特開2018-195356(P2018-195356A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-195356(P2018-195356A)
(43)【公開日】2018年12月6日
(54)【発明の名称】サスペンションの再生方法
(51)【国際特許分類】
   G11B 21/26 20060101AFI20181109BHJP
   G11B 21/21 20060101ALI20181109BHJP
【FI】
   G11B21/26
   G11B21/21 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-95445(P2017-95445)
(22)【出願日】2017年5月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】真島 明男
【テーマコード(参考)】
5D059
【Fターム(参考)】
5D059AA01
5D059BA01
5D059CA01
5D059DA04
5D059EA05
(57)【要約】
【課題】剥離したスライダの跡に残留した接着剤をサスペンションにダメージを与えずに除去できるサスペンションの再生方法を提供する。
【解決手段】剥離工程S1は、スライダ8をヘッドジンバルアセンブリ10から剥離させる。除去工程S2は、剥離工程S1の後にタング部7に残留している接着剤を除去する。除去工程S2は、第1検査工程S21と、第1照射工程S22と、第2照射工程S23と、を備えている。第1検査工程S21は、クリーニング領域21について接着剤の厚みを計測し、接着剤の厚みが閾値を超えている第1残留領域24を特定する。第1照射工程S22は、第1残留領域24を含む第1照射領域34のみに局所的にレーザー光を照射する。第2照射工程S23は、クリーニング領域21に全体的にレーザー光を照射する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードディスク装置のサスペンションのタング部に接着剤を介して搭載されているスライダを該サスペンションから剥離させる剥離工程と、
前記剥離工程の後に前記タング部に残留している前記接着剤を除去する除去工程と、
を具備したサスペンションの再生方法であって、
前記タング部は、前記除去工程において前記接着剤が除去されるクリーニング領域を有しており、
前記除去工程は、
前記クリーニング領域について前記接着剤の厚みを計測し、該接着剤の厚みが閾値を超えている第1残留領域を特定する第1検査工程と、
前記第1残留領域を含む第1照射領域のみに局所的にレーザー光を照射する第1照射工程と、
前記クリーニング領域に全体的にレーザー光を照射する第2照射工程と、
を備えていることを特徴とするサスペンションの再生方法。
【請求項2】
前記第1検査工程は、前記第1残留領域を円形に近似して該第1残留領域の中心及び直径を特定し、
前記第1照射領域は、前記第1残留領域よりも大きい同心円であり、
前記第1照射工程は、前記第1照射領域を塗りつぶすように渦巻き状にレーザー光を照射することを特徴とする請求項1に記載のサスペンションの再生方法。
【請求項3】
前記除去工程は、前記第2照射工程の後に前記クリーニング領域に残留している前記接着剤の有無を検出する第2検査工程をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のサスペンションの再生方法。
【請求項4】
前記タング部は、前記クリーニング領域を囲む配線領域と、該クリーニング領域と該配線領域との間に形成された非照射領域と、をさらに備え、
前記第2照射工程は、前記非照射領域を残して前記クリーニング領域を塗りつぶすようにジグザグにレーザー光を照射することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のサスペンションの再生方法。
【請求項5】
前記レーザー光は、波長が250〜350nmの深紫外線であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のサスペンションの再生方法。
【請求項6】
前記レーザー光を照射するレーザー装置には、深紫外線によって分解された前記接着剤を吹き飛ばすエアブローと、吹き飛ばされた前記接着剤を吸引するエアバキュームとが付設されていることを特徴とする請求項5に記載のサスペンションの再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ハードディスク装置のサスペンションの再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスク装置のヘッドジンバルアセンブリは、例えば、スライダに形成された磁気ヘッドと、該スライダを弾性的に支持するサスペンションとから構成されている。完成したヘッドジンバルアセンブリは、所望の電気的特性を有しているか否か検査され、特性良好のヘッドジンバルアセンブリのみハードディスク装置に組み付けられる。
