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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-197057(P2018-197057A)
(43)【公開日】2018年12月13日
(54)【発明の名称】車両の動力伝達装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 17/344 20060101AFI20181116BHJP
   F16H 1/28 20060101ALI20181116BHJP
【FI】
   B60K17/344 B
   F16H1/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-102146(P2017-102146)
(22)【出願日】2017年5月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(74)【代理人】
【識別番号】100142158
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 啓
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一茂
【テーマコード(参考)】
3D043
3J027
【Fターム(参考)】
3D043AA06
3D043AB01
3D043AB17
3D043EA02
3D043EA16
3D043EA34
3J027FA36
3J027FB01
3J027GA01
3J027GB03
3J027GC15
3J027GC24
3J027GD04
3J027GD09
3J027GD13
(57)【要約】
【課題】互いに異なる歯数を有する複数種類の最終減速歯車を用いる場合に第一駆動輪と第二駆動輪との速度比を一定に設定しながらも、装置の外形寸法が大きくなることを防止でき、かつ構成部材のバリエーションを少なく抑えることができる車両の動力伝達装置を提供する。
【解決手段】車両に搭載した動力伝達装置(1)であって、動力源(E)の動力を第一駆動輪に伝達する最終減速歯車である第一歯車(4)に噛み合う第二歯車(7)とトランスファー機構(20)との間、またはトランスファー機構(20)と第二駆動輪(Wr,Wr)との間のいずれかには、入力した動力の回転数を増速又は減速して出力するための複数の歯車を備える増減速ユニット(100)が設置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載した動力源からの動力を第一駆動輪及び第二駆動輪に伝達する車両用動力伝達装置であって、
前記第一駆動輪の車軸上に設けられて前記動力源の動力を前記第一駆動輪に伝達する最終減速歯車である第一歯車と、
前記第一歯車に噛合する第二歯車と、
前記第二歯車からの動力を前記第二駆動輪に伝達する動力伝達経路に設けたトランスファー機構と、を備え、
前記動力伝達経路における前記第二歯車と前記トランスファー機構との間、または前記トランスファー機構と前記第二駆動輪との間のいずれかには、入力した動力の回転数を増速又は減速して出力するための複数の歯車を備える増減速ユニットが設置されている
ことを特徴とする車両の動力伝達装置。
【請求項2】
前記増減速ユニットは、
互いが同軸上に配置された動力が入力される入力軸及び動力が出力される出力軸と、
前記入力軸上に設けられた入力側歯車と、
前記出力軸上に設けられた出力側歯車と、
前記入力側歯車及び前記出力側歯車に噛合する中間歯車と、を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の車両の動力伝達装置。
【請求項3】
前記増減速ユニットは、前記動力伝達経路における前記第二歯車と前記トランスファー機構との間に設けた回転軸上に設置されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の動力伝達装置。
【請求項4】
前記増減速ユニットは、前記動力伝達経路における前記トランスファー機構の直後に設置されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の動力伝達装置。
【請求項5】
前記第二駆動輪の車軸上に設けられて前記動力源の動力を前記第二駆動輪に伝達する最終減速歯車である第三歯車を備え、
前記増減速ユニットは、前記動力伝達経路における前記第三歯車の直前に設置されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、四輪駆動車両などの車両に搭載した動力源からの動力を第一駆動輪及び第二駆動輪に伝達する動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
