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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-197502(P2018-197502A)
(43)【公開日】2018年12月13日
(54)【発明の名称】フランジ接合構造
(51)【国際特許分類】
   F02F 11/00 20060101AFI20181116BHJP
   F02F 1/36 20060101ALI20181116BHJP
【FI】
   F02F11/00 J
   F02F11/00 P
   F02F1/36 C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-101466(P2017-101466)
(22)【出願日】2017年5月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】秀島 穰
(72)【発明者】
【氏名】山本 憲隆
【テーマコード(参考)】
3G024
【Fターム(参考)】
3G024AA01
3G024AA11
3G024CA05
3G024DA18
3G024DA25
(57)【要約】
【課題】高温の排気が流れ続けてもシール性を保持できるフランジ接合構造を提供すること。
【解決手段】内燃機関1のシリンダヘッド2Hとタービンハウジング4とのフランジ21,22間を、ガスケット23を介して接合し、シリンダヘッド2Hのフランジ21は、当該フランジ21の端面に、第一集合排気管11及び第二集合排気管12の端部を有し、タービンハウジング4のフランジ22は、当該フランジ22の端面に、シリンダヘッド2Hの第一集合排気管11及び第二集合排気管12の端部に対応する第一合流前排気管13及び第二合流前排気管14の端部を有し、ガスケット23は、シリンダヘッド2Hの側の面37に、シリンダヘッド2Hのフランジ21が有する第一集合排気管11及び第二集合排気管12の端部を囲む、曲率半径よりも直線部分が短い角丸長方形状のビード39を有していることを特徴とするフランジ接合構造20を提供する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のシリンダヘッドに形成されたフランジと排気部材に形成されたフランジとを、ガスケットを介して接合するフランジ接合構造であって、
前記シリンダヘッドのフランジの端面には、前記内燃機関の燃焼室に連通する複数の排気通路の開口が複数形成され、
前記排気部材のフランジの端面には、前記シリンダヘッドのフランジの端面に形成された前記複数の開口と対応する開口が複数形成され、
前記ガスケットには、前記シリンダヘッド及び前記排気部材のいずれか一方の部品側へ凸状でありかつ平面視では前記一方の部品のフランジに形成された複数の開口のうち、隣接する二つ以上の開口を囲む真円状又は曲率半径よりも直線部分が短い角丸長方形状のビードが形成されていることを特徴とするフランジ接合構造。
【請求項2】
前記シリンダヘッド及び前記排気部材のうち何れか一方の部品のフランジは、前記隣接する2つの開口及びこれら2つの開口に連通する2つの通路を区画する隔壁部を備え、
前記隔壁部のうち最も厚みが薄い部分には脆弱部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のフランジ接合構造。
【請求項3】
前記シリンダヘッドのフランジには、冷却水が流れる冷却水通路が形成され、
前記排気部材のフランジには、冷却水が流れる通路が形成されておらず、
前記脆弱部は、前記排気部材の前記隔壁部に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のフランジ接合構造。
【請求項4】
前記隔壁部は、前記2つの通路を流れる排気の流れ方向に沿って延びる板状であり、
前記脆弱部は、前記排気の流れ方向に沿って延びる溝でありかつ前記隔壁部の両面に形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のフランジ接合構造。
【請求項5】
前記脆弱部は、前記排気の流れ方向に対し略垂直な断面視で略V字状の溝であることを特徴とする請求項4に記載のフランジ接合構造。
【請求項6】
前記排気部材は、前記内燃機関の排気のエネルギを用いて吸気を圧縮する過給機のタービンハウジングであることを特徴とする請求項1から5何れかに記載のフランジ接合構造。
【請求項7】
前記内燃機関は複数の気筒を備え、
