(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-199515(P2018-199515A)
(43)【公開日】2018年12月20日
(54)【発明の名称】液体運搬車
(51)【国際特許分類】
B65D 88/12 20060101AFI20181122BHJP
G01M 3/40 20060101ALI20181122BHJP
G01F 23/18 20060101ALI20181122BHJP
【FI】
B65D88/12 F
G01M3/40 Z
G01F23/18
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-104957(P2017-104957)
(22)【出願日】2017年5月26日
(11)【特許番号】特許第6282371号(P6282371)
(45)【特許公報発行日】2018年2月21日
(71)【出願人】
【識別番号】390000011
【氏名又は名称】JFEアドバンテック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】303055615
【氏名又は名称】株式会社モリタエコノス
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】古家 嘉仁
(72)【発明者】
【氏名】山本 善亮
(72)【発明者】
【氏名】田中 重裕
【テーマコード(参考)】
2F014
2G067
3E070
【Fターム(参考)】
2F014AB02
2F014BA03
2G067AA02
2G067AA26
2G067DD03
3E070AA07
3E070AB01
3E070CA03
3E070CB03
(57)【要約】
【課題】差圧センサの取付位置に基づいた補正を不要とし、タンク内の液体収容量を判断するためのプログラムを簡素化する。
【解決手段】液体運搬車1は、液体を収容するタンク3と、タンク3内の下部の液圧P1とタンク3内の上部の気圧P2との差圧を検出する差圧センサ12と、タンク3の傾斜角を検出する傾斜角センサ15と、差圧センサ12と傾斜角センサ15の検出結果に基づいてタンク3内の液体の収容量を判断する処理部19とを備える。差圧センサ12は、タンク3が傾斜した状態での処理部19の判断結果が定められた計量許容誤差ΔV以内となるように、タンク3の底面5近傍に配置されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容するタンクと、
前記タンクの下部と上部に接続され、前記タンク内の下部の液圧と前記タンク内の上部の気圧との差圧を検出する差圧センサと、
前記タンクの傾斜角を検出する傾斜角センサと、
前記差圧センサと前記傾斜角センサの検出結果に基づいて、前記タンク内の液体の収容量を判断する処理部と
を備え、
前記差圧センサは、前記タンクが傾斜した状態での前記処理部の判断結果が定められた計量許容誤差以内となるように、前記タンクの底面近傍に配置されている、液体運搬車。
【請求項2】
前記差圧センサは、前記タンクの長手方向の端部から、前記タンクの長手方向の外方へ定められた間隔以内に配置されており、前記間隔は以下を満たす、請求項1に記載の液体運搬車。
X≦ΔV/(W×L0×cosθ×sinθ)
X : 間隔
ΔV: 計量許容誤差
W : タンク幅
L0: タンク長
θ : タンク最大傾斜角
【請求項3】
前記タンクの後壁には、前記タンク内の液体を排出するための排出管が接続され、
前記排出管には、径方向外向きに突出するドレン管が分岐接続されており、
前記差圧センサは、前記ドレン管に分岐接続された分岐管に配置されている、請求項1又は2に記載の液体運搬車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体運搬車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、路面の傾斜によって車体が傾いていても、タンク内の液体の収容量を高精度に計測できるようにした液体運搬車が開示されている。この液体運搬車は、差圧センサ、傾斜センサ、及び補正処理部を備える。補正処理部は、差圧センサによる検出結果に基づいてタンク内の液体の収容量を判断する。また、補正処理部は、傾斜センサによって検出したタンクの傾斜角と、差圧センサの取付位置に関する情報とに基づいて、液体収容量の判断の結果を補正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5742875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の液体運搬車は、タンクの傾斜角と差圧センサの取付位置情報とを用いた複雑な補正プログラムが必要である。また、差圧センサの取付位置を測定し、その取付位置に基づいた補正値を設定する必要があるため、液体運搬車に搭載する際の作業が繁雑である。
