当接する端面(81c)と、前記内輪および前記リングが外嵌されて仮保持される外周面(84)とを含み、前記軸部材と同心的に配置され、前記押圧ヘッドに前記開口部を通して進退可能に内嵌された仮保持部材(80)と、前記仮保持部材を前記軸部材側へ弾性的に付勢する付勢部材(53)と、を備えていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明では、圧入工程では、軸部材の中心軸線方向に駆動される押圧ヘッドの内周テーパ部が、リングを塑性変形させることなく、リングを介して内輪を位置決めされる位置まで軸部材に外嵌圧入する。また、かしめ工程では、前記押圧ヘッドの内周テーパ部が、リングを内輪側へ押すときに、リングに塑性変形荷重以上の縮径力を与えて、リングの一部を縮径側に塑性変形させて軸部材の外周溝にかしめ付ける。駆動部の駆動力の変更により各工程に対応することができるので、工程毎に設備や治具を代えたりする等の段取り替え作業が不要であり、効率良く軸部材ユニットの組立が行える。
【0012】
請求項2に記載の発明では、圧入工程において、圧入荷重と圧入変位との関係に基づいて圧入工程の異常を検出することができる。
請求項3の発明では、かしめ工程において、かしめ荷重とかしめ変位との関係に基づいて、かしめ工程の異常を検出することができる。
請求項4に記載の発明では、押圧ヘッドの圧入時駆動力を用いて、リングを塑性変形させることなく、リングを介して内輪を位置決めされる位置まで軸部材に外嵌圧入する。また、押圧ヘッドのかしめ時駆動力を用いて、リングに塑性変形荷重以上の縮径力を与えて、リングの一部を軸部材の外周溝にかしめ付ける。このため、共通の組立装置において共通の押圧ヘッドを用いて、圧入工程とかしめ工程とを実施することができる。したがって、工程毎に設備や治具を代えたりする等の段取り替え作業が不要となり、効率良く軸部材ユニットの組立が行える。
【0013】
請求項5に記載の発明では、外周面に内輪およびリングを仮保持した仮保持部材の端面が軸部材と当接する状態で軸部材側に弾性付勢されている。軸部材に押された仮保持部材が押圧ヘッド内に後退するに伴って、押圧ヘッドの内周テーパ部によって、容易に、リングを介して内輪を軸部材に外嵌圧入し、またリングの一部を軸部材にかしめ付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施形態の組立方法により組み立てられた軸部材ユニットの概略断面図である。
図2図2は、組立前の軸部材ユニットの分解断面図である。
図3図3は、軸部材ユニットの組立装置の概略断面図である。
図4図4(a)は、組立装置の仮保持部材に軸受およびリングが仮保持された状態を示す組立装置の概略断面図である。図4(b)は、仮保持部材の周辺の構造の拡大断面図である。
図5図5は、仮保持部材に仮保持された軸受と同軸的にピニオンシャフトが支持された状態を示す組立装置の概略断面図である。
図6図6は、軸受をピニオンシャフトに圧入する圧入工程の準備段階を示す組立装置の概略断面図である。
図7図7は、圧入工程の開始直前の段階を示す組立装置の概略断面図である
図8図8は、圧入工程の終了段階を示す組立装置の概略断面図である。
図9図9(a)は、軸受の内輪が軸部材の内輪嵌合部に嵌合される直前の状態を示す圧入工程の説明図である。図9(b)は、内輪が軸部材の位置決め段部に当接されて圧入が完了した状態を示す圧入工程の説明図である。図9(c)は、圧入工程において、押圧ヘッドの内周テーパ部による力変換を説明する説明図である。
図10】圧入工程において検出された圧入変位と圧入荷重との関係を示すグラフ図である。
図11図11は、リングのかしめ工程の準備段階を示す組立装置の概略断面図である。
図12図12は、かしめ工程の終了段階を示す組立装置の概略断面図である。
図13図13(a)は、リングのかしめが完了した状態を示すかしめ工程の説明図である。図13(b)は、かしめ工程において、押圧ヘッドの内周テーパ部による力変換を説明する説明図である。
図14図14は、検出されたかしめ変位とかしめ荷重との関係を示すグラフ図である。