前記シリンダヘッドには、前記複数の気筒の各々の燃焼室から延びる複数の分岐管路と、前記複数の分岐管路を流れる排気を集合させて前記複数の開口に導く複数の集合管路と、が形成されていることを特徴とする請求項6に記載のフランジ接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フランジ接合構造に関する。より詳しくは、内燃機関のシリンダヘッドに形成されたフランジと排気部材に形成されたフランジとを板状のガスケットを介して接続するフランジ接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関のシリンダヘッドに形成されるフランジと、排気管やタービンハウジング等の排気部材に形成されるフランジとは、これらシリンダヘッドと排気部材との間で排気の漏れを防ぐため、ガスケットが設けられる。例えば特許文献1には、シリンダヘッドのフランジと排気タービンとのフランジとを平板状のガスケットを介して接合する技術が示されている。特許文献1の技術では、シリンダヘッドのフランジ及び排気タービンのフランジには、それぞれ2つの排気通路に連通する略矩形状の開口が2つずつ形成されている。また特許文献1の技術では、これら2つの開口を囲む略矩形状の貫通孔が形成されたガスケットを介して両フランジを接合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−169456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでシリンダヘッドのフランジやタービンハウジングのフランジの内部には、高温の排気が流れ続けるため、両フランジの端面は排気の熱によって僅かながらも変形する。このため、特許文献1に示すような平板状のガスケットを用いたフランジ接合構造では、排気の熱によってシール性を十分に保持できないおそれがある。
【0005】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、高温の排気が流れ続けてもシール性を保持できるフランジ接合構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)フランジの接合構造は、内燃機関(例えば、後述の内燃機関2)のシリンダヘッド(例えば、後述のシリンダヘッド2H)に形成されたフランジ(例えば、後述のフランジ21)と排気部材(例えば、後述のタービンハウジング4)に形成されたフランジ(例えば、後述のフランジ22)とを、ガスケット(例えば、後述のガスケット23)を介して接合するものであって、前記シリンダヘッドのフランジの端面(例えば、後述の21a)には、前記内燃機関の燃焼室に連通する複数の排気通路(例えば、後述の集合排気管路11,12)の開口(例えば、後述の上流開口11a,12a)が複数形成され、前記排気部材のフランジの端面(例えば、後述の端面22a)には、前記シリンダヘッドのフランジの端面に形成された前記複数の開口と対応する開口(例えば、後述の下流開口13a,14a)が複数形成され、前記ガスケットには、前記シリンダヘッド及び前記排気部材のいずれか一方の部品側へ凸状でありかつ平面視では前記一方の部品のフランジに形成された複数の開口のうち、隣接する二つ以上の開口を囲む真円状又は曲率半径よりも直線部分が短い角丸長方形状のビード(例えば、後述のビード39)が形成されていることを特徴とする。
【0007】
(2)この場合、前記シリンダヘッド及び前記排気部材のうち何れか一方の部品のフランジは、前記隣接する2つの開口及びこれら2つの開口に連通する2つの通路を区画する隔壁部(例えば、後述の隔壁部30)を備え、前記隔壁部のうち最も厚みが薄い部分には脆弱部(例えば、後述の脆弱部31)が設けられていることが好ましい。
【0008】
(3)この場合、前記シリンダヘッドのフランジには、冷却水が流れる冷却水通路(例えば、後述の冷却水通路27〜29)が形成され、前記排気部材のフランジには、冷却水が流れる通路が形成されておらず、前記脆弱部は、前記排気部材の前記隔壁部に形成されていることが好ましい。
【0009】
(4)この場合、前記隔壁部は、前記2つの通路を流れる排気の流れ方向に沿って延びる板状であり、前記脆弱部は、前記排気の流れ方向に沿って延びる溝でありかつ前記隔壁部の両面に形成されていることが好ましい。
【0010】
(5)この場合、前記脆弱部は、前記排気の流れ方向に対し略垂直な断面視で略V字状の溝であることが好ましい。
【0011】
(6)この場合、前記排気部材は、前記内燃機関の排気のエネルギを用いて吸気を圧縮する過給機のタービンハウジング(例えば、後述のタービンハウジング4)であることが好ましい。
