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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-196909(P2018-196909A)
(43)【公開日】2018年12月13日
(54)【発明の名称】振動源推定装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/09 20060101AFI20181116BHJP
   B23Q 17/00 20060101ALI20181116BHJP
   B23Q 15/12 20060101ALI20181116BHJP
   G05B 19/404 20060101ALI20181116BHJP
【FI】
   B23Q17/09 A
   B23Q17/00 E
   B23Q15/12 A
   G05B19/404 K
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-101405(P2017-101405)
(22)【出願日】2017年5月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104662
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智司
(72)【発明者】
【氏名】河合 謙吾
(72)【発明者】
【氏名】西川 静雄
(72)【発明者】
【氏名】森田 康彦
(72)【発明者】
【氏名】室住 正憲
【テーマコード(参考)】
3C001
3C029
3C269
【Fターム(参考)】
3C001KA07
3C001KB04
3C001TA03
3C001TA05
3C001TB08
3C029CC00
3C029FF05
3C269AB05
3C269BB07
3C269CC02
3C269EF02
3C269EF10
3C269MN24
3C269PP02
3C269QE10
3C269QE17
(57)【要約】
【課題】加工中に生じる振動を監視してその振動源を推定し、推定した振動源に係る情報を報知する振動源推定装置を提供する。
【解決手段】加工によって振動を生じる、少なくとも工具、工具ホルダ、ワーク及び主軸が含まれる各構成部材の固有振動数を記憶する固有振動数記憶部10と、振動を検出してその信号を出力する振動検出部2と、振動検出部2から出力される振動信号を周波数解析する周波数解析部4と、周波数解析部4によって解析された振動周波数を基に、固有振動数記憶部10に格納されたデータを参照して、振動周波数に最も近い固有振動数を有する構成部材を振動源として推定する振動源推定部5と、振動源推定部5によって振動源と推定された構成部材に係る情報を外部に報知する報知装置9,15とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械を用いた加工中に生じる振動の振動源を推定する装置であって、
加工によって振動を生じる、少なくとも工具、該工具を保持する工具ホルダ、ワーク、及び前記工作機械の主軸が含まれる構成部材について、それぞれの固有振動数を記憶する固有振動数記憶部と、
前記加工によって生じる振動加速度を検出し、検出した振動加速度に係る信号を出力する振動検出部と、
前記振動検出部から出力される振動信号を周波数解析する周波数解析部と、
前記周波数解析部によって解析された振動加速度の大きさと振動周波数との関係を示す加速度−振動周波数データ、又は該加速度−振動周波数データから算出される振動エネルギの大きさと振動周波数との関係を示すエネルギ−振動周波数データ、又は前記加速度−振動周波数データから算出される振動変位の大きさと振動周波数との関係を示す変位−振動周波数データの内の、少なくともいずれかのデータを基に、前記固有振動数記憶部に格納されたデータを参照して、振動源と見做される構成部材を推定する振動源推定部と、
前記振動源推定部によって振動源と推定された構成部材に係る情報を外部に報知する報知装置とを備えていることを特徴とする振動源推定装置。
【請求項2】
前記報知装置は、画像を表示するディスプレイと、前記構成部材の2次元又は3次元のモデルデータを記憶したモデルデータ記憶部と、前記モデルデータ記憶部に格納されたモデルデータを基に、前記構成部材に係るモデルを前記ディスプレイに表示する表示処理部とを備えて構成され、
前記表示処理部は、更に、前記振動源推定部によって推定された構成部材のモデルを、他の構成部材のモデルから識別可能に前記ディスプレイに表示するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の振動源推定装置。
【請求項3】
前記振動源推定部によって推定された構成部材に係る情報を記憶する振動源情報記憶部を更に備え、
前記振動源推定部は、前記振動源を予め定められた時間毎に推定するとともに、推定した構成部材に係る情報を時間情報と共に前記振動源情報記憶部に格納するように構成され、
前記表示処理部は、前記振動源情報記憶部に格納された情報を基に、その時間情報に従って、前記振動源推定部により推定された構成部材のモデルを、他の構成部材のモデルから識別可能に前記ディスプレイに表示するように構成されていることを特徴とする請求項2記載の振動源推定装置。
【請求項4】
前記振動源推定部は、振動源としての可能性が高い順位付けにした複数の構成部材を推定するように構成され、
前記報知装置は、前記振動源推定部によって推定された複数の構成部材を、その順位付けに係る情報と共に報知するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3記載のいずれかの振動源推定装置。
【請求項5】
前記加速度−振動周波数データ、又はエネルギ−振動周波数データ、又は変位−振動周波数データの内の、少なくともいずれかのデータについて積算するとともに、この積算データと前記固有振動数記憶部に格納されたデータとを基に、各構成部材に作用した負荷状態をそれぞれ評価する負荷状態評価部を更に備えてなり、
前記報知装置は、前記負荷状態評価部によって評価された各構成部材の負荷状態に係る情報を表示するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4記載のいずれかの振動源推定装置。
【請求項6】
前記各構成部材が、前記振動源推定部によって振動源であると推定される度数を算出し、算出された度数を基に、各構成部材に作用した負荷状態をそれぞれ評価する負荷状態評価部を更に備えてなり、
前記報知装置は、前記負荷状態評価部によって評価された各構成部材の負荷状態に係る情報を表示するように構成されていることを特徴とする請求項3記載の振動源推定装置。
【請求項7】
前記周波数解析部によって解析された加速度−振動周波数データから前記工具にびびり現象が生じたかどうかを検出するびびり検出部を更に備え、
前記報知装置は、前記びびり検出部によってびびりが検出された場合に、その旨を報知するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6記載のいずれかの振動源推定装置。
【請求項8】
前記びびり検出部は、更に、前記周波数解析部によって解析された加速度−振動周波数データを基に、検出されたびびり現象が再生びびり現象か、又は強制びびり現象であるかを判別するように構成され、
前記報知装置は、前記びびり検出部によって強制びびりが検出された場合には、切り込みを下げるか、又は送り速度を下げることの少なくともいずれかの対応を採ることを報知し、前記びびり検出部によって再生びびりが検出された場合には、主軸回転速度を上げるか、又は下げることの少なくともいずれかの対応を採ることを報知するように構成されていることを特徴とする請求項7記載の振動源推定装置。
