【解決手段】過熱蒸気処理装置1は被処理物を収容する空間61Bが形成された反応炉60と、反応炉60内に収容された被処理物を攪拌する攪拌部90と、反応炉60内に過熱蒸気を供給できるように空間61Bに設けられた蒸気供給口132Aと反応炉内の過熱蒸気を排出できるように設けられた蒸気排出口と、反応炉内から排出された排気から水分およびガス成分を除去する吸着フィルタ装置を備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、被処理物の温度の偏りを抑制するために被処理物の状態に着目しているが、温度の偏りをより低減するためにはさらに別の点からも検討することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明に関する過熱蒸気処理装置は被処理物を収容する空間が形成された反応炉と、前記反応炉内に収容された前記被処理物を攪拌する攪拌部と、前記反応炉内に過熱蒸気を供給できるように前記空間に設けられた蒸気供給口と、前記反応炉内の前記過熱蒸気を排出できるように設けられた蒸気排出口と、前記反応炉内から排出された排気から水分およびガス成分を除去する吸着フィルタ装置を備える。
攪拌部が設けられるため、被処理物を攪拌部により攪拌しながら過熱蒸気により加熱処理できる。また、吸着フィルタ装置が設けられるため、反応炉からの排気を浄化して環境負荷を軽減できる。
【0006】
(2)好ましい例では(1)に記載の過熱蒸気処理装置において、前記吸着フィルタ装置は筐体と、前記反応炉内から排出された排気を前記筐体に導入する排気導入管と、前記筐体内の排気を排出する排気排出管とを含み、前記筺体内には水分およびガス成分を吸着する吸着部と、前記空気導入管の端部に面する邪魔板とが設けられている。
このため、排気から除去した水分とガス成分を効率よく除去できる。
【0007】
(3)好ましい例では(1) または(2)に記載の過熱蒸気処理装置において、前記蒸気供給口は前記反応炉の平面視において前記攪拌部と重なるように設けられている。
反応炉の空間に収容された被処理物のうちの攪拌部に近い部分は、攪拌部の駆動にともない強く攪拌される。上記(2)の蒸気供給口の構成によれば、蒸気供給口が攪拌部の近くに設けられる。このため、蒸気供給口から流出した過熱蒸気は主に被処理物のうちの攪拌部により強く攪拌される部分に供給され、被処理物の温度の偏りが一層抑制される。
【0008】
(4)好ましい例では(1) 〜(3)のいずれか一項に記載の過熱蒸気処理装置において、過熱蒸気を生成する過熱蒸気生成部と接続される蒸気供給管をさらに備え前記蒸気供給口は前記蒸気供給管に設けられている。
このため、反応炉内に過熱蒸気を容易に供給できる。
【0009】
(5)好ましい例では(4)に記載の過熱蒸気処理装置において、前記蒸気供給口は前記蒸気供給管の外周部に形成されている。
このため、蒸気供給口から流出した過熱蒸気が蒸気供給管の周囲に広がり、反応炉内の空間の全体に一層広がりやすい。
【0010】
(6)好ましい例では(5)に記載の過熱蒸気処理装において、置前記蒸気供給口は前記蒸気供給管の軸方向に長いスリットである。
このため、蒸気供給口から流出した過熱蒸気が反応炉内の空間の全体に一層広がりやすい。
【0011】
(7)好ましい例では(1)〜(6)のいずれか一項に記載の過熱蒸気処理装置において、前記蒸気供給口は前記空間内における下方側に過熱蒸気を放出し、前記空間内における上方側に過熱蒸気を放出しないように構成されている。
このため、蒸気供給口から反応炉内の空間の下方側に過熱蒸気が流出し、流出した過熱蒸気が反応炉の空間の上方側に流れる。これにより、反応炉内の空間における下方側の部分の被処理物が適切に加熱され、過熱蒸気が反応炉内の空間の全体に広がる。
【0012】
(8)好ましい例では(1)〜(7)のいずれか一項に記載の過熱蒸気処理装置において、前記過熱蒸気により処理された前記被処理物を前記反応炉内から取り出すための取出口をさらに備え、前記攪拌部は前記過熱蒸気により処理された前記被処理物を前記取出口に搬送できるように構成されている。
このため、処理後の被処理物を取出口から容易に取り出すことができる。
【0013】
