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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-197659(P2018-197659A)
(43)【公開日】2018年12月13日
(54)【発明の名称】変位検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20181116BHJP
【FI】
   G01B11/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2017-101475(P2017-101475)
(22)【出願日】2017年5月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田宮 英明
(72)【発明者】
【氏名】野田 航生
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA09
2F065AA20
2F065BB01
2F065CC17
2F065CC25
2F065DD03
2F065DD06
2F065FF48
2F065FF52
2F065FF61
2F065GG05
2F065GG06
2F065GG07
2F065HH03
2F065LL04
2F065LL12
2F065LL35
2F065LL36
2F065LL37
2F065LL42
2F065QQ03
2F065QQ13
2F065QQ51
2F065QQ53
(57)【要約】
【課題】高精度に被測定部材の高さ方向の変位を検出でき、高速で安定した計測が可能な変位検出装置を提供する。
【解決手段】変位検出装置1は、第1の回折格子11と、光源6と、変位検出部5と、受光部7と、を備えている。変位検出部5は、光束分割部13と、第2の回折格子12と、参照用反射部材14とを備えている。第1の回折格子11への第1の光束L1の入射角度、第1の回折格子11の回折角度、第2の回折格子12への第1の光束L1の入射角度、第2の回折格子12の回折角度は、被測定部材2が被測定面と直交する方向に変位した際の、第1の光束L1における光束分割部13から第1の回折格子11に入射するまでの光路長の変位量と、第1の光束L1における第1の回折格子11から第2の回折格子12に入射するまでの光路長の変位量が等しくなる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定部材の被測定面に設けられた第1の回折格子と、
前記被測定部材の前記被測定面に対向して配置されたヘッドと、を備え、
前記ヘッドと前記被測定部材は、前記被測定面と平行をなす方向及び前記被測定面と直交する方向のうち少なくとも一方に、相対的に移動可能とし、
前記ヘッドは、
光を照射する光源と、
前記光源から照射された前記光を第1の光束と第2の光束に分割し、前記第1の光束を前記第1の回折格子に向けて照射する変位検出部と、
前記第2の光束と、前記変位検出部を介して前記第1の回折格子から戻ってきた前記第1の光束とを受光する受光部と、を備え、
前記変位検出部は、
前記光を前記第1の光束と、前記第2の光束に分割し、かつ分割された前記第1の光束を前記第1の回折格子に向けて照射する光束分割部と、
前記光束分割部により分割され、前記第1の回折格子により回折された前記第1の光束を回折し、前記第1の光束を再び前記第1の回折格子に照射する第2の回折格子と、
前記光束分割部により分割された前記第2の光束を反射する参照用反射部材と、
前記第1の回折格子と前記第2の回折格子により回折された前記第1の光束と、前記参照用反射部材により反射された前記第2の光束を重ね合わせて前記受光部に照射する光束結合部と、を備え、
前記第1の回折格子への前記第1の光束の入射角度、前記第1の回折格子の回折角度、前記第2の回折格子への前記第1の光束の入射角度、前記第2の回折格子の回折角度は、前記ヘッドと前記被測定部材の少なくとも一方が前記被測定面と直交する方向に変位した際の、前記第1の光束における前記光束分割部から前記第1の回折格子に入射するまでの光路長の変位量と、前記第1の光束における前記第1の回折格子から前記第2の回折格子に入射するまでの光路長の変位量が等しくなることを特徴とする
変位検出装置。
【請求項2】
前記変位検出部は、前記第1の光束における前記光束分割部から前記第1の回折格子を介して前記光束結合部までの光路長と、前記第2の光束における前記光束分割部から前記参照用反射部材を介して前記光束結合部までの光路長が等しくなることを特徴とする
請求項1に記載の変位検出装置。
【請求項3】
前記第1の回折格子への前記第1の光束の入射角度θ、前記第1の回折格子の回折角度θ、前記第2の回折格子への前記第1の光束の入射角度θ、前記第2の回折格子の回折角度θは、下記式を満たすことを特徴とする
[式]
請求項1又は2に記載の変位検出装置。
【請求項4】
前記変位検出部は、前記光束分割部により分割された前記第1の光束を前記第1の回折格子に垂直に入射させることを特徴とする
請求項1〜3のいずれか1項に記載の変位検出装置。
【請求項5】
前記第2の回折格子の回折は、ブラッグ条件を満たすことを特徴とする
請求項1〜4のいずれか1項に記載の変位検出装置。
【請求項6】
前記ヘッドは、
前記変位検出部からなり、前記第1の回折格子の格子ベクトル方向の一側に配置された第1変位検出部と、
前記第1変位検出部に対して前記第1の回折格子の格子ベクトル方向の他側に配置され、前記第1変位検出部と同一の構成要素を有する第2変位検出部と、
前記光源から照射された光を、前記第1変位検出部に照射する光と前記第2変位検出部に照射する光に分配する光分配部と、を備え、
前記第2変位検出部の前記構成要素は、前記第1変位検出部の構成要素に対して前記第1の回折格子の格子ベクトル方向に沿って反転して配置されることを特徴とする
請求項1〜5のいずれか1項に記載の変位検出装置。
【請求項7】
前記第1の回折格子は、前記被測定面と平行をなす第1格子ベクトル方向と、
前記被測定面と平行をなし、かつ前記第1格子ベクトル方向と交差する第2格子ベクトル方向と、を有し、
前記ヘッドは、
前記変位検出部からなり、前記第1の回折格子の前記第1格子ベクトル方向の一側に配置された第1変位検出部と、
前記第1変位検出部に対して前記第1の回折格子の前記第1格子ベクトル方向の他側に配置され、前記第1変位検出部と同一の構成要素を有する第2変位検出部と、
前記第1の回折格子の前記第2格子ベクトル方向の一側に配置され、前記第1変位検出部と同一の構成要素を有する第3変位検出部と、
前記第3変位検出部に対して前記第1の回折格子の前記第2格子ベクトル方向の反対側に配置され、前記第1変位検出部と同一の構成要素を有する第4変位検出部と、
前記光源から照射された光を、前記第1変位検出部に照射する光、前記第2変位検出部に照射する光、前記第3変位検出部に照射する光及び前記第4変位検出部に照射する光に分配部と、を備え、
前記第2変位検出部の前記構成要素は、前記第1変位検出部の構成要素に対して前記第1の回折格子の前記第1格子ベクトル方向に沿って反転して配置され
前記第3変位検出部の前記構成要素は、前記第2格子ベクトル方向に沿って配置され、
前記第4変位検出部の前記構成要素は、前記第3変位検出部の前記構成要素に対して前記第1の回折格子の前記第2格子ベクトル方向に沿って反転して配置されることを特徴とする
請求項1〜5のいずか1項に記載の変位検出装置。
【請求項8】
前記変位検出部は、
前記第2の回折格子により再び前記第1の回折格子に照射されて、前記第1の回折格子により回折されて戻ってきた前記第1の光束を再び前記第1の回折格子に向けて照射する再反射部と、
前記再反射部により前記第1の回折格子に照射されて、前記第1の回折格子により回折された前記第1の光束を回折し、前記第1の光束を再び前記第1の回折格子に照射する第3の回折格子と、を備え、
前記第3の回折格子は、前記第2の回折格子に対して前記第1の回折格子の格子ベクトル方向に沿って反転して配置されることを特徴とする
請求項1〜5のいずれか1項に記載の変位検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から出射された光を用いた非接触センサによって被測定面の変位を検出する変位検出装置に関し、詳しくは被測定面の垂直な方向の変位を検出する技術に係わる。
【背景技術】
【0002】
従来から、被測定面の変位や形状を非接触で測定する装置として光を用いた変位検出装置が広く利用されている。代表的な例としては、レーザ光を被測定面に照射し、反射光の位置の変化をPSDで検出する方法がある。しかしながら、この方法では、被測定面の傾きの影響を受けやすく、感度が低く、測定範囲を広げると測定の分解能が落ちるという問題があった。
【0003】
これに対し、被測定面をミラーとしてマイケルソンの干渉計を使用する方法がある。この方法は、検出範囲が広く、直線性に優れるが、測定範囲が広がると光源の波長の変化と空気の屈折率の変化を受ける。
【0004】
一方、光源から出射した光を対物レンズで被測定面に集光し、被測定面で反射した反射光を非点光学素子で集光して受光素子に入射させて、非点収差法によりフォーカスエラー信号を生成する。そして、フォーカスエラー信号を用いてサーボ機構を駆動させ、対物レンズの焦点位置が被測定面となるように対物レンズを変位させる。このとき、対物レンズに連結部材を介して一体的に取り付けられたリニアスケールの目盛を読み取ることで、被測定面の変位を検出する方式がある(例えば、特許文献1を参照)。この方法では、被測定面の傾きの変化を受けにくく、大きな測定範囲を高い分解能で計測できるメリットがあった。
【0005】
特許文献1に開示された変位検出装置では、変位検出の高精度化を図るために、対物レンズの開口数(NA:Numerical Aperture)を大きくして被測定面に集光させるビーム径を小さくしている。例えば、被測定面に結像されるビーム径を2μm程度にすると、リニアスケールの検出精度は、数nm〜100数nm程度になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−89480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の特許文献1に記載された変位検出装置では、例えば磁石とコイルを用いたアクチュエータ等のような駆動機構により対物レンズをその光軸方向に上下運動させている。そのため、アクチュエータの構造や質量によって対物レンズの上下運動のメカ的な応答周波数が制限されていた。その結果、特許文献1に記載された変位検出装置では、高速で振動する被測定物の計測は難しかった。また、検出点を絞れる反面、被測定物上の異物やビーム形状に近い細かな形状変化の影響を受け、大きな誤差を発生する、という問題があり、その使用条件に制約が生じてしまっていた。
【0008】
本発明の目的は、高精度に被測定部材の高さ方向の変位を検出でき、高速で安定した計測が可能な変位検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の変位検出装置は、第1の回折格子と、ヘッドと、を備えている。第1の回折格子は、被測定部材の被測定面に設けられる。ヘッドは、被測定部材の被測定面に対向して配置される。ヘッドと被測定部材は、被測定面と平行で、かつ第1の回折格子の格子ベクトル方向とも平行をなす方向及び被測定面と直交する方向のうち少なくとも一方に、相対的に移動可能としている。
ヘッドは、光を照射する光源と、変位検出部と、受光部と、を備えている。変位検出部は、光源から照射された光を第1の光束と第2の光束に分割し、第1の光束を第1の回折格子に向けて照射する。受光部は、第2の光束と、変位検出部を介して第1の回折格子から戻ってきた第1の光束とを受光する。