【0003】
電気的特性が規格外であった場合、ヘッドジンバルアセンブリから特性不良のスライダを剥離して新たなスライダと交換する。このとき、スライダを固定していた接着剤がサスペンションに残留することがある。従来、残留接着剤を有機溶剤で膨潤させてから機械的に擦り落とすことによって、サスペンションを再生していた(例えば、特許文献1乃至3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−295257号公報
【特許文献2】特開2002−93092号公報
【特許文献3】特開2005−44399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの再生方法では、僅かとはいえ外力を加えるために繊細なサスペンションが変形するおそれがある。精密な作業が要求されるため、作業時間を短縮することが難しい。さらに、洗浄後もサスペンションに接着剤が残留している可能性があるし、除去した接着剤がサスペンションに再付着する可能性もある。環境負荷や作業者の健康の面から、有機溶剤の使用も好ましくない。
本発明の目的は、剥離したスライダの跡に残留した接着剤をサスペンションにダメージを与えずに除去できるサスペンションの再生方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係るサスペンションの再生方法は、剥離工程と、除去工程と、を具備している。剥離工程は、ハードディスク装置のサスペンションのタング部に接着剤を介して搭載されているスライダをサスペンションから剥離させる。除去工程は、剥離工程の後にタング部に残留している接着剤を除去する。タング部は、除去工程において接着剤が除去されるクリーニング領域を有している。除去工程は、第1検査工程と、第1照射工程と、第2照射工程と、を備えている。第1検査工程は、クリーニング領域について接着剤の厚みを計測し、接着剤の厚みが閾値を超えている第1残留領域を特定する。第1照射工程は、第1残留領域を含む第1照射領域のみに局所的にレーザー光を照射する。第2照射工程は、クリーニング領域に全体的にレーザー光を照射する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施形態の再生方法に含まれる工程の一例を示す図である。
図2図2は、本実施形態によって再生されるサスペンションの一例を示す斜視図である。
図3図3は、剥離工程を経てスライダが剥離されたタング部の一例を示す平面図である。
図4図4は、除去工程に用いるクリーニング装置の一例を示す斜視図である。
図5図5は、図1に示された第1照射工程を説明する平面図である。
図6図6は、図1に示された第2照射工程を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態は、ヘッドジンバルアセンブリ10から磁気ヘッド9のみを剥離してサスペンション1を再生するサスペンションの再生方法に関する。図1は、一実施形態のサスペンションの再生方法に含まれる工程の一例を示す図である。本実施形態は、ヘッドジンバルアセンブリ10のタング部7からスライダ8を剥離する剥離工程S1と、剥離工程S1の後にタング部7に残留している接着剤を除去する除去工程S2と、を備えている。
【0009】
本実施形態の除去工程S2は、接着剤の厚みを計測して第1残留領域24を特定する第1検査工程S21と、第1残留領域24よりも僅かに大きい第1照射領域34のみに局所的にレーザー光を照射する第1照射工程S22と、第1照射領域34のみならずクリーニング領域21全体にレーザー光を照射する第2照射工程S23と、を備えていることを特徴としている。本実施形態によれば、第1残留領域24の接着剤を効率的に除去でき且つクリーニング領域21において漏れなく接着剤を除去できる。
以下、一実施形態のサスペンションの再生方法について、図1乃至図6を参照して詳しく説明する。
【0010】
図2は、本実施形態によって再生されるサスペンション1の一例を示す斜視図である。ハードディスク装置(HDD)は、スピンドルを中心に回転する磁気ディスクと、ピボット軸を中心に旋回するキャリッジと、を備えている。キャリッジのアームには、図2に示すサスペンション1が設けられている。
【0011】
サスペンション1は、アームに固定されたベースプレートと、弾性的に撓むことができるロードビーム2と、ロードビーム2に重ねて配置される配線付フレキシャ3と、を備えている。配線付フレキシャ3は、薄いステンレス鋼板からなるメタルベース4と、メタルベース4の上に形成された配線5と、を備えている。
