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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-198113(P2018-198113A)
(43)【公開日】2018年12月13日
(54)【発明の名称】車両用前照灯
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/00 20180101AFI20181116BHJP
   F21S 43/00 20180101ALI20181116BHJP
   F21S 45/00 20180101ALI20181116BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20181116BHJP
   F21V 9/00 20180101ALI20181116BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20181116BHJP
   F21V 3/06 20180101ALI20181116BHJP
   F21V 3/08 20180101ALI20181116BHJP
   F21V 3/10 20180101ALI20181116BHJP
   F21V 3/12 20180101ALI20181116BHJP
   B60Q 1/14 20060101ALI20181116BHJP
   H01S 5/022 20060101ALI20181116BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20181116BHJP
   F21W 104/00 20180101ALN20181116BHJP
   F21W 105/00 20180101ALN20181116BHJP
   F21W 102/00 20180101ALN20181116BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20181116BHJP
【FI】
   F21S8/12 110
   F21V5/04 350
   F21V9/16 100
   F21S2/00 250
   F21V5/04 200
   F21V3/04 500
   B60Q1/14 H
   H01S5/022
   F21W101:10
   F21Y115:30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-101369(P2017-101369)
(22)【出願日】2017年5月23日
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小暮 真也
(72)【発明者】
【氏名】大和田 竜太郎
(72)【発明者】
【氏名】世古 利裕
(72)【発明者】
【氏名】杉山 貴
【テーマコード(参考)】
3K243
3K339
5F173
【Fターム(参考)】
3K243AA08
3K243AC06
3K243BA09
3K243BC08
3K243BC09
3K243BE02
3K243BE08
3K339AA02
3K339BA01
3K339BA02
3K339BA09
3K339BA21
3K339BA22
3K339CA01
3K339DA05
3K339GB01
3K339HA01
3K339HA05
3K339JA23
3K339KA07
3K339KA09
3K339LA06
3K339LA33
3K339LA34
3K339MA01
3K339MC77
3K339MC90
5F173MA10
5F173MB10
5F173MC15
5F173MD65
5F173ME32
5F173ME44
5F173MF03
5F173MF10
5F173MF39
5F173MF40
(57)【要約】
【課題】明確な配光パターンを生成する車両用前照灯を提供する。
【解決手段】車両用前照灯1は、光の進行順にモノリシックアレイ光源5、レンズアレイ6、蛍光体プレート7及びプロジェクトレンズ8を備える。モノリシックアレイ光源5の各面発光レーザ14の出射光は、レンズアレイ6のコリメータレンズ18a,18bにより向きを調整されて、出射し、蛍光体プレート7の入射面25において配光パターンの像を生成する。プロジェクトレンズ8は、入射面25を通過して来た光を車両前方の照射領域に出射する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の面発光レーザが配列されたモノリシックアレイ光源と、
照度分布としての配光パターンの像が出射側に生成されるように、前記モノリシックアレイ光源の各面発光レーザからの入射光を、通過後の向きを調整して出射する複数のコリメータレンズが配列されたレンズアレイと、
前記レンズアレイの各コリメータレンズからの入射光により配光パターンの像が形成される像形成面を有し、前記レンズアレイの各コリメータレンズからの入射光を、前記像形成面を経て出射する配光パターン形成部と、
前記配光パターン形成部からの入射光を車両の前方の照射領域に出射する投影部とを備えることを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
請求項1記載の車両用前照灯において、
