【解決手段】 支持体1と、第1電極2Aと、第2電極2Bと、を備え、第1電極2Aおよび第2電極2Bは、支持体1に配置されている検知装置A1を用意することと、第1電極2Aおよび第2電極2Bを対象体81に対向させることと、第1電極2Aおよび第2電極2Bによって構成されるキャパシタC1の容量の変化を検知することにより、対象体81内に存在する流体82の状態を検知することと、を備える。
前記検知装置において、前記第1電極は、前記第1表面の向く方向視において、前記第2電極および前記第3電極の間に配置されている、請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の方法。
環境センサを前記検知装置に設けることを更に備え、前記環境センサは、前記環境センサは、温度センサ、湿度センサ、照度センサ、あるいは、ガスセンサを含む、請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の検知装置は、たとえば、対象体内に存在する流体の状態を検知するためのものである。対象体内の流体の状態には、たとえば、流体の有無、流体の量、および、流体の増加速度あるいは減少速度が含まれる。流体の一例は、水あるいは薬液であるが、これに限定されない。対象体は、たとえば、植物の茎や、医療用の点滴器具の一部や、水道管である。対象体が植物の茎である場合、当該植物は、たとえば、トマトなどの野菜、苺などの果物である。対象体が植物の茎である場合、検知装置によって、植物の茎内に存在する水分量を検知することができる。植物の茎内の水分量を検知できると、たとえば、当該検知量に基づき、植物の茎内の水分量を調整することができる。これにより、水ストレスを与えることによる果物や野菜の高糖度化が容易となる。対象体が医療用の点滴器具の一部である場合には、当該点滴器具の一部は、たとえば輸液ボトル、点滴筒、あるいは、輸液チューブである。検知装置によって、点滴容器の一部に存在する薬液を検知することができる。これにより、たとえば病院等にて、患者への点滴の終了の有無や薬液の減少速度をより正確に知ることができる。対象体が水道管である場合には、検知装置によって、水道管内のある箇所に存在する水の有無を検知できる。
【0010】
<第1実施形態>
図1〜
図7を用いて、本開示の第1実施形態について説明する。
【0011】
図1は、第1実施形態の検知装置の使用状態を示す斜視図である。
【0012】
同図に示す検知装置A1は、対象体81内に存在する流体82の状態を検知するためのものである。具体的には、対象体81は、たとえば、植物(より具体的にはトマトや苺)の茎である。流体82は、たとえば水である。検知装置A1は、植物の茎内に存在する流体82の量(本実施形態では、水分量に対応する相対量)を検知することができる。
【0013】
図2は、第1実施形態の検知装置の断面図である。
図3は、
図2に示した検知装置の一部を示す断面図である。
図3に示すように、検知装置A1は、支持体1と、第1電極2Aと、第2電極2Bと、第3電極2Cと、第1連絡電極26Aと、第2連絡電極26Bと、第3連絡電極26Cと、第1裏面電極28Aと、第2裏面電極28Bと、第3裏面電極28Cと、絶縁層31と、を備える。
【0014】
支持体1は、たとえば第1電極2Aおよび第2電極2B等を支持している。本実施形態において、支持体1は絶縁性の配線基板である。支持体1はフレキシブル基板であることが好ましい。本実施形態では、支持体1における、第1電極2Aと第2電極2Bとの間の部位と、支持体1における第1電極2Aと第3電極2Cとの間の部位と、が屈曲している。支持体1は基板には限定されず、どのようなものであってもよい。支持体1は、互いに反対側を向く支持体表面11および支持体裏面12を有する。本実施形態では、支持体表面11および支持体裏面12は平坦である。本実施形態とは異なり、支持体1は、伸縮性のあるゴムバンドのような輪状のものであってもよい。
【0015】
図4は、
図3に示した構成の上面図(支持体表面11側から見た図であり、絶縁層31を省略)である。
【0016】
第1電極2A、第2電極2B、および第3電極2Cは、支持体1に配置されている。本実施形態では、第1電極2A、第2電極2B、および第3電極2Cは、支持体1における支持体表面11に配置されている。第1電極2A、第2電極2B、および第3電極2Cは導電材料よりなる。このような導電材料の一例として、たとえば、Cu、Ag、およびAuが挙げられる。第1電極2A、第2電極2B、および第3電極2Cは、一種類の材料よりなっていてもよいし、複数種類の材料よりなっていてもよい。本実施形態では、第1電極2A、第2電極2B、および第3電極2Cは、各々矩形状である。