変位検出部は、光束分割部と、第2の回折格子と、参照用反射部材と、光束結合部と、を備えている。光束分割部は、光を第1の光束と、第2の光束に分割し、かつ分割された第1の光束を第1の回折格子に向けて照射する。第2の回折格子は、光束分割部により分割され、第1の回折格子により回折された第1の光束を回折し、第1の光束を再び第1の回折格子に照射する。参照用反射部材は、光束分割部により分割された第2の光束を反射する。光束結合部は、第1の回折格子と第2の回折格子により回折された第1の光束と、参照用反射部材により反射された第2の光束を重ね合わせて受光部に照射する。
第1の回折格子への第1の光束の入射角度、第1の回折格子の回折角度、第2の回折格子への第1の光束の入射角度、第2の回折格子の回折角度は、ヘッドと被測定部材の少なくとも一方が被測定面と直交する方向に変位した際の、第1の光束における光束分割部から第1の回折格子に入射するまでの光路長の変位量と、第1の光束における第1の回折格子から第2の回折格子に入射するまでの光路長の変位量が等しくなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の変位検出装置によれば、従来のような駆動機構を必要としないので、使用時に発生する熱を抑制できる。さらに、駆動機構を駆動させる必要が無いので、応答周波数といった問題も解消され、使用条件を広くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施の形態例に係る変位検出装置の構成を示す概略構成図である。
図2】本発明の第1の実施の形態例に係る変位検出装置の被測定部材及び第1の回折格子を示す斜視図である。
図3】本発明の第1の実施の形態例に係る変位検出装置における第1の回折格子と第2の回折格子の回折角度の関係を示す説明図である。
図4】本発明の第1の実施の形態例に係る変位検出装置における相対位置情報出力手段を示すブロック図である。
図5】本発明の第1の実施の形態例に係る変位検出装置における第2の回折格子の変形例を示すもので、図5Aは第2の回折格子の変形例を示す断面図、図5Bは第2の回折格子の他の変形例を示す断面図である。
図6】本発明の第2の実施の形態例に係る変位検出装置の構成を示す概略構成図である。
図7】本発明の第2の実施の形態例に係る変位検出装置における相対位置情報出力手段を示すブロック図である。
図8】本発明の第3の実施の形態例に係る変位検出装置の構成を示す概略構成図である。
図9】本発明の第3の実施の形態例に係る変位検出装置における第1変位検出部及び第2変位検出部の構成を示す概略構成図である。
図10】本発明の第3の実施の形態例に係る変位検出装置における第3変位検出部及び第4変位検出の構成を示す概略構成図である。
図11】本発明の第3の実施の形態例に係る変位検出装置における相対位置情報出力手段を示すブロック図である。
図12】本発明の第3の実施の形態例に係る変位検出装置における被測定部材及び第1の回折格子を示すもので、図12Aは第1の回折格子を示す平面図、図12Bは第1の回折格子を示す断面図である。
図13】本発明の第4の実施の形態例に係る変位検出装置の構成を示す概略構成図である。
図14】本発明の第4の実施の形態例に係る変位検出装置における第1の回折格子と第2の回折格子の入射角度及び回折角度の関係を示す説明図である。
図15】本発明の第5の実施の形態例に係る変位検出装置の構成を示す概略構成図である。
図16】本発明の第6の実施の形態例に係る変位検出装置の構成を示す概略構成図である。
図17】本発明の第6の実施の形態例に係る変位検出装置における第1の回折格子と第2の回折格子の入射角度及び回折角度の関係を示す説明図である。
図18】本発明の第7の実施の形態例に係る変位検出装置の構成を示す概略構成図である。
図19】本発明の第7の実施の形態例に係る変位検出装置における第1の回折格子と第2の回折格子の入射角度及び回折角度の関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の変位検出装置の実施の形態例について、図1図19を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。また、本発明は、以下の形態に限定されるものではない。
また、以下の説明において記載される各種のレンズは、単レンズであってもよいし、レンズ群であってもよい。
【0013】
1.変位検出装置の第1の実施の形態例
まず、本発明の変位検出装置の第1の実施の形態例(以下、「本例」という。)の構成を図1図3に従って説明する。
【0014】
1−1.変位検出装置の構成例
図1は、変位検出装置の構成を示す概略構成図である。図2は、変位検出装置における第1の回折格子が設けられた被測定部材を示す斜視図である。
【0015】
本例の変位検出装置1は、ヘッドと被測定部材のうち少なくとも一方を移動させた際の変位(移動量)を検出する変位検出装置である。
【0016】
図1に示すように、変位検出装置1は、被測定部材2の被測定面2aに設けた第1の回折格子11と、ヘッド3と、相対位置情報出力手段4とを備えている。なお、相対位置情報出力手段4は、ヘッド3内に収容してもよく、あるいはヘッド3の外部に設けた携帯情報処理端末や、PC(パーソナルコンピュータ)携帯端末に配置してもよい。
【0017】
ヘッド3と被測定部材2は、被測定面2aに対して平行な方向でかつ第1の回折格子11の格子ベクトル方向S1(図2参照)と平行をなす方向又は、被測定面2aに対して垂直な方向に相対的に移動可能に配置される。すなわち、ヘッド3と被測定部材2のうち少なくとも一方が、被測定面2aと平行な方向又は、被測定面2aと垂直な方向のうち少なくとも一方に移動可能に配置される。
【0018】
以下、被測定面2aに対して平行で、かつ第1の回折格子11の格子ベクトル方向S1(図2参照)と平行をなす方向を第1の方向Xとする。また、被測定面2aに対して平行で、かつ第1の方向Xと直交する方向を第2の方向Yとする。そして、被測定面2aと直交する方向、すなわち第1の方向Xと第2の方向Yとも直交する方向を第3の方向Zとする。
【0019】
図2に示すように、被測定部材2は、平板状に形成されている。被測定部材2におけるヘッド3と対向する被測定面2aには、第1の回折格子11が設けられている。第1の回折格子11は、反射型の回折格子である。
【0020】
第1の回折格子11は、被測定面2aから突出する複数の突条11aにより構成されている。複数の突条11aは、第1の方向Xに沿って所定の間隔を空けて配置されている。複数の突条11aにおける隣り合う2つの突条11aの間隔が、第1の回折格子11の格子ピッチdとなる。
【0021】
そして、この複数の突条11aの格子ベクトル方向S1は、第1の方向Xと平行に配置される。また、突条11aが延在する方向(格子ライン方向)S2は、被測定面2aにおいて第2の方向Yと平行になる。なお、格子ベクトル方向S1及び格子ライン方向S2は、被測定面2aと平行をなす平面上に存在する。そして、格子ベクトル方向S1は、第1の方向Xと平行である必要はなく、同様に、格子ライン方向S2は、第2の方向Yと平行である必要はない。
【0022】
なお、本例では、被測定面2aから突出する複数の突条11aによって第1の回折格子11が構成される例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、被測定部材2の被測定面2aに複数の溝部を形成することで、第1の回折格子11を構成してもよい。
【0023】
また、第1の回折格子11は、例えば、ガラスやシリコンの基板からなる被測定部材2に形成される。そして、第1の回折格子11を構成する複数の突条11aは、例えば金やアルミニウム等の反射率の高い材料を被測定部材2の被測定面2aに蒸着することで形成される。なお、第1の回折格子11の格子ピッチd及び回折角度θについては、後述する。
【0024】
この被測定部材2に設けた第1の回折格子11は、ヘッド3から照射された光を回折して所定の回折角度によって再びヘッド3に戻す。
【0025】
ヘッド3は、変位検出部5と、光源6と、変位検出部5に設けられた受光部7とを有している。なお、受光部7は、変位検出部5内に配置してもよく、あるいは変位検出部5の外側に配置してもよい。光源6には、例えば半導体レーザダイオードやスーパールミネッセンスダイオード、ガスレーザ、固体レーザ、発光ダイオード等が挙げられる。
【0026】
光源6として、可干渉距離が長い光源を用いると、被測定部材2の被測定面2aのチルト等による物体光と参照光の光路長差の影響を受けにくくチルト許容範囲が広くなる。また、光源6の可干渉距離が短くなるほど、不要な迷光の干渉によるノイズを防ぐことができ、高精度な計測をすることができる。
【0027】
さらに、光源6として、シングルモードのレーザを用いると、波長を安定させるために、光源6の温度をコントロールすることが望ましい。また、シングルモードのレーザの光に、高周波重畳などを付加して、光の可干渉性を低下させてもよい。さらに、マルチモードのレーザを用いる場合も、ペルチェ素子等で光源6の温度をコントロールすることで、不要な迷光の干渉によるノイズを防ぎ、さらに安定した計測が可能になる。
【0028】
なお、光源6の数は、1つに限定されるものではなく、複数の光源6を配置して互いの光りを重ね合わせることで光量を増加させてもよい。
【0029】
光源6から出射された光Lは、変位検出部5に入射する。なお、光源6と変位検出部5の間には、コリメートレンズ等からなるレンズ16が配置されている。レンズ16は、光源6から出射された光Lを平行光にコリメートする。そのため、変位検出部5には、レンズ16により平行光にコリメートされた光Lが入射される。
【0030】
変位検出部5は、光源6から照射された光Lを被測定部材2の第1の回折格子11に向けて照射し、被測定部材2から戻ってきた光Lを受光部7に導く。変位検出部5は、第2の回折格子12と、光束分割部13と、参照光用反射部材の一例を示す参照用ミラー14と、物体光用反射部材の一例を示す物体用ミラー15と、第1の位相板17と、第2の位相板18と、を有している。
【0031】
光束分割部13としては、例えば、偏光ビームスプリッタにより構成される。そして、光束分割部13は、s偏光の光を反射し、p偏光の光を透過させる。光束分割部13には、光源6から照射され、レンズ16により平行光にコリメートされた光Lが入射される。そして、光束分割部13は、光Lを物体光である第1の光束L1と、参照光である第2の光束L2の2つの光束に分割する。本例では、光束分割部13を透過するp偏光の光が第1の光束L1となり、光束分割部13によって反射されるs偏光の光が第2の光束L2となる。第1の光束L1は、第1の回折格子11に向かって進行し、第2の光束L2は、参照用ミラー14に向かって進行する。
【0032】
光束分割部13では、光Lが第1の光束L1と第2の光束L2に分割されるが、その光量比率は、後述する受光部7に入射する際に、第1の回折格子11側と、参照用ミラー14側でそれぞれが同じ光量となるような比率にすることが好ましい。
【0033】
さらに、光源6と光束分割部13との間に偏光板を設けてもよい。これにより、s偏光及びp偏光に対して直交した偏光成分としてわずかに存在する漏れ光、ノイズを除去することができる。
【0034】
また、光束分割部13として偏光ビームスプリッタを用いた例を説明したが、これに限定されるものではない。光束分割部13としては、例えば、ハーフミラーと位相板を組み合わせて構成してもよい。
【0035】
光束分割部13と被測定部材2の被測定面2a、すなわち第1の回折格子11との間には、第1の位相板17が配置されており、光束分割部13と参照用ミラー14との間には、第2の位相板18が配置されている。
【0036】