図15図15は、ノックアウト工程の終了段階を示す組立装置の概略断面図である。
図16】本発明の別の実施形態の圧入工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本発明の組立方法により組み立てられた軸部材ユニットUの概略断面図である。図2(a)は、軸部材ユニットUの分解断面図であり、軸部材ユニットUの組立前の状態を示している。図2(b)は、軸部材の要部の拡大断面図である。
図1および図2(a)に示すように、軸部材ユニットUは、ピニオンシャフトからなる軸部材1と、軸受2と、リング3とを含む。軸部材1は、中心軸線CCを有しており、中心軸線方向X1の第1端部1aと、第1端部1aの反対側に配置された第2端部1bとを含む。第1端部1aは、軸部材1の残りの部分よりも小径とされた細軸部11を構成している。
【0016】
軸部材1の外周面1cは、細軸部11側から、ピニオン歯部12と、第1端部1a側に向く第1位置決め段部13と、第2端部1b側に向く第2位置決め段部14と、内輪嵌合部15と、外周溝16とを順に有している。
また、第1端部1aの端面である第1端面1dには、軸部材1の中心軸線CCを中心とする円孔からなる第1中心孔17が開口されている。第2端部1bの端面である第2端面1eには、軸部材1の中心軸線CCを中心とする円孔からなる第2中心孔18が開口されている。
【0017】
これら第1中心孔17および第2中心孔18は、組立時において、軸部材1をセンタリングするために用いられるセンタリング孔として機能する。具体的には、センタリングに際して、第1中心孔17の開口縁部17aが、対応する上側センタリングロッド61の先端部61aの先細り状のテーパ部61bと係合される(図7を参照)。
また、図1および図2(a)に示すように、第2中心孔18は、第2端面1eに開口するガイド孔部18aと、ガイド孔部18aの底部に開口するセンタリング孔部18bとを含む。センタリングに際して、センタリング孔部18bの入口の開口縁部18cが、対応する下側センタリングロッド52の先端部52aの先細り状のテーパ部52cと係合される(図8を参照)。
【0018】
図2(b)に示すように、外周溝16の内面は、第1端部1a側の第1傾斜部16aと、第2端部1b側の第2傾斜部16bとを含む。第1傾斜部16aおよび第2傾斜部16bは、中心軸線CCに対して互いに逆向きに傾斜している。中心軸線CCに対する第1傾斜部16aの傾斜角度θ1は、中心軸線CCに対する第2傾斜部16bの傾斜角度θ2よりも小さくされている。
【0019】
図1および図2(a)に示すように、軸受2は、内輪21と、外輪22と、玉23とを含む。内輪21は、一端面21aと、他端面21bとを含む。図1に示すように、内輪21は、一端面21aが、第2位置決め段部14に当接する状態で、内輪嵌合部15に外嵌圧入されている。
内輪嵌合部15は、外嵌された内輪21に対して締め代を有して嵌合する(すなわち、タイトフィットとなる)外径寸法に設定されている。一方、軸部材1の外周溝16よりも第2端部1b側の外周面1cの部分は、内輪21に対して隙間嵌め(ルーズフィット)となる外径寸法に設定されている。
【0020】
図2(a)に示すように、リング3は、筒状部31と、外向フランジ32とを含む。筒状部31は、軸方向の一端部31aと、他端部31bと、外周面31cと、内周面31dとを有している。外向フランジ32は、筒状部の一端部31aから径方向の外向きに延設された環状フランジである。
図2(a)に示すように、かしめ前(塑性変形前)の状態のリング3においては、筒状部31の内周面31dは、円筒面に形成されている。筒状部31の外周面31cは、他端部31b側が小径となるようにテーパ面に形成されている。
【0021】
図1に示すように、軸部材ユニットUの組立状態では、リング3の外向フランジ32が内輪21の他端面21bに当接する状態で、リング3の筒状部31が、その内周面31dが外周溝16の第1傾斜部16aに沿うようにして、外周溝16内にかしめ付けられている。