(9)好ましい例では(8)に記載の過熱蒸気処理装置において、前記反応炉は前記被処理物が載せられる底壁を含み、前記取出口は処理後の前記被処理物が前記攪拌部により前記取出口に搬送された場合に前記底壁に処理後の前記被処理物の一部が残るように前記底壁の上方側において前記底壁から離れた位置に設けられている。
処理後の被処理物の一部が残された状態で未処理の被処理物が新たに反応炉内に投入され、加熱処理される場合、過熱蒸気が供給される前から処理後の被処理物により加熱される。このため、被処理物を効率的に加熱処理できる。
【0014】
(10)好ましい例では(1)〜(9)のいずれか一項に記載の過熱蒸気処理装置において、前記反応炉の周壁を加熱する加熱部と、前記反応炉内の前記過熱蒸気を排出できるように前記周壁に設けられた蒸気排出口とをさらに備える。
このため、反応炉の周壁が結露しにくい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に関する過熱蒸気処理装置によれば、被処理物の温度の偏りが抑制される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
下記実施形態は本発明に従う過熱蒸気処理装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う過熱蒸気処理装置は実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、または、省略した形態である。
【0018】
(実施形態)
図1は過熱蒸気処理装置1の斜視図である。
図2は過熱蒸気処理装置1の平面図である。
図3は過熱蒸気処理装置1の正面図である。
図4は過熱蒸気処理装置1の背面図である。過熱蒸気処理装置1は被処理物を加熱処理するために用いられる。過熱蒸気処理装置1はベース10、制御装置20、操作装置30、過熱蒸気発生装置40、反応装置50、および、ガス浄化装置200を備える。被処理物の中身は多種多様である。第1例では、被処理物は牛糞等のアルカリ性の有機廃棄物である。第2例では、被処理物は凝集剤を含む汚泥である。第3例では、被処理物は豆腐製造時の排水を含む汚泥である。第1例〜第3例の被処理物は、85℃〜100℃程度の温度で炭化されることが好ましい。第4例では、被処理物は卵殻、および、卵殻に付着している卵殻膜である。第4例の被処理物は反応装置50への投入後に卵殻が粉砕され、過熱蒸気により加熱処理されることにより、卵殻と卵殻膜とが分離される。
【0019】
ベース10は過熱蒸気処理装置1が設置される床(図示略)に固定される。ベース10は第1ベース10Aおよび第2ベース10Bを備える。第1ベース10Aは過熱蒸気発生装置40および反応装置50を支持する。第2ベース10Bはガス浄化装置200を支持する。
【0020】
制御装置20は過熱蒸気発生装置40の筐体40Aの内部に格納されている。制御装置20は過熱蒸気発生装置40および反応装置50の動作を制御する。操作装置30は筐体40Aに設けられる。操作装置30は表示部31およびボタン32を備える。表示部31は反応装置50の状態等を表示する。ボタン32は過熱蒸気発生装置40および反応装置50を操作するためのインタフェースである。
【0021】
過熱蒸気発生装置40は蒸気発生部41およびタンク42を備える。蒸気発生部41はタンク42に溜められた過熱蒸気を発生させるための水を用いて過熱蒸気を発生させる。過熱蒸気は水を沸騰させることにより得られる摂氏100度の蒸気をさらに加熱した蒸気である。
【0022】
図5は反応装置50の内部構造を示す断面図である。反応装置50は反応炉60、支持台70、攪拌装置80、加熱部110、断熱材120、蒸気供給管130、取出口140(
図6参照)、蒸気排出管150、温度検出部160、および、枠170を備える。
【0023】
好ましい例では、反応炉60は過熱蒸気により変形および溶融しない材料により構成される。その一例はステンレス鋼である。反応炉60は炉本体61および蓋62を含む。炉本体61は円筒状であり、開口部61Aから投入された被処理物(図示略)を収容する空間61Bを含む。蓋62は炉本体61の開口部61Aを塞ぐことができるように炉本体61に取り付けられる。被処理物(図示略)は炉本体61の底壁61Cに載せられる。底壁61Cの中央には攪拌装置80の回転軸94が挿入される底部穴61Eが設けられている。
