【解決手段】半導体装置が、ソース線を駆動するソース出力回路部と、複数の共通電極から受け取ったタッチ検出信号に基づいて液晶表示パネルへの物体の接触を検知するタッチ検出回路部とを具備する。表示装置の各垂直同期期間は、表示データに対応するソース線を駆動する表示期間と、表示期間後に設けられた遷移期間と、遷移期間後に設けらたタッチ検出期間とを含む。ソース出力回路部は、遷移期間において、ソース線のそれぞれにダミーパルスを出力する動作を行った後、ソース線を所定電位に設定し、表示期間の最後の水平同期期間において、ダミーパルス出力動作において、第2表示データに依存する電圧レベルを有する第1極性の第1ダミーパルスを第1ソース線に出力すると共に、第1表示データに依存する電圧レベルを有する第2極性の第2ダミーパルスを第2ソース線に出力する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら実施形態を説明する。以下の説明において、同一又は対応する構成要素を、同一又は対応する参照符号によって参照することがあることに留意されたい。
【0015】
図1Aは、一実施形態における表示装置100の構成を概略的に示すブロック図である。表示装置100は、液晶表示パネル1と、タッチコントローラ内蔵表示ドライバ2とを備えている。表示装置100は、アプリケーションプロセッサ3から表示データを受け取り、受け取った表示データに対応する画像を液晶表示パネル1に表示するように構成されている。加えて、表示装置100は、液晶表示パネル1に導電体(典型的には、人体の指)が接触している位置を検出するタッチ検出を行うように構成されている。
【0016】
液晶表示パネル1は、アクティブ領域4とGIP回路5とを備えている。アクティブ領域4には、複数のゲート線6と複数のソース線7と複数の画素回路8と複数の共通電極9とが配置される。画素回路8は、行列に配置されており、各画素回路8は、対応するゲート線6とソース線7とが交差する位置に設けられている。共通電極9も、行列に配置されている。一実施形態では、画素回路8は、選択トランジスタと、画素電極と、保持容量とを含んでいてもよい。この場合、各画素回路8の画素電極と共通電極9の間に駆動電圧が印加され、画素電極と共通電極9の間に存在する液晶の配向が、該画素電極と共通電極9の間に発生する電界によって制御される。
【0017】
図1Bは、液晶表示パネル1の各画素10の構成を示す図である。各画素10は、赤(R)、緑(G)、青(B)をそれぞれ表示する3つの画素回路8を含んでいる。赤を表示する画素回路8は、R副画素として用いられ、緑を表示する画素回路8は、G副画素として用いられ、青を表示する画素回路8は、B副画素として用いられる。本実施形態では、各ソース線7は、同一の色を表示する画素回路8に接続されている。詳細には、赤を表示する画素回路8に接続されたソース線7、緑を表示する画素回路8に接続されたソース線7、及び、青を表示する画素回路8に接続されたソース線7が、繰り返して配置されている。
【0018】
以下においては、同一のゲート線6に接続された画素回路8を、総称して“水平ライン”と記載することがある。即ち、画素回路8は、複数の水平ラインを構成するように液晶表示パネル1に配置されている。
【0019】
図1Aに戻り、GIP回路5は、タッチコントローラ内蔵表示ドライバ2から受け取った制御信号に応じてゲート線6を駆動するゲートドライバ回路として動作する。本実施形態では、アクティブ領域4の左右に一対のGIP回路5が設けられている。GIP回路5は、SoG(System on Glass)技術によって液晶表示パネル1に集積化されている。
【0020】
本実施形態では、アクティブ領域4に行列に配置された共通電極9が、タッチ検出の検出電極として用いられる。自己容量方式によるタッチ検出が行われる場合、各共通電極9の自己容量が検出される。一方、相互容量方式によるタッチ検出が行われる場合、液晶表示パネル1に駆動電極(図示されない)が設けられ、共通電極9と該駆動電極の間に形成される相互容量が検出される。
【0021】
タッチコントローラ内蔵表示ドライバ2は、下記のように動作する半導体装置である。第1に、タッチコントローラ内蔵表示ドライバ2は、液晶表示パネル1のソース線7に接続されたソース出力を有しており、アプリケーションプロセッサ3から受け取った表示データに応じて液晶表示パネル1のソース線7を駆動する。第2に、タッチコントローラ内蔵表示ドライバ2は、アプリケーションプロセッサ3から受け取った制御データに応じてゲート制御信号をGIP回路5に供給してGIP回路5を制御する。
【0022】
加えて、タッチコントローラ内蔵表示ドライバ2は、タッチ検出のための動作を行う。より具体的には、タッチコントローラ内蔵表示ドライバ2は、液晶表示パネル1の各共通電極9の静電容量を検出し、検出された各共通電極9の静電容量から、液晶表示パネル1に導電体が接触している位置を検出する。自己容量方式によるタッチ検出が行われる場合、タッチコントローラ内蔵表示ドライバ2は、共通電極9の自己容量を検出し、検出された自己容量から液晶表示パネル1に導電体が接触している位置を検出する。相互容量方式によるタッチ検出が行われる場合、タッチコントローラ内蔵表示ドライバ2は、駆動電極と共通電極9との間に形成される相互容量を検出し、検出された相互容量に基づいて液晶表示パネル1に導電体が接触している位置を検出する。タッチコントローラ内蔵表示ドライバ2は、液晶表示パネル1に導電体が接触している位置を示すタッチ検出データを生成し、生成したタッチ検出データをアプリケーションプロセッサ3に送信する。
【0023】
図2は、
図1Aの構成の表示装置100の動作の一例を示すタイミングチャートである。各垂直同期期間(フレーム期間)は、表示期間、遷移期間及びタッチ検出期間を含んでいる。表示期間とは、表示データに応じて各画素回路8を駆動する期間である。遷移期間とは、各ソース線7を所定の電位(最も典型的には、接地電位)に設定して液晶表示パネルの電気的状態を安定化する機関である。タッチ検出期間とは、共通電極9の静電容量に基づいてタッチ検出を行う期間である。また、
図2には、タッチ検出期間が各垂直同期期間の最後に設けられているとして表示装置100の動作が図示されているが、実際の実装においては、各垂直同期期間(60Hz周期の場合は約16ms)の間に、数個〜数十個のタッチ検出期間が設けられ得ることに留意されたい。
【0024】
本実施形態では、表示期間において各画素回路8に供給される駆動電圧に、2つの「極性」がある。本明細書では、駆動電圧の「極性」は、表示期間における共通電極9の電圧(「共通レベルV
COM」と呼ばれる。)を基準として定義される。「正極性」の駆動電圧とは、共通レベルV
COMよりも高い駆動電圧を意味しており、「負極性」の駆動電圧とは、共通レベルV
COMよりも低い駆動電圧を意味している。本実施形態では、共通レベルV
COMが、タッチコントローラ内蔵表示ドライバ2の回路接地の電位(接地電位GND)に一致される。この場合、駆動電圧の極性は、タッチコントローラ内蔵表示ドライバ2の回路接地を基準として定義した極性に一致する。
【0025】
図3は、本実施形態における、表示データに記述された階調値と、「正極性」の駆動電圧及び「負極性」の駆動電圧との対応の一例を示している。本実施形態では、表示データは、各画素回路8の階調値を8ビットの値で記述している。
図3において、V0
+〜V255
+は、それぞれ、階調値“0”〜“255”に対応する「正極性」の駆動電圧を示しており、V0
−〜V255
−は、それぞれ、階調値“0”〜“255”に対応する「負極性」の駆動電圧を示している。「正極性」の駆動電圧V0
+〜V255
+は、いずれも、接地電位GNDよりも高く、対応する階調値が小さいほど高い電圧レベルを有している。一方、「負極性」の駆動電圧V0
−〜V255
−は、いずれも、接地電位GNDよりも低く、対応する階調値が小さいほど低い電圧レベルを有している。
【0026】
本実施形態では、表示期間において反転駆動が行われる。反転駆動とは、各画素回路8に供給される駆動電圧の極性を、特定の周期で反転させる駆動方法である。最も典型的には、各画素回路8に供給される駆動電圧の極性が、時間的に隣接する垂直同期期間の間で反転され、この場合、各画素回路8に供給される駆動電圧の極性が反転される周期は、2垂直同期期間になる。反転駆動を行う場合、各垂直同期期間において、正極性の駆動電圧で駆動される画素回路8の数と、負極性の駆動電圧で駆動される画素回路8の数とが、なるべく近くなるように、最も典型的には、同一であるように、各画素回路8に供給される駆動電圧の極性が選択される。これは、液晶表示パネル1の平均の電圧の変動を抑制するためである。
【0027】
本実施形態では、水平方向(ゲート線6が延伸する方向)において隣接する画素回路8に供給される駆動電圧の極性が逆であるように、各画素回路8に供給される駆動電圧の極性が設定される。
図4は、各垂直同期期間において各画素回路8に書き込まれる駆動電圧の極性のパターンの一例を示している。
図4は、いわゆるカラム反転駆動により液晶表示パネル1が駆動される場合に各画素回路8に書き込まれる駆動電圧の極性のパターンを示している。ここで、
図4の左図は、奇数番目の垂直同期期間において各画素回路8に書き込まれる駆動電圧の極性のパターンを示し、右図は、偶数番目の垂直同期期間において各画素回路8に書き込まれる駆動電圧の極性のパターンを示している。カラム反転駆動では、同一カラムの画素回路8(同一のソース線7に接続される画素回路8)が同一の極性の駆動電圧で駆動され、隣接するカラムの画素回路8(隣接するソース線7に接続される画素回路8)は、反対の極性の駆動電圧で駆動される。
