【解決手段】ヘッドアップディスプレイ装置10は、視認者の前方風景100に含まれる特定対象110に関連付けられた虚像74をその表示距離86を切り替えて表示可能な表示光を被投影部に向けて投射する投射部と、前記投射部が表示する虚像74の表示距離86を調整する表示制御部と、少なくとも特定対象110に関する特定対象情報を取得する情報取得部と、を備え、前記表示制御部は、前記情報取得部が取得した前記特定対象情報に基づいて、虚像74の表示距離86の変化量86aが特定対象110の前記視認者との相対距離111の変化量111a以下となるように、虚像74の表示距離86を変更する表示距離決定部を備えてなる。
前記表示距離決定部は、前記虚像の表示距離が所定の閾値以上である場合に、前記情報取得部が取得した前記特定対象情報に基づいて、前記虚像の表示距離の変化量が前記特定対象の前記視認者との相対距離の変化量と等しくなるように前記虚像の表示距離を変更し、また、前記虚像の表示距離が前記閾値未満である場合に、前記虚像の表示距離の変化量が前記特定対象の前記視認者との相対距離の変化量よりも小さくなるように、前記虚像の表示距離を変更する、
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に説明する実施形態は、本発明を容易に理解するために用いられ、当業者は、本発明が以下に説明される実施形態によって不当に限定されないことを留意すべきである。
【0015】
図1は、本発明に係るヘッドアップディスプレイ(以下では、HUDとも呼ぶ)装置10の、第1〜第7の実施形態に対応する構成と、このHUD装置10が表示する虚像70を説明する図である。なお、
図1では、車両1の前後方向をZ方向(前方向がZ正方向)とし、車両1の左右方向(車両1の幅方向)に沿う方向をX方向(左方向がX正方向)とし、上下方向をY方向(上方向がY正方向)とする。
【0016】
図1において、本実施形態のHUD装置10は、通信インターフェース5に通信可能に連結されている。通信インターフェース5は、例えば、USBポート、シリアルポート、パラレルポート、OBDII、及び/又は他の任意の適切な有線通信ポートなどの有線通信機能を含むことができる。車両1からのデータケーブルは、HUD装置10に情報を伝達するために、通信インターフェース5を介して、HUD装置10の情報取得部20に連結される。なお、他の実施形態では、通信インターフェース5は、例えば、Bluetooth(登録商標)通信プロトコル、IEEE802.11プロトコル、IEEE802.16プロトコル、共有無線アクセスプロトコル、ワイヤレスUSBプロトコル、及び/又は他の任意の適切な無線電信技術を用いた無線通信インターフェースを含むことができる。
【0017】
[HUD装置10の構成]
HUD装置10は、通信インターフェース5から各種情報を取得する入力インターフェースである情報取得部20と、表示制御部30と、表示光Lを投射する投射部40と、を有する。例えば、通信インターフェース5には、車両1に設けられた車両ECU、車載カメラ、センサ、他の車載機器、携帯機器、他車両、路上の通信インフラ、などが情報を授受可能に接続され、HUD装置10は、通信インターフェース5に接続された情報取得部20から各種情報を入力し、表示する虚像70に反映する。
【0018】
本実施形態のHUD装置10は、表示光Lを車両1の内部に設けられ、一部の光を透過し、一部の光を反射する被投影部2に向けて投射する。この被投影部2は、車両1のフロントウインドシールドの一部で構成されてもよく、コンバイナなどの専用部品であってもよい。視認者の視点3を置くと想定される領域に、被投影部2に反射された表示光Lによりアイボックス4を形成する。視認者は、視点3をこのアイボックス4内に配置することでHUD装置10が表示する虚像70の全体を視認することができ、視点3がアイボックス4から外れると虚像70の一部が視認できなくなる(視認しづらくなる)。本実施形態のHUD装置10は、X方向、Y方向、Z方向に虚像70が表示される位置を調整することができる。すなわち、HUD装置10は、特に視認者(アイボックス4)から虚像70が結像されるまでの間のZ方向の距離である表示距離80を調整することができ、3次元に虚像71,72を表示することができる。
【0019】
表示制御部30は、表示追加判定部31と、表示距離決定部32と、表示データ生成部33と、を有する。表示制御部30は、情報取得部20から取得した情報に基づいて、表示データを生成し、この表示データに基づいて投射部40を駆動することで虚像70を表示する。特に、本実施形態における表示制御部30は、虚像70(詳細には、虚像70内の各虚像71,72)の表示距離80を調整することが可能である。
【0020】
表示追加判定部31は、通信インターフェース5を介して情報取得部20から取得した情報を入力し、既に表示されている虚像70(後述する既存の虚像73)に対して新たな虚像70(後述する追加表示する虚像74)を追加するかを判定する。なお、表示追加判定部31は、例えば、情報取得部20が新たに情報を取得した、取得した情報が所定の種類の情報であった、取得した情報が所定の条件を満たした情報であった、あるいは取得した複数の情報で所定の組み合わせが成立した場合、新たな虚像70を追加する条件が満たされたと判定する。