【0017】
第1電極2Aと、第2電極2Bと、第3電極2Cは、キャパシタC1(
図7参照)を構成する。本実施形態では、第1電極2Aはセンサ電極である。本実施形態ではまた、第2電極2Bおよび第3電極2Cはグラウンド電極である。すなわち、第2電極2Bおよび第3電極2Cがグラウンド接続される。したがって、第1電極2Aと、第2電極2Bと、により構成される第1キャパシタ部、および、第1電極2Aと、第3電極2Cと、により構成される第2キャパシタ部によって、キャパシタC1が構成される。
【0018】
第1電極2A、第2電極2B、および第3電極2Cは、それぞれ、第1表面21A、第2表面21B、および第3表面21Cを有する。本実施形態では、第1表面21A、第2表面21B、および第3表面21Cは、各々、平坦である。本実施形態とは異なり、第1表面21A、第2表面21B、および第3表面21Cは、平面ではなく、曲面であってもよい。本実施形態では、第1表面21A、第2表面21B、および第3表面21Cは各々矩形状である。本実施形態とは異なり、第1表面21A、第2表面21B、および第3表面21Cは各々矩形状でなく、他の形状であってもよい。本実施形態では、第1表面21Aの向く方向視において、第1電極2Aが、第2電極2Bおよび第3電極2Cの間に配置されている。
【0019】
図6は、第1実施形態の複数の電極を模式的に示す図である。
【0020】
第1表面21Aおよび第2表面21Bは、互いに90度以上の角度K1をなすことが好ましい。第1表面21Aおよび第2表面21Bは、互いに145度以上の角度K1をなすことが更に好ましい。支持体1が柔軟である場合(たとえばフレキシブル基板である場合)、検知装置A1の使用の際に、角度K1は変化しうる。角度K1は、常に90度以上であることが好ましく、常に145度以上であることが更に好ましい。角度K1の上限は、180度であることが好ましい。本実施形態では、第1表面21Aおよび第2表面21Bが互いなす角度K1は、常に、約170度である。ただし、場合によっては、角度K1が90度未満になってもよい。
【0021】
図4に示すように、本実施形態では、第1表面21Aの面積は、第2表面21Bの面積よりも大きい。本実施形態では、第1表面21Aおよび第2表面21Bの離間する方向における第1表面21Aの寸法LAは、第1表面21Aおよび第2表面21Bの離間する方向における第2表面21Bの寸法LBよりも、大きい。
【0022】
図6に示すように、検知装置A1の使用の際、第1表面21Aには、第1極性の第1電荷29Aが蓄えられる。上述のように、第1電極2Aおよび第2電極2Bは、第1キャパシタ部を構成する。したがって、第1表面21Aに第1極性の第1電荷29Aが蓄えられている場合、第2表面21Bには、第1極性とは反対の第2極性の第2電荷29Bが蓄えられる。第1極性の電荷が正電荷である場合、第2極性の電荷は負電荷である。一方、第1極性の電荷が負電荷である場合、第2極性の電荷は正電荷である。
【0023】
第1表面21Aおよび第3表面21Cは、互いに90度以上の角度K2をなすことが好ましい。第1表面21Aおよび第3表面21Cは、互いに145度以上の角度K2をなすことが更に好ましい。支持体1が柔軟である場合(たとえばフレキシブル基板である場合)、検知装置A1の使用の際に、角度K2は変化しうる。角度K2は、常に90度以上であることが好ましく、常に145度以上であることが更に好ましい。角度K2の上限は、180度であることが好ましい。本実施形態では、第1表面21Aおよび第3表面21Cが互いなす角度K2は、常に、約170度である。ただし、場合によっては、角度K2が90度未満になってもよい。
【0024】
図4に示すように、本実施形態では、第1表面21Aの面積は、第3表面21Cの面積よりも大きい。本実施形態では、第1表面21Aおよび第3表面21Cの離間する方向における第1表面21Aの寸法LAは、第1表面21Aおよび第3表面21Cの離間する方向における第3表面21Cの寸法LCよりも、大きい。
【0025】
図4に示すように、第1表面21A、第2表面21B、および第3表面21Cの外郭形状(本実施形態では矩形)の縦寸法L1は、当該外郭形状の横寸法L2よりも、大きくてもよい。たとえば、