【請求項9】
前記工具の稼働状態を監視する工具監視部を更に備え、
前記報知装置は、前記振動源推定部によって前記工具が振動源であると推定された場合に、前記工具監視部によって監視される該工具の稼働状態から、該工具が初期摩耗期にあると判断された場合には、その旨を報知するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至8記載のいずれかの振動源推定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械を用いた加工中に生じる振動を監視してその振動源を推定するとともに、推定した振動源に係る情報を外部に報知するように構成された振動源推定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械を用いた加工の分野では、ワークを効率よく加工すること、及び加工コストを低減させることが永続的な課題として探求されている。一方、機械加工に求められる加工精度については、日増しに高い精度が求められるようになってきており、ワークを加工する際には、加工効率、加工コスト及び加工精度の各要素について要求される基準を満足するような加工条件を設定する必要がある。
【0003】
そこで、従来、加工精度に影響を与える要因の一つである再生びびりに着目し、工具又はワークを回転させる主軸の回転速度と、再生びびりを生じる工具の限界切り込み深さとの相関を示す線図であって、再生びびりを生じない安定領域と、再生びびりを生じる不安定領域との境界を示す安定限界線図を作成して表示する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この安定限界線図は、主軸回転速度が工具の固有振動数を当該工具の刃数で除した値であるときに、当該工具の限界切込み深さがピークを示す、即ち、安定領域がピークを示す所謂安定ポケット(1次安定ポケット)を有し、更に、この1次安定ポケットに対応する主軸回転速度を2以上の整数で除した各主軸回転速度において高次の安定ポケットを有する。尚、k次安定ポケットの主軸回転速度は以下で表わされる。
(k次安定ポケットの主軸回転速度)=(60×工具の固有振動数)/(工具の刃数×k)
但し、kは次数を表す1以上の整数である。
【0005】
この安定限界線図によれば、オペレータは再生びびりを生じない主軸回転速度と工具の切り込み深さとの関係を瞬時に視覚的に認識することができ、当該再生びびりを生じない、効率の良い加工条件を容易に設定することができる。このように、上記装置によれば、オペレータは装置に表示された安定限界線図を基準にすることにより、再生びびりを生じない範囲内で効率の良い加工条件を設定することができる。
【0006】
また、従来、再生びびりが生じたときに、再生びびりを解消すべく、上述した安定ポケット理論を基に、主軸回転速度を、下式に従って算出される予想安定回転速度に変更するといった手法が提案されている(特許文献2参照)。
予想安定回転速度=(60×びびり周波数)/(工具刃数×n)
但し、nは任意の整数である。
【0007】
この特許文献2によれば、主軸回転速度を前記予想安定回転速度に変更することで、再生びびりの抑制が一応期待されるとのことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第5622626号公報
【特許文献2】特許第5384996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来、加工中に生じる振動の主な振動源は、工具又はワークのいずれかであると考えられてきたが、直接的な加工部位である工具及びワークの他に、工具を保持する工具ホルダ、工具又はワークを回転させる主軸、並びにワークを保持する治具などの間接的に前記加工部位に繋がる構成部材も振動源となり得ることが分かってきている。
【0010】
したがって、びびり振動が生じた際には、当該工作機械を担当するオペレータや、当該加工工程を管理する管理者は、どの構成部材が振動しているかを素早く認識して、発生したびびり振動を抑制すべく、振動源に応じた適切な対策を講じる必要がある。
【0011】
また、びびり振動が生じた場合、或いはびびり振動に至らないまでも、相応に大きな振動が生じた場合に、その振動源を認識することができれば、オペレータや管理者は、当該加工における改良点を客観的に認識することができ、また、その加工条件を客観的に評価することができて好ましい。
【0012】
本発明は以上の実情に鑑みなされたものであって、工作機械を用いた加工中に生じる振動を監視してその振動源を推定するとともに、推定した振動源に係る情報を外部に報知することが可能な振動源推定装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための本発明は、工作機械を用いた加工中に生じる振動の振動源を推定する装置であって、
加工によって振動を生じる、少なくとも工具、該工具を保持する工具ホルダ、ワーク、及び前記工作機械の主軸が含まれる構成部材について、それぞれの固有振動数を記憶する固有振動数記憶部と、
前記加工によって生じる振動加速度を検出し、検出した振動加速度に係る信号を出力する振動検出部と、
前記振動検出部から出力される振動信号を周波数解析する周波数解析部と、
前記周波数解析部によって解析された振動加速度の大きさ(振幅)と振動周波数との関係を示す加速度−振動周波数データ、又は該加速度−振動周波数データから算出される振動エネルギの大きさ(振幅)と振動周波数との関係を示すエネルギ−振動周波数データ、又は前記加速度−振動周波数データから算出される振動変位の大きさ(振幅)と振動周波数との関係を示す変位−振動周波数データの内の、少なくともいずれかのデータを基に、前記固有振動数記憶部に格納されたデータを参照して、振動源と見做される構成部材を推定する振動源推定部と、
前記振動源推定部によって振動源と推定された構成部材に係る情報を外部に報知する報知装置とを備えた振動源推定装置に係る。
【0014】
この振動源推定装置によれば、少なくとも、工作機械で使用される一以上の工具、各工具を保持する工具ホルダ、加工される一以上のワーク、及び当該工作機械の主軸といった各構成部材の固有振動数に係るデータが、予め、前記固有振動数記憶部に格納される。尚、各固有振動数は、例えば、各構成部材をハンマリングや加振装置などによって自由振動させるとともに、この自由振動を加速度計などを用いて測定し、測定された振動信号を周波数解析することによって得られる。そして、このようにして測定された固有振動数に係るデータが対応する構成部材に関連付けられて固有振動数記憶部に格納される。
【0015】
そして、この振動源推定装置では、前記工作機械によって加工が実施されると、その加工中に生じる振動加速度が振動検出部によって検出され、検出された振動信号が所定のサンプリング間隔で周波数解析部によって周波数解析される。
【0016】
周波数解析によって得られるデータは、振動加速度(以下、単に「加速度」と言う)の大きさと振動周波数との関係を示す加速度−振動周波数データ(加速度対振動周波数データ)であり、このデータから加速度の大きい、即ち、加速度についての振幅が大きい振動周波数を認識することができる。
【0017】
また、加速度A[m/s]についての振動周波数をf[Hz]とすると、その質量当たりの振動エネルギである比エネルギE[m/s]は、次の数式1によって表わされる。
(数式1)
E=(A/(2πf))×(1/2)