【0021】
表示距離決定部32は、虚像70の表示距離80を決定可能である。表示距離決定部32は、視認者の前方風景に含まれる特定対象に関連付けられた虚像70の表示距離80の変化量が特定対象の視認者との相対距離の変化量以下となるように、虚像70の表示距離80を変更する。虚像70の表示距離80を変更する際の第1〜第6実施形態、虚像70を非表示にする際の第7実施形態を後で詳述する。
【0022】
表示データ生成部33は、表示データを生成するものであり、この表示データに基づき、投射部40が駆動する。前記表示データは、表示距離決定部32が決定した表示距離80に各虚像70を表示させるべく投射部40を駆動するための表示距離データを含む。
【0023】
[虚像の説明]
図1の左図を用いて、本実施形態のHUD装置10が表示する虚像70の例を説明する。虚像70は、例えば、平面的に表現される2D虚像71と、立体的に表現される3D虚像72と、を有する。2D虚像71の一例は、
図1の表示距離81のXY平面に平面的に結像され、視認者に遠近感を感じさせない虚像である。このような2D虚像71の一例によれば、概ね目の焦点を調整することなく表示全体を明確に認識することができる。また、2D虚像71の別例は、
図1の表示距離83のXY平面上に一端があり、表示距離83より視認者から離れた表示距離84のXY平面上に他端があり、平面的に結像され、視認者に遠近感を感じさせる虚像である。このような別例の2D虚像71は、視認者の目の焦点の調整により表示全体が明確に認識されるため、立体的な印象を与えることができる。3D虚像72の一例は、
図1の表示距離82のXY平面上に一端があり、表示距離82より視認者から離れた表示距離83のXY平面上に他端があり、体積を有するような立体的なオブジェクトとして結像され、視認者に立体感を感じさせる虚像である。なお、本発明のHUD装置10は、特定対象に関連付けられた虚像の表示距離を変更するものである。表示距離80を長くするとは、言い換えるとアイボックス4からより離れた位置に虚像70を結像させることを示し、例えば、表示距離81に表示されている2D虚像71、表示距離82と表示距離83との間に表示されている3D虚像72を、遠方側である表示距離84に近づけることを示す。また、表示距離80を短くするとは、言い換えるとアイボックス4により近づけた位置に虚像70を結像させることを示し、例えば、表示距離84に表示されている2D虚像71、表示距離82と表示距離83との間に表示されている3D虚像72を、近傍側である表示距離81に近づけることを示す。
【0024】
[投射部40の構成例]
次に、
図2を参照する。
図2は、
図1の投射部40の構成例を示す図である。本実施形態の投射部40は、立体画像表示部41と、リレー光学部42と、から構成され、立体画像表示部41が第1の3D実像43を形成し、リレー光学部42が第1の3D実像43を拡大して第2の3D実像44を結像し、この第2の3D実像44の表示光Lを外部の被投影部2に向けて投射する。
【0025】
図2の立体画像表示部41は、3次元に形成される第1の3D実像43を生成するものであり、画像投射部45と、振動スクリーン46と、を有する。
【0026】
画像投射部45は、表示制御部30から入力される表示データに基づいてその表示データに含まれる映像を表す映像光(図示しない)を出射するプロジェクタであり、表示データに含まれる表示距離データに応じて、前記映像を表示するタイミングを調整し、振動スクリーン46の振動位置に同期して投影する前記映像を高速に切り替える。言い換えると、画像投射部45は、前記表示距離データに基づき、振動スクリーン46の振動位置に適した前記映像を振動スクリーン46に投影する。
【0027】
振動スクリーン46は、例えば、ポリカーボネート製の拡散フィルムであり、画像投射部45の映像を一定の角度範囲に拡散させる半透明のフィルムであり、画像投射部45からの前記映像光を受けて実像を結像し、画像投射部45が出射する前記映像光の光軸に沿って往復運動する。振動スクリーン46は、連続的または断続的に振動位置を示す信号を画像投射部45に送信することが可能であり、画像投射部45は、前記振動位置を示す信号を基準に、表示データに含まれる表示距離データに応じた位置に虚像70が視認されるように、前記映像を表示するタイミングを調整してもよい。具体的には、振動スクリーン46は、60[Hz]以上の周波数で振動し、この周期1/60[sec]内で、画像投射部45が複数フレームの異なる映像を投射することで各振動位置に複数フレームの異なる映像(実像)を結像する。すなわち、本実施形態では、複数フレームの実像が振動スクリーン46の振動方向で重なることで第1の3D実像43が生成される。なお、表示制御部30は、振動スクリーン46の振幅を変化させることで、虚像70の奥行き方向Zの長さを調整してもよい。
【0028】
図2のリレー光学部42は、立体画像表示部41が生成した第1の3D実像43の光を受け、この第1の3D実像43を拡大した第2の3D実像44を中間で結像した後、この第2の3D実像44の光である表示光Lを被投影部2に向けて投射するものである。リレー光学部42は、例えば、立体画像表示部41が生成した第1の3D実像43の光を受光するレンズ群からなる第1のリレー光学部47と、第1のリレー光学部47を通った光を反射し、第1のリレー光学部47の光学的パワーと協働して第1の3D実像43を拡大した第2の3D実像44を結像させる第2のリレー光学部48と、第2の3D実像44の光である表示光Lを被投影部2に向けて反射する第3のリレー光学部49と、から構成される。