図4とは異なり、
図5に示すように、第1表面21A、第2表面21B、および第3表面21Cの外郭形状(本実施形態では矩形)の縦寸法L3は、当該外郭形状の横寸法L4よりも、小さくてもよい。
【0026】
上述のように、第1電極2Aおよび第3電極2Cは、第2キャパシタ部を構成する。したがって、検知装置A1の使用の際に、第1表面21Aに第1極性の第1電荷29Aが蓄えられている場合、第3表面21Cには、第1極性とは反対の第2極性の第3電荷29Cが蓄えられる。
【0027】
ある変形例においては、第2電極2Bおよび第3電極2Cがグラウンド接続されず、第1電極2Aがグラウンド接続されていてもよい。この場合、第1電極2Aと、第2電極2Bと、により構成されるキャパシタ部、および、第1電極2Aと、第3電極2Cと、により構成されるキャパシタ部によって、キャパシタが構成される。この場合においても、検知装置A1の使用の際に、第1表面21Aに第1極性の第1電荷29Aが蓄えられている場合、第2表面21Bには第1極性とは反対の第2電荷29Bが蓄えられ、第3表面21Cには第1極性とは反対の第2極性の第3電荷29Cが蓄えられる。
【0028】
第1裏面電極28A、第2裏面電極28B、および第3裏面電極28Cは、支持体1の支持体裏面12に配置されている。第1裏面電極28A、第2裏面電極28B、および第3裏面電極28Cは、導電材料よりなる。このような導電材料の一例として、たとえば、Cu、Ag、およびAuが挙げられる。第1裏面電極28A、第2裏面電極28B、および第3裏面電極28Cは、一種類の材料よりなっていてもよいし、複数種類の材料よりなっていてもよい。
【0029】
第1連絡電極26A、第2連絡電極26B、および第3連絡電極26Cは、導電材料よりなる。このような導電材料の一例として、たとえば、Cu、Ag、およびAuが挙げられる。第1連絡電極26A、第2連絡電極26B、および第3連絡電極26Cは、一種類の材料よりなっていてもよいし、複数種類の材料よりなっていてもよい。
【0030】
第1連絡電極26Aは、第1表面21Aおよび第1裏面電極28Aに接している。これにより、第1表面21Aおよび第1裏面電極28Aが導通している。本実施形態では、第1連絡電極26Aは、支持体1を貫通している。第2連絡電極26Bは、第2表面21Bおよび第2裏面電極28Bに接している。これにより、第2表面21Bおよび第2裏面電極28Bが導通している。本実施形態では、第2連絡電極26Bは、支持体1を貫通している。第3連絡電極26Cは、第3表面21Cおよび第3裏面電極28Cに接している。これにより、第3表面21Cおよび第3裏面電極28Cが導通している。本実施形態では、第3連絡電極26Cは、支持体1を貫通している。
【0031】
図3に示した例とは異なり、裏面電極28A,28B,28Cおよび連絡電極26A,26B,26Cが形成されていなくてもよい。そして、支持体1の支持体裏面12(好ましくは全面)にグラウンド接続された電極(接地板)が設けられていてもよい。これにより、外部環境からのコンデンサC1への干渉を抑制できる。
【0032】
絶縁層31は、支持体1に配置されている。絶縁層31は、第1電極2Aと、第2電極2Bと、第3電極2Cとを覆っている。絶縁層31は、たとえば、半導体装置の分野で用いられるレジスト層と称される層である。絶縁層31は、このようなレジスト層でなくてもよく、カプトン、ポリカーボネート、ガラス、アクリル、またはABS樹脂から構成されていてもよい。
【0033】
図7は、第1実施形態の検知装置のブロック図である。
【0034】
図2、
図7に示すように、本実施形態では、検知装置A1は、基板50と、センサIC51と、制御部52と、駆動部53と、通信部55と、記憶部56と、インジケータ58と、電源59と、保持部材61と、柔軟部65と、を備える。
【0035】
保持部材61は、対象体81を保持するための部材である。保持部材61は、たとえばクリップである。保持部材61は、第1部品611と、第2部品612と、を含む。第2部品612は、第1部品611に対して軸63を中心に回動可能に固定されている。第1部品611および第2部品612は、たとえば、樹脂よりなる。第1部品611内に、基板50と、センサIC51と、制御部52と、駆動部53と、通信部55と、記憶部56と、が配置されている。一方、第2部品612内に、電源59が配置されている。
【0036】
