【解決手段】処理部が、2つのリレー(22Ha,22La)に接続状態への切り替え指示をすると共に2つの補助リレー(23Ha,23La)をオン状態とさせた状態で経路Cが閉状態と判定したときに各リレーの接続状態への切り替え動作(動作Aa)が良好であると診断し、経路Cが開状態と判定したときに各リレーの少なくとも一方の動作Aaが不良の可能性があると診断する第1工程と、第1工程において動作Aaが良好であると診断した各リレーのいずれか一方に対して非接続状態への切り替え指示をした状態で経路Cが開状態と判定したときに一方のリレーの非接続状態への切り替え動作(動作Ab)が良好であると診断し、経路Cが閉状態と判定したときに一方のリレーの動作Abが不良であると診断する第2工程とを実行する。
測定用信号を出力する信号出力部の一方の端子と接触状態の接触対象に当該測定用信号を供給するための第1の測定用端子との接続状態および非接続状態を切り替え指示に従って切り替える第1のリレーと、前記信号出力部の他方の端子と接触状態の前記接触対象に前記測定用信号を供給するための第2の測定用端子との接続状態および非接続状態を前記切り替え指示に従って切り替える第2のリレーと、前記測定用信号を用いて被測定量を測定する測定部とを備えた測定装置であって、
前記各リレーの動作の良否を診断する診断処理を実行する処理部と、
第1の接点および第2の接点を有して当該各接点間を開閉してオン状態およびオフ状態を切り替えると共に、前記第1のリレーにおける前記第1の測定用端子に接続された接点に前記第1の接点が接続された第1補助リレーと、
第3の接点および第4の接点を有して当該各接点間を開閉してオン状態およびオフ状態を切り替えると共に、前記第2のリレーにおける前記第2の測定用端子に接続された接点に前記第3の接点が接続されかつ前記第1補助リレーにおける前記第2の接点に前記第4の接点が接続された第2補助リレーとを備え、
前記処理部は、前記診断処理において、
前記第1のリレーおよび前記第2のリレーの双方に対して前記接続状態への前記切り替え指示をすると共に前記第1の補助リレーおよび前記第2の補助リレーの双方をオン状態とさせた状態で前記測定部によって測定された前記被測定量に基づいて、当該各リレー、当該各補助リレーおよび前記信号出力部を含む経路が閉状態か開状態かを判定する判定処理を実行し、当該判定処理において前記経路が閉状態と判定したときに前記第1のリレーおよび前記第2のリレーの双方についての前記接続状態への切り替え動作が良好であると診断し、当該判定処理において前記経路が開状態と判定したときに前記第1のリレーおよび前記第2のリレーの少なくとも一方についての前記接続状態への切り替え動作が不良の可能性があると診断する第1工程と、
前記第1工程において前記第1のリレーおよび前記第2のリレーの双方の前記接続状態への切り替え動作が良好であると診断した場合に、当該各リレーのいずれか一方に対して前記非接続状態への前記切り替え指示をした状態で前記判定処理を実行し、当該判定処理において前記経路が開状態と判定したときに当該いずれか一方のリレーについての前記非接続状態への切り替え動作が良好であると診断し、当該判定処理において前記経路が閉状態と判定したときに当該いずれか一方のリレーについての前記非接続状態への切り替え動作が不良であると診断する第2工程とを実行する測定装置。
前記処理部は、前記第2工程において、前記接続状態への切り替え動作が良好であると診断した前記各リレーの他方に対して前記非接続状態への前記切り替え指示をした状態で前記判定処理を実行し、当該判定処理において前記経路が開状態と判定したときに当該他方のリレーについての前記非接続状態への切り替え動作が良好であると診断し、当該判定処理において前記経路が閉状態と判定したときに当該他方のリレーについての前記非接続状態への切り替え動作が不良であると診断する請求項1記載の測定装置。
前記測定部は、前記処理部によって全ての前記リレーの動作が良好と診断されたときに前記接触対象としての測定対象についての前記被測定量を測定する請求項1または2記載の測定装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、測定装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0014】
最初に、