【0012】
(7)この場合、前記内燃機関は複数の気筒(例えば、後述の気筒CY1〜CY4)を備え、前記シリンダヘッドには、前記複数の気筒の各々の燃焼室から延びる複数の分岐管路(例えば、後述の分岐管路7,8,9,10)と、前記複数の分岐管路を流れる排気を集合させて前記複数の開口に導く複数の集合管路(例えば、後述の集合排気管路11,12)と、が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
(1)本発明のフランジ接合構造では、ガスケットには、シリンダヘッド及び排気部材の何れか一方の部品の側へ凸状でありかつ平面視では、この一方の部品のフランジの端面に形成された複数の開口のうち、隣接する二つ以上の開口を囲む真円状、又は曲率半径よりも直線部分が短い角丸長方形状のビードを形成する。ここで、シリンダヘッドのフランジ及び排気部材のフランジの内部に形成された複数の排気通路に高温の排気を流し続けると、これらフランジの端面は排気の熱によって開口が開くように変形(以下、このような変形を「口開き変形」という)する。またこのような口開き変形による変位量は、隣接する2つの開口の間を中心として、この中心が最も大きく、この中心から同心円状に小さくなる特性がある。本発明のフランジ接合構造では、このようなフランジ端面の口開き変形の特性に合わせて、板状のガスケットのうち、シリンダヘッド及び排気部材の何れか一方の部品側の面に、隣接する2つ以上の開口を囲む真円状又は略真円状(より具体的には、曲率半径よりも直線部分が短い角丸長方形状)のビードを形成する。このようなガスケットを介して両フランジを接合すると、ガスケットに形成されたビードは、両フランジのうち口開き変形による変位量がほぼ等しい部分と接触する。このため、排気の熱によって口開き変形が生じても、ガスケットには概ね均一に面圧がかかるので、これにより両フランジ間のシール性を保持することができる。
【0014】
(2)本発明のフランジ接合構造では、シリンダヘッド及び排気部材との少なくとも一方の部品のフランジには、隣接する2つの開口及びこれら2つの開口にそれぞれ連通する2つの通路を区画する隔壁部を設ける。このような隔壁部は、これによって区画される2つの通路に高温の排気が流れ続けると、熱膨張に起因してクラックが生じる場合がある。本発明のフランジ接合構造では、このような隔壁部のうち最も薄い部分に脆弱部を設けることにより、上述のようにクラックが発生する程度に熱膨張が生じた場合には、最も脆弱な脆弱部にクラックを生じさせることができる。すなわち本発明のフランジ接合構造では、脆弱部以外の意図しない部分にクラックが生じるのを防止できるため、ガスケットの挙動を安定化させることができ、これにより、ガスケットのシール性を保持することができる。
【0015】
(3)本発明のフランジ接合構造では、シリンダヘッドのフランジには冷却水が流れる冷却水通路を形成し、排気部材のフランジには、このような冷却水の通路を形成しないようにする。このため、排気部材のフランジは、シリンダヘッドのフランジよりも高温になりがちになるため、熱膨張により隔壁部にクラックが生じる可能性が高い。また本発明のフランジ接合構造では、このようなクラックが生じる可能性が高い排気部材のフランジの隔壁部の方に上述のような脆弱部を形成する。これにより、排気部材の隔壁部の脆弱部以外の意図しない部分にクラックが生じるのを防止できるため、ガスケットの挙動を安定化させることができ、これにより、ガスケットのシール性を保持することができる。
【0016】
(4)本発明のフランジ接合構造では、隔壁部は、2つの通路を流れる排気の流れ方向に沿って延びる板状であり、脆弱部は、この排気の流れ方向に沿って延びる溝でありかつこの隔壁部の両面(すなわち、2つの通路それぞれに接する面)に形成する。これにより、隔壁部には排気の流れ方向に沿ったクラックを生じさせることができるため、ガスケットの挙動をより安定化させ、ひいてはガスケットのシール性をさらに保持することができる。
【0017】
(5)本発明のフランジ接合構造では、隔壁部に排気の流れ方向に対して略垂直な断面視で略V字状の溝を脆弱部として形成する。これにより、さらにこの脆弱部にクラックを生じさせやすくすることができるので、ガスケットの挙動より安定化させ、ひいてはガスケットのシール性をさらに保持することができる。
【0018】