【0029】
第1のリレー光学部47は、第1の3D実像43における振動スクリーン46の各振動位置に結像した各映像を、異なる倍率で拡大する機能を有し、
図2では模式的に1枚のレンズに図示されているが、実際には図示しない複数の薄膜レンズを合成した合成レンズから構成される。
【0030】
第2のリレー光学部48は、例えば、正の光学的パワーを有する凹面の反射面を有するミラーで構成され、第1のリレー光学部47から第1の3D実像43の光を入射し、この入射した光を第3のリレー光学部49に向けて反射し、第1のリレー光学部47の光学的パワーと協働して第1の3D実像43を拡大した第2の3D実像44を、第2のリレー光学部48と第3のリレー光学部49との間で結像させる。なお、第2のリレー光学部48が担う光学的作用を、第1のリレー光学部47に持たせることで、第2のリレー光学部48は、省略されてもよい。
【0031】
第3のリレー光学部49は、第2の3D実像44の表示光Lを被投影部2に向けて反射させる凹面ミラーであり、被投影部2の曲面形状による像の歪みを補正する機能と、第2の3D実像44を拡大する機能と、を有する。
【0032】
以上が、3Dの虚像70を視認させる投射部40の実施形態の構成であったが、これに限定されない。以下に、投射部40の変形例を示す。
【0033】
[投射部40の変形例]
立体的な虚像を視認させる他の実施形態では、投射部40は、パララックスバリア方式やレンチキュラレンズ方式などを含む視差分割方式、ライトフィールド方式やホログラム方式を含む空間再生方式、特開2016−212318に開示されているように透過率を調整可能な調光層を有する複数のスクリーンを厚み方向に重ねて配置し、複数のスクリーンに向けてプロジェクタが投射像を高速で切り替えながら投影し、投射像の高速切り替えに応じて、複数のスクリーンがそれぞれ調光率を適宜調整することで3Dの実像を内部に表示する透過率調整スクリーン方式、特開2004−168230に開示されているように複数の液晶表示素子を厚み方向に重ねることで3Dの実像を内部に表示する方式などを採用してもよい。以上が、本発明の第1〜第7の実施形態のHUD装置10の構成である。
【0034】
以下、第1〜第7の実施形態を
図3〜
図10を用いて具体的に説明する。
(第1の実施形態)
まず、
図3,
図4を参照する。
図3は、第1〜第7の実施形態におけるHUD装置10の主要な動作手順を示すフロー図であり、
図4は、
図3のフロー図に対応した虚像73,74の表示例を示す図である。
図4(a)は、視認者が車両1の前方(Z軸正方向)を見た際に視認する前方風景(道路100)と虚像73,74を示す。
図4(b),(c)は、車両1の奥行方向(Z軸方向)における、視認者(視点3)と道路100に含まれる特定対象(分岐路の起点110)及び虚像73,74との位置関係(距離)を示し、
図4(b)は虚像73,74が追加表示された第1の時刻における位置関係を示し、
図4(c)は、前記第1の時刻から所定時間が経過した第2の時刻における位置関係を示す。なお、前記第1の時刻から前記第2の時刻までの間、車両1は走行しているものとする。
【0035】
図3のステップS11において、表示制御部30は、情報取得部20を介して各種情報を取得する。ここで取得される情報には前方風景に含まれる特定対象(
図4の例では分岐路の起点110)に関する特定対象情報を含むものとする。具体的に、特定対象情報には、特定対象の画像情報、視認者との相対距離情報及び視認者との相対速度情報などが挙げられる。表示制御部30は、情報取得部20を介して、定期的及び/又は各種情報が発生した瞬間的に各種情報を取得する。
【0036】
続いて、ステップS12において、表示追加判定部31は、虚像70を追加表示するか判定する。表示追加判定部31は、取得した情報が所定の種類の情報であった、取得した情報が所定の条件を満たした情報であった、あるいは取得した複数の情報で所定の組み合わせが成立した場合、新たな虚像70を追加する条件が満たしたと判定する。ステップS12において「表示追加しないと判定した場合(NOの場合)」は、ステップS14に移行する。
【0037】
ステップS12において「表示追加すると判定した場合(YESの場合)」は、ステップS13で、表示距離決定部32は、追加表示する虚像70の表示距離80を決定する。
図4(b)に示す前記第1の時刻においては、虚像73,74の表示距離85,86が決定する。なお、虚像73は、走路の行き先を示す案内標識を示す。虚像74は、分岐路の行き先を示す案内標識を示し、特定対象として分岐路の起点110に関連付けられている。表示距離85は例えば表示距離86よりも大きくなるように決定される。また、表示距離86は例えば、分岐路の起点110の視認者(視点3)との相対距離111と等しくなるように決定される。
【0038】