図1に示す検査装置1の構成について説明する。検査装置1は、測定装置の一例が組み込まれた検査装置であって、回路基板(例えば、同図に示す回路基板100)についての検査を実行可能に構成されている。具体的には、検査装置1は、同図に示すように、信号出力部11、プローブ12Ha〜12Hc,12La〜12Lc、スキャナ部13、測定部14、操作部15および処理部16を備えて構成されている。この場合、信号出力部11、スキャナ部13、測定部14および処理部16における後述する検査部として機能する部分を除く部分によって測定装置が構成される。
【0015】
信号出力部11は、処理部16の制御に従って測定用信号Sm(例えば、直流電流)を出力する。なお、測定用信号Smは、直流電流に限定されず、交流電流であってもよい。
【0016】
プローブ12Ha〜12Hcは、第1の測定用端子に相当し、検査の際(被測定量を測定する際)に、接触対象としての回路基板100の導体パターン101a〜101c(
図1,6参照:以下、区別しないときには「導体パターン101」ともいう)に接触させられる。この場合、プローブ12Ha〜12Hcは、スキャナ部13における後述するリレー22Ha〜22Hc(
図2参照)を介して信号出力部11の高電位側端子21H(一方の端子に相当する:同図参照)にそれぞれ接続される。プローブ12La〜12Lcは、第2の測定用端子に相当し、プローブ12Ha〜12Hcと同様に検査の際に導体パターン101に接触させられる。また、プローブ12La〜12Lcは、スキャナ部13における後述するリレー22La〜22Lc(同図参照)を介して信号出力部11の低電位側端子21L(他方の端子に相当する:同図参照)にそれぞれ接続される。なお、以下の説明において、プローブ12Ha〜12Hcを区別しないときには「プローブ12H」ともいい、プローブ12La〜12Lcを区別しないときには「プローブ12L」ともいう。また、プローブ12H,12Lを区別しないときには「プローブ12」ともいう。
【0017】
スキャナ部13は、
図2に示すように、リレー22Ha〜22Hc(第1のリレーに相当する)、リレー22La〜22Lc(第2のリレーに相当する)、補助リレー23Ha〜23Hc(第1の補助リレーに相当する)および補助リレー23La〜23Lc(第2の補助リレーに相当する)を備えて構成されている。なお、以下の説明において、リレー22Ha〜22Hcを区別しないときには「リレー22H」ともいい、リレー22La〜22Lcを区別しないときには「リレー22L」ともいう。また、リレー22H,22Lを区別しないときには「リレー22」ともいう。また、補助リレー23Ha〜23Hcを区別しないときには「補助リレー23H」ともいい、補助リレー23La〜23Lcを区別しないときには「補助リレー23L」ともいう。また、補助リレー23H,23Lを区別しないときには「補助リレー23」ともいう。
【0018】
各リレー22は、一例として、アーマチュアリレーやリードリレー等のメカニカルリレーで構成されている。また、各リレー22Hは、
図2に示すように、信号出力部11の高電位側端子21Hに接続された接点32Ha(可動接点)、プローブ12H(第1の測定用端子)に接続された接点32Hb、および接点32Hcを備え、処理部16の切り替え指示(処理部16から出力される後述する指示信号Sa,Sb)に従って接点32Ha,32Hb間を開閉することにより、信号出力部11の高電位側端子21Hと各プローブ12Hとの接続状態および非接続状態を切り替える。この場合、同図では、接点32Haを可動接点としているが、接点32Hbを可動接点としてもよい。また、各リレー22Lは、同図に示すように、信号出力部11の低電位側端子21Lに接続された接点32La(可動接点)、プローブ12L(第2の測定用端子)に接続された接点32Lb、および接点32Lcを備え、処理部16の切り替え指示(指示信号Sa,Sb)に従って接点32La,32Lb間を開閉することにより、信号出力部11の低電位側端子21Lと各プローブ12Lとの接続状態および非接続状態を切り替える。この場合、同図では、接点32Laを可動接点としているが、接点32Lbを可動接点としてもよい。なお、同図および後述する
図4〜
図6では、リレー22の等価的な接点のみを示し、接点を除く部分の図示を省略する。また、この接点に関して、上記のように「リレー22」という。
【0019】
各補助リレー23は、一例として、フォトMOSリレーやアナログスイッチ等の半導体リレーで構成されている。また、各補助リレー23Hは、