【0005】
本発明は、差圧センサの取付位置に基づいた補正を不要とし、タンク内の液体収容量を判断するためのプログラムを簡素化できる液体運搬車を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
タンク内の液体収容量は、タンクに設置された差圧センサにより計測された水頭圧から判断(計測)している。路面の傾斜によってタンクが傾斜すると、差圧センサが検出する水頭圧に変化が生じるため、液体収容量の判断に誤差が生じる。このため、傾斜による補正が必要となる。一方、傾斜によるタンク内の水頭圧変化に基づく補正値は、タンクの形状要素によって予め設定できる。よって、差圧センサと傾斜角センサの検出結果に基づく液体収容量の判断結果が、定められた計量許容誤差以内となるように差圧センサを取り付ければ、差圧センサの取付位置に基づいた補正は必要ない。本発明は、かかる新たな知見に基づいてなされたものである。
【0007】
本発明は、液体を収容するタンクと、前記タンクの下部と上部に接続され、前記タンク内の下部の液圧と前記タンク内の上部の気圧との差圧を検出する差圧センサと、前記タンクの傾斜角を検出する傾斜角センサと、前記差圧センサと前記傾斜角センサの検出結果に基づいて、前記タンク内の液体の収容量を判断する処理部とを備え、前記差圧センサは、前記タンクが傾斜した状態での前記処理部の判断結果が定められた計量許容誤差以内となるように、前記タンクの底面近傍に配置されている、液体運搬車を提供する。
【0008】
この態様によれば、タンクが傾斜していても、差圧センサと傾斜角センサの検出結果に基づいて処理部が判断した液体収容量は許容誤差内になるため、差圧センサの取付位置に基づいた補正は必要ない。よって、タンク内の液体収容量を判断するためのプログラムを簡素化できる。また、差圧センサ、傾斜角センサ、及び処理部を備える計量システムを液体運搬車に搭載する際には、初期設定を簡素化できるため、作業性を向上できる。
【0009】
前記差圧センサは、前記タンクの長手方向の端部から、前記タンクの長手方向の外方へ定められた間隔以内に配置されており、前記間隔は以下を満たす。
【数1】
【0010】
液体運搬車のタンクが楕円筒状である場合、前記タンク幅Wとは、タンクの幅が最も大きい部分(最大幅)である。そして、この態様によれば、差圧センサを取り付ける間隔Xは、タンク幅Wを用いた厳しい条件で設定されるため、処理部による判断結果を確実に許容誤差内に収めることができる。
【0011】
前記タンクの後壁には、前記タンク内の液体を排出するための排出管が接続され、前記排出管には、径方向外向きに突出するドレン管が分岐接続されており、前記差圧センサは、前記ドレン管に分岐接続された分岐管に配置されている。この態様によれば、タンク内から排出されるスラッジと空気が差圧センサに侵入することを抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の液体運搬車では、タンクが傾斜していても、差圧センサと傾斜角センサの検出結果に基づく処理部の判断結果は許容誤差内になるため、差圧センサの取付位置に基づいた補正は必要ない。よって、タンク内の液体収容量を判断するためのプログラムを簡素化できる。また、計量システムを液体運搬車に搭載する際には、初期設定を簡素化できるため、作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る液体運搬車を示す概念図。
【
図2】液体運搬車の計量システムを示すブロック図。
【
図4】タンクの差圧センサを配置した部分の側面図。
【
図5】タンクの差圧センサを配置した部分の背面図。
【
図8】差圧センサを配置する間隔の算出原理を説明するための概念図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0015】
図1から
図8は、本発明の実施形態に係る液体運搬車1を示す。
図1及び