続いて、ステップS14において、表示距離決定部32は、情報取得部20を介して取得した各種情報(特に前記特定対象情報)に基づいて、視認者の前方風景に含まれる特定対象の視認者との相対距離が変化したか判定する。ステップS14において「相対距離が変化していない場合(NOの場合)」は、ステップS16に移行する。
【0039】
ステップS14において「相対距離が変化している場合(YESの場合)」は、ステップS15で、表示距離決定部32は、既に表示している既存の虚像70のうち、特定対象に関連付けられた虚像70の表示距離80を変更する。このとき、表示距離決定部32は、前記特定対象情報に基づいて、既存の虚像70の表示距離80の変化量が特定対象の視認者との相対距離の変化量と等しくなるように、既存の虚像70の表示距離80を変更する。すなわち、表示距離決定部32は、既存の虚像70の表示距離80を特定対象の視認者との相対速度と等しい速度で制御する。
図4(c)に示す前記第2の時刻においては、車両1の走行に伴って分岐路の起点110の視認者(視点3)との相対距離111が変化しており、虚像74の表示距離86が変更される。表示距離決定部32は、虚像74の表示距離86の変化量86aが、分岐路の起点110の視認者との相対距離111の変化量111aと等しくなるように、虚像74の表示距離86を変更する。すなわち、変更後の虚像74の表示距離86は、前記第2の時刻における分岐路の起点110の視認者との相対距離111と等しくなる。
【0040】
そして、ステップS16において、表示データ生成部33は、表示距離決定部32が決定及び/あるいは変更した表示距離80で虚像70が視認されるように表示データを生成し(XY軸方向の移動や拡大縮小を含む)、続いてステップS17において、表示制御部30は、この表示データに基づき投射部40を駆動することで表示を更新する。この際、表示距離決定部32は、特定対象に関連付けられた既存の虚像70の表示距離80の変化量が特定対象の視認者との相対距離の変化量と等しくなるように虚像70の表示距離80を決定するので、虚像70が特定対象と同じ速さで視認者に接近する。これにより、特定対象に関連付けられた虚像70の前方風景への没入感が増し、虚像70が呈示する情報を認識させやすい。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、
図3、
図5を参照して第2の実施形態を説明する。
図5は、
図3のフロー図に対応した虚像73,74の表示例を示す図である。
図5(a)は、視認者が車両1の前方(Z軸正方向)を見た際に視認する前方風景(道路100)と虚像73,74を示す。
図5(b),(c)は、車両1の奥行方向(Z軸方向)における、視認者(視点3)と道路100に含まれる特定対象(分岐路の起点110)及び虚像73,74との位置関係(距離)を示し、
図5(b)は虚像73,74が追加表示された第3の時刻における位置関係を示し、
図5(c)は、前記第3の時刻から所定時間が経過した第4の時刻における位置関係を示す。なお、前記第3の時刻から前記第4の時刻までの間、車両1は走行しているものとする。第2の実施形態は、表示距離決定部32が、既存の虚像70のうち、分岐路の起点110に関連付けられた虚像74の表示距離86の変化量86aが分岐路の起点110の視認者との相対距離111の変化量111aよりも小さくなるように、虚像74の表示距離86を変更する点で第1の実施形態と異なる。
【0042】
図3のステップS11において、表示制御部30は、情報取得部20を介して各種情報を取得する。ここで取得される情報には前方風景に含まれる特定対象(
図5の例では分岐路の起点110)に関する特定対象情報を含むものとする。具体的に、特定対象情報には、特定対象の画像情報、視認者との相対距離情報及び視認者との相対速度情報などが挙げられる。表示制御部30は、情報取得部20を介して、定期的及び/又は各種情報が発生した瞬間的に各種情報を取得する。
【0043】
続いて、ステップS12において、表示追加判定部31は、虚像70を追加表示するか判定する。表示追加判定部31は、取得した情報が所定の種類の情報であった、取得した情報が所定の条件を満たした情報であった、あるいは取得した複数の情報で所定の組み合わせが成立した場合、新たな虚像70を追加する条件が満たしたと判定する。ステップS12において「表示追加しないと判定した場合(NOの場合)」は、ステップS14に移行する。
【0044】
ステップS12において「表示追加すると判定した場合(YESの場合)」は、ステップS13で、表示距離決定部32は、追加表示する虚像70の表示距離80を決定する。
図5(b)に示す前記第3の時刻においては、虚像73,74の表示距離85,86が決定する。なお、虚像73は、走路の行き先を示す案内標識を示す。虚像74は、分岐路の行き先を示す案内標識を示し、特定対象として分岐路の起点110に関連付けられている。表示距離85は例えば表示距離86よりも大きくなるように決定される。また、表示距離86は例えば、分岐路の起点110の視認者(視点3)との相対距離111と等しくなるように決定される。
【0045】
続いて、ステップS14において、表示距離決定部32は、情報取得部20を介して取得した各種情報(特に前記特定対象情報)に基づいて、視認者の前方風景に含まれる特定対象の視認者との相対距離が変化したか判定する。ステップS14において「相対距離が変化していない場合(NOの場合)」は、ステップS16に移行する。