第1の位相板17と第2の位相板18は、通過する光の偏光方向を変化させるものであり、例えば、1/4波長板等から構成されている。そのため、第1の位相板17及び第2の位相板18は、通過する光がp偏光の場合、進行方向を中心軸として第1の向きに回転する円偏光に変化させる。また、通過する光が第1の向きに回転する円偏光の場合、s偏光に変化させる。さらに、通過する光がs偏光の場合、進行方向を中心軸として第1の方向とは反対である第2の向きに回転する円偏光に変化させる。そして、通過する光が第2の向きに回転する円偏光の場合、p偏光に変化させる。
【0037】
また、また、光源6、レンズ16、光束分割部13及び第1の位相板17は、光束分割部13を透過する光、すなわち第1の光束L1の進行方向が第3の方向Zと平行になるように配置される。そのため、光束分割部13を透過し、第1の位相板17を通過した第1の光束L1は、被測定部材2の被測定面2a、すなわち第1の回折格子11に対して垂直に入射する。これにより、被測定部材2が第3の方向Zに変位しても第1の回折格子11に入射される第1の光束L1の入射点Pの位置は、第1の回折格子11上において変化しない。
【0038】
第2の回折格子12は、第1の回折格子11によって回折されて変位検出部5に戻った第1の光束L1が入射する位置に配置される。第2の回折格子12は、その平面が第3の方向Zに対して傾斜して配置されている。第2の回折格子12は、光を透過させ、かつ透過した光を回折させる透過型の回折格子である。なお、第2の回折格子12の格子ピッチd及び回折角度φについては、後述する。
【0039】
第2の回折格子12における第1の回折格子11から入射した第1の光束L1が透過する方向には、物体用ミラー15が配置されている。また、物体用ミラー15は、第2の回折格子12を透過した第1の光束L1が反射面に対して垂直に入射する位置に配置されている。そして、物体用ミラー15には、第1の光束L1が垂直に入射するため、物体用ミラー15は、第1の光束L1を、入射する際の光路と反射した後の光路が一致するように反射させる。
【0040】
物体用ミラー15により反射された第1の光束L1は、行きの光路と同じ光路を通って、第2の回折格子12、第1の回折格子11、第1の位相板17の順に、再び光束分割部13に入射する。すなわち、第1の光束L1における光束分割部13から物体用ミラー15までの光路(以下、「行き光路」という。)と、物体用ミラー15から光束分割部13までの光路(以下、「帰り光路」という。)が一致する。そのため、帰り光路の際に、再び第1の回折格子11に入射する位置は、行き光路と同じ照射点Pに入射される。
【0041】
さらに、第1の光束L1は、行き光路と帰り光路で第1の回折格子11と第2の回折格子12によってそれぞれ2回ずつ回折される。
【0042】
参照用ミラー14は、光束分割部13によって分割された第2の光束L2の進行方向に配置されている。参照用ミラー14は、その反射面が光束分割部13における第2の光束L2を照射する面と平行に配置されている。すなわち、参照用ミラー14は、その反射面に第2の光束L2が垂直に入射する位置に配置される。そして、参照用ミラー14には、第2の光束L2が垂直に入射するため、参照用ミラー14は、第2の光束L2を、入射する際の光路と反射した後の光路が一致するように反射する。
【0043】
参照用ミラー14により反射された第2の光束L2は、行きの光路と同じ光路を通って、第2の位相板18を通過して、再び光束分割部13に入射する。第1の光束L1における光束分割部13から物体用ミラー15に反射されて再び光束分割部13に戻るまでの光路長の長さと、第2の光束L2における光束分割部13から参照用ミラー14に反射されて再び光束分割部13に戻るまでの光路長の長さが等しくなるように、また、参照用ミラー14及び物体用ミラー15が配置されている。
【0044】
これにより、気圧、湿度や温度の変化によって光源6の波長変動があった場合でも、第1の光束L1と第2の光束L2が受ける影響を等しくすることができる。その結果、気圧補正、湿度補正や温度補正を行うことなく、周囲環境に関わらず安定した測定を行うことができる。さらに、変位検出装置1を製造する際に、第1の光束L1の光路長と、第2の光束L2の光路長や光軸の角度を調整し易くすることができる。
【0045】
また、光束分割部13は、物体用ミラー15によって反射されて戻ってきた第1の光束L1と、参照用ミラー14によって反射されて戻ってきた第2の光束L2を重ね合わせる。そして、光束分割部13は、重ね合わせた第1の光束L1と第2の光束L2を受光部7に照射する。すなわち、本例で示す光束分割部13は、光束を分割する光束分割部としての役割と、第1の光束L1と第2の光束L2を重ね合わせる光束結合部としての役割を有している。
【0046】
受光部7は、集光レンズ21と、ハーフミラー22と、第1の偏光ビームスプリッタ24と、第2の偏光ビームスプリッタ25とを有している。また、ハーフミラー22と、第2の偏光ビームスプリッタ25との光路上には、例えば、1/4波長板等からなる受光側位相板23が配置されている。
【0047】
集光レンズ21は、光束分割部13からの入射された第1の光束L1及び第2の光束L2を集光する。また、集光レンズ21は、後述する第1の受光素子31、第2の受光素子32、第3の受光素子33及び第4の受光素子34上でビーム径が適当な大きさになるように光を集光する。ハーフミラー22は、光を分割する。ハーフミラー22によって分割された光は、第1の偏光ビームスプリッタ24、又は受光側位相板23を介して第2の偏光ビームスプリッタ25に入射する。
【0048】
第1の偏光ビームスプリッタ24は、入射される光束の偏光方向が入射面に対して45度傾くように配置されている。この第1の偏光ビームスプリッタ24における光の出射口側には、第1の受光素子31と、第2の受光素子32が設けられている。また、第2の偏光ビームスプリッタ25における光の出射口側には、第3の受光素子33と、第4の受光素子34が設けられている。
【0049】
これら第1の偏光ビームスプリッタ24及び第2の偏光ビームスプリッタ25は、s偏光成分を有する干渉光を反射させ、p偏光成分を有する干渉光を透過させて、光を分割するものである。
【0050】
第1の受光素子31、第2の受光素子32、第3の受光素子33及び第4の受光素子34は、光を受光し、干渉信号を得る。そして、受光部7には、相対位置情報出力手段4が接続されている。受光部7は、第1の受光素子31、第2の受光素子32、第3の受光素子33及び第4の受光素子34が得た干渉信号を相対位置情報出力手段4に出力する。
【0051】
1−2.第1の回折格子と第2の回折格子の関係
次に、上述した構成を有する第1の回折格子11と第2の回折格子12の関係について図3を参照して説明する。
図3は、第1の回折格子11と第2の回折格子12の回折角度の関係を示す説明図である。
【0052】
図3に示すように、第1の回折格子11には、第1の光束L1が第3の方向Zに沿って垂直に入射する。なお、第1の回折格子11の格子ベクトル方向S1は図2に示すように、第1の方向Xと平行をなしている。そして、第1の回折格子11は、回折角度θで回折する。ここで、第1の光束L1の波長をλ、第1の回折格子11の格子ピッチdとすると、第1の回折格子11の回折角度θは、下記式1及び式2により算出することができる。
[式1]
[式2]
【0053】
第1の回折格子11で回折した第1の光束L1は、第2の回折格子12に入射され、第2の回折格子12で回折する。このときの第2の回折格子12の格子ベクトル方向は、第1の方向Xと第3の方向Zで形成される平面上に存在する。また、第2の回折格子12の格子ベクトル方向は、第1の光束L1における第1の回折格子11への入射角度に対して、角度θで傾斜している。すなわち、第2の回折格子12の格子ベクトル方向は、第3の方向Zに対して角度θで傾斜している。
【0054】
第1の光束L1における第2の回折格子12に対して角度φで入射した場合、第2の回折格子12がブラッグ条件を満たせば、第2の回折格子12は、回折角度φで回折する。そのため、ブラッグ条件は、次の式3及び式4を満たすように第2の回折格子12の格子ピッチd又は回折角度φを設定すればよい。なお、λは、第1の光束L1の波長である。
[式3]
[式4]
【0055】
第2の回折格子12がブラッグ条件を満たすことで、例えば、後述する透過型のボリュームタイプホログラムの第2の回折格子12M(図5A参照)を用いれば、非常に高い回折効率を得ることができる。しかしながら、第2の回折格子12への入射角度φと、格子ピッチdの設計に制限がかかるため、第2の回折格子12としては、ボリュームタイプホログラムを用いずに、厚みのない透過型の回折格子を用いてもよい。厚みのない透過型の回折格子を用いることで、入射角度と回折角度の選択に自由度を持たせることができる。
【0056】
第2の回折格子12がブラッグ条件を満たす場合、第2の回折格子12により2回目(1回目は第1の回折格子11)の回折をした第1の光束L1は、物体用ミラー15によって反射されて再び第2の回折格子12に入射する。なお、図1及び図3に示すように、被測定部材2が第3の方向Zに変位していない場合、第1の光束L1における第2の回折格子12に入射する入射点Qの位置は、変化しない。また、被測定部材2が第1の方向X又は第2の方向Yに変位しても、第1の光束L1における第2の回折格子12に入射する入射点Qの位置は、変化しない。そして、第2の回折格子12によって3回目の回折をした第1の光束L1は、第1の回折格子11に入射し、第1の回折格子11により4回目の回折を行う。
【0057】
ここで、被測定部材2、すなわち第1の回折格子11が第3の方向Zに長さΔZだけ移動した例について説明する。
図3に示すように、第1の回折格子11が第3の方向Zに沿って上方、すなわちヘッド3に接近する向きに長さΔZ移動すると、第1の回折格子11の入射点P2に入射する時点で、第1の光束L1の光路長は、長さΔZ短くなる。なお、第1の光束L1は、被測定部材2の被測定面2a、すなわち第1の回折格子11に対して垂直に入射している。そのため、被測定部材2が第3の方向Zに変位しても第1の回折格子11に入射される第1の光束L1の入射点P1、P2の位置は、第1の回折格子11上において変化しない。
【0058】
第1の回折格子11が第3の方向Zに沿って上方、すなわちヘッド3に接近する向きに長さΔZ移動すると、第1の光束L1における第2の回折格子12に入射する位置は、入射点Q1から入射点Q2に変化する。そして、第1の回折格子11の入射点P2から第2の回折格子12の入射点Q2までの光路長は、第1の回折格子11が第3の方向Zに移動していない時の第1の回折格子11の入射点P1から第2の回折格子12の入射点Q1までの光路長よりも長さM1だけ長くなる。さらに、第2の回折格子12の入射点Q2から物体用ミラー15までの距離は、第1の回折格子11が第3の方向Zに移動していない時の第2の回折格子12の入射点Q1から物体用ミラー15までの光路長よりも長さM2だけ長くなる。
【0059】
そのため、ΔZ=M1+M2を満たせば、第1の回折格子11が第3の方向Zに移動しても第1の光束L1の光路長は、一定となる。また、ΔZ=M1+M2を満たす条件は、第1の回折格子11の回折角度θと、第2の回折格子12の回折角度φから下記式5が示される。
[式5]
【0060】
したがって、第1の回折格子11の回折角度θと第2の回折格子12の回折角度φは、上記式5を満たす。これにより、第1の回折格子11が第3の方向Zに移動しても第1の光束L1の光路長を一定にすることができる。なお、第1の光束L1が物体用ミラー15によって反射し、光束分割部13に戻る光路にも適用できる。従って、第1の光束L1における帰り光路の光路長も常に一定にすることができる。
【0061】
上述したように、被測定部材2が第1の方向X又は第2の方向Yに変位しても、第1の光束L1における第2の回折格子12に入射する入射点Qの位置は、変化しないため、第1の光束L1の光路長を一定に保つことができる。その結果、第1の回折格子11が第1の方向X、第2の方向Y及び第3の方向Zに移動しても第1の光束L1の光路長が変化しないため、第1の光束L1の光路長と第2の光束L2の光路長を常に一定に保つことができる。
