(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-194911(P2018-194911A)
(43)【公開日】2018年12月6日
(54)【発明の名称】集中監視装置、集中監視方法、及び、監視プログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20181109BHJP
【FI】
G05B23/02 301T
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-95895(P2017-95895)
(22)【出願日】2017年5月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】梅木 隆
(72)【発明者】
【氏名】菅尾 彰芳
(72)【発明者】
【氏名】松田 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】中山 正
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA05
3C223BA03
3C223BB02
3C223BB12
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223EB02
3C223EB03
3C223FF03
3C223FF13
3C223FF16
3C223GG01
3C223HH05
3C223HH08
(57)【要約】
【課題】作業員の負担を軽減する。
【解決手段】1以上の貯留タンクと、1以上のフィーダと、材料配合装置と、設定された制御値に基づき、フィーダにより貯留タンクに貯留された原料を材料配合装置に供給させて、供給させた原料を材料配合装置により配合させる配合制御を実行可能で、且つ、配合制御における各構成要素の運転状態に関するデータである運転データを収集する監視制御部と、を備える配合システムを監視する集中監視装置であって、監視制御部から運転データを取得する運転データ取得部と、配合システムの構成図上において、取得した各運転データについて、それぞれに対応する位置で、当該運転データに対応する運転状態を識別可能に表示した構成図画像(61)を表示可能な監視画面(6)を表示するための監視画面データを生成する監視画面データ生成部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の貯留タンクと、1以上のフィーダと、材料配合装置と、設定された制御値に基づき、前記フィーダにより前記貯留タンクに貯留された原料を前記材料配合装置に供給させて、供給させた原料を前記材料配合装置により配合させる配合制御を実行可能で、且つ、前記配合制御における各構成要素の運転状態に関するデータである運転データを収集する監視制御部と、を備える配合システムを監視する集中監視装置であって、
前記監視制御部から前記運転データを取得する運転データ取得部と、
前記配合システムの構成図上において、取得した各運転データについて、それぞれに対応する位置で、当該運転データに対応する運転状態を識別可能に表示した構成図画像を表示可能な監視画面を表示するための監視画面データを生成する監視画面データ生成部と、を備える集中監視装置。
【請求項2】
取得した各運転データに基づく運転値とこれに対応する設定値とを比較し、対応する前記設定値を超えた又は下回った前記運転値があったとき、対応する内容の警報を前記監視画面上で表示するための警報データを生成する警報データ生成部を備える請求項1に記載の集中監視装置。
【請求項3】
取得した前記運転データに基づき、前記運転値として前記配合システムの各部の運転積算時間を算出する積算時間算出部を備え、
前記警報データ生成部は、算出された各運転積算時間とこれに対応する前記設定値としての設定時間とを比較し、対応する前記設定時間を超えた前記運転積算時間があったとき、対応する内容の前記警報データを生成する請求項2に記載の集中監視装置。
【請求項4】
生成させる配合物の種類ごとに、当該配合物を生成するときの前記制御値を記憶してある設定記憶部と、
前記配合システムで生成させる配合物の種類を取得する配合物情報取得部と、
取得した配合物の種類に対応する前記制御値を前記監視制御部に設定するための制御値更新命令を生成する設定更新部と、を備える請求項1〜3のいずれか一項に記載の集中監視装置。
【請求項5】
前記設定記憶部は、各構成要素の状態を判定させるために前記監視制御部に設定される警報値を、生成させる配合物の種類ごとに記憶してあり、
前記設定更新部は、取得した配合物の種類に対応する前記警報値を前記監視制御部に設定するための警報値更新命令を生成する請求項4に記載の集中監視装置。
【請求項6】
前記運転データに対応する運転状態が前記配合システムの全体又は一部の運転を停止すべきであるとする内容であったとき、前記配合システムの全体又は一部の運転を停止させる停止命令を生成する停止命令生成部を備える請求項1〜5のいずれか一項に記載の集中監視装置。
【請求項7】
