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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-199298(P2018-199298A)
(43)【公開日】2018年12月20日
(54)【発明の名称】鉄塔敷地用定規
(51)【国際特許分類】
   B43L 13/20 20060101AFI20181122BHJP
【FI】
   B43L13/20
   B43L13/20 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-105665(P2017-105665)
(22)【出願日】2017年5月29日
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】古川 恵
(57)【要約】
【課題】紙面の鉄塔敷地図を利用した敷地検討に関する経験が乏しい技術者であっても、簡単かつ迅速に鉄塔の敷地検討を行うことが可能な鉄塔敷地用定規を提供する。
【解決手段】鉄塔敷地用定規3は、透明板で構成された定規基板31に、基礎に被せられた土砂の量の検討が可能な土砂量検討部4と、基礎の先端部分の周囲に対する切土や盛土の検討が可能な配列方向切土検討部5A、対角方向切土検討部5B、配列方向盛土検討部6A、対角方向盛土検討部6Bおよび盛土用開口部6Cが設けられている。また、敷地に石垣などを形成するための検討に利用可能な擁壁検討部7A、擁壁用開口部7Bおよび擁壁展開線7Cなども設けられている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄塔の基礎の配置を示す敷地平面図と、前記基礎の埋設位置を示す敷地断面図とを表した紙面の鉄塔敷地図を利用して、前記鉄塔の敷地の改修を検討するための鉄塔敷地用定規であって、
透明板または半透明板で構成された定規基板と、
前記定規基板に前記定規基板の一辺を基準にして描かれた指標線を備え、前記敷地断面図に図示された前記基礎の底部に前記一辺を合わせて、前記底部の側面から前記指標線を延ばすことにより、前記指標線によって表される土砂の安息角によって前記基礎に被せられた土砂の量を検討可能にする土砂量検討部と、
前記定規基板の第1の角部に設けられ、前記敷地の斜面から土砂を削り取って平坦地を形成する切土について検討する場合に、前記敷地断面図に前記切土の法面勾配を表すための切土検討部と、
前記定規基板の第2の角部に設けられ、前記敷地の斜面に土砂を盛って平坦地を形成する盛土について検討する場合に、前記敷地断面図に前記盛土の法面勾配を表すための盛土検討部と、
を備えることを特徴とする鉄塔敷地用定規。
【請求項2】
前記鉄塔は、水平方向の断面が略正方形で、四隅に前記基礎が配された四角形鉄塔であり、前記土砂量検討部には、前記基礎の配列方向における安息角に対応した配列方向指標線と、前記基礎の対角線方向における安息角に対応した対角方向指標線とが、土砂の種類ごとに描かれている、
ことを特徴とする請求項1に記載の鉄塔敷地用定規。
【請求項3】
前記切土検討部は、前記第1の角部に設けられ、前記基礎の配列方向における法面勾配を表した配列方向切土検討部と、前記定規基板の第3の角部に設けられ、前記基礎の対角線方向における法面勾配を表した対角方向切土検討部と、を備え、
前記盛土検討部は、前記第2の角部に設けられ、前記基礎の配列方向における法面勾配を表した配列方向盛土検討部と、前記定規基板の第4の角部に設けられ、前記基礎の対角線方向における法面勾配を表した対角方向盛土検討部と、を備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の鉄塔敷地用定規。
【請求項4】
前記定規基板には、前記敷地平面図における前記盛土の角部の半径を表した盛土用開口部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の鉄塔敷地用定規。
【請求項5】
前記定規基板の第5の角部には、前記敷地に石垣またはブロック壁で擁壁を形成する場合に、前記敷地断面図に前記石垣または前記ブロック壁の設置勾配を表すための擁壁検討部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の鉄塔敷地用定規。
【請求項6】
前記定規基板には、前記敷地に略L字状の平面形状をした前記石垣または前記ブロック壁を形成する際に、前記敷地平面図に前記石垣または前記ブロック壁の角部の半径を表すための擁壁用開口部が設けられている、
ことを特徴とする請求項5に記載の鉄塔敷地用定規。
【請求項7】
前記定規基板には、前記敷地平面図における前記石垣または前記ブロック壁の長さと、前記敷地断面図における前記石垣または前記ブロック壁の高さとから、前記石垣または前記ブロック壁の面積を検討する際に、前記石垣または前記ブロック壁の側面の傾斜角度を表す擁壁展開線が描かれている、