【0028】
なお、
図4には、カラム反転駆動が図示されているが、他の反転駆動、例えば、ドット反転駆動が用いられてもよい。ドット反転駆動では、水平方向(ゲート線6が延伸される方向)に隣接する画素回路8が反対の極性の駆動電圧で駆動され、更に、垂直方向(ソース線7が延伸される方向)に隣接する画素回路8が反対の極性の駆動電圧で駆動される。
【0029】
反転駆動を行う場合、各水平同期期間において、正極性の駆動電圧で駆動される画素回路8の数と、負極性の駆動電圧で駆動される画素回路8の数とが、なるべく近くなるように(通常は同一であるように)、各画素回路8に供給される駆動電圧の極性が選択されることが好ましい。これは、液晶表示パネル1全体についてのソース線7の平均の電圧をなるべく共通レベルV
COM(本実施形態では、接地電位)に近づけるためである。
【0030】
ただし、表示データの内容によっては、各水平同期期間におけるソース線7の平均の電圧が、接地電位から大きくずれてしまうことがある。
図5は、カラム反転駆動が行われる場合に、各水平同期期間におけるソース線7の平均の電圧が接地電位から大きくずれる場合の一例を示している。
図5の例では、最大階調値に対応する正極性の駆動電圧は0.2Vであり、最小階調値に対応する正極性の駆動電圧は5.2Vである。同様に、最大階調値に対応する負極性の駆動電圧は−0.2Vであり、最小階調値に対応する負極性の駆動電圧は−5.2Vである。
図5において、第(n−3)〜第n水平ライン(
図5では、「(n−3)
th Hライン」〜「n
th Hライン」と記載されている)は、最後の4水平同期期間において駆動される画素回路8の水平ラインである。
【0031】
図5の動作では、表示期間全体に渡って、奇数番目のソース出力S<6j−5>、S<6j−3>、S<6j−1>に接続されているソース線7は、最大階調値に対応する正極性の駆動電圧(0.2V)で駆動され、偶数番目のソース出力S<6j−4>、S<6j−2>、S<6j>に接続されているソース線7は、最大階調値に対応する負極性の駆動電圧(−5.2V)で駆動される。このような動作によって表示される画像は、液晶表示パネル1の観察者には、緑の縦線とマゼンタの縦線とが交互に配置された画像として観察されるから、「G−M縦ストライプ画像」と呼ぶことにする。
図5に図示されている動作の例では、全ての水平同期期間について、ソース線7に供給される駆動電圧の平均値は−2.5Vであり、接地電位から大きくずれていることが理解されよう。
【0032】
発明者の検討によれば、表示期間の終了時点におけるソース線7の平均の電圧が接地電位から大きくずれている状態で、表示期間に続く遷移期間において各ソース線7を接地電位に設定すると、タッチ検出において検出電極として用いられる共通電極9に印加されるノイズが大きくなり、タッチ検出の精度を劣化させる。詳細には、遷移期間において各ソース線7を接地電位に設定すると、ソース線7との容量カップリングにより、アクティブ領域4に位置する導体(例えば、ゲート線6)の電位が変動する。アクティブ領域4に位置する導体の電位の変動は、共通電極9にノイズを発生させる。
【0033】
一つの問題は、アクティブ領域4に位置する導体の電位の変動の時定数が大きいことである。
図6A、
図6Bは、アクティブ領域4に位置する導体の2つのモデル#1、#2を図示している。モデル#1は、アクティブ領域4に位置するゲート線6の電位変動のモデルを示しており、モデル#2は、アクティブ領域4に位置する他の導体の電位変動のモデルを示している。
図6Aを参照して、モデル#1においては、ゲート線6が、ソース線7と容量結合されると共に、GIP回路5の出力抵抗を介して接地される。R_gateは、ゲート線6の抵抗を示しており、R_gate driverは、GIP回路5の出力抵抗を示している。
図6Bを参照して、モデル#2においては、アクティブ領域4に位置する導体が、寄生容量によってソース線7と容量結合されると共に、寄生抵抗R_parasiticにより接地に接続される。
【0034】
これらのモデルによれば、アクティブ領域4に位置する導体の電位変動の時定数は、相当に大きく、このため、表示期間が終了した後、相当な時間にわたって該導体の電位は変動し続ける。
図7は、表示期間に続く遷移期間にソース線7が接地電位に設定される場合における、アクティブ領域4に位置する導体の電位の変動の例を示している。
図7においては、表示期間の最後の水平同期期間において、正極性の駆動電圧で駆動される画素回路8に駆動電圧V255
+(階調値255に対応する正極性の駆動電圧)が印加され、負極性の駆動電圧で駆動される画素回路8に駆動電圧V0
−(階調値0に対応する負極性の駆動電圧)が印加される場合が図示されている。
【0035】
一例としては、アクティブ領域4に位置する導体の抵抗が500Ωであり、ソース線7とのカップリング容量は、50nFである。この場合、時定数は25μsである。これは、概ね75μsの間、アクティブ領域4に位置する導体の電位が変動し続けることを意味している。
【0036】
アクティブ領域4に位置する導体の電位が変動すると、タッチ検出動作において検出電極として用いられる共通電極9にノイズが印加されるので、該導体の電位が大きく変動している間は、タッチ検出動作を行うことは困難である。これは、画像の表示の後、タッチ検出が開始可能になるまでの時間が長くなることを意味している。
【0037】
なお、液晶表示パネル1の平均の電圧が接地電位から大きくずれる画像は、反転駆動の種類に依存している。ただし、どのような反転駆動が行われる場合でも、液晶表示パネル1の平均の電圧が接地電位から大きくずれる画像が存在するから、液晶表示パネル1の平均の電圧が、接地電位から大きくずれる問題は、カラム反転駆動に限定されるものではないことに留意されたい。
【0038】
以下に述べられる実施形態では、アクティブ領域4に位置する導体の電位の変動を短時間で完了させ、画像の表示の後、タッチ検出が開始可能になるまでの時間を短縮するための技術が提示される。
【0039】
(第1の実施形態)
図8は、第1の実施形態におけるタッチコントローラ内蔵表示ドライバ2の構成を示すブロック図である。なお、以下では、記載の簡略化のために、タッチコントローラ内蔵表示ドライバ2を、単に「表示ドライバ2」と記載する。
【0040】
表示ドライバ2は、ソース出力回路部11と、パネル制御インターフェース12と、マルチプレクサ13と、共通電極電源回路14と、アナログフロントエンド15と、タッチコントローラ16とを備えている。
【0041】
ソース出力回路部11は、アプリケーションプロセッサ3から供給された表示データに応じて、ソース出力S<1>〜S<m>に接続されたソース線7を駆動する。ソース出力回路部11の構成及び動作は、後に詳細に説明する。
【0042】
パネル制御インターフェース12は、液晶表示パネル1のGIP回路5にゲート制御信号を供給する。
【0043】
マルチプレクサ13は、液晶表示パネル1の共通電極9に接続されており、共通電極9を共通電極電源回路14又はアナログフロントエンド15に接続する。詳細には、表示期間及び遷移期間においては、マルチプレクサ13は、共通電極9を共通電極電源回路14に接続し、タッチ検出期間においては、共通電極9をアナログフロントエンド15に接続する。
【0044】
共通電極電源回路14は、共通電極9を所望の共通電位に維持する。本実施形態では、共通電位は、接地電位(表示ドライバ2の回路接地の電位)に設定される。表示期間及び遷移期間においては、共通電極電源回路14が共通電極9に接続され、共通電極9が接地電位に維持される。
【0045】
アナログフロントエンド15及びタッチコントローラ16は、共通電極9から得られた検出信号に基づいてタッチ検出を行うタッチ検出回路部を構成している。
【0046】
アナログフロントエンド15は、タッチ検出のためのアナログ処理を行う。具体的には、アナログフロントエンド15は、タッチ検出期間において、各共通電極9から検出信号を取得し、該検出信号に対してアナログ−デジタル変換を行って容量検出データを生成する。容量検出データは、各共通電極9の静電容量に依存する値を有している。具体的には、自己容量方式によるタッチ検出が行われる場合、容量検出データは、各共通電極9の自己容量を示すデータとして生成され、相互容量方式によるタッチ検出が行われる場合、容量検出データは、各共通電極9と対応する駆動電極の間に形成される相互容量を示すデータとして生成される。相互容量方式によるタッチ検出が行われる場合、アナログフロントエンド15は、駆動電極を駆動する駆動回路を備えていてもよい。
【0047】
タッチコントローラ16は、アナログフロントエンド15から容量検出データを受け取り、受け取った容量検出データに対してタッチ検出のための演算を行い、該演算によって得られたタッチ検出結果(例えば、導電体が液晶表示パネル1に接触した位置)を示すタッチ検出データを生成する。生成されたタッチ検出データは、アプリケーションプロセッサ3に送信される。
【0048】
続いて、ソース出力回路部11の構成について説明する。ソース出力回路部11は、ラインラッチ21と、極性制御セレクタ回路22と、DAコンバータ回路23と、出力アンプ回路24と、出力マルチプレクサ回路25とを備えている。