第1部品611は、第1把持部611Hおよび第1保持面611Aを有する。第2部品612は、第2把持部621Hおよび第2保持面621Aを有する。
【0037】
第1把持部611Hおよび第2把持部621Hは、検知装置A1の使用者が指で、保持部材61を把持するための部位である。第1保持面611A側および第2保持面621A側にて、支持体1が、第1保持面611Aおよび第2保持面621Aに対し相対的に固定されている。第1把持部611Hおよび第2把持部621Hに少なくとも1つの追加の電極を設けて、当該少なくとも1つの追加の電極と使用者の指との間の静電容量の変化に基づき、人の指の接触の有無を検知してもよい。このことにより、いたずら防止、無断取り外しの検知、あるいは脱落検知などに検知装置A1を応用できる。
【0038】
柔軟部65は、支持体1と第1保持面611Aとの間、および、支持体1と第2保持面621Aとの間に配置されている。柔軟部65は、たとえばウレタンゴムよりなる。柔軟部65は、第1電極2A、第2電極2B、および第3電極2Cを覆う絶縁層31を、より適切に対象体81に当接させるためのものである。
【0039】
図2に示す基板50は、たとえば配線基板である。本実施形態では、基板50には、センサIC51と、制御部52と、駆動部53と、通信部55と、記憶部56と、が配置されている。基板50において、センサIC51と、制御部52と、駆動部53は、通信部55および記憶部56とは反対側に配置されている。
【0040】
図2、
図7に示すセンサIC51は、第1電極2Aと、第2電極2Bと、第3電極2Cとに電気的に接続している。センサIC51は、第1電極2Aと、第2電極2Bと、第3電極2Cとにより構成されたキャパシタC1の容量に対応する信号を、第1電極2Aと、第2電極2Bと、第3電極2Cとから受ける。センサIC51は、当該信号をA/D変換し、キャパシタC1の容量に対応する容量信号S1を送る。
【0041】
図2、
図7に示す制御部52は、センサIC51から容量信号S1を受け、所望の処理を行う。制御部52の一例は、MCU(Micro Controller Unit)である。MCUと同一のモジュール内に、環境センサ(たとえば、温度センサ、湿度センサ、照度センサ、あるいは、ガスセンサ)が設けられていてもよい。制御部52は、通信信号S2を生成する。通信信号S2は、容量信号S1に由来する。一例としては、制御部52は、センサIC51から受けた容量信号S1をしきい値と比較し、容量信号S1が当該しきい値を越えていた場合、通信信号S2を生成する。本実施形態では、通信信号S2は、通信部55に送られる。
【0042】
図2、
図7に示す駆動部53は、たとえばドライバICであり、制御部52が制御する。記憶部56は所望のデータ(たとえば制御部52における処理に用いるデータ)を記憶する。記憶部56は、たとえばメモリーカードである。この場合、検知装置A1にメモリーカードを差し込めるスロットを設けておいてもよい。あるいは、記憶部56からデータをUSBメモリによって取り出し可能としてもよい。通信部55は、制御部52から受けた通信信号S2を、検知装置A1外の通信部71に送る。本実施形態では、通信部55はワイヤレス通信を用いて、通信信号S2を送る。通信部71が受けた通信信号S2は、制御部72により処理される。本実施形態とは異なり、検知装置は、ワイヤレス通信を用いずに、有線で外部と接続されていてもよい。なお、通信信号S2は、ゲートウェイ等を経由して伝達されてもよい。ワイヤレス通信が用いられている場合には、ゲートウェイを経由した後にクラウドサーバに伝達されてもよい。有線接続されている場合には、ゲートウェイを経由した後に(クラウドではない)データサーバに伝達されてもよい。
【0043】
図1、
図7に示すインジケータ58は、たとえば、液晶ディスプレイやLEDである。インジケータ58は、水分量の程度によって色分け表示や文字を表示しうる。これにより、作業者が直感的に水分量を直感的に認識できる。インジケータ58は、制御部52により制御される。
【0044】
図2に示す電源59は、制御部52や駆動部53に電力を供給する。本実施形態では、電源59は充電式のものである。電源59はソーラ発電機能を有していても良い。
図7に示すように、モータ製品57(たとえば、送風機、温風機、あるいはポンプ)が駆動部53に接続されていてもよい。
【0045】
検知装置A1の使用方法について説明する。
【0046】