次いで、図1の軸部材ユニットUの組立に用いられる軸部材ユニットの組立装置40(以下では、単に組立装置40とも言う)を説明する。
【0022】
図3に示すように、組立装置40は、ベース41と、昇降台42と、昇降駆動部43と、下治具50と、上治具60と、ノックアウト機構90と、制御部100とを含む。制御部100は、昇降駆動部43およびノックアウト機構90の動作を主に制御する。
ベース41は、載置面に載置された板部材であり、鉛直な基準軸線C1を有している。図示していないが、上治具60は、ベース41の上面41aから立設されたフレーム(図示せず)によって、下治具50の上方から退避できるように支持されている。
【0023】
上治具60は、支持機構としての上側センタリングロッド61と、上治具本体部62と、付勢部材63と、受け部64とを含む。上側センタリングロッド61は、基準軸線C1を中心とする円柱状部材である。上側センタリングロッド61の先端部61aの外周面は、基準軸線C1を中心とする円錐台状に先細るテーパ部61bに形成されている。
上治具本体部62は、円筒状部材であり、上側センタリングロッド61を基準軸線C1に沿って移動可能に収容支持している。上側センタリングロッド61の先端部61a側の部分が、上治具本体部62から下治具50側へ突出している。付勢部材63は、上治具本体部62内に収容され、上側センタリングロッド61を下治具50側に向けて付勢する、例えば圧縮コイルばねである。
【0024】
受け部64は、上側センタリングロッド61の突出部分を隙間を設けて取り囲む筒状突起からなる。図7に示すように、受け部64は、軸部材1の外周面1cに第1端部1a側から外嵌されたカラー65の一端65aを受ける。カラー65の他端65bは、軸部材1の第1位置決め段部13に当接される。受け部64は、下治具50側から軸部材1に与えられる押圧荷重(押し上げ荷重)をカラー65を介して受ける機能を果たす。
【0025】
図3に示すように、昇降台42は、ベース41と平行な水平板からなり、上面42aと、下面42bとを含む。昇降駆動部43は、ベース41と昇降台42との間に介在する例えば直動形のサーボモータからなる。昇降駆動部43は、モータ本体43aと、駆動ロッド43bとを含む。モータ本体43aは、ベース41の上面41aに固定されている。駆動ロッド43bは、モータ本体43aから昇降台42側へ突出しており、モータ本体43aから伸縮される。駆動ロッド43bの先端部は昇降台42の下面42bに連結されており、駆動ロッド43bの伸縮に伴って、昇降台42が昇降される。
【0026】
昇降駆動部43は、駆動ロッド43bのストローク位置を検出する変位センサ44と、駆動ロッド43bの負荷荷重を検出する荷重センサ45とを含む。荷重センサ45は、例えば昇降駆動部43に内蔵されたロードセルである。変位センサ44および荷重センサ45は、制御部100に接続されている。変位センサ44により検出されたストローク位置と荷重センサ45により検出された負荷荷重とは、制御部100に入力される。
【0027】
また、制御部100は、圧入工程において前記入力されたストローク位置および負荷荷重に基づいて、圧入変位と圧入荷重を検出し、これら圧入変位と圧入荷重との関係に基づいて、圧入工程の異常を判定する機能を有する。また、制御部100は、かしめ工程において前記入力されたストローク位置および負荷荷重に基づいて、かしめ変位とかしめ荷重を検出し、これらかしめ変位とかしめ荷重との関係に基づいて、かしめ工程の異常を判定する機能を有する。
【0028】
制御部100には、圧入工程およびかしめ工程の異常を報知する異常報知部101(例えば報知音を発したり、報知ランプを点灯させたりするもの)が接続されている。制御部100は、各工程での判定結果に基づいて異常報知部101に信号を出力し、異常報知部101に異常を報知させる。
下治具50は、下治具本体部51と、押圧ヘッド70と、仮保持部材80と、支持機構としての下側センタリングロッド52と、第1付勢部材53と、第2付勢部材54とを含む。
【0029】
下治具本体部51は、基準軸線C1を中心とする円筒状の部材であり、昇降台42の上面42aに固定されている。下治具本体部51は、基準軸線C1と同心の貫通孔51aと、上端面51bと、下端面51cとを含む。