取得した前記運転データを、運転時に生成していた配合物の種類で分類して蓄積的に記憶する運転データ記憶部と、
対象とする1又は複数種の配合物について、記憶された前記運転データを時系列的に集計した時系列データを生成する時系列データ生成部と、を備える請求項1〜6のいずれか一項に記載の集中監視装置。
【請求項8】
前記時系列データ生成部は、同種の配合物について、同種の前記運転データについての異なる複数の期間における複数の前記時系列データ、又は、異なる種類の前記運転データについての同じ期間における複数の前記時系列データを対比可能な状態で前記監視画面上に表示するための対比データを生成可能である請求項7に記載の集中監視装置。
【請求項9】
通信端末と通信可能な通信部を備え、
前記監視画面データ生成部は、前記通信端末からの指示に応じて前記監視画面データを更新可能である請求項1〜8のいずれか一項に記載の集中監視装置。
【請求項10】
前記通信端末から前記構成図画像における貯留タンク中の原料の名称に関する名称情報を取得したとき、前記監視画面データ生成部は、取得した前記名称情報に対応する名称を、前記構成図画像における対応する位置に表示させる前記監視画面データを生成する請求項9に記載の集中監視装置。
【請求項11】
前記通信端末から前記構成図画像における貯留タンクの使用状態に関する使用情報を取得したとき、前記監視画面データ生成部は、取得した前記使用情報に対応する使用状態を、前記構成図画像における対応する位置に識別可能に表示した前記監視画面データを生成する請求項9又は10に記載の集中監視装置。
【請求項12】
1以上の貯留タンクと、1以上のフィーダと、材料配合装置と、設定された制御値に基づき、前記フィーダにより前記貯留タンクに貯留された原料を前記材料配合装置に供給させて、供給させた原料を前記材料配合装置により配合させる配合制御を実行可能で、且つ、前記配合制御における各構成要素の運転状態に関するデータである運転データを収集する監視制御部と、を備える配合システムを監視する集中監視装置で実行される集中監視方法であって、
前記監視制御部から前記運転データを取得する運転データ取得工程と、
前記配合システムの構成図上において、取得した各運転データについて、それぞれに対応する位置で、当該運転データに対応する運転状態を識別可能に表示した構成図画像を表示可能な監視画面を表示するための監視画面データを生成する監視画面データ生成工程と、を備える集中監視方法。
【請求項13】
1以上の貯留タンクと、1以上のフィーダと、材料配合装置と、設定された制御値に基づき、前記フィーダにより前記貯留タンクに貯留された原料を前記材料配合装置に供給させて、供給させた原料を前記材料配合装置により配合させる配合制御を実行可能で、且つ、前記配合制御における各構成要素の運転状態に関するデータである運転データを収集する監視制御部と、を備える配合システムを監視する集中監視装置で利用可能な監視プログラムであって、
前記監視制御部から前記運転データを取得する運転データ取得処理と、
前記配合システムの構成図上において、取得した各運転データについて、それぞれに対応する位置で、当該運転データに対応する運転状態を識別可能に表示した構成図画像を表示可能な監視画面を表示するための監視画面データを生成する監視画面データ生成処理と、
を前記集中監視装置に実行させる監視プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1以上の貯留タンクと、1以上のフィーダと、材料配合装置と、を備え、設定された制御値に基づき、前記フィーダにより前記貯留タンクに貯留された原料を前記材料配合装置に供給させて、供給させた原料を前記材料配合装置により配合させる配合制御を行う配合システムを監視する集中監視装置、かかる集中監視装置で実行される集中監視方法、及び、かかる集中監視装置で利用可能な監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の原料を押出機等の材料配合装置により配合して、薬品や、食品、樹脂組成物、ゴム加工物等の配合物を得るため、上記の配合システムが用いられている(例えば、特開2017−64949号公報(特許文献1))。そして、上記従来の配合システムでは、原料供給装置や押出機等の各設備が正常に運転しているかを監視するために作業員が各設備を巡回して各設備のそれぞれに備えられている監視制御装置の情報等を見て回るようになっている。また、生成する配合物の種類を変更したとき、作業員が各設備の監視制御装置を歩いて見て回り、それぞれの監視制御装置における制御値を変更することで変更後の配合物に応じた配合制御を行えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−64949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、従来の配合システムでは、システムの監視のために作業員が巡回を行う必要があり、作業員にとって大きな負担となっている。また、設備に異常が生じたときに直ちに異常が発見できないおそれがあり、これにより、システムの運転に重大な支障が生じるおそれがある。
