(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-194196(P2018-194196A)
(43)【公開日】2018年12月6日
(54)【発明の名称】暖房装置
(51)【国際特許分類】
F24H 1/00 20060101AFI20181109BHJP
F24D 19/10 20060101ALI20181109BHJP
【FI】
F24H1/00 G
F24D19/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-96139(P2017-96139)
(22)【出願日】2017年5月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】大塚 栄明
【テーマコード(参考)】
3L073
3L122
【Fターム(参考)】
3L073DD05
3L122AA02
3L122AA34
3L122AA62
3L122AA72
3L122AB29
3L122BA36
3L122BA44
3L122FA02
3L122FA12
3L122FA13
3L122FA27
3L122FA34
3L122GA08
3L122GA09
(57)【要約】
【課題】使用時間を正確に把握でき、適切なタイミングで点検時期の告知が行える暖房装置に関するものである。
【解決手段】商用電源22からの電力供給により動作可能となる制御部21を備えた暖房装置1であって、制御部21は、前記暖房装置1の使用時間を積算する使用時間積算手段28を備え、積算使用時間が予め設定された点検時間に達した場合に点検時期であることを告知するものにおいて、使用時間積算手段28は、商用電源22によって制御部21に通電が行われている通電時間と、商用電源22による制御部21への通電が行われていない停電時間とを積算し、積算使用時間を、通電時間と停電時間との総和としたので、暖房装置1の劣化や消耗度を正確に把握することができ、適切なタイミングで点検時期であることを告知することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源からの電力供給により動作可能となる制御部を備えた暖房装置であって、前記制御部は、前記暖房装置の使用時間を積算する使用時間積算手段を備え、積算使用時間が予め設定された点検時間に達した場合に点検時期であることを告知するものにおいて、前記使用時間積算手段は、前記商用電源によって前記制御部に通電が行われている通電時間と、前記商用電源による前記制御部への通電が行われていない停電時間とを積算し、前記積算使用時間を、前記通電時間と前記停電時間との総和としたことを特徴とする暖房装置。
【請求項2】
前記積算使用時間を記憶するための不揮発性メモリと、日時を計時するリアルタイムクロック回路と、前記商用電源による前記制御部への通電が行われていない停電時に前記リアルタイムクロック回路のみに電力を供給するバックアップ電池とを備え、前記使用時間積算手段は、前記商用電源による前記制御部への通電時においては、前記商用電源の電源周波数に基づいて前記通電時間を算出して前記使用時間として積算し、前記商用電源による前記制御部への通電が行われていない停電時においては、停電発生時の日時を前記不揮発性メモリおよび前記リアルタイムクロック回路に書き込み、前記商用電源による前記制御部への通電が再開される復電時に、前記不揮発性メモリに記憶された前記停電発生時の日時を読み込むと共に、前記リアルタイムクロック回路から出力される前記復電時の日時を読み込み、読み込んだ前記停電発生時の日時と前記復電時の日時の差分で前記停電時間を算出して前記使用時間として積算するようにしたことを特徴とする請求項1記載の暖房装置。
【請求項3】
前記使用時間積算手段は、前記停電発生時、前記停電発生直前までに積算した前記使用時間を前記不揮発性メモリに書き込むと共に、前記停電発生時の日時を前記不揮発性メモリおよび前記リアルタイムクロック回路に書き込み、前記復電時に、前記不揮発性メモリに記憶された前記停電発生直前までに積算した前記使用時間および前記停電発生時の日時を読み込むと共に、前記リアルタイムクロック回路から出力される前記復電時の日時を読み込み、読み込んだ前記停電発生時の日時と前記復電時の日時との差分で前記停電時間を算出して、算出した前記停電時間を前記不揮発性メモリから読み込んだ前記使用時間に積算して新たな前記使用時間に更新するようにしたことを特徴とする請求項2記載の暖房装置。
【請求項4】
前記商用電源による前記制御部への通電が所定時間連続した場合に、前記制御部は、前記使用時間積算手段による前記通電時間の積算の開始および前記停電時間の積算の開始を許容するようにしたことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の暖房装置。