前記レンズアレイは、前記モノリシックアレイ光源の複数の面発光レーザからの入射光が前記配光パターン形成部の前記像形成面で重ならないように入射光の向きを変更して出射する第1群のコリメータレンズと、前記モノリシックアレイ光源の複数の面発光レーザからの入射光が前記配光パターン形成部の前記像形成面において重なるように入射光の向きを変更して出射する第2群のコリメータレンズとを備えることを特徴とする車両用前照灯。
【請求項3】
複数の面発光レーザが配列されたモノリシックアレイ光源と、
前記モノリシックアレイ光源の各面発光レーザからの入射光を、それらの出射方向を平行に揃えて出射する複数のコリメータレンズが配列されたレンズアレイと、
照度分布としての配光パターンの像が出射側に生成されるように、前記レンズアレイの各コリメータレンズからの入射光を、通過後の向きを調整して出射するプリズム部材と、
前記プリズム部材からの入射光により配光パターンの像が形成される像形成面を有し、前記プリズム部材からの入射光を、前記像形成面を経て出射する配光パターン形成部と、
前記配光パターン形成部からの入射光を車両の前方の照射領域に出射する投影部とを備えることを特徴とする車両用前照灯。
【請求項4】
請求項3記載の車両用前照灯において、
前記プリズム部材は、前記レンズアレイの複数のコリメータレンズからの入射光が前記配光パターン形成部の前記像形成面で重ならないように入射光の向きを変更して出射する第1群のプリズムと、前記レンズアレイの複数のコリメータレンズからの入射光が前記配光パターン形成部の前記像形成面において重なるように入射光の向きを変更して出射する第2群のプリズムとを備えることを特徴とする車両用前照灯。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用前照灯において、
前記モノリシックアレイ光源の複数の面発光レーザの点灯及び消灯を個々に、対ごとに、又は組ごとに切り替えるスイッチ装置と、
前記車両用前照灯の照射領域に車両の存在を検出したときは、該車両に向かう出射光を生成する面発光レーザが消灯するように、前記スイッチ装置を制御する配光パターン制御装置とを備えることを特徴とする車両用前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の面発光レーザが配列されたモノリシックアレイ光源を用いる車両用前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の面発光レーザ(VCSEL : Vertical Cavity Surface Emitting Laser)が配列されたモノリシックアレイ光源を用いる車両用前照灯が知られている(例:特許文献1)。
【0003】
特許文献1の車両用灯具によれば、マスクがモノリシックアレイ光源に重ねられるとともに、該マスクは、モノリシックアレイ光源の各面発光レーザの位置に、蛍光体入りの開口部を備えている。モノリシックアレイ光源の各面発光レーザのレーザ光は、マスクの開口部に入射し、一部の光が開口部内の蛍光体により波長を変換されてから、開口部より出射する。
【0004】
さらに、該開口部は、径が出射側に向かって増大している。これにより、面発光レーザのレーザ光は、径方向に広がって、開口部から出射するので、モノリシックアレイ光源の面発光レーザ間の離隔部に起因する暗部が解消される。
【0005】
特許文献2は、バルブ型光源(ランプ)を用いる車両用前照灯の配光制御装置を開示する。該配光制御装置は、カメラの撮像画像から対向車や先行車の存在及び位置を検知し、車両用前照灯をハイビームに維持しつつ、対向車等の前方車両を照射しないように、アクチュエータによりバルブ型光源の向きを車幅方向に変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−10228号公報
【特許文献2】特開平7−108873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
レーザ光の性質に、光が発散しないことがある。車両用前照灯の配光パターンを制御する場合、面発光レーザのレーザ光のこの性質は高い利用価値がある。一方、蛍光体は、光を発散する性質がある。
【0008】
特許文献1の車両用前照灯では、面発光レーザから出射した直後の光が蛍光体により波長変換されてから、出射する。すなわち、出射光が発散するため、照射部分と非照射部分との境がぼやけ、明確な配光パターンを生成することが難しくなる。また、特許文献1の車両用前照灯では、マスクの開口部は、出射側に向かって径を増大させているが、開口部の周壁に当たって反射した光は、開口部の中心を進む光の進行方向とは全く異なる方向に出射することになる。このことは、開口部からの出射光の発散性が増大することを意味し、明確な配光パターンを生成することを一層阻害する。
【0009】
特許文献2は、車両用前照灯の配光制御装置については開示するものの、モノリシックアレイ光源の出射光の発散抑制とは無関係である。
【0010】
本発明の目的は、明確な配光パターンを生成することができる車両用前照灯を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の車両用前照灯は、
複数の面発光レーザが配列されたモノリシックアレイ光源と、
照度分布としての配光パターンの像が出射側に生成されるように、前記モノリシックアレイ光源の各面発光レーザからの入射光を、通過後の向きを調整して出射する複数のコリメータレンズが配列されたレンズアレイと、
前記レンズアレイの各コリメータレンズからの入射光により配光パターンの像が形成される像形成面を有し、前記レンズアレイの各コリメータレンズからの入射光を、前記像形成面を経て出射する配光パターン形成部と、