【0049】
ラインラッチ21は、表示データをラッチして保存する。ある水平ラインの画素回路8の駆動を行う水平同期期間においては、該水平ラインの画素回路8の階調値を記述する表示データがラインラッチ21に保存される。ラインラッチ21は、それに保存されている表示データを、極性制御セレクタ回路22を介してDAコンバータ回路23に供給する。
【0050】
極性制御セレクタ回路22は、極性信号POLに応答して、ラインラッチ21の出力とDAコンバータ回路23の入力との間の接続関係を切り換える。ここで、極性信号POLとは、各画素回路8に供給される駆動電圧の極性を指定する信号である。
【0051】
DAコンバータ回路23は、ラインラッチ21から受け取った表示データに対してデジタル−アナログ変換を行って各ソース線7に対応する階調電圧を生成する。
【0052】
出力アンプ回路24は、DAコンバータ回路23から各ソース線7に対応する階調電圧を受け取り、受け取った階調電圧に対応する駆動電圧を生成する。本実施形態では、出力アンプ回路24は、受け取った階調電圧に対してインピーダンス変換を行い、受け取った階調電圧と同一の電圧レベルを有する駆動電圧を生成する。
【0053】
出力マルチプレクサ回路25は、極性信号POLに応答して、出力アンプ回路24の出力と、ソース出力S1〜Smの間の接続関係を切り換える。
【0054】
図9は、ソース出力回路部11のうち、2つのソース出力に対応する部分の構成を示す回路図である。
図9においては、奇数番目のソース出力が、符号“S
ODD”で示されており、偶数番目のソース出力が符号“S
EVEN”で示されている。極性制御セレクタ回路22は、マルチプレクサ31、32を備えている。DAコンバータ回路23は、正側DAコンバータ33と負側DAコンバータ34とを備えている。出力アンプ回路24は、正側アンプ35と、負側アンプ36と、接地ライン37と、スイッチ38とを備えている。出力マルチプレクサ回路25は、スイッチ39、40を備えている。
【0055】
ラインラッチ21は、ソース出力S
ODDに接続されたソース線7に対応する表示データD
ODDと、ソース出力S
EVENに接続されたソース線7に対応する表示データD
EVENとを出力するように構成されている。
【0056】
極性制御セレクタ回路22は、マルチプレクサ31、32の動作により、表示データD
ODD、D
EVENの一方を正側DAコンバータ33に供給し、他方を負側DAコンバータ34に供給する。
【0057】
正側DAコンバータ33及び負側DAコンバータ34は、表示データD
ODD、D
EVENに対応する階調電圧を生成する。詳細には、正側DAコンバータ33は、極性制御セレクタ回路22から受け取った表示データ(表示データD
ODD又はD
EVEN)に対してアナログ−デジタル変換を行って正極性の階調電圧を生成する。負側DAコンバータ34は、極性制御セレクタ回路22から受け取った表示データ(表示データD
EVEN又はD
ODD)に対してアナログ−デジタル変換を行って負極性の階調電圧を生成する。ここで、本明細書において、ソース線7に出力される駆動電圧と同様に、階調電圧の極性は、共通レベルV
COM(表示期間における共通電極9の電圧)を基準として定義される。「正極性」の階調電圧とは、共通レベルV
COMよりも高い階調電圧を意味しており、「負極性」の階調電圧とは、共通レベルV
COMよりも低い階調電圧を意味している。正側DAコンバータ33によって生成された正極性の階調電圧は、正側アンプ35に供給され、負側DAコンバータ34によって生成された負極性の階調電圧は、負側アンプ36に供給される。
【0058】
正側アンプ35は、正側DAコンバータ33から受け取った正極性の階調電圧に対応する駆動電圧を生成する。本実施形態では、正側アンプ35がボルテッジフォロアとして構成されており、正側アンプ35は、正側DAコンバータ33から受け取った階調電圧と同一の電圧レベルを有する駆動電圧を出力する。即ち、正側アンプ35から出力される駆動電圧は、正極性である。
【0059】
同様に、負側アンプ36は、負側DAコンバータ34から受け取った負極性の階調電圧に対応する駆動電圧を生成する。本実施形態では、負側アンプ36もボルテッジフォロアとして構成されており、負側アンプ36は、負側DAコンバータ34から受け取った階調電圧と同一の電圧レベルを有する駆動電圧を出力する。即ち、負側アンプ36から出力される駆動電圧は、負極性である。
【0060】
スイッチ38は、正側アンプ35の出力と接地ライン37のうちの一方を正側出力ノードN
OUTPに接続する。負側出力ノードN
OUTNは、負側アンプ36の出力に接続されている。
【0061】
スイッチ39は、正側出力ノードN
OUTPと負側出力ノードN
OUTNの一方をソース出力S
ODDに接続する。同様に、スイッチ40は、正側出力ノードN
OUTPと負側出力ノードN
OUTNの一方をソース出力S
EVENに接続する。
【0062】
続いて、第1の実施形態における表示ドライバ2の動作について説明する。
【0063】
図10は、第1の実施形態における表示ドライバ2の動作を示すタイミングチャートである。本実施形態では、表示ドライバ2が、遷移期間において、ソース線7を接地電位に設定する前に各ソース線7にダミーパルスを出力するダミーパルス出力動作を行う。各ソース線7に出力されるダミーパルスの極性は、表示期間の最後の水平同期期間に各ソース線7に出力される駆動電圧の極性と同一である。ここでいうダミーパルスの「極性」は、上述された駆動電圧及び階調電圧と同様に、共通レベルV
COM(表示期間における共通電極9の電圧)を基準として定義される。本実施形態では、共通レベルV
COMが表示ドライバ2の回路接地と一致しているので、ダミーパルスの「極性」は、表示ドライバ2の回路接地を基準として定義した極性と一致している。
【0064】
詳細には、最後の水平同期期間において正極性の駆動電圧が供給されたソース線7には、正極性のダミーパルス(即ち、共通レベルV
COMよりも高い電圧レベルを有するダミーパルス)が出力され、最後の水平同期期間において負極性の駆動電圧が供給されたソース線7には、負極性のダミーパルス(即ち、共通レベルV
COMよりも低い電圧レベルを有するダミーパルス)が出力される。
【0065】
各ソース線7に出力されるダミーパルスの電圧レベルは、表示期間が終了した時点におけるソース線7の平均の電圧の偏りを打ち消すように決定される。詳細には、最後の水平同期期間において正極性の駆動電圧で駆動されたソース線7に出力されるダミーパルスの電圧レベルは、最後の水平同期期間において負極性の駆動電圧で駆動されたソース線7の表示データに応じて決定される。また、最後の水平同期期間において負極性の駆動電圧で駆動されたソース線7に出力されるダミーパルスの電圧レベルは、最後の水平同期期間において正極性の駆動電圧で駆動されたソース線7の表示データに応じて決定される。
【0066】
各ソース線7にダミーパルスが出力された後、各ソース線7が、所定の電位、本実施形態では、接地電位GND(表示ドライバ2の回路接地の電位)に設定される。
【0067】
遷移期間に続くタッチ検出期間において、タッチ検出が行われる。タッチ検出期間においては、アナログフロントエンド15が、各共通電極9から検出信号を取得し、該検出信号に対してアナログ−デジタル変換を行って容量検出データを生成する。タッチコントローラ16は、アナログフロントエンド15から容量検出データを受け取り、受け取った容量検出データに対してタッチ検出のため演算を行い、該演算によって得られたタッチ検出結果(例えば、導電体が液晶表示パネル1に接触した位置)を示すタッチ検出データを生成する。生成されたタッチ検出データは、アプリケーションプロセッサ3に送信される。
【0068】
図9に図示されているソース出力回路部11の構成については、遷移期間において奇数番目のソース出力S
ODDから出力されるダミーパルスが、表示期間の最後の水平同期期間において偶数番目のソース出力S
EVENから出力される駆動電圧を指定する表示データに応じた電圧レベルを有するように生成され、偶数番目のソース出力S
ODDから出力されるダミーパルスが、表示期間の最後の水平同期期間において奇数番目のソース出力S
EVENから出力される駆動電圧を指定する表示データに応じた電圧レベルを有するように生成される。
【0069】
図11A〜
図11Cは、表示期間及び遷移期間におけるソース出力回路部11の動作を示す回路図である。
【0070】
図11Aは、表示期間の最後の水平同期期間におけるソース出力回路部11の動作を示している。最後の水平同期期間では、第n水平ライン(n
th Hライン)の画素回路8が駆動される。以下では、第n水平ラインの画素回路8のうち奇数番目のソース出力S
ODDに接続されている画素回路8が正極性の駆動電圧で駆動され、偶数番目のソース出力S
EVENに接続されている画素回路8が負極性の駆動電圧で駆動されるものとして説明する。
【0071】
表示期間の最後の水平同期期間においては、出力マルチプレクサ回路25のスイッチ39、40は、正側出力ノードN
OUTPをソース出力S
ODDに接続し、負側出力ノードN
OUTNをソース出力S
EVENに接続するように設定される。また、スイッチ38は、正側アンプ35の出力を正側出力ノードN
OUTPに接続するように設定される。
【0072】
ソース出力回路部11の各回路は、以下のように動作する。ラインラッチ21は、第n水平ラインのソース出力S