【請求項5】
屋外に設置されていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点検時期を告知する暖房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものにおいては、商用電源からの電力供給により動作可能な制御部を備え、制御部に通電が行われている通電時間を積算する給湯装置があった。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−44420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のものでは、積算した通電時間を用いて給湯装置の劣化や消耗度の判断ができ、予め設定された点検時間との比較を行うようにすれば、積算した通電時間が点検時間に達したときに点検時期であることを告知することができるものである。ただ、給湯装置の場合は年間を通して通電されているが、これが暖房装置の場合だと状況が異なり、暖房装置は暖房シーズン中のみ通電され、オフシーズンは通電されないことが多くある。暖房装置においては、屋外に設置された場合は屋内に設置されたよりも顕著であるが、外部環境(日射、雨風、寒暖差など)に晒されており、オフシーズンであっても、少なからず装置の劣化が進行している。このように、暖房装置においては、積算した通電時間だけでは暖房装置の劣化や消耗度を正確に把握することができず、点検時期の告知が正確な点検時期のタイミングとずれてしまうという問題を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するために、請求項1では、商用電源からの電力供給により動作可能となる制御部を備えた暖房装置であって、前記制御部は、前記暖房装置の使用時間を積算する使用時間積算手段を備え、積算使用時間が予め設定された点検時間に達した場合に点検時期であることを告知するものにおいて、前記使用時間積算手段は、前記商用電源によって前記制御部に通電が行われている通電時間と、前記商用電源による前記制御部への通電が行われていない停電時間とを積算し、前記積算使用時間を、前記通電時間と前記停電時間との総和とするものとした。
【0006】
また、請求項2では、前記積算使用時間を記憶するための不揮発性メモリと、日時を計時するリアルタイムクロック回路と、前記商用電源による前記制御部への通電が行われていない停電時に前記リアルタイムクロック回路のみに電力を供給するバックアップ電池とを備え、前記使用時間積算手段は、前記商用電源による前記制御部への通電時においては、前記商用電源の電源周波数に基づいて前記通電時間を算出して前記使用時間として積算し、前記商用電源による前記制御部への通電が行われていない停電時においては、停電発生時の日時を前記不揮発性メモリおよび前記リアルタイムクロック回路に書き込み、前記商用電源による前記制御部への通電が再開される復電時に、前記不揮発性メモリに記憶された前記停電発生時の日時を読み込むと共に、前記リアルタイムクロック回路から出力される前記復電時の日時を読み込み、読み込んだ前記停電発生時の日時と前記復電時の日時の差分で前記停電時間を算出して前記使用時間として積算するものとした。
【0007】
また、請求項3では、前記使用時間積算手段は、前記停電発生時、前記停電発生直前までに積算した前記使用時間を前記不揮発性メモリに書き込むと共に、前記停電発生時の日時を前記不揮発性メモリおよび前記リアルタイムクロック回路に書き込み、前記復電時に、前記不揮発性メモリに記憶された前記停電発生直前までに積算した前記使用時間および前記停電発生時の日時を読み込むと共に、前記リアルタイムクロック回路から出力される前記復電時の日時を読み込み、読み込んだ前記停電発生時の日時と前記復電時の日時との差分で前記停電時間を算出して、算出した前記停電時間を前記不揮発性メモリから読み込んだ前記使用時間に積算して新たな前記使用時間に更新するものとした。
【0008】
また、請求項4では、前記商用電源による前記制御部への通電が所定時間連続した場合に、前記制御部は、前記使用時間積算手段による前記通電時間の積算の開始および前記停電時間の積算の開始を許容するものとした。
【0009】
また、請求項5では、本発明の暖房装置を屋外に設置されているものとした。
【発明の効果】
【0010】
この発明の請求項1によれば、暖房装置が使用されているときの通電時間と、暖房のオフシーズンなどで暖房装置が使用されておらず通電はされていないが少なからず器具の劣化が進行する停電期間中の停電時間とを積算し、暖房装置の積算使用時間を、通電時間と停電時間との総和としたので、暖房装置の劣化や消耗度を正確に把握することができ、適切なタイミングで点検時期であることを告知することができるものである。