前記配光パターン形成部からの入射光を車両の前方の照射領域に出射する投影部とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、モノリシックアレイ光源の面発光レーザのレーザ光を、レンズアレイのコリメータレンズに通してから配光パターン形成部の像形成面に当てる。この結果、像形成面には明確な配光パターンが形成され、車両用前照灯の配光パターンを明確にすることができる。
【0013】
本発明の車両用前照灯において、前記レンズアレイは、前記モノリシックアレイ光源の複数の面発光レーザからの入射光が前記配光パターン形成部の前記像形成面で重ならないように入射光の向きを変更して出射する第1群のコリメータレンズと、前記モノリシックアレイ光源の複数の面発光レーザからの入射光が前記配光パターン形成部の前記像形成面において重なるように入射光の向きを変更して出射する第2群のコリメータレンズとを備えることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、モノリシックアレイ光源の複数の面発光レーザのレーザ光を配光パターン形成部の像形成面で重ならせないか、重ならせるかにより、高照度と低照度との領域を含む配光パターンを円滑に形成することができる。
【0015】
本発明の別の車両用前照灯は、
複数の面発光レーザが配列されたモノリシックアレイ光源と、
前記モノリシックアレイ光源の各面発光レーザからの入射光を、それらの出射方向を平行に揃えて出射する複数のコリメータレンズが配列されたレンズアレイと、
照度分布としての配光パターンの像が出射側に生成されるように、前記レンズアレイの各コリメータレンズからの入射光を、通過後の向きを調整して出射するプリズム部材と、
前記プリズム部材からの入射光により配光パターンの像が形成される像形成面を有し、前記プリズム部材からの入射光を、前記像形成面を経て出射する配光パターン形成部と、
前記配光パターン形成部からの入射光を車両の前方の照射領域に出射する投影部とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の別の車両用前照灯によれば、モノリシックアレイ光源の面発光レーザのレーザ光を、レンズアレイのコリメータレンズに通してからプリズム部材に向かわせ、プリズム部材により光の向きを調整して、配光パターン形成部の像形成面に配光パターンを形成する。この結果、像形成面には明確な配光パターンが形成され、車両用前照灯の配光パターンを明確にすることができる。
【0017】
本発明の別の車両用前照灯において、前記プリズム部材は、前記レンズアレイの複数のコリメータレンズからの入射光が前記配光パターン形成部の前記像形成面で重ならないように入射光の向きを変更して出射する第1群のプリズムと、前記レンズアレイの複数のコリメータレンズからの入射光が前記配光パターン形成部の前記像形成面において重なるように入射光の向きを変更して出射する第2群のプリズムとを備えることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、モノリシックアレイ光源の複数の面発光レーザからの入射光を配光パターン形成部の像形成面で重ならせないか、重ならせるかにより、高照度と低照度との領域を含む配光パターンを円滑に形成することができる。
【0019】
本発明の車両用前照灯は、前記モノリシックアレイ光源の複数の面発光レーザの点灯及び消灯を個々に、対ごとに、又は組ごとに切り替えるスイッチ装置と、前記車両用前照灯の照射領域に車両の存在を検出したときは、該車両に向かう出射光を生成する面発光レーザが消灯するように、前記スイッチ装置を制御する配光パターン制御装置とを備えることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、モノリシックアレイ光源の複数の面発光レーザの点灯及び消灯を個々に、対ごとに、又は組ごとに切り替えて、前方車両の位置に応じた所望の配光パターンを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】車両用前照灯の照明ユニット内の模式図。
図2図1の照明ユニット内に配設される各素子の構成に関し、図2Aはモノリシックアレイ光源の正面図、図2Bはレンズアレイの正面図。
図3図1の蛍光体プレートの構成の1例に関し、図3Aは蛍光体プレートの背面図、図3Bは蛍光体プレートを縦方向に沿って切ったときの断面図、図3Cは蛍光体プレートの正面図。
図4】レンズアレイが蛍光体プレートの入射面に配光パターンの像を形成する説明図。
図5】車両用前照灯の別の照明ユニット内の模式図。
図6図5のレンズアレイの正面図。
図7A図5のプリズム部材の正面図。
図7B図5のプリズム部材の第1例を縦方向に沿って切ったときの断面図。
図7C図5のプリズム部材の第2例を縦方向に沿って切ったときの断面図。
図8】ADB装置のブロック図。
図9】ADBの使用例の説明図。
図10図9の状況下で蛍光体プレートの入射面に生成される照度分布に関し、図10A及び図10Bはそれぞれ異なる時刻における照度分布を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
図1は車両用前照灯1の照明ユニット2の模式図である。照明ユニット2は、ハウジング9内においてモノリシックアレイ光源5、レンズアレイ6、蛍光体プレート7及びプロジェクトレンズ8を光の進行方向に順番に備える。車両(例:図9の自車67)は、車両用前照灯1を車体の前部の左右に1つずつ装備している。