ODDに接続されている画素回路8の駆動電圧を指定する表示データD
ODD<n>及びソース出力S
EVENに接続されている画素回路8の駆動電圧を指定する表示データD
EVEN<n>を出力する。極性制御セレクタ回路22は、表示データD
ODD<n>を正側DAC33に供給し、表示データD
EVEN<n>を負側DAC34に供給する。正側DAC33は、表示データD
ODD<n>に対してデジタル−アナログ変換を行って正極性の階調電圧を生成し、負側DAC34は、表示データD
EVEN<n>に対してデジタル−アナログ変換を行って負極性の階調電圧を生成する。正側アンプ35は、正側DAC33から受け取った正極性の階調電圧に対応する正極性の駆動電圧を出力し、負側アンプ36は、負側DAC34から受け取った負極性の階調電圧に対応する負極性の駆動電圧を出力する。正側アンプ35から出力された正極性の駆動電圧は、ソース出力S
ODDに出力され、これにより、ソース出力S
ODDに接続された第n水平ラインの画素回路8が正極性の駆動電圧で駆動される。また、負側アンプ36から出力された負極性の駆動電圧は、ソース出力S
EVENに出力され、これにより、ソース出力S
EVENに接続された第n水平ラインの画素回路8が負極性の駆動電圧で駆動される。
【0073】
図11Bは、最後の水平同期期間に続いて行われるダミーパルス出力動作におけるソース出力回路部11の動作を示している。ダミーパルス出力動作においては、ラインラッチ21は、引き続き、第n水平ラインのソース出力S
ODDに接続されている画素回路8の駆動電圧を指定する表示データD
ODD<n>及びソース出力S
EVENに接続されている画素回路8の駆動電圧を指定する表示データD
EVEN<n>を出力し続ける。
【0074】
一方で、ダミーパルス出力動作では、極性制御セレクタ回路22が、表示データD
EVEN<n>を正側DAC33に供給し、表示データD
ODD<n>を負側DAC34に供給する。ここで、表示データD
EVEN<n>は、最後の水平同期期間において負極性の駆動電圧で駆動される画素回路8に供給される駆動電圧を指定するものであり、表示データD
ODD<n>は、最後の水平同期期間において第n水平ラインの正極性の駆動電圧で駆動される画素回路8に供給される駆動電圧を指定するものであることに留意されたい。
【0075】
正側DAC33は、表示データD
EVEN<n>に対してデジタル−アナログ変換を行って正極性の階調電圧を生成し、負側DAC34は、表示データD
ODD<n>に対してデジタル−アナログ変換を行って負極性の階調電圧を生成する。
【0076】
正側アンプ35は、正側DAC33から受け取った正極性の階調電圧に対応する正極性の駆動電圧を出力する。正側アンプ35から出力された正極性の駆動電圧はソース出力S
ODDに出力され、これにより、ダミーパルス出力動作において、ソース出力S
ODDに接続されたソース線7が正極性のダミーパルスで駆動される。このような動作においては、ソース出力S
ODDに接続されたソース線7に供給されるダミーパルスの電圧レベルが、表示データD
EVEN<n>によって決定されることになる。
【0077】
負側アンプ36は、負側DAC34から受け取った負極性の階調電圧に対応する負極性の駆動電圧を出力する。負側アンプ36から出力された負極性の駆動電圧は、ソース出力S
EVENに出力され、これにより、ダミーパルス出力動作において、ソース出力S
EVENに接続されたソース線7が負極性のダミーパルスで駆動される。このような動作においては、ソース出力S
EVENに接続されたソース線7に供給されるダミーパルスの電圧レベルが、表示データD
ODD<n>によって決定されることになる。
【0078】
図11Cは、ダミーパルス出力動作に続いて行われる遷移動作におけるソース出力回路部11の動作を示している。遷移動作では、スイッチ38が、接地ライン37を正側出力ノードN
OUTPに接続するように設定される。また、出力マルチプレクサ回路25のスイッチ39、40は、ソース出力S
ODD及びソース出力S
EVENの両方を、正側出力ノードN
OUTPに接続するように設定される。これにより、ソース出力S
ODD及びソース出力S
EVENの両方に接続されたソース線7が、接地電位に設定される。
【0079】
図12は、表示期間及び遷移期間における各ソース線7の電圧、及び、ソース線7の平均電圧の変化の一例を示している。
図12の例においても、カラム反転駆動が行われる。
図12の例では、最大階調値に対応する正極性の駆動電圧は0.2Vであり、最小階調値に対応する正極性の駆動電圧は5.2Vである。同様に、最大階調値に対応する負極性の駆動電圧は−0.2Vであり、最小階調値に対応する負極性の駆動電圧は−5.2Vである。
図12において、第(n−3)〜第n水平ライン(
図12では、「(n−3)
th Hライン」〜「n
th Hライン」と記載されている)は、最後の4水平同期期間において駆動される画素回路8の水平ラインである。
【0080】
図12に図示されている動作では、表示期間全体にわたって、奇数番目のソース出力S<6j−5>、S<6j−3>、S<6j−1>に接続されているソース線7は、最大階調値に対応する正極性の駆動電圧(0.2V)で駆動され、偶数番目のソース出力S<6j−4>、S<6j−2>、S<6j>に接続されているソース線7は、最大階調値に対応する負極性の駆動電圧(−5.2V)で駆動される。このような動作では、上述された「G−M縦ストライプ画像」が表示されることになる。
図12に図示されている動作の例では、全ての水平同期期間において、ソース線7に供給される駆動電圧の平均値は−2.5Vであり、表示期間が終了する時点におけるソース線7の平均の電圧は、接地電位から大きくずれていることが理解されよう。
【0081】
ここで、
図12に図示されている動作では、表示期間の後に行われるダミーパルス出力動作において、奇数番目のソース出力S<6j−5>、S<6j−3>、S<6j−1>に接続されているソース線7が、最後の水平同期期間において偶数番目のソース出力S<6j−4>、S<6j−2>、S<6j>に出力される駆動電圧を指定する表示データ、即ち、最小階調値を指定する表示データに応じたダミーパルスで駆動される。一方で、偶数番目のソース出力S<6j−4>、S<6j−2>、S<6j>に接続されているソース線7が、最後の水平同期期間において奇数番目のソース出力S<6j−5>、S<6j−3>、S<6j−1>に出力される駆動電圧を指定する表示データ、即ち、最大階調値を指定する表示データに応じたダミーパルスで駆動される。
【0082】
上述されている動作によれば、ダミーパルスが各ソース線7に出力されることによって、表示期間の終了時点におけるソース線7の平均の電圧のずれが打ち消され、アクティブ領域4に位置する導体の電位が、遷移期間においてソース線7が接地電位に設定されたときに最終的に移行する電位に早く近づく。よって、本実施形態の動作によれば、アクティブ領域4に位置する導体の電位の変動を短時間で完了させ、画像の表示の後、タッチ検出が開始可能になるまでの時間を短縮することができる。
【0083】
(第2の実施形態)
図13は、第2の実施形態における表示ドライバ2Aの構成を示すブロック図である。第2の実施形態の表示ドライバ2Aは、第1の実施形態の表示ドライバ2と類似した構成を有している。ただし、第2の実施形態の表示ドライバ2Aは、ダミー表示データ生成回路41と、セレクタ42と、レジスタ43とを備えている。なお、
図13においては、図面の見易さの観点から、パネル制御インターフェース12と、マルチプレクサ13と、共通電極電源回路14と、アナログフロントエンド15と、タッチコントローラ16は図示されていない。
【0084】
ダミー表示データ生成回路41は、ダミーパルス出力動作において各ソース線7に出力されるダミーパルスの電圧レベルを指定する階調値を記述するダミー表示データを生成する。セレクタ42は、表示期間においては、液晶表示パネル1に表示すべき画像に対応する表示データをソース出力回路部11のラインラッチ21に供給すると共に、ダミー出力動作を行う場合にダミー表示データをラインラッチ21に供給する。レジスタ43は、ダミー表示データ生成回路41を制御するレジスタ値を保持している。
【0085】
本実施形態では、ダミー表示データ生成回路41は、Nラインメモリ44と演算回路45とを備えている。Nラインメモリ44は、N水平ラインの画素回路8に対応する表示データを格納する容量を有している(Nは、2以上の整数)。演算回路45は、Nラインメモリ44に格納されている表示データに対して演算を行ってダミー表示データを生成する。ダミー表示データは、ダミーパルス出力動作が行われる直前にラインラッチ21に送られ、ダミーパルス出力動作においては、ダミー表示データに記述された階調値によって指定された電圧レベルを有するダミーパルスが各ソース線7に供給される。
【0086】
本実施形態では、表示期間の最後のM個の水平同期期間における表示データに基づいてダミー表示データが生成される(Mは、1以上N以下の整数)。Mは、レジスタ43のレジスタ値によって指定される。
図14は、レジスタ43に保存されているレジスタ値と、ダミー表示データの生成において参照される表示データとの関係を示す表である。一実施形態では、レジスタ43に保存されているレジスタ値がkである場合、ダミー表示データは、最後の(k+1)水平同期期間における表示データに基づいてダミー表示データが生成される。