図2に示すように、接点33Ha(可動接点:第2の接点に相当する)、リレー22Hの接点32Hbに接続された接点33Hb(第1の接点に相当する)、および接点33Hcを備え、処理部16の切り替え指示(処理部16から出力される後述する指示信号Sc,Sd)に従って接点33Ha,33Hb間を開閉することにより、オン状態およびオフ状態を切り替える。この場合、同図では、接点33Haを可動接点としているが、接点33Hbを可動接点としてもよい。また、各リレー23Lは、同図に示すように、接点33La(可動接点:第4の接点に相当する)、リレー32Lの接点32Lbに接続された接点33Lb(第3の接点に相当する)、および接点33Lcを備え、処理部16の切り替え指示(指示信号Sc,Sd)に従って接点33La,33Lb間を開閉することにより、オン状態およびオフ状態を切り替える。この場合、同図では、接点33Laを可動接点としているが、接点33Lbを可動接点としてもよい。また、同図に示すように、各補助リレー23Hの各接点33Haと各補助リレー23Lの各接点33Laとは、互いに接続されている。なお、
図2および後述する
図4〜
図6では、補助リレー23の等価的な接点のみを示し、接点を除く部分の図示を省略する。また、この接点に関して、上記のように「補助リレー23」という。
【0020】
測定部14は、処理部16の制御に従って測定用信号Smに基づいて被測定量(例えば、抵抗値Rm)を測定する。
【0021】
操作部15は、各種の操作が可能に構成され、各操作に応じた操作信号Soを出力する(
図1参照)。
【0022】
処理部16は、操作部15から出力される操作信号Soに従って検査装置1を構成する各構成要素を制御する。具体的には、処理部16は、信号出力部11による測定用信号Smの出力を制御する。また、処理部16は、スキャナ部13を構成する各リレー22に指示信号Sa,Sbを出力して、各リレー22による上記した接続状態および非接続状態の切り替えを制御すると共に、スキャナ部13を構成する各補助リレー23に指示信号Sc,Sdを出力して、各補助リレー23によるオン状態およびオフ状態の切り替えを制御する。また、処理部16は、測定部14を制御して、被測定量を測定させる。
【0023】
また、処理部16は、
図3に示す診断処理50を実行して、各リレー22の動作の良否を診断する。また、処理部16は、検査部として機能し、測定部14によって測定された被測定量に基づいて回路基板100を検査する。
【0024】
次に、検査装置1を用いて回路基板100を検査する方法、および検査装置1において実行される診断処理50について、図面を参照して説明する。
【0025】
検査に先立ち、スキャナ部13を構成する各リレー22の動作の良否を診断する。具体的には、操作部15を操作して診断処理の開始を指示する。この際に、操作部15が操作信号Soを出力し、処理部16が操作信号Soに従って
図3に示す診断処理50を実行する。
【0026】
診断処理50では、処理部16は、まず、スキャナ部13の各リレー22に対して非接続状態への切り替え(つまり各リレー22のオフ状態)を指示する指示信号Sbを出力すると共に、スキャナ部13の各補助リレー23に対してオフ状態への切り替えを指示する指示信号Sdを出力する(ステップ51)。
【0027】
続いて、処理部16は、各リレー22の中から、1つのリレー22H(例えば、リレー22Ha)および1つのリレー22L(例えば、リレー22La)を診断対象のリレー22として選択する(ステップ52)。
【0028】
次いで、処理部16は、リレー22Ha,22Laの双方に対して接続状態への切り替え(つまり各リレー22のオン状態)を指示する指示信号Saを出力すると共に、リレー22Haに接続されている補助リレー23Haおよびリレー22Laに接続されている補助リレー23Laの双方に対してオン状態への切り替えを指示する指示信号Scを出力する(ステップ53)。
【0029】
続いて、処理部16は、信号出力部11に対して測定用信号Smの出力を指示し、これに応じて、信号出力部11が測定用信号Smを出力する(ステップ54)。
【0030】
次いで、処理部16は、測定部14に対して被測定量の測定を指示し、これに応じて、測定部14が、信号出力部11から出力される測定用信号Smとしての電流の電流値、およびリレー22Ha,22La間の電圧値に基づき、被測定量としてのリレー22Ha,22La間(具体的には、リレー22Haの接点32Haとリレー22Laの接点32Laとの間)の抵抗値Rmを測定する(ステップ55)。
【0031】
続いて、処理部16は、測定部14によって測定された抵抗値Rmに基づいて、リレー22Ha,22La、補助リレー23Ha,23Laおよび信号出力部11を含む経路C(