【0023】
なお、図1において矢印で示している各光(各光束)の進行方向は、照明ユニット2内の構成と同様に、模式的に示したものである。正確な進行方向については、後述の図4で説明する。
【0024】
照明ユニット2は車体(図示せず)の前部の左右の各側に取り付けられる。プロジェクトレンズ8は、車体の前部に露出するように、ハウジング9の前端に装着される。車両用前照灯1の照射光は、プロジェクトレンズ8から車両の前方の照射領域に向かって出射する。蛍光体プレート7は、本発明の配光パターン形成部に相当し、プロジェクトレンズ8は本発明の投影部に相当する。
【0025】
図2はハウジング9の各素子の構成に関する。図2Aはモノリシックアレイ光源5の正面図である。なお、説明の便宜上、ハウジング9内に光路上に配置された各素子について、光の出射側の面を正面と呼び、入射側の面を背面と呼ぶことにする。モノリシックアレイ光源5は、共通のサファイア基板13上に複数の面発光レーザ14(VCSEL)が二次元配列で形成されたものとなっている。複数の面発光レーザ14を有するモノリシックアレイ光源5は、複数の半導体レーザが共通の絶縁基板上に組み付けられたハイブリッドのアレイ光源や、端面発光型レーザ(非VCSEL)が二次元配列で形成されたモノリシックアレイ光源とは区別される。
【0026】
寸法及び形状等の一例を述べると、面発光レーザ14は縦横70μmの正方形であり、縦又は横に隣り合う面発光レーザ14の間には、30μmの離隔部が形成されている。面発光レーザ14は、サファイア基板13上に縦横の合計50×200個が縦横に等間隔に形成されている。
【0027】
図2Bは、レンズアレイ6の正面図である。レンズアレイ6は、第1群19aのコリメータレンズ18aと、第2群19bのコリメータレンズ18bとを共通の透明な平面基板17上に備える。図2Bにおいて、レンズアレイ6の縦横は、車両用前照灯1が搭載されている車両の上下方向及び車幅方向に対応する。レンズアレイ6は、縦方向に3つの区分に分割され、上と下の区分には、第1群19aのコリメータレンズ18aが形成され、中の区分には第2群19bのコリメータレンズ18bが形成される。
【0028】
コリメータレンズ18a,18bの作用の詳細については、図4で後述するので、図2Bでは、コリメータレンズ18a,18bを概略的に説明する。コリメータレンズ18a,18bは、等しい直径の円形に形成され、縦横に隣り合うもの同士が共通の接線上で接している。
【0029】
レンズアレイ6におけるコリメータレンズ18a,18bの配置パターンは、モノリシックアレイ光源5における面発光レーザ14の配置パターンに一致させる。モノリシックアレイ光源5の出射面とレンズアレイ6の入射面とは、面を平行に揃えて対峙している。コリメータレンズ18a,18bは、モノリシックアレイ光源5の各面発光レーザ14から入射する僅かに広がったレーザ光をコリメート光として出射する。
【0030】
図3は、蛍光体プレート7の構成の一例であり、図3Aは蛍光体プレート7の背面図、図3Bは蛍光体プレート7を縦方向に沿って切ったときの断面図、図3Cは蛍光体プレート7の正面図である。蛍光体プレート7は、矩形板状の容器体21と、容器体21内に所定の厚みで矩形板状に広がる収容空間に装填された蛍光粒22とを備える。
【0031】
蛍光体プレート7は、両面をそれぞれレンズアレイ6及びプロジェクトレンズ8に向けて配設されている。収容空間内における蛍光粒22の矩形板状の集合体において、レンズアレイ6及びプロジェクトレンズ8側の矩形面は、それぞれ入射面25及び出射面27を形成する。入射面25は、本発明の配光パターン形成部の像形成面に相当する。
【0032】
レンズアレイ6の出射光は、入射面25に入射し、蛍光粒22を通過し、出射面27からプロジェクトレンズ8に向かって出射する。モノリシックアレイ光源5の面発光レーザ14の発光色は、青色であり、面発光レーザ14の出射光は、青色を保持したまま、蛍光体プレート7の入射面25に到達する。光は、その後、容器体21内の蛍光粒22の収容空間を通過し、その際、一部の光は蛍光粒22により波長の長い黄色の光に波長変換される。こうして、出射面27からの出射光は、青色の光と黄色の光とが混合して、車両用前照灯1の照明光色として要求されている白色となって、プロジェクトレンズ8に向かう。
【0033】
レンズアレイ6からの出射光は、蛍光体プレート7の入射面25において所望の照度分布としての配光パターンの像を形成する。照明ユニット2では、入射面25に形成される照度分布は、縦方向に上区分26a、中区分26b及び下区分26cに3つに区分される。3つの区分のうち上区分26aと下区分26cとは低照度部分Maとなり、中区分26bは高照度部分Mbとなる。低照度部分Ma及び高照度部分Mbが生成される理由については、図4で詳説する。
【0034】
低照度部分Maは、第1群19aのコリメータレンズ18aからの入射光により生成され、高照度部分Mbは、第2群19bのコリメータレンズ18bからの入射光により生成される。高照度部分Mbは、車両用前照灯1の照射領域において運転者が車両運転時に最も注視しなければならない領域に対応する。
【0035】
図4は、レンズアレイ6が蛍光体プレート7の入射面25に配光パターンの像を形成する説明図である。説明の便宜上、「行」及び「列」を定義する。モノリシックアレイ光源5における面発光レーザ14と、レンズアレイ6におけるコリメータレンズ18a,18b、及びレンズアレイ46(図5)におけるコリメータレンズ18cとについて、縦方向の並びを「行」と呼び、横方向の並びを「列」と呼ぶことにする。