まず、上述した検知装置A1を用意する。次に、検知装置A1における第1電極2Aおよび第2電極2Bを対象体81(
図1参照)に対向させる。このとき、第1表面21Aおよび第2表面21Bが互いに90度以上の角度K1(
図6参照)をなす状態で、第1表面21Aおよび第2表面21Bを対象体81に対向させる。本実施形態では、検知装置A3における第3電極2Cも対象体81に対向させる。このとき、対象体81に対向させることは、第1表面21Aおよび第3表面21Cが互いに90度以上の角度K2をなす状態で、第1表面21Aおよび第3表面21Cを対象体81に対向させる。
【0047】
次に、第1電極2Aと、第2電極2Bと、第3電極2Cによって構成されるキャパシタC1の容量の変化を検知することにより、対象体81内に存在する流体82の状態を検知する。流体82の状態を検知する際、第1電極2Aと第2電極2Bとの間に電圧が印加されており、第1電極2Aと第3電極2Cとの間に電圧が印加されている。そのため、
図6に示すように、第1表面21Aには、第1極性の第1電荷29Aが蓄えられ、第2表面21Bには、第1極性とは反対の第2極性の第2電荷29Bが蓄えられている。また、第3表面21Cには、第2極性の第3電荷29Cが蓄えられている。そして、第1電荷29Aの量、第2電荷29Bの量、および第3電荷29Cの量は、対象体81内の流体82の状態に基づき変化しうる。この際、第1電極2Aの第1表面21Aと第2電極2Bの第2表面21Bとの間に電界が形成され、また、第1電極2Aの第1表面21Aと第3電極3Bの第3表面31Bの間に電界が形成される。
【0048】
流体82の比誘電率は、空気の比誘電率と異なる。たとえば、流体82が水である場合には、比誘電率は約80である。したがって、流体の有無や流量の変化に伴って誘電率が変化し、それによってキャパシタC1の容量の変化を検知する(具体的には、上述の電界に流体81が干渉することによって、キャパシタC1の容量の変化を検知する)ことにより、対象体81内の流体82の状態を検知できる。本実施形態では、たとえば、検知装置A1を用いることにより、対象体81(植物の茎)内の検知装置A1近傍における流体82の状態(水分量や水分量の変化)を検知することができる。植物の茎内の水分量を検知できると、たとえば、当該検知量に基づき、植物の茎内の水分量を調整することができる。これにより、水ストレスを与えることによる果物や野菜の高糖度化が容易となる。
【0049】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0050】
本実施形態においては、第1電極2Aおよび第2電極2Bによって構成されるキャパシタC1の容量の変化を検知することにより、対象体81内に存在する流体82の状態を検知する。このような構成によると、対象体81内の流体82の状態を検知できる新たな方法を提供することができる。
【0051】
本実施形態においては、第1電極2Aおよび第3電極2Cによって構成されるキャパシタC1の容量の変化を検知することにより、対象体81内に存在する流体82の状態を検知する。このような構成によると、より適格に、対象体81内の流体82の状態を検知できる。
【0052】
本実施形態においては、センサIC51と、制御部52と、駆動部53とは、保持部材61における第1部品611内に配置されている。このような構成によると、キャパシタC1の容量を検知する際のノイズの原因となりうる部品を、第1電極2A、第2電極2B、および第3電極2Cからより離間させることができる。これにより、より適切にキャパシタC1の容量の変化を検知できる。なお、人体、金属、商用電源が外来ノイズとなりうる。外来ノイズの影響を抑制するためには、電極2AとセンサIC51の間の配線長を極力短くすることが好ましい。
【0053】
<第2実施形態>
図8〜
図11を用いて、本開示の第2実施形態について説明する。
【0054】
なお、以下の説明では、上記と同一または類似の構成については上記と同一の符号を付し、説明を適宜省略する。
【0055】
図8は、第2実施形態の検知装置の使用状態を示す図である。
図9は、第2実施形態の検知装置の断面図である。
図10は、
図9に示した構成の底面図(支持体裏面側から見た図であり、一部構成省略)である。
【0056】
これらの図に示す検知装置A2は、支持体1と、第1電極2Aと、第2電極2Bと、第3電極2Cと、絶縁層31と、粘着層33と、被覆層35と、センサIC51と、制御部52と、駆動部53と、通信部55と、記憶部56と、インジケータ58と、電源59と、を備える。
