【解決手段】一方に開口部66を有する筒状のシェル62と、シェル62の内部に配置された少なくとも1つのコンタクト12が設けられたハウジング18と、シェル62とハウジング18との間に設けられた環状のシール部材90と、を有するコネクタ10であって、シェル62の開口部66の反対側には、開口部66より小さい貫通口70が内側に開口されるように延設された壁部72が環状に設けられ、シール部材90は、シェル62の壁部72とハウジング18との間に挟まれた状態で配置されている。
一方に開口部を有する筒状のシェルと、前記シェルの内部に配置された少なくとも1つのコンタクトが設けられたハウジングと、前記シェルと前記ハウジングとの間に設けられた環状のシール部材と、を有するコネクタであって、
前記シェルの前記開口部の反対側には、前記開口部より小さい貫通口が内側に開口されるように延設された壁部が環状に設けられ、
前記シール部材は、前記シェルの前記壁部と前記ハウジングとの間に挟まれた状態で配置されていることを特徴とするコネクタ。
前記シール部材は、前記シェル内に前記ハウジングが配置された状態において、前記ハウジングと前記シェルの前記壁部との間で圧縮されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
前記ハウジングには、前記シェルの前記壁部と対向する側に、前記ハウジング本体部の外周より小さく、前記シール部材が保持されるシール部材保持部が形成されていることを特徴とする請求項6に記載のコネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に開示された防水コネクタでは、第1のシェルに支持部を組み込む際に、支持部に取り付けられたシール部材としての内側封止材が第1のシェルの内側に接触し、摺動されることで変形や離脱、破損等の不具合を生じる課題がある。
【0006】
本発明は上述のような従来技術の課題を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、シール部材の不具合を抑制することができるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様にかかるコネクタは、一方に開口部を有する筒状のシェルと、前記シェルの内部に配置された少なくとも1つのコンタクトが設けられたハウジングと、前記シェルと前記ハウジングとの間に設けられた環状のシール部材と、を有するコネクタであって、
前記シェルの前記開口部の反対側には、前記開口部より小さい貫通口が内側に開口されるように延設された壁部が環状に設けられ、
前記シール部材は、前記シェルの前記壁部と前記ハウジングとの間に挟まれた状態で配置されていることを特徴とする。
【0008】
また、第2の態様のコネクタは、第1の態様のコネクタにおいて、前記シール部材は、前記シェル内に前記ハウジングが配置された状態において、前記ハウジングと前記シェルの前記壁部との間で圧縮されていることを特徴とする。
【0009】
また、第3の態様のコネクタは、第1又は第2の態様のコネクタにおいて、前記シェルは、金属材料で形成され、
前記ハウジングには、少なくとも一つの金属製の固定部材が取り付けられ、
前記シェルと前記固定部材が溶接されて、前記ハウジングが前記シェルの内部に固定されていることを特徴とする。
【0010】
また、第4の態様のコネクタは、第1又は第2の態様のコネクタにおいて、前記シェルには、少なくとも一つの係止部が形成され、
前記ハウジングには、前記係止部と係止される被係止部が形成され、
前記シェルの前記係止部と前記ハウジングの前記被係止部が係止されることで、前記ハウジングが前記シェルの内部に固定されていることを特徴とする。
【0011】
また、第5の態様のコネクタは、第4の態様のコネクタにおいて、前記シェルに形成された前記係止部は、前記シェル内に突出した立設部と、
前記ハウジングに形成された被係止部は、前記爪状の係止部が係止される突起部と、を有していることを特徴とする。
【0012】
また、第6の態様のコネクタは、第1〜第5のいずれかの態様のコネクタにおいて、前記ハウジングには、前記シェルの内側を塞ぐように形成されたハウジング本体部を有し、