【0036】
図4並びに後述の図7B及び図7Cは、本発明の実施形態における配光パターンの像の形成を説明することを主眼としている。このため、図4図7B及び図7Cに図示している面発光レーザ14、コリメータレンズ18a,18b,18c又はプリズム50a〜50dの並びの行数は、図示の簡略化のために、実際の製品の行数に対して大幅に減らしている。
【0037】
レンズアレイ6,46における行数及び列数は、モノリシックアレイ光源5における行数及び列数と等しく、例えばそれぞれ50及び200である。また、レンズアレイ6,46における行間隔及び列間隔の長さは、モノリシックアレイ光源5における行間隔及び列間隔の長さと等しい。以下、モノリシックアレイ光源5、レンズアレイ6,46及びプリズム部材48a,48bにおける行間隔をピッチという。
【0038】
実施形態では、図1に示されるように、モノリシックアレイ光源5、レンズアレイ6、蛍光体プレート7及びプロジェクトレンズ8は、中心軸を揃えてハウジング9内に配設されている。図4図7B及び図7Cにおいて、モノリシックアレイ光源5及びレンズアレイ6,46のピッチの長さは、Daに設定され、この結果、モノリシックアレイ光源5及びレンズアレイ6,46では、出射光ピッチ=Daとなる。
【0039】
図4及び図7BにおけるDb、並びに図7CにおけるDcは、蛍光体プレート7の入射面25における入射点の縦方向間隔としてのピッチの長さを示している。後述するように、Db同士又はDc同士は、それらの縦方向位置に関係なく、等しく設定されている。また、Db,Dc<Daの関係となる。
【0040】
第2群19bにおいて縦方向に隣り関係の2つのコリメータレンズ18b(以下、「縦方向に対のコリメータレンズ18b」という。)は、モノリシックアレイ光源5の対応の2つの面発光レーザ14から径方向に僅かに広がりつつ中心軸に対して平行に入射する入射光を、出射後に相互に接近するように、通過後の向きを調整して、中心軸に対して所定の傾斜角度の出射光Lbとして出射する。この結果、第2群19bにおける縦方向に対のコリメータレンズ18bの出射光Lbは、蛍光体プレート7の入射面25の中区分26bにおいて縦方向に重なって、縦方向の同一位置に入射する。
【0041】
これに対し、第1群19aの各コリメータレンズ18aの出射光Laは、光軸に対して傾斜した向きに変更されるが、縦方向の順番を維持しつつ、蛍光体プレート7の入射面25の上区分26a又は下区分26cにおいて縦方向に重なることなく、縦方向の別々の位置に入射する。
【0042】
入射面25における出射光La及びLbの縦方向入射位置のピッチは、上区分26a、中区分26b及び下区分26cの区分に関係なく、Dbと等しくなる。すなわち、Dbと等しくなるように、レンズアレイ6において、第1群19aのコリメータレンズ18a及び第2群19bのコリメータレンズ18bの各コリメータレンズの形状や向きが設定されている。
【0043】
中区分26bの各入射位置の入射光は、対のコリメータレンズ18bを経由した2つの面発光レーザ14からの2つの出射光Lbが重なったものである。これに対し、上区分26a及び下区分26cの各入射位置の入射光は、1つのコリメータレンズ18aのみを経由した1つの面発光レーザ14からの1つの出射光Laが入射したものである。そして、入射面25における入射点のピッチは、縦方向位置に関係なく、Dbに等しくされる。したがって、中区分26bには高照度部分Mbが生成され、上区分26a及び下区分26cには低照度部分Maが生成される。高照度部分Mbの照度は、低照度部分Maの照度の2倍になる。
【0044】
(第2実施形態)
図5は照明ユニット42の模式図である。照明ユニット42において図1の照明ユニット2と同一の構造部分は、同符号で指示して、説明を省略し、照明ユニット2との相違点について説明する。
【0045】
図5において矢印で示している各光(各光束)の進行方向は、図1のときと同様に、模式的に示したものである。正確な進行方向については、後述の図7B及び図7Cで説明する。
【0046】
モノリシックアレイ光源5、レンズアレイ46、プリズム部材48、蛍光体プレート7及びプロジェクトレンズ8は、照明ユニット42のハウジング9内に中心軸を揃えて配設されている。すなわち、照明ユニット2のレンズアレイ6が、照明ユニット42ではレンズアレイ46及びプリズム部材48に置き換えられている。
【0047】
図6図5のレンズアレイ46の正面図である。レンズアレイ46は、コリメータレンズ18cを備える。コリメータレンズ18cは、図2Bにおけるレンズアレイ6のコリメータレンズ18a,18bと同一位置に配置されているものの、出射光の向きの調整がコリメータレンズ18a,18bによる出射光の向きの調整と異なっている。すなわち、コリメータレンズ18cは、モノリシックアレイ光源5の各面発光レーザ14から中心軸に平行に僅かに広がりながら入射してくる入射光を、向きの変更は行わず、直進のままコリメート光として出射させるものとなっている。したがって、コリメータレンズ18cからの光の出射方向は、レンズアレイ46の中心軸に対して平行に揃う。
【0048】
図7図5のプリズム部材48の構成に関し、図7Aはプリズム部材48の正面図、図7Bはプリズム部材48の第1例としてのプリズム部材48aを縦方向に沿って切ったときの断面図、図7Cはプリズム部材48の第2例としてのプリズム部材48bを縦方向に沿って切ったときの断面図である。プリズム部材48a,48bを区別しないときは、「プリズム部材48」と総称する。
【0049】