【0024】
支持台70は反応炉60を支持する。支持台70は第1支持台71、第2支持台72、および、排水回収部73を備える。第1支持台71は第2支持台72よりも下方側に配置される。第1支持台71は4つの脚71Aおよび支持板71Bを備える。4つの脚71Aは一方の端部が枠170の底板171に固定され、他方の端部が第2支持台72の支持板72Bに固定されている。
【0025】
第2支持台72は4つの脚72Aおよび支持板72Bを備える。4つの脚72Aは一方の端部が第1支持台71の支持板71Bに固定され、他方の端部が支持板72Bに固定されている。支持板72Bには断熱材120、および、反応炉60の炉本体61が載せられる。各支持板71B、72Bの中央には各支持板71B、72Bを貫通する穴71C、72C(
図8参照)が形成されている。
【0026】
排水回収部73は反応炉60内の水分が底部穴61Eおよび穴72C(
図7参照)を通過して攪拌装置80の駆動部100に侵入しないように水分を回収する。反応炉60内の水分は主に、過熱蒸気により加熱処理される前の被処理物から生じた水分、および、過熱蒸気により加熱処理された被処理物(以下「処理後の被処理物」)から分離された水分(以下「処理廃水」)である。排水回収部73は回収容器73Aおよび排水バルブ73Bを備える。回収容器73Aは上面が開口した箱であり、支持板72Bの裏面に取り付けられる。排水バルブ73Bは回収容器73Aと接続される。作業者は排水バルブ73Bを操作することにより、回収容器73Aに溜まった処理廃水を排水できる。
【0027】
攪拌装置80は第1攪拌部91、第2攪拌部92、第3攪拌部93、回転軸94、および、駆動部100を備える。各攪拌部91、92、93は反応炉60内に収容された被処理物を攪拌する。攪拌装置80が備える攪拌部の数は任意に変更できる。攪拌装置80が備える攪拌部の数は1または複数である。
【0028】
第1攪拌部91は第2攪拌部92および第3攪拌部93よりも炉本体61の底壁61C側に設けられる。第1攪拌部91は回転軸94回りに回転する一対の羽根91A、91Bを備える。一対の羽根91A、91Bの縁には凹凸部91Cが設けられている。このため、一対の羽根91A、91Bは縁が直線形状である場合よりも、卵殻等の比較的硬い被処理物を容易に粉砕できる。
【0029】
第2攪拌部92は炉本体61の高さ方向において第1攪拌部91と第3攪拌部93との間に設けられる。第2攪拌部92は回転軸94回りに回転する一対の羽根92A、92Bを備える。
図8に示されるように、第1攪拌部91および第2攪拌部92は、回転軸94の周方向における羽根91Bと羽根92Bとの位相が異なるように構成されている。一例では、羽根91Bと羽根92Bとの位相のずれは90°である。
【0030】
図5に示されるように、第3攪拌部93は炉本体61の高さ方向において第1攪拌部91および第2攪拌部92よりも上方に設けられる。第3攪拌部93は回転軸94回りに回転する一対の羽根93A、93Bを備える。
図8に示されるように、第2攪拌部92および第3攪拌部93は、回転軸94の周方向における羽根92Bと羽根93Bとの位相が異なるように構成されている。一例では、羽根92Bと羽根93Bとの位相のずれは90°である。
【0031】
図10に示されるように、回転軸94は炉本体61の底壁61Cの中央に設けられている。回転軸94は支持板71Bの穴71C、支持板72Bの穴72C、および、炉本体61の底部穴61Eに挿入されている。回転軸94が回転することにより各攪拌部91、92、93の羽根91A、91B、92A、92B、93A、93Bが一体的に回転する。
【0032】
図5、
図6、および、