【0005】
そこで、作業員の負担を軽減できる集中監視装置、集中監視方法、及び、監視プログラムの実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る集中監視装置は、
1以上の貯留タンクと、1以上のフィーダと、材料配合装置と、設定された制御値に基づき、前記フィーダにより前記貯留タンクに貯留された原料を前記材料配合装置に供給させて、供給させた原料を前記材料配合装置により配合させる配合制御を実行可能で、且つ、前記配合制御における各構成要素の運転状態に関するデータである運転データを収集する監視制御部と、を備える配合システムを監視する集中監視装置であって、
前記監視制御部から前記運転データを取得する運転データ取得部と、
前記配合システムの構成図上において、取得した各運転データについて、それぞれに対応する位置で、当該運転データに対応する運転状態を識別可能に表示した構成図画像を表示可能な監視画面を表示するための監視画面データを生成する監視画面データ生成部と、を備える。
【0007】
この構成によれば、配合システムの監視制御部から取得した運転データに基づき、システム各部の運転状態を識別可能に表示した構成図画像を監視画面に表示可能であるので、作業員が監視画面を見ることにより、システムを巡回することなくシステムの監視を行うことができる。
【0008】
以下、本開示に係る集中監視装置の好適な態様について説明する。但し、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定される訳ではない。
【0009】
1つの態様として、取得した各運転データに基づく運転値とこれに対応する設定値とを比較し、対応する前記設定値を超えた又は下回った前記運転値があったとき、対応する内容の警報を前記監視画面上で表示するための警報データを生成する警報データ生成部を備えると好適である。
【0010】
この構成によれば、システムに異常があったときに警報を監視画面上に表示できるから、システムの異常を早期に発見することが可能になる。
【0011】
1つの態様として、取得した前記運転データに基づき、前記運転値として前記配合システムの各部の運転積算時間を算出する積算時間算出部を備え、前記警報データ生成部は、算出された各運転積算時間とこれに対応する前記設定値としての設定時間とを比較し、対応する前記設定時間を超えた前記運転積算時間があったとき、対応する内容の前記警報データを生成すると好適である。
【0012】
この構成によれば、運転積算時間から各部の劣化の度合いを好適に把握できる。
【0013】
1つの態様として、生成させる配合物の種類ごとに、当該配合物を生成するときの前記制御値を記憶してある設定記憶部と、前記配合システムで生成させる配合物の種類を取得する配合物情報取得部と、取得した配合物の種類に対応する前記制御値を前記監視制御部に設定するための制御値更新命令を生成する設定更新部と、を備えると好適である。
【0014】
1つの態様として、前記設定記憶部は、各構成要素の状態を判定させるために前記監視制御部に設定される警報値を、生成させる配合物の種類ごとに記憶してあり、前記設定更新部は、取得した配合物の種類に対応する前記警報値を前記監視制御部に設定するための警報値更新命令を生成すると好適である。
【0015】
配合物の種類を変更したときには、監視制御部における制御値等を変更する必要があるが、これらの構成によれば、集中監視装置を介して一括で監視制御部における制御値等を変更することができる。
【0016】
1つの態様として、前記運転データに対応する運転状態が前記配合システムの全体又は一部の運転を停止すべきであるとする内容であったとき、前記配合システムの全体又は一部の運転を停止させる停止命令を生成する停止命令生成部を備えると好適である。
【0017】
この構成によれば、システムの全体又は一部の運転を停止する必要が生じたときに、停止命令により直ちにシステムの全体又は一部の運転を停止することができる。
【0018】
1つの態様として、取得した前記運転データを、運転時に生成していた配合物の種類で分類して蓄積的に記憶する運転データ記憶部と、対象とする1又は複数種の配合物について、記憶された前記運転データを時系列的に集計した時系列データを生成する時系列データ生成部と、を備えると好適である。
【0019】
この構成によれば、配合物の種類ごとのデータを参照することが可能になるから、システムの運転を好適に把握できる。
【0020】
1つの態様として、前記時系列データ生成部は、同種の配合物について、同種の前記運転データについての異なる複数の期間における複数の前記時系列データ、又は、異なる種類の前記運転データについての同じ期間における複数の前記時系列データを対比可能な状態で前記監視画面上に表示するための対比データを生成可能であると好適である。
【0021】
この構成によれば、配合物の種類ごとのデータを参照することが可能になるから、システムの運転を好適に把握できる。
【0022】