前記シール部材は、前記ハウジング本体部と前記シェルの前記壁部との間に配置されていることを特徴とする。
【0013】
また、第7の態様のコネクタは、第6の態様のコネクタにおいて、前記ハウジングには、前記シェルの前記壁部と対向する側に、前記ハウジング本体部の外周より小さく、前記シール部材が保持されるシール部材保持部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1の態様のコネクタによれば、シール部材がシェルの開口部の反対側に形成された壁部とハウジングとの間に設けるようにすることで、シール部材をシェルの内部に組み込む際に、シェルの内側に接触しないようになり、シール部材が擦れて破損したり、ハウジングから外れたりする不具合を抑制することができる。
【0015】
また、第2の態様のコネクタによれば、シール部材がシェルとハウジングとの間で圧縮した状態となることで、シェルとハウジングとの隙間がなくなるため、防水性や防塵性を高めることができる。
【0016】
また、第3の態様のコネクタによれば、シェルとハウジングに取り付けた固定部材とを溶接することで、汎用的な方法を用いて容易に、且つ確実にハウジングをシェル内に固定させることができる。
【0017】
また、第4の態様のコネクタによれば、シェルに形成された係止部と、ハウジングに形成された被係止部とを係止させることで、部品点数を増やすことなく簡単にはめ込むことでハウジングをシェル内に固定させることができる。
【0018】
また、第5の態様のコネクタによれば、シェルの係止部とハウジングの被係止部を容易に形成することができる。
【0019】
また、第6の態様のコネクタによれば、シェルの内側と略同じ大きさのハウジング本体部と壁部との間に挟まれるような大きさのシール部材とすることができるので、シェルの貫通口を大きく形成することができる。
【0020】
また、第7の態様のコネクタによれば、シェル内へのシール部材の組み立てを行いやすくなる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのコネクタを例示するものであって、本発明をこれに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適応し得るものである。
【0023】
[実施形態1]
まず、
図1〜
図8を参照して、実施形態1に係るコネクタ10について説明する。実施形態1のコネクタ10は、例えば、回路基板に実装され、相手方コネクタ(不図示)と接続されて使用されるものである。実施形態1のコネクタ10は、一方に相手方コネクタが接続される開口部66を有し、他方に回路基板等に形成された接点部に接続されるためのコンタクト12の一部が突出された構造となっている。また、コネクタ10の開口部66側の外周側には、気密性及び防水性を高めるためのガスケット92が取り付けられている。
【0024】
実施形態1のコネクタ10は、
図1、
図7A及び
図8Bに示すように、環状のガスケット92が外周側に取り付けられた金属製のシェル62と、シェル62の内部に配置されるハウジング18と、このハウジング18と一体となるように設けられた少なくとも一本のコンタクト12と、ハウジング18に取り付けられ、シェル62とハウジング18とを固定させるための金属製の固定部材56と、シェル62とハウジング18との間に設けられ、隙間を埋めることで防水性や防塵性等の機能を有する環状のシール部材90と、で構成されている。
【0025】
また、実施形態1のコネクタ10は、シェル62と固定部材56が固定手段として、溶接により溶接箇所94が固定されており、シール部材90はシェル62とハウジング18の間に圧縮された状態で配置されるようになっている。以下、各構成部品について説明する。
【0026】
まず、
図2、
図3、
図4A、
図4Bを参照して、実施形態1のハウジング18及びコンタクト12について説明する。なお、実施形態1では、複数の金属製のコンタクト12が、樹脂材料で形成されたハウジング18と、例えばモールド成形により一体となるように形成されている(以下、ハウジング18とコンタクト12を一体化した状態をハウジングユニット46という場合がある。)。
【0027】