図7に示される駆動部100は回転軸94を回転させる。駆動部100は電気モータ101、連結部102、および、軸受103を備える。電気モータ101は枠170の底板171に固定されている。連結部102は電気モータ101の出力軸101Aと回転軸94とを連結する。連結部102は第1連結部102Aおよび第2連結部102Bを備える。第1連結部102Aは出力軸101Aの端部に取り付けられ、出力軸101Aと一体的に回転可能である。第2連結部102Bは回転軸94の端部に設けられ、回転軸94と一体的に回転可能である。電気モータ101の出力軸101Aが回転した場合、出力軸101A、連結部102、および、回転軸94が一体的に回転する。軸受103は例えば、転がり軸受であり、支持板72Bに固定されている。
【0033】
図5に示される加熱部110は反応炉60を温めることができるように反応炉60に設けられている。一例では、炉本体61の周壁61Dを囲むように加熱部110が設けられている。加熱部110は例えば、電気ヒータである。断熱材120は反応炉60から駆動部100側への熱の移動を妨げることができるように、炉本体61の底壁61Cと第2支持台72の支持板72Bとの間に設けられている。
【0034】
図2または
図3に示される蒸気供給管130は過熱蒸気発生装置40が発生させた過熱蒸気を反応炉60の炉本体61内に供給する。蒸気供給管130は第1蒸気供給管131および第2蒸気供給管132を備える。第1蒸気供給管131の一方の端部は過熱蒸気発生装置40と接続されている。第1蒸気供給管131の他方の端部は第2蒸気供給管132と接続されている。第2蒸気供給管132の一方の端部は第1蒸気供給管131と接続されている。第2蒸気供給管132の他方の端部は反応炉60の炉本体61内に位置するように、炉本体61の周壁61Dに設けられた側部穴61F(
図5参照)に挿入されている。炉本体61の高さ方向における第2蒸気供給管132の位置は任意に選択できる。第1例では、第2蒸気供給管132は炉本体61の高さ方向において、第1攪拌部91よりも高い位置に設けられる。第2例では、第2蒸気供給管132は炉本体61の高さ方向において、第1攪拌部91よりも低い位置に設けられる。
【0035】
図5または
図6に示されるように、第2蒸気供給管132には、過熱蒸気を反応炉60内に供給する蒸気供給口132Aが形成されている。第2蒸気供給管132における蒸気供給口132Aが形成される位置は任意に選択できる。第1例によれば、蒸気供給口132Aは第2蒸気供給管132の外周部に形成される。第1例によれば、蒸気供給口132Aから流出した過熱蒸気が第2蒸気供給管132の周囲に広がり、反応炉60内の空間61Bの全体に一層広がりやすい。第2例によれば、蒸気供給口132Aは第2蒸気供給管132の軸方向における空間61B側の端部に設けられる。蒸気供給口132Aの形状は任意の形状から選択できる。第1例によれば、蒸気供給口132Aは第2蒸気供給管132の軸方向に長いスリットである。第2例によれば、蒸気供給口132Aは円または多角形の形状の穴である。
【0036】
第2蒸気供給管132の外周部における蒸気供給口132Aが形成される位置は任意に選択できる。第1例によれば、蒸気供給口132Aは空間61B内における下方側に過熱蒸気を放出し、空間61B内における上方側に過熱蒸気を放出しない位置に形成される。第1例の場合、
図9に示されるように、蒸気供給口132Aは第2蒸気供給管132の外周部において、羽根91A、91Bの回転方向と沿うように開口するように設けられることが好ましい。この場合、第1攪拌部91により反応炉60内で被処理物が攪拌されているとき、蒸気供給口132Aに被処理物が入り込みにくい。このため、蒸気供給口132Aが詰まりにくい。また、第1例によれば、蒸気供給口132Aから反応炉60内の空間61Bの下方側に過熱蒸気が流出し、流出した過熱蒸気が反応炉60の空間61Bの上方側に流れる。これにより、反応炉60内の空間61Bにおける下方側の部分の被処理物が適切に加熱され、過熱蒸気が反応炉60内の空間61Bの全体に広がる。第2例によれば、蒸気供給口132Aは空間61B内における下方側に過熱蒸気を放出せず、空間61B内における上方側に過熱蒸気を放出する位置に形成される。
【0037】