ことを特徴とする請求項5または6に記載の鉄塔敷地用定規。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄塔の基礎の配置を示す鉄塔敷地図を利用して鉄塔の敷地の改修などの検討を行う場合に使用可能な鉄塔敷地用定規に関する。
【背景技術】
【0002】
送電線を支持する送電鉄塔として、略四角錐形状で、水平断面が略正方形にされた、いわゆる四角鉄塔がよく知られている。この四角鉄塔(以下、鉄塔という)は、鉄塔の頂部から鉄塔の底面の四隅に向けて延ばされた4本の主柱と、各主柱の間に配された水平材および斜材と、各主柱を支持する4個の基礎とを備えている。
【0003】
基礎には、側方から見た形状が逆T字形をした逆T字形基礎が一般的によく用いられている。この逆T字形基礎は、水平な板状の床板部と、この床板部の上面に立設された柱状の柱体部とを備えており、柱体部の先端に主柱が固定されている。
【0004】
鉄塔の基礎には、鉄塔と送電線の荷重がかかるので、この荷重によって基礎が地面に沈み込まないようにするために、基礎の床板部で荷重を分散して受けられるように床板部の面積が設計されている。また、鉄塔の基礎には、鉄塔が倒れる方向の力、すなわち基礎が地面から引き上げられる力を抑える引上げ耐力が求められる。この引上げ耐力は、基礎自体の重量と、基礎に被せられた土砂の重量とによって得られるので、所定の引上げ耐力が得られるように、基礎の埋設位置(埋設深さ)が設計されている。
【0005】
従来、鉄塔の基礎の配置設計には、鉄塔の敷地が紙面に表された鉄塔敷地図が利用されている。この鉄塔敷地図には、鉄塔敷地内における基礎の配置を示す敷地平面図と、基礎の埋設位置を示す敷地断面図とが表されている。特に、斜面の多い山間部などに鉄塔を建てる場合には、所定の引上げ耐力が得られるように、敷地断面図を利用して基礎の埋設位置などが検討される。
【0006】
また、鉄塔敷地図は、鉄塔の敷地の改修などを検討する際にも利用される。例えば、鉄塔の敷地周辺で土地の開発や造成が行われ、あるいは台風や地震などの災害が発生して敷地内の土砂が流出・崩壊した場合に、敷地断面図を利用して基礎を覆う土砂の量が適正か否かが検討され、適正でない場合には、土砂の補充位置や補充量などの検討が行われる。この敷地の改修検討では、例えば、敷地断面図に土砂が流出・崩壊した後の地形(崩壊ライン)を描き、この崩壊ラインに基づき、基礎に被せられている土砂の量を検討する。また、基礎の柱体部の上部周辺には、鉄塔のメンテナンス性などを考慮して平坦地が形成されているが、この平坦地が土砂の流出などによって崩壊した場合に、新たに平坦地を作る必要がある。その際に、斜面の土砂を削り取る切土や、斜面に土砂を盛る盛土などが行われるが、この切土や盛土の検討にも鉄塔敷地図が利用される。
【0007】
ところで、近年の鉄塔の設計には、コンピュータで図面を描くCAD(Conputer Aided Design)システムなどが利用されており、鉄塔の設計時における紙面による鉄塔敷地図の利用は少なくなっている。また、鉄塔の敷地内の改修を行う際にもCADシステム上で検討が行われることが多くなっている。さらに、鉄塔敷地の土砂の流出・崩壊などに迅速に対応するために、地すべりにより鉄塔に生じた変位または変形を各種のセンサによって測定し、その測定結果に基づき、事故・異常の種別を判定し、事故・異常種別に対応する対策支援情報を出力するようにしたシステムが開発されている(例えば、特許文献1参照)。このように、鉄塔の設計や敷地改修の場面において、紙面の鉄塔敷地図の利用が少なくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015−162095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載の発明は、各鉄塔に多数のセンサを設置し、各センサの測定結果を受信して分析・判定しているが、1つの電力会社が管理している鉄塔の数は数万基にも及ぶため、これらの鉄塔全てに特許文献1の異常判定システムを設置して管理するのは現実的に無理である。また、CADシステムが普及する以前に紙面の鉄塔敷地図を利用して設計された鉄塔も多数現存しているため、これらの鉄塔の敷地の改修には紙面の鉄塔敷地図による検討が必要である。
【0010】
しかしながら、CADシステムによる鉄塔設計が一般的になった現在の技術者は、紙面の鉄塔敷地図を利用した敷地の検討に関する経験が乏しいため、災害時などの迅速な復旧検討に対応できない可能性がある。また、このような事態を想定して、紙面の鉄塔敷地図を利用した敷地検討についての技術継承も行われているが、災害などの緊急時に対応するのは難しい。