したがって、この数式1により、前記加速度−振動周波数データから、振動エネルギ(以下、単に「エネルギ」と言う)の大きさと振動周波数との関係を示すエネルギ−振動周波数データ(エネルギ対振動周波数データ)を算出することができる。そして、このデータからエネルギの大きい、即ち、エネルギについての振幅の大きい振動周波数を認識することができる。
【0018】
また、加速度A[m/s]に対する変位D[m]は、次の数式2によって表される。
(数式2)
D=A/(2πf)
したがって、この数式2により、前記加速度−振動周波数データから、振動変位(以下、単に「変位」と言う)の大きさと振動周波数との関係を示す変位−振動周波数データ(変位対振動周波数データ)を算出することができる。そして、このデータから変位の大きい、即ち、変位についての振幅の大きい振動周波数を認識することができる。
【0019】
斯くして、本発明では、前記振動源推定部において、前記加速度−振動周波数データ、又は該加速度−振動周波数データから算出されるエネルギ−振動周波数データ、若しくは変位−振動周波数データの内の、少なくともいずれかのデータを基に、前記固有振動数記憶部内のデータが参照され、各データにおいて所定の閾値を超える大きさを示す振動周波数に最も近い固有振動数を有する構成部材が振動源として推定される。
【0020】
上述したように、加工中に生じる振動の主な振動源は、直接的な加工部位である工具及びワークの他に、工具を保持する工具ホルダ、並びに工具又はワークを回転させる主軸などの間接的に加工部位に繋がる構成部材が考えられる。そして、加工によって生じる振動の周波数が、これら工具、ワーク、工具ホルダ、若しくは主軸のいずれかの固有振動数に近い場合に、当該構成部材が所定の閾値を超えて大きく振動するものと考えられる。したがって、加工中に生じる振動の大きさ(加速度の大きさ、エネルギの大きさ、又は変位の大きさの少なくともいずれか)が所定の閾値を超える場合には、その振動周波数に最も近い固有振動数を有する構成部材が振動源であると考えられる。本発明に係る振動源推定装置では、このような考え方の下、前記振動源推定部によって振動源を推定する。
【0021】
そして、このようにして振動源として推定された構成部材に係る情報が報知装置によって外部に報知される。この報知装置による報知の態様としては、音声による報知、適宜ディスプレイに画像や文字を表示させることによる報知などが考えられる。
【0022】
尚、工具の刃先への影響を重視するのであれば、加速度を基準にした振動源の推定が好ましく、加工面の面精度を重視するのであれば、変位を基準にした振動源の推定が好ましく、工具刃先への影響及び加工面の面精度の両者を考慮するのであれば、エネルギを基準にした振動源の推定が好ましい。また、加速度、エネルギ及び変位から推定される振動源を総合的に評価するようにしても良い。
【0023】
斯くして、この振動源推定装置によれば、加工中に生じる振動の振動源が推定され、推定された振動源が外部に報知されるので、オペレータ等はこの報知情報からその時点の振動源を容易に認識することができる。特に、その大きさが所定の閾値を超えるようなびびり振動の場合には、このびびり振動を抑制するための措置として、推定された構成部材に応じた措置を講じることができる。
【0024】
例えば、振動源が工具である場合には、工具の回転速度を上述した特許文献2に開示される予想安定回転速度に変更する、或いは切り込み深さなどの切削条件を変更する、或いは工具の突き出し量を短くすることで、びびり振動を抑制することができ、ワークが振動源である場合には、ワークの保持態様を制振効果が得られるような態様に改良することでびびり振動を抑制可能である。また、工具ホルダが振動源である場合には、制振効果に優れた工具ホルダに変更する、或いは工具の場合と同様に、工具の回転速度を前記予想安定回転速度に変更する、或いは切り込み深さなどの切削条件を変更する、或いは工具の突き出し量を短くすることで、びびり振動を抑制することができる。また、主軸が振動源である場合にも、工具の場合と同様に、工具の回転速度を前記予想安定回転速度に変更する、或いは切り込み深さなどの切削条件を変更することで、びびり振動を抑制可能である。
【0025】
また、オペレータ等は、振動が生じるその振動源を認識することで、当該加工における改良点、例えば、ワークを保持する治具の強度的な改良や工具ホルダの変更等、改良すべき具体的な構成物を認識することができ、また、当該加工条件の客観的な評価を行うことができるとともに、当該評価を基に加工条件(主軸回転速度、送り速度(一刃当たりの送り量)、切り込み幅、切り込み深さ等)の改善を図ることができる。
【0026】
本発明において、前記報知装置は、画像を表示するディスプレイと、前記構成部材の2次元又は3次元のモデルデータを記憶したモデルデータ記憶部と、前記モデルデータ記憶部に格納されたモデルデータを基に、前記構成部材に係る2次元又は3次元のモデルを前記ディスプレイに表示する表示処理部とを備えて構成され、
前記表示処理部は、更に、前記振動源推定部によって推定された構成部材のモデルを、他の構成部材のモデルから識別可能に前記ディスプレイに表示するように構成されていても良い。
【0027】
このように構成された報知装置によれば、オペレータ等は、ディスプレイに表示されたモデル画像から振動源を視覚的に認識することができるので、当該振動源をより容易に認識することができる。
【0028】
また、本発明に係る振動源推定装置は、前記振動源推定部によって推定された構成部材に係る情報を記憶する振動源情報記憶部を更に備え、
前記振動源推定部は、前記振動源を予め定められた時間毎に推定するとともに、推定した構成部材に係る情報を時間情報と共に前記振動源情報記憶部に格納するように構成され、
前記表示処理部は、前記振動源情報記憶部に格納された情報を基に、その時間情報に従って、前記振動源推定部により推定された構成部材のモデルを、他の構成部材のモデルから識別可能に前記ディスプレイに表示するように構成されていても良い。
【0029】
この構成の振動源推定装置によれば、振動源推定部により、予め定められた時間毎に振動源が推定されるとともに、推定された構成部材に係る情報が時間情報と共に振動源情報記憶部に格納される。そして、表示処理部は、振動源情報記憶部に格納された情報を基に、その時間情報に従って、振動源推定部により推定された構成部材のモデルを、他の構成部材のモデルから識別可能にディスプレイに表示する。
【0030】
斯くして、この振動源推定装置によれば、時間経過とともに移り変わる振動源のモデルが、他の構成部材のモデルから識別可能にディスプレイに表示される、言い換えれば、振動源の移り変わりが時間経過とともにリプレイ表示されるので、オペレータ等は、加工時間の経過とともに移り変わる振動源を、その振動している時間などの時間的要素を含めて視覚的に認識することができるとともに、当該振動現象を再検証することができる。
【0031】
また、本発明において、前記振動源推定部は、振動源としての可能性が高い順位付けにした複数の構成部材を推定するように構成され、前記報知装置は、前記振動源推定部によって推定された複数の構成部材を、その順位付けに係る情報と共に報知するように構成されていても良い。例えば、振動の大きさが所定の閾値を超える振動周波数が複数確認される場合、振動の大きさが大きい順に、その振動周波数に近い固有振動数を有する構成部材を、振動源としての可能性が高い順位付けにする。このようにすれば、振動源として推定される複数の構成部材が、その可能性の順位付けに係る情報と共に報知されるので、オペレータ等は、どの構成部材が振動に関係していて、それらが振動源としてどの程度の可能性を有するのかを容易に認識することができ、複雑な振動状態を容易に把握することができる。
【0032】