【0012】
配線付フレキシャ3の先端付近には、ジンバル部6が形成されている。ジンバル部6の中心のタング部7には、接着剤を介して略矩形のスライダ8が搭載される。スライダ8を固定する接着剤として、例えば、エポキシ系接着剤、フェノール系接着剤、ウレタン系接着剤が挙げられる。
【0013】
スライダ8に形成された磁気ヘッド9は、磁気ディスクの記録面にアクセスしてデータを読み取り及び書き込みする。磁気ヘッド9が形成されたスライダ8と、スライダ8を弾性的に支持するサスペンション1とによって、ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)10が構成される。
【0014】
図3は、剥離工程S1によってスライダ8が剥離されたタング部7の一例を示す平面図である。剥離工程S1を実施されたタング部7は、残留した接着剤及びその近傍の領域であるクリーニング領域21と、クリーニング領域21を囲む配線領域22と、クリーニング領域21と配線領域22との間に形成された非照射領域23と、を有している。
【0015】
図3中に、クリーニング領域21を右上がり斜線で示し、配線領域22を右下がり斜線で示す。クリーニング領域21は、第1及び第2照射工程S22,S23において、レーザー光を照射される領域である。非照射領域23は、該第1及び第2照射工程S22,S23において、配線領域22に形成された配線5を保護するために意図的に残されたレーザー光を照射されない領域である。非照射領域23は、例えば、幅50μm前後の環状に形成されている。
【0016】
クリーニング領域21は、残留した接着剤の厚みが後述する閾値を超えている第1残留領域24と、残留した接着剤の厚みが後述する閾値以下である第2残留領域25と、を含んでいる。第1残留領域24は、ディスペンサから滴下された接着剤がスライダ9に押し広げられた痕跡であり、略円形に形成されている。
【0017】
なお、第1残留領域24は、略円形の外縁よりも内側にタング部7の凹凸や気泡等の影響によって接着剤の厚みが局所的に閾値以下になった凹凸領域24Cを含んでいてもよい。第2領域25は、第1残留領域24の周りを囲んでいる。第2残留領域25には、第1残留領域24からの接着剤が付着している可能性があるため、第2照射工程S23において、念のためレーザー光が照射される。
【0018】
配線領域22には、配線5の一部が形成されている。配線5は、例えば、メタルベース4の上に形成されたベース層26と、ベース層26の上に形成された導電層27と、導電層27の上に形成されたカバー層と、を備えている。図3に示す配線5は、カバー層を省略して描いている。ベース層26及びカバー層は、ポリイミド樹脂等の絶縁材料から形成されている。導電層27は、銅やアルミニウム等の金属材料から形成されている。
【0019】
図4は、除去工程S2に用いるクリーニング装置100の一例を示す斜視図である。図4に示すように、クリーニング装置100は、レーザー装置101と、エアブロー102と、エアバキューム103と、を備えている。
【0020】
レーザー装置101は、サスペンション1のタング部7に残留した接着剤の厚みを計測する計測機能と、計測した接着剤の厚みに基づいて第1残留領域24を特定する識別機能と、接着剤にレーザー光を照射する照射機能と、を有している。なお、レーザー装置101に外部装置を付設して、計測機能や識別機能を該外部装置に与えてもよい。
【0021】
レーザー装置101から照射されるレーザー光は、例えば、波長が250〜350nmの深紫外線である。深紫外線を照射すると、分子鎖を切断されて接着剤が分解する。これに対し、仮に、可視域のグリーンレーザー(波長532nm)や、赤外域の炭酸ガス(CO2)レーザー(波長9.4μm,10.6μm)を照射した場合、加工対象物である接着剤の温度が上昇してタング部7に焦げ付いてしまうおそれがある。
【0022】
レーザー装置101から照射される深紫外線として、例えば、YAGレーザーから発振された第4高調波であって、波長が266nmの深紫外線が挙げられる。なお、深紫外線を発振する光源はYAGレーザーに限られず、深紫外LED等であってもよい。レーザー装置101は、例えば内蔵された光学系によってレーザー光を屈折させてタング部7の上を自由自在に走査できる。レーザー光を固定し、XYステージによってサスペンション1を移動させてタング部7の上を走査してもよい。
【0023】
レーザー装置101は、残留した接着剤の厚みを計測して、該接着剤の厚みが閾値を超えている第1残留領域24を特定する。さらに、第1残留領域24を円形に近似して、図3に示された円の中心Xと、円の直径Dとを特定する。第1残留領域24と第2残留領域25とを二分するこの閾値は、第2照射工程S23の走査時間で十分に除去できる接着剤の厚みを基準に設定される。