まず、実施形態1のコンタクト12について説明する。なお、実施形態1では6本のコンタクト12が所定の間隔に並べられて配置されて設けられているが、構成は共通するので、1本を代表して説明する。
【0028】
実施形態1のコンタクト12は、
図2、
図3、
図4A、
図4Bに示すように、所定の形状で形成されており、このコンタクト12の一方側は、接続される相手方コネクタに設けられる相手方コンタクト(不図示)と接触される接触部14となり、他方側は、例えば、基板に形成された接点部(不図示)にはんだ付け等により接続される接続部16となっている。なお、実施形態1のコンタクト12は、接触部14と接続部16との間が2か所折り曲げられた、いわゆるクランク状になっており、接触部14と接続部16とは略平行となるように形成されている。
【0029】
また、実施形態1のコンタクト12は、それぞれ金属製の板体を打ち抜き、屈曲させることで形成されている。なお、実施形態1のコンタクト12は、それぞれ同じ形状で形成されているが、これに限らず、任意の形状とすることができる。
【0030】
次に、
図2、
図3を参照してハウジング18について説明する。なお、
図2、
図3では、ハウジング18はコンタクト12が一体に取り付けられたハウジングユニット46の状態で示されている。実施形態1のハウジング18は、
図2、
図3に示すように、シェル62の内部空間82を塞ぐことができる程度の大きさで形成されたハウジング本体部20を有し、このハウジング本体部20の一方側、すなわち、相手方コネクタと接続される側に形成されたコンタクト保持部36と、他方側、すなわち、シェル62に先に挿入される後面24側に形成されたシール部材保持部40と、で構成されている。
【0031】
ハウジング本体部20は、コンタクト保持部36が形成された前面22と、シール部材保持部40が形成された後面24と、固定部材56が取り付けられる取付部34が形成された上面26と、上面26と反対側の平坦な底面28と、曲面状の一方の側面30及び他方の側面32を有しており、後述するシェル62の内側に近接、若しくは密着した状態で配置され、中空のシェル62の内部が塞がれるようになる。なお、ハウジング本体部20の前面22に、コンタクト保持部36が形成され、後面24に、シール部材保持部40が形成されるようになる。
【0032】
コンタクト保持部36は、ハウジング本体部20の前面22から延設されて形成されており、平坦な略直方体状の形状となっている。また、このコンタクト保持部36の底面28側は平坦な面となっており、反対側の上面26側には、複数のコンタクト12が一部埋められた状態で、接触部14が露出するようにそれぞれ配置されている。
【0033】
また、ハウジング本体部20とは反対側のコンタクト保持部36の先端部38は、上面26側、底面28側、一方の側面30側及び他方の側面32側に、それぞれテーパが形成されており、相手方コネクタとの接続が円滑に行えるようにされている。
【0034】
シール部材保持部40は、ハウジング本体部20の後面24側に延設して形成されている。実施形態1のシール部材保持部40の形状は、ハウジング本体部20の形状を縮小したような形状とされており、シール部材保持部40の上面26側及び底面28側が平坦であり、一方の側面30側及び他方の側面32側が曲面状となっている。そして、ハウジング本体部20とシール部材保持部40との段差部42、すなわち、ハウジング本体部20の後面24側と、シール部材保持部40の上面26側、底面28側、一方の側面30側及び他方の側面32側の外周部44とで構成される段差部42を環状のシール部材90が囲うようにして保持されるようになる。
【0035】
また、各コンタクト12は、ハウジング本体部20の前面22と後面24とを貫通するように設けられ、コンタクト保持部36にコンタクト12の接触部14の一部が埋設され、接触される部分のみが露出され、また、後面24側のシール部材保持部40から接続部16が突出されている。
【0036】
固定部材56は、
図1B、
図4C、
図4D、に示すように、金属製の板状体であって、シェル62と固定される平面部58と、この平面部58の両端側を所定長さ屈曲させた脚部60と、で構成されている。この固定部材56は、ハウジング18のハウジング本体部20の上面26に形成された取付部34に取り付けられたとき、固定部材56の平面部58が、ハウジング本体部20の上面26と平坦となるように埋まった状態で取り付けられる(