1つの態様として、通信端末と通信可能な通信部を備え、前記監視画面データ生成部は、前記通信端末からの指示に応じて前記監視画面データを更新可能であると好適である。
【0023】
この構成によれば、集中監視装置から離れた場所から監視画面を編集することができる。
【0024】
1つの態様として、前記通信端末から前記構成図画像における貯留タンク中の原料の名称に関する名称情報を取得したとき、前記監視画面データ生成部は、取得した前記名称情報に対応する名称を、前記構成図画像における対応する位置に表示させる前記監視画面データを生成すると好適である。
【0025】
この構成によれば、貯留タンクに付属させた通信端末や、タブレット端末等の通信携帯端末等により、貯留タンクに原料を投入した際などに現場から監視画面上の貯留タンク内の原料の名称を入力することができる。また、監視画面で各貯留タンク内の原料を確認できるので、生成させる配合物の種類の変更の際などに、配合すべき原料が各貯留タンクに正しく投入されているか否かを確認することができる。
【0026】
1つの態様として、前記通信端末から前記構成図画像における貯留タンクの使用状態に関する使用情報を取得したとき、前記監視画面データ生成部は、取得した前記使用情報に対応する使用状態を、前記構成図画像における対応する位置に識別可能に表示した前記監視画面データを生成すると好適である。
【0027】
この構成によれば、貯留タンクに付属させた通信端末や、タブレット端末等の通信携帯端末等により、現場から監視画面上の貯留タンクの名称や状態を編集することができる。また、監視画面でその状況を確認することができる。
【0028】
本発明に係る集中監視方法は、
1以上の貯留タンクと、1以上のフィーダと、材料配合装置と、設定された制御値に基づき、前記フィーダにより前記貯留タンクに貯留された原料を前記材料配合装置に供給させて、供給させた原料を前記材料配合装置により配合させる配合制御を実行可能で、且つ、前記配合制御における各構成要素の運転状態に関するデータである運転データを収集する監視制御部と、を備える配合システムを監視する集中監視装置で実行される集中監視方法であって、
前記監視制御部から前記運転データを取得する運転データ取得工程と、
前記配合システムの構成図上において、取得した各運転データについて、それぞれに対応する位置で、当該運転データに対応する運転状態を識別可能に表示した構成図画像を表示可能な監視画面を表示するための監視画面データを生成する監視画面データ生成工程と、を備える。
【0029】
本発明に係る監視プログラムは、
1以上の貯留タンクと、1以上のフィーダと、材料配合装置と、設定された制御値に基づき、前記フィーダにより前記貯留タンクに貯留された原料を前記材料配合装置に供給させて、供給させた原料を前記材料配合装置により配合させる配合制御を実行可能で、且つ、前記配合制御における各構成要素の運転状態に関するデータである運転データを収集する監視制御部と、を備える配合システムを監視する集中監視装置で利用可能な監視プログラムであって、
前記監視制御部から前記運転データを取得する運転データ取得処理と、
前記配合システムの構成図上において、取得した各運転データについて、それぞれに対応する位置で、当該運転データに対応する運転状態を識別可能に表示した構成図画像を表示可能な監視画面を表示するための監視画面データを生成する監視画面データ生成処理と、
を前記集中監視装置に実行させる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明に係る集中監視装置、集中監視方法、及び、監視プログラムの実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る監視システムを示し、本監視システムでは、薬品や食品、樹脂組成物、ゴム加工物等の配合物を得るための配合システム1を監視対象とし、配合システム1からのデータを中継装置2で収集して、収集したデータをネットワーク5を介して中継装置2から集中監視装置3に送信するようになっている。そして、集中監視装置3が収集したデータに基づき監視用の監視画面を表示するためのデータを生成し、集中監視装置3や、ネットワーク5を介して接続されるノートパソコン、タブレット端末やその他通信携帯端末等の通信端末4の表示部に監視画面を表示することで、配合システム1の監視を行えるようになっている。
【0032】
具体的には、本監視システムでは、1以上の貯留タンク11と、1以上のフィーダ12と、押出機(材料配合装置の一例)13と、監視制御部14と、を備える配合システム1を対象としている。なお、フィーダ12や押出機13等の設備には、1ないし複数の設備毎に、当該設備を監視制御する監視制御装置が備えられており、監視制御部14はこれらの監視制御装置からなるものである。そして、かかる配合システム1では、監視制御部14が、生成する配合物の種類に応じて設定された制御値に基づき各設備を制御し、供給管15,16を介して、貯留タンク11に貯留された原料をフィーダ12により押出機13に供給させて、供給させた原料を押出機13により配合させて所定の配合物を生成する配合制御を実行可能になっている。また、監視制御部14は、配合制御における各構成要素の運転状態に関するデータである運転データを収集するようになっており、収集した運転データをLAN17等の有線又は無線により中継装置2に送信するようになっている。