【0087】
表示期間の最後の複数の水平同期期間における表示データに基づいてダミー表示データを生成すること(即ち、Mが2以上であること)は、より適正な電圧レベルを有するダミーパルスを生成するために有効である。発明者の検討によれば、遷移期間においてソース線7が接地電位に設定されたときにおけるアクティブ領域4に位置する導体の電位の変動は、最後の水平同期期間においてソース線7に供給された駆動電圧のみならず、その前の水平同期期間においてソース線7に供給された駆動電圧にも依存する。本実施形態の構成によれば、表示期間の最後の複数の水平同期期間における表示データに基づいてダミー表示データが生成可能なので、より適正な電圧レベルを有するダミーパルスを各ソース線7に供給することができる。
【0088】
なお、Mが1である場合には、表示期間の最後の水平同期期間における表示データに基づいてダミー表示データが生成される。この場合は、第1の実施形態におけるダミーパルス出力動作と同様にしてダミーパルスが生成される。
【0089】
図15A〜
図15Cは、本実施形態におけるソース出力回路部11の動作を示す回路図である。
【0090】
図15Aは、表示期間の最後の水平同期期間におけるソース出力回路部11の動作を示している。最後の水平同期期間では、第n水平ライン(n
th Hライン)の画素回路8が駆動される。第1の実施形態と同様に、以下では、第n水平ラインの画素回路8のうち奇数番目のソース出力S
ODDに接続されている画素回路8が正極性の駆動電圧で駆動され、偶数番目のソース出力S
EVENに接続されている画素回路8が負極性の駆動電圧で駆動されるものとして説明する。
【0091】
第2の実施形態におけるソース出力回路部11の表示期間の最後の水平同期期間における動作は、第1の実施形態と同様である。最後の水平同期期間においては、出力マルチプレクサ回路25のスイッチ39、40は、正側出力ノードN
OUTPをソース出力S
ODDに接続し、負側出力ノードN
OUTNをソース出力S
EVENに接続するように設定される。また、スイッチ38は、正側アンプ35の出力を正側出力ノードN
OUTPに接続するように設定される。
【0092】
ソース出力回路部11の各回路は、以下のように動作する。ラインラッチ21は、第n水平ラインのソース出力S
ODDに接続されている画素回路8の駆動電圧を指定する表示データD
ODD<n>及びソース出力S
EVENに接続されている画素回路8の駆動電圧を指定する表示データD
EVEN<n>を出力する。極性制御セレクタ回路22は、表示データD
ODD<n>を正側DAC33に供給し、表示データD
EVEN<n>を負側DAC34に供給する。正側DAC33は、表示データD
ODD<n>に対してデジタル−アナログ変換を行って正極性の階調電圧を生成し、負側DAC34は、表示データD
EVEN<n>に対してデジタル−アナログ変換を行って負極性の階調電圧を生成する。正側アンプ35は、正側DAC33から受け取った正極性の階調電圧に対応する正極性の駆動電圧を出力し、負側アンプ36は、負側DAC34から受け取った負極性の階調電圧に対応する負極性の駆動電圧を出力する。正側アンプ35から出力された正極性の駆動電圧は、ソース出力S
ODDに出力され、これにより、ソース出力S
ODDに接続された第n水平ラインの画素回路8が正極性の駆動電圧で駆動される。また、負側アンプ36から出力された負極性の駆動電圧は、ソース出力S
EVENに出力され、これにより、ソース出力S
EVENに接続された第n水平ラインの画素回路8が負極性の駆動電圧で駆動される。
【0093】
図15Bは、最後の水平同期期間に続いて行われるダミーパルス出力動作におけるソース出力回路部11の動作を示している。ダミーパルス出力動作が開始される直前に、ダミー表示データ生成回路41は、ダミー表示データをラインラッチ21に供給し、ダミーパルス出力動作においては、ラインラッチ21は、供給されたダミー表示データを出力する。ソース出力S
ODD、S
EVENに対応するダミー表示データは、
図15Bにおいて、ダミー表示データD
POSI_AVE、D
NEGA_AVEとして示されている。
【0094】
極性制御セレクタ回路22は、ダミー表示データD
NEGA_AVEを正側DAC33に供給し、ダミー表示データD
POSI_AVEを負側DAC34に供給する。正側DAC33は、ダミー表示データD
NEGA_AVEに対してデジタル−アナログ変換を行って正極性の階調電圧を生成し、負側DAC34は、ダミー表示データD
POSI_AVEに対してデジタル−アナログ変換を行って負極性の階調電圧を生成する。
【0095】
正側アンプ35は、正側DAC33から受け取った正極性の階調電圧に対応する正極性の駆動電圧を出力する。正側アンプ35から出力された正極性の駆動電圧はソース出力S
ODDに出力され、これにより、ダミーパルス出力動作において、ソース出力S
ODDに接続されたソース線7が正極性のダミーパルスで駆動される。負側アンプ36は、負側DAC34から受け取った負極性の階調電圧に対応する負極性の駆動電圧を出力する。負側アンプ36から出力された負極性の駆動電圧は、ソース出力S
EVENに出力され、これにより、ダミーパルス出力動作において、ソース出力S
EVENに接続されたソース線7が負極性のダミーパルスで駆動される。
【0096】
上述の動作では、ソース出力S
ODDに接続されたソース線7に供給されるダミーパルスの電圧レベルが、ダミー表示データD
NEGA_AVEによって設定され、ソース出力S
EVENに接続されたソース線7に供給されるダミーパルスの電圧レベルが、ダミー表示データD
POSI_AVEによって設定される。ダミー表示データD
POSI_AVE、D
NEGA_AVEは、以下のようにして算出される。なお、以下の説明においては、最後の水平同期期間において、ソース出力S
ODDに接続されたソース線7に供給される駆動電圧の極性が正極性であり、最後の水平同期期間においてソース出力S
EVENに接続されたソース線7に供給される駆動電圧の極性(即ち、ソース出力S
ODDに接続されたソース線7に供給されるダミーパルスの極性)が、負極性であるとして説明を行う。この場合、ソース出力S
ODDに接続されたソース線7に供給されるダミーパルスは正極性であり、ソース出力S
EVENに接続されたソース線7に供給されるダミーパルスは負極性である。
【0097】
ソース出力S
ODDに接続されたソース線7に供給される正極性のダミーパルスの電圧レベルを指定するダミー表示データD
NEGA_AVEは、最後のM個の水平同期期間において、最後のM個の水平同期期間においてソース出力S
ODD、S
EVENに接続されたソース線7に供給される駆動電圧を指定する表示データのうち、負極性の駆動電圧に対応する表示データに基づいて生成される。同様に、ソース出力S
EVENに接続されたソース線7に供給される負極性のダミーパルスの電圧レベルを指定するダミー表示データD
POSI_AVEは、最後のM個の水平同期期間において、最後のM個の水平同期期間においてソース出力S
ODD、S
EVENに接続されたソース線7に供給される駆動電圧を指定する表示データのうち、正極性の駆動電圧に対応する表示データに基づいて生成される。
【0098】
例えば、カラム反転駆動が行われる場合には、最後のM個の水平同期期間のいずれにおいても、ソース出力S
ODDに接続されたソース線7には正極性の駆動電圧が供給され、ソース出力S
EVENに接続されたソース線7には負極性の駆動電圧が供給される。
【0099】
このような場合、ソース出力S
ODDに接続されたソース線7に供給される正極性のダミーパルスの電圧レベルを指定するダミー表示データD
NEGA_AVEは、最後のM個の水平同期期間においてソース出力S
EVENに接続されたソース線7に供給される駆動電圧を指定する表示データに基づいて算出される。最も簡単には、ダミー表示データD
NEGA_AVEは、最後のM個の水平同期期間においてソース出力S
EVENに接続されたソース線7に供給される駆動電圧を指定する表示データの平均値として算出してもよい。
【0100】
一方、ソース出力S
EVENに接続されたソース線7に供給される負極性のダミーパルスの電圧レベルを指定するダミー表示データD
POSI_AVEは、最後のM個の水平同期期間においてソース出力S
ODDに接続されたソース線7に供給される駆動電圧を指定する表示データに基づいて算出される。最も簡単には、ダミー表示データD
POSI_AVEは、最後のM個の水平同期期間においてソース出力S
ODDに接続されたソース線7に供給される駆動電圧を指定する表示データの平均値として算出してもよい。
【0101】
ダミー表示データD
POSI_AVE、D
NEGA_AVEの算出においては、各表示データに対応する水平同期期間に基づく重み付けを行ってもよい。例えば、カラム反転駆動が行われ、ダミー表示データD
NEGA_AVEが、最後のM個の水平同期期間においてソース出力S
EVENに接続されたソース線7に供給される駆動電圧を指定する表示データから算出される場合を考える。ここで、最後のM個の水平同期期間において、ソース出力S
EVENに接続されたソース線7に供給される駆動電圧を指定する表示データを、それぞれ、D
EVEN<n−(M−1)>〜D
EVEN<n>とすると、ダミー表示データD
NEGA_AVEは、下記式(1a)に従って算出してもよい。
【数1】
ここで、w
kは、重み付け係数である。