【0024】
エアブロー102及びエアバキューム103は、レーザー装置101に付設されている。エアブロー102は、レーザー装置101から照射された深紫外線によって分解されたタング部7の接着剤を吹き飛ばす。エアバキューム103は、エアブロー102によって吹き飛ばされた接着剤を吸引する。なお、エアブロー102及びエアバキューム103は、必須の構成ではない。エアブロー102及びエアバキューム103のうち、いずれか一方を省略してもよいし、両方を省略してもよい。
【0025】
再び図1を参照して本実施形態のサスペンションの再生方法について説明する。本実施形態は、剥離工程S1と、除去工程S2と、を備えている。剥離工程S1では、ヘッドジンバルアセンブリ10からスライダ8を剥離する。スライダ8を剥離する場合、例えば、ヘッドジンバルアセンブリ10を加熱して接着剤の接着力を弱めてからスライダ8を引き剥がす。
【0026】
除去工程S2は、少なくとも、第1検査工程S21と、第1照射工程S22と、第2照射工程S23と、を備えている。図1に示す例では、除去工程S2は、第2検査工程S24と、第3照射工程S25と、をさらに備えている。なお、第2検査工程S24及び第3照射工程S25のいずれか一方を省略してもよいし、両方を省略してもよい。
【0027】
第1検査工程S21では、クリーニング領域21に残留している接着剤の厚みを計測して、接着剤の厚みが閾値を超えている第1残留領域24を特定する。さらに、第1残留領域24の外縁を円形に近似して、図3に示すように、この円の中心Xと直径Dとを特定する。
【0028】
第1残留領域24を特定する手段の一例は、画像処理による判定である。例えば、残留している接着剤の厚みを閾値超と閾値以下とに二値化する。二値化した接着剤の厚みに対応させてクリーニング領域21を第1色と第2色とに塗り分ける。第1色の領域は、単数であってもよいし、複数であってもよい。閾値超の第1色の領域をすべて含み且つ第1色の領域に外接する円を描く。描いた外接円のうちの最小の円を第1残留領域24と判定し、この円の中心及び直径を中心X及び直径Dと判定する。なお、この円に含まれる第2色の領域が凹凸領域24Cである。
【0029】
第1照射工程S22では、第1照射領域34のみに局所的にレーザー光を照射する。第1照射領域34は、図5に示すように、第1残留領域24を含む円形に設定される。詳しくは、第1照射領域34は、第1残留領域24と同一又は第1残留領域24よりも僅かに大きい同心円に設定される。
【0030】
第1照射領域34の一例は、第1残留領域24よりも直径が0〜5μmm大きい同心円である。第1照射領域34の他の一例は、第1残留領域24よりも直径が0〜10%大きい同心円である。第1照射領域34は第1残留領域24とほぼ重畳するため、両者を同一とみなしてもよい。第1照射工程S22では、例えば、第1照射領域34(第1残留領域24)の中心Xから渦巻き状にレーザー光を照射して第1照射領域34を塗りつぶすようにレーザー光を照射する。
【0031】
第2照射工程S23では、図6に示すように、クリーニング領域21に全体的にレーザー光を照射する。第2照射工程S23では、例えば、非照射領域23を残してクリーニング領域21を塗りつぶすようにジグザグにレーザー光を照射する。
【0032】
第2検査工程S24は、再びクリーニング領域21について接着剤の厚みを計測して、クリーニング領域21に残留している接着剤の有無を検出する。クリーニング領域21の接着剤が完全に除去されていた場合、除去工程S2を終了し、サスペンション1を再生OK品として再利用する。
【0033】
クリーニング領域21の接着剤が除去できておらずまだ残っていた場合、第3照射工程S25を実施して、クリーニング領域21に再びレーザー光を照射する。なお、第3照射工程S25を実施しない場合、除去工程S2を終了し、サスペンション1を再生NG品として廃棄してもよい。
【0034】
第3照射工程S25では、例えば第2照射工程S23と同様に、クリーニング領域21に全体的にレーザー光を照射する。第3照射工程S25を実施されたサスペンション1は、再び第2検査工程S24によって再生OK品か再生NG品か検査される。
【0035】
以上のように構成された本実施形態のサスペンションの再生方法は、剥離工程S1の後にタング部7に残留している接着剤を除去する除去工程S2が、第1検査工程S21と、第1照射工程S22と、第2照射工程S23と、を備えている。第2照射工程S23は、クリーニング領域21に全体的にレーザー光を照射する。第1照射工程S22は、第2照射工程S23では除去しきれない第1残留領域24を中心にあらかじめレーザー光を照射する。第1検査工程S21は、第2照射工程S23で十分に除去できる接着剤の厚みを閾値にして第1残留領域24の範囲を特定する。