図4参照)、より具体的には、信号出力部11の高電位側端子21Hからリレー22H(この例ではリレー22Ha)、補助リレー23H(この例では補助リレー23Ha)、補助リレー23L(この例では補助リレー23La)およびリレー22L(この例ではリレー22La)を経由して信号出力部11の低電位側端子21Lに向かう経路Cが測定用信号Smの流れている状態である閉状態(クローズ状態)か測定用信号Smの流れていない状態である開状態(オープン状態)かを判定する判定処理を実行する(ステップ56)。
【0032】
この場合、
図4に示すように、リレー22Ha,22Laがオン状態となり、補助リレー23Ha,23Laがオン状態となっているとき、つまり、経路Cが閉状態のときには、経路Cに測定用信号Smが流れて、各リレー22内部の接触抵抗、各補助リレー23内部の接触抵抗、および、これらを接続する導線の各抵抗値の合成抵抗値に相当する抵抗値Rmが測定部14によって測定される。このため、処理部16は、上記したステップ56において、この合成抵抗値よりもやや大きい値に規定された規定値Rrと抵抗値Rmとを比較して、抵抗値Rmが規定値Rr以下のときには、経路Cが閉状態であると判定する。
【0033】
一方、
図5に示すように、リレー22Ha,22Laのいずれか一方(例えば、リレー22Ha)がオン状態となっていない(非接続状態のままとなっている)とき、つまり、経路Cが開状態となっているときには、測定用信号Smが流れないため、抵抗値Rmが規定値Rrよりも大きい値となる。このため、処理部16は、上記したステップ56において、抵抗値Rmが規定値Rrよりも大きいときには、経路Cが開状態であると判定する。
【0034】
次いで、処理部16は、リレー22Ha,22Laの接続状態への切り替え動作(つまりリレー22Hのオン状態への切り替え動作。以下、この動作を「動作Aa」ともいう)が良好であるか否かを診断する(ステップ57)。この場合、処理部16は、上記したステップ56において、経路Cが閉状態であると判定したときには、リレー22Ha,22Laの双方の動作Aaが良好であると診断する。また、処理部16は、ステップ56において、経路Cが開状態であると判定したときには、リレー22Ha,22Laのいずれか一方の動作Aaが不良の可能性があると診断する。なお、上記したステップ52〜ステップ57が第1工程に相当する。
【0035】
続いて、処理部16は、全てのリレー22の動作Aaの良否診断を行ったか否かを判別する(ステップ58)。この場合、この時点では、全てのリレー22の動作Aaの良否診断が終了していないため、処理部16は、上記したステップ52を実行して、次の一対のリレー22H,22L(例えば、
図2に示すリレー22Hb,22Lb)を選択し、次いで上記したステップ53〜ステップ58を実行する。
【0036】
続いて、処理部16は、全てのリレー22の動作Aaの良否診断が終了するまで上記したステップ52〜ステップ58を繰り返して実行する。
【0037】
次いで、処理部16は、ステップ58において、全てのリレー22の動作Aaの良否診断を行ったと判別したときには、良否診断が終了した各リレー22の中に一対のリレー22H,22Lの双方の動作Aaが良好と診断したものが存在するか否かを判別する(ステップ59)。
【0038】
この場合、処理部16は、ステップ59において、一対のリレー22H,22Lの双方の動作Aaが良好と診断したものが存在しないと判別したときには、診断結果(上記したステップ57における診断結果)を図外の表示部に表示させて(ステップ68)、診断処理50を終了する。
【0039】
一方、処理部16は、ステップ59において、一対のリレー22H,22Lの双方の動作Aaが良好と診断したもの(例えば、リレー22Ha,22La)が存在すると判別したときには、
図4に示すように、リレー22Ha,22La(対象のリレー22)の双方に対して指示信号Saを出力して対象のリレー22をオン状態とさせると共に、リレー22Ha,22Laに接続されている補助リレー23Ha,23La(対象の補助リレー23)の双方に対して指示信号Scを出力してオン状態とさせる。また、リレー22Ha,22La以外のリレー22(対象外のリレー22)に対して指示信号Sbを出力してオフ状態とさせると共に、補助リレー23Ha,23La以外の補助リレー23(対象外の補助リレー23)に対して指示信号Sdを出力してオフ状態とさせる(ステップ60)。
【0040】