【0033】
なお、これはあくまでも例示であり、配合システム1は、少なくとも1以上の貯留タンク11と、1以上のフィーダ12と、押出機13と、監視制御部14と、を備えていればよく、ミキサー等の他の構成を備えていてもよい。また、配合システム1に用いられる貯留タンク11、フィーダ12、押出機13、監視制御部14やその他の装置は特に限定されず、一般的に用いられるものを用いることができる。対象とする配合システム1によっては、構成要素毎にメーカーが相違したり、同じ構成要素であっても複数のメーカーの設備が混在している場合があるが、中継装置2や集中監視装置3に各設備の監視制御装置からのデータを夫々変換し、一元的に管理できるようなソフトウェアを搭載させればよい。
【0034】
また、本実施形態における配合システム1では、監視制御部14は、運転データとして、各貯留タンク11に貯留されている原料の重量、各フィーダ12から押出機13に供給される単位時間当たりの原料の量、押出機13におけるモータ回転速度、電流値、電力値、各部の温度等の運転値、他の装置を用いている場合にはその装置の運転値を収集する。そして、監視制御部14は、各構成要素(貯留タンク11、フィーダ12、押出機13やその他の装置)の運転の有無や各構成要素の正常・異常・故障を判定し、判定された運転・停止、正常・異常・故障等の各構成要素の状態も運転データとして収集する。正常・異常・故障の判定は、故障値として運転値がその値を超えた又は下回ったときには故障と判定する値を定めておき、警報値として故障値には至らないものの構成要素に異常があると判定するための値を定め、警報値・故障値を超えた又は下回ったかを判定することで行うことができる。そして、本実施形態では、警報値は監視制御部14に設定された制御値に応じた値が設定され、故障値は制御値に関わらず各構成要素で決まった値が設定されるようになっている。
【0035】
このように、監視制御部14では、各構成要素の運転値や状態(運転、停止、異常、故障等)が運転データとして収集される。収集された運転データは、定期的に又は連続的に、中継装置2を介して監視制御部14から集中監視装置3へ送られるようになっている。そして、集中監視装置3は、送信された運転データを取得し、この運転データに基づき、自身の表示部34や通信端末4の表示部に監視画面を表示するための監視画面データを生成するようになっている。以下、本実施形態に係る集中監視装置3の構成、及び、集中監視装置3で行われる処理について詳細に説明する。
【0036】
集中監視装置3は、一般的なサーバ用マシン等からなり、
図3に示すように、中継装置2や通信端末4とネットワーク5を介して通信可能な通信機器等からなる通信部31、CPU等からなり各種のデータ処理を行う処理部32、例えばハードディスクからなる記憶部33、後述する監視画面6を表示可能なディスプレイ等の表示部34、及び、データや指示等の入力を受けるキーボードやマウス等の入力部35を備えている。そして、本実施形態では、記憶部32に、後述する処理を集中監視装置3に実行させるための監視プログラムを記憶してあり、監視プログラムに従って処理部33が所定の処理を実行することで、集中監視装置3による対象の配合システム1の監視が行えるようになっている。以下では、監視プログラムが実行されることにより集中監視装置3に備わる機能や集中監視装置3で行われる処理について説明する。
【0037】
通信部31は、中継装置2と通信することで、監視制御部14から運転データを取得する運転データ取得部として機能する。また、通信部31は、通信端末4と通信して、通信端末4から監視画面6を通じて入力された貯留タンクに関する情報や配合システム1で生成させる配合物の種類を取得するものとして機能する。
【0038】
記憶部33は、処理部32による処理に必要なデータを記憶するものであり、対象の配合システム1で生成させる配合物の種類ごとに、当該配合物を生成するときの制御値や警報値を記憶してある設定記憶部331と、取得した運転データを、運転時に生成していた配合物の種類で分類して蓄積的に記憶する運転データ記憶部332と、処理部32で生成された配合システム1に関する警報や後述する運転積算時間等のデータを記憶する処理データ記憶部333と、を備えたものとして機能する。なお、設定記憶部331に記憶してある制御値や警報値は監視画面6上で編集可能になっている。
【0039】
入力部35は、表示部34に表示された監視画面6を介してユーザからの指示・入力を受け付けることにより、貯留タンクに関する情報や配合システム1で生成させる配合物の種類を取得するものとして機能する。
【0040】
処理部32は、対象の配合システム1の監視を行うため、監視画面データ生成部321、警報データ生成部322、積算時間算出部323、設定更新部324、停止命令生成部325、及び、時系列データ生成部326を備えたものとして機能する。
【0041】