また、本発明に係る振動源推定装置は、前記加速度−振動周波数データ、又はエネルギ−振動周波数データ、又は変位−振動周波数データの内の、少なくともいずれかのデータについて積算するとともに、この積算データと前記固有振動数記憶部に格納されたデータとを基に、各構成部材に作用した負荷状態をそれぞれ評価する負荷状態評価部を更に備え、前記報知装置は、前記負荷状態評価部によって評価された各構成部材の負荷状態に係る情報を表示するように構成されていても良い。
【0033】
また、本発明に係る振動源推定装置は、前記各構成部材が、前記振動源推定部によって振動源であると推定される度数を算出し、算出された度数を基に、各構成部材に作用した負荷状態をそれぞれ評価する負荷状態評価部を更に備え、前記報知装置は、前記負荷状態評価部によって評価された各構成部材の負荷状態に係る情報を表示するように構成されていても良い。
【0034】
これらの態様の振動源推定装置によれば、各構成部材の振動に係る負荷状態がそれぞれ評価されるとともに、評価された負荷状態が表示されるので、オペレータ等は、各構成部材の振動に係る負荷状態を客観的に認識することができ、その負荷状態に応じて、例えば、耐用限度を超え得ていると判断される場合には、対応する構成部材を新たな物に交換する等の措置を講じることができる。
【0035】
また、本発明に係る振動源推定装置は、前記周波数解析部によって解析された加速度−振動周波数データから前記工具にびびり現象が生じたかどうかを検出するびびり検出部を更に備え、前記報知装置は、前記びびり検出部によってびびりが検出された場合に、その旨を報知するように構成されていても良い。このようにすれば、オペレータ等は、加工中にびびり振動が生じたことを容易に認識することができる。
【0036】
また、前記びびり検出部は、更に、前記周波数解析部によって解析された加速度−振動周波数データを基に、検出されたびびり現象が再生びびり現象か、又は強制びびり現象であるかを判別するように構成され、前記報知装置は、前記びびり検出部によって強制びびりが検出された場合には、切り込みを下げるか、又は送り速度を下げることの少なくともいずれかの対応を採ることを報知し、前記びびり検出部によって再生びびりが検出された場合には、主軸回転速度を上げるか、又は下げることの少なくともいずれかの対応を採ることを報知するように構成されていても良い。このようにすれば、オペレータ等は、発生したびびり振動に応じた適切な対応を採ることができる。
【0037】
また、本発発明の振動源推定装置は、前記工具の稼働状態を監視する工具監視部を更に備え、前記報知装置は、前記振動源推定部によって前記工具が振動源であると推定された場合に、前記工具監視部によって監視される該工具の稼働状態から、該工具が初期摩耗期にあると判断された場合には、その旨を報知するように構成されていても良い。このようにすれば、オペレータ等は、工具の振動がびびり振動であったとしても、当該振動が工具の初期摩耗期に起因した振動であることを容易に認識することができるので、初期摩耗を脱した後では同一の加工条件下でもびびり振動を起こさない事を予め知ることができる。
【発明の効果】
【0038】
斯くして、本発明に係る振動源推定装置によれば、加工中に生じる振動の振動源が推定され、推定された振動源が外部に報知されるので、オペレータ等はこの報知情報からその時点の振動源を容易に認識することができる。特に、その大きさが所定の閾値を超えるようなびびり振動である場合には、このびびり振動を抑制すべく、推定された構成部材に応じた適切な措置を講じることができる。
【0039】
また、オペレータ等は、振動が生じるその振動源を認識することで、当該加工における改良点(例えば、ワーク保持治具の強度的な改良や工具ホルダの変更等)を客観的に認識することができ、また、当該加工条件を客観的に評価することができ、当該評価を基に加工条件(主軸回転速度、送り速度(一刃当たりの送り量)、切り込み幅、切り込み深さ等)の改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の一実施形態に係る振動源推定装置及び数値制御装置等の概略構成を示したブロック図である。
図2】本実施形態における工作機械を示した斜視図である。
図3】本実施形態の固有振動数記憶部に格納されるデータテーブルを示した説明図である。
図4】本実施形態の振動源情報記憶部に格納されるデータテーブルを示した説明図である。
図5】本実施形態の周波数解析部における解析結果である加速度−振動周波数データの一例を示す説明図である。
図6】本実施形態の周波数解析部における解析結果である加速度−振動周波数データの一例を示す説明図である。
図7】本実施形態の表示処理部によって表示装置に表示される画面の一例を示した説明図である。
図8】本実施形態の表示処理部によって表示装置に表示される画面の一例を示した説明図である。
図9】本実施形態の表示処理部によって表示装置に表示される画面の一例を示した説明図である。
図10】本実施形態の表示処理部によって表示装置に表示される画面の一例を示した説明図である。
図11】本実施形態の負荷状態評価部における処理を説明するための説明図である。
図12】本発明の他の実施形態において、その振動源情報記憶部に格納されるデータテーブルを示した説明図である。
図13】本発明の他の実施形態において、その周波数解析部における解析結果である加速度−振動周波数データの一例を示す説明図である。
図14】本発明の他の実施形態において、その振動源推定部において算出されるエネルギ−振動周波数データの一例を示す説明図である。
図15】本発明の他の実施形態において、その振動源推定部において算出される変位−振動周波数データの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る振動源推定装置及び数値制御装置等の概略構成を示したブロック図である。以下、本実施形態に係る工作機械30、数値制御装置20及び振動源推定装置1の各装置について説明する。
【0042】
A.工作機械
まず、本実施形態における工作機械30の概略について説明する。図2に示すように、本例の工作機械30は、ベッド31と、このベッド31上に立設されたコラム32と、このコラム32の前面(加工領域側の面)に矢示Z軸方向に移動自在に設けられた主軸頭33と、軸中心に回転自在に主軸頭33に保持された主軸34と、主軸頭33より下方のベッド31上に矢示Y軸方向に移動自在に設けられたサドル35と、サドル35上に矢示X軸方向に移動自在に配設されたテーブル36と、このテーブル36をX軸方向に移動させるX軸送り機構39と、サドル35をY軸方向に移動させるY軸送り機構38と、主軸頭33をZ軸方向に移動させるZ軸送り機構37と、主軸34を回転させる主軸モータ(図示せず)とを備えている。
【0043】
前記X軸送り機構39、Y軸送り機構38、Z軸送り機構37及び主軸モータ(図示せず)が駆動されて、主軸34がその軸中心に回転するとともに、当該主軸34とテーブル36とが3次元空間内で相対的に移動することで、テーブル36上にワーク保持治具WJを介して固定されたワークWが、主軸34に装着された工具TLによって加工される。尚、工具TLは工具ホルダTHにより保持された状態で主軸34に装着されており、図2には、工具TLの一例としてエンドミルを図示している。
【0044】
B.数値制御装置
前記数値制御装置20は、図1に示すように、主たる構成としてNCプログラム実行部21、NCプログラム記憶部24、主軸制御部22及び送り制御部23などを備えて構成される。
【0045】
この数値制御装置20は、CPU、RAM、ROMなどを含むコンピュータから構成される。そして、前記NCプログラム記憶部24はRAMなどの適宜記憶媒体から構成され、NCプログラム実行部21、主軸制御部22及び送り制御部23はコンピュータプログラムによってその機能が実現される。