【0062】
例えば、光源6の波長λが790nm、第1の回折格子11の格子ピッチdが1μm、第1の回折格子11への第1の光束L1の入射角度が0度、第2の回折格子12の格子ピッチdの場合、第1の回折格子11の回折角度θ≒52.2°、第2の回折格子12の回折角度φ≒45.9°となる。
【0063】
1−3.相対位置情報出力手段の構成例
次に、図4を参照して相対位置情報出力手段4の構成例について説明する。
図4は、本例の相対位置情報出力手段4を示すブロック図である。
【0064】
図4に示すように、相対位置情報出力手段4は、第1差動増幅器61aと、第2差動増幅器61bと、第1のA/D変換器62aと、第2のA/D変換器62bと、波形補正処理部63と、インクリメンタル信号発生器64とを有している。
【0065】
第1差動増幅器61aには、第1の受光素子31及び第2の受光素子32が接続されており、第2差動増幅器61bには、第3の受光素子33及び第4の受光素子34が接続されている。また、第1差動増幅器61aには、第1のA/D変換器62aが接続されており、第2差動増幅器61bには、第2のA/D変換器62bが接続されている。そして、第1のA/D変換器62a及び第2のA/D変換器62bは、波形補正処理部63と接続している。また、波形補正処理部63は、インクリメンタル信号発生器64に接続されている。
【0066】
第1差動増幅器61aは、第1の受光素子31及び第2の受光素子32から干渉信号を受信し、第2差動増幅器61bは、第3の受光素子33及び第4の受光素子34から干渉信号を受信する。第1差動増幅器61a及び第2差動増幅器61bは、それぞれ受信した干渉信号を差動増幅し、干渉信号の直流成分をキャンセルする。
【0067】
第1差動増幅器61aで差動増幅された信号は、第1のA/D変換器62aによってA/D変換され、波形補正処理部63によって信号振幅とオフセットと位相が補正される。この信号は、例えばA相のインクリメンタル信号としてインクリメンタル信号発生器64において演算される。
【0068】
また同様に、第2差動増幅器61bで差動増幅された信号は、第2のA/D変換器62bによってA/D変換される。そして、波形補正処理部63により信号振幅とオフセットと位相とが補正され、A相と位相が90度異なるB相のインクリメンタル信号としてインクリメンタル信号発生器64から出力される。
【0069】
こうして得られた2相のインクリメンタル信号は、図示しないパルス弁別回路等により正逆の判別が行われ、これにより、ヘッド3と被測定部材2との第1の方向X又は第3の方向Zの相対的な変位量が、プラス方向であるかマイナス方向であるかを検出できる。
【0070】
また、図示しないカウンタによってインクリメンタル信号のパルス数をカウントすることにより、第1の光束L1と第2の光束L2の干渉光強度が上述の周期の何周期分変化したのかを計測できる。これにより、変位検出装置1により被測定部材2とヘッド3との相対的な変位量(移動量)が検出される。
【0071】
なお、本例の相対位置情報出力手段4の出力する相対位置情報は、上述の2相のインクリメンタル信号であってもよいし、それから算出された変位量、変位方向を含む信号であってもよい。
【0072】
1−4.変位検出装置の動作例
次に、図1図3及び図4を参照して、上述した構成を有する変位検出装置1の動作例について説明する。
【0073】
図1に示すように、光源6から出射した光Lは、レンズ16によりコリメートされて平行光となる。レンズ16によりコリメートされた平行光Lは、光束分割部13に入射する。光束分割部13に入射した光は、第1の光束L1と第2の光束L2に分割される。上述したように、光束分割部13は、光のうちs偏光を反射し、p偏光を透過する。そのため、光束分割部13を透過したp偏光による第1の光束L1は、第1の位相板17に照射される。また、光束分割部13よって反射されたs偏光による第2の光束L2は、第2の位相板18に照射される。
【0074】
第1の光束L1の偏光方向は、p偏光であるため、第1の光束L1は、第1の位相板17を通過することで、進行方向を中心軸として第1の向きに回転する円偏光に変化する。また、第2の光束L2の偏光方向は、s偏光であるため、第2の光束L2は、第2の位相板18を通過することで、進行方向を中心軸として第2の向きに回転する円偏光に変化する。
【0075】
第1の位相板17を通過した第1の光束L1は、被測定部材2の被測定面2a、すなわち第1の回折格子11の照射点Pに垂直に入射する。そして、図3に示すように、第1の光束L1は、第1の回折格子11によって回折角度θで回折する。2回目の回折が行われた第1の光束L1は、第2の回折格子12に入射角度φで照射点Q(図1参照)に入射する。上述したように、第2の回折格子12は、ブラッグ条件を満たしているため、第1の光束L1は、第2の回折格子12によって回折角度φで回折する。
【0076】
第2の回折格子12によって回折された第1の光束L1は、物体用ミラー15に垂直に入射する。そして、第1の光束L1は、再び第2の回折格子12に向けて、物体用ミラー15によって反射される。第1の光束L1は、入射角度φで第2の回折格子12に入射する。このとき、第1の光束L1は、行き光路と同じ第2の回折格子12における照射点Qに入射する。そして、第2の回折格子12によって3回目の回折が行われ、第1の回折格子11に入射角度θで、行き光路と同じ照射点Pに入射する。
【0077】
このように、第1の回折格子11に対する行き光路の照射点Pと帰り光路の照射点Pを同じ1点にすることで、第1の回折格子11がチルトした際に生じる影響を小さくすることができる。また、第2の回折格子12に対する行き光路の照射点Qと帰り光路の照射点Qを同じ1点にすることで、同様の効果を得ることができる。さらに、さらに、2点の中心点を仮想測定点として検出する従来の変位検出装置よりも検出精度を向上させることができる。
【0078】
次に、第1の光束L1は、第1の回折格子11で4回目の回折が行われて、第1の位相板17に照射される。このときの第1の光束L1の偏光方向は、進行方向を中心軸として第1の向きに回転する円偏光である。そのため、第1の光束L1は、第1の位相板17によって、行きの偏光方向であるp偏光と直交するs偏光に変化する。
【0079】
一方、参照用ミラー14に照射された第2の光束L2は、参照用ミラー14で反射されて、再び第2の位相板18に照射される。このときの第2の光束L2の偏光方向は、進行方向を中心軸として第2の向きに回転する円偏光である。そのため、第2の光束L2は、第2の位相板18によって、行きの偏光方向であるs偏光と直交するp偏光に変化する。
【0080】
第1の位相板17を通過した第1の光束L1は、再び光束分割部13に入射し、第2の位相板18を通過した第2の光束L2は、再び光束分割部13に入射する。このとき、第1の光束L1の偏光方向は、s偏光であるため、光束分割部13によって反射されて受光部7に照射される。また、第2の光束L2の偏光方向は、p偏光であるため、光束分割部13を透過し、受光部7に照射される。そのため、受光部7には、互いに直交した直線偏光の第1の光束L1と第2の光束L2が重なり合った光束が入射する。
【0081】
光束は、集光レンズ21によって集光されて、ハーフミラー22に照射される。ハーフミラー22は、光束を2つの光に分割する。ハーフミラー22を透過した光束は、第1の偏光ビームスプリッタ24に入射する。
【0082】
ここで、第1の偏光ビームスプリッタ24は、互いに偏光方向が90度異なる第1の光束L1及び第2の光束L2の偏光方向が、第1の偏光ビームスプリッタ24の入射面に対してそれぞれ偏光方向が45度傾くように傾けて配置されている。これにより、第1の光束L1及び第2の光束L2は、第1の偏光ビームスプリッタ24に対してそれぞれp偏光成分とs偏光成分を有することになる。したがって、第1の偏光ビームスプリッタ24を透過した第1の光束L1及び第2の光束L2は、同じ偏光方向を有する偏光同士が干渉する。よって、第1の光束L1と第2の光束L2を第1の偏光ビームスプリッタ24によって干渉させることができる。
【0083】
同様に、第1の偏光ビームスプリッタ24によって反射される第1の光束L1及び第2の光束L2は、第1の偏光ビームスプリッタ24に対して同じ偏光方向を有する偏光同士が干渉する。そのため、第1の偏光ビームスプリッタ24によって干渉させることができる。
【0084】
第1の偏光ビームスプリッタ24を透過した第1の光束L1及び第2の光束L2との干渉光は、第1の受光素子31によって受光される。また、第1の偏光ビームスプリッタ24によって反射された第1の光束L1及び第2の光束L2との干渉光は、第2の受光素子32によって受光される。ここで、第1の受光素子31と第2の受光素子32とによって光電変換される干渉信号は、180度位相の異なる信号となる。
【0085】
そして、第1の受光素子31と第2の受光素子32によって得られる干渉信号は、A×cos(2×K1x+2×B×K2z+δ)の干渉信号が得られる。ここで、Aは、干渉の振幅であり、K1は、2π/dで示される第1の回折格子11の波数である。また、xは、第1の回折格子11の移動量、すなわちヘッド3と被測定部材2における第1の方向Xへの相対的な変位量を示している。一方、K2は、2π/dで示される第2の回折格子12の波数である。zは、第2の回折格子12に入射する第1の光束L1における第2の回折格子12の格子ベクトル方向の移動量を示している。なお、dは、第1の回折格子11の格子ピッチであり、dは、第2の回折格子12の格子ピッチである。また、δは、初期位相を示している。
【0086】
さらに、Bは、第2の回折格子12の格子ベクトル方向が第3の方向Zに対して傾斜角度θで傾斜することに伴う係数である。そして、第2の回折格子12のへの入射角度(ブラッグ条件では、回折角度も同じになる)をφとした場合、B=cosθ+sinθ×tanφで示すことができる。
【0087】
ここで、ヘッド3と被測定部材2が第1の方向Xに相対的にx/2だけ移動すると、第1の回折格子11に照射される第1の光束L1の照射点が第1の方向Xにx/2だけ移動する。すなわち、第1の光束L1は、第1の回折格子11上を第1の方向Xにx/2だけ移動する。そのため、第1の光束L1には、K1xの位相が加わり、1周期の光の明暗が生じる干渉光が第1の受光素子31と第2の受光素子32によって受光される。
【0088】
なお、ヘッド3と被測定部材2が第1の方向Xに相対的に移動しても、第1の光束L1における第2の回折格子12上での照射点は、変化しない。そのため、第1の光束L1には、第1の回折格子11によって回折された位相のみが加わる。
【0089】
また、ヘッド3と被測定部材2が第3の方向Zに相対的にZ/(2×B)だけ移動すると、第2の回折格子12に照射される第1の光束L1の照射点が第2の回折格子12の格子ベクトル方向にZ/2だけ移動する。すなわち、第1の光束L1は、第2の回折格子12上を格子ベクトル方向にZ/2だけ移動する。そのため、第1の光束L1には、K2zの位相が加わり、1周期の光の明暗が生じる干渉光が第1の受光素子31と第2の受光素子32によって受光される。
【0090】
なお、上述したように、第1の光束L1は、第3の方向Zと平行に第1の回折格子11に入射する。そのため、第1の光束L1は、第1の回折格子11に垂直に入射する。したがって、ヘッド3と被測定部材2が第3の方向Zに相対的に移動しても、第1の光束L1における第1の回折格子11上での照射点は、変化しない。そのため、第1の光束L1には、第2の回折格子12によって回折された位相のみが加わる。
【0091】
さらに、第1の回折格子11の回折角度θと、第2の回折格子12の回折角度φは、上記式5を満たす。そのため、ヘッド3と被測定部材2が第3の方向Zに相対的にΔZで移動しても、ΔZと図3に示すM1+M2の和が常に0になる。その結果、第1の光束L1の光路長が変化せず、ヘッド3と被測定部材2が第3の方向Zに相対的にΔZで移動しても、第1の光束L1における第2の回折格子12に入射する位置だけが変化する。