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために、紙面の鉄塔敷地図を利用した敷地検討に関する経験が乏しい技術者であっても、簡単かつ迅速に鉄塔の敷地検討を行うことが可能な鉄塔敷地用定規を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、鉄塔の基礎の配置を示す敷地平面図と、前記基礎の埋設位置を示す敷地断面図とを表した紙面の鉄塔敷地図を利用して、前記鉄塔の敷地の改修を検討するための鉄塔敷地用定規であって、透明板または半透明板で構成された定規基板と、前記定規基板に前記定規基板の一辺を基準にして描かれた指標線を備え、前記敷地断面図に図示された前記基礎の底部に前記一辺を合わせて、前記底部の側面から前記指標線を延ばすことにより、前記指標線によって表される土砂の安息角によって前記基礎に被せられた土砂の量を検討可能にする土砂量検討部と、前記定規基板の第1の角部に設けられ、前記敷地の斜面から土砂を削り取って平坦地を形成する切土について検討する場合に、前記敷地断面図に前記切土の法面勾配を表すための切土検討部と、前記定規基板の第2の角部に設けられ、前記敷地の斜面に土砂を盛って平坦地を形成する盛土について検討する場合に、前記敷地断面図に前記盛土の法面勾配を表すための盛土検討部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の鉄塔敷地用定規であって、前記鉄塔は、水平方向の断面が略正方形で、四隅に前記基礎が配された四角形鉄塔であり、前記土砂量検討部には、前記基礎の配列方向における安息角に対応した配列方向指標線と、前記基礎の対角線方向における安息角に対応した対角方向指標線とが、土砂の種類ごとに描かれている、ことを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の鉄塔敷地用定規であって、前記切土検討部は、前記第1の角部に設けられ、前記基礎の配列方向における法面勾配を表した配列方向切土検討部と、前記定規基板の第3の角部に設けられ、前記基礎の対角線方向における法面勾配を表した対角方向切土検討部と、を備え、前記盛土検討部は、前記第2の角部に設けられ、前記基礎の配列方向における法面勾配を表した配列方向盛土検討部と、前記定規基板の第4の角部に設けられ、前記基礎の対角線方向における法面勾配を表した対角方向盛土検討部と、を備える、ことを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の鉄塔敷地用定規であって、前記定規基板には、前記敷地平面図における前記盛土の角部の半径を表した盛土用開口部が設けられている、ことを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の鉄塔敷地用定規であって、前記定規基板の第5の角部には、前記敷地に石垣またはブロック壁で擁壁を形成する場合に、前記敷地断面図に前記石垣または前記ブロック壁の設置勾配を表すための擁壁検討部が設けられている、ことを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の鉄塔敷地用定規であって、前記定規基板には、前記敷地に略L字状の平面形状をした前記石垣または前記ブロック壁を形成する際に、前記敷地平面図に前記石垣または前記ブロック壁の角部の半径を表すための擁壁用開口部が設けられている、ことを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項5または6に記載の鉄塔敷地用定規であって、前記定規基板には、前記敷地平面図における前記石垣または前記ブロック壁の長さと、前記敷地断面図における前記石垣または前記ブロック壁の高さとから、前記石垣または前記ブロック壁の面積を検討する際に、前記石垣または前記ブロック壁の側面の傾斜角度を表す擁壁展開線が描かれている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、鉄塔敷地用定規に、土砂の安息角を利用して基礎に被せられた土砂の量を検討するための土砂量検討部や、敷地の斜面に切土を行う際の法面勾配を表す切土検討部、敷地の斜面に盛土を行う際の法面勾配を表す盛土検討部などが予め設けられているので、紙面の鉄塔敷地図を利用して敷地の改修などについて検討する際に、検討経験の乏しい技術者であっても簡単かつ迅速に検討を行うことが可能である。また、定規基板を透明板または半透明板で構成したので、鉄塔敷地図に鉄塔敷地用定規を重ねた状態で鉄塔敷地図を視認することができ、作業性が向上する。さらに、鉄塔敷地用定規は、鉄塔敷地図で使用される程度の板状の小さなものなので高い携帯性を得ることが可能であり、山間部の鉄塔敷地へも簡単に持ち運ぶことができる。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、土砂量検討部は、四角形鉄塔の基礎の配列方向における指標線だけでなく、対角線方向の指標線も備えているので、配列方向に比べて計算が複雑になる対角線方向の土砂量検討も簡単に行うことが可能である。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、切土検討部として、基礎の配列方向での検討が可能な配列方向切土検討部と、基礎の対角線方向での検討が可能な対角方向切土検討部とを備えているので、配列方向に比べて計算が複雑になる対角線方向の切土の検討も簡単に行うことが可能である。また、盛土検討部として、基礎の配列方向での検討が可能な配列方向盛土検討部と、基礎の対角線方向での検討が可能な対角方向盛土検討部とを備えているので、配列方向に比べて計算が複雑になる対角線方向の盛土の検討も簡単に行うことが可能である。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、定規基板に盛土の角部の半径を表す盛土用開口部が備えているので、盛土の検討がさらに容易になる。