【0046】
前記主軸制御部22は、主軸モータ(図示せず)の作動を制御する制御部であり、例えば、前記NCプログラム実行部21から主軸回転速度に係る制御信号(指令信号)を受信して、前記主軸34の回転速度が指令された回転速度となるように前記主軸モータ(図示せず)を制御する。
【0047】
また、前記送り制御部23は、前記X軸送り機構39、Y軸送り機構38及びZ軸送り機構37の作動を制御する制御部であり、例えば、前記NCプログラム実行部21から、各送り軸(X軸,Y軸及びZ軸)についての移動位置及び移動速度に関する制御信号を受信して、対応するX軸送り機構39、Y軸送り機構38及びZ軸送り機構37を駆動し、指令された移動速度で、指令された位置関係となるように、主軸34とテーブル36とを3次元空間内で相対的に移動させる。
【0048】
また、NCプログラム実行部21は、前記NCプログラム記憶部24に記憶されたNCプログラムを読み出し、これを順次解析して、指令に応じた制御信号を生成し、生成した制御信号を前記主軸制御部22及び送り制御部23に送信する処理を行う。
【0049】
斯くして、この数値制御装置20によれば、NCプログラム記憶部24に格納されたNCプログラムがNCプログラム実行部21によって実行され、このNCプログラムに従った制御の下で、前記主軸モータ(図示せず)が前記主軸制御部22により駆動されて、前記主軸34がその軸中心に回転するとともに、前記X軸送り機構39、Y軸送り機構38及びZ軸送り機構37が前記送り制御部23により駆動されて、前記主軸34とテーブル36とが3次元空間内で相対的に移動することで、テーブル36上のワークWが主軸34に装着された工具TLによって加工される。
【0050】
C.振動源推定装置
前記振動源推定装置1は、前記主軸頭33の下端部に設けられる加速度センサ2と、演算処理装置3と、表示装置15とから構成される(図1及び図2参照)。
【0051】
前記加速度センサ2は、前記工具TLによってワークWを加工しているときに、当該加工によって生じる振動加速度を検出して、振動加速度に応じた振動信号を出力する。この加速度センサ2による振動加速度の検出は、加工が行なわれている間、常に実行される。また、前記表示装置15は、適宜ディスプレイを備えており、このディスプレイ上に画像や情報を表示する。
【0052】
前記演算処理装置3は、周波数解析部4、振動源推定部5、びびり検出部6、負荷状態評価部7、工具監視部8、表示処理部9、固有振動数記憶部10、振動源情報記憶部11、モデルデータ記憶部12などを備える。
【0053】
この演算処理装置3は、前記数値制御装置20と同様に、CPU,ROM,RAMなどを備えた一般的なコンピュータから構成される。そして、前記固有振動数記憶部10、振動源情報記憶部11及びモデルデータ記憶部12はRAMなどの適宜記憶媒体から構成され、周波数解析部4、振動源推定部5、びびり検出部6、負荷状態評価部7、工具監視部8及び表示処理部9はコンピュータプログラムによってその機能が実現される。
【0054】
前記固有振動数記憶部10には、図3に示すように、工作機械30を用いた加工によって振動する可能性のある構成部材であって、少なくとも、当該工作機械30で使用される一以上の工具TL1〜TL4、この工具TL1〜TL4をそれぞれ保持する工具ホルダTH1〜TH4、当該工作機械30で加工を予定される一以上のワークW1〜W2、このワークW1〜W2を保持するワーク保持治具WJ及び当該工作機械30の主軸34といった各構成部材の固有振動数に係るデータが格納される。
【0055】
尚、図3において、T1〜T4は当該工作機械30で設定されている工具番号であり、例えば、工具番号T1は、工具TL1とこれを保持する工具ホルダTH1とから編成される。同様に、工具番号T2は工具TL2及び工具ホルダTH2から編成され、工具番号T3は工具TL3及び工具ホルダTH3から編成され、工具番号T4は工具TL4及び工具ホルダTH4から編成される。
【0056】
これら主軸34、ワークW1〜W2、ワーク保持治具WJ、工具TL1〜TL4及び工具ホルダTH1〜TH4の各固有振動数は、例えば、これらをそれぞれハンマリングや加振装置などによって自由振動させるとともに、この自由振動を加速度計などを用いて測定し、測定された振動信号を周波数解析することによって得られる。そして、このようにして測定された固有振動数に係るデータが、図示しない適宜入力装置によって、前記固有振動数記憶部10に格納される。
【0057】
尚、当然のことながら、工具TL及び工具ホルダTHの個数、並びにワークWの個数は一例に過ぎないものであり、本例のものに限定されるものではない。加工によって振動を生じるとして設定される構成部材も、主軸34、ワークW、ワーク保持治具WJ、工具TL及び工具ホルダTHに限られるものではなく、これら以外の構成部材が含まれる、或いは、逆に前記ワーク保持治具WJは特に含まれていなくても良い。また、この固有振動数記憶部10には、固有振動数に係るデータの他に、工具TL1〜TL4の刃数に係るデータが格納されている。
【0058】
前記モデルデータ記憶部12には、工作機械30、工具TL1〜TL4、工具ホルダTH1〜TH4、ワークW1〜W2及びワーク保持治具WJに係る各3次元のモデルデータが、前記入力装置(図示せず)を介して、格納されている。尚、モデルデータとしては3次元のものに限られるものではなく、2次元のものでも良い。
【0059】
前記周波数解析部4は、前記加速度センサ2から連続的に出力される振動に係る信号を受信し、受信した信号を所定のサンプリング間隔でフーリエ解析(周波数解析)により解析して、加工によって生じる振動加速度(以下、単に「加速度」と言う)の振動周波数とその大きさを算出し、算出結果、即ち解析結果を振動源推定部5、びびり検出部6及び負荷状態評価部7にそれぞれ送信する。図5及び図6に、この周波数解析部4による解析結果(加速度−振動周波数データ)の一例を示す。図5には、加工中にびびり振動が生じていない状態における解析結果を示している。また、図6には、加工中にびびり振動が生じた状態における解析結果を示しており、びびり周波数は1100[Hz]であった。尚、この図5及び図6における加工条件は、工具TLとして直径が16[mm]、刃数が4のエンドミルを用い、切り込み幅を4[mm]、切り込み深さを10[mm]、一刃当たりの送りを0.1[mm/刃]とした。また、図5における主軸回転速度は1620[min−1]であり、図6における主軸回転速度は1680[min−1]であった。
【0060】
前記振動源推定部5は、前記周波数解析部4によって解析された加速度−振動周波数データを基に、予め定められた時間毎に、前記固有振動数記憶部10に格納されたデータを参照して、加速度の大きさが所定の閾値を超える振動周波数に最も近い固有振動数を有する構成部材を振動源として推定し、推定した構成部材に係る情報を前記表示処理部9に送信するとともに、推定した構成部材に係る情報を時間情報と共に前記振動源情報記憶部11に格納する処理を行う。
【0061】
加工中に生じる振動の主な振動源は、直接的に加工部位となる工具TL及びワークWの他に、工具TLを保持する工具ホルダTH、工具TLを回転させる主軸34、並びにワーク保持治具WJなどの間接的に加工部位に繋がる構成部材が考えられる。そして、加工によって生じる振動周波数が、これら工具TL、ワークW、工具ホルダTH、主軸34、若しくはワーク保持治具WJなどのいずれかの固有振動数に近い場合に、当該構成部材が所定の閾値を超えて大きく振動するものと考えられる。したがって、加工中に生じる振動(加速度)の大きさが前記閾値(基準値A)を超えて大きく振動する場合には、その振動周波数に最も近い固有振動数を有する構成部材が振動源であると考えられる。振動源推定部5は、このような考え方の下で振動源を推定する。例えば、図6において、前記基準値Aを0.5[m/s]とすると、これを超える振動周波数として1100[Hz]が検出され、前記固有振動数記憶部10に格納されたデータから振動源として主軸34が推定される。