(6)本発明のフランジ接合構造では、排気部材は、過給機のタービンハウジングとし、このタービンハウジングに形成されたフランジとシリンダヘッドに形成されたフランジとをガスケットを介して接合する。過給機は、排気のエネルギを用いて吸気を圧縮するため、タービン効率を向上するには排気の熱は高い方が好ましい。本発明のフランジ接合構造では、このような高温の排気が流れるタービンハウジングのフランジとシリンダヘッドのフランジとの接合に適用することにより、シール性を保持できるという上述の効果をさらに顕著なものにすることができる。
【0019】
(7)本発明のフランジ接合構造では、シリンダヘッドには、複数の気筒の各々の燃焼室から延びる複数の分岐管路と、これら複数の分岐管路を流れる排気を集合させてフランジの複数の開口に導く複数の集合管路とを形成する。すなわち、本発明のフランジ接合構造では、シリンダヘッドに、排気マニホルドを形成することにより、部品点数を少なくできるとともに、装置全体をコンパクトにすることができる。またこのように装置全体をコンパクトにすると、シリンダヘッドのフランジを流れる排気の温度が高温になりがちになるところ、本発明のフランジ接合構造では、このような高温の排気が流れるシリンダヘッドのフランジと排気部材のフランジとの接合に適用することにより、シール性を保持できるという上述の効果をさらに顕著なものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の内燃機関及びこの内燃機関に接続されたタービンハウジングの断面図である。
図2】シリンダヘッド及びタービンハウジングによって形成される排気通路の側面図である。
図3】シリンダヘッド及びタービンハウジングによって形成される排気通路の正面図である。
図4】ガスケットの斜視図である。
図5図1の線A−Aに沿った断面図である。
図6】隔壁部の排気の流れ方向に対し略垂直な面に沿った断面図である。
図7図4の線B−Bに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るフランジ接合構造を適用して接合された内燃機関2とタービンハウジング4の断面図である。内燃機関2は、後に図2等を参照して説明するように、多気筒、より具体的には4つの気筒を直列に配置して構成される直列4気筒型である。図1は、内燃機関2及びタービンハウジング4のうち、2番目の気筒CY2を含む断面図である。
【0022】
内燃機関2は、2番目の気筒CY2を含む複数の気筒が形成されたシリンダブロック2Bと、各気筒内の燃焼室から排出される排気が流れる複数の排気通路や排気バルブ2V等が設けられたシリンダヘッド2Hと、を組み合わせて構成される。タービンハウジング4は、内燃機関2の排気のエネルギを用いて内燃機関2の吸気を圧縮する過給機の一部品である。このタービンハウジング4には、内燃機関2の燃焼室から排出される排気を図示しないタービンインペラ室に導入する排気通路が形成されている。したがって、内燃機関2のシリンダヘッド2Hに形成されたフランジ21とタービンハウジング4に形成されたフランジ22とを後述の板状のガスケット23を介して接合すると、内燃機関2の各気筒内の燃焼室からタービンインペラ室へ排気を導く1つの排気通路が形成されるようになっている。
【0023】
図2は、シリンダヘッド2H及びタービンハウジング4によって形成される管状の排気通路の側面図である。図3は、この排気通路の平面図である。なお、図2及び図3では、説明の便宜上、シリンダヘッド2H及びタービンハウジング4の図示を省略するとともに、これらシリンダヘッド2H及びタービンハウジング4によって形成される排気通路とシリンダブロック2Bとを実線で示す。また図2及び図3に示す排気通路のうち破線1aより左側の部分はシリンダヘッド2Hによって形成される通路であり、破線1aより右側の部分はタービンハウジング4によって形成される通路である。以下では、排気通路のうちシリンダヘッド2Hによって形成される通路を総称して排気マニホルド5ともいう。また排気通路のうちタービンハウジング4によって形成される通路を総称してハウジング通路41ともいう。
【0024】
図3に示すように、シリンダブロック2Bには、直列に配置された4つの気筒CY1,CY2,CY3,CY4が形成されている。排気マニホルド5には、1番目の気筒CY1に接続される排気ポートPO11,PO12と、2番目の気筒CY2に接続される排気ポートPO21,PO22と、3番目の気筒CY3に接続される排気ポートPO31,PO32と、4番目の気筒CY4に接続される排気ポートPO41,PO42と、が形成されている。
【0025】