押圧ヘッド70は、下治具本体部51の上端部に固定された筒状(環状)の部材であり、基準軸線C1と同心に配置されている。押圧ヘッド70は、上端面71aおよび下端面71bを有するヘッド本体部71と、インロー部72と、貫通孔73と、内周テーパ部74と、外周面75と、フランジ部76とを含む。
【0030】
インロー部72は、ヘッド本体部71の下端面71bから昇降台42側へ突出する筒状突起であり、基準軸線C1と同心に形成されている。インロー部72は、下治具本体部51の貫通孔51aの上端の開口部の縁部にインロー嵌合されている。
貫通孔73は、基準軸線C1と同心の孔であり、ヘッド本体部71の上端面71aおよびインロー部72を貫通する。貫通孔73は、上端面71aにおいて開口部73aで開口する。内周テーパ部74は、開口部73aの縁部に面取り状に形成される。内周テーパ部74は、上向きに開く円錐台状に形成されている[図9(a)も参照]。
【0031】
図3に示すように、フランジ部76は、ヘッド本体部71の下端部の外周面75から外向きに延設されている。フランジ部76は、下治具本体部51の上端面51bにねじにより締結されている。
仮保持部材80は、主部材81と、ばね座部材82とを含む。主部材81は、基準軸線C1と同心の円筒状の部材である。主部材81は、第1端部81aと、第2端部81bと、案内孔83と、外周面84と、ストッパ85とを含む。第1端部81aは、上治具60側に配置され、第2端部81bは、昇降台42側に配置される。第1端部81aは、軸部材1の第2端面1eに当接される端面81cを含む(図7を参照)。
【0032】
図3に示すように、案内孔83は、主部材81の第1端部81aから第2端部81bまで貫通されている。案内孔83は、第1端部81aに設けられた第1開口部83aと、第2端部81bに設けられた第2開口部83bとを含む。ばね座部材82は、案内孔83の第2開口部83bに嵌合され、ねじ86により主部材81と固定されている。
第1付勢部材53は、ばね座部材82と昇降台42の上面42aとの間に介在しており、仮保持部材80を上治具60側に弾性的に付勢している。主部材81のストッパ85は、主部材81の第2端部81bにおいて外周面84に設けられた拡径部である。ストッパ85は、押圧ヘッド70のインロー部72と当接することにより、仮保持部材80が、押圧ヘッド70の貫通孔73から抜脱されないようにする。
【0033】
下側センタリングロッド52は、基準軸線C1を中心とする円柱状の部材である。下側センタリングロッド52は、案内孔83の第1開口部83a内に挿通され、第1開口部83aの内周面によって、基準軸線C1に沿って移動可能に支持される。
下側センタリングロッド52は、先端部52aと、基端部52bとを含む。下側センタリングロッド52の先端部52aは、第1開口部83aから上治具60側へ突出している。先端部52aの外周面は、基準軸線C1を中心とする円錐台状に先細るテーパ部52cに形成されている。
【0034】
下側センタリングロッド52の基端部52bには、外径が拡径されたストッパ部52dが設けられている。ストッパ部52dは、案内孔83において第1開口部83aに隣接して設けられた環状段部83cに当接することにより、下側センタリングロッド52が、仮保持部材80の案内孔83から抜脱されないようにする。
第2付勢部材54は、案内孔83内に収容されている。第2付勢部材54は、下側センタリングロッド52のストッパ部52dと仮保持部材80のばね座部材82との間に介在している。第2付勢部材54は、仮保持部材80に対し下側センタリングロッド52を上治具60側(下側センタリングロッド52が仮保持部材80から突出する方向)に弾性的に付勢する。
【0035】
ノックアウト機構90は、ノックアウト用のスライダ91と、ノックアウト駆動部92とを含む。スライダ91は、昇降台42の上面42aに沿って水平方向にスライド移動されることにより、下治具本体部51の側面を貫通するガイド孔51dを通して貫通孔51a内に進退される。スライダ91は、先端部91aと、基端部91bと、被案内面93と、ノックアウト面94とを含む。先端部91aは、貫通孔51a側に配置される。基端部91bはノックアウト駆動部92側に配置される。