四輪駆動車両などの車両は、エンジンなど動力源の動力を主駆動輪(第一駆動輪)及び副駆動輪(第二駆動輪)に伝達する動力伝達装置を備えている。この動力伝達装置は、主駆動輪の車軸上に設けられた最終減速歯車(ファイナルドリブンギヤ)を備えており、この最終減速歯車は、動力源の動力を最終的に減速して主駆動輪に伝達する。
【0003】
上記の最終減速歯車は、その歯数に応じて主駆動輪に出力されるトルクの値が決まる。そして、共通の動力伝達装置を備える車両(車種)であっても、車両が出荷される仕向地や車両のタイプなどに応じて、主駆動輪に出力されるトルクの値を異ならせる場合がある。そのため、同一の動力伝達装置を搭載した車両において、車両ごとに上記の最終減速歯車としてその歯数を異ならせた歯車を使用する場合がある。
【0004】
このように、主駆動輪へ動力を伝達する最終減速歯車として互いに異なる歯数を有する歯車を使用した車両でも、主駆動輪と副駆動輪の速度比を一定にする必要がある。このための構成として、従来、主駆動輪の車軸上に設けた最終減速歯車とは別の増減速用歯車と、この増減速用歯車と噛み合う更に別の歯車とを備え、これら増減速用の歯車列を介して動力源の動力を副駆動輪へ伝達するように構成している。そして、当該増減速用歯車の歯数を適宜に設定することで、最終減速歯車の歯数に関わらず主駆動輪と副駆動輪の速度比を一定にすることが行われている。
【0005】
しかしながら、上記従来の構成では、最終減速歯車と増減速用歯車とを主駆動輪の車軸上で軸方向に並べて設けることで、その分、動力伝達装置の構成要素の軸方向(車軸の軸方向)の寸法が大きくなる。そのため、動力伝達装置の構成要素の配置のレイアウトの自由度が低下するおそれがあるなどの問題が生じる。
【0006】
この問題に対処するため、他の従来構造として、上記の主駆動輪の車軸上に設けた増減速用歯車に代えて、最終減速歯車に噛み合う他の増減速用歯車を設ける構成が採用されている。この構成によれば、互いに噛み合う最終減速歯車と増減速用歯車が車軸の軸方向の同位置に配置されるので、動力伝達装置の構成要素の軸方向の寸法が大きくなることを回避できる。
【0007】
しかしながら、このような最終減速歯車に噛み合う増減速用歯車は、その歯数をあまり大きく変更することができない。これにより、最終減速歯車に噛み合う増減速用歯車の歯数を調整するだけでは、主駆動輪と副駆動輪の速度比を一定にすることができない場合がある。そのため、増減速用歯車から副駆動輪へ動力を伝達する経路に設けたトランスファー機構を構成する歯車など、増減速用歯車以外の他の歯車の歯数も変更する必要が生じる場合がある。これにより、動力伝達装置の各構成部品のバリエーションが多くなるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−11894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、互いに異なる歯数を有する複数種類の最終減速歯車を用いる場合に第一駆動輪と第二駆動輪との速度比を一定に設定しながらも、装置の外形寸法が大きくなることを防止でき、かつ構成部材のバリエーションを少なく抑えることができる車両の動力伝達装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明は、車両に搭載した動力源(E)からの動力を第一駆動輪(Wf,Wf)及び第二駆動輪(Wr,Wr)に伝達する動力伝達装置(1)であって、第一駆動輪の車軸(6)上に設けられて動力源の動力を第一駆動輪に伝達する最終減速歯車である第一歯車(4)と、第一歯車(4)に噛合する第二歯車(7)と、第二歯車からの動力を第二駆動輪に伝達する動力伝達経路(2)に設けたトランスファー機構(20)と、を備え、動力伝達経路(2)における第二歯車(7)とトランスファー機構(20)との間、またはトランスファー機構(20)と第二駆動輪(Wr,Wr)との間のいずれかには、入力した動力の回転数を増速又は減速して出力するための複数の歯車を備える増減速ユニット(100)が設置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る車両の動力伝達装置では、最終減速歯車に噛み合う第二歯車とトランスファー機構との間、またはトランスファー機構と第二駆動輪との間のいずれかには、入力した動力の回転数を増速又は減速して出力するための複数の歯車を備える増減速ユニットが設置されていることで、車両の製造にあたり、異なる歯数を有する複数種類の最終減速歯車を車両の仕向地や車種に応じて使用する場合であっても、予め増減速比の異なる複数種類の増減速ユニットを準備し、それらのいずれかを選択して動力伝達装置に組み付けるだけで、トランスファー機構を構成する歯車など、増減速ユニット用歯車以外の他の歯車の歯数などを変更することなく、第一駆動輪と第二駆動輪の速度比を一定に設定することができる。したがって、動力伝達装置を構成する構成部品のバリエーションを少なく抑えることができる。