【0023】
請求項5に記載の発明によれば、石垣またはブロック壁などの擁壁を形成する際の設置勾配を表す擁壁検討部を備えているので、擁壁についての検討も容易に行うことができる。
【0024】
さらに請求項6に記載の発明によれば、略L字状の平面形状をした石垣またはブロック壁を形成する際に、擁壁用開口部を利用して石垣またはブロック壁の角部の半径を簡単に検討することが可能となる。
【0025】
また、請求項7に記載の発明によれば、石垣またはブロック壁の面積を算出する際に、石垣またはブロック壁の側面の傾斜を擁壁展開線によって検討することができるので、石垣またはブロック壁の資材量や工数の検討が簡単に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】送電用の鉄塔の基礎部分を示す斜視図である。
図2】鉄塔の基礎の配置を示す敷地平面図と、基礎の埋設位置を示す敷地断面図とが表された鉄塔敷地図の説明図である。
図3】敷地平面図に描かれた基礎先端部の周囲の平坦地、切土および盛土を示す説明図である。
図4】敷地断面図に描かれた基礎先端部の周囲の平坦地、切土および盛土を示す説明図である。
図5】基礎の引上げ耐力に必要な土砂の量の検討手法を示す説明図である。
図6】鉄塔敷地用定規の構成を示す平面図である。
図7】鉄塔敷地用定規の土砂量検討部で基礎の土砂の量を検討する手法を示す説明図である。
図8】鉄塔敷地用定規の切土検討部で敷地への切土を検討する手法を示す説明図である。
図9】鉄塔敷地用定規の盛土検討部で敷地への盛土を検討する手法を示す説明図である。
図10】鉄塔敷地用定規の盛土用開口部で盛土の平面角部を検討する手法を示す説明図である。
図11】鉄塔敷地用定規の擁壁検討部で敷地への石垣やブロック壁の設置を検討する手法を示す説明図である。
図12】鉄塔敷地用定規の擁壁用開口部で石垣やブロック壁の平面角部を検討する手法を示す説明図である。
図13】鉄塔敷地用定規の擁壁展開線で石垣やブロック壁の面積を検討する手法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0028】
図1図13は、本発明の実施の形態を示し、図1は、本発明の鉄塔敷地用定規を利用して敷地の改修などが検討される送電鉄塔(以下、鉄塔という)1の構成を示す斜視図である。鉄塔1は、略四角錐形状で、水平断面が略正方形にされた、いわゆる四角鉄塔である。この鉄塔1は、鉄塔1の頂部から鉄塔1の底面の四隅に向けて延ばされた4本の主柱11と、各主柱11の間に配された水平材および斜材(図示せず)と、各主柱11を支持する4個の基礎2とを備えている。主柱11は、等辺山形鋼材や鋼管などで構成されている。なお、図面の煩雑化を防ぐため、主柱11は線状に図示している。
【0029】
基礎2は、側方から見た形状が逆T字形(逆T字形基礎)をしたコンクリート基礎であり、水平な板状の床板部21と、この床板部21の上面に立設された柱状の柱体部22とを備えている。床板部21には、円板形状の円形床板と、正方形状の方形床板とがあるが、図示した床板部21は方形床板である。基礎2内には、鉄筋が埋め込まれており、床板部21内に埋め込まれた鉄筋は碇材21a、柱体部22内に埋め込まれた鉄筋は主脚材22aと呼ばれている。基礎2は、上方から見た形状が略正方形となるように配置され、柱体部22の上部が地面から露出するように埋設されている。
【0030】
図2は、本発明の鉄塔敷地用定規を利用して鉄塔1の敷地の改修などが検討される紙面の鉄塔敷地図Aを示している。鉄塔敷地図Aは、例えば、A3サイズの用紙に印刷されたものであり、基礎2の配置を示す敷地平面図A1と、基礎2の埋設位置を示す対角方向敷地断面図A2と、配列方向敷地断面図A3とが表されている。この鉄塔敷地図Aは、鉄塔1の設計時に作成されたものであり、敷地周辺での造成開発行為や、台風や地震などの災害によって鉄塔敷地内の土砂が流出・崩壊した場合に、敷地の改修を検討する場合にも利用される。鉄塔敷地図Aは、例えば、1/100の縮尺で図示されている。
【0031】
敷地平面図A1は、基礎2を上方から見た配置を示しており、鉄塔1の敷地の地形が等高線によって表されている。送電鉄塔は、送電線を長距離にわたって支持するために複数基が連なるように設置されており、各送電鉄塔には、その送電ラインごとに鉄塔番号が追番で付与されている。敷地平面図A1には、敷地平面図A1の下方に鉄塔番号の大きな(老番ともいう)鉄塔があり、敷地平面図A1の上方に鉄塔番号の小さい(若番ともいう)鉄塔があると仮定して基礎を図示している。その際に、敷地平面図A1の下方をB方向、上方をF方向と呼び、敷地平面図A1の右方をR方向、左方L方向と呼んで識別している。また、鉄塔の各主柱には、その鉄塔の中心から見て右側下方から反時計周りにa脚、b脚、c脚およびd脚と呼ばれる。