【0057】
検知装置A2は、粘着層33と、被覆層35と、を備える点において、検知装置A1と異なる。また、検知装置A2は、センサIC51と、制御部52と、駆動部53と、通信部55と、記憶部56と、支持体1の支持体裏面12に配置されている点において、検知装置A1と異なる。検知装置A2における支持体1は、検知装置A1における支持体1よりも硬い配線基板である。本実施形態では、対象体81は、医療用の点滴器具の一部である。当該点滴器具の一部は、たとえば輸液ボトル、点滴筒、あるいは、輸液チューブである。
【0058】
粘着層33は、対象体81の側面に貼り付け可能な材料よりなる。被覆層35は、セパレータと称されるものである。検知装置A2の使用開始前にて粘着層33の表面を保護する。検知装置A2の使用の際に被覆層35を粘着層33から剥離し、粘着層33を露出させる。
【0059】
本実施形態では、
図10に示すように、センサIC51と、制御部52と、駆動部53と、通信部55と、記憶部56との少なくとも1つが、第1電極2Aと第2電極2Bとの間の隙間、あるいは、第1電極2Aと第3電極2Cとの間の隙間のいずれか1つに、重なっている。特に、センサIC51が、第1電極2Aと第2電極2Bとの間の隙間、あるいは、第1電極2Aと第3電極2Cとの間の隙間のいずれか1つに重なっていることが好ましい。これにより、センサIC51と第1電極2A、第2電極2B、あるいは第3電極2Cとの間に生じうる寄生容量の低減を図ることができる。また、電極2A等とセンサIC51間にて寄生容量が生じうる。したがって、電極2A等とセンサIC51間の配線長をより短くすることが好ましい。センサIC51以降の信号はデジタル化されている為、外来ノイズの影響は受けにくい。
【0060】
電源59は、センサIC51等を覆う絶縁層上に配置されている。本実施形態では、たとえば、電源59はソーラ発電する機能を有する。
【0061】
検知装置A2を使用する際は、検知装置A2における粘着層33から被覆層35を剥がし、粘着層33を対象体81の側面に貼り付ける(
図8、
図11参照)。この状態で、第1電極2Aにおける第1表面21Aと、第2電極2Bにおける第2表面21Bと、第3電極2Cにおける第3表面21Cと、を対象体81に対向させる。そして、検知装置A1に関して述べたのと同様に、対象体81内の流体82の状態を検知できる。すなわち本実施形態では、点滴容器の一部に存在する流体82(本実施形態では薬液)を検知することができる。これにより、たとえば病院等にて、患者への点滴の終了の有無や薬液の減少速度を知ることができる。
【0062】
本実施形態においては、第1電極2Aおよび第2電極2Bによって構成されるキャパシタC1の容量の変化を検知することにより、対象体81内に存在する流体82の状態を検知する。このような構成によると、対象体81内の流体82の状態を検知できる新たな方法を提供することができる。
【0063】
本実施形態においては、第1電極2Aおよび第3電極2Cによって構成されるキャパシタC1の容量の変化を検知することにより、対象体81内に存在する流体82の状態を検知する。このような構成によると、より適格に、対象体81内の流体82の状態を検知できる。
【0064】
図12に示すように、検知装置における電極21A,21B,21Cが、同図に示すように縦に細長い電極であってもよい。そして、これらの電極が輸液ボトルの側面に貼り付けられる。
図12に示す構成により、流体82の変化量をリニアに検知できる。あるいは、
図13に示すように、検知装置における電極21A,21B,21Cが、縦に配列させつつ、輸液ボトルの側面に貼り付けられてもよい。
【0065】
本開示は、上述した実施形態に限定されるものではない。本開示の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0066】
一変形例においては、キャパシタC1の容量値に基づき断線を検知する機能を検知装置が備えていてもよい。当該機能においては、キャパシタC1の容量値が検出上限、あるいは、下限(ゼロ値)に到達したことにより、断線を検知するとよい。
【0067】
一変形例においては、検知装置が加速度センサを備えていてもよい。当該加速度センサの出力値により、電極の脱落を検知する機能を検知装置が備えていてもよい。更に、検知装置がセルフテスト機能を有していてもよい。当該セルフテスト機能においては、上記加速度センサの出力値をモニタすることにより、検知装置が脱落/落下/傾斜(外れかけ)していないことを確認するとよい。