【0012】
また、本発明に係る車両の動力伝達装置では、第一駆動輪の車軸上に設けられて動力源の動力を第一駆動輪に伝達する最終減速歯車である第一歯車と、この第一歯車に噛合する第二歯車とを備えることで、第二駆動輪に動力を伝達するために第一駆動輪の車軸上に最終減速歯車とは別の増減速用歯車を設ける必要がない。したがって、第一駆動輪の車軸上に最終減速歯車とは別の増減速用歯車を設けた従来構成と比較して、動力伝達装置における車軸の軸方向の寸法(構成要素の外形寸法)を小さく抑えることが可能となる。
【0013】
また、この車両の動力伝達装置において、増減速ユニット(100)は、互いが同軸上に配置された動力が入力される入力軸(101)及び動力が出力される出力軸(102)と、入力軸上に設けられた入力側歯車(111)と、出力軸上に設けられた出力側歯車(112)と、入力側歯車及び出力側歯車に噛合する中間歯車(113)と、を備えることができる。このように、増減速ユニットは、互いが同軸上に配置された入力軸及び出力軸を備えることで、増減速ユニットを動力伝達経路における一本の回転軸の中途位置に介在させることが可能となる。したがって、増減速ユニットの動力伝達装置への設置容易性が高まり、増減速ユニットのレイアウトの自由度を高めることができる。したがって、車載都合上最適な個所に増減速ユニットを設置することが可能となる。
【0014】
さらに、この車両の動力伝達装置は、一実施態様として、増減速ユニット(100)は、動力伝達経路(2)における第二歯車(7)とトランスファー機構(20)との間に設けた回転軸(8)上に設置することができる。あるいは、他の実施態様として、増減速ユニット(100)は、動力伝達経路(2)におけるトランスファー機構(20)の直後に設置してもよい。あるいは、更に他の実施態様として、第二駆動輪(Wr,Wr)の車軸(15)上に設けられて動力源の動力を第二駆動輪に伝達する最終減速歯車である第三歯車(13)を備え、増減速ユニット(100)は、動力伝達経路(2)における第三歯車(13)の直前に設置されていてもよい。これらによれば、増減速ユニットを車載都合上最適な個所に設置することができるので、増減速ユニットを含む動力伝達装置のレイアウトの自由度を効果的に高めることができる。
【0015】
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態の対応する構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る車両の動力伝達装置によれば、動力源の動力を第一駆動輪に伝達する最終減速歯車である第一歯車として、互いに異なる歯数を有する複数種類の最終減速歯車を用いる場合において、第一駆動輪と第二駆動輪との速度比を一定に設定しながらも、動力伝達装置の寸法が大きくなることを防止でき、かつ構成部材のバリエーションを少なく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第一実施形態に係る動力伝達装置を備える四輪駆動車両の全体構成を示す概略図である。
図2】動力伝達装置に備えられる増減速ユニットを示すスケルトン図である。
図3】本発明の第二実施形態に係る動力伝達装置を備える四輪駆動車両の全体構成を示す概略図である。
図4】本発明の第三実施形態に係る動力伝達装置を備える四輪駆動車両の全体構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
〔第一実施形態〕
図1は、本発明の第一実施形態に係る動力伝達装置を備える車両の全体構成を示す概略図である。図1に示す車両は、動力源であるエンジンEの動力を主駆動輪(第一駆動輪)である左右の前輪Wf,Wf及び副駆動輪(第二駆動輪)である左右の後輪Wr,Wrに伝達する動力伝達装置1を備える四輪駆動車両である。
【0019】
動力伝達装置1は、エンジンEからの動力の回転を変速して出力するトランスミッション(変速機)TMと、トランスミッションTMから出た動力を前輪Wf,Wfと後輪Wr、Wrそれぞれに伝達するフロントドライブユニット(FDU)25及びリアドライブユニット(RDU)30と、フロントドライブユニット(FDU)25とリアドライブユニット(RDU)30との間の動力伝達経路2に設けたパワートランスファーユニット(PTU)40とを備える。
【0020】