プリズム部材48は、縦方向に上から順番に上区分49a、中区分49b及び下区分49cの3つの区分に区分けされている。プリズム部材48の正面側としての出射面は、凹凸を有しているのに対し、背面側としての入射面51(図7B及び図7C)は、1つの平面で(面一に)形成されている。
【0050】
各プリズム50aは、プリズム部材48aの出射面側に、入射面51に対して直角以外の角度で傾斜している傾斜面と、入射面51に対して直角に蛍光体プレート7の方に張出している張出し面とを有している。各プリズム50aにおいて、出射光Laは傾斜面のみから出射する。上区分49aのプリズム50aの傾斜面と、下区分49cのプリズム50aの傾斜面とは、入射面51に対して縦方向の傾斜の向きが相互に逆になっている。各プリズム50aの傾斜面は、プリズム部材48aにおいて縦方向の端側に配置されているものほど、入射面51に対して大きく(直角に近い角度で)傾斜している。
【0051】
各プリズム50bは、プリズム部材48aの出射面側に、入射面51に対して直角以外の角度で傾斜している2つの傾斜面(以下、この「2つの傾斜面」を適宜「対の傾斜面」という。)を有している。各プリズム50bにおいて、出射光Lbは各傾斜面から出射する。プリズム50bの傾斜面は、プリズム部材48aの縦方向の中心を境に、上区分49a側に位置する傾斜面と、下区分49b側に位置するプリズム50bの傾斜面とで、入射面51に対して縦方向の傾斜の向きが相互に逆になっている。
【0052】
各対の傾斜面に対し、プリズム部材48aの縦方向の端側の傾斜面(以下、「端側傾斜面」という。)は、中心側の傾斜面(以下、「中心側傾斜面」という。)より入射面51に対して大きく傾斜している。端側傾斜面同士及び中心側傾斜面同士では、縦方向の端側に配置されているものほど、入射面51に対して大きく傾斜している。
【0053】
プリズム50aの行間隔は、レンズアレイ46のコリメータレンズ18cの行間隔と等しく、Daとなっている。各プリズム50bにおいて対の傾斜面の各傾斜面の縦方向寸法は、Daに等しく設定されており、各プリズム50bの縦方向寸法は2・Daとなる。
【0054】
縦方向に、1つのプリズム50aについては、1つの番号を付与し、プリズム50bについては、各傾斜面ごとに1つの番号を付与する。したがって、プリズム50bに対しては番号が2つ付与される。番号は、縦方向に上から順番に1番、2番、・・・(前述の面発光レーザ14が50行存在する実施形態では、番号の最大値は50番となる。)と決める。
【0055】
各プリズム50aは、同一の行番号の全部のコリメータレンズ18cから中心軸に平行に入射して来るコリメート光を、傾斜面から入射面25の上区分26a又は下区分26cに向けて出射光Laとして出射する。出射光Laは、入射面25に到達した時に、入射面25において、縦方向に重ならず、縦方向に入射光ピッチDbで並ぶ。
【0056】
各プリズム50bには、その2つの傾斜面の各行番号と同一の行番号の全部のコリメータレンズ18cから中心軸に平行に入射して来るコリメート光が入射する。そして、対応する行番号の傾斜面から入射面25の中区分26bに向けて出射光Lbとして出射する。同一のプリズム50bから出射する2つの出射光Lbは、入射面25に到達した時に、入射面25において、縦方向に重なり、中区分26bに、入射光ピッチDbで並ぶ。
【0057】
蛍光体プレート7の入射面25における入射光ピッチDbは、プリズム部材48aからの出射光La,Lbが蛍光体プレート7の入射面25に入射することにより入射面25において生成される入射点の縦方向の並び間隔である。プリズム部材48aは、入射面25における入射光ピッチDbが入射面25における縦方向位置に関係なく、等しくなるように、入射面51に対して、各プリズム50a50bの傾斜面の傾斜角度、及び各プリズム50bの各傾斜面の傾斜角度が設定されている。
【0058】
この結果、中区分26bには高照度部分Mbが生成され、上区分26a及び下区分26cには低照度部分Maが生成される。高照度部分Mbの照度は、低照度部分Maの照度の2倍になる。
【0059】
図7Cのプリズム部材48bについて説明する。プリズム部材48bは、上区分49a及び下区分49cに形成されているプリズム50cと、中区分49bに形成されているプリズム50dとを有している。プリズム50cは、蛍光体プレート7の入射面25に低照度部分Maを生成する。プリズム50dは、蛍光体プレート7の入射面25に高照度部分Mbを生成する。
【0060】
各プリズム50cは、プリズム部材48bの出射面側に、入射面51に対して直角以外の角度で傾斜している傾斜面と、入射面51に対して直角に蛍光体プレート7の方に張出している張出し面とを有している。各プリズム50cにおいて、出射光Laは傾斜面のみから出射する。上区分49aのプリズム50cの傾斜面と、下区分49cのプリズム50cの傾斜面とは、入射面51に対して縦方向の傾斜の向きが相互に逆になっている。各プリズム50cの傾斜面は、プリズム部材48bにおいて縦方向の端側に配置されているものほど、入射面51に対して大きく傾斜している。
【0061】
各プリズム50dは、プリズム部材48bの出射面側に、入射面51に対して直角以外の角度で傾斜している3つの傾斜面(以下、この「3つの傾斜面」を適宜「組の傾斜面」という。)を有している。各プリズム50dにおいて、出射光Lbは各傾斜面から出射する。プリズム50dの傾斜面は、プリズム部材48bの縦方向の中心を境に、上区分49a側に位置する傾斜面と、下区分49b側に位置するプリズム50dの傾斜面とで、入射面51に対して縦方向の傾斜の向きが相互に逆になっている。ここで、説明の便宜上、各組の3つの傾斜面に対し、プリズム部材48bの縦方向の端側から中心側に順番に、「端側傾斜面」、「中傾斜面」及び「中心側傾斜面」ということにする。各組において、入射面25に対する傾斜角は、大きい方から「端側傾斜面」、「中傾斜面」及び「中心側傾斜面」の順番になっている。また、端側傾斜面同士、中傾斜面同士及び中心側傾斜面同士では、縦方向の端側に配置されているものほど、入射面51に対して大きく傾斜している。