【0062】
尚、振動源推定部5は、振動源を推定するときに、前記NCプログラム実行部21から現在実行され、使用されている工具番号を受信し、受信した工具番号を基に、前記固有振動数記憶部10を参照して、当該工具番号に対応した工具TL及び工具ホルダTHを、現在使用されている工具TL及び工具ホルダTHとして認識し、認識した工具TL及び工具ホルダTHの固有振動数と前記周波数解析部4によって解析された振動周波数とを比較する。
【0063】
このようにして振動源推定部5により推定され、前記振動源情報記憶部11に格納されるデータの一例を、図4に示す。図4に示したデータテーブルでは、加工開始からの経過時間を表す時間t1〜t100の各時間において振動源であると推定された構成部材に○(フラグ)が付されている。尚、図5に示すように、周波数解析部4による解析の結果、振動の大きさが何れの周波数においても小さく、有意差をもって振動源を推定できない場合には、図4に示すデータテーブルにおいて、当該時間についてはフラグが付されない(図4における時間t5参照)。
【0064】
前記びびり検出部4は、前記周波数解析部4によって解析された振動の大きさを所定の基準値Bと比較し、振動の大きさが基準値Bを超えたとき、びびり現象が生じたと判定し、その検出信号を前記表示処理部9に送信する処理を行う。この基準値Bは前記基準値Aよりも大きな値であり、経験的に設定される。
【0065】
また、びびり検出部4は、びびり現象が生じたと判定される場合に、このびびり現象が強制びびり現象であるか、又は再生びびり現象であるかを判断する。例えば、強制びびり現象の場合には、その振動周波数ω[Hz]は、工具TLの回転速度をS[min−1]、工具TLの刃数をNとすると次式数式3で表わされる。
(数式3)
ω=(N×S×k)/60
但し、kが1以上の整数である。
【0066】
びびり検出部4は、この数式3を基に、所定のマージンαを考慮して、周波数解析部4によって解析された振動周波数ωが次式数式4の範囲内であれば、強制びびり現象であると判定し、数式4の範囲外であれば、再生びびり現象であると判定する。
(数式4)
(ω−α)≦ω≦(ω+α)
尚、工具TLの回転速度Sは主軸34の回転速度であり、びびり検出部4はNCプログラム実行部21から現在実行されている主軸回転速度を受信して、これを認識する。また、びびり検出部4はNCプログラム実行部21から現在実行され、使用されている工具番号を受信し、受信した工具番号を基に、前記固有振動数記憶部10を参照して、当該工具番号に対応した工具TLの刃数を認識する。
【0067】
そして、びびり検出部4は、検出されたびびり振動が強制びびりである場合には、強制びびり検出信号を表示処理部9に送信し、検出されたびびり振動が再生びびりである場合には、再生びびり検出信号を表示処理部9に送信する処理を行う。
【0068】
負荷状態評価部7は、前記周波数解析部4によって解析された周波数解析結果を積算する処理を行うとともに、この積算データと前記固有振動数記憶部10に格納された固有振動数に係るデータとを基に、各構成部材の固有振動数に対応した振動周波数における振動(加速度)の大きさの積算値、即ち、各構成部材に作用した振動の大きさの積算値を、各構成部材に作用した負荷値として評価するとともに、各構成部材に対応した積算値を表示するための画像データ、例えば、図11に示すような画像のデータを生成して、前記表示処理部9に送信する処理を行う。
【0069】
工具監視部8は、NCプログラム実行部21によってNCプログラムが実行される状況を監視し、工作機械30で使用される工具TL1〜TL4の切削時間を積算するとともに、当該工具TL1〜TL4が工具の摩耗曲線において初期摩耗期、定常摩耗期及び終期摩耗期の何れの時期に在るかを判定する。尚、工具の摩耗曲線は、刃先が大きな圧力に耐えるために急速に磨耗したり、或いは切断力に耐えるように小さなチッピングを伴って刃先の丸みを形成する初期摩耗期と、摩耗が緩やかに進行する定常摩耗期と、刃先の丸みの増加などで抵抗が増し、発熱などを伴って摩耗が急速に増える終期摩耗期の3段階から構成される。
【0070】
前記表示処理部9は、前記モデルデータ記憶部12に格納されたモデルデータを前記表示装置15のディスプレイに表示する処理を行うとともに、前記振動源推定部5によって、振動源に係る構成部材が推定されると、振動源と推定された構成部材に係る情報を前記振動源推定部5から受信して、推定された構成部材に係るモデルを、他の構成部材のモデルから識別可能に前記表示装置15のディスプレイに表示する(以下、この表示を「識別表示」という)。この表示処理部9、モデルデータ記憶部12及び表示装置15が報知装置を構成する。
【0071】
図7図10に、前記表示装置15のディスプレイに表示される画像の一例を示す。図7では、工具TLが振動源であると推定された場合に、当該工具TLに係るモデルを黒く塗りつぶすことによって、他の構成部材と識別可能な画像としている。同様に、図8では、工具ホルダTHが振動源であると推定された場合の画像であり、当該工具ホルダTHに係るモデルを黒く塗りつぶしている。また、図9では、主軸34が振動源であると推定された場合の画像であり、当該主軸34に係るモデルを黒く塗りつぶしている。また、図10では、ワークWが振動源であると推定された場合の画像であり、当該ワークWに係るモデルを黒く塗りつぶしている。尚、特に図示しないが、ワーク保持治具WJが振動源であると推定された場合には、当該ワーク保持治具WJを黒く塗りつぶした画像が前記ディスプレイに表示される。
【0072】
当然のことながら、振動源と推定された構成部材のモデルを識別表示する態様としては、これに限られるものではなく、他の色で表示したり、或いは、振動源と推定された構成部材のモデルを点滅させる態様や、振動源と推定された構成部材のモデルに矢印を付して強調するなどの様々な態様が含まれる。
【0073】
また、表示処理部9は、前記振動源推定部5により、振動源が工具TLであると推定された場合には、当該工具TL(本例では工具TL1〜TL4のいずれか)について前記工具監視部8により判定された摩耗期を参照し、判定された摩耗期が初期摩耗期である場合には、例えば、図7における表示において、当該工具TLが初期摩耗期である旨の文字表示を行う。
【0074】
また、表示処理部9は、前記びびり検出部4によってびびり現象が検出され、当該検出信号をびびり検出部4から受信すると、びびり現象が生じた旨を前記ディスプレイに文字表示するとともに、受信した検出信号が強制びびり検出信号である場合には、「切り込みを下げるか、又は送り速度を下げること」を推奨する文字表示を前記ディスプレイに表示し、一方、受信した検出信号が再生びびり検出信号である場合には、「主軸回転速度を上げるか、又は主軸回転速度を下げること」を推奨する文字表示を前記ディスプレイに表示する。尚、当然のことながら、これら以外の対応が考えられる場合には、その対応を文字表示するようにしても良い。
【0075】
また、表示処理部9は、前記振動源情報記憶部11に格納されたデータ、即ち、過去の加工において推定された振動源に係るデータを基に、その時間情報に従って、推定された構成部材のモデルを、他の構成部材のモデルから識別可能にディスプレイに表示する。例えば、図4に示した例では、加工開始からの経過時間を表す時間t1〜t100の各経過時間に沿って前記ディスプレイにモデルを表示するとともに、各時間で推定された振動源に係るモデルについて、上述した識別表示を行う。このような表示によれば、当該加工における振動源の移り変わりが再表示(リプレイ表示)される。