図7A、
図7B参照)。このとき、各脚部60がハウジング本体部20の取付部34に深く刺さることで、抜け止めがされている。
【0037】
シェル62は、
図5に示すように、相手方コネクタが挿入される開口部66が形成された前面部64と、開口部66とは反対側であって、この開口部66に比べて小さい貫通口70が形成された後面部68と、を有し、上面部74、底面部76、一方の側面部78及び他方の側面部80で囲まれ、内側に内部空間82を有する金属製の筒状体となっている。
【0038】
シェル62の前面部64の開口部66は、相手方コネクタの挿入される部分となり、開口部66の内側の周囲にはテーパが形成され、相手方コネクタが円滑に挿入されるようになっている。また、開口部66は、コネクタ10が組み立てられる際に、ハウジングユニット46等が挿入される部分となる。
【0039】
また、シェル62の後面部68は、開口部66に比べて小さい貫通口70が形成され、この貫通口70の他の部分は、環状の壁部72となっている。すなわち、筒状のシェル62の上面部74、底面部76、一方の側面部78及び他方の側面部80からシェル62の内側である内部空間82に向かって延設されて環状の壁部72が形成されており、この壁部72の中央部分が貫通口70となっている。
【0040】
そして、この後面部68の壁部72は、コネクタ10が組み立てられた際に、ハウジング18との間にシール部材90を圧縮された状態で保持する圧縮保持面となる。また、貫通口70は、コンタクト12が突出される部分となると共に、シール部材保持部40の一部が配置されるようになる。
【0041】
なお、シェル62の上面部74、底面部76、一方の側面部78及び他方の側面部80で囲まれた外周面には、
図1、
図7、
図8に示すように、ガスケット92が設けられるようになる。このガスケット92は、樹脂材料で形成されており、例えば、モールド成形によりシェル62と一体となるように形成されている。
【0042】
シール部材90は、
図1B、
図6に示すように、弾性変形可能な樹脂材料により、環状に形成されている。また、シール部材90は、ハウジング18に形成されたシール部材保持部40が挿通されて設けられ、このシール部材保持部40の外周側に取り付けることが可能であって、さらに、シェル62の後面部68の壁部72に当接可能な大きさで形成されている(
図7、
図8参照)。
【0043】
次に、主に
図7、
図8を参照して、実施形態1のコネクタ10の組み立てについて説明する。実施形態1のコネクタ10の組み立ては、まず、コンタクト12とハウジング18を一体に形成したハウジングユニット46に、固定部材56を取り付ける。この取り付けは、ハウジング18のハウジング本体部20の上面26に形成された取付部34に、固定部材56を脚部60側から挿入することで行われる(
図7A、
図7B参照)。
【0044】
その後、
図7Cに示すように、固定部材56が取り付けられたハウジングユニット46とシール部材90を、予め外周にガスケット92が取り付けられたシェル62の内部空間82に挿入する。この挿入は、シェル62の開口部66からシール部材90を先に内部空間82に挿入し、その後、ハウジングユニット46のコンタクト12の接続部16側、すなわち、ハウジング18の後面24に形成されたシール部材保持部40側から先にシェル62の内部空間82に挿入する。なお、シール部材90は予め、ハウジング18のシール部材保持部40に取り付けた状態で挿入してもよい。このとき、シール部材90は、挿入される際にシェル62と接触した状態で移動しないため、離脱や変形、破損等の不具合を抑制することができる。
【0045】
そして、
図8Aに示すように、挿入されたシール部材90及びハウジングユニット46がシェル62の内部空間82の所定位置に配置された後、シェル62の上面26側からハウジングユニット46に取り付けられた固定部材56と共に固定する。この固定は、
図8Aに示すように、シェル62及び固定部材56を例えば、溶接装置96を用いてシェル62及び固定部材56の溶接箇所94が重ね継手溶接等により溶接されることで行われる。