監視画面データ生成部321は、対象とする配合システム1の構成図上において、取得した各運転データについて、それぞれに対応する位置で、当該運転データに対応する運転状態を識別可能に表示した構成図画像61を表示可能な監視画面6を表示するための監視画面データを生成する。具体的には、生成された監視画面データに基づき、表示部34や通信端末の表示部に
図3に示すような監視画面6が表示されるようになっており、状態監視タブ62を選択することにより構成図画像61が監視画面6上に表示されるようになっている。
【0042】
構成図画像61について説明すると、構成図画像61は、対象とする配合システム1の貯留タンク11やフィーダ12、供給管15,16等の各構成要素に対応する表示子611が、配合システム1におけるそれぞれの構成要素に対応する位置に配置されたものとなっており、さらに、各構成要素に関連する運転値(貯留する原料や配合物等の量、単位時間当たりの原料の供給量、装置の回転数、電流値、電力値、装置内の温度)を表示するための運転値表示欄612が、対応する表示子611の近傍に配置されている。また、フィーダ12や押出機13等の装置の状態(運転、停止、警報(異常に対応)、故障)を表示するための状態表示欄613をこれらに対応する表示子611に関連させて設けてある。さらに、各表示子611は運転状態を反映したものとなっており、例えば、貯留タンク11に対応する表示子611は、運転値表示欄612に表示される原料の量に応じた量の原料が貯留されている状態を示すようになっており、また、供給管15,16等の配管系に対応する表示子611は、使用中か否かが識別可能に表示されるようになっている(本実施形態では強調されているものが使用中のものとなっている)。このように、構成図画像61では、取得した各運転データについて、それぞれに対応する位置で、当該運転データに対応する運転状態が識別可能に表示された状態となっている。
【0043】
そして、監視画面データ生成部321は、通信部31が監視制御部14から取得した運転データに基づき、運転値表示欄612、状態表示欄613、及び、各構成要素に対応する表示子611の表示を新たに取得した運転値、状態に基づいて更新した構成図画像61を生成するようになっている。つまり、監視画面データ生成部321は、構成図画像61を定期的に最新の状態に更新するようになっている。
【0044】
また、監視画面データ生成部321は、入力部35から構成図画像61における貯留タンク11中の原料の名称に関する名称情報を取得したとき、取得した名称情報に対応する名称を、構成図画像61における対応する位置に表示させるようになっている。具体的には、構成図画像61では、貯留タンク11に対応する表示子611の近傍に、各貯留タンク611中の原料の名称を表示する名称表示欄614が設けられている。そして、表示部34で表示される監視画面6を介してユーザからの指示・入力を受け付けることによって、対応する名称情報を入力部35が取得し、名称表示欄614に対応する名称が表示されるようになっている。
【0045】
また、貯留タンク11の使用状態(使用可、使用不可、補修中、洗浄中など)を監視画面6上で明らかにするため、監視画面データ生成部321は、通信部31(通信端末4)や入力部35から構成図画像61における貯留タンク11の使用状態に関する使用情報を取得したとき、取得した使用情報に対応する使用状態を、構成図画像61における対応する位置に識別可能に表示させるようになっている。使用状態の表示態様としては、例えば、構成図画像61において、貯留タンク11に対応する表示子611の近傍に、各貯留タンク611の使用状態を表示するタグを表示させたり、表示子611自体の表示態様(色や線の太さなど)を変更させる等が挙げられる。そして、表示部34で表示される監視画面6を介してユーザからの指示・入力を受け付けることによって、対応する使用情報を入力部35が取得し、構成図画像61に貯留タンク11の使用状態が識別可能に表示されるようになっている。
【0046】
また、構成図画像61にはグレード名欄615が設けられており、対象の配合システム1で生成する配合物を表示するようになっている。
【0047】
監視画面データ生成部321は、通信端末4からの指示に応じて監視画面データを更新可能になっている。具体的には、通信端末4の表示部に表示される監視画面6を介してユーザからの指示・入力に対応する情報を通信部31が取得し、取得した情報に応じて監視画面データ生成部321が監視画面データを更新する。例えば、通信端末4の表示部に表示される監視画面6を介してユーザからの指示・入力を受け付けて、対応する名称情報や使用情報等の情報を通信端末4から通信部31が取得することによって、構成図画像61に、名称表示欄614に対応する名称や貯留タンク11の使用状態が識別可能に表示されるようになっている。これにより、通信端末4を携帯しておけば、現場から監視画面6上の貯留タンクの名称や状態を編集することができる。
【0048】
以上のように、監視画面データ生成部321によれば、配合システム1の運転状態を一括して把握可能な構成図画像6がユーザに対して表示されるので、ユーザが監視画面6を見ることにより、システムを巡回することなくシステムの監視を行うことができる。