【0076】
また、表示処理部9は、前記負荷状態評価部7から受信した各構成部材に対応した積算値を表示するための画像を前記ディスプレイに表示する処理を行う(図11参照)。
【0077】
以上の構成を備えた本例の振動源推定装置1によれば、前記NCプログラム実行部21によりNCプログラムが実行されて、前記工作機械30によりワークWが加工されると、その間に、当該加工によって生じる振動(加速度)が前記加速度センサ2によって検出され、振動に応じた信号が当該加速度センサ2から周波数解析部4に入力される。そして、周波数解析部4は、連続的に入力される振動信号を所定のサンプリング間隔で解析して、その解析結果を振動源推定部5、びびり検出部6及び負荷状態評価部7にそれぞれ送信する。
【0078】
振動源推定部5では、周波数解析部4によって解析された、加速度の大きさ(振幅)と振動周波数との関係を示す加速度−振動周波数データを基に、予め定められた時間毎に、前記固有振動数記憶部10に格納されたデータを参照して、振動周波数に最も近い固有振動数を有する構成部材が振動源として推定され、推定された構成部材に係る情報が表示処理部9に送信され、また、推定された構成部材に係る情報が時間情報と共に前記振動源情報記憶部11に格納される。
【0079】
そして、前記表示処理部9は、前記モデルデータ記憶部12に格納されたモデルデータを前記表示装置15のディスプレイに表示するとともに、前記振動源推定部5により振動源と推定された構成部材のモデルを他の構成部材のモデルから識別可能に表示、即ち、識別表示する。
【0080】
斯くして、このようにして所定のサンプリング間隔で振動源として推定された構成部材が他の構成部材から識別可能に前記ディスプレイに表示されるので、オペレータ等はこの表示からその時点における振動源を容易に認識することができるとともに、振動源の経時的な変遷(移り変わり)を把握することができ、当該加工における振動上の特性を認識することができる。
【0081】
また、オペレータ等は、振動源を認識することで、当該加工における改良点、例えば、ワーク保持治具WJの強度的な改良や工具ホルダTHの変更等、改良すべき具体的な構成物を認識することができ、また、当該加工条件を客観的に評価することができるとともに、当該評価を基に加工条件(主軸回転速度、送り速度(一刃当たりの送り量)、切り込み幅、切り込み深さ等)の改善を図ることができる。
【0082】
一方、前記びびり検出部4では、前記周波数解析部4における解析結果からびびり振動が生じたか否か、また、びびり振動が生じたと判断される場合には、それが強制びびり振動であるのか、若しくは再生びびり振動であるのかが判別され、判別結果が前記表示処理部9に送信される。
【0083】
そして、表示処理部9は、びびり検出部4からびびり検出信号を受信して、びびり現象が生じた旨を前記ディスプレイに文字表示するとともに、受信した検出信号が強制びびり検出信号である場合には、「切り込みを下げるか、又は送り速度を下げること」などを推奨する文字表示を前記ディスプレイに表示し、一方、受信した検出信号が再生びびり検出信号である場合には、「主軸回転速度を上げるか、又は主軸回転速度を下げること」などを推奨する文字表示を前記ディスプレイに表示する。
【0084】
斯くして、オペレータ等は、びびり振動が生じた時にディスプレイにその旨が表示されるので、現在の振動がびびり振動であることを容易に認識することができ、また、推定された振動源との関係において、これに応じた対応を採ることができる。例えば、びびり現象の原因(振動源)がワークWである場合には、次回以降の加工において、ワークWの保持態様を制振効果が得られるような態様に改良することでびびり現象を抑制することができる。また、ワーク保持治具WJが振動源である場合には、ワークW若しくはワーク保持治具WJの取付状態を確認してこれを修正する、或いはワーク保持治具WJの設計を見直してこれを安定したものに改良することで、びびり現象を抑制可能であり、工具ホルダTHが振動源である場合には、制振効果に優れた工具ホルダTHに変更する、或いは工具の回転速度を上述した予想安定回転速度に変更する、或いは切り込み深さなどの切削条件を変更する、或いは工具の突き出し量を短くすることで、びびり現象を抑制可能である。また、主軸34が振動源である場合も同様に、工具TLの回転速度を前記予想安定回転速度に変更する、或いは切り込み深さなどの切削条件を変更することで、びびり現象を抑制可能である。
【0085】
また、振動源が工具TLであり、びびり現象が強制びびりである場合には、「切り込みを下げるか、又は送り速度を下げること」を推奨する文字表示がディスプレイに表示され、びびり現象が再生びびりである場合には、「主軸回転速度を上げるか、又は主軸回転速度を下げること」を推奨する文字表示がディスプレイに表示されるので、オペレータ等は、強制びびりと再生びびりの別に応じた適切な対応を採ることができる。
【0086】
また、表示処理部9は、前記振動源推定部5により、振動源が工具TLであると推定された場合には、当該工具TLについて前記工具監視部8により判定された摩耗期を参照し、判定された摩耗期が初期摩耗期である場合には、例えば、図7における表示において、当該工具は初期摩耗期である旨の文字表示を行う。これにより、オペレータ等は、工具TLの振動がびびり振動でない場合に、当該振動が工具TLの初期摩耗期に起因した振動であり、工具交換等の対応を採る必要が無いことを容易に認識することができる。
【0087】
また、本例の振動源推定装置1では、加工終了後に、前記表示処理部9により、振動源情報記憶部11内の過去の加工において推定された振動源に係るデータを基に、その時間情報に従って、各時間で推定された振動源に係るモデルを識別表示、即ち、リプレイ表示することができる。したがって、オペレータ等は、加工時間の経過とともに移り変わる振動源を、その振動している時間などの時間的要素を含めて視覚的に認識することができるとともに、当該振動現象を再検証することができる。
【0088】
また、表示処理部9は、前記負荷状態評価部7から受信した各構成部材に対応した積算値(負荷評価)を表示するための画像をディスプレイに表示する処理を行う(図11参照)。これにより、オペレータ等は、各構成部材の振動に係る負荷状態を客観的に認識することができ、その負荷状態に応じて、例えば、耐用限度を超え得ていると判断される場合には、対応する構成部材を新たな物に交換する等の措置を講じることができる。
【0089】
以上、本発明に係る一実施形態について説明したが、本発明が採り得る態様は、何らこれに限定されるものではない。
【0090】
例えば、上例では、前記振動源推定部5は、振動周波数に最も近い固有振動数を有する構成部材を振動源として推定するように構成されているが、このような構成に限られるものではない。前記振動源推定部5は、固有振動数が振動周波数に近い順に、振動源としての可能性が高い順位付けにした複数の構成部材を推定し、推定した構成部材に係る情報を前記表示処理部9に送信するとともに、推定した構成部材に係る情報を時間情報と共に前記振動源情報記憶部11に格納するように構成された態様を採ることができる。このようにして、可能性の高い順に1位から3位までの振動源を推定した例を図12に示す。図12において、数字はその順位を表している。振動源情報記憶部11には、図12に例示されるようなデータが格納される。
【0091】