図2に示すように、液体運搬車1は、車体2の後側に配置されたタンク3と、タンク3内の液体の収容量を計測するための計量システム10とを備えるバキュームカーである。計量システム10は、差圧センサ12、傾斜角センサ15、表示装置16、及び制御装置18を備える。本実施形態では、制御装置18によって、差圧センサ12による検出結果と傾斜角センサ15による検出結果とに基づいてタンク3内の液体の収容量を計測可能とし、差圧センサ12の取付位置に基づいた補正を不要とする。
【0016】
(計量システムの概要)
図1及び
図3に示すように、差圧センサ12は、制御装置18によって駆動され、タンク3内の下部の液圧とタンク3内の上部の気圧との差圧によって、タンク3内の液体収容量を検出するものである。
図5を併せて参照すると、
図5中右側の第1入力部13には、タンク3の下部に接続された排出管7が接続され、タンク3内の液体の液圧P1(底部の液圧)が入力される。
図5中左側の第2入力部14には、タンク3の上部に接続された接続管8が接続され、タンク3内の上部空間の気圧P2が入力される。差圧センサ12は、液圧P1と気圧P2の圧力差によって得られた検出値(検出結果)を、制御装置18に出力する。差圧センサ12は、液圧P1と気圧P2が直接入力される方式に限られず、液圧P1と気圧P2を別のセンサで検出して電気的に差を得るダイアフラムシール式の他、種々の方式のものを用いることもできる。
【0017】
傾斜角センサ15は、タンク3内の下部に配置されており、制御装置18によって駆動され、タンク3の傾斜角度を検出するものである。傾斜角センサ15としては、振り子式やフロート式等、傾斜角度を検出可能な周知のセンサを用いることができる。
【0018】
図1から
図3に示すように、表示装置16は、液晶表示パネルによって構成されており、タンク3の後壁4cに配置されている。表示装置16は、制御装置18によって駆動され、タンク3内の液体の総収容量と、今回行われた液体の吸引量とを表示する。総収容量と吸引量の表示は、切り替えにより交互に行ってもよいし、両方を同時に行ってもよい。
【0019】
制御装置18は、単一又は複数のマイクロコンピュータ、及びその他の電子デバイスにより構成されている。制御装置18は、処理部19、表示制御部20、記憶部21、及びA/D変換器23を備える。制御装置18は、差圧センサ12、傾斜角センサ15、及び表示装置16に電気的に接続されている。
【0020】
処理部19には、差圧センサ12と傾斜角センサ15の検出値(アナログデータ)が、A/D変換器23によってデジタルデータに変換されて入力される。処理部19は、差圧センサ12と傾斜角センサ15の検出値に基づいてタンク3内の液体収容量を判断する。詳しくは、処理部19は、差圧センサ12の検出結果に基づいてタンク3内の液面高さを算出し、算出した液面高さと傾斜センサ15の検出結果から、タンク3内の液体収容量を算出する。
【0021】
また、処理部19は、記憶部21に記憶された過去の判断結果に基づいて、今回行われた吸引量を算出する。さらに、処理部19は、タンク3内の収容量と今回の吸引量とを、表示制御部20を介して表示装置16に表示させる。
【0022】
記憶部21には、差圧センサ12、傾斜角センサ15、及び表示装置16を制御するためのプログラムと、差圧センサ12と傾斜角センサ15の検出値に基づいて液体収容量を判断するためのデータとが記憶されている。このデータには、差圧センサ12の検出値に基づいてタンク3内の液面高さを判断するための判定値が含まれている。また、記憶部21には、処理部19が判断したタンク3内の収容量が記憶される。
【0023】
(差圧センサの配置)
図1及び
図3を参照すると、タンク3は、楕円筒状の外周壁4aと、外周壁4aの前端を塞ぐ前壁4bと、外周壁4aの後端を塞ぐ後壁4cとを備える。
図3から
図5に示すように、差圧センサ12は、タンク3の長手方向の端部である後壁4cに配置されている。差圧センサ12を配置する鉛直方向の位置は、タンク3が傾斜していない状態で、タンク3の底面5の高さと概ね一致するように設定されている。
【0024】
また、差圧センサ12は、タンク3の後壁4cから、タンク3の長手方向の外方へ定められた間隔X以内に配置されている。間隔Xは、タンク3が定められた最大傾斜角θで傾斜した状態で、処理部19による液体収容量の判断結果が、定められた計量許容誤差ΔV以内となる距離に設定されている。例えばタンク3の最大収容量が4tの場合、計量許容誤差ΔVは10リットルである。
【0025】
詳しくは、
図6及び