【0032】
例えば、鉄塔1の鉄塔番号が「17」である場合、下方には鉄塔番号「16」の鉄塔が配置され、上方には鉄塔番号「18」の鉄塔が配置されている状態を表すように基礎2が図示される。また、鉄塔1の主柱11は、右下の主柱11から反時計周りにa脚、b脚、c脚およびd脚となり、各主柱11を支持する基礎2は、a基礎、b基礎、c基礎およびd基礎となる。
【0033】
また、鉄塔の1の敷地には、基礎2の地面からの露出された先端部分の周囲に、鉄塔1のメンテナンスのために平坦地を形成している。敷地が山間部などの斜面にある場合、この平坦地を作るために斜面から土砂を削り取る切土や、斜面に土砂を盛る盛土などを行う必要がある。敷地平面図A1のc基礎部分を拡大した図3に示すように、敷地平面図A1には、基礎2の配置とともに、この平坦地A1aと、切土A1bと、盛土A1cとが各基礎2に対応して図示されている。
【0034】
対角方向敷地断面図A2は、基礎2の対角線方向(a−c方向およびb−d方向)における敷地の断面図を示している。図中実線で示した敷地断面図A21は、主柱11のa脚からc脚に沿った敷地断面であり、a基礎とc基礎の埋設位置が示されている。同様に、図中破線で示した敷地断面図A22は、主柱11のb脚からd脚に沿った敷地断面であり、b基礎とd基礎の埋設位置が示されている。敷地断面図A21と敷地断面図A22とが交差した位置は、鉄塔1の中心を示している。この交点には、鉄塔1の施工時の基準となる施工基面「FL」に対する高さが、プラスまたはマイナスの符号によって表される。例えば、「FL+2.0」の場合、中心位置が施工基面FLよりも2m高いことを表す。なお、施工基面FLは、最も地盤の高い位置に設置された基礎に基づいて設定される。
【0035】
配列方向敷地断面図A3は、基礎2の配列方向(B−F方向およびL−R方向)における敷地の断面図を示している。図中実線で示した敷地断面図A31は、B−F方向における敷地断面であり、同様に、図中破線で示した敷地断面図A32は、L−R方向における敷地断面である。
【0036】
図4に示すように、この対角方向敷地断面図A2および配列方向敷地断面図A3にも、敷地平面図A1と同様に、平坦地A1a、切土A1bおよび盛土A1cが図示されている。
【0037】
鉄塔1の基礎2には、鉄塔1と送電線の荷重がかかるので、この荷重によって基礎2が地面に沈み込まないようにするために、基礎2の床板部21で荷重を分散して受けられるように床板部21の面積が設計されている。また、鉄塔1の基礎2には、鉄塔1が倒れる方向の力、すなわち基礎2が地面から引き上げられる力を抑える引上げ耐力が求められる。この引上げ耐力は、基礎2自体の重量と、基礎2に被せられた土砂の重量とによって得られるので、所定の引上げ耐力が得られるように、基礎2の埋設位置(埋設深さ)が設計されている。
【0038】
基礎2に被せられた土砂の量は、対角方向敷地断面図A2と、配列方向敷地断面図A3とを利用して検討することができる。図5は、a基礎の配列方向の敷地断面図を示す。鉄塔1の標準的な設計手法では、基礎2の床板部21の水平方向の長さLに対し、床板部21の側面から地面までの長さL2が2倍以上あり、床板部21の上方に逆台形状で示した必要土砂量Cが地面に干渉せずに得られた場合に、所定の引上げ耐力が得られると判断している。図5に示す例では、長さL2が長さLの2倍以上であり、必要土砂量Cが地面に干渉していないので、土砂の量は足りている。
【0039】
必要土砂量Cは、床板部21の両側面と碇材21aの延長線との交点から、土砂の種類に応じた安息角で第1検討線S1a、S1bを引き、碇材21aから所定高さの位置に水平方向の第2検討線S2を引くことによって得られる。安息角とは、土砂などの粉粒体を積み上げたときに崩れることなく安定を保つ斜面の角度である。第1検討線S1a、S1bには、土砂の種類、例えば甲、乙、丙に応じて、垂直線から「30°」、「20°」、「10°」の安息角が用いられる。また、この検討は、基礎2の対角線方向でも行われ、その際の第1検討線S1a、S1bは、配列方向の安息角「30°」、「20°」、「10°」に「√2」を乗算した値が用いられる。
【0040】
次に、本実施の形態の鉄塔敷地用定規について説明する。図6に示すように、鉄塔敷地用定規3は、変形7角形の外形形状を有する定規基板31によって構成されている。この定規基板31は、鉄塔敷地図Aの上に重ねた際に図面の内容が視認できるように、透明または反透明のプラスチック板で形成されている。この鉄塔敷地用定規3は、鉄塔敷地図Aに合わせて縮尺が1/100となっている。
【0041】
定規基板31には、土砂量検討部4と、配列方向切土検討部5Aと、対角方向切土検討部5Bと、配列方向盛土検討部6Aと、対角方向盛土検討部6Bと、盛土用開口部6Cと、擁壁検討部7Aと、擁壁用開口部7Bと、擁壁展開線7Cと、直線定規部8とが設けられている。
【0042】