【0049】
警報データ生成部322は、取得した各運転データに基づく運転値とこれに対応する設定値とを比較し、対応する設定値を超えた又は下回った運転値があったとき(つまり、異常が生じたとき)、対応する内容の警報を監視画面6上で表示するための警報データを生成するようになっている。つまり、警報データ生成部322により運転値に基づく判定を行い、配合システム1の監視が行えるようになっている。なお、設定値は、監視制御部14における警報値や故障値と対応させてもよいし、警報値や故障値とは独立に設定してもよい。また、複数段階の設定値を設けて複数段の判定を行うようにしてもよい。設定値は設定値変更タブ67を選択して表示される表示画面を通じて変更・追加・削除等が行えるようになっている。
【0050】
警報の内容としては、異常が生じたと判定した構成要素、時間、異常の具体的内容(どの運転値が異常であるかや、異常の程度など)が挙げられる。また、警報の表示態様としては、警報データが生成されたときに、監視画面6上に警報を出力することが挙げられる。そして、生成された警報データは処理データ記憶部333に蓄積的に記憶され、ユーザが監視画面6における警報一覧タブ65を選択することにより、記憶された警報の一覧が表示されるようになっている。また、警報データ生成部322は、監視制御部14から取得した運転データに含まれる各構成要素の状態(異常、故障等)に関する警報データも生成するようにしてもよい。
【0051】
積算時間算出部323は、取得した運転データに基づき、運転値として配合システム1の各部の運転積算時間を算出するようになっている。つまり、積算時間算出部323は、取得した運転データに含まれる各構成要素の状態(運転しているか否か)に基づき、運転となっている時間を積算することで各構成要素の運転積算時間を算出するようになっている。そして、新たに運転積算時間が算出されると、処理データ記憶部333に最新の運転積算時間が記憶され、ユーザが監視画面6における運転時間一覧タブ64を選択することにより、現時点における各運転積算時間の一覧が表示されるようになっている。
【0052】
また、警報データ生成部322は、算出された各運転積算時間とこれに対応する設定値としての設定時間とを比較し、対応する設定時間を超えた運転積算時間があったとき、対応する内容の警報データを生成するようになっている。つまり、各構成要素は運転に伴い劣化していくところ、運転積算時間に基づき各構成要素の劣化度を判定できるようになっている。そして、警報データが生成されたとき、監視画面6上に警報が出力されることで、ユーザが構成要素の劣化を知ることができる。
【0053】
設定更新部324は、配合システム1で生成させる配合物の種類に応じて、監視制御部14における各構成要素の制御値や警報値を新たに設定するようになっている。具体的には、グレード選択タブ68を選択することで、
図4に示すような、配合物の種類を表示する選択画面7が表示される。そして、選択画面7に対するユーザや通信端末4からの指示を通信部31や入力部35が取得したとき、設定更新部324が、取得した配合物の種類に対応する各構成要素の制御値及び警報値を監視制御部14に設定するための更新命令(制御値更新命令及び警報値更新命令)を生成し、通信部31を介して監視制御部14側に更新命令を送信させる。そして、監視制御部14が更新命令を取得することで、生成させる配合物に応じた各構成要素の制御値及び警報値を一括して設定できる。なお、このとき、構成図画像611におけるグレード名欄615も取得した配合物の種類に更新される。また、警報データ生成部322における設定値も生成させる配合物の種類ごとに設定しておき、警報データ生成部322における設定値も取得した配合物の種類に応じて更新するようにしてもよい。
【0054】
停止命令生成部325は、取得した運転データに対応する運転状態が配合システム1の全体又は一部の運転を停止すべきであるとする内容であったとき、配合システム1の全体又は一部の運転を停止させる停止命令を生成するようになっている。具体的には、運転データとして取得する各構成要素の状態が故障であるときや、警報データ生成部322での判定結果が運転を停止すべき内容であったときに、停止命令生成部325は、対応する範囲において配合システム1の運転を停止させる停止命令を生成する。そして、生成された停止命令は通信部31を介して監視制御部14側に送信され、監視制御部14が停止命令を取得することで、対応する範囲において配合システム1の運転が停止される。
【0055】
時系列データ生成部326は、対象とする1又は複数種の配合物について、運転データ記憶部332に記憶された運転データを時系列的に集計した時系列データを生成するようになっている。そして、特に、本実施形態では、時系列データ生成部326は、同種の配合物について、同種の運転値についての異なる複数の期間における複数の時系列データ、又は、異なる種類の運転データについての同じ期間における複数の時系列データを対比可能な状態で監視画面6上に表示するための対比データを生成可能になっている。つまり、前者によれば、過去と現在等の異なる期間の時系列データを比較できて運転状態の変化を把握できる。また、後者によれば、同じ時点における複数の運転データを比較することで、一方の運転データの変化と他方の運転データの変化とを対応付けることができ、運転データの変化の原因を把握できる。