【0046】
図3のステップS14において「相対距離が変化している場合(YESの場合)」は、ステップS15で、表示距離決定部32は、既に表示している既存の虚像70のうち、特定対象に関連付けられた虚像70の表示距離80を変更する。このとき、表示距離決定部32は、前記特定対象情報に基づいて、既存の虚像70の表示距離80の変化量が特定対象の視認者との相対距離の変化量よりも小さくなるように、既存の虚像70の表示距離80を変更する。すなわち、表示距離決定部32は、既存の虚像70の表示距離80を特定対象の視認者との相対速度より遅い速度で制御する。
図5(c)に示す前記第4の時刻においては、車両1の走行に伴って分岐路の起点110の視認者(視点3)との相対距離111が変化しており、虚像74の表示距離86が変更される。表示距離決定部32は、虚像74の表示距離86の変化量86aが、分岐路の起点110の視認者との相対距離111の変化量111aよりも小さくなるように、虚像74の表示距離86を変更する。すなわち、変更後の虚像74の表示距離86は、前記第4の時刻における分岐路の起点110の視認者との相対距離111よりも大きくなる。
【0047】
そして、ステップS16において、表示データ生成部33は、表示距離決定部32が決定及び/あるいは変更した表示距離80で虚像70が視認されるように表示データを生成し(XY軸方向の移動や拡大縮小を含む)、続いてステップS17において、表示制御部30は、この表示データに基づき投射部40を駆動することで表示を更新する。この際、表示距離決定部32は、特定対象に関連付けられた既存の虚像70の表示距離80の変化量が特定対象の視認者との相対距離の変化量よりも小さくなるように虚像70の表示距離80を決定するので、虚像70が特定対象よりも遅れて視認者に接近する。これによっても、特定対象に関連付けられた虚像70の前方風景への没入感が増し、虚像70が呈示する情報を認識させやすい。また、虚像70の表示維持時間を長くすることができる。
【0048】
(第3の実施形態)
次に、
図3、
図6を参照して第3の実施形態を説明する。
図6は、
図3のフロー図に対応した虚像73,74の表示例を示す図である。
図6(a),(b),(c)は、車両1の奥行方向(Z軸方向)における、視認者(視点3)と道路100に含まれる特定対象(分岐路の起点110)及び虚像73,74との位置関係(距離)を示し、
図6(a)は虚像73,74が追加表示された第5の時刻における位置関係を示し、
図6(b)は、前記第5の時刻から所定時間が経過した第6の時刻における位置関係を示し、
図6(c)は、前記第6の時刻から更に所定時間が経過した第7の時刻における位置関係を示す。なお、前記第5の時刻から前記第7の時刻までの間、車両1は走行しているものとする。第3の実施形態は、表示距離決定部32が、既存の虚像70のうち、分岐路の起点110に関連付けられた虚像74の表示距離86の変化量86aが虚像70の表示距離80が所定の閾値以上である場合には、分岐路の起点110と視認者との相対距離111の変化量111aと等しくなるように、虚像74の表示距離86を変更し、虚像74の表示距離86の変化量86aが虚像70の表示距離80が前記閾値未満である場合には、分岐路の起点110の視認者との相対距離111の変化量111aよりも小さくなるように、虚像74の表示距離86を変更する点で第1,第2の実施形態は異なる。
【0049】
図3のステップS11において、表示制御部30は、情報取得部20を介して各種情報を取得する。ここで取得される情報には前方風景に含まれる特定対象(
図6の例では分岐路の起点110)に関する特定対象情報を含むものとする。具体的に、特定対象情報には、特定対象の画像情報、視認者との相対距離情報及び視認者との相対速度情報などが挙げられる。表示制御部30は、情報取得部20を介して、定期的及び/又は各種情報が発生した瞬間的に各種情報を取得する。
【0050】
続いて、ステップS12において、表示追加判定部31は、虚像70を追加表示するか判定する。表示追加判定部31は、取得した情報が所定の種類の情報であった、取得した情報が所定の条件を満たした情報であった、あるいは取得した複数の情報で所定の組み合わせが成立した場合、新たな虚像70を追加する条件が満たしたと判定する。ステップS12において「表示追加しないと判定した場合(NOの場合)」は、ステップS14に移行する。
【0051】
ステップS12において「表示追加すると判定した場合(YESの場合)」は、ステップS13で、表示距離決定部32は、追加表示する虚像70の表示距離80を決定する。
図6(a)に示す前記第5の時刻においては、虚像73,74の表示距離85,86が決定する。なお、虚像73は、走路の行き先を示す案内標識を示す。虚像74は、分岐路の行き先を示す案内標識を示し、特定対象として分岐路の起点110に関連付けられている。表示距離85は例えば表示距離86よりも大きくなるように決定される。また、表示距離86は例えば、分岐路の起点110の視認者(視点3)との相対距離111と等しくなるように決定される。
【0052】