【0062】
プリズム50cの行間隔は、レンズアレイ46のコリメータレンズ18cの行間隔と等しく、Daとなっている。各プリズム50dにおいて組の傾斜面の各縦方向寸法は、Daに等しく設定されており、各プリズム50dの縦方向寸法は3・Daとなる。
【0063】
プリズム50cについては、1つの番号を付与し、プリズム50dについては、1組の各傾斜面ごとに1つの番号を付与する。したがって、プリズム50dに対しては番号が3つ付与される。番号は、縦方向に上から順番に1番、2番、・・・(前述の面発光レーザ14が50行存在する実施形態では、番号の最大値は50番となる。)と決める。
【0064】
各プリズム50cは、同一の行番号の全部のコリメータレンズ18cから中心軸に平行に入射して来るコリメート光を、各傾斜面から入射面25の上区分26a又は下区分26cに向けて出射光Laとして出射する。出射光Laは、入射面25に到達した時に、縦方向に重ならず、縦方向に入射光ピッチDcで並ぶ。
【0065】
各プリズム50dには、その各傾斜面の行番号と同一の行番号の全部のコリメータレンズ18cから中心軸に平行に入射して来るコリメート光が入射する。そして、1組の傾斜面のうち対応する行番号の傾斜面から入射面25の中区分26bに向けて出射光Lbとして出射する。同一のプリズム50dから出射する縦方向に3つの出射光Lbは、入射面25に到達した時に、縦方向に重なり、中区分26bに、入射光ピッチDcで並ぶ。
【0066】
蛍光体プレート7の入射面25における入射光ピッチDcは、プリズム部材48bからの出射光La,Lbが蛍光体プレート7の入射面25に入射することにより入射面25において生成される入射点の縦方向の並び間隔である。プリズム部材48bは、入射面25における入射光ピッチDcが入射面25における縦方向位置に関係なく、等しくなるように、入射面51に対して、各プリズム50a50bの傾斜面の傾斜角度、及び各プリズム50bの各傾斜面の傾斜角度が設定されている。
【0067】
この結果、中区分26bには高照度部分Mbが生成され、上区分26a及び下区分26cには低照度部分Maが生成される。高照度部分Mbの照度は、低照度部分Maの照度の3倍になる。
【0068】
照明ユニット42では、光軸に対して平行に光を出射する普通のコリメータレンズ18cのみから成る通常のレンズアレイ46を用いることができるので、照明ユニット2に比してコストを下げることができる。これに対し、図1の照明ユニット2は、プリズム部材48を省略できる分、光軸方向の寸法を短くして、小型化することができる。
【0069】
(ADB(Adaptive Driving Beam))
図8図10を参照して、ADBが適用される車両用前照灯1をADB装置54として説明する。なお、ADBは、照明ユニット2,42のいずれを装備した車両用前照灯1にも適用される。
【0070】
図8はADB装置54のブロック図である。ADB装置54は、前方監視カメラ55、配光パターン制御装置56及びスイッチ装置57を備える。前方監視カメラ55は、車両用前照灯1が専用に備えてもよい。また、車両用前照灯1が装備されている車両(例:図9の自車67)に周辺監視装置や衝突防止装置(図示せず)がすでに実装されているときには、その前方監視カメラ55を共用してもよい。図示の実施例は、前方監視カメラ55を共用したときを示している。
【0071】
前方監視カメラ55は、自車67の前方の撮像画像を生成する。配光パターン制御装置56は、前方監視カメラ55からの撮像画像に基づいて自車67の前方に対向車68や先行車等の前方車両が存在するか否かを検出する。そして、前方車両が存在するときには、該前方車両について撮像画像上の位置及び寸法(例:図10A及び図10Bの対向車68の位置及び寸法に対応する。)を検出する。
【0072】
スイッチ装置57は、モノリシックアレイ光源5の面発光レーザ14ごとに備えるスイッチのオン、オフを切り替えることにより、面発光レーザ14の点灯及び消灯を個々に、対ごとに、又は組ごとに切り替えることができるようになっている。コリメータレンズ18a及びプリズム50a.50cを通過する光を出射する面発光レーザ14は、個々に点灯及び消灯を切り替えられる。コリメータレンズ18b及び図7Bのプリズム50bを通過する光を出射する面発光レーザ14は、縦方向に隣り同士の関係にある対ごとに点灯及び消灯を切り替えられる。図7Cのプリズム50dを通過する光を出射する面発光レーザ14は、縦方向に連続する3つを1組とする組ごとに点灯及び消灯を切り替えられる。
【0073】
配光パターン制御装置56は、車両用前照灯1の面発光レーザ14を、ハイビーム(全部の面発光レーザ14の点灯)を基本にしつつ、前方車両の運転手が車両用前照灯1からの照射光により目が眩まないように、前方車両に対応する面発光レーザ14を消灯させ、その他の面発光レーザ14を点灯させる。なお、前方車両には、自車67(図9)に対して少なくとも対向車68(図9)が含まれ、適宜、先行車も含める。先行車の運転手が、ルームミラーやサイドミラーに映る自車67の車両用前照灯1の光に眩むことがあるからである。配光パターン制御装置56による面発光レーザ14の点灯及び消灯の制御は、スイッチ装置57の各スイッチのオン、オフを介して行われる。