【0092】
ここで、上述したように、第1の受光素子31及び第2の受光素子32によって得られる干渉信号には、光源6の波長に関する成分が含まれていない。よって、気圧や湿度、温度の変化による光源の波長に変動が起きても干渉強度には、影響を受けない。
【0093】
一方、図1に示すように、ハーフミラー22を反射した光束は、受光側位相板23に入射する。互いに偏光方向が90度異なる直線偏光である第1の光束L1及び第2の光束L2からなる光束は、受光側位相板23を透過することにより、互いに逆回りの円偏光となる。そして、この互いに逆回りの円偏光は同一光路上にあるので、重ね合わされることにより直線偏光となり、第2の偏光ビームスプリッタ25に入射する。
【0094】
この直線偏光のs偏光成分は第2の偏光ビームスプリッタ25によって反射され、第3の受光素子33に受光される。また、p偏光成分は、第2の偏光ビームスプリッタ25を透過し、第4の受光素子34によって受光される。
【0095】
上述したように、第2の偏光ビームスプリッタ25に入射する直線偏光は、互いに逆回りの円偏光の重ね合わせによって生じている。そして、第2の偏光ビームスプリッタ25に入射される直線偏光の偏光方向は、ヘッド3と被測定部材2が第1の方向Xに相対的にd/2だけ移動すると1/2回転する。また、ヘッド3と被測定部材2が第1の方向Xに相対的にd/(2×B)だけ移動しても、第2の偏光ビームスプリッタ25に入射される直線偏光の偏光方向は、1/2回転する。
【0096】
したがって、第3の受光素子33と第4の受光素子34でも、第1の受光素子31及び第2の受光素子32と同様に、A×cos(2×K1x+2×B×K2z+δ’)の干渉信号が得られる。δ’は初期位相である。
【0097】
また、第3の受光素子33と第4の受光素子34とで光電変換される信号は、180度位相が異なる。
【0098】
なお、本例では、第1の偏光ビームスプリッタ24に対して、第3の受光素子33と第4の受光素子34に受光される光束を分割する第2の偏光ビームスプリッタ25を45度傾けて配置している。このため、第3の受光素子33と第4の受光素子34において得られる信号は、第1の受光素子31と第2の受光素子32において得られる信号に対し、90度位相がずれている。
【0099】
したがって、例えば第1の受光素子31と第2の受光素子32で得られる信号をsin信号、第3の受光素子33と第4の受光素子34で得られる信号をcos信号として用いることによりリサージュ信号を取得することができる。
【0100】
これらの受光素子によって得られる信号は、相対位置情報出力手段4によって演算され、ヘッド3と被測定部材2との相対的な変位量がカウントされる。これにより、ヘッド3と被測定部材2との相対的な変位量を検出することができる。
【0101】
本例の変位検出装置1では、変位検出部5の受光部7で得られる干渉信号には、第1の方向Xと第3の方向Zの変位情報が含まれる。そのため、ヘッド3と被測定部材2が第1の方向Xのみに相対的に移動する際の、ヘッド3と被測定部材2の第1の方向Xへの相対的な変位を検出する装置に適用できる。または、ヘッド3と被測定部材2が第3の方向Zのみに相対的に移動する際の、ヘッド3又は被測定部材2の第3の方向Zへの相対的な変位を検出する装置にも適用できる。すなわち、本例の変位検出装置1は、1つの装置で2通りの使用方法を有している。
【0102】
1−5.第2の回折格子の変形例
次に、図5A及び図5Bを参照して回折格子の変形例について説明する。
図5Aは第2の回折格子の変形例を示す断面図、図5Bは第2の回折格子の他の変形例を示す断面図である。
【0103】
図5Aに示す第2の回折格子12Mは、写真乾板を用いた、いわゆるボリュームタイプのホログラムである。吸収型のホログラムを用いてもよいが、ここでは位相型のホログラムについて説明する。この第2の回折格子12Mにおける格子部12bは、例えば次のようにして形成される。まず、ガラス基板12aの一面に光に感光する銀塩の乳剤を塗布し、干渉縞を露光し、現像後、漂白する。これにより、格子部12bには、銀の粒子が残っている箇所と、残っていない箇所が形成される。
【0104】
ここで、銀の粒子が残っている箇所は、屈折率が高く、銀の粒子が残っていない箇所は、屈折率が低くなる。すなわち、位相型のホログラムである。また、材料として写真乾板の代わりにホログラム記録用フォトポリマーを使用してもよい。
【0105】
図5Bに示す第2の回折格子12Nは、略透明なガラス基板12aの一面に例えばクロム(Cr)からなる格子部12cを形成したものである。一般的に、格子部12cは、ガラス基板12aの一面にクロム等の薄膜を真空蒸着によって形成されるため、その厚みは、1μm以下である。
【0106】
また、図5Aに示す第2の回折格子12M及び図5Bに示す第2の回折格子12Nにおいて、入射角度をφa、回折角度をφbとした場合、下記式6のブラッグ条件を満たすとき、φa=φbとなる。なお、nは、整数である。
[式6]
【0107】
また、図5Aに示す第2の回折格子12Mの場合、ブラッグ条件を満たすときに、第2の回折格子12Mによって回折される回折光の出力を最大にすることができる。すなわち、第2の回折格子12Mによって回折された回折光の光量が低下することを防ぐことができる。
【0108】
2.第2の実施の形態例
次に、図6及び図7を参照して第2の実施の形態例にかかる変位検出装置について説明する。
図6は、第2の実施の形態例にかかる変位検出装置の構成を示す概略構成図、図7は、第2の実施の形態例にかかる変位検出装置における相対位置情報出力手段を示すブロック図である。
【0109】
この第2の実施の形態例にかかる変位検出装置101は、第1の方向Xと第3の方向Zの2次元の変位情報を出力可能な変位検出装置である。そのため、ここでは、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0110】
図6に示すように、変位検出装置101は、第1の回折格子111が設けられた被測定部材2と、ヘッド3と、相対位置情報出力手段104とを備えている。ヘッド3と被測定部材2は、第1の方向Xと第3の方向Zの2方向に相対的に移動可能に構成されている。
【0111】
第1の回折格子111は、後述するヘッド103の第1変位検出部5A側では、回折光の向きが第1の方向Xの一側を向いている。また、第1の回折格子111は、後述するヘッド103の第2変位検出部5B側では、回折光の向きが第1の方向Xの他側を向いている。そのため、第1の回折格子111としては、ブレーズド回折格子を用いることが好ましい。
【0112】
ヘッド103は、第1変位検出部5Aと、第2変位検出部5Bと、光源6と、レンズ16と、光源側位相板106と、光分配部107とを備えている。第1変位検出部5Aは、ヘッド3の第1の方向Xの一側に配置され、第2変位検出部5Bは、ヘッド3の第1の方向Xの他側に配置されている。
【0113】
そして、第1変位検出部5Aと第2変位検出部5Bにおける第1の方向Xの間には、光源6、レンズ16、光源側位相板106及び光分配部107が配置されている。光源側位相板106は、光源6から出射された光Lの偏光軸を調整し、例えば、光軸に対して45°傾いた円偏光に調整する。
【0114】
光源側位相板106を通過した光Lは、光分配部107に照射される。光分配部107は、例えば、ミラー107aと、ハーフミラー107bにより構成されている。ハーフミラー107bは、ミラー107aよりも光源6側に配置されている。
【0115】
ハーフミラー107bにおける第1の方向Xの他側への反射率は、50%に設定されている。そのため、ハーフミラー107bは、光源側位相板106を通過した光Lを第3の方向Zにおけるミラー107a側と第1の方向Xの他側に向けて等しく分配する。そして、ハーフミラー107bを反射した光LBは、第2変位検出部5Bの光束分割部13Bに向けて照射される。
【0116】
ハーフミラー107bを透過した光LAは、ミラー107aに入射される。ミラー107aは、入射した光LAを第1変位検出部5Aの光束分割部13Aに向けて反射する。
【0117】
第1変位検出部5Aは、第1の実施の形態例にかかる変位検出部5と同様に、受光部7Aと、第2の回折格子12Aと、光束分割部13Aと、参照用ミラー14Aと、物体用ミラー15Aと、第1の位相板17Aと、第2の位相板18Aと、を備えている。受光部7Aは、相対位置情報出力手段104の第1相対位置情報出力部4Aに接続されている。そして、受光部7Aは、得られた干渉信号を第1相対位置情報出力部4Aに送信する。
【0118】
第1変位検出部5Aの受光部7Aは、下記式7に示す干渉信号を得る。ここで、A1は、干渉の振幅である。
[式7]
【0119】
第2変位検出部5Bは、第1の実施の形態例にかかる変位検出部5と同様に、受光部7Bと、第2の回折格子12Bと、光束分割部13Bと、参照用ミラー14Bと、物体用ミラー15Bと、第1の位相板17Bと、第2の位相板18Bと、を備えている。受光部7Bは、相対位置情報出力手段104の第2相対位置情報出力部4Bに接続されている。そして、受光部7Bは、得られた干渉信号を第2相対位置情報出力部4Bに送信する。
【0120】
また、第2変位検出部5Bを構成する第2の回折格子12B、光束分割部13B、参照用ミラー14B、物体用ミラー15B、第1の位相板17B及び第2の位相板18Bは、第1変位検出部5Aに対して第1の方向Xに沿って反転して配置されている。
【0121】
第2変位検出部5Bの受光部7Bは、下記式8に示す干渉信号を得る。ここで、A2は、干渉の振幅である。
[式8]
【0122】
上記式7と式8に示すように、第1変位検出部5Aの受光部7Aと、第2変位検出部5Bの受光部7Bが得られる干渉信号における第1の方向Xの変位情報は、正負が異なっている。
【0123】
図7に示すように、相対位置情報出力手段104は、第1相対位置情報出力部4Aと、第2相対位置情報出力部4Bと、演算部114とを有している。上述したように、第1変位検出部5Aの受光部7Aと、第2変位検出部5Bの受光部7Bが得られる干渉信号における第1の方向Xの変位情報は、正負が異なっている。
【0124】
そのため、第1相対位置情報出力部4Aからの変位情報Aと、第2相対位置情報出力部4Bからの変位情報Bを足し合わせるころで、第3の方向Zの変位情報のみを取り出すことができる。また、第1相対位置情報出力部4Aの変位情報Aから第2相対位置情報出力部4Bの変位情報Bを引くことで、第1の方向Xの変位情報のみを取り出すことができる。
【0125】
そして、演算部114は、第1相対位置情報出力部4Aからの変位情報Aと、第2相対位置情報出力部4Bからの変位情報Bを足し合わせて、2で割ることで、ヘッド103と被測定部材2との第3の方向Zへの相対位置の変位情報を演算している。また、演算部114は、第1相対位置情報出力部4Aの変位情報Aから第2相対位置情報出力部4Bの変位情報Bを引き、2で割ることで、ヘッド103と被測定部材2との第1の方向Xの変位情報を演算している。
【0126】
これにより、第2の実施の形態例にかかる変位検出装置101によれば、第1の方向Xと第3の方向Zの2次元の変位情報を出力することができる。
【0127】
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる変位検出装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する変位検出装置101によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と同様の作用効果を得ることができる。
【0128】
3.第3の実施の形態例
次に、図8図12を参照して第3の実施の形態例にかかる変位検出装置について説明する。