排気マニホルド5は、上流側において排気ポートPO11,PO12に接続される第1分岐管路7と、上流側において排気ポートPO21,PO22に接続される第2分岐管路8と、上流側において排気ポートPO31,PO32に接続される第3分岐管路9と、上流側において排気ポートPO41,PO42に接続される第4分岐管路10と、上流側において第1分岐管路7及び第4分岐管路10に接続されこれら分岐管路7,10を流れる排気を集合させる第1上流集合排気管路11と、上流側において第2分岐管路8及び第3分岐管路9に接続されこれら分岐管路8,9を流れる排気を集合させる第2上流集合排気管路12と、を備える。
【0026】
第1分岐管路7は、上流側において2つの排気ポートPO11,PO12を介して1番目の気筒CY1に接続され、各排気ポートPO11,PO12からの排気を合流させるY字状の合流通路を備える。この第1分岐管路7は、下流側において、第4分岐管路10と共に第1上流集合排気管路11に接続され、排気ポートPO11,PO12からの排気を第1上流集合排気管路11に導く。
【0027】
第2分岐管路8は、上流側において2つの排気ポートPO21,PO22を介して2番目の気筒CY2に接続され、各排気ポートPO21,PO22からの排気を合流させるY字状の合流通路を備える。この第2分岐管路8は、下流側において、第3分岐管路9と共に第2上流集合排気管路12に接続され、排気ポートPO21,PO22からの排気を第2上流集合排気管路12に導く。
【0028】
第3分岐管路9は、上流側において2つの排気ポートPO31,PO32を介して3番目の気筒CY3に接続され、各排気ポートPO31,PO32からの排気を合流させるY字状の合流通路を備える。この第3分岐管路9は、下流側において、第2分岐管路8と共に第2上流集合排気管路12に接続され、排気ポートPO31,PO32からの排気を第2上流集合排気管路12に導く。
【0029】
第4分岐管路10は、上流側において2つの排気ポートPO41,PO42を介して4番目の気筒CY4に接続され、各排気ポートPO41,PO42からの排気を合流させるY字状の合流通路を備える。この第4分岐管路10は、下流側において、第1分岐管路7と共に第1上流集合排気管路11に接続され、排気ポートPO41,PO42からの排気を第1上流集合排気管路11に導く。
【0030】
第1上流集合排気管路11は、上流側において分岐管路7,10に接続され、第1分岐管路7を流れる排気と、第4分岐管路10を流れる排気と、を合流させた上で下流のタービンハウジング4に導く。この第1上流集合排気管路11は、下流側において、後述のタービンハウジング4の第1通路13に接続されている。第1上流集合排気管路11は、1番目の気筒CY1及び4番目の気筒CY4によって構成される第1気筒群の燃焼室からの排気をタービンハウジング4の第1通路13に導く。
【0031】
第2上流集合排気管路12は、上流側において分岐管路8,9に接続され、第2分岐管路8を流れる排気と、第3分岐管路9を流れる排気と、を合流させた上で下流のタービンハウジング4に導く。この第2上流集合排気管路12は、下流側において、後述のタービンハウジング4の第2通路14に接続されている。第2上流集合排気管路12は、2番目の気筒CY2及び3番目の気筒CY3によって構成される第2気筒群の燃焼室からの排気をタービンハウジング4の第2通路14に導く。
【0032】
図2及び図3に示すように、ハウジング通路41は、上流側から下流側へ向かって順に、排気マニホルド5の第1上流集合排気管路11に接続されている第1通路13と、排気マニホルド5の第2上流集合排気管路12に接続されている第2通路14と、これら第1通路13及び第2通路14に接続されているY字状の合流通路18と、この合流通路18から流れる排気を加速させる環状のスクロール通路42と、このスクロール通路42によって加速された排気が流入するとともに図示しないタービンインペラが納められるインペラ室43と、を備える。
【0033】
第1通路13は、排気マニホルド5の第1上流集合排気管路11に接続される。第1通路13には、第1気筒群の燃焼室からの排気が流れる。第2通路14は、排気マニホルド5の第2上流集合排気管路12に接続される。第2通路14には、第2気筒群の燃焼室からの排気が流れる。合流通路18は、第1通路13及び第2通路14に接続され、第1通路13を流れる排気と第2通路14を流れる排気を合流させる。
【0034】
次に、シリンダヘッド2Hとタービンハウジング4との接合構造について説明する。
【0035】
図1に示すように、シリンダヘッド2Hに形成されたフランジ21には、互いに略平行に延びる上述の第1上流集合排気管路11及び第2上流集合排気管路12が貫通孔として形成されている。またこのフランジ21の端面21aには、第1上流集合排気管路11に連通する第1上流開口11aと、第2上流集合排気管路12に連通する第2上流開口12aとが形成されている。