【0011】
また、請求項2によれば、停電時は、バックアップ電池によりリアルタイムクロック回路のみを動作させるので、バックアップ電池の容量を小さくできコストを低減することができ、簡易な構成で、使用時間として正確な通電時間および停電時間を算出、積算することができるものである。
【0012】
また、請求項3によれば、使用時間積算手段は、停電が発生した場合、停電直前までに積算した使用時間を不揮発性メモリに書き込むと共に、停電発生時の日時を不揮発性メモリおよびリアルタイムクロック回路に書き込み、復電時に、不揮発性メモリに記憶された停電直前までに積算した使用時間および停電発生時の日時を読み込むと共に、リアルタイムクロック回路から出力される復電時の日時を読み込み、読み込んだ停電発生時の日時と復電時の日時との差分で停電時間を算出して、算出した停電時間を不揮発性メモリから読み込んだ使用時間に積算して新たな使用時間に更新するようにしたことで、使用時間として、通電時間、停電時間のそれぞれのデータを別々に格納しておく必要がなく、使用時間の記憶に用いる使用時間積算手段のデータ容量が少なくて済むものである。
【0013】
また、請求項4によれば、工場での検査における使用や設置時の試運転における使用などの一時的な使用状況を除き、ユーザが実際に暖房装置の使用を開始したタイミングからの使用時間を正確に把握することができ、より適切なタイミングで点検時期であることを告知することができるものである。
【0014】
また、請求項5によれば、暖房装置が屋外設置されている場合は、日射、雨風、寒暖差などの外部環境に晒されており、器具の劣化が進行しやすいものであるが、通電時間だけでなく、器具の劣化を考慮した暖房のオフシーズンなどの停電時間も暖房装置の使用時間として積算するので、暖房装置の劣化や消耗度をより正確に把握することができ、適切なタイミングで点検時期であることを告知することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態の暖房装置の概略構成図。
【
図3】同一実施形態の暖房装置の点検時期告知動作を示すフローチャート。
【
図4】使用時間積算手段による使用時間の積算方法および積算使用時間の推移について説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の一実施形態の暖房装置について
図1〜2に基づいて説明する。
【0017】
1は本実施形態の暖房装置として屋外に設置された暖房ボイラ、2は燃料を燃焼させるバーナ、3はバーナ2に燃焼用空気を供給する送風ファン、4はバーナ2の燃焼により発生した燃焼排気から顕熱を回収して循環液を加熱する熱交換器、5は熱交換器4を通過した後の燃焼排気を流通させ暖房ボイラ1外に排気するための排気口である。
【0018】
前記熱交換器4は、内部に一定量の循環液を貯湯する円筒状の貯湯缶体6と、貯湯缶体6下部内側に形成されバーナ2の燃焼が行われる燃焼室7と、貯湯缶体6上部に形成された排気室8と、燃焼室7と排気室8とを連通しバーナ2の燃焼により発生した燃焼排気を通過させる複数本の煙管9とで構成されているものである。なお、10は貯湯缶体6内の循環液の温度を検出する温度センサである。
【0019】
11は内部を流れる循環液の保有熱を放熱し被空調空間を暖房する床暖房パネルやパネルコンベクタ等の放熱端末、12は放熱端末11の出水側と熱交換器4の入水側とを接続し、放熱端末11から流出した循環液を熱交換器4に導く暖房戻り管、13は熱交換器4の出水側と放熱端末11の入水側とを接続し、放熱端末11に熱交換器4で加熱された循環液を導く暖房往き管である。
【0020】
14は暖房往き管13に設けられ熱交換器4で加熱された循環液を放熱端末11に循環させる循環ポンプ、15は暖房往き管13に設けられ循環液中の空気と循環液を分離する気水分離器、16は暖房戻り管12および暖房往き管13を循環する循環液が高温となって体積膨張したときにその体積膨張分を吸収すると共に、逆に循環液が低温となって体積収縮したときにその体積収縮分を補充する膨張タンクである。
【0021】
17は暖房ボイラ1の操作指示を行うリモコンで、リモコン17には、バーナ2を燃焼させて循環液を加熱すると共に循環ポンプ14を駆動させて、放熱端末11から戻される循環液を熱交換器4へ流通させて再び放熱端末11に循環させて室内等の被空調空間の暖房を行わせる暖房運転の開始または停止を指示する運転スイッチ18と、放熱端末11に循環させる循環液の温度の設定や日時の設定や時計合わせをするための操作部19と、設定温度や時刻等を表示する表示部20とを備えているものである。
【0022】