【0046】
また、このとき、ハウジングユニット46をシェル62内に固定させることで、
図8B、
図8Cに示すように。ハウジング18のシール部材保持部40に保持されたシール部材90は、シェル62の後面部68の壁部72とハウジング18のハウジング本体部20の後面24側との間で圧縮された状態となる。そのため、圧縮されたシール部材90によりハウジング18とシェル62との隙間が塞がれることで、防水や防塵等の機能を発揮することができる。以上で、実施形態1のコネクタ10の組み立てが完了する。
【0047】
また、実施形態1では、固定部材56をハウジング本体部20の上面26側にのみ設けているが、これに限らず、底面28側にも設け、上面26側と底面28側の両側から溶接し、固定するようにしてもよい。
【0048】
[実施形態2]
次に、主に
図9〜
図14を参照して、実施形態2のコネクタ10Aについて説明する。実施形態1のコネクタ10では、ハウジング18とシェル62との固定に固定部材56を用いて溶接により固定していたが、実施形態2のコネクタ10Aは、組み立ての際に、ハウジング18Aとシェル62Aを、溶接を行わずに固定する場合を説明する。なお、実施形態2のコネクタ10Aでは、実施形態1のコネクタ10と同一の構成については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。また、説明に際して、実施形態1で説明した図面を参照する。
【0049】
実施形態2のコネクタ10Aは、
図9、
図13A及び
図14Bに示すように、環状のガスケット92が外周側に取り付けられた金属製のシェル62Aと、シェル62Aの内部に配置されるハウジング18Aと、このハウジング18Aと一体となるように設けられた少なくとも一本のコンタクト12と、シェル62Aとハウジング18Aとの間に設けられ、隙間を埋めることで防水性や防塵性等の機能を有するシール部材90と、で構成されている。そのため、実施形態2のコネクタ10Aでは、実施形態1のコネクタ10と異なり固定部材56を用いていない。
【0050】
一方、実施形態2のコネクタ10Aでは、シェル62Aとハウジング18Aにこれらを固定するための構造が形成されている。すなわち、シェル62Aに形成された係止部84とハウジング18Aに形成された被係止部48を係止させることで固定する構成をなっている。なお、係止部84及び被係止部48の詳細は後述する。
【0051】
また、実施形態2のコネクタ10Aでは、ハウジング18Aとシェル62Aとが固定された状態では、実施形態1のコネクタ10と同様に、シール部材90がシェル62Aとハウジング18Aの間に圧縮された状態で配置されるようになっている。以下、各構成部品について説明する。
【0052】
まず、
図10、
図11を参照して、実施形態2のハウジング18A及びコンタクト12について説明する。なお、実施形態2のハウジング18Aとコンタクト12は、実施形態1と同様に、複数の金属製のコンタクト12が、樹脂材料で形成されたハウジング18Aと、例えばモールド成形により一体となるように形成されている(以下、ハウジング18Aとコンタクト12を一体化した状態をハウジングユニット46Aという場合がある。)。
【0053】
実施形態2のコンタクト12は、実施形態1のコンタクト12と同様に、
図4A、
図4B、
図10、
図11に示すように、所定の形状に形成された少なくとも一本、実施形態1では6本の金属製の棒状体が所定の間隔に並べられて配置されている。なお、実施形態2のコンタクト12は、実施形態1のコンタクト12と共通するので、詳細な説明は省略する。
【0054】
次に、
図10、
図11を参照してハウジング18Aについて説明する。なお、
図10、
図11では、ハウジング18Aはコンタクト12が一体に取り付けられた状態を示している。実施形態2のハウジング18Aは、
図10、
図11に示すように、シェル62Aの内側と略同じ大きさであって、シェル62Aの空間を塞ぐことができる程度の大きさで形成されたハウジング本体部20Aを有し、このハウジング本体部20Aの一方側、すなわち、相手方コネクタと接続される側に形成されたコンタクト保持部36と、他方側、すなわち、シェル62Aに先に挿入される後面24側に形成されたシール部材保持部40と、で構成されている。