【0036】
またシリンダヘッド2Hのフランジ21は、第1上流集合排気管路11及び第1上流開口11aと第2上流集合排気管路12及び第2上流開口12aとを区画するとともに、排気の流れ方向に沿って延びる板状の隔壁部24を備える。またこのフランジ21のうち高温の排気が流れる管路11,12の周囲には、冷却水が流れる冷却水通路27,28,29が形成されている。
【0037】
タービンハウジング4に形成されたフランジ22には、互いに略平行に延びる上述の第1通路13及び第2通路14が貫通孔として形成されている。またこのフランジ22の端面22aには、第1通路13に連通しかつ上述の第1上流開口11aよりもやや大きな第1下流開口13aと、第2通路14に連通しかつ上述の第2上流開口12aよりもやや大きな第2下流開口14aとが形成されている。図1に示すように、シリンダヘッド2Hのフランジ21とタービンハウジング4のフランジ22とを接合すると、第1上流開口11aと第1下流開口13aとは対向し、第2上流開口12aと第2下流開口14aとは対向する。これにより、第1上流集合排気管路11と第1通路13とが接続され、第1上流集合排気管路12と第2通路14とが接続される。
【0038】
またタービンハウジング4のフランジ22は、第1通路13及び第1下流開口13aと第2通路14及び第2下流開口14aとを区画するとともに、排気の流れ方向に沿って延びる板状の隔壁部30を備える。なおこのフランジ22には、シリンダヘッド2Hのフランジ21と異なり、冷却水が流れる通路は形成されていない。
【0039】
図4は、ガスケット23の斜視図である。より具体的には、図4には、タービンハウジング4のフランジ22に組み付けられた状態におけるガスケット23の斜視図である。
図5は、図1の線A−Aに沿った断面図である。より具体的には、図5は、隔壁部30を合流通路18側から視た図である。
【0040】
これら図4及び図5に示すように、タービンハウジング4において第1通路13と第2通路14とを区画する隔壁部30のうち、その厚みが最も薄くなる中央部分にはこれら通路13,14を流れる排気の流れ方向に沿って延びる溝である脆弱部31が形成されている。この脆弱部31は、隔壁部30のうち、ガスケット23側の端部を除き、第1通路13側の面と合流通路18側の面と第2通路14側の面とにわたって形成されている。
【0041】
図6は、隔壁部30の排気の流れ方向に対し略垂直な面に沿った断面図である。隔壁部30に形成された脆弱部31は、断面視では略V字状の溝である。この脆弱部31は、例えば幅Wは2mm程度であり、深さDは0.5mm程度である。またこの脆弱部31の底部は、曲率半径Rが1mm程度の円弧によって面取りされている。
【0042】
図4に示すように、ガスケット23は板状であり、その四隅には1つずつ計4つの締結孔32,33,34,35が形成されている。シリンダヘッド2Hとタービンハウジング4とは、各々のフランジ21,22の間にガスケット23を設けた状態で、ガスケット23に形成された締結孔32〜35にそれぞれ図示しないボルトを挿入に、このボルトを締め付けることによって接合される。
【0043】
またガスケット23の中央には、ガスケット23をタービンハウジング4のフランジ22の端面22aに設けると、このフランジ22の端面22aに形成された第1下流開口13a及び第2下流開口14aを囲む略真円状の貫通孔としての開口36が形成されている。ここで略真円状とは、より具体的には、曲率半径よりも直線部分が短い角丸長方形状をいう。なお、角丸長方形状とは、より具体的には、半円弧と半円弧との間を平行な直線で繋いだ長丸形状をいう。なお本実施形態では、開口36の形状を平面視では略真円状とした場合について説明するが、本発明はこれに限らず真円状としてもよい。
【0044】
またガスケット23のうち上記開口36の外側には、平面視では第1下流開口13a及び第2下流開口14aを囲む略真円状のビード39が形成されている。なお本実施形態では、ビード39の形状を平面視では略真円状とした場合について説明するが、本発明はこれに限らず真円状としてもよい。またこのビード39は、図4に示すように、シリンダヘッド2H側へ凸状である。なお本実施形態では、ビード39は、シリンダヘッド2H側へ凸状とした場合について説明するが、本発明はこれに限らずタービンハウジング4側へ凸状としてもよい。
【0045】