フロントドライブユニット25は、トランスミッションTMの出力軸18上に設けたファイナルドライブギヤ3と、前輪Wf,Wfの車軸6上に設けられてファイナルドライブギヤ3と噛み合うファイナルドリブンギヤ(第一歯車:エンジンEの動力を前輪Wf,Wfに伝達する最終減速歯車)4と、ファイナルドリブンギヤ4の内径側に設けたフロントディファレンシャル機構5とを備える。フロントディファレンシャル機構5は、詳細な図示は省略するが、例えば、ファイナルドリブンギヤ4と一体に回転するケースと、ケース内に設けた左右の車軸6,6それぞれにつながる一対のサイドギヤとそれらに噛み合うピニオンギヤとを備える構成で、ファイナルドリブンギヤ4に入力したエンジンEからの動力を左右の車軸6,6に振り分けて伝達する。
【0021】
パワートランスファーユニット40は、車両の後側でファイナルドリブンギヤ4と噛み合うトランスファードライブギヤ(第二歯車)7と、このトランスファードライブギヤ7と同軸上に設けたトランスファー機構20と、これらトランスファードライブギヤ7とトランスファー機構20とを接続するトランスファーシャフト(回転軸)8を備える。また、トランスファーシャフト8上には、増減速ユニット100とクラッチ35が設けられている。増減速ユニット100は入力した動力の回転を増速又は減速して出力する機構である。この増減速ユニット100の詳細については後述する。クラッチ35は、摩擦係合要素などからなる断接機構であり、制御部70の制御によりトランスファーシャフト8を介して伝達される動力の断接を行う。
【0022】
トランスファー機構20は、トランスファーシャフト8の端部(図の右端部)に設けた駆動ベベルギヤ9と、駆動ベベルギヤ9と噛み合う従動ベベルギヤ10とを備えて構成されている。従動ベベルギヤ10は、車両の前後方向に延びるピニオンシャフト16の前側の端部に設けられている。
【0023】
また、ピニオンシャフト16の後端にはプロペラシャフト11が連結されており、プロペラシャフト11の後端には、他のピニオンシャフト17を介してリヤドライブユニット30が接続されている。
【0024】
リヤドライブユニット30は、ピニオンシャフト17の後端に設けた駆動ベベルギヤ12と、後輪Wr,Wrの車軸15上に設けられて駆動ベベルギヤ12と噛み合う従動ベベルギヤ(第三歯車:エンジンEの動力を後輪Wr,Wrに伝達する最終減速歯車)13と、従動ベベルギヤ13の内径側に設けたリヤディファレンシャル機構14とを備える。リヤディファレンシャル機構14は、詳細な図示は省略するが、例えば、フロントディファレンシャル機構5と同様、従動ベベルギヤ13と一体に回転するケースと、ケース内に設けた左右の車軸15,15それぞれにつながる一対のサイドギヤとそれらに噛み合うピニオンギヤとを備える構成で、従動ベベルギヤ13に入力したエンジンEからの動力を左右の車軸15,15に振り分けて伝達する。
【0025】
上記構成の動力伝達装置1では、エンジンEからの動力が、トランスミッションTM、ファイナルドライブギヤ3、ファイナルドリブンギヤ4、フロントディファレンシャル機構5、車軸6,6の順に伝達される。車軸6,6に伝達された動力は前輪Wf,Wfに伝達され、これにより前輪Wf,Wfが駆動する。
【0026】
一方、ファイナルドリブンギヤ4に伝達された動力は、クラッチ35が接続(締結)された状態で、トランスファードライブギヤ7、トランスファーシャフト8、増減速ユニット100、クラッチ35、トランスファー機構20、ピニオンシャフト16、プロペラシャフト11、ピニオンシャフト17、駆動ベベルギヤ12、従動ベベルギヤ13、リヤディファレンシャル機構14、車軸15,15の順に伝達される。車軸15,15に伝達された動力は後輪Wr,Wrに伝達され、これにより後輪Wr,Wrが駆動する。したがって、クラッチ35が接続された状態では、前輪Wf,Wfと後輪Wr,Wrの両方が駆動するので、車両は四輪駆動(4WD)となる。その一方で、クラッチ35が切断された状態では、クラッチ35よりも下流側に動力が伝達されないので、後輪Wr,Wrは駆動せず、車両は前輪駆動(2WD)となる。
【0027】
図2は、増減速ユニット100の詳細構成を示すスケルトン図である。同図に示す増減速ユニット100は、遊星歯車機構であり、互いが同軸上に配置された入力軸101及び出力軸102と、入力軸101上に固定された入力側サンギヤ(入力側歯車)111と、出力軸102上に固定された出力側サンギヤ(出力側歯車)112と、入力側サンギヤ111及び出力側サンギヤ112の外径側でキャリア115に支持されたピニオンギヤ(中間歯車)113と、これらのギヤを収容するケース117とを備える。
【0028】