続いて、処理部16は、リレー22Ha,22Laのいずれか一方(例えば、リレー22Ha)に対して指示信号Sbを出力する(ステップ61)。次いで、処理部16は、信号出力部11に対する測定用信号Smの出力の指示、および測定部14に対する被測定量(抵抗値Rm)の測定の指示を行う(ステップ62)。
【0041】
続いて、処理部16は、測定部14によって測定された抵抗値Rmに基づいて(抵抗値Rmと規定値Rrとを比較して)経路Cが閉状態か開状態かを判定する判定処理を実行すると共に、判定処理の結果に基づいてリレー22Ha(一方のリレー22)の非接続状態への切り替え動作(つまりリレー22Hのオフ状態への切り替え動作。以下、この動作を「動作Ab」ともいう)が良好であるか否かを診断する(ステップ63)。
【0042】
この場合、抵抗値Rmが規定値Rrよりも大きいときには、測定用信号Smが流れていない、つまり、
図5に示すように、リレー22Haが指示信号Sbに従ってオン状態からオフ状態に切り替わって経路Cが開状態となったと考えられる。したがって、処理部16は、上記したステップ63の判定処理において経路Cが開状態であると判定したときには、リレー22Haの動作Abが良好であると診断する。
【0043】
一方、抵抗値Rmが規定値Rr以下のときには、測定用信号Smが流れている、つまり、リレー22Haが指示信号Sbに従ってオン状態からオフ状態に切り替わらずに、
図4に示すように、経路Cが閉状態のままとなっていると考えられる。したがって、処理部16は、上記したステップ63の判定処理において経路Cが閉状態であると判定したときには、リレー22Haの動作Abが不良であると診断する。
【0044】
次いで、処理部16は、リレー22Ha(一方のリレー22)に対して指示信号Saを出力してオン状態とさせる(ステップ64)。続いて、処理部16は、リレー22Ha,22Laの他方(この例では、リレー22La)に対して指示信号Sbを出力する(ステップ65)。次いで、処理部16は、信号出力部11に対する測定用信号Smの出力の指示、および測定部14に対する被測定量(抵抗値Rm)の測定の指示を行う(ステップ66)。
【0045】
続いて、処理部16は、上記したステップ63と同様にして、判定処理を実行すると共に、判定処理の結果に基づいてリレー22La(他方のリレー22)の動作Abが良好であるか否かを診断する(ステップ67)。
【0046】
次いで、処理部16は、一対のリレー22H,22Lの双方の動作Aaが良好と診断したものが他に存在するときには、そのリレー22H,22Lを対象として上記したステップ60〜ステップ67を実行する。なお、上記したステップ59〜ステップ67が第2工程に相当する。続いて、処理部16は、診断結果(上記したステップ63,67における診断結果)を図外の表示部に表示させて(ステップ68)、診断処理50を終了する。以上により、スキャナ部13を構成する各リレー22の動作の良否の診断が終了する。
【0047】
次いで、回路基板100の検査を開始するときには、
図6に示すように、検査対象の回路基板100に形成されている導体パターン101(接触対象)の各被接触位置(プロービングポイント)に各プローブ12を接触(プロービング)させる。この場合、同図に示すように、回路基板100には、例えば、3つの導体パターン101a〜101cが形成され、各導体パターン101a〜101cにそれぞれ2つの被接触位置が規定されているものとし、1つの導体パターン101の2つの被接触位置にプローブ12H,12Lを1つずつ接触させるものとする。
【0048】
続いて、操作部15を操作して検査(例えば、回路基板100の各導体パターン101間の絶縁検査)の開始を指示する。この際に、操作部15が操作信号Soを出力し、処理部16が操作信号Soに従って検査を開始する。
【0049】
この検査では、処理部16は、上記した診断処理50において、全てのリレー22の動作Aa,Abが良好と診断したか否かを判別する。この場合、処理部16は、診断処理50において、1つ以上のリレー22の動作Aa,Abが不良であると診断したときには、その旨を図外の表示部に表示させて、検査を停止する。
【0050】
一方、処理部16は、診断処理50において、全てのリレー22の動作Aa,Abが良好と診断したときには、絶縁検査の対象とする2つの導体パターン101として、例えば、導体パターン101a,101b(
図6参照)を選択する。次いで、処理部16は、全てのリレー22に対して、指示信号Sbを出力してオフ状態とさせると共に、全ての補助リレー23に対して指示信号Sdを出力してオフ状態とさせる(同図参照)。続いて、処理部16は、導体パターン101aに接触しているプローブ12Haに接続されているリレー22Ha、および導体パターン101bに接触しているプローブ12Lbに接続されているリレー22Lbに対して指示信号Saを出力して各リレー22Ha,22Lbをオン状態とさせる。