【0102】
なお、重み付け係数w
kが、n−M−1以上、n以下のkについていずれも1であれば、ダミー表示データD
NEGA_AVEは、最後のM個の水平同期期間においてソース出力S
EVENに接続されたソース線7に供給される駆動電圧を指定する表示データの平均値として算出されることになる。
【0103】
ダミー表示データD
POSI_AVEについても、同様に、最後のM個の水平同期期間において、ソース出力S
ODDに接続されたソース線7に供給される駆動電圧を指定する表示データを、それぞれ、D
ODD<n−(M−1)>〜D
ODD<n>とすると、ダミー表示データD
POSI_AVEは、下記式(1b)に従って算出してもよい。
【数2】
この場合も、重み付け係数w
kが、n−M−1以上、n以下のkについていずれも1であれば、ダミー表示データD
POSI_AVEは、最後のM個の水平同期期間においてソース出力S
ODDに接続されたソース線7に供給される駆動電圧を指定する表示データの平均値として算出されることになる。
【0104】
ダミーパルス出力動作の後、各ソース線7を接地電位に設定する遷移動作が行われる。
図15Cは、遷移動作におけるソース出力回路部11の動作を示している。遷移動作では、スイッチ38が、接地ライン37を正側出力ノードN
OUTPに接続するように設定される。また、出力マルチプレクサ回路25のスイッチ39、40は、ソース出力S
ODD及びソース出力S
EVENの両方を、正側出力ノードN
OUTPに接続するように設定される。これにより、ソース出力S
ODD及びソース出力S
EVENの両方に接続されたソース線7が、接地電位に設定される。
【0105】
本実施形態のダミーパルス出力動作は、表示期間が終了するタイミングよりも前における表示データの変化により発生するノイズに対応できるという利点がある。
図16Aは、液晶表示パネル1に表示される画像の全体でG−M縦ストライプ画像が表示される場合に発生するノイズを図示するタイミングチャートであり、
図16Bは、最後の所定数の水平同期期間(具体的には、5水平同期期間)において単色の画像が表示され、それ以外の部分においてG−M縦ストライプ画像が表示される場合に発生するノイズを図示するタイミングチャートである。
【0106】
上述されているように、第1の実施形態のダミーパルス出力動作は、表示期間の最後の水平同期期間の表示データに基づいてダミーパルスの電圧レベルを決定するので、
図16Aに図示されているような、全画面で表示データが変更されない場合に有効である。しかしながら、最後の水平同期期間よりも前の水平同期期間において表示データが変更されると、有効なダミーパルスが生成されないことがある。
【0107】
一方、第2の実施形態のダミーパルス出力動作によれば、
図16Bに図示されているように、遷移期間が開始されるよりも前のタイミングで表示データが変更されることで発生したノイズに対して有効なダミーパルスを発生することができる。
【0108】
(第3の実施形態)
図17は、第3の実施形態における表示ドライバ2Bの構成を示すブロック図である。第3の実施形態の表示ドライバ2Bは、第2の実施形態の表示ドライバ2Aと類似した構成を有している。ただし、第3の実施形態の表示ドライバ2Bは、第2の実施形態の表示ドライバ2Aのダミー表示データ生成回路41とは異なる構成のダミー表示データ生成回路51を備えている。なお、
図17においては、図面の見易さの観点から、表示ドライバ2Bが備えているパネル制御インターフェース12と、マルチプレクサ13と、共通電極電源回路14と、アナログフロントエンド15と、タッチコントローラ16は図示されていない。
【0109】
第3の実施形態のダミー表示データ生成回路51は、ダミー表示データの算出において用いられるラインメモリの容量を低減するように構成されている。
図13に図示されているように、第2の実施形態のダミー表示データ生成回路41は、N個の水平ラインに対応する表示データを格納可能に構成されたNラインメモリ44を備えている(Nは、2以上の整数)。しかしながら、このような構成では、大容量のNラインメモリ44が必要であり、回路規模が増大してしまう。第3の実施形態のダミー表示データ生成回路51は、小さな規模のラインメモリしか用いずにダミー表示データの算出ができるように構成されている。
【0110】
より具体的には、第3の実施形態では、ダミー表示データ生成回路51が、演算回路52と、ラインメモリ53と、ラインカウンタ54とを備えている。
【0111】
演算回路52は、各水平同期期間に受け取った表示データとラインメモリ53に格納された表示データとに対して必要な演算を行って演算後表示データを生成し、生成した演算後表示データをラインメモリ53に供給するように構成されている。この演算において、演算回路52は、ラインカウンタ54のカウンタ値から、各水平同期期間に送られてきた表示データをダミー表示データの生成において参照すべきか否かを判断する。なお、演算回路52において行われる演算の詳細については後述する。
【0112】
ラインメモリ53は、ダミー表示データの生成のワークエリアとして用いられる。ラインメモリ53は、演算回路52から受け取った演算後表示データを格納するように構成されている。本実施形態では、ラインメモリ53は、1水平ラインの表示データに対応する容量しか有していない。
【0113】
ラインカウンタ54は、水平同期期間をカウントしてカウント値を出力する。ラインカウンタ54のカウント値は、現在の水平同期期間が何番目の水平同期期間かを示している。
【0114】
第3の実施形態においても、表示期間の最後のM個の水平同期期間における表示データに基づいてダミー表示データが生成される(Mは、1以上の整数)。Mは、レジスタ43のレジスタ値によって指定される。一実施形態では、レジスタ43に保存されているレジスタ値がkである場合、ダミー表示データは、最後の(k+1)水平同期期間における表示データに基づいてダミー表示データが生成される(
図14参照)。
【0115】
ただし、本実施形態では、演算回路52における演算により、各水平同期期間において、ラインメモリ53に単一の水平ラインに対応する容量の表示データしか保持しなくてもダミー表示データが生成可能である。以下、本実施形態におけるダミー表示データ生成回路51の動作について説明する。
【0116】
ラインメモリ53は、初期的には(即ち、各垂直同期期間が開始されると)、リセットされる。即ち、各ソース線7について、階調値が0である表示データが、初期的にラインメモリ53に格納される。
【0117】
各水平同期期間において、表示データは、ラインラッチ21に供給されると共に、演算回路52にも供給される。
【0118】
ラインカウンタ54のカウント値とレジスタ43に格納されているレジスタ値から、現在の水平同期期間が、ダミー表示データの生成において参照すべき表示データに対応する水平同期期間であると判断すると、演算回路52は、現在の水平同期期間に受け取った表示データに対して所定の演算を行い、その演算によって得られる表示データと、ラインメモリ53に格納されている表示データとを加算して演算後表示データを生成する。
【0119】
詳細には、演算回路52は、ラインカウンタ54のカウント値とレジスタ43に格納されているレジスタ値から、現在の水平同期期間が、ダミー表示データの生成において参照すべき表示データに対応する最初の水平同期期間であると判断すると、演算回路52は、現在の水平同期期間に受け取った表示データに対して所定の演算を行って得られる表示データと、ラインメモリ53に格納されている表示データとを加算して演算後表示データを生成する。生成された演算後表示データは、ラインメモリ53に格納される。ダミー表示データの生成において参照すべき表示データに対応する最初の水平同期期間においては、ラインメモリ53には階調値が0である表示データが格納されているから、結果として、ラインメモリ53には、受け取った表示データに対して所定の演算を行って得られる表示データが演算後表示データとして格納されることになる。
【0120】
次の水平同期期間においても、演算回路52は、該次の水平同期期間に受け取った表示データに対して所定の演算を行って得られる表示データと、ラインメモリ53に格納されている表示データとを加算して演算後表示データを生成し、生成した演算後表示データをラインメモリ53に格納する。以上の動作が、最後の水平同期期間まで繰り返して行われる。最後の水平同期期間が終了した時点でラインメモリ53に格納されている表示データが、ダミーパルス出力動作において用いられるダミー表示データとして、ラインラッチ21に送られる。
【0121】
例えば、
図9のような構成のソース出力回路部11について、カラム反転駆動が行われ、最後のM個の水平同期期間のいずれにおいても、ソース出力S
ODDに接続されたソース線7には正極性の駆動電圧が供給され、ソース出力S
EVENに接続されたソース線7には負極性の駆動電圧が供給される場合について考える。このような場合、ソース出力S
ODDに接続されたソース線7に供給される正極性のダミーパルスの電圧レベルを指定するダミー表示データD
NEGA_AVEは、最後のM個の水平同期期間においてソース出力S
EVENに接続されたソース線7に供給される駆動電圧を指定する表示データに基づいて算出される。
【0122】
最も簡単には、ダミー表示データD
NEGA_AVEは、最後のM個の水平同期期間においてソース出力S