図1に示すように、シリンダヘッド2Hのフランジ21の端面21aに形成される第1上流開口11a及び第2上流開口12aは、それぞれタービンハウジング4のフランジ22の端面22aに形成される第1下流開口13a及び第2下流開口14aと対向する。したがって、シリンダヘッド2Hのフランジ21の端面21aとタービンハウジング4のフランジ22の端面22aとをガスケット23を介して接合すると、このガスケット23に形成されたビード39は、平面視では第1上流開口11a及び第2上流開口12aを囲う。
【0046】
図7は、図4の線B−Bに沿った断面図である。より具体的には、図7は、ガスケット23のうち特に開口36及びビード39における厚み方向に沿った断面図である。なお図7において上方はシリンダヘッド2H側であり、下方はタービンハウジング4側である。
【0047】
図7に示すようにガスケット23は、複数枚のプレート、より具体的には第1プレート231と第2プレート232と第3プレート233とを層状に重ね合わせて構成される。これら3枚のプレート231〜233のうち、第1プレート231はシリンダヘッド2Hに接し、第3プレート233はタービンハウジング4に接する。
【0048】
3枚のプレート231〜233は、それぞれ平面視では略同じ形状となっているが、その断面形状は各々異なっている。第1プレート231には、平面視で開口36となる部分において第1平面部231aが形成され、平面視でビード39となる部分において第1平面部231aよりもシリンダヘッド2H側へ凸状に隆起した第1凸部231bが形成されている。第3プレート233には、平面視で開口36となる部分において第3平面部233aが形成され、平面視でビード39となる部分において第3平面部233aよりもシリンダヘッド2H側へ凸状に隆起した第3凸部233bが形成されている。また第2プレート232には、平面視で開口36となる部分において第2平面部232aが形成され、平面視でビード39となる部分において第2平面部232aよりもタービンはジング4側へ凸状に隆起した第2凹部232bが形成されている。
【0049】
第1プレート231と第2プレート232とは、少なくとも第1平面部231aと第2平面部232aにおいて接合され、第1凸部231bと第2凹部232bにおいて厚み方向に沿って離間している。第2プレート232と第3プレート233とは、少なくとも第2凹部232bと第3凸部233bにおいて接合され、第2平面部232aと第3平面部233aにおいて厚み方向に沿って離間している。ガスケット23は、以上のような3枚のプレート231〜233を組み合わせることにより、ビード39の厚みDbは開口36の厚みDaよりも大きくなっている。
【0050】
本実施形態に係るフランジ接合構造によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態のフランジ接合構造では、板状のガスケット23には、シリンダヘッド2H側へ凸状でありかつ平面視では、シリンダヘッド2Hのフランジ21の端面21aに形成された第1上流開口11a及び第2上流開口12aを囲む略真円状のビードを形成する。ここで、シリンダヘッド2Hのフランジ21の内部に形成された上流集合排気管路11,12に高温の排気を流し続けると、フランジ21の端面21aは口開き変形する。またこのような口開き変形による変位量は、隣接する2つの開口11a,12aの間を中心として、この中心が最も大きく、この中心から同心円状に小さくなる特性がある。本実施形態のフランジ接合構造では、このようなフランジ21の端面21aの口開き変形の特性に合わせて、板状のガスケット23のうち、シリンダヘッド2H側へ凸状でありかつ隣接する2つ開口11a,12aを囲む略真円状のビード39を形成する。このようなガスケット23を介して両フランジ21,22を接合すると、ガスケット23に形成されたビード39は、両フランジ21,22のうち口開き変形による変位量がほぼ等しい部分と接触する。このため、排気の熱によって口開き変形が生じても、ガスケット23には概ね均一に面圧がかかるので、これにより両フランジ21,22間のシール性を保持することができる。
【0051】
(2)本実施形態のフランジ接合構造では、タービンハウジング4のフランジ22には、隣接する2つの開口13a,14a及びこれら2つの開口13a,14aにそれぞれ連通する2つの通路13,14を区画する隔壁部30を設ける。このような隔壁部30は、これによって区画される2つの通路13,14に高温の排気が流れ続けると、熱膨張に起因してクラックが生じる場合がある。本実施形態のフランジ接合構造では、このような隔壁部30のうち最も薄い部分に脆弱部31を設けることにより、上述のようにクラックが発生する程度に熱膨張が生じた場合には、最も脆弱な脆弱部31にクラックを生じさせることができる。すなわち本実施形態のフランジ接合構造では、脆弱部31以外の意図しない部分にクラックが生じるのを防止できるため、ガスケット23の挙動を安定化させることができ、これにより、ガスケット23のシール性を保持することができる。