攪拌部90に対する蒸気供給口132Aの位置は任意に選択できる。第1例によれば、蒸気供給口132Aは反応炉60の平面視において攪拌部90と重なるように設けられる。反応炉60の空間61Bに収容された被処理物のうちの攪拌部90に近い部分は、攪拌部90の駆動にともない強く攪拌される。第1例の構成によれば、蒸気供給口132Aが攪拌部90の近くに設けられる。このため、蒸気供給口132Aから流出した過熱蒸気は主に被処理物のうちの攪拌部90により強く攪拌される部分に供給され、被処理物の温度の偏りが一層抑制される。第2例によれば、蒸気供給口132Aは反応炉60の平面視において攪拌部90と重ならないように設けられる。
【0038】
図6に示される取出口140は処理後の被処理物を炉本体61から取り出すために利用される。取出口140は本体141および蓋142を備える。本体141は処理後の被処理物が通過できるように構成された通路141Aを含み、通路141Aと炉本体61の空間61Bとが連通するように炉本体61に取り付けられる。蓋142は本体141の開口141Bを開閉できるように本体141に取り付けられている。炉本体61における本体141の取付位置は任意に選択できる。第1例では、本体141は炉本体61の周壁61Dに設けられる。好ましくは、本体141は各攪拌部91〜93のいずれかと対向する位置に設けられる。この場合、各攪拌部90の各羽根91A、91B、92A、92B、93A、93Bの回転を利用して処理後の被処理物を本体141の通路141Aに容易に搬送できる。第2例では、本体141は炉本体61の底壁61Cに設けられる。
【0039】
図5に示される蒸気排出管150は反応炉60と接続される。蒸気排出管150は反応炉60内の過熱蒸気を排出する蒸気排出口151を含む。反応炉60における蒸気排出管150が接続される位置は任意に選択できる。第1例によれば蒸気排出管150は周壁61Dと接続される。第1例によれば、被処理物の処理後の過熱蒸気(以下「排気過熱蒸気」)が周壁61Dと接触した場合であっても、周壁61Dが加熱部110により加熱されているため、周壁61Dが結露しにくい。第2例によれば、蒸気排出管150は蓋62と接続される。
【0040】
温度検出部160は反応炉60内の温度を検出する熱電対等の温度センサである。一例では、温度検出部160は炉本体61の周壁61Dを通過して反応炉60内に設けられている。温度検出部160は第1検出部161、第2検出部162、および、第3検出部163を含む。第1検出部161は反応炉60内のうちの蓋62の近傍に設けられる。第2検出部162は反応炉60内のうちの第3攪拌部93の近傍に設けられる。第3検出部163は反応炉60内のうちの蒸気供給口132Aの近傍に設けられる。
【0041】
図1に示されるガス浄化装置200は排気過熱蒸気を浄化する装置である。このため、環境負荷を軽減できる。ガス浄化装置200は冷却ダストコレクタ装置210、ウェットスクラバ装置220、ミストフィルタ装置230、および、吸着フィルタ装置240を含む。
【0042】
図11に示される冷却ダストコレクタ装置210は排気過熱蒸気を冷却し、排気過熱蒸気に含まれる比較的大きなダスト、および、凝集水を回収する。
図12に示されるように、冷却ダストコレクタ装置210は筐体211、排気導入管212、空気導入管213、排気排出管214、冷却室形成壁215、ダスト回収部216、および、凝集水回収部217を備える。
【0043】
図11または
図14に示されるように、筐体211は直方体であり、対向する一対の側壁211A、211B、および、一対の側壁211A、211Bの間に設けられた正面壁211Cを少なくとも含む。排気導入管212は一方の側壁211Aに接続されている。排気排出管214は他方の側壁211Bに接続されている。筐体211の正面壁211Cには開口211D、および、開口211Dを開閉する扉211Eが設けられている。
【0044】
排気導入管212は反応炉60(
図5参照)から排出された排気過熱蒸気を冷却ダストコレクタ装置210内に排出する。一例では、排気導入管212は排気過熱蒸気を冷却ダストコレクタ装置210内の下方側の部分に排出できるように構成されたL型管であり、第1部分212Aおよび第2部分212Bを含む。第1部分212Aは過熱蒸気が水平方向に流れるように蒸気排出管150と接続されている。第2部分212Bは過熱蒸気が垂直方向に流れるように第1部分212Aと接続されている。第2部分212Bの出口212Cはダスト回収部216と面している。空気導入管213は排気導入管212に空気を供給するための管であり、第1部分212Aに接続されている。空気導入管213の内部にはバタフライ弁213Aが設けられている。作業者はレバーを操作することによりバタフライ弁213Aによる空気導入管213内の通路の開き具合を調節できる。空気導入管213を介して排気導入管212に空気が流入することにより、排気導入管212を流れる排気過熱蒸気が冷却される。