そして、この場合、前記表示処理部9は、前記ディスプレイにモデルを表示する際に、推定された複数の構成部材について、その順位付けについても識別可能に前記ディスプレイに表示する。例えば、推定された複数の構成部材を、順位毎に対応付けられた色で色分けして表示するとともに、色と順位との関係を凡例として表示することができる。或いは、推定された各構成部材のモデルに、順位を表す数字を付すようにしても良い。
【0092】
このようにすれば、振動源として複数の構成部材が推定される場合に、その可能性の順位付けに係る情報が表示されるので、オペレータ等は、どの構成部材が振動に関係していて、それらが振動源としてどの程度の可能性を有するのかを容易に認識することができ、複雑な振動状態を容易に把握することができる。
【0093】
また、上例では、前記負荷状態評価部7は、周波数解析部4によって解析される周波数解析結果を積算するとともに、各構成部材の固有振動数に対応した周波数における振動の大きさの積算値を、各構成部材に作用した負荷値として評価するように構成されているが、このような構成に限られるものではない。
【0094】
前記負荷状態評価部7は、前記振動源情報記憶部11に格納されたデータを参照して、前記各構成部材について、前記振動源推定部5によって振動源であると推定された度数(回数)を算出し、算出された度数を、各構成部材に作用した負荷値として評価するとともに、各構成部材に対応した度数(負荷値)を表示するための画像データを生成して、前記表示処理部9に送信するように構成された態様を採ることができる。この場合、各構成部材に対応した度数がディスプレイに表示される。このような態様でも、オペレータ等は、各構成部材に作用した振動の負荷状態を客観的に認識することができ、その負荷状態に応じた措置を講じることができる。
【0095】
また、この態様の場合に、前記振動源推定部5が、上述の如く複数の構成部材を推定するように構成されている場合には、前記負荷状態評価部7は、前記振動源情報記憶部11に格納された、例えば図12に示すようなデータを参照して、前記各構成部材について、その順位毎にその度数を算出し、算出された順位毎の度数を前記ディスプレイに表示するようにすると良い。
【0096】
また、上例では、前記振動源推定部5を、前記周波数解析部4によって解析された加速度−振動周波数データを基に、振動源を推定するように構成したが、これに限られるものではなく、前記振動源推定部5は、前記加速度−振動周波数データから算出されるデータであって、振動エネルギの大きさ(振幅)と振動周波数との関係を示すエネルギ−振動周波数データ、又は振動変位の大きさ(振幅)と振動周波数との関係を示す変位−振動周波数データから振動源を推定するように構成されていても良い。
【0097】
振動加速度をA[m/s]とし、そのときの振動周波数をf[Hz]とすると、当該振動における比エネルギ(質量当たりのエネルギ)E[m/s]は、以下の数式5によって表わされる。
(数式5)
E=(A/(2πf))×(1/2)
そして、この数式5により、前記加速度−振動周波数データから、前記エネルギ−振動周波数データを算出することができ、このデータから振動エネルギの大きい振動周波数を認識することができるとともに、その振動源を推定することができる。
【0098】
また、振動加速度A[m/s]に対する振動変位D[m]は、次の数式6によって表される。
(数式6)
D=A/(2πf)
そして、この数式6により、前記加速度−振動周波数データから、前記変位−振動周波数データを算出することができ、このデータから変位の大きい振動周波数を認識することができるとともに、その振動源を推定することができる。
【0099】
斯くして、前記振動源推定部5は、これを、前記エネルギ−振動周波数データ、又は変位−振動周波数データを基に、前記固有振動数記憶部10内のデータを参照して、各データにおいて、例えば、その大きさが前記基準値Aを超える振動周波数に最も近い固有振動数を有する構成部材を振動源として推定するように構成することができる。
【0100】
因みに、周波数解析部4によって解析された加速度−振動周波数データの他の例を図13に示し、この加速度−振動周波数データから算出されるエネルギ−振動周波数データを図14に示し、変位−振動周波数データを図15に示す。尚、この例の加工では、工具TLとして直径が16[mm]、刃数が4のエンドミルを用い、切り込み幅を4[mm]、切り込み深さを10[mm]、一刃当たりの送りを0.1[mm/刃]、主軸回転速度は1990[min−1]とした。この場合、切れ刃通過周波数(TPF)は133[Hz]であった。
【0101】
図13に示した加速度−振動周波数データにおいて、例えば、前記基準値Aを100[m/s]とすると、前記固有振動数記憶部10に格納された図3に示すデータから、推定振動源として主軸34が1位に順位付けされ、ワーク保持治具WJが2位に順位付けされ、工具TLが3位に順位付けされる。加速度は工具の刃先に大きく影響するものと考えられるため、加速度を基準にして振動源を推定することで、工具刃先に悪影響を与える振動源を認識することができる。
【0102】
また、図14に示したエネルギ−振動周波数データにおいて、例えば、前記基準値Aを5×10−4[(m/s)]とすると、推定振動源として主軸34が1位に順位付けされ、ワーク保持治具WJが2位に順位付けされる。振動エネルギの大きさは、工具の刃先及び加工面の面精度の双方に影響するものと考えられるため、この振動エネルギを基準にして振動源を推定することで、工具刃先及び加工面の面精度に悪影響を与える振動源を認識することができる。
【0103】
また、図15に示した変位−振動周波数データにおいて、前記基準値Aを1×10−6[m]とすると、推定振動源として主軸34が1位に順位付けされ、ワーク保持治具WJが2位に順位付けされる。変位は、加工面の面精度に大きく影響するものと考えられるため、変位を基準にして振動源を推定することで、加工面の面精度に悪影響を与える振動源を認識することができる。尚、びびり振動は切れ刃通過周波数より高い周波数を有するので、本例では、133[Hz]以下の振動成分はノイズとして無視される。
【0104】
或いは、前記振動源推定部5は、前記加速度−振動周波数データ、エネルギ−振動周波数データ、及び変位−振動周波数データの中から選ばれる2以上のデータを用いて、推定振動源を総合的に評価するように構成されていても良い。例えば、各データにより推定される振動源の順位を合算することで、総合的な順位付けとしても良い。
【0105】
また、上例では、振動源推定装置1の演算処理装置3を数値制御装置20とは別体のものとして構成したが、これに限られるものではなく、演算処理装置3を数値制御装置20に組み込んだ構成としても良い。また、前記表示装置15として、工作機械30の操作盤に設けられるディスプレイを用いても良い。
【符号の説明】
【0106】
1 振動源推定装置
2 加速度センサ
3 演算処理装置
4 周波数解析部
5 振動源推定部
6 びびり検出部
7 負荷状態評価部
8 工具監視部
9 表示処理部
10 固有振動数記憶部
11 振動源情報記憶部
12 モデルデータ記憶部
15 表示装置
20 数値制御装置
21 NCプログラム実行部
22 主軸制御部
23 送り制御部
30 工作機械
34 主軸
TL 工具
TH 工具ホルダ
W ワーク
WJ ワーク保持治具
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
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図10
図11
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図15