EVENに接続されたソース線7に供給される駆動電圧を指定する表示データの平均値として算出してもよい。この場合、最後のM個の水平同期期間のそれぞれにおいて、ソース出力S
EVENに接続されたソース線7について、現在の水平同期期間に受け取った表示データをMで除算して得られる表示データとラインメモリ53に格納されている表示データとを加算することで演算後表示データが生成され、その演算後表示データがラインメモリ53に格納される。ソース出力S
EVENに接続されたソース線7について、最後の水平同期期間が完了した時点でラインメモリ53に格納されている表示データが、ソース出力S
ODDに接続されたソース線7に出力すべきダミーパルスの電圧レベルを指定するダミー表示データD
NEGA_AVEである。このダミー表示データD
NEGA_AVEが、ラインラッチ21に送られ、ソース出力S
ODDに接続されたソース線7に出力すべきダミーパルスの生成に用いられる。
【0123】
ダミー表示データD
NEGA_AVEの算出において、水平同期期間に基づく重み付けを行ってもよい。最後のM個の水平同期期間のそれぞれにおいて、ソース出力S
EVENに接続されたソース線7について、受け取った第k水平ラインの表示データにw
k・Mを乗じて得られる表示データとラインメモリ53に格納されている表示データとを加算することで演算後表示データを生成し、生成した演算後表示データをラインメモリ53に格納することで、水平同期期間に基づく重み付けを行うことができる。ここで、kは、n−M−1以上、n以下の値であり、w
kは、重み付け係数である。このような演算により、上記の式(1a)で与えられるダミー表示データD
NEGA_AVEを算出可能であることは、当業者には理解されよう。
【0124】
ソース出力S
EVENに接続されたソース線7に供給される負極性のダミーパルスの電圧レベルを指定するダミー表示データD
POSI_AVEについても同様である。ダミー表示データD
POSI_AVEは、最後のM個の水平同期期間においてソース出力S
ODDに接続されたソース線7に供給される駆動電圧を指定する表示データに基づいて算出される。
【0125】
最も簡単には、ダミー表示データD
POSI_AVEは、最後のM個の水平同期期間においてソース出力S
ODDに接続されたソース線7に供給される駆動電圧を指定する表示データの平均値として算出してもよい。この場合、最後のM個の水平同期期間のそれぞれにおいて、ソース出力S
ODDに接続されたソース線7について、現在の水平同期期間に受け取った表示データをMで除算して得られる表示データとラインメモリ53に格納されている表示データとを加算することで演算後表示データが生成され、その演算後表示データがラインメモリ53に格納される。ソース出力S
EVENに接続されたソース線7について、最後の水平同期期間が完了した時点でラインメモリ53に格納されている表示データが、ソース出力S
ODDに接続されたソース線7に出力すべきダミーパルスの電圧レベルを指定するダミー表示データD
POSI_AVEである。このダミー表示データD
POSI_AVEが、ラインラッチ21に送られ、ソース出力S
EVENに接続されたソース線7に出力すべきダミーパルスの生成に用いられる。
【0126】
ダミー表示データD
POSI_AVEの算出においても、水平同期期間に基づく重み付けを行ってもよい。最後のM個の水平同期期間のそれぞれにおいて、ソース出力S
ODDに接続されたソース線7について、受け取った第k水平ラインの表示データにw
k・Mを乗じて得られる表示データとラインメモリ53に格納されている表示データとを加算することで演算後表示データを生成し、生成した演算後表示データをラインメモリ53に格納することで、水平同期期間に基づく重み付けを行うことができる。ここで、kは、n−M−1以上、n以下の値であり、w
kは、重み付け係数である。このような演算により、上記の式(1b)で与えられるダミー表示データD
POSI_AVEを算出可能であることは、当業者には理解されよう。
【0127】
ダミーパルス出力動作の後、各ソース線7を接地電位に設定する遷移動作が行われる。
図15Cは、遷移動作におけるソース出力回路部11の動作を示している。遷移動作では、スイッチ38が、接地ライン37を正側出力ノードN
OUTPに接続するように設定される。また、出力マルチプレクサ回路25のスイッチ39、40は、ソース出力S
ODD及びソース出力S
EVENの両方を、正側出力ノードN
OUTPに接続するように設定される。これにより、ソース出力S
ODD及びソース出力S
EVENの両方に接続されたソース線7が、接地電位に設定される。
【0128】
第3の実施形態の表示ドライバ2Bは、ラインメモリの容量を低減させながら、第2の実施形態と同様に、遷移期間が開始されるよりも前のタイミングで表示データが変更されることで発生したノイズに対して有効なダミーパルスを発生することができる。
【0129】
(第4の実施形態)
図18は、第4の実施形態における表示ドライバ2Cの構成を示すブロック図である。第4の実施形態の表示ドライバ2Cは、第2の実施形態の表示ドライバ2A及び第3の実施形態の表示ドライバ2Bと類似した構成を有している。ただし、第3の実施形態の表示ドライバ2Cは、第2及び第3の実施形態の表示ドライバ2A、2Bのダミー表示データ生成回路41、51とは異なる構成のダミー表示データ生成回路61を備えている。なお、
図18においては、図面の見易さの観点から、表示ドライバ2Bが備えているパネル制御インターフェース12と、マルチプレクサ13と、共通電極電源回路14と、アナログフロントエンド15と、タッチコントローラ16は図示されていない。
【0130】
第4の実施形態のダミー表示データ生成回路61は、ダミー表示データの算出において用いられるメモリの容量を更に低減するように構成されている。具体的には、第4の実施形態では、ダミー表示データ生成回路61が、演算回路62と、ラインカウンタ63とを備えている。演算回路62は、最後のM個の水平同期期間の表示データに基づいてダミー表示データを生成する。上述のように、Mは、レジスタ43に格納されているレジスタ値によって指定される。ラインカウンタ63は、水平同期期間をカウントしてカウント値を出力する。ラインカウンタ63のカウント値は、現在の水平同期期間が何番目の水平同期期間かを示している。演算回路62は、ダミー表示データの生成において、ラインカウンタ63のカウント値を参照する。
【0131】
図19Aは、本実施形態において演算回路62がダミー表示データの算出に用いる表示データのフォーマットを示している。本実施形態では、演算回路62は、4画素を単位として演算処理を行う。以下では、演算処理の単位として用いられる4画素をブロックと呼び、各ブロックに対応する表示データをブロックデータと呼ぶ。各水平ラインの画素10の数が1080である場合(即ち、各水平ラインの画素回路8の数が3240である場合)、各水平ラインの表示データは、270のブロックデータで構成されることになる。
図19Aには、最後の8個の水平同期期間の表示データに基づいてダミー表示データを生成する場合、即ち、M=8である場合が図示されている。この場合、第(n−7)水平ライン(
図19Aでは、(n−7)
th Hライン)〜第n水平ライン(
図19Aでは、n
th Hライン)の表示データが、ダミー表示データの生成に用いられることになる。
【0132】
図19Bは、ブロックデータのフォーマットを概念的に示す図である。本実施形態では、各画素10が3つの画素回路8を含んでいるから、ブロックデータは、12個の画素回路8の階調値を記述しているデータである。各画素回路8の階調値が8ビットで記述される場合には、各ブロックに対応するブロックデータは、96ビットデータである。各ブロックの4つの画素10のうちの2つ(
図19Bでは、画素#1、#3)は、赤(R)、青(B)を表示する画素回路8が正極性の駆動電圧で駆動され、緑(G)を表示する画素回路8が、負極性の駆動電圧で駆動される。他の2つ(
図19Bでは、画素#2、#4)は、赤(R)、青(B)を表示する画素回路8が負極性の駆動電圧で駆動され、緑(G)を表示する画素回路8が、正極性の駆動電圧で駆動される。よって、12個の画素回路8のうちの6つの表示データは、正極性の駆動電圧を指定するものであり、残りの6つの表示データは負極性の駆動電圧を指定するものである。
【0133】
本実施形態では、各ソース線7に供給されるダミーパルスのうち、正極性のダミーパルスの電圧レベルが互いに同一であり、負極性のダミーパルスの電圧レベルが互いに同一である。液晶表示パネル1においては、ゲート線6は、全てのソース線7に交差しており、容量カップリングによって電気的に結合されているから、全てのソース線7の電位の変動が、各ゲート線6の電位の変動に影響する。このような場合、各ソース線7に供給されるダミーパルスのうち、正極性のダミーパルスの電圧レベルが互いに同一であり、負極性のダミーパルスの電圧レベルが互いに同一であっても、ノイズの影響を有効に低減できる。
【0134】
そして、正極性のダミーパルスの電圧レベルを指定するダミー表示データは、最後のM個の水平同期期間の表示データのうち、負極性の駆動電圧に対応する表示データに基づいて生成される。また、負極性のダミーパルスの電圧レベルを指定するダミー表示データは、最後のM個の水平同期期間の表示データのうち、正極性の駆動電圧に対応する表示データに基づいて生成される。これにより、適正な電圧レベルを有するダミーパルスを生成することができる。