図8は、第3の実施の形態例に係る変位検出装置の構成を示す概略構成図である。図9は、第3の実施の形態例に係る変位検出装置における第1変位検出部及び第2変位検出部の構成を示す概略構成図である。図10は、第3の実施の形態例に係る変位検出装置における第3変位検出部及び第4変位検出の構成を示す概略構成図である。図11は、第3の実施の形態例に係る変位検出装置における相対位置情報出力手段を示すブロック図である。図12A及び図12Bは、第3の実施の形態例に係る変位検出装置における第1の回折格子を示すものである。
【0129】
この第2の実施の形態例にかかる変位検出装置101は、第1の方向Xと、第3の方向Zと、第1の方向X及び第3の方向Zとも直交する第2の方向Yの3次元の変位情報を出力可能な変位検出装置である。そのため、ここでは、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0130】
図8図9及び図10に示すように、変位検出装置201は、第1の回折格子211が設けられた被測定部材202と、ヘッド203と、相対位置情報出力手段204とを備えている。ヘッド203と、被測定部材202は、第1の方向X、第2の方向Y及び第3の方向Zの3方向に相対的に移動可能に構成されている。
【0131】
図12A及び図12Bに示すように、被測定部材202は、平板状に形成されている。被測定部材202の被測定面202aには、第1の回折格子211が設けられている。第1の回折格子211は、第1の方向Xと平行をなす第1格子ベクトル方向と、第2の方向Yと平行をなす第2格子ベクトル方向を有している。
【0132】
また、第1の回折格子211は、複数の突起211aにより構成されている。複数の突起211aは、被測定面202aから第3の方向Zに向けて突出している。この複数の突起211aは、第1の方向Xと平行をなす第1格子ベクトル方向と、第2の方向Yと平行をなす第2格子ベクトル方向に沿ってそれぞれ間隔を空けて格子状に配置されている。
【0133】
なお、第3の実施の形態例にかかる第1の回折格子211を複数の突起211aにより構成した例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、被測定部材202の被測定面202aに形成された複数の凹部によって第1の回折格子211を構成してもよい。
【0134】
図8図9及び図10に示すように、ヘッド203は、第1変位検出部5Aと、第2変位検出部5Bと、第3変位検出部5Cと、第4変位検出部5Dと、光源6と、レンズ16と、光源側位相板106と、光分配部207とを備えている。第1変位検出部5Aは、ヘッド3の第1の方向Xの一側に配置され、第2変位検出部5Bは、ヘッド3の第1の方向Xの他側に配置されている。また、第3変位検出部5Cは、ヘッド3の第2の方向Yの一側に配置され、第4変位検出部5Dは、ヘッド3の第2の方向Yの他側に配置されている。
【0135】
第1変位検出部5A、第2変位検出部5B、第3変位検出部5C及び第4変位検出部5Dの間には、光源6、レンズ16、光源側位相板106及び光分配部207が配置されている。すなわち、光源6、レンズ16、光源側位相板106及び光分配部207は、ヘッド3における第1の方向X及び第2の方向Yの中心部に配置されている。
【0136】
光分配部207は、ミラー207aと、第1ハーフミラー207bと、第2ハーフミラー207cと、第3ハーフミラー207dとを有している。光分配部207は、第3の方向Zにおける被測定部材202側から、第3の方向Zに沿ってミラー207a、第1ハーフミラー207b、第2ハーフミラー207c、第3ハーフミラー207d順に配置されている。すなわち、第3ハーフミラー207dが光源6側に配置される。
【0137】
第3ハーフミラー207dにおける第2の方向Yの他側への反射率は、25%に設定されている。第2ハーフミラー207cにおける第2の方向Yの一側への反射率は、33.3%に設定されている。そして、第1ハーフミラー207bにおける第1の方向Xの他側への反射率は、50%に設定されている。
【0138】
第3ハーフミラー207dを反射した光LDは、第4変位検出部5Dの光束分割部13Dに向けて照射される。第3ハーフミラー207dを透過し、第2ハーフミラー207cを反射した光LCは、第3変位検出部5Cの光束分割部13Cに向けて照射される。第3ハーフミラー207d及び第2ハーフミラー207cを透過し、第1ハーフミラー207bを反射した光LBは、第2変位検出部5Bの光束分割部13Bに向けて照射される。そして、第3ハーフミラー207d、第2ハーフミラー207c及び第1ハーフミラー207bを透過した光LAは、ミラー207aによって第1変位検出部5Aの光束分割部13Aに向けて反射する。
【0139】
なお、光分配部207は、無偏光特性である場合、光分配部207から各変位検出部5A、5B、5C、5Dの光束分割部13A、13B、13C、13Dまでの空間に光の偏光軸を調整する位相板等を設ける必要がなくなる。そのため、変位検出装置201の構成の簡略化を図ることができる。
【0140】
なお、第1変位検出部5A及び第2変位検出部5Bは、第2の実施の形態例に係る第1変位検出部5A及び第2変位検出部5Bと同様の構成を有しているため、その説明は省略する。
【0141】
なお、第1変位検出部5Aの受光部7Aは、下記式9に示す干渉信号を得る。ここで、A1は、干渉の振幅である。
[式9]
【0142】
また、第2変位検出部5Bの受光部7Bは、下記式10に示す干渉信号を得る。ここで、A2は、干渉の振幅である。
[式10]
【0143】
第3変位検出部5Cは、第1の実施の形態例にかかる変位検出部5と同様に、受光部7Cと、第2の回折格子12Cと、光束分割部13Cと、参照用ミラー14Cと、物体用ミラー15Cと、第1の位相板17Cと、第2の位相板18Cと、を備えている。また、第2の回折格子12Cの格子ベクトル方向は、第2の方向Yと第3の方向Zで形成される平面上に存在する。受光部7Cは、相対位置情報出力手段204の第3相対位置情報出力部4Cに接続されている。そして、受光部7Cは、得られた干渉信号を第3相対位置情報出力部4Cに送信する。
【0144】
第3変位検出部5Cの受光部7Cは、下記式11に示す干渉信号を得る。ここで、A3は、干渉の振幅である。yは、第1の回折格子211の移動量、すなわちヘッド203と被測定部材202における第2の方向Yへの相対的な変位量を示している。
[式11]
【0145】
第4変位検出部5Dは、第1の実施の形態例にかかる変位検出部5と同様に、受光部7Dと、第2の回折格子12Dと、光束分割部13Dと、参照用ミラー14Dと、物体用ミラー15Dと、第1の位相板17Dと、第2の位相板18Dと、を備えている。また、第2の回折格子12Cの格子ベクトル方向は、第2の方向Yと第3の方向Zで形成される平面上に存在する。受光部7Dは、相対位置情報出力手段204の第4相対位置情報出力部4Dに接続されている。そして、受光部7Dは、得られた干渉信号を第4相対位置情報出力部4Dに送信する。
【0146】
また、第4変位検出部5Dを構成する第2の回折格子12D、光束分割部13D、参照用ミラー14D、物体用ミラー15D、第1の位相板17D及び第2の位相板18Dは、第1変位検出部5Aに対して第2の方向Yに沿って反転して配置されている。
【0147】
第4変位検出部5Dの受光部7Dは、下記式12に示す干渉信号を得る。ここで、A4は、干渉の振幅である。
[式12]
【0148】
図11に示すように、相対位置情報出力手段204は、第1相対位置情報出力部4Aと、第2相対位置情報出力部4Bと、第3相対位置情報出力部4Cと、第4相対位置情報出力部4Dと、演算部214とを有している。
【0149】
上述したように、第1変位検出部5Aの受光部7Aと、第2変位検出部5Bの受光部7Bが得られる干渉信号における第1の方向Xの変位情報は、正負が異なっている。また、第3変位検出部5Cの受光部7Cと、第4変位検出部5Dの受光部が得られる第2の方向Yの変位情報は、正負が異なっている。
【0150】
そのため、第1相対位置情報出力部4Aの変位情報Aから第2相対位置情報出力部4Bの変位情報Bを引くことで、第1の方向Xの変位情報のみを取り出すことができる。また、第3相対位置情報出力部4Cの変位情報Cから第4相対位置情報出力部4Dの変位情報Dを引くことで、第2の方向Yの変位情報のみを取り出すことができる。そして、第1相対位置情報出力部4A、第2相対位置情報出力部4B、第3相対位置情報出力部4C及び第4相対位置情報出力部4Dの全ての変位情報A、B、C、Dを足し合わせることで、第3の方向Zの変位情報のみを取り出すことができる。
【0151】
そして、演算部214は、第1相対位置情報出力部4A、第2相対位置情報出力部4B、第3相対位置情報出力部4C、第4相対位置情報出力部4Dの全ての変位情報A、B、C、Dを足し合わせて、4で割ることで、ヘッド103と被測定部材202との第3の方向Zへの相対位置の変位情報を演算している。
【0152】
また、演算部214は、第1相対位置情報出力部4Aの変位情報Aから第2相対位置情報出力部4Bの変位情報Bを引き、2で割ることで、ヘッド103と被測定部材202との第1の方向Xの変位情報を演算している。演算部214は、第3相対位置情報出力部4Cの変位情報Cから第4相対位置情報出力部4Dの変位情報Dを引き、2で割ることで、ヘッド103と被測定部材202との第2の方向Yの変位情報を演算している。
【0153】
これにより、第3の実施の形態例にかかる変位検出装置201によれば、第1の方向Xと、第2の方向Yと、第3の方向Zの3次元の変位情報を出力することができる。
【0154】
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる変位検出装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する変位検出装置201によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と同様の作用効果を得ることができる。
【0155】
また、第4の実施の形態例では、第1の回折格子211の第1格子ベクトル方向と第2格子ベクトル方向が直交する例を説明したが、これに限定されるものではない。第1格子ベクトル方向と第2格子ベクトル方向は直交しなくてもよく、被測定部材202の被測定面202a上で互いに交差すればよい。そして、第1変位検出部5A及び第2変位検出部5Bは、第1格子ベクトル方向に沿って配置され、第3変位検出部5C及び第4変位検出部5Dは、第2格子ベクトル方向に沿って配置される。
【0156】
4.第4の実施の形態例
次に、図13及び図14を参照して第4の実施の形態例にかかる変位検出装置について説明する。
図13は、第4の実施の形態例にかかる変位検出装置の構成を示す概略構成図、図14は、第4の実施の形態例にかかる変位検出装置における第1の回折格子と第2の回折格子の入射角度及び回折角度の関係を示す説明図である。
【0157】
この第4の実施の形態例にかかる変位検出装置301が、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と異なる点は、第1の光束L1が第1の回折格子に対して垂直に入射しない点と、第2の回折格子がブラッグ条件を満たさない点である。そのため、ここでは、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0158】
図13に示すように、変位検出装置301は、不図示のヘッドと、被測定部材2に設けられた第1の回折格子11と、相対位置情報出力手段304とを備えている。また、ヘッド内には、光源6と、受光部7と、レンズ16と、光束分割部313と、第2の回折格子312と、参照用ミラー314と、物体用ミラー315と、第1の位相板317と、第2の位相板318が配置されている。
【0159】