【0051】
次いで、処理部16は、信号出力部11に測定用信号Smを出力させ、続いて、測定部14に被測定量としてのリレー22Ha,22Lb間(導体パターン101a,101b間)の抵抗値Rmを測定させる。次いで、処理部16は、抵抗値Rmと予め規定された規定値とを比較し、抵抗値Rmが規定値以上のときには、導体パターン101a,101b間の絶縁状態が良好と判定し、抵抗値Rmが規定値未満のときには、導体パターン101a,101b間の絶縁状態が不良と判定する。続いて、処理部16は、絶縁検査の対象とする2つの導体パターン101の組み合わせを変更して選択し、上記した手順で各導体パターン101間の絶縁検査を実行する。次いで、処理部16は、全ての組み合わせについての各導体パターン101間の絶縁検査が終了したときには、検査結果を図外の表示に表示させて検査処理を終了する。
【0052】
このように、この検査装置1では、リレー22Hに接続された補助リレー23Hと、リレー22Lに接続された補助リレー23Lとを備え、処理部16が、補助リレー23H,23Lを用いてリレー22H,22Lの接続状態への切り替え動作の良否を診断する第1工程と、補助リレー23H,23Lを用いてリレー22H,22Lの非接続状態への切り替え動作の良否を診断する第2工程とを実行する。このため、この検査装置1によれば、従来の構成とは異なり、リレー22の動作の良否を診断する際の診断用基板への交換が不要となるため、診断処理を容易に自動化することができる。また、この検査装置1によれば、診断用基板への交換が不要となるため、交換の際の接続ミス(人為的なミス)が排除される結果、その分、診断精度を十分に向上させることができる。
【0053】
また、この検査装置1によれば、処理部17が、第2工程において、リレー22H,22Lの双方についての動作Abの良否を診断することにより、リレー22H,22Lのいずれか一方のみについての動作Abの良否を診断する構成と比較して、各リレー22の動作Abの良否をより詳細に診断することができる。
【0054】
また、この検査装置1によれば、測定部14が処理部16によって全てのリレー22の動作が良好と診断されたときに測定対象についての被測定量を測定することにより、リレー22の動作が不良であるにも拘わらず測定が行われて、測定値が不正確となる事態を確実に防止することができる。
【0055】
なお、測定装置は、上記した構成に限定されない。例えば、上記の検査装置1では、第2工程においてリレー22H,22Lの双方についての動作Abの良否を診断しているが、第2工程においてリレー22H,22Lのいずれか一方のみについての動作Abの良否を診断する構成を採用することもできる。具体的には、例えば、上記した診断処理50のステップ63において一方のリレー22の動作Abが不良と診断したときに、ステップ64〜ステップ67を実行することなくステップ68を実行して診断処理50を終了する構成を採用することができる。
【0056】
また、被測定量としての抵抗値に基づいて経路Cが閉状態か開状態かを判定する判定処理を実行する例について上記したが、他の被測定量に基づいて判定処理を実行する構成を採用することもできる。一例として、測定部14が信号出力部1から出力される測定用信号Smの電流値を測定し、処理部16がその電流値に基づいて、経路Cが閉状態か開状態かを判定する構成を採用することができる。
【0057】
また、検査装置1に測定装置を適用した例について上記したが、単独の測定装置(検査機能を有していない測定装置)に適用することもできる。
【0058】
また、3つのリレー22Hおよび3つのリレー22Lを診断対象として有するスキャナ部13を備えた測定装置に適用した例について上記したが、リレー22H,22Lの数は、3つに限定されず、リレー22H,22Lをそれぞれ1つ、または、2つ、または、4つ以上有し、各リレー22H,22Lにそれぞれ接続された補助リレー23H,23Lを有するスキャナ部を備えた測定装置に適用することができる。
【0059】
また、リレー22をメカニカルリレーで構成し、補助リレー23を半導体リレーで構成した例について上記したが、リレー22を半導体リレーで構成したり、補助リレー23をメカニカルリレーで構成したり、両者をメカニカルリレーまたは半導体リレーで構成することもできる。