土砂量検討部4は、基礎2に被せられた土砂の量の検討に用いられる機能部であり、定規基板31の底辺(一辺)31aに対して平行に描かれた水平基準線41の端部を基準にして放射状に描かれた複数の指標線からなる。この指標線は、水平基準線41に対して直交する垂直基準線42と、この垂直基準線42から土砂の安息角を表すように描かれた複数の配列方向指標線および対角方向指標線からなる。配列方向指標線は、基礎2の配列方向における土砂の安息角を表し、土砂の種類である甲、乙、丙の安息角に対応して、「30°」の指標線43aと、「20°」の指標線43bと、「10°」の指標線43cとを備えている。なお、土砂の種類は、安息角が大きい順、すなわち土砂が崩れ難い順に甲、乙、丙となっている。
【0043】
対角方向指標線は、基礎2の対角線方向における土砂の安息角を表し、具体的には、配列方向の安息角に√2を乗算した値となっている。したがって、対角方向の指標線44aは「30°」の安息角に「√2」を乗算した「39°14′」であり、指標線44bは「20°」の安息角に「√2」を乗算した「27°14′」であり、指標線44cは「10°」の指標線に「√2」を乗算した「14°」となっている。
【0044】
配列方向切土検討部5Aは、敷地の斜面に切土を行って平坦地を形成する検討を行う際に使用される機能部である。配列方向切土検討部5Aは、定規基板31に設けられた角部の1つ(第1の角部)が、配列方向敷地断面図A3における切土の法面勾配「1:0.8」となるように形成されたものである。同様に、対角方向切土検討部5Bは、対角方向敷地断面図A2において、切土の法面勾配「1:0.8×√2」を表すように定規基板31の別の角部(第3の角部)に設けられている。
【0045】
配列方向盛土検討部6Aは、敷地の斜面に盛土を行って平坦地を形成する検討を行う際に使用される機能部である。配列方向盛土検討部6Aは、定規基板31に設けられた角部のさらに別の1つ(第2の角部)が、配列方向敷地断面図A3における盛土の法面勾配「1:1.2」となるように形成されたものである。同様に、対角方向盛土検討部6Bは、対角方向敷地断面図A2において、盛土の法面勾配「1:1.2×√2」を表すように定規基板31の別の角部(第4の角部)に設けられている。盛土用開口6Cは、敷地平面図A1における盛土の標準的な整地面角部の半径「0.5m」を表した開口部である。
【0046】
擁壁検討部7Aは、敷地に石垣またはブロック壁で擁壁を形成する検討を行う際に利用される機能部である。擁壁検討部7Aは、定規基板31に設けられた角部のさらにまた別の1つ(第5の角部)に、石垣またはブロック壁の設置勾配「1:0.3」を表すように設けられている、
【0047】
擁壁用開口部7Bは、敷地に略L字状の平面形状をした石垣またはブロック壁を形成する際に、敷地平面図A1に石垣またはブロック壁の上端角部の半径を表すための開口部である。擁壁用開口部7Bは、石垣またはブロック壁の標準的な角部の半径「1.5m」を表すサイズで形成されている。
【0048】
擁壁展開線7Cは、敷地平面図A1における石垣またはブロック壁の長さと、配列方向敷地断面図A2における石垣またはブロック壁の高さとから、石垣またはブロック壁の面積を検討する際に、石垣またはブロック壁の側面の傾斜角度を表す指標線である。石垣またはブロック壁の面積は、石垣又はブロック壁を作る際の資材量や工数などの検討を行う際に算出される。
【0049】
直線定規部8は、定規基板31の底辺31aに設けられた1mm刻みの直線定規であり、鉄塔敷地図A上では、10cm刻みに7mまでの距離を計測することができる。この直線定規部8は、鉄塔敷地図A上で基礎2の床板部21の長さLや、地面までの水平方向の長さL2を計測し、あるいは上述した第1検討線S1a、S1bおよび第2検討線S2を作図する際に利用される。
【0050】
次に、上記実施の形態の作用について説明する。鉄塔1が設置されている山間部で土地の開発や造成が行われ、あるいは台風や地震などの災害が発生して敷地内の土砂が流出・崩壊した場合に、電力会社の技術者は、鉄塔1の現況確認を行う。技術者は、鉄塔1の敷地で土砂が崩壊していた場合には、例えば、3Dレーザスキャナなどを利用して土砂崩壊後の地面(崩壊ライン)を測量する。崩壊ラインの測量結果は、技術者によって鉄塔敷地図Aの対角方向敷地断面図A2および配列方向敷地断面図A3に図示される。
【0051】
図7は、崩壊ラインDLが描かれた配列方向敷地断面図A3を示している。技術者は、鉄塔敷地図Aと鉄塔敷地用定規3とを利用して、基礎2に被せられている土砂の量を検討する。具体的には、定規基板31の水平基準線41を基礎2の碇材21aに合わせ(重ね)、各指標線43a〜43cおよび44a〜44cの基準点である水平基準線41の端部41aを、床板部21の側面と碇材21aの延長線との交点21bに合わせる。
【0052】
次いで、土砂の種類(甲、乙、丙)に応じた配列方向指標線43a〜43cのいずれかを選択し、選択した指標線の延長線上で、定規基板31の外側に筆記具で点を打つ。その後、敷地断面図上から鉄塔敷地用定規3を移動させ、筆記具で打った点と、交点21bとを結ぶに線を描けば、第1検討線S1aを描くことができる。なお、第1検討線S1bは、鉄塔敷地用定規3を裏返した状態で、第1検討線S1aと同様の手順で描くことができる。