【0045】
排気排出管214は排気導入管212から導入された排気過熱蒸気をウェットスクラバ装置220内に排出する。一例では、排気排出管214は排気過熱蒸気を冷却ダストコレクタ装置210内の上方側の部分に排出できるように構成されたL型管であり、第1部分214Aおよび第2部分214Bを含む。第1部分214Aは排気過熱蒸気が垂直方向に流れるように第2部分214Bと接続されている。第1部分214Aの入口214Cはダスト回収部216と面している。第2部分214Bは排気過熱蒸気が水平方向に流れるようにウェットスクラバ装置220と接続されている。
【0046】
冷却室形成壁215は筐体211内において排気導入管212の第2部分212B、および、排気排出管214の第1部分214Aを取り囲むように設けられる。筐体211の内部の空間のうち、冷却室形成壁215により囲まれる空間215Aには、排気導入管212および排気排出管214内を通過する排出過熱蒸気を冷却するための冷却水が貯められる。
【0047】
ダスト回収部216は筐体211の内部において、排気導入管212の第2部分212B、および、排気排出管214の第1部分214Aの下方に配置される。ダスト回収部216は枠体216Aおよび網状部材216Bを含む。枠体216Aは筐体211に取り付けられる。網状部材216Bは枠体216Aに取り付けられ、排気導入管212の第2部分212Bの開口から通過した排気過熱蒸気から落下するダストが貯められる部分である。ダスト回収部216は筐体211の高さ方向において、筐体211の開口211Dおよび扉211E(
図11参照)と同じ位置に設けられる。作業者は扉211Eを開けて開口211Dを開放することにより、網状部材216Bに貯められたダストを筐体211から取り出すことができる。
【0048】
凝集水回収部217は排気導入管212および排気排出管214を通過する排気過熱蒸気が空気導入管213から導入された空気、および、空間215Aに貯められている冷却水により冷却されることにより生じる凝集水を回収する。凝集水回収部217は皿217Aおよび排水バルブ217Bを備える。
【0049】
皿217Aは筐体211の高さ方向においてダスト回収部216よりも下方に設けられる。
図13に示されるように、皿217Aは筐体211の背面壁211Fから正面壁211Cに向かうにつれて下方に傾斜する部分を含む。このため、凝集水は皿217Aのうちの正面壁211C側の端部に集められる。排水バルブ217Bは皿217Aに貯められた凝集水を排水する。排水バルブ217Bは筐体211の高さ方向において、筐体211の開口211Dおよび扉211Eよりも下方に設けられる。
【0050】
図1に示されるウェットスクラバ装置220は冷却ダストコレクタ装置210と接続される。ウェットスクラバ装置220は排気ファン(図示略)を備え、冷却ダストコレクタ装置210を通過した排気過熱蒸気から粉塵等の小さいダストを除去する。ミストフィルタ装置230はウェットスクラバ装置220と接続され、ミストフィルタ装置230はウェットスクラバ装置220を通過した排気過熱蒸気から水分を除去する。
【0051】
図15に示される吸着フィルタ装置240はミストフィルタ装置230(
図1参照)を通過した排気過熱蒸気からミストフィルタ装置230により除去されなかった水分、および、排気過熱蒸気に含まれる臭気の素となるガス成分を除去する装置である。
【0052】
図16に示されるように、吸着フィルタ装置240は筐体241、排気導入管242、排気排出管243、邪魔板244、および、吸着部250を備える。筐体241は中空の箱状であり、底壁241Aに排気導入管242の一方の端部が接続され、上壁241Bに排気排出管243の一方の端部が接続される。排気排出管243の他方の端部はミストフィルタ装置230(