【0055】
実施形態2のハウジング18Aのハウジング本体部20Aは、コンタクト保持部36が形成された前面22と、シール部材保持部40が形成された後面24と、シェル62Aと係止される被係止部48が形成された上面26Aと、上面26Aと反対側であって、シェル62Aと係止される被係止部48が形成された底面28Aと、曲面状の一方の側面30及び他方の側面32を有しており、後述するシェル62Aの内側に近接、若しくは密着した状態で配置され、中空のシェル62Aの内部が塞がれるようになる。
【0056】
このハウジング本体部20Aの上面26A及び底面28Aに形成された被係止部48は、それぞれ上面26A及び底面28Aの幅方向、すなわち、シェル62Aの内部への挿入方向に対して直交する方向に沿って形成された溝部50と、この溝部50の後面24側に形成された突起部52とをそれぞれ有している。また、突起部52の後面24側は、突起部52から後面24側に向かって傾斜して形成された傾斜部54がそれぞれ形成されており、突起部52に比べて後面24側が低くなるように形成されている。
【0057】
なお、実施形態2のハウジング18Aは、実施形態1のハウジング18と同様に、ハウジング本体部20Aの前面22に、コンタクト保持部36が形成され、後面24に、シール部材保持部40が形成されており、このコンタクト保持部36及びシール部材保持部40は、実施形態1と共通するので詳細な説明は省略する。
【0058】
また、実施形態2のシェル62Aは、
図12に示すように、相手方コネクタが挿入される開口部66が形成された前面部64と、開口部66とは反対側であって、この開口部66に比べて小さい貫通口70が形成された後面部68と、を有し、上面部74A、底面部76A、一方の側面部78及び他方の側面部80で囲まれ、内側に内部空間82を有する金属製の筒状体となっている。
【0059】
シェル62Aの前面部64の開口部66は、実施形態1のシェル62と同様に、相手方のコネクタの挿入される部分となり、開口部66の内側の周囲にはテーパが形成され、相手方コネクタが円滑に挿入されるようになっている。また、開口部66は、コネクタ10Aが組み立てられる際に、ハウジングユニット46A等が挿入される部分となる。
【0060】
また、シェル62Aの後面部68は、実施形態1のシェル62Aと同様に、開口部66に比べて小さい貫通口70が形成され、この貫通口70Aの他の部分は、環状の壁部72となっている。すなわち、筒状のシェル62Aの上面部74A、底面部76A、一方の側面部78及び他方の側面部80からシェル62Aの内側である内部空間82に向かって延設されて環状の壁部72が形成されており、この壁部72の中央部分が貫通口70となっている。
【0061】
そして、この後面部68の壁部72は、コネクタ10Aが組み立てられた際に、ハウジング18Aとの間にシール部材90を圧縮された状態で保持する圧縮保持面となる。また、貫通口70は、コンタクト12が突出される部分となると共に、シール部材保持部40の一部が配置されるようになる。
【0062】
また、シェル62Aの内部空間82内には、上面部74A側の内側上面部86及び底面部76A側の内側底面部88にはそれぞれ係止部84が形成されている。この係止部84は内側上面部86及び内側底面部88の表面からシェル62Aの内部空間82側に向かって突出し、被係止部48の突起部52に引っ掛かり、係止されるように爪状に形成されている。
【0063】
また、各係止部84は、内部空間82内において、前面部64側から後面部68側に向かって傾斜するように突出して形成されており、係止部84は前面部64側に比べて後面部68側が高くなるように形成されている。また、係止部84の後面部68側は、略垂直に立設した立設部85が形成されており、ハウジング18Aに形成された被係止部48の突起部52が立設部85に引っ掛かり、係止されることで係止が外れないようになっている。
【0064】
また、係止部84は、シェル62Aの幅方向、すなわち、ハウジング18Aが挿入される方向に対して直交する方向に沿って所定の長さに亘ってそれぞれ形成されている。
【0065】