【0135】
以下では、本実施形態における演算回路62の構成と動作について詳細に説明する。
【0136】
図20は、本実施形態における演算回路62の構成を示すブロック図である。演算回路62は、正側重み付け平均データ算出回路70と、負側重み付け平均データ算出回路80とを備えている。
【0137】
本実施形態では、正側重み付け平均データ算出回路70は、最後のM個の水平同期期間の表示データのうち、正極性の駆動電圧に対応する表示データの重み付け平均を、正側重み付け平均データPosi_aveとして算出する。重み付け平均の算出において表示データに乗じられる重み付け係数は、該表示データが対応する水平同期期間(水平ライン)に依存して、即ち、該表示データがどの水平同期期間(即ち、どの水平ライン)の表示データであるかに応じて決定される。なお、全ての表示データの重み付け係数を1に設定することで、正側重み付け平均データPosi_aveを、正極性の駆動電圧に対応する表示データの平均として算出することも可能である。後述されるように、正側重み付け平均データPosi_aveは、負極性のダミーパルスの電圧レベルを示すダミー表示データとして用いられる。
【0138】
同様に、負側重み付け平均データ算出回路80は、最後のM個の水平同期期間の表示データのうち、負極性の駆動電圧に対応する表示データの重み付け平均を、負側重み付け平均データNega_aveとして算出する。重み付け平均の算出において表示データに乗じられる重み付け係数は、該表示データが対応する水平同期期間(水平ライン)に依存して、即ち、該表示データがどの水平同期期間(即ち、どの水平ライン)の表示データであるかに依存して決定される。なお、全ての表示データの重み付け係数を1に設定することで、負側重み付け平均データを、負極性の駆動電圧に対応する表示データの平均として算出することも可能である。後述されるように、負側重み付け平均データNega_aveは、正極性のダミーパルスの電圧レベルを示すダミー表示データとして用いられる。
【0139】
正側重み付け平均データ算出回路70は、加算器71と、除算器72と、加算器73と、除算器74と、重み付け演算器75と、加算器76と、除算器77とを備えている。同様に、負側重み付け平均データ算出回路80は、加算器81と、除算器82と、加算器83と、除算器84と、重み付け演算器85と、加算器86と、除算器87とを備えている。
【0140】
演算回路62は、下記のような動作を行う。演算回路62は、ラインカウンタ63のカウント値から、最後のM個の水平同期期間のうちの最先の水平同期期間になったことを認識すると、ダミー表示データの算出を開始する。以後、演算回路62には、M個の水平同期期間のブロックデータが順次に入力される。ここで、
図20には、Mが8であるとして演算回路62の動作が図示されており、以下では、Mが8であるとして説明を行う。この場合、各水平ラインのブロックデータの数は270であり、8つの水平ラインのブロックデータが演算回路62に供給されるから、270×8のブロックデータが順次に演算回路62に入力されることになる。
【0141】
図21は、正側重み付け平均データ算出回路70の加算器71及び除算器72、並びに、負側重み付け平均データ算出回路80の加算器81及び除算器82の動作を概念的に示す図である。各ブロックデータのうち、正極性の駆動電圧に対応する表示データは、正側重み付け平均データ算出回路70の加算器71に供給され、負極性の駆動電圧に対応する表示データは、負側重み付け平均データ算出回路80の加算器81に供給される。
【0142】
正側重み付け平均データ算出回路70の加算器71は、各ブロックデータについて、該ブロックデータのうちの正極性の駆動電圧に対応する表示データの和を算出する。除算器72は、各ブロックデータについて算出された和を6で割ることにより、正側ブロック平均データBlock_ave(P)を得る。正側ブロック平均データBlock_ave(P)は、該ブロックデータのうちの正極性の駆動電圧に対応する表示データの平均を示している。
【0143】
同様に、負側重み付け平均データ算出回路80の加算器81は、各ブロックデータについて、該ブロックデータのうちの正極性の駆動電圧に対応する表示データの和を算出する。除算器82は、各ブロックデータについて算出された和を6で割ることにより、各ブロックデータについて負側ブロック平均データBlock_ave(N)を得る。負側ブロック平均データBlock_ave(N)は、該ブロックデータのうちの負極性の駆動電圧に対応する表示データの平均を示している。
【0144】
図20に戻り、正側重み付け平均データ算出回路70の加算器73は、各ブロックデータについて算出された正側ブロック平均データBlock_ave(P)を順次に受け取り、各水平ラインについての正側ブロック平均データBlock_ave(P)の和を算出する。本実施形態では、各水平ラインの表示データは、270のブロックのブロックデータで構成されるから、加算器73は、270のブロックの正側ブロック平均データBlock_ave(P)の和を算出することになる。除算器74は、加算器73から出力される和を270で割ることにより、各水平ラインの正側ブロック平均データBlock_ave(P)の平均を示す正側水平ライン平均データを算出する。
【0145】
同様に、負側重み付け平均データ算出回路80の加算器83は、各ブロックデータについて算出された正側ブロック平均データBlock_ave(P)を順次に受け取り、各水平ラインについての正側ブロック平均データBlock_ave(P)の和を算出する。除算器84は、加算器83から出力される和を270で割ることにより、各水平ラインの負側ブロック平均データBlock_ave(P)の平均を示す負側水平ライン平均データを算出する。
【0146】
正側重み付け平均データ算出回路70の重み付け演算器75は、各水平ラインについて、正側水平ライン平均データに重み付け係数を乗じた積を算出する。重み付け係数は、対応する水平ラインに依存して決められる。
図20には、重み付け係数の例が図示されている。
図20の例では、第(n−7)水平ラインに対応する正側水平ライン平均データには、重み付け係数0.4が乗じられ、第(n−6)水平ラインに対応する正側水平ライン平均データには、重み付け係数0.6が乗じられる。他の水平ラインについても同様である。
【0147】
同様に、負側重み付け平均データ算出回路80の重み付け演算器85は、各水平ラインについて、負側水平ライン平均データに重み付け係数を乗じた積を算出する。重み付け係数は、対応する水平ラインに依存して決められる。
図20には、重み付け係数の例が図示されている。
図20の例では、第(n−7)水平ラインに対応する負側水平ライン平均データには、重み付け係数0.4が乗じられ、第(n−6)水平ラインに対応する負側水平ライン平均データには、重み付け係数0.6が乗じられる。他の水平ラインについても同様である。
【0148】
正側重み付け平均データ算出回路70の加算器76は、第(n−7)〜第n水平ラインについて算出された正側水平ライン平均データに重み付け係数を乗じた積の和を算出する。除算器77は、加算器76によって算出された和を8で割ることにより、正側重み付け平均データPosi_aveを算出する。
【0149】
同様に、負側重み付け平均データ算出回路80の加算器86は、第(n−7)〜第n水平ラインについて算出された負側水平ライン平均データに重み付け係数を乗じた積の和を算出する。除算器87は、加算器86によって算出された和を8で割ることにより、負側重み付け平均データNega_aveを算出する。
【0150】
算出された正側重み付け平均データPosi_ave及び負側重み付け平均データNega_aveは、ラインラッチ21に送られて、ダミーパルスの電圧レベルを示すダミー表示データとして用いられる。ここで、正側重み付け平均データPosi_aveは、負極性のダミーパルスの電圧レベルを示すダミー表示データとして用いられ、負側重み付け平均データNega_aveは、正極性のダミーパルスの電圧レベルを示すダミー表示データとして用いられる。
【0151】
図22は、正側重み付け平均データPosi_ave及び負側重み付け平均データNega_aveに応答して、各ソース線7にダミーパルスを出力するダミーパルス出力動作を示している。本実施形態では、全てのソース線7に供給されるダミーパルスのうち、正極性のダミーパルスの電圧レベルは、いずれも、負側重み付け平均データNega_aveによって指定される。即ち、負側重み付け平均データNega_aveは、正極性のダミーパルスの電圧レベルを指定するダミー表示データとして用いられる。また、負極性のダミーパルスの電圧レベルは、いずれも、正側重み付け平均データPosi_aveによって指定される。即ち、正側重み付け平均データPosi_aveは、負極性のダミーパルスの電圧レベルを指定するダミー表示データとして用いられる。
【0152】
このような動作によってダミー表示データ(即ち、正側重み付け平均データPosi_ave及び負側重み付け平均データNega_ave)を生成することにより、本実施形態の表示ドライバ2Cのダミー表示データ生成回路61は、大きな容量のメモリ(例えば、ラインメモリ)を用いずにダミー表示データを生成することができる。
【0153】
以上には、本発明の実施形態が具体的に記述されているが、本発明は、上記の実施形態に限定されない。本発明が種々の変更と共に実施され得ることは、当業者には理解されよう。