21はマイクロコンピュータを主体として暖房ボイラ1を制御する制御部で、制御部21は、リモコン17の信号や温度センサ10からの信号をうけ、バーナ2、送風ファン3、循環ポンプ14の動作を制御するものである。
【0023】
ここで、
図2に示すブロック図について説明すると、22は商用電源、23は商用電源22から供給される交流電力を直流電力に変換する電源回路であり、制御部21は商用電源22からの電力が電源回路23を介して供給されることで動作可能となるものである。
【0024】
24は商用電源22から供給される交流電力の電源周波数におけるゼロクロス点を検知するゼロクロス検知回路で、制御部21はゼロクロス検知回路24から出力されるゼロクロス信号を監視することによって、商用電源22の電力が遮断されたかどうか、すなわち停電が発生したかどうかを判断している。なお、本実施形態で言う停電とは、落雷等により商用電源22による制御部21への電力供給が遮断される場合の他に、暖房のオフシーズンとなり、暖房ボイラ1の電源コードのプラグがコンセントから抜かれて制御部21への電力供給が遮断される場合を含むものであり、復電とは、落雷等により商用電源22による制御部21への電力供給が遮断された後に、商用電源22による制御部21への電力供給が再開された状態となる場合の他に、暖房シーズンとなり暖房ボイラ1の電源コードのプラグがコンセントにさされて制御部21への電力供給が再開された状態となる場合を含むものである。
【0025】
25は日時を計時するリアルタイムクロック回路(以下、RTC回路)で、商用電源22から電力が供給されている通常時は、電源回路23を介して電力が供給されることで動作し、停電時はバックアップ電池26(例えば、リチウム電池など)からの電力供給を受けて動作するものである。なお、バックアップ電池26は停電時にRTC回路25のみに電力を供給するものであり、それによってRTC回路25は停電時においても時刻を刻み続けることができ、復電時には制御部21に対して復電時点の現在日時を出力することができるものである。また、リモコン17の操作部19による操作により、時計合わせ等の日時(年、月、日、時、分、秒)の設定がなされると、設定された日時情報が制御部21からRTC回路25に書き込まれ、その時点から日時を計時が開始されるものである。
【0026】
27は各種の設定を停電中も記憶保持可能で電気的に書き込みおよび消去が可能な不揮発性メモリ(EEPROMやフラッシュメモリ)である。なお、上述した電源回路23、ゼロクロス検知回路24、RTC回路25、不揮発性メモリ27はそれぞれ制御部21と電気的に接続されているものである。
【0027】
28は暖房ボイラ1の使用時間を積算する使用時間積算手段で、商用電源22による制御部21への通電時においては、使用時間積算手段28は、商用電源22の電源周波数におけるゼロクロス点を検知するゼロクロス検知回路24から出力されるゼロクロス信号を用いて通電時間を算出して積算する。また、商用電源22から制御部21への電力供給が遮断された停電時においては、制御部21で停電であると判断されると、使用時間積算手段28は、停電発生時(停電した瞬間)の日時を不揮発性メモリ27に書き込むと共に、不揮発性メモリ27に書き込んだのと同様の停電発生時(停電した瞬間)の日時をRTC回路25にも書き込む。そして、商用電源22からの電力供給が再開された復電時に、使用時間積算手段28は、不揮発性メモリ27に記憶された停電発生時(停電した瞬間)の日時を読み込むと共に、RTC回路25から出力される復電時(復電した瞬間)の日時を読み込み、読み込んだ停電発生時の日時と復電時の日時の差分で停電時間を算出して積算する。よって、使用時間積算手段28で積算される暖房ボイラ1の使用時間としては、上記通電時間と上記停電時間との総和となる。
【0028】
なお、使用時間積算手段28は、積算した通電時間を格納するデータ領域と積算した停電時間を格納するデータ領域を別々に有し、それぞれの時間を合計した値を積算した使用時間とする方式をとってもよく、通電時間および停電時間を1つのデータ領域で都度積算し、それを積算した使用時間とする方式をとってもよいものであり、後者の方式では、商用電源22による制御部21への通電時において、使用時間積算手段28が使用時間として通電時間を積算しており、所定のタイミングで停電が発生した場合、使用時間積算手段28は、停電発生時に、停電直前までに積算した使用時間を不揮発性メモリ27に書き込むと共に、停電発生時の日時を不揮発性メモリ27およびRTC回路25に書き込む。そして、商用電源22から電力供給が再開された復電時に、使用時間積算手段28は、不揮発性メモリ27に記憶保持された停電直前までに積算した使用時間および停電発生時の日時を読み込むと共に、RTC回路25から出力される復電時の日時を読み込み、読み込んだ停電発生時の日時と復電時の日時の差分で停電時間を算出して、算出した停電時間を不揮発性メモリ27から読み込んだ使用時間に積算して新たな使用時間に更新し、復電後は更新された使用時間に通電時間を積算していくものである。この後者の方式であれば、別々に格納する前者の方式よりも使用時間の記憶に用いる使用時間積算手段28のデータ容量が少なくて済むものである。