続いて、ステップS14において、表示距離決定部32は、情報取得部20を介して取得した各種情報(特に前記特定対象情報)に基づいて、視認者の前方風景に含まれる特定対象の視認者との相対距離が変化したか判定する。ステップS14において「相対距離が変化していない場合(NOの場合)」は、ステップS16に移行する。
【0053】
図3のステップS14において「相対距離が変化している場合(YESの場合)」は、ステップS15で、表示距離決定部32は、既に表示している既存の虚像70のうち、特定対象に関連付けられた虚像70の表示距離80を変更する。このとき、表示距離決定部32は、虚像70の表示距離80(変更前の表示距離80、すなわち既に表示されている表示距離80)が前記閾値以上である場合に、前記特定対象情報に基づいて、虚像70の表示距離80の変化量が特定対象の視認者との相対距離の変化量と等しくなるように虚像70の表示距離80を変更し、また、虚像70の表示距離80が前記閾値未満である場合に、虚像70の表示距離80の変化量が特定対象の視認者との相対距離の変化量よりも小さくなるように、虚像70の表示距離80を変更する。すなわち、表示距離決定部32は、既存の虚像70の表示距離80が前記閾値以上である場合に、既存の虚像70の表示距離80を特定対象の視認者との相対速度と等しい速度で制御し、既存の虚像70の表示距離80が前記閾値未満である場合に、既存の虚像70の表示距離80を特定対象の視認者との相対速度より遅い速度で制御する。
図6(b)に示す前記第6の時刻においては、車両1の走行に伴って分岐路の起点110の視認者(視点3)との相対距離111が変化しており、虚像74の表示距離86が変更される。表示距離決定部32は、虚像74の表示距離86の変化量86aが、分岐路の起点110の視認者との相対距離111の変化量111aと等しくなるように、虚像74の表示距離86を変更する。すなわち、前記第6の時刻においては、変更後の虚像74の表示距離86は、前記第5の時刻における分岐路の起点110の視認者との相対距離111と等しくなる。前記第5の時刻における変更後の虚像74の表示距離86は、前記閾値未満であるものとする。続けて、
図6(c)に示す前記第7の時刻においては、車両1の走行に伴って分岐路の起算110の視認者(視点3)との相対距離111が変化しており、更に虚像74の表示距離86が変更される。このとき変更前の、すなわち前記第6の時刻における虚像74の表示距離86が前記閾値未満であるため、表示距離決定部32は、虚像74の表示距離86の変化量86aが、分岐路の起点110の視認者との相対距離111の変化量111aよりも小さくなるように、虚像74の表示距離86を変更する。すなわち、前記第7の時刻においては、変更後の虚像74の表示距離86は、前記第6の時刻における分岐路の起点110の視認者との相対距離111よりも大きくなる。
【0054】
そして、ステップS16において、表示データ生成部33は、表示距離決定部32が決定及び/あるいは変更した表示距離80で虚像70が視認されるように表示データを生成し(XY方向の移動や拡大縮小を含む)、続いてステップS17において、表示制御部30は、この表示データに基づき投射部40を駆動することで表示を更新する。この際、表示距離決定部32は、まず変更前の表示距離80が前記閾値以上である場合は、特定対象に関連付けられた既存の虚像70の表示距離80の変化量が特定対象の視認者との相対距離の変化量と等しくなるように虚像70の表示距離を決定する。そして車両1の走行に伴い、表示距離80が徐々に小さくなって変更前の表示距離80が前記閾値未満となった場合は、特定対象に関連付けられた既存の虚像70の表示距離80の変化量が特定対象の視認者との相対距離の変化量よりも小さくなるように虚像70の表示距離80を決定する。そのため、虚像70の追加表示から一定時間(
図6(a)の前記第5の時刻から
図6(b)の前記第6の時刻の間)は虚像70が特定対象と同じ速さで視認者に接近し、その後(
図6(c)の前記第7の時刻以降)は虚像70が特定対象よりも遅れて視認者に接近する。これによっても、特定対象に関連付けられた虚像70の前方風景への没入感が増し、虚像70が呈示する情報を認識させやすい。また、虚像70の表示維持時間を長くすることができる。
【0055】
(第4の実施形態)
次に、
図3、
図7を参照して第4の実施形態を説明する。
図7は、
図3のフロー図に対応した虚像73,74の表示例を示す図である。
図7(a),(b),(c)は、車両1の奥行方向(Z軸方向)における、視認者(視点3)と道路100に含まれる特定対象(分岐路の起点110)及び虚像73,74との位置関係(距離)を示し、
図7(a)は虚像73,74が追加表示された第8の時刻における位置関係を示し、
図7(b)は、前記第8の時刻から所定時間が経過した第9の時刻における位置関係を示し、
図7(c)は、前記第9の時刻から更に所定時間が経過した第10の時刻における位置関係を示す。なお、前記第8の時刻から前記第10の時刻までの間、車両1は走行しているものとする。第4の実施形態は、表示距離決定部32が、既存の虚像70のうち、分岐路の起点110に関連付けられた虚像74の表示時間が所定の時間未満である場合に、虚像74の表示距離86を変更しない点で第1〜第3の実施形態と異なる。
【0056】
図3のステップS11において、表示制御部30は、情報取得部20を介して各種情報を取得する。ここで取得される情報には前方風景に含まれる特定対象(