【0036】
被案内面93は、昇降台42の上面42aに沿う平坦面からなる。ノックアウト面94は、被案内面93の反対側の面である。ノックアウト面94は、カム部94aと、保持部94bとを含む。カム部94aは、先端部91aから基端部91bに向かうにしたがって、被案内面(昇降台42の上面42a)からの高さが次第に高くなる傾斜面からなる。保持部94bは、カム部94aと連続し前記高さが一定である平坦面からなる。
【0037】
ノックアウト駆動部92は、例えば油圧シリンダからなる。ノックアウト駆動部92は、シリンダ92aと、駆動ロッド92bとを含む。シリンダ92aは、昇降台42に固定されたフレーム(図示せず)に固定される。駆動ロッド92bは、シリンダ92aから突出しており、シリンダ92aから伸縮される。駆動ロッド92bの先端部は、スライダ91の基端部91bに連結されており、駆動ロッド92bの伸縮に伴って、スライダ91がスライド駆動される。
【0038】
図示していないが、ノックアウト機構90では、第1付勢部材53との干渉を避けるように、一対のスライダ91が設けられている。一対のスライダ91の間に、第1付勢部材53の端部が配置される。また、ノックアウト機構90では、一対のスライダ91を各別に駆動する一対のノックアウト駆動部92が設けられている。
次いで、図4図15に基づいて、組立方法を説明する。図4図7は、圧入工程の前の準備工程を順次に示している。
【0039】
まず、図4(a)に示すように、仮保持部材80によって軸受2およびリング3を仮保持する。具体的には、仮保持部材80の第1端部81aが、押圧ヘッド70から突出しており、その第1端部81aの外周面84に、リング3および軸受2(内輪21)が外嵌されて、仮保持される。
図4(b)に示すように、仮保持されたリング3の筒状部31の他端部31bの外周縁部31eが、押圧ヘッド70のヘッド本体部71の上端面71aに開口する開口部73aの縁部に形成された内周テーパ部74に当接されて受けられる。
【0040】
次いで、図5に示すように、上治具60を下治具50の上方位置から退避させて、軸部材1を支持機構としての下側センタリングロッド52に上方から装着する。具体的には、下側センタリングロッド52が軸部材1の第2中心孔18に挿通される状態で、下側センタリングロッド52によって軸部材1が支持される。
また、軸部材1の外周面1cに第1端部1a側からカラー65が外嵌される。カラー65は、ピニオン歯部12を覆う状態で、カラー65の他端65bが軸部材1の第1位置決め段部13によって受けられる。軸部材1に対するカラーの65の装着は、下側センタリングロッド52によって軸部材1を支持する前であってもよいし、軸部材1を支持した後であってもよい。
【0041】
次いで、図6に示すように、上治具60を下側センタリングロッド52により支持された軸部材1の上方位置に復帰させる。
次いで、図7に示すように、昇降駆動部43の駆動ロッド43bを伸長させることで、下治具50およびノックアウト機構90を昇降台42とともに上昇させる。これにより、軸部材1の第1中心孔17に、支持機構としての上側センタリングロッド61が挿通される状態で、上側センタリングロッド61によって、軸部材1の第1端部1aが支持される。
【0042】
その結果、支持機構としての上側センタリングロッド61および下側センタリングロッド52によって支持された軸部材1の中心軸線CCが、組立装置40の基準軸線C1に一致される。すなわち、軸部材1が、仮保持部材80(主部材81)、仮保持部材80に仮保持された軸受2およびリング3、並びに押圧ヘッド70と同心に配置されることになる。また、仮保持部材80の主部材81の第1端部81aの端面81cが、軸部材1の第2端面1eと当接される。
【0043】