【0036】
本実施形態によれば、第1照射工程S22によって第1残留領域24の接着剤を念入りに除去できるとともに、仕上げの第2照射工程S23によって第1残留領域24の周囲に付着した可能性のある僅かな接着剤も確実に除去できる。接着剤の厚みに応じてレーザー光の照射回数を変更するため、クリーニング領域21に全体的にレーザー光を照射する第2照射工程において、レーザー光の照射時間を第1残留領域24の接着剤の厚みに合わせて長くする必要がない。
【0037】
サスペンション1に触れずにレーザー光によって接着剤を除去するため、外力を加えて繊細なサスペンション1を変形させるおそれがない。ダメージを与えることなく接着剤を除去してサスペンション1を再生できる。サスペンション1の再生を自動化できるため、作業時間を短縮できる。有機溶剤を使用しないため、環境負荷が小さく作業者の健康を損なうこともない。
【0038】
ディスペンサから滴下された接着剤が円形に広がるため、接着剤が厚い第1残留領域24は、略円形に形成される。本実施形態は、第1残留領域24を円形に近似して中心X及び直径Dを特定する第1検査工程S21を備えている。本実施形態によれば、第1照射工程S22において照射するレーザー光の照射範囲の位置及び大きさを第1検査工程S21の計測結果に基づいて最適化できる。本実施形態は、第1残留領域24を特定する手段が画像処理等の電算処理であるため、第1残留領域24の中心X及び直径Dを正確に特定してレーザー光の位置精度を向上させることができる。
【0039】
本実施形態は、第1照射工程S22において、渦巻き状に塗りつぶすようにレーザー光を照射するため、円形の第1残留領域24に残留した接着剤を確実に除去できる。第2照射工程S23では、ジグザグに塗りつぶすレーザー光を照射するため、矩形のクリーニング領域21に残留した接着剤を確実に除去することができる。
【0040】
本実施形態では、タング部7が、クリーニング領域21と配線領域22との間に形成された非照射領域23を備えている。配線領域22がクリーニング領域21と直に隣接しないため、レーザー光による配線5の損傷を防止できる。
【0041】
本実施形態は、除去工程S2が第2検査工程S24をさらに備えており、再生OK品か再生NG品か自動的に判別できる。そのため、作業者の負担を軽減でき、人為的ミスによって再生NG品を見逃すことがない。しかも、第2検査工程S24は、第1検査工程S21と同様の計測機能を用いて再生OK品か再生NG品か自動的に判別する。そのため、第2検査工程S24を実施するために追加の設備投資を必要としない。
【0042】
本実施形態は、除去工程S2が第3照射工程S25をさらに備えており、第2検査工程S24において再生NG品と判別されたサスペンション1に再びレーザー光を照射できる。第2検査工程S24と第3照射工程S25とを繰り返すように設定すれば、サスペンション1が再生OK品となるまでレーザー装置101を自動運転させることができる。
【0043】
或いは、タング部7に残留した接着剤にばらつきがあっても、サスペンション1の個体差に合わせてレーザー光の照射回数を最適化できるため、接着剤の厚みが大きいサスペンション1に合わせてすべてのサスペンション1の照射時間を長めに設定する必要がなくなる。
【0044】
本実施形態は、レーザー光として、波長が250〜350nmの深紫外線を用いる。仮に、可視域や赤外域のレーザーを照射した場合、加工対象物である接着剤の温度が上昇してタング部7に焦げ付いてしまうおそれがある。本実施形態であれば、温度上昇を抑制しつつ分子鎖を切断して接着剤7を分解できる。
【0045】
本実施形態に係るレーザー装置101には、深紫外線によって分解された接着剤を吹き飛ばすエアブロー102と、吹き飛ばされた接着剤を吸引するエアバキューム103とが付設されており、分解された接着剤を自動的に除去できる。接着剤の再付着も防止できる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0047】
例えば、クリーニング領域21を第1残留領域24とその外との二つに分けるのではなく、複数の閾値を設定して、クリーニング領域21を三つ以上に分けてもよい。その場合、それぞれの領域に応じてレーザー光の照射時間や照射回数を変更することにより、接着剤を効率的に除去できる。
【符号の説明】
【0048】
1…サスペンション、7…タング部、8…スライダ、9…磁気ヘッド、10…ヘッドジンバルアセンブリ、21…クリーニング領域、22…配線領域、23…非照射領域、24…第1残留領域、34…第1照射領域、101…レーザー装置、102…エアブロー、103…エアバキューム、S1…剥離工程、S2…除去工程、S21…第1検査工程、S22…第1領域24、S23…第2領域25、S24…第2検査工程。
図1
図2
図3
図4
図5
図6