図7の例では分岐路の起点110)に関する特定対象情報を含むものとする。具体的に、特定対象情報には、特定対象の画像情報、視認者との相対距離情報及び視認者との相対速度情報などが挙げられる。表示制御部30は、情報取得部20を介して、定期的及び/又は各種情報が発生した瞬間的に各種情報を取得する。
【0057】
続いて、ステップS12において、表示追加判定部31は、虚像70を追加表示するか判定する。表示追加判定部31は、取得した情報が所定の種類の情報であった、取得した情報が所定の条件を満たした情報であった、あるいは取得した複数の情報で所定の組み合わせが成立した場合、新たな虚像70を追加する条件が満たしたと判定する。ステップS12において「表示追加しないと判定した場合(NOの場合)」は、ステップS14に移行する。
【0058】
ステップS12において「表示追加すると判定した場合(YESの場合)」は、ステップS13で、表示距離決定部32は、追加表示する虚像70の表示距離80を決定する。
図7(a)に示す前記第6の時刻においては、虚像73,74の表示距離85,86が決定する。なお、虚像73は、走路の行き先を示す案内標識を示す。虚像74は、分岐路の行き先を示す案内標識を示し、特定対象として分岐路の起点110に関連付けられている。表示距離85は例えば表示距離86よりも大きくなるように決定される。また、表示距離86は例えば、分岐路の起点110の視認者(視点3)との相対距離111と等しくなるように決定される。
【0059】
続いて、ステップS14において、表示距離決定部32は、情報取得部20を介して取得した各種情報(特に前記特定対象情報)に基づいて、視認者の前方風景に含まれる特定対象の視認者との相対距離が変化したか判定する。ステップS14において「相対距離が変化していない場合(NOの場合)」は、ステップS16に移行する。
【0060】
図3のステップS14において「相対距離が変化している場合(YESの場合)」は、ステップS15で、表示距離決定部32は、既に表示している既存の虚像70のうち、特定対象に関連付けられた虚像70の表示距離80を変更する。このとき、表示距離決定部32は、虚像70の表示時間(追加表示されてからの時間)が所定の基準時間未満である場合に、虚像70の表示距離80を変更せず、また、虚像70の表示時間が前記基準時間以上である場合に、虚像70の表示距離80の変化量が特定対象の視認者との相対距離の変化量と等しくなるように、虚像70の表示距離80を変更する。
図7(b)に示す前記第9の時刻においては、虚像74の表示時間が前記基準時間未満であるものとする。すると、車両1の走行に伴って分岐路の起点110の視認者(視点3)との相対距離111が変化しているものの、虚像74の表示距離86は変更されない。すなわち、前記第9の時刻においては、虚像74は視認者に接近しない。前記第10の時刻における虚像74の表示時間は、前記基準時間以上であるものとする。続けて、
図7(c)に示す前記第10の時刻においては、車両1の走行に伴って分岐路の起算110の視認者(視点3)との相対距離111が変化しており、かつ、虚像74の表示時間が前記基準時間以上であるため、虚像74の表示距離86が変更される。このとき、表示距離決定部32は、虚像74の表示距離86の変化量86aが、分岐路の起点110の視認者との相対距離111の変化量111aと等しくなるように、虚像74の表示距離86を変更する。すなわち、前記第10の時刻においては、変更後の虚像74の表示距離86は、前記第10の時刻における分岐路の起点110の視認者との相対距離111と等しくなる。なお、虚像74の表示距離86の変化量86aが、分岐路の起点110の視認者との相対距離111の変化量111aよりも小さくなるように、虚像74の表示距離86を変更してもよい。
【0061】
そして、ステップS16において、表示データ生成部33は、表示距離決定部32が決定及び/あるいは変更した表示距離80で虚像70が視認されるように表示データを生成し(XY方向の移動や拡大縮小を含む)、続いてステップS17において、表示制御部30は、この表示データに基づき投射部40を駆動することで表示を更新する。この際、表示距離決定部32は、まず追加表示したあと所定時間(前記基準時間)経過までは、特定対象に関連付けられた既存の虚像70の表示距離80の表示距離80を変更しない。そして時間経過に伴い、既存の虚像70が追加表示されて所定時間経過すると、特定対象に関連付けられた既存の虚像70の表示距離80の変化量が特定対象の視認者との相対距離の変化量と等しくなるように虚像70の表示距離80を決定する。そのため、虚像70の追加表示から一定時間(
図7(a)の前記第8の時刻から
図7(b)の前記第9の時刻の間)は虚像70が奥行方向に固定され、その後(
図7(c)の前記第10の時刻以降)は虚像70が特定対象と同じ速さで視認者に接近する。これによっても、特定対象に関連付けられた虚像70の前方風景への没入感が増し、虚像70が呈示する情報を認識させやすい。また、追加表示された虚像70を強調することができる。
【0062】
(第5の実施形態)
次に、
図8を参照して第5の実施形態を説明する。