さらに、係止部84が形成される位置は、それぞれハウジング18Aが固定された状態において、ハウジング18Aとシェル62Aとの間に配置されたシール部材90が圧縮された状態で、ハウジング18Aとシェル62Aとの隙間がなくなるような位置となっている。
【0066】
なお、係止部84は、例えば、シェル62Aの上面部74A側及び底面部76A側から押圧することで、形成されており、その際、係止部84が形成されたシェル62Aの上面部74A及び底面部76Aには孔や切れ目ができないように形成されている。
【0067】
また、シェル62Aの上面部74A、底面部76A、一方の側面部78及び他方の側面部80で囲まれた外周面には、
図9に示すように、実施形態1と同様に、ガスケット92が設けられるようになる。このガスケット92は、樹脂材料で形成されており、例えば、モールド成形によりシェル62Aと一体となるように形成されている。
【0068】
また、シール部材90は、実施形態1と同様に、
図6、
図9Bに示すように、弾性変形可能な樹脂材料により、環状に形成されている。また、シール部材90は、ハウジング18Aに形成されたシール部材保持部40の外周側に取り付けることが可能であって、さらに、シェル62Aの後面部68の壁部72に当接可能な大きさで形成されている。
【0069】
次に、主に
図13、
図14を参照して、実施形態2のコネクタ10Aの組み立てについて説明する。実施形態2のコネクタ10Aの組み立ては、コンタクト12とハウジング18Aを一体に形成したハウジングユニット46Aと、シール部材90とを、予め外周にガスケット92が取り付けられたシェル62Aの内部空間82に挿入する(
図13A、
図13B参照)。この挿入は、実施形態1と同様に、シェル62Aの開口部66からシール部材90を先に挿入し、その後、ハウジングユニット46Aのコンタクト12の接続部16側、すなわち、ハウジング18Aの後面24に形成されたシール部材保持部40側から先にシェル62の内部空間82内に挿入する。なお、シール部材90は予め、ハウジング18Aのシール部材保持部40に取り付けた状態で挿入してもよい。このとき、シール部材90は、挿入される際にシェル62Aと接触した状態で移動しないため、離脱や変形、破損等の不具合を抑制することができる。
【0070】
その後、シール部材90及びハウジングユニット46Aの挿入を続けると、
図14Aに示すように、ハウジング18Aの上面26A及び底面28Aにそれぞれ形成された被係止部48とシェル62Aの内側上面部86及び内側底面部88に形成された係止部84がそれぞれ当接するようになる。この状態から、さらに挿入すると、
図14B、
図14Cに示すように、ハウジング18Aの突起部52がシェル62Aの係止部84を乗り越え、シェル62Aの係止部84がハウジング18Aの溝部50に嵌り込むと共に、係止部84の立設部85と被係止部48の突起部52とがそれぞれ係止されるようになる。このとき、ハウジング18Aの被係止部48に形成された傾斜部54及び傾斜して形成されたシェル62Aの係止部84が摺動することにより円滑に挿入させることができる。なお、ハウジング18Aとシェル62Aのいずれか、又は、両方が弾性変形する場合もある。
【0071】
また、ハウジング18Aの被係止部48とシェル62Aの係止部84が係止した状態では、
図14B、
図14Cに示すように、ハウジング18Aのシール部材保持部40に保持されたシール部材90は、ハウジング18Aの後面24とシェル62Aの後面部68の壁部72との間で圧縮された状態となる。そのため、実施形態1と同様に、圧縮されたシール部材90によりハウジング18Aとシェル62Aとの隙間が塞がれることで、防水や防塵等の機能を発揮することができる。以上で、実施形態2のコネクタ10Aの組み立てが完了する。
【0072】
なお、実施形態1及び2では、コンタクト12は、ハウジング18、18Aの上面26、26A側にのみ設けた場合を説明したが、これに限らず、底面28、28A側にもコンタクト12を設け、コンタクトを2段の列として設けるようにしてもよい。
【0073】
また、実施形態1及び2のコネクタ10、10Aには、基板に取り付けるための部材を、例えばシェル62、62Aに取り付けるようにしてもよい。