ピニオンギヤ113は、入力側サンギヤ111に噛み合う第一ギヤ113aと、出力側サンギヤ112に噛み合う第二ギヤ113bと、これら第一ギヤ113aと第二ギヤ113bとを連結するピニオンシャフト113cとを一体に備えて構成されている。ピニオンギヤ113及びキャリア115は、図では二個ずつのみを示しているが、実際には、入力軸101及び出力軸102(入力側サンギヤ111及び出力側サンギヤ112)の外周の等間隔の位置に複数個(例えば三個)が配置されている。
【0029】
入力側サンギヤ111と出力側サンギヤ112は互いに異なる歯数のギヤであり、ピニオンギヤ113が備える第一ギヤ113aと第二ギヤ113bも互いに異なる歯数のギヤである。また、増減速ユニット100の入力軸101は、トランスファーシャフト8のトランスファードライブギヤ7側(上流側)に接続されており、出力軸102は、トランスファーシャフト8のトランスファー機構20側(下流側)に接続されている。
【0030】
上記構成の増減速ユニット100では、トランスファーシャフト8を介して伝達される動力が入力軸101に入力する。この入力軸101に入力した動力の回転は、入力側サンギヤ111、ピニオンギヤ113の第一ギヤ113a、ピニオンシャフト113c、第二ギヤ113b、出力側サンギヤ112の順に伝達されて出力軸102から出力される。この際、入力側サンギヤ111、ピニオンギヤ113、出力側サンギヤ112を経由することで、入力軸101に入力した動力の回転が所定の回転数に増速又は減速されて出力軸102から出力される。すなわち、増減速ユニット100では、入力側サンギヤ111、出力側サンギヤ112、ピニオンギヤ113の歯数の設定により所望の増速比又は減速比を得られるように構成している。
【0031】
本実施形態の動力伝達装置1によれば、ファイナルドリブンギヤ4に噛み合うトランスファードライブギヤ7とトランスファー機構20との間の動力伝達経路2に、入力した動力の回転数を増速又は減速して出力する増減速ユニット100が設置されていることで、車両の製造にあたり、互いが異なる歯数を有する複数種類のファイナルドリブンギヤ4を車両の仕向地や車種に応じて使用する場合であっても、予め増減速比の異なる複数種類の増減速ユニット100を準備しておき、それらから選択した一の増減速ユニット100を動力伝達装置1に組み付けるだけで、トランスファー機構20を構成する駆動ベベルギヤ9や従動ベベルギヤ10など増減速ユニット100の歯車以外の他の歯車の歯数を変更することなく、車両の前輪Wf,Wfと後輪Wr,Wrの速度比を一定にすることができるようになる。したがって、動力伝達装置1が備えるトランスファー機構20などの構成部品のバリエーションを少なく抑えることができる。
【0032】
すなわち、上述したように、本実施形態の車両が備えるファイナルドリブンギヤ4の歯数は、車両の仕向地や車種によって異ならせる場合がある。この場合において、異なる増速比又は減速比で増速又は減速する複数種類の増減速ユニット100を予め準備しておき、使用するファイナルドリブンギヤ4の歯数に合わせて、前輪Wfと後輪Wrとの速度比が一定になるように適切な増減速ユニット100を選択して使用する。これにより、トランスファー機構20を構成する歯車などは一種類のみで足りるようになるので、動力伝達装置1の構成部品の種類を少なく抑えてその構成の簡素化を図ることができる。
【0033】
また、本実施形態の動力伝達装置1では、主駆動輪である前輪Wf,Wfの車軸6上に設けたファイナルドリブンギヤ4と、このファイナルドリブンギヤ4に噛み合うトランスファードライブギヤ7とを備えることで、後輪Wr,Wrに動力を伝達するために前輪Wf,Wfの車軸6上にファイナルドリブンギヤ4とは別の増減速用の歯車を設ける必要がない。したがって、主駆動輪である前輪の車軸上にファイナルドリブンギヤとは別の増減速用歯車を設けた従来構成と比較して、車軸6の軸方向における動力伝達装置1の構成要素の寸法(外形寸法)を小さく抑えることが可能となる。
【0034】
また、本実施形態の動力伝達装置1において、増減速ユニット100は、互いが同軸上に配置された入力軸101及び出力軸102を備えることで、増減速ユニット100を動力伝達経路2における一本の回転軸であるトランスファーシャフト8の中途位置に介在させることが可能となる。したがって、増減速ユニット100のレイアウトの自由度を高めることができ、増減速ユニット100の動力伝達装置1への設置容易性が高まる。したがって、増減速ユニット100を車載都合上最適な個所に設置することが可能となる。
【0035】
〔第二実施形態〕
次に、本発明の第二実施形態について説明する。なお、第二実施形態の説明及び対応する図面においては、第一実施形態と同一又は相当する構成部分には同一符号を付し、以下ではその部分の詳細な説明を省略する。また、以下で説明する事項以外の事項については、第一実施形態と同様である。この点は、下記の第三実施形態においても同様である。