図8は、視認者が車両1の前方(Z軸正方向)を見た際に視認する前方風景(道路100)と虚像73,74,75を示す。第5の実施形態は、情報取得部20が、外部から視認者(車両1)の走路120に関する走路情報を取得し、表示距離決定部32が、虚像70の視認者の進行方向(Z軸正方向)に対して水平方向(X軸方向)の位置が走路120から遠いほど、虚像70の表示距離80の変化量と特定対象(分岐路の起点110)の視認者との相対距離の変化量との差が大きくなるように、虚像70の表示距離80を変更する点で第1〜第4の実施形態とは異なる。
【0063】
具体的に、特定対象に関連付けられた虚像70として、虚像74,75が表示される場合を考える。このとき、虚像74,75が視認者に同じ速度で接近すると、見かけの速さは、視認者の走路120から遠い位置にある虚像75の方が速くなる(速く感じる)。そのため、
図3のステップS14において、表示距離決定部32は、虚像70の視認者の進行方向(Z軸正方向)に対して水平方向(X軸方向)の位置が走路120から遠いほど、虚像70の表示距離80の変化量と特定対象の視認者との相対距離の変化量との差が大きくなるように、虚像70の表示距離80を変更する。
図7の例の場合、虚像75の表示距離87の変化量と特定対象(図示しない分岐路の起点)の視認者の相対距離の変化量との差が、虚像74の表示距離86の変化量と特定対象(分岐路の起点110)の視認者の相対距離111の変化量との差よりも大きくなるように、虚像74,75の表示距離86,87が変更される。これによれば、視認者の走路120からより遠い虚像70がより遅く接近することで、視認者が虚像70を見逃すことを抑制できる。
【0064】
(第6の実施形態)
次に、
図9を参照して第6の実施形態を説明する。
図9は、視認者が車両1の前方(Z軸正方向)を見た際に視認する前方風景(道路100)と虚像73,74,76を示す。第6の実施形態は、表示距離決定部32が、特定対象に関連付けられた虚像70が複数表示される場合は、虚像70の各々の表示距離80の変化量を互いに異ならせる点で第1〜第5の実施形態とは異なる。
【0065】
具体的に、特定対象に関連付けられた虚像70として、虚像74,76が同時に表示される場合を考える。このとき、虚像74,76が視認者に同じ速度で接近すると、視認者は虚像74,76を同時に視認してしまい、倍の情報量を処理しなくてはならず個々の虚像70の視認性が低下する。そのため、
図3のステップS14において、表示距離決定部32は、複数の虚像70の各々の表示距離80の変化量が異なるように、各々の表示距離80を変更する。
図8の例の場合、より手前側の虚像76の表示距離88の変化量が、奥行き側の虚像74の表示距離86の変化量よりも大きくなるように、虚像74,76の表示距離86,88が変更される。これによれば、複数同時に表示される虚像74,76の個々の視認性が低下することを抑制できる。
【0066】
(第7の実施形態)
次に、
図10を参照して第7の実施形態を説明する。
図10(a),(b)は、視認者が車両1の前方(Z軸正方向)を見た際に視認する前方風景(道路100)と虚像73,74を示す。第7の実施形態は、表示制御部30が、特定対象に関連付けられた虚像70が虚像70の表示可能範囲の境界90に達した場合に、虚像70の表示を終了する点で第1〜第6の実施形態とは異なる。
【0067】
具体的に、既存の虚像70のうち、特定対象に関連付けられた虚像74は、その表示距離86の変更とともに、視認者の進行方向に対して垂直方向(XY軸方向)の位置及び大きさが変更される(
図3のステップS16)。虚像74が実際に視認者(車両1)の走行に伴って接近しているように認識させ、前方風景への没入感をより増大させるためである。その場合、表示距離86の変更に伴って虚像74が視認者に接近すると、ある時点で虚像74は虚像70の表示可能範囲90の境界に至る(
図10(a)参照)。この場合、表示制御部30(表示データ生成部30)は、その後実行するステップS16で、虚像74が非表示となるように表示データを生成し、続いてステップS17において、表示制御部30は、この表示データに基づき投射部40を駆動することで表示を更新する。これにより虚像74の表示が終了する(
図10(b)参照)。虚像74が虚像70の表示可能範囲90の境界に達した場合に、虚像74の表示を終了することによって、一部が欠けた虚像74が視認されることを防ぐことができ、視認者の煩わしさを低減できる。
【0068】
[変形例]
なお、本発明は、以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、実施形態及び図面に変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形例の一例を記す。
【0069】
上述の実施形態では、視認者の前方風景(道路100など)が被投影部2を介した実風景の場合を例示したが、車両1に搭載されたカメラなどの情報に基づいて、前方風景を虚像で表示しても差し支えない。
【0070】
また、上述の実施形態では、特定対象に関連付けられた虚像として、分岐路の起点110に対応付けられ、案内標識を呈示する虚像74を例示したが、最高速度を示す道路標識、警戒標識、規制標識、指示標識、補助標識などを呈示する虚像であってもよく、特定対象を店舗などの建物として建物に関連する情報を呈示する虚像であってもよい。