【0068】
一変形例においては、取得した信号(容量値や加速度)にタイムスタンプを付与できる機能を検知装置が有していてもよい。取得信号の解析/データ処理を容易にさせ、外部機器との連携も可能にさせる。
【0069】
一変形例においては、検知装置がGPSを備えていてもよい。検知装置が、このGPSにより検知装置の設置位置を把握できる機能を有していてもよい。ビニルハウスや病院などの広大なエリアで検知装置を使用する場合、遠隔からのモニタを容易にさせる。他の変形例においては、検知装置の設置高さを記録できる機能を検知装置が有していてもよい。また、検知装置が巻き取り式メジャーなどを更に有していてもよい。
【0070】
本開示は、以下の付記を含む。
[付記1]
支持体と、第1電極と、第2電極と、を備え、前記第1電極および前記第2電極は、前記支持体に配置されている検知装置を用意することと、
前記第1電極および前記第2電極を対象体に対向させることと、
前記第1電極および前記第2電極によって構成されるキャパシタの容量の変化を検知することにより、前記対象体内に存在する流体の状態を検知することと、を備える、方法。
[付記2]
前記支持体は、互いに反対側を向く支持体表面および支持体裏面を有し、
前記第1電極および前記第2電極は、前記支持体表面に配置されている、付記1に記載の方法。
[付記3]
前記検知装置は、前記支持体に配置された第3電極を備え、
前記第1電極と、前記第2電極と、前記第3電極は、前記キャパシタを構成し、
前記対象体に対向させることは、前記第3電極を前記対象体に対向させることを含む、付記1または付記2に記載の方法。
[付記4]
前記第1電極の第1表面および前記第2電極の第2表面は、平坦であり、
前記対象体に対向させることは、前記第1表面および前記第2表面が互いに90度以上の角度をなす状態で、前記第1表面および前記第2表面を前記対象体に対向させることを含み、
前記流体の状態を検知することにおいては、前記第1電極の前記第1表面と前記第2電極の前記第2表面との間に電界が形成され、当該電界に前記流体が干渉することによって、前記キャパシタの前記容量の変化を検知する、付記3に記載の方法。
[付記5]
前記第3電極の前記第3表面は、平坦であり、
前記対象体に対向させることは、前記第1表面および前記第3表面が互いに90度以上の角度をなす状態で、前記第1表面および前記第3表面を前記対象体に対向させることを含み、
前記流体の状態を検知することにおいては、前記第1電極の前記第1表面と前記第3電極の前記第3表面との間に電界が形成され、当該電界に前記流体が干渉することによって、前記キャパシタの前記容量の変化を検知する、付記4に記載の方法。
[付記6]
前記検知装置において、前記第1電極は、前記第1表面の向く方向視において、前記第2電極および前記第3電極の間に配置されている、付記3ないし付記5のいずれかに記載の方法。
[付記7]
前記検知装置は、前記支持体に配置され、前記第1電極および前記第2電極を覆う絶縁層を更に備える、付記1ないし付記6のいずれかに記載の方法。
[付記8]
前記キャパシタの前記容量に基づき断線を検知することを更に備え、
前記断線を検知することは、前記容量の値が検出上限あるいは検出下限に到達したことにより、行う、付記1に記載の方法。
[付記9]
加速度センサの出力値に基づき、前記検知装置の脱落を検知することを更に備える、付記1に記載の方法。
[付記10]
セルフテスト機能を実行することを更に備え、
前記セルフテスト機能を実行することにおいては、前記加速度センサの出力値をモニタすることにより、前記検知装置が脱落、落下、あるいは、傾斜していないことを確認する、付記9に記載の方法。
[付記11]
前記検知装置において取得した信号にタイムスタンプを付与することを更に備える、付記1に記載の方法。
[付記12]
前記検知装置にGPSを設けることと、
前記GPSによって前記検知装置の設置位置を把握することと、を更に備える、付記1に記載の方法。
[付記13]
前記検知装置の接地高さを記録することを更に備える、付記1に記載の方法。
[付記14]
巻取り式メジャーを前記検知装置に設けることを更に備える、付記1に記載の方法。
[付記15]
環境センサを前記検知装置に設けることを更に備え、前記環境センサは、前記環境センサは、温度センサ、湿度センサ、照度センサ、あるいは、ガスセンサを含む、付記1に記載の方法。