【0029】
また、制御部21は、商用電源22からの電力供給による制御部21への通電が初めて所定時間連続した場合に、ユーザによる暖房ボイラ1の実際の使用が開始されたと判断し、使用時間積算手段28による通電時間の積算の開始および停電時間の積算の開始、すなわち使用時間の積算の開始を許容するようにしている。これは、工場での検査における使用や設置時の試運転における使用を除き、ユーザが実際に暖房ボイラ1の使用を開始したタイミングからの使用時間を正確に把握するためである。ここでの所定時間は、工場での検査における通電時間や設置時の試運転における通電時間より長い時間、例えば24時間が設定されているものであり、使用時間の積算の開始が許容された場合、その時点から使用時間の積算を開始してもよく、24時間分を加算した状態で使用時間の積算を開始してもよいものである。
【0030】
次に、この一実施形態の暖房ボイラ1における点検時期告知動作について、
図3のフローチャートを用いて説明する。
まず、制御部21は、商用電源22からの電力供給による制御部21への通電時間をカウントし連続通電時間が予め設定された所定時間に達したか否か(連続通電時間が所定時間以上となったか否か)を判断し(ステップS1)、連続通電時間が予め設定された所定時間(例えば、24時間)に達したと判断すると、使用時間積算手段28による暖房ボイラ1の使用時間の積算開始を許容し、使用時間積算手段28は、使用時間の積算を開始する(ステップS2)。ここで、商用電源22による制御部21への通電時間のカウントは、制御部21の内部カウンタ(図示せず)で、ゼロクロス検知回路24から出力されるゼロクロス信号を用いて通電時間を算出してカウントするようにしてもよく、使用時間積算手段28が前記制御部21の内部カウンタと同様の方法で通電時間のカウントを行ってもよいものであるが、使用時間積算手段28が通電時間のカウントを行う場合は、暖房ボイラ1の使用時間としての積算は開始させないものとする。
【0031】
前記ステップS2において、使用時間積算手段28による暖房ボイラ1の使用時間の積算が開始されたら、制御部21は使用時間積算手段28が積算する使用時間(積算使用時間)が予め設定された点検時間(例えば、10年相当の時間)に達したか否か(積算使用時間が点検時間以上となったか否か)を判断し(ステップS3)、積算使用時間が点検時間に達したと判断すると、リモコン17の表示部20に点検時期であることを告知したり、リモコン17からブザー音等を発することにより点検時期であることを告知するものである(ステップS4)。
【0032】
なお、バックアップ電池26としては、自己放電量と、停電時(暖房のオフシーズン期間などを含む)にRTC回路25に供給する電力量とを考慮して、少なくとも上記点検時間(例えば、10年相当の時間)までRTC回路25を動作させることができる電池容量を有するものを選定すればよいものである。
【0033】
次に、使用時間積算手段28が積算する使用時間の積算方法および積算使用時間の推移について
図4を用いて詳細に説明する。
図4中の一点鎖線で示されているのが積算使用時間である。
【0034】
まず、制御部21で、所定時間、例えば24時間の連続通電があったと判断されると、使用時間積算手段28による使用時間の積算開始が許容され、使用時間の積算が開始される(t0)。使用時間積算手段28は、通電時(t0〜t1)は使用時間として通電時間を積算する。ここで、所定のタイミング(t1)で停電が発生したとすると、使用時間積算手段28は、停電直前までに積算した使用時間(通電時間)を不揮発性メモリ27に書き込むと共に、停電発生時の日時を不揮発性メモリ27およびRTC回路25に書き込む。なお、t1のタイミングでの積算使用時間は通電時間aとなる。
【0035】
停電期間中(t1〜t2)は、バックアップ電池26からの電力供給によりRTC回路25のみが動作し、RTC回路25により、使用時間積算手段28によって書き込まれた日時から計時が開始され、RTC回路25は停電中、計時を継続する。この停電期間中(t1〜t2)は、商用電源22による制御部21への電力供給が遮断されており、制御部21が動作できず、使用時間積算手段28も動作できないため、積算使用時間としては通電時間aから変化しない。
【0036】