この第4の実施の形態例にかかる変位検出装置301では、第1の光束L1が第1の回折格子に対して垂直に入射しない。そのため、光源6、レンズ16、光束分割部313、第2の回折格子312、参照用ミラー314、物体用ミラー315、第1の位相板317、及び第2の位相板318は、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1とは異なる位置に配置される。
【0160】
なお、参照用ミラー314は、第2の光束L2の光路長が、第1の光束L1の光路長と同一になる位置に配置されている。また、参照用ミラー314は、光束分割部313から照射された第2の光束L2が垂直に入射する位置に配置されている。さらに、物体用ミラー315は、第2の回折格子312で回折された第1の光束L1が垂直に入射する位置に配置されている。
【0161】
次に、図14を参照して、第1の回折格子11の入射角度θ及び回折角度θと、第2の回折格子12への入射角度θ及び回折角度θの関係について説明する。
図14に示すように、第1の回折格子11が第3の方向Zに沿って上方、すなわちヘッドに接近する向きに長さΔZ移動すると、第1の光束L1における第1の回折格子11に入射する位置は、入射点P1から入射点P2に変化する。そのため、第1の光束L1が第1の回折格子11に入射する時点で、第1の光束L1の光路長は、長さΔM短くなる。
【0162】
また、第1の回折格子11が第3の方向Zに沿って上方、すなわちヘッドに接近する向きに長さΔZ移動すると、第1の光束L1における第2の回折格子312に入射する位置は、入射点Q1から入射点Q2に変化する。そして、第1の回折格子11の入射点P2から第2の回折格子312の入射点Q2までの光路長は、第1の回折格子11が第3の方向Zに移動していない時の第1の回折格子11の入射点P1から第2の回折格子312の入射点Q1までの光路長よりも長さM1だけ長くなる。さらに、第2の回折格子312の入射点Q2から物体用ミラー315までの距離は、第1の回折格子11が第3の方向Zに移動していない時の第2の回折格子312の入射点Q1から物体用ミラー315までの光路長よりも長さM2だけ長くなる。
【0163】
そのため、ΔZ=M1+M2を満たせば、第1の回折格子11が第3の方向Zに移動しても第1の光束L1の光路長は、一定となる。また、ΔZ=M1+M2を満たす条件は、第1の回折格子11への入射角度θ、第1の回折格子11の回折角度θ、第2の回折格子312への入射角度θ、第2の回折格子312の回折角度θから下記式13を示すことができる。
[式13]
【0164】
したがって、第1の回折格子11の回折角度θと第2の回折格子312の回折角度θは、上記式13を満たす。これにより、第1の回折格子11が第3の方向Zに移動しても第1の光束L1の光路長を一定にすることができる。なお、第1の光束L1が物体用ミラー315によって反射し、光束分割部313に戻る光路にも適用できる。従って、第1の光束L1における帰り光路の光路長も常に一定にすることができる。
【0165】
なお、第1の光束L1におけるだ第1の回折格子11への入射が垂直の場合、θ=0°。第2の回折格子312がブラッグ条件を満たすのであれば、θ=θ=φとなる。その結果、上記式13は、上記式5に変換される。
【0166】
また、受光部7の受光素子は、下記式14のような干渉信号を得る。
[式14]
【0167】
K1は、2π/dで示される第1の回折格子11の波数である。また、xは、第1の回折格子11の移動量、すなわちヘッド3と被測定部材2における第1の方向Xへの相対的な変位量を示している。一方、K2は、2π/dで示される第2の回折格子12の波数である。zは、第2の回折格子12に入射する第1の光束L1における第2の回折格子12の格子ベクトル方向の移動量を示している。なお、dは、第1の回折格子11の格子ピッチであり、dは、第2の回折格子12の格子ピッチである。また、δは、初期位相を示している。
【0168】
さらに、Bは、第2の回折格子12の格子ベクトル方向が、第1の光束L1が第1の回折格子11に入射する方向に対して、傾斜角度θで傾斜することに伴う係数である。この傾斜角度θは、第1の回折格子11への入射角度θ、第1の回折格子11の回折角度θ、第2の回折格子312への入射角度θと、θ=θ+θ+θ−90°の関係を有している。
【0169】
このように、第1の光束L1が第1の回折格子11に対して垂直に入射せずに、かつ第2の回折格子312がブラッグ条件を満たしていなくても、第1の回折格子11の回折角度θと第2の回折格子312の回折角度θが上記式13を満たしていれば、第1の光束L1の光路長が変化することがない。
【0170】
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる変位検出装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する変位検出装置301によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と同様の作用効果を得ることができる。
【0171】
5.第5の実施の形態例
次に、図15を参照して第5の実施の形態例にかかる変位検出装置について説明する。
図15は、第5の実施の形態例にかかる変位検出装置の構成を示す概略構成図である。
【0172】
この第5の実施の形態例にかかる変位検出装置401は、ヘッド3又は被測定部材2における第3の方向Zだけの相対的な変位を検出するものである。そのため、ここでは、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0173】
図15に示すように、変位検出装置401は、被測定部材2に設けられた第1の回折格子11と、ヘッド403と、相対位置情報出力手段404とを備えている。
【0174】
ヘッド403は、変位検出部405と、光源6と、変位検出部405に設けられた受光部7とを有している。また、変位検出部405は、第2の回折格子12と、光束分割部13と、物体用ミラー15と、第1の位相板17と、を有している。なお、第2の回折格子12、物体用ミラー15及び第1の位相板17は、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と同様の構成を有しているため、その説明は省略する。
【0175】
また、ヘッド403は、光束結合部413と、第3の回折格子412と、第1の参照用反射部材414aと、第2の参照用反射部材414bと、第2の物体用ミラー415と、第3の位相板417とを有している。第1の参照用反射部材414aと第2の参照用反射部材414bは、ヘッド3における第1の方向Xの両側において、互いに対向する位置に配置されている。第1の参照用反射部材414a及び第2の参照用反射部材414bは、三角度形のプリズムにより構成されている。このように、参照用反射部材としては、ミラーに限定されるものではなく、プリズム等その他各種の光学部品を適用できるものである。
【0176】
光束分割部13を反射した参照光である第2の光束L2は、第1の参照用反射部材414aに向かって照射される。そして、第1の参照用反射部材414aは、入射した第2の光束L2を第2の参照用反射部材414bに向けて反射する。そして、第2の参照用反射部材414bは、入射した第2の光束L2を光束結合部413に向けて反射する。
【0177】
光束結合部413、第3の回折格子412、第2の物体用ミラー415及び第3の位相板417は、光束分割部13、第2の回折格子12、物体用ミラー15及び第1の位相板17よりも第1の方向Xの片側に配置されている。具体的には、光束結合部413、第3の回折格子412、第2の物体用ミラー415及び第3の位相板417は、光束分割部13、第2の回折格子12、物体用ミラー15及び第1の位相板17に対して第1の方向Xに沿って反転した位置に配置されている。
【0178】
第1の回折格子11の第1照射点PAに入射し、第1の回折格子11と第2の回折格子12で2回ずつ回折して、再び光束分割部13に戻った第1の光束L1は、光束分割部13によって反射されて光束結合部413に向けて照射される。光束結合部413は、入射した第1の光束L1を再び被測定部材2の第1の回折格子11に向けて反射させる。すなわち、光束結合部413は、再反射部としての役割を有している・
【0179】
光束結合部413を反射した第1の光束L1は、第3の位相板417を通過し、その偏光方向が円偏光に変化する。そして、第3の位相板417を通過した、第1の光束L1は、第1の回折格子11の第2照射点PBに入射する。第1の光束L1は、第1の回折格子11によって回折される。なお、第2照射点PBでの回折方向の向きは、第1照射点PAでの回折方向の向きとは第1の方向Xにおいて反対側を向いている。すなわち、第2照射点PBでの回折方向の向きは、第1照射点PAでの回折方向の向きと反転している。
【0180】
第1の回折格子11で回折された第1の光束L1は、第3の回折格子412に入射する。そして、第1の光束L1は、第3の回折格子412で回折され、第2の物体用ミラー415に入射する。第1の光束L1は、第2の物体用ミラー415によって反射されて、再び第3の回折格子412に入射する。そして、第1の光束L1は、第3の回折格子412で再び回折されて、第1の回折格子11に入射する。
【0181】
なお、第3の回折格子412の格子ピッチや回折角度は、第2の回折格子12の格子ピッチd、や回折角度φと同じである。また、第3の回折格子412と第2の物体用ミラー415の位置関係は、第2の回折格子12と物体用ミラー15の位置関係を対して第1の方向Xに沿って反転させたものであり、第3の方向Zでの位置関係は同じである。そのため、これらの説明は省略する。
【0182】
そして、第1の回折格子11に入射した第1の光束L1は、第1の回折格子11に回折されて、第3の位相板417及び光束結合部413に向けて照射される。なお、第1の光束L1は、第1の回折格子11だけで4回、回折されるが、そのうち2回の回折方向の向きが反転している。そのため、第1の光束L1における第1の回折格子11で回折された位相がキャンセルされる。
【0183】
光束結合部413に入射した第1の光束L1は、光束結合部413を透過する。また、光束結合部413に入射した第2の光束L2は、光束結合部413を反射する。これにより、第1の光束L1と第2の光束L2は、光束結合部413におって重なり合う。そして、第1の光束L1と第2の光束L2は、互いに直交するs偏光とp偏光として重なり合い、受光部7に照射される。
【0184】
光束分割部13によって分割された第1の光束L1と第2の光束L2における光束分割部13から光束結合部413までの光路長は、等しく設定されている。
【0185】
受光部7は、第1の実施の形態例にかかる受光部7と同様の構成を有しているため、その説明は、省略する。なお、受光部7では、A×cos(4×B×K2z+δ)の干渉信号が得られる。ここで、Aは、干渉の振幅であり、K2は、2π/dで示される第2の回折格子12の波数である。zは、第2の回折格子12に入射する第1の光束L1における第2の回折格子12の格子ベクトル方向の移動量を示している。なお、dは、第1の回折格子11の格子ピッチであり、dは、第2の回折格子12の格子ピッチである。また、δは、初期位相を示している。
【0186】
さらに、Bは、第2の回折格子12の格子ベクトル方向が第3の方向Zに対して傾斜角度θで傾斜することに伴う係数である。そして、第2の回折格子12のへの入射角度(ブラッグ条件では、回折角度も同じになる)をφとした場合、B=cosθ+sinθ×tanφで示すことができる。
【0187】
このように、受光部7で得られる干渉信号には、第3の方向Zの変位情報だけとなる。これにより、第5の実施の形態例にかかる変位検出装置401によれば、ヘッド3又は被測定部材2における第3の方向Zだけの相対的な変位を検出することができる。
【0188】