【0074】
図9は、ADBの使用例の説明図である。自車67は、ADB機能を有する車両用前照灯1を装備し、センターライン64によって左右に分離される道路63の左レーンを走行している。一方、対向車68は、自車67とは、反対のレーンを自車67に向かって走行している。位置P(t1),P(t2)は時刻t1,t2における自車67の位置をそれぞれ示している。位置Q(t1),Q(t2)は時刻t1,t2における対向車68の位置を示している。なお、時刻t2は時刻t1より後の時刻である。
【0075】
図10は、図9の状況下で蛍光体プレート7の入射面25に生成される照度分布に関し、図10A及び図10Bは、それぞれ車両用前照灯1が時刻t1,t2において蛍光体プレート7の入射面25に生成される照度分布を示している。該照度分布は、自車67が車両用前照灯1により生成する照射領域の配光パターンに一致する。
【0076】
図10A及び図10Bにおいて、照射停止領域Cと共に照射停止領域C内に対向車68の撮像画像を図示している。これは、時刻t1,t2における入射面25上の対向車68の撮像画像の対応位置及び対応サイズと照射停止領域Cの位置及びサイズとの関係を分かり易くするために、便宜上、示したものであり、実際には対向車68の撮像画像が入射面25に現れることはない。
【0077】
以下、図10A及び図10Bで図示している対向車68の撮像画像を対向車68の「仮想画像」と呼ぶ。照射停止領域Cは、仮想画像に外接する矩形となるように、配光パターン制御装置56が生成する。
【0078】
道路63上の自車67と対向車68との相対距離は、時刻t1から時刻t2に時間が進むに連れて減少する。したがって、入射面25上の対向車68の寸法は、時刻t1より時刻t2の方が大きくなるとともに、位置は、時刻t1より時刻t2の方が右寄りになる。
【0079】
レンズアレイ6のコリメータレンズ18b又はプリズム部材48a,48bのプリズム50b,50dにより、蛍光体プレート7の入射面25の縦方向の中区分26bでは複数のレーザ光が重なるようになっている。したがって、蛍光体プレート7の入射面25において、上区分26a及び下区分26cは低照度部分Maとなり、中区分26bは高照度部分Mbとなる。
【0080】
そして、ADB機能により、照射停止領域Cが、入射面25において対向車68の対応部分を内側に含む外接矩形として生成される。照射停止領域Cに出射光が向かう面発光レーザ14は、配光パターン制御装置56により通電停止されて、消灯する。この結果、照射停止領域Cは照度=0となり、車両用前照灯1による対向車68への照射が中止される。入射面25における照射停止領域Cの位置、サイズ及び個数は、前方車両の位置、サイズ及び個数に応じて動的に変化する。
【0081】
(変形例)
本実施形態のモノリシックアレイ光源5では、面発光レーザ14が等径及び等形に形成されているが、本発明のモノリシックアレイの面発光レーザは、必ずしも等径及び等形でなくてもよい。
【0082】
本実施形態において、配光パターン形成部としての蛍光体プレート7は平板状であるが、本発明の配光パターン形成部はブロック状であってもよい。
【0083】
本実施形態では、蛍光体プレート7の高照度部分Mbは、入射面25において縦方向幅が左右方向の位置に関係なく等しくなっている。本発明では、この縦方向幅を左右方向の位置又は範囲に応じて異ならせてもよい。
【0084】
本実施形態では、蛍光体プレート7の入射面25において縦方向に上から低照度部分Ma、高照度部分Mb及び低照度部分Maの3つの照度部分を生成するために、モノリシックアレイ光源5の面発光レーザ14の行数について、縦方向に上から順番に10,30,10を割り当てている。この場合、入射面25において、3つの照度部分の縦方向寸法比は、縦方向に1対の出射光Lbを重ねる場合(図4及び図7B)には、2:3:2(=10:15:10)となり、縦方向に3つを1組とした出射光Lbを重ねる場合(図7C)には、1:1:1(=10:10:10)となる。
【0085】
しかしながら、本発明では、配光パターン形成部の像形成面において生成する各照度部分の縦方向寸法比を、各照度部分に対して割り当てるモノリシックアレイ光源の面発光レーザの個数を調整することにより、種々に設定することができる。
【0086】
本実施形態では、ADBの作動中は、各面発光レーザ14が連続点灯か、連続消灯になっている。本発明では、各面発光レーザ14の通電期間と非通電期間とのデューティ比を制御して、照射領域(照射停止領域Cも該照明領域の1つに含める。)に中間の照度の領域部分を適宜生成することも可能である。
【0087】
本実施形態では、図4及び図7BにおけるDbと、並びに図7CにおけるDcとについて、単にDb,Dc<Daである旨、説明した。DbとDcとの関係について補足すると、Db<Dcに限定されることなく、Db≧Dcに設定することもできる。
【符号の説明】
【0088】
1・・・車両用前照灯、5・・・モノリシックアレイ光源、6,46・・・"レンズアレイ、7・・・蛍光体プレート(配光パターン形成部)、8・・・プロジェクトレンズ(投影部)、18a,18b,18c・・・コリメータレンズ、19a・・・第1群、19b・・・第2群、25・・・入射面(像形成面)、48・・・プリズム部材、56・・・配光パターン制御装置、57・・・スイッチ装置、68・・・対向車(車両)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10