そして、所定のタイミング(t2)で復電したとすると、使用時間積算手段28は、不揮発性メモリ27に記憶保持された停電直前までに積算した使用時間(通電時間a)および停電発生時の日時を読み込むと共に、RTC回路25から出力される復電時の日時を読み込み、読み込んだ停電発生時の日時および復電時の日時の差分で停電時間bを算出して、算出した停電時間bを不揮発性メモリ27から読み込んだ使用時間(通電時間a)に積算して新たな積算使用時間に更新する(t2)。この時の積算使用時間は通電時間a+停電時間bとなる。復電後は積算使用時間(=通電時間a+停電時間b)に通電時間を積算していき、所定のタイミング(t3)における積算使用時間は通電時間a+停電時間b+通電時間cとなるものである。
【0037】
以上のように、暖房ボイラ1の使用時間を積算する使用時間積算手段28を備え、積算使用時間が予め設定された点検時間に達した場合に点検時期であることを告知するものにおいて、積算使用時間を、商用電源22により制御部21に通電が行われている通電時間と、商用電源22による制御部21への通電が行われていない停電時間との総和としたことで、暖房ボイラ1が使用されているときの通電時間と、暖房のオフシーズンなどで暖房ボイラ1が使用されておらず通電はされていないが少なからず器具の劣化が進行する停電期間中の停電時間とを暖房ボイラ1の使用時間として積算するので、暖房ボイラ1の劣化や消耗度を正確に把握することができ、適切なタイミングで点検時期であることを告知することができるものである。特に、暖房ボイラ1が屋外設置されている場合は、日射、雨風、寒暖差などの外部環境に晒されており、器具の劣化が進行しやすいものであるが、通電時間だけでなく、器具の劣化を考慮した暖房のオフシーズンなどの停電時間も暖房ボイラ1の使用時間として積算するので、暖房ボイラ1の劣化や消耗度をより正確に把握することができ、適切なタイミングで点検時期であることを告知することができるものである。
【0038】
そして、制御部21は、商用電源22による制御部21への通電が、初めて所定時間連続した場合に、使用時間積算手段28による通電時間の積算の開始および停電時間の積算の開始、すなわち使用時間の積算の開始を許容するようにしたことで、工場での検査における使用や設置時の試運転における使用などの一時的な使用状況を除き、ユーザが実際に暖房ボイラ1の使用を開始したタイミングからの使用時間を正確に把握することができ、より適切なタイミングで点検時期であることを告知することができるものである。
【0039】
また、本実施形態の暖房ボイラ1は、RTC回路25と、停電時にRTC回路25のみに電力を供給するバックアップ電池26と、不揮発性メモリ27とを備え、使用時間積算手段28は、商用電源22による制御部21への通電時においては、商用電源22の電源周波数に基づいて通電時間を算出して、通電時間を暖房ボイラ1の使用時間として積算し、商用電源22から制御部21への電力供給が遮断された停電時においては、停電発生時の日時を不揮発性メモリ27およびRTC回路25に書き込み、復電時に、不揮発性メモリ27に記憶された停電発生時の日時を読み込むと共に、RTC回路25から出力される復電時の日時を読み込み、読み込んだ停電発生時の日時と復電時の日時の差分で停電時間を算出して停電時間を暖房ボイラ1の使用時間として積算するので、停電時は、バックアップ電池26によりRTC回路25のみを動作させるので、バックアップ電池26の容量を小さくできコストを低減することができ、簡易な構成で、使用時間として正確な通電時間および停電時間を算出、積算することができるものである。
【0040】
さらに、使用時間積算手段28は、停電が発生した場合、停電直前までに積算した使用時間を不揮発性メモリ27に書き込むと共に、停電発生時の日時を不揮発性メモリ27およびRTC回路25に書き込み、復電時に、不揮発性メモリ27に記憶保持された停電直前までに積算した使用時間および停電発生時の日時を読み込むと共に、RTC回路25から出力される復電時の日時を読み込み、読み込んだ停電発生時の日時と復電時の日時との差分で停電時間を算出して、算出した停電時間を不揮発性メモリ27から読み込んだ使用時間に積算して新たな使用時間に更新するようにしたことで、使用時間として、通電時間、停電時間のそれぞれのデータを別々に格納しておく必要がなく、使用時間の記憶に用いる使用時間積算手段28のデータ容量が少なくて済むものである。
【0041】
なお、本発明は先に説明した一実施形態に限定されるものではなく、本実施形態では、屋外に設置された暖房ボイラ1に本発明を適用したが、屋内に設置されたものでもよく、暖房のオフシーズン中に電源コードのプラグがコンセントから抜かれて電力が遮断される、例えば、温風暖房機などの暖房装置に本発明を適用してもよいものである。
【符号の説明】
【0042】
1 暖房ボイラ
21 制御部
22 商用電源
25 リアルタイムクロック回路(RTC回路)
26 バックアップ電池
27 不揮発性メモリ
28 使用時間積算手段