次いで、図8は、圧入工程を示している。昇降駆動部43の駆動ロッド43bを伸長させることで、下治具50およびノックアウト機構90を昇降台42とともに上昇させる。これにより、押圧ヘッド70を軸部材1の中心軸線方向X1に移動させ、図9(a)に示すように、押圧ヘッド70の内周テーパ部74によって、内輪21の他端面21bに当接されたリング3を介して内輪21を中心軸線方向X1に押圧する。そして、図9(b)に示すように、内輪21の一端面21aが軸部材1の外周面1cの第2位置決め段部14に直接位置決めされるまで、内輪21が軸部材1に外嵌圧入される。
【0044】
圧入工程において、駆動部43から押圧ヘッド70に与えられる中心軸線方向X1の圧入時駆動力F1は、図9(c)に示すように、リング3の筒状部31の他端部31bの外周縁部31eに当接する内周テーパ部74の働きで、リングの筒状部31を縮径させる圧入時縮径力G1に変換される。圧入時縮径力G1が、リング3の筒状部31の塑性変形荷重よりも小さくなるように、圧入時駆動力F1が設定されている。このため、図9(b)に示すように、筒状部31が縮径側へ塑性変形することなく(すなわち筒状部31が外周溝16にかしめ付けられることなく)、リング3によって内輪21を第2位置決め段部14に当接する位置まで圧入することができる。
【0045】
圧入工程では、荷重センサ45で検出された駆動部43の負荷荷重に基づいて内輪21の圧入荷重が検出される。また、変位センサ44で検出された駆動部43(駆動ロッド43b)の変位に基づいて内輪21の圧入変位(移動変位)が検出される。制御部100では、検出された圧入荷重と検出された圧入変位との関係に基づいて圧入工程の異常を判定する。
【0046】
具体的には、図9(b)および、圧入変位と圧入荷重との関係を示す図10を参照して、内輪21の一端面21a側の内周面が内輪嵌合部15に達する(図10において位置P1に相当)と、内輪21が一端面21a側の部分から拡径され始めるため、位置P1を境にして圧入変位の増加に対して圧入荷重が急峻に立ち上がる。さらに圧入変位が増加して、内輪21の一端面21aが第2位置決め段部14に当接して、圧入変位が変化しなくなる位置(図10において位置P2に相当)で、制御部100が、駆動部43の駆動を停止する。
【0047】
制御部100では、圧入変位の増加に対して圧入荷重の急峻な立ち上がりが検出されないとき(図10において破線で示す)に、圧入工程の異常を判定する。
位置P1での荷重が圧入開始荷重W1であり、位置P2での荷重が圧入終了荷重W2である。制御部100では、検出された圧入荷重と圧入変位との関係に基づいて、圧入開始荷重W1と、圧入終了荷重W2(最大圧入荷重に相当)とを求める。制御部100では、求められた圧入開始荷重W1が、予め記憶している許容荷重範囲を逸脱するときに、圧入工程の異常を判定する。また、求められた圧入終了荷重W2が、予め記憶している許容荷重範囲を逸脱するときに、圧入工程の異常を判定する。
【0048】
次いで、図11は、かしめ工程の準備段階を示している。昇降駆動部43が駆動ロッド43bを短縮させて、押圧ヘッド70を所定量下降させて、リング3から離隔させる。これにより、圧入荷重が解放されるとともに、圧入工程で制御部100に入力された入力値(変位や荷重等)、制御部100で演算された演算値(変位や荷重等)がリセットされて、かしめ工程の準備が完了する。
【0049】
次いで、かしめ工程では、図12に示すように、昇降駆動部43が駆動ロッド43bを伸長させて、押圧ヘッド70を上昇させる。上昇された押圧ヘッド70の内周テーパ部74が、リング3を第2位置決め段部14に位置決めされた内輪21側へ中心軸線方向X1に押圧する。
具体的には、図13(a)に示すように、押圧ヘッド70のヘッド本体部71の上端面71aが、リング3の外向フランジ32に当接する位置まで、押圧ヘッド70が上昇される。この上昇に伴って、押圧ヘッド70は、その内周テーパ部74がリング3の筒状部31の外周面31cに沿い、且つ筒状部31の内周面31dが軸部材1の外周溝16の第1傾斜部16aに沿うように、筒状部31の一部を縮径させて塑性変形させる。これにより、内周テーパ部74が、筒状部31の一部を外周溝16にかしめ固定する。これにより、軸部材ユニットUの組立が完了する。