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる変位検出装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する変位検出装置401によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と同様の作用効果を得ることができる。
【0189】
6.第6の実施の形態例
次に、図16及び図17を参照して第6の実施の形態例にかかる変位検出装置について説明する。
図16は、第6の実施の形態例にかかる変位検出装置の構成を示す概略構成図、図17は、第6の実施の形態例にかかる変位検出装置における第1の回折格子と第2の回折格子の入射角度及び回折角度の関係を示す説明図である。
【0190】
この第6の実施の形態例にかかる変位検出装置501が、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と異なる点は、第2の回折格子として反射型の回折格子を用いた点である。そのため、ここでは、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0191】
図16に示すように、変位検出装置501は、ヘッド503と、第1の回折格子11が設けられた被測定部材2と、相対位置情報出力手段504とを備えている。ヘッド503は、変位検出部505と、光源6と、変位検出部505に設けられた受光部7とを有している。
【0192】
また、変位検出部505は、第2の回折格子512と、光束分割部13と、第1の位相板17と、第2の位相板18と、参照用ミラー14と、を有している。なお、光束分割部13、参照用ミラー14、第1の位相板17及び第2の位相板18は、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と同様の構成を有しているため、その説明は省略する。
【0193】
第2の回折格子512は、入射した第1の光束L1を反射し、かつ回折する反射型の回折格子である。そして、第2の回折格子512は、第1の回折格子11によって回折された第1の光束L1を、再び第1の回折格子11に向けて反射し、回折する。そのため、第6の実施の形態例にかかる変位検出装置501では、第2の回折格子512が物体用反射部材としての役割を有している。その結果、物体用反射部材として新たにミラーやプリズム等を設ける必要がなくなり、部品点数を削減することができる。
【0194】
次に、図17を参照して、第1の回折格子11の入射角度θ及び回折角度θと、第2の回折格子512への入射角度θ及び回折角度θの関係について説明する。
図17に示すように、第1の回折格子11が第3の方向Zに沿って上方、すなわちヘッドに接近する向きに長さΔZ移動すると、第1の光束L1における第1の回折格子11に入射する位置は、入射点P1から入射点P2に変化する。そのため、第1の光束L1が第1の回折格子11に入射する時点で、第1の光束L1の光路長は、長さΔM短くなる。
【0195】
また、第1の回折格子11が第3の方向Zに沿って上方、すなわちヘッドに接近する向きに長さΔZ移動すると、第1の光束L1における第2の回折格子512に入射する位置は、入射点Q1から入射点Q2に変化する。そして、第1の回折格子11の入射点P2から第2の回折格子512の入射点Q2までの光路長は、第1の回折格子11が第3の方向Zに移動していない時の第1の回折格子11の入射点P1から第2の回折格子512の入射点Q1までの光路長よりも長さM1だけ長くなる。
【0196】
そのため、ΔM=M1を満たせば、第1の回折格子11が第3の方向Zに移動しても第1の光束L1の光路長は、一定となる。また、ΔZ=M1を満たす条件は、第1の回折格子11への入射角度θ、第1の回折格子11の回折角度θ、第2の回折格子512への入射角度(回折角度)θとすると、θ=θで、かつθ+θ=90°で表すことができる。
【0197】
したがって、1の回折格子11への入射角度θ、第1の回折格子11の回折角度θ、第2の回折格子512への入射角度(回折角度)θは、θ=θで、かつθ+θ=90°を満たす。これにより、第1の回折格子11が第3の方向Zに移動しても第1の光束L1の光路長を一定にすることができる。
【0198】
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる変位検出装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する変位検出装置501によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と同様の作用効果を得ることができる。
【0199】
7.第7の実施の形態例
次に、図18及び図19を参照して第7の実施の形態例にかかる変位検出装置について説明する。
図18は、第7の実施の形態例にかかる変位検出装置の構成を示す概略構成図、図19は、第7の実施の形態例にかかる変位検出装置における第1の回折格子と第2の回折格子の入射角度及び回折角度の関係を示す説明図である。
【0200】
この第7の実施の形態例にかかる変位検出装置601は、第6の実施の形態例にかかる変位検出装置501と同様に、第2の回折格子として反射型の回折格子を用いたものである。そのため、ここでは、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と共通する部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0201】
図18に示すように、変位検出装置601は、ヘッド603と、第1の回折格子11が設けられた被測定部材2と、相対位置情報出力手段4とを備えている。ヘッド603は、変位検出部605と、光源6と、変位検出部605に設けられた受光部7とを有している。
【0202】
また、変位検出部505は、第2の回折格子612と、光束分割部13と、第1の位相板17と、第2の位相板18と、参照用ミラー14と、物体用ミラー615と、を有している。なお、光束分割部13、参照用ミラー14、第1の位相板17及び第2の位相板18は、第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と同様の構成を有しているため、その説明は省略する。
【0203】
第2の回折格子612は、入射した第1の光束L1を反射し、かつ回折する反射型の回折格子である。そして、第2の回折格子612は、第1の回折格子11によって回折された第1の光束L1を、物体用ミラー615に向けて反射し、回折する。物体用ミラー615は、入射した第1の光束L1を再び第2の回折格子612に向けて反射させる。
【0204】
この第7の実施の形態例にかかる変位検出装置601では、第6の実施の形態例にかかる変位検出装置501に対して物体用ミラー615が追加されている。しかしながら、物体用ミラー615を設けることで、第1の光束L1の光路長と第2の光束L2の光路長を一致させる作業を容易に行うことができる。
【0205】
次に、図19を参照して、第1の回折格子11の入射角度θ及び回折角度θと、第2の回折格子12への入射角度θ及び回折角度θの関係について説明する。
図19に示すように、第1の回折格子11が第3の方向Zに沿って上方、すなわちヘッドに接近する向きに長さΔZ移動すると、第1の光束L1における第1の回折格子11に入射する位置は、入射点P1から入射点P2に変化する。そのため、第1の光束L1が第1の回折格子11に入射する時点で、第1の光束L1の光路長は、長さΔM短くなる。
【0206】
また、第1の回折格子11が第3の方向Zに沿って上方、すなわちヘッドに接近する向きに長さΔZ移動すると、第1の光束L1における第2の回折格子612に入射する位置は、入射点Q1から入射点Q2に変化する。そして、第1の回折格子11の入射点P2から第2の回折格子612の入射点Q2までの光路長は、第1の回折格子11が第3の方向Zに移動していない時の第1の回折格子11の入射点P1から第2の回折格子612の入射点Q1までの光路長よりも長さM1だけ長くなる。さらに、第2の回折格子612の入射点Q2から物体用ミラー615までの距離は、第1の回折格子11が第3の方向Zに移動していない時の第2の回折格子612の入射点Q1から物体用ミラー615までの光路長よりも長さM2だけ長くなる。
【0207】
そのため、ΔZ=M1+M2を満たせば、第1の回折格子11が第3の方向Zに移動しても第1の光束L1の光路長は、一定となる。また、ΔZ=M1+M2を満たす条件は、第1の回折格子11への入射角度θ、第1の回折格子11の回折角度θ、第2の回折格子612への入射角度θ、第2の回折格子612の回折角度θから上記式13を示すことができる。
【0208】
したがって、第1の回折格子11の回折角度θと第2の回折格子612の回折角度θは、上記式13を満たす。これにより、第1の回折格子11が第3の方向Zに移動しても第1の光束L1の光路長を一定にすることができる。
【0209】
なお、第6の実施の形態例にかかる第2の回折格子512及び第7の実施の形態例にかかる第2の回折格子612としては、例えば、溝の断面形状を鋸歯状に形成した、いわゆるブレーズド回折格子を用いることが好ましい。これにより、特定の波長に対して回折効率を高めることができる。
【0210】
その他の構成は、第1の実施の形態にかかる変位検出装置1と同様であるため、それらの説明は省略する。このような構成を有する変位検出装置601によっても、上述した第1の実施の形態例にかかる変位検出装置1と同様の作用効果を得ることができる。
【0211】
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。上述した実施の形態例では、光源から照射される光は、気体中だけでなく、液体中又は真空中の空間を飛ばして光を供給するようにしてもよい。
【0212】
なお、本明細書において、「平行」及び「直交」等の単語を使用したが、これらは厳密な「平行」及び「直交」のみを意味するものではなく、「平行」及び「直交」を含み、さらにその機能を発揮し得る範囲にある、「略平行」や「略直交」の状態であってもよい。
【符号の説明】
【0213】
1…変位検出装置、 2…被測定部材、 2a…被測定面、 3…ヘッド、 4…相対位置情報出力手段、 5…変位検出部、 6…光源、 7…受光部、 11…第1の回折格子、 12…第2の回折格子、 13…光束分割部(光束結合部)、 14…参照用ミラー(参照用反射部材)、 15…物体用ミラー(物体用反射部材)、 17…第1の位相板 18…第2の位相板、 L1…第1の光束、 L2…第2の光束
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【手続補正書】
【提出日】2017年6月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正の内容】
図1
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正の内容】
図6
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正の内容】
図9
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正の内容】
図10
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図15
【補正方法】変更
【補正の内容】
図15
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図16
【補正方法】変更
【補正の内容】
図16
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図18
【補正方法】変更
【補正の内容】
図18