[付記16]
支持体と、
前記支持体に配置された第1電極と、
前記支持体に配置された第2電極と、を備え、
前記第1電極および前記第2電極は、キャパシタを構成し、
前記第1電極および前記第2電極を対象体に対向させた時に前記キャパシタの容量が変化し、前記容量の変化は、前記対象体内の流体の状態に基づく、検知装置。
[付記17]
前記支持体は、互いに反対側を向く支持体表面および支持体裏面を有し、
前記第1電極および前記第2電極は、前記支持体表面に配置されている、付記16に記載の検知装置。
[付記18]
前記支持体に配置された第3電極を更に備え、
前記第1電極と、前記第2電極と、前記第3電極は、前記キャパシタを構成し、
前記第1電極と、前記第2電極と、前記第3電極を前記対象体に対向させた時に前記キャパシタの前記容量が変化し、前記容量の変化は、前記対象体内の前記流体の状態に基づく、付記16または付記17に記載の検知装置。
[付記19]
前記第1電極は、第1表面を有し、前記第2電極は、第2表面を有し、
前記第1電極の前記第1表面と前記第2電極の前記第2表面との間に電界が形成され、当該電界に前記流体が干渉することによって、前記キャパシタの前記容量が変化し、
前記第1表面および前記第2表面は、平坦であり、且つ、互いに90度以上の角度をなす、付記18に記載の検知装置。
[付記20]
前記第3電極は、第3表面を有し、
前記第1電極の前記第1表面と前記第3電極の前記第3表面との間に電界が形成され、当該電界に前記流体が干渉することによって、前記キャパシタの前記容量が変化し、
前記第3表面は、平坦であり、前記第1電極および前記第3電極は、互いに90度以上の角度をなす、付記19に記載の検知装置。
[付記21]
前記第1電極は、前記第1表面の向く方向視において、前記第2電極および前記第3電極の間に配置されている、付記19または付記20に記載の検知装置。
[付記22]
前記支持体に配置され、前記第1電極および前記第2電極を覆う絶縁層を更に備える、付記16ないし付記21のいずれかに記載の検知装置。
[付記23]
前記第1電極および前記第2電極に電気的に接続しており、前記容量に対応する容量信号を送るセンサICと、
前記センサICから送られた前記容量信号を受ける制御部と、
前記制御部が制御する駆動部と、
前記制御部に電力を供給する電源と、を更に備える、付記16ないし付記22のいずれかに記載の検知装置。
[付記24]
前記制御部に接続し、前記容量信号に由来する通信信号を送る通信部を更に備え、
前記通信部は、ワイヤレス通信を用いて、前記通信信号を送る、付記23に記載の検知装置。
[付記25]
前記対象体を保持する保持部材を更に備え、
前記保持部材は、第1部品と、第2部品と、を含み、前記第2部品は、前記第1部品に対して回動可能に固定されており、
前記第1部品は、第1保持面を有し、前記第2部品は、第2保持面を有し、
前記支持体は、前記第1保持面側および前記第2保持面側にて、前記第1保持面および前記第2保持面に対し相対的に固定されており、
前記センサICと、前記制御部と、前記駆動部とは、前記第1部品内に配置されており、
前記電源は、前記第2部品内に配置されている、付記23または付記24に記載の検知装置。
[付記26]
前記支持体と前記第1保持面との間、および、前記支持体と前記第2保持面との間に配置された柔軟部を更に備える、付記25に記載の検知装置。
[付記27]
前記センサICと前記制御部と前記駆動部とが配置された基板を更に備える、付記25または付記26に記載の検知装置。
[付記28]
前記センサICと、前記制御部と、前記駆動部とは、前記支持体に配置されており、
前記第1電極および前記第2電極は、前記センサICと、前記制御部と、前記駆動部とは、前記支持体を挟んで反対側に配置されている、付記23または付記24に記載の検知装置。
[付記29]
前記第1電極および前記第2電極に重なる粘着層と、
前記粘着層を覆う被覆層と、を更に備える、付記27に記載の検知装置。
[付記30]
少なくとも1つの追加の電極を更に備え、
前記第1部品は、使用者が把持するための把持部を含み、前記検知装置は、前記使用者の指と前記少なくとも1つの追加の電極との間の静電容量の変化に基づき、前記指の前記把持部への接触の有無を検知する、付記25に記載の検知装置。
[付記31]
前記流体の状態を表示するインジケータを更に備える、付記16に記載の検知装置。