【0056】
例えば、監視画面6上でトレンドグラフタブ63を選択することで、時系列データ生成部326により、対象とする運転値についてのトレンドグラフを監視画面6上に表示可能になっている。具体的には、トレンドグラフタブ63を選択することで表示される画面において、表示対象とする1又は複数種の配合物及びその1又は複数の運転値、トレンドグラフを表示する1又は複数の期間を指定することで、目的のトレンドグラフが表示されるようになっている。例えば、1つの配合物と1つの運転値とを選択し、複数の異なる期間を指定することで、同種の配合物及び運転値について異なる期間のトレンドグラフを表示でき、1つの配合物と複数の運転値とを選択し、1つの期間を指定することで、同種の配合物の同期間における複数の運転値についてのトレンドグラフを表示できる。
【0057】
また、監視画面6上で帳票タブ66を選択することで、時系列データ生成部326により、対象とする運転データについての
図5,6に示すような帳票を監視画面6上に表示し印刷物として出力可能になっている。具体的には、帳票タブ66を選択することで表示される画面において、表示対象とする配合物を指定することで、目的の帳票が表示されるようになっている。例えば、
図5は配合物「○○○○−A」に関する帳票であり、配合物「○○○○−A」の生成時における配合システム1に関する運転データが時系列的に表示されている。そして、
図6は、配合物「○○○○−A」の後に配合システム1で生成された配合物「○○○○−1C」に関する帳票であり、配合物「○○○○−1C」の生成後の時間からデータが表示されている。
【0058】
集中監視装置3は、複数の配合システム1を同時に監視可能になっている。具体的には、通信部31が、複数の配合システム1の監視制御部14からの運転データを取得するとともに、記憶部33が各種のデータを配合システム1ごとに記憶するようになっており、監視画面データ生成部321により、監視画面6上で表示する配合システム1を選択可能で、且つ、選択された配合システム1に関する監視画面6を表示されるようになっている。そして、監視画面6には、現在表示中でないプラント1についての警報も表示されるようになっている。
【0059】
以上のように、集中監視装置3によれば、通信部31を介して監視制御部14から取得した運転データに基づいて、システム1各部の運転状態を識別可能に表示した構成図画像61等の種々の情報を監視画面6に表示可能であるので、ユーザが監視画面6を見ることにより、システム1の集中監視を行うことができる。
【0060】
〔その他の実施形態〕
上記の実施形態では、ノートパソコン、タブレット端末やその他通信携帯端末等の通信端末4から監視画面6を更新可能な構成を例に説明したが、監視画面6を更新するための通信端末4はこれらに限定されない。例えば、貯留タンク11に中継装置2を介して又は直接集中監視装置3と通信可能な通信端末を設けておき、通信端末に対する指示・入力に基づき名称情報や使用情報等の情報を通信端末から通信部31に送信することによって、構成図画像61上の名称表示欄614の表示を更新したり貯留タンク11の使用状態を表示する等、監視画面6を更新するようにしてもよい。この場合、貯留タンク11に貯留させる原料を入れ替えたときに、通信端末に入れ替えた後の原料の名称を入力することで構成図画像61の名称表示欄614を更新したり、貯留タンク11を洗浄しているときに、通信端末に洗浄中であることを入力することで構成図画像61において貯留タンク11の使用状態を更新することができる。
【0061】
上記の実施形態では、材料配合装置として押出機13を備えた配合システムとしたが、材料を混ぜ合わせる混合機や、材料を練り合わせる混練機等、種々の材料を配合可能な種々の装置を材料配合装置として備えた配合システムとすることができる。
【0062】
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。従って、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、例えば配合システムの監視に利用することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 配合システム
11 貯留タンク
12 フィーダ
13 押出機
14 監視制御部
3 集中監視装置
31 通信部(運転データ取得部、配合物情報取得部)
32 処理部
321 監視画面データ生成部
322 警報データ生成部
323 積算時間算出部
324 設定更新部
325 停止命令生成部
326 時系列データ生成部
33 記憶部
331 設定記憶部
332 運転データ記憶部
34 表示部
35 入力部(配合物情報取得部)
4 通信端末
6 監視画面
61 構成図画像