【0036】
図3は、本発明の第二実施形態に係る動力伝達装置を備える車両の全体構成を示す概略図である。第一実施形態の動力伝達装置1では、増減速ユニット100を動力伝達経路2におけるトランスファードライブギヤ7とトランスファー機構20との間(トランスファーシャフト8上)に設けていたのに対して、本実施形態の動力伝達装置1−2では、増減速ユニット100をトランスファー機構20とプロペラシャフト11との間のピニオンシャフト16上に設けている。すなわち、本実施形態の増減速ユニット100は、動力伝達経路2におけるトランスファー機構20の直後(プロペラシャフト11の前端側(パワートランスファーユニット40側))に配置されている。
【0037】
本実施形態の動力伝達装置1−2では、増減速ユニット100を上記のように動力伝達経路2におけるトランスファー機構20の直後に設置したことで、トランスファードライブギヤ7とトランスファー機構20との間(トランスファーシャフト8上)に増減速ユニット100を設置するスペースを確保できない場合でも増減速ユニット100の設置が可能となる。したがって、増減速ユニット100を備える動力伝達装置1−2の配置構成の自由度を高めることができる。
【0038】
〔第三実施形態〕
次に、本発明の第三実施形態について説明する。図4は、本発明の第三実施形態に係る動力伝達装置を備える車両の全体構成を示す概略図である。第一実施形態の動力伝達装置1では、増減速ユニット100を動力伝達経路2におけるトランスファードライブギヤ7とトランスファー機構20との間(トランスファーシャフト8上)に設けていたのに対して、本実施形態の動力伝達装置1−3では、増減速ユニット100をプロペラシャフト11とリヤドライブユニット30との間のピニオンシャフト17上に設けている。すなわち、本実施形態の増減速ユニット100は、動力伝達経路2におけるリヤドライブユニット30の直前(プロペラシャフト11の後端側(リヤドライブユニット30側))に配置されている。
【0039】
本実施形態の動力伝達装置1−3では、増減速ユニット100を上記のように動力伝達経路2におけるリヤドライブユニット30の直前に配置したことで、トランスファードライブギヤ7とトランスファー機構20との間(トランスファーシャフト8上)に増減速ユニット100を配置するスペースを確保できない場合でも、増減速ユニット100の設置が可能となる。したがって、増減速ユニット100を備える動力伝達装置1−3の配置構成の自由度を高めることができる。
【0040】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【0041】
例えば、本発明にかかる動力伝達装置が備える増減速ユニットは、第一駆動輪(主駆動輪)の車軸上の最終減速歯車から、第二駆動輪(副駆動輪)の車軸上の最終減速歯車へ動力が伝達される動力伝達経路上に配置されていれば、上記実施形態に示すトランスファーシャフト8の途中位置、ピニオンシャフト16の途中位置、ピニオンシャフト17の途中位置以外の箇所に設置することも可能である。
【0042】
また、本発明にかかる動力伝達装置が備える増減速ユニットは、入力した動力の回転数を増速又は減速して出力するための複数の歯車として、互いに噛合すると共に歯数が異なる少なくとも一組の歯車を備えるものであれば、上記構成の遊星歯車機構を備えた増減速ユニット100の構成には限られず、他の構成であってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1,1−2,1−3 動力伝達装置
2 動力伝達経路
3 ファイナルドライブギヤ
4 ファイナルドリブンギヤ(第一歯車)
5 フロントディファレンシャル機構
6 車軸
7 トランスファードライブギヤ(第二歯車)
8 トランスファーシャフト(回転軸)
9 駆動ベベルギヤ
10 従動ベベルギヤ
11 プロペラシャフト
12 駆動ベベルギヤ
13 従動ベベルギヤ(第三歯車)
14 リヤディファレンシャル機構
15 車軸
16 ピニオンシャフト
17 ピニオンシャフト
20 トランスファー機構
25 フロントドライブユニット(FDU)
30 リヤドライブユニット(RDU)
35 クラッチ
40 パワートランスファーユニット(PTU)
70 制御部
100 増減速ユニット
101 入力軸
102 出力軸
111 入力側サンギヤ(入力側歯車)
112 出力側サンギヤ(出力側歯車)
113 ピニオンギヤ(中間歯車)
113a 第一ギヤ
113b 第二ギヤ
113c ピニオンシャフト
115 キャリア
117 ケース
E エンジン(動力源)
TM トランスミッション(変速機)
Wf,Wf 前輪(主駆動輪)
Wr,Wr 後輪(副駆動輪)
図1
図2
図3
図4