【0052】
(3)本実施形態のフランジ接合構造では、シリンダヘッド2Hのフランジ21には冷却水が流れる冷却水通路27〜29を形成し、タービンハウジング4のフランジ22には、このような冷却水の通路を形成しないようにする。このため、タービンハウジング4のフランジ22は、シリンダヘッド2Hのフランジ21よりも高温になりがちになるため、熱膨張により隔壁部にクラックが生じる可能性が高い。また本実施形態のフランジ接合構造では、このようなクラックが生じる可能性が高い排気部材のフランジの隔壁部の方に上述のような脆弱部を形成する。これにより、排気部材の隔壁部の脆弱部以外の意図しない部分にクラックが生じるのを防止できるため、ガスケット23の挙動を安定化させることができ、これにより、ガスケット23のシール性を保持することができる。
【0053】
(4)本実施形態のフランジ接合構造では、隔壁部30は、2つの通路13,14を流れる排気の流れ方向に沿って延びる板状であり、脆弱部31は、この排気の流れ方向に沿って延びる溝でありかつこの隔壁部30の両面に形成する。これにより、隔壁部30には排気の流れ方向に沿ったクラックを生じさせることができるため、ガスケット23の挙動をより安定化させ、ひいてはガスケット23のシール性をさらに保持することができる。
【0054】
(5)本実施形態のフランジ接合構造では、隔壁部30に排気の流れ方向に対して略垂直な断面視で略V字状の溝を脆弱部31として形成する。これにより、さらにこの脆弱部31にクラックを生じさせやすくすることができるので、ガスケット23の挙動より安定化させ、ひいてはガスケット23のシール性をさらに保持することができる。
【0055】
(6)本実施形態のフランジ接合構造では、過給機のタービンハウジング4に形成されたフランジ22とシリンダヘッド2Hに形成されたフランジ21とをガスケット23を介して接合する。過給機は、排気のエネルギを用いて吸気を圧縮するため、タービン効率を向上するには排気の熱は高い方が好ましい。本実施形態のフランジ接合構造では、このような高温の排気が流れるタービンハウジング4のフランジ21とシリンダヘッド2Hのフランジ21との接合に適用することにより、シール性を保持できるという上述の効果をさらに顕著なものにすることができる。
【0056】
(7)本実施形態のフランジ接合構造では、シリンダヘッド2Hには、4つの気筒CY1〜CY4の各々の燃焼室から延びる4つの分岐管路7〜10と、これら分岐管路7〜10を流れる排気を集合させてフランジ21の複数の開口11a,12aに導く2つの集合排気管路11,12とを形成する。すなわち、本実施形態のフランジ接合構造では、シリンダヘッド2Hに、排気マニホルド5を形成することにより、部品点数を少なくできるとともに、装置全体をコンパクトにすることができる。またこのように装置全体をコンパクトにすると、シリンダヘッド2Hのフランジ21を流れる排気の温度が高温になりがちになるところ、本実施形態のフランジ接合構造では、このような高温の排気が流れるシリンダヘッド2Hのフランジ21とタービンハウジング4のフランジ22との接合に適用することにより、シール性を保持できるという上述の効果をさらに顕著なものにすることができる。
【0057】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【0058】
上記実施形態では、タービンハウジング4に形成されている隔壁部30に脆弱部31を形成する場合について説明したが、本発明はこれに限らない。シリンダヘッド2Hにも高温の排気が流れるところ、このシリンダヘッド2Hに形成されている隔壁部24にも脆弱部を形成してもよい。
【符号の説明】
【0059】
11…第1上流集合排気管路
11a…第1上流開口
12…第2上流集合排気管路
12a…第2上流開口
13…第1通路
13a…第1下流開口
14…第2通路
14a…第2下流開口
18…合流通路
2…内燃機関
2H…シリンダヘッド
21,22…フランジ
23…ガスケット
24…隔壁部
27,28,29…冷却水通路
30…隔壁部
31…脆弱部
36…開口
39…ビード
4…タービンハウジング(排気部材)
5…排気マニホルド
7,8,9,10…分岐管路
CY1,CY2,CY3,CY4…気筒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7