【0053】
次に、直線定規部8を利用して、碇材21aから所定高さの位置に水平方向の第2検討線S2を描けば、土砂の種類に応じた必要土砂量Cを作図することができる。
【0054】
技術者は、必要土砂量Cが崩壊ラインDLに干渉するか否かに基づいて、敷地の改修の要否を検討する。図7に示す例では、必要土砂量Cが崩壊ラインDLに干渉しているので、その干渉部分に土砂を盛って必要土砂量を得るための検討が必要となる。
【0055】
また、技術者は、鉄塔敷地用定規3の直線定規部8を利用して、基礎2の床板部21の長さLと、床板部21の側面から崩壊ラインDLまでの長さL2を測定して比較する。図7に示す例では、床板部21の長さLに対し、崩壊ラインDLまでの長さL2が2倍以下となっているので、長さL2が長さLの2倍以上になるように土砂を盛るための検討が必要になる。
【0056】
なお、詳しくは図示しないが、対角方向敷地断面図A2と、対角方向指標線44a〜44cとを使用して、同様の手順で対角線方向の必要土砂量を検討することができる。従来、鉄塔敷地定規3を使用せずに対角線方向の必要土砂量を検討する場合には、配列方向の安息角に√2を乗算して、対角線方向の安息角を算出しなければならなかった。しかしながら、鉄塔用敷地定規3を利用すれば、安息角の算出が不要になるので、経験の浅い技術者であっても、簡単に必要土砂量の検討を行うことができる。
【0057】
また、土砂の崩壊により、基礎2の先端周囲の平坦地が消失した場合には、技術者は、鉄塔敷地図Aと鉄塔敷地用定規3とを利用して、平坦地を修復するための検討を行う。この場合、配列方向切土検討部5Aと、対角方向切土検討部5Bとを利用して、対角方向敷地断面図A2および配列方向敷地断面図A3に切土のラインを描く。
【0058】
具体的には、図8示す配列方向敷地断面図A3のように、配列方向切土検討部5Aを構成する一辺が略水平になるように鉄塔敷地定規3を配置し、必要な平坦地の面積が得られるように、鉄塔敷地定規3の角度を変えずに移動させ、図中2点鎖線で示す水平な仮想線(平坦地)Ls1と、これに連なる傾斜した仮想線(切土)Ls2とを描く。図8で言えば、配列方向切土検討部5Aの頂点5A1を、仮想線Ls1とLs2との交点P1に一致させた状態で作図する。このように、鉄塔敷地定規3の配列方向切土検討部5Aを利用すれば、角度などを計測せずに平坦地および切土を図面上に描くことができる。
【0059】
なお、詳しくは図示しないが、対角方向敷地断面図A2においては、対角方向切土検討部5Bを利用して、同様の手順で平坦地と切土とを描くことができる。従来、鉄塔敷地定規3を使用せずに対角線方向の切土を検討する場合には、配列方向の切土勾配に√2を乗算して、対角線方向の切土勾配を算出しなければならなかった。しかしながら、鉄塔用敷地定規3を利用すれば、切土勾配の算出が不要になるので、経験の浅い技術者であっても、簡単に切土の検討を行うことができる。
【0060】
また、切土だけで平坦地が修復できない場合には、盛土の検討も行われる。この場合、配列方向切土検討部6Aと、対角方向切土検討部6Bとを利用して、対角方向敷地断面図A2および配列方向敷地断面図A3に切土のラインを描く。
【0061】
具体的には、図9示す配列方向敷地断面図A3のように、配列方向盛土検討部6Aを構成する一辺を、切土の検討で作図した水平な仮想線Ls1に重ね、必要な平坦地の面積が得られるように、鉄塔敷地定規3を水平方向で移動させ、図中2点鎖線で示す仮想線Ls3のように、仮想線Ls1に連なる盛土の仮想線を描く。図9で言えば、配列方向盛土検討部6Aの頂点6A1を、仮想線Ls1とLs3との交点P2に一致させた状態で作図する。このように、鉄塔敷地定規3の配列方向盛土検討部6Aを利用すれば、角度などを計測せずに平坦地および盛土を図面上に描くことができる。
【0062】
なお、詳しくは図示しないが、対角方向敷地断面図A2においては、対角方向盛土検討部6Bを利用して、同様の手順で平坦地と盛土とを描くことができる。従来、鉄塔敷地定規3を使用せずに対角線方向の盛土を検討する場合には、配列方向の盛土勾配に√2を乗算して、対角線方向の盛土勾配を算出しなければならなかった。しかしながら、鉄塔用敷地定規3を利用すれば、盛土勾配の算出が不要になるので、経験の浅い技術者であっても、簡単に盛土の検討を行うことができる。
【0063】
また、盛土については、図10に示すように、盛土用開口部6Cを利用して平面角部r1の形状についても検討を行う必要がある。盛土用開口部6Cは、円形の孔なので、この孔を図中2点鎖線で示すように、敷地平面図A1の盛土法肩部分に重ね、盛土用開口部6Cに沿って盛土の平面角部r1を描く。このように、盛土用開口部6Cを利用すれば、サイズの異なる円形の孔が多数設けられた製図用のテンプレートを用意し、このテンプレートから盛土の平面角部r1に適した孔を選択するような作業を行わなくても、簡単かつ迅速に盛土の平面角部r1を検討することが可能となる。
【0064】