図1参照)と接続される。邪魔板244は排気導入管242の筐体241側の端部と面する位置に設けられる。排気導入管242から導入された排気過熱蒸気は邪魔板244を避けるように流れるため、筐体241内の広い範囲に排気過熱蒸気が循環しやすい。
【0053】
図17に示されるように、吸着部250は6枚の仕切網251〜256、第1アパタイトフィルタ261、第2アパタイトフィルタ262、および、活性炭フィルタ263を含む。
【0054】
6枚の仕切網251〜256は筐体241の高さ方向において等間隔に配置されている。第1アパタイトフィルタ261は仕切網251と仕切網252との間に配置される。第2アパタイトフィルタ262は仕切網253と仕切網254との間に配置される。各アパタイトフィルタ261、262は粒子状のアパタイトを多数含み、排気導入管242から導入された排気過熱蒸気から水分を吸着して除去する。第1アパタイトフィルタ261と第2アパタイトフィルタ262とは同一の構造である。
【0055】
活性炭フィルタ263は仕切網255と仕切網256との間に配置される。活性炭フィルタ263は粒子状の活性炭を多数含み、第1アパタイトフィルタ261および第2アパタイトフィルタ262を通過した排気過熱蒸気から臭気の素となるガス成分を吸着する。臭気の素となるガス成分は例えば、メタンガスおよび塩素ガスである。
【0056】
被処理物の処理方法の一例について説明する。被処理物の処理方法は第1工程〜第4工程を含む。第1工程は被処理物を反応炉60内に投入する工程である。被処理物がアルカリ性の有機廃棄物、凝集剤を含む汚泥、または、豆腐製造時の排水を含む汚泥である場合、第1工程において作業者は炉本体61の底壁61Cに炭床層が形成された状態で炉本体61の開口部61Aから被処理物を空間61Bに投入する。炭床層を構成する材料は被処理物の種類に応じて選択されることが好ましい。被処理物がアルカリ性の有機廃棄物である場合、炭床層を構成する材料の好ましい一例は、前回の加熱処理が終了した後に反応炉60内に残された炭化された被処理物である。被処理物が凝集剤を含む汚泥である場合、炭床層を構成する材料の好ましい一例は、活性炭、または、炭化されたコーヒーの焙煎粕である。被処理物が豆腐製造時の排水を含む汚泥である場合、炭床層を構成する材料の好ましい一例は、おからの絞り粕である。被処理物が卵殻および卵殻膜である場合、より多様な選択肢から炭床層を構成する材料を選択できる。
【0057】
第2工程は被処理物がアルカリ性の有機廃棄物である場合に被処理物を酸性にする工程である。第2工程において、作業者は反応炉60内に酸化触媒および酸性イオン水を供給する。なお、被処理物が凝集剤を含む汚泥、豆腐製造時の排水を含む汚泥、ならびに、卵殻および卵殻膜である場合、第2工程は省略される。
【0058】
第3工程は被処理物を加熱処理する工程である。作業者は第3工程において操作装置30を操作することにより、過熱蒸気発生装置40および攪拌装置80の動作を開始させる。攪拌装置80が駆動することにより被処理物が攪拌される。過熱蒸気発生装置40が駆動することにより反応炉60内に過熱蒸気が供給される。被処理物は攪拌装置80により攪拌されながら過熱蒸気により加熱処理される。
【0059】
第4工程は処理後の被処理物を取り出す工程である。被処理物がアルカリ性の有機廃棄物、凝集剤を含む汚泥、または、豆腐製造時の排水を含む汚泥である場合、処理後の被処理物はこれらの炭化物である。被処理物が卵殻および卵殻膜である場合、処理後の被処理物は粉砕された卵殻、および、卵殻から分離された卵殻膜である。第4工程において作業者は取出口140の蓋142を開くことにより開口141Bを開放した場合、攪拌部90の回転により処理後の被処理物が炉本体61から取出口140の開口141Bに搬送される。
【0060】
図5を参照して、過熱蒸気処理装置1の作用について説明する。
攪拌部90が設けられるため、被処理物を攪拌部90により攪拌しながら過熱蒸気により加熱処理できる。また、蒸気供給口132Aが反応炉60の空間61Bに設けられるため、蒸気供給口132Aから流出した過熱蒸気が反応炉60内の空間61Bの全体に広がりやすい。このため、被処理物の温度の偏りが抑制される。