【0050】
かしめ工程において、駆動部43から押圧ヘッド70に与えられる中心軸線方向X1のかしめ時駆動力F2は、図13(b)に示すように、内周テーパ部74の働きで、リングの筒状部31を縮径させるかしめ時縮径力G2に変換される。かしめ時縮径力G2が、リング3の筒状部31の塑性変形荷重よりも大きくなるように、かしめ時駆動力F2が設定されている。
【0051】
前述した圧入工程における圧入時駆動力F1が、例えば1〜7KNに設定されるのに対して、かしめ工程におけるかしめ時駆動力F2は、例えば70KN以上に設定される。
かしめ工程では、荷重センサ45で検出された駆動部43の負荷荷重に基づいて、中心軸線方向X1に関するリング3の筒状部31のかしめ荷重が検出される。また、変位センサ44で検出された駆動部43(駆動ロッド43b)の変位に基づいて、中心軸線方向X1の押圧ヘッド70の変位に相当するかしめ変位が検出される。制御部100では、検出されたかしめ荷重と検出されたかしめ変位との関係に基づいてかしめ工程の異常を判定する。
【0052】
具体的には、図13(a)および、かしめ変位とかしめ圧入荷重との関係を示す図14を参照して、上昇された押圧ヘッド70の内周テーパ部74が、リング3の筒状部31の他端部31bの外周縁部31eに当接して、筒状部31を縮径させ始める(図14における位置P3に相当)と、位置P3を境にして、かしめ変位の増加に対してかしめ荷重が急峻に立ち上がる。さらに、かしめ変位が増加して、押圧ヘッド70のヘッド本体部71の上端面71aが、リング3の外向フランジ32に当接して、かしめ変位が変化しなくなる位置(図14における位置P4に相当)で、制御部100が、駆動部43の駆動を停止する。
【0053】
制御部100では、かしめ変位の増加に対してかしめ荷重の急峻な立ち上がりが検出されないとき(図14において破線で示す)に、かしめ工程の異常を判定する。
位置P3での荷重がかしめ開始荷重W3であり、位置P4での荷重がかしめ終了荷重W4である。制御部100では、検出されたかしめ荷重とかしめ変位との関係に基づいて、かしめ開始荷重W3と、かしめ終了荷重W4(最大かしめ荷重に相当)とを求める。制御部100では、求められたかしめ開始荷重W3が、予め記憶している許容荷重範囲を逸脱するときに、かしめ工程の異常を判定する。また、求められたかしめ終了荷重W4が、予め記憶している許容荷重範囲を逸脱するときに、かしめ工程の異常を判定する。
【0054】
図13(a)に示すかしめ完了状態では、押圧ヘッド70の内周テーパ部74と外周溝16との間に、リング3の筒状部31がかしめられて強く嵌まり込んだ状態にある。このため、筒状部31と内周テーパ部74とを離隔させるべく、図15に示されるノックアウト工程が実施される。
具体的には、上治具60を離隔させた状態で、ノックアウト機構90のノックアウト駆動部92が駆動ロッド92bを伸長させてスライダ91を下治具本体部51の貫通孔51a内に進出させる。スライダ91の進出に伴って、スライダ91のノックアウト面94が、傾斜状のカム部94aで仮保持部材80の主部材81の第2端部81b(下端部)を徐々に押し上げた後、水平な保持部94bで仮保持部材80の主部材81の第2端部81bを受けて仮保持部材80の位置を保持する。
【0055】
仮保持部材80の主部材81の第1端部81a(上端部)の端面81cは、軸部材1の第2端面1eに当接しているため、ノックアウト面94で押し上げられた仮保持部材80が、軸部材1を押圧ヘッド70に対して押し上げる。これにより、軸部材1とともに上昇したリング3の筒状部31が、押圧ヘッド70の内周テーパ部74から上方に離隔される(ノックアウトされる)。これにより、下治具50から、軸部材ユニットUを取り外すことが可能となる。
【0056】
本実施形態の組立方法によれば、圧入工程では、図9(a),(b)に示すように、軸部材1の中心軸線方向X1に駆動される押圧ヘッド70の内周テーパ部74が、リング3を塑性変形させることなく、リング3を介して内輪21を位置決めされる位置まで軸部材1に外嵌圧入する。また、かしめ工程では、図13(a)に示すように、押圧ヘッド70の内周テーパ部74が、リング3を内輪21側へ押すときに、図13(b)に示すように、リング3に塑性変形荷重以上の縮径力(かしめ時縮径力G2)を与えて、リング3の一部を縮径側に塑性変形させて軸部材1の外周溝16にかしめ付ける。