また、技術者は、図11に示すように、崩壊ラインDLの上に盛った土砂ESの流出を食い止めるために石垣やブロック壁を設ける場合には、擁壁検討部7Aを利用して、配列方向敷地断面図A3などに石垣またはブロック壁などの擁壁Wを描くことができる。具体的には、擁壁検討部7Aを構成する一辺が略水平になるように鉄塔敷地定規3を配置し、擁壁Wが敷地に所定の深さで埋設されるように鉄塔敷地定規3の位置を調整し、擁壁検討部7Aの他辺に沿って擁壁Wを所定の厚みで描く。これにより、石垣やブロック壁などを所定の設置勾配で、敷地断面図上に簡単かつ迅速に描くことが可能となる。
【0065】
なお、図12に示すように、平面形状が略L字状の擁壁Wを形成する場合には、擁壁用開口部7Bを利用して、擁壁Wの平面角部r2の形状についても検討を行う必要がある。擁壁用開口部7Bは、円形の孔なので、この孔を図中2点鎖線で示すように、敷地平面図A1の擁壁Wに重ね、擁壁開口部7Bに沿って平面角部r2を描く。このように、擁壁用開口部7Bを利用すれば、サイズの異なる円形の孔が多数設けられた製図用のテンプレートを用意し、このテンプレートから平面角部r2に適した孔を選択するような作業を行わなくても、簡単かつ迅速に擁壁Wの平面角部r2を検討することが可能となる。
【0066】
また、擁壁Wの資材量や工数などを検討するために擁壁Wの面積が必要な場合には、図13に示すように、敷地平面図A1から求めた擁壁Wの長さと、配列方向敷地断面図A2から求めた擁壁Wの高さとに基づいて擁壁Wの展開図を描く。その際に、擁壁展開線7Cを利用して擁壁Wの側面Wsの傾斜角度を描く。従来は、分度器などで計測して擁壁Wの側面Wsを描かなければならなかったが、鉄塔敷地用定規3を使用すれば、そのような作業を行わずに簡単かつ迅速に擁壁Wの側面Wsを描くことができる。
【0067】
以上説明したように、本実施形態によれば、鉄塔敷地用定規3に、土砂の安息角を利用して基礎2に被せられた土砂の量を検討するための土砂量検討部4や、切土の法面勾配を表す配列方向切土検討部5A、盛土の法面勾配を表す配列方向盛土検討部6Aなどを設けたので、鉄塔敷地図Aを利用して敷地の改修などを検討する際に、検討経験の乏しい技術者であっても簡単かつ迅速に検討を行うことが可能である。また、定規基板31を透明板または半透明板で構成したので、鉄塔敷地図Aに鉄塔敷地用定規3を重ねた状態で鉄塔敷地図Aを視認することができ、作業性が向上する。さらに、鉄塔敷地用定規3は、鉄塔敷地図Aで使用される程度の板状の小さなものなので、高い携帯性を得ることが可能であり、山間部の鉄塔敷地へも簡単に持ち運ぶことができる。
【0068】
また、土砂量検討部4は、基礎2の配列方向における配列方向指標線だけでなく、基礎2の対角線方向における対角方向指標線も備えているので、配列方向に比べて計算が複雑になる対角線方向の土砂量検討も簡単に行うことが可能である。
【0069】
さらに、基礎2の対角線方向の切土が検討可能な対角方向切土検討部5Bと、同じく対角線方向の盛土の検討が可能な対角方向盛土検討部6Bとを備えているので、配列方向に比べて計算が複雑になる対角線方向の切土および盛土の検討も簡単に行うことが可能である。また、定規基板31に盛土の角部の半径を表す盛土用開口部6Cを設けたので、盛土の検討がさらに容易になる。
【0070】
さらに、石垣またはブロック壁で擁壁を形成する際の設置勾配を表す擁壁検討部7Aを備えているので、擁壁についての検討も容易に行うことができる。また、略L字状の平面形状をした石垣またはブロック壁を形成する際に、擁壁用開口部7Bを利用して石垣またはブロック壁の角部の半径を簡単に検討することが可能となる。さらに、石垣またはブロック壁の面積を算出する際に、石垣またはブロック壁の側面の傾斜を擁壁展開線7Cによって検討することができるので、石垣またはブロック壁の資材量や工数の検討が簡単に行えるようになる。
【0071】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、定規基板31に対する土砂量検討部4、配列方向切土検討部5A、対角方向切土検討部5B、配列方向盛土検討部6A、対角方向盛土検討部6B、盛土用開口部6C、擁壁検討部7A、擁壁用開口部7B、擁壁展開線7Cおよび直線定規部8の配置は、上記の実施の形態の配置に限定されるものではない。鉄塔敷地用定規3を全体的に小型化可能で、かつ各部の操作性に悪影響が生じないサイズが得られるのであれば、各部の配置は変更することが可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 送電鉄塔
2 基礎
3 鉄塔敷地用定規
31 定規基板
4 土砂量検討部
5A 配列方向切土検討部
5B 対角方向切土検討部
6A 配列方向盛土検討部
6B 対角方向盛土検討部
6C 盛土用開口部
7A 擁壁検討部
7B 擁壁用開口部
7C 擁壁展開線
8 直線定規部
A 鉄塔敷地図
A1 敷地平面図
A2 対角方向敷地断面図
A3 配列方向敷地断面図
C 必要土砂量
DL 崩壊ライン
S1a、S1b 第1検討線
S2 第2検討線
W 擁壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13