図7に示すように、タンク3内の水頭圧、つまりタンク3内の最も低い部分から液面S1,S2までの高さは、路面の傾斜によって車体2が傾斜するとタンク3も傾斜するため、変化する。この水頭圧変化により、差圧センサ12による検出値も変化する。また、差圧センサ12による検出値は、水頭圧変化に加え、タンク3に対する差圧センサ12の取付位置によっても変化する。これは、路面の傾斜によって車体2が傾斜すると、液面S1,S2(タンク3)に対する差圧センサ12の位置(高さ)も変位するためである。
【0026】
つまり、
図7に示すタンク3の傾斜状態では、
図6に示すタンク3の非傾斜状態と比べて、差圧センサ12がタンク3の底面5よりも低くなる。この場合、差圧センサ12からタンク3内の液面S1,S2までの高さ(距離)は、タンク3内の液体収容量が同じであっても、
図6の非傾斜状態よりも
図7の傾斜状態の方が高くなる。よって、
図7に示す傾斜状態では、
図6に示す非傾斜状態よりも差圧センサ12に加わる液圧P1が高くなるため、差圧センサ12の検出結果に基づく液体収容量の判断の結果は、傾斜状態では非傾斜状態よりも多い量の判断を下すことになる。一方、タンク3が
図7とは逆向きに傾斜すると、差圧センサ12がタンク3の底面5よりも高くなるため、差圧センサ12の検出結果に基づく液体収容量の判断の結果は、非傾斜状態よりも少ない量の判断を下すことになる。これが誤判断(計量誤差)の原因である。
【0027】
差圧センサ12をタンク3内の後壁4cの下端に配置すれば、差圧センサ12の取付位置による誤差の考慮は必要ない。しかし、差圧センサ12は、配線と配管、並びにメンテナンスのことを考慮すると、タンク3内に配置することはできない。よって、判断部19による液体収容量の判断には、差圧センサ12の取付位置による誤差が生じるのである。
【0028】
一方、差圧センサ12の取付位置による誤差を除く、傾斜によるタンク3内の水頭圧変化に基づく補正値は、タンク3の形状要素によって予め設定できる。よって、差圧センサ12と傾斜角センサ15の検出結果に基づく処理部19の容量判断結果が、定められた計量許容誤差ΔV以内となるように差圧センサ12を取り付ければ、差圧センサ12の取付位置に基づいた補正は必要ない。
【0029】
次に、
図6から
図8を参照して、差圧センサ12を取り付ける間隔Xの算出方法について説明する。
【0030】
図7に示すように、タンク3が最大傾斜角θで傾斜している場合、差圧センサ12からタンク3の底面5の下端までの高さ(非傾斜状態との高さの差)はΔTである。この高さの差ΔTは、タンク3の長手方向におけるタンク3と差圧センサ12の間隔Xに関連しており、以下の式(2)で算出できる。
【数2】
【0031】
図8に示すように、液面S1,S2が変位することで計量誤差が最も大きくなるのは、タンク3の幅が最も大きい部分(最大幅W)である(
図3参照)。傾斜状態でのタンク3の長さL1(タンク3の長手方向における液面の全長)は、非傾斜状態で定められたタンク3の全長L0と最大傾斜角θを以下の式(3)に代入することで算出できる。
【数3】
【0032】
また、高さの差ΔTによって生じる最大の計量誤差の容量Vmaxは、以下の式(4)で算出できる。
【数4】
【0033】
式(4)の傾斜状態のタンク長L1と高さの差ΔTに式(2),(3)を代入すると、以下の式(5)が得られる。
【数5】
【0034】
以下の式(6)のように、高さの差ΔTによって生じる最大誤差容量Vmaxが計量許容誤差ΔV以内であれば、差圧センサ12の検出結果、又は処理部19の容量判断結果を、差圧センサ12の取付位置によって補正する必要はない。つまり、最大誤差容量Vmaxが計量許容誤差ΔV以内となる位置に差圧センサ12を配置すれば、差圧センサ12の取付位置の情報による補正は必要ない。
【数6】
【0035】
式(6)の最大誤差容量Vmaxに式(5)を代入すると、タンク3と差圧センサ12の間隔Xを求めるための以下の式(7)が得られる。
【数7】
【0036】
このように、式(7)を満たす間隔X以内に差圧センサ12を配置すれば、タンク3が最大傾斜角θで傾斜していても、差圧センサ12と傾斜角センサ15の検出結果に基づいて判断した結果(液体収容量)の誤差は許容誤差ΔV以内になる。勿論、タンク3が最大傾斜角θ未満で傾斜している場合でも、差圧センサ12と傾斜角センサ15の検出結果に基づく判断の結果の誤差は許容誤差ΔV以内になる。
【0037】
例えば、差圧センサ12をタンク3の後壁4cから7mmの位置に配置し、タンク3の長手方向の最大傾斜角θを15°とすると、タンク3が最大傾斜角θで傾斜した時の液面S2の高さ差ΔTは最大で1.8mm(=7×sin15°)である。汎用の4tタンク3の場合、タンク3の傾斜の有無によるタンク3の