【0057】
押圧ヘッド70を駆動する駆動部(昇降駆動部43)の駆動力の変更により各工程(圧入工程およびかしめ工程)に対応することができるので、工程毎に設備や治具を代えたりする等の段取り替え作業が不要であり、効率良く軸部材ユニットUの組立が行える。
また、圧入工程において、圧入荷重と圧入変位との関係(図10参照)に基づいて圧入工程の異常を検出することができる。
【0058】
また、かしめ工程において、かしめ荷重とかしめ変位との関係(図14参照)に基づいて、かしめ工程の異常を検出することができる。
また、本実施形態の組立装置40によれば、図9(a)〜(c)に示すように、押圧ヘッド70の圧入時駆動力F1を用いて、リング3を塑性変形させることなく、リング3を介して内輪21を位置決めされる位置まで軸部材1に外嵌圧入する。また、図13(a),(b)に示すように、押圧ヘッド70のかしめ時駆動力F2を用いて、リング3に塑性変形荷重以上の縮径力(かしめ時縮径力G2)を与えて、リング3の一部を軸部材1の外周溝16にかしめ付ける。
【0059】
このため、共通の組立装置40において共通の押圧ヘッド70を用いて、圧入工程とかしめ工程とを実施することができる。したがって、工程毎に設備や治具を代えたりする等の段取り替え作業が不要となり、効率良く軸部材ユニットUの組立が行える。
また、組立装置40では、図7に示すように、外周面84に内輪21およびリング3を仮保持した仮保持部材80の端面(主部材81の端面81cに相当)が、軸部材1と当接する状態で、付勢部材53によって、軸部材1側に弾性付勢されている。このため、図8に示すように、軸部材1に押された仮保持部材80が環状の押圧ヘッド70内に後退するに伴って、図9(b)に示すように、押圧ヘッド70の内周テーパ部74によって、容易に、リング3を介して内輪21を軸部材1に外嵌圧入し、また、図13(a)に示すように、リング3の一部を軸部材1にかしめ付けることができる。
【0060】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、前記実施形態では、圧入工程において、図9(b)に示すように、内輪21が軸部材1の第2位置決め段部14に直接、位置決めされる。これに代えて、図16に示すように、内輪21が、例えばウォームホイール等のギヤ部材からなる介在部材200を介して、軸部材1の第2位置決め段部14に位置決めされるものであってもよい。その他、本発明は、特許請求の範囲記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0061】
1…軸部材、1c…外周面、2…軸受、3…リング、14…第2位置決め段部、15…内輪嵌合部、16…外周溝、17…第1中心孔、18…第2中心孔、21…内輪、21a…一端面、21b…他端面、22…外輪、23…玉、31…筒状部、31a…一端部、31b…他端部、31c…外周面、31d…内周面、31e…外周縁部、32…外向フランジ、40…組立装置、42…昇降台、43…昇降駆動部、44…変位センサ、45…荷重センサ、50…下治具、52…下側センタリングロッド(支持機構)、53…第1付勢部材、60…上治具、61…上側センタリングロッド(支持機構)、70…押圧ヘッド、71…ヘッド本体部、71a…上端面(押圧ヘッドの端面)、73…貫通孔、73a…開口部、74…内周テーパ部、80…仮保持部材、81…主部材、81c…端面(仮保持部材の端面)、84…外周面、100…制御部、101…異常報知部、200…ウォームホイール(介在部材)、F1…圧入時駆動力、F2…かしめ時駆動力、G1…圧入時縮径力、G2…かしめ時縮径力、U…軸部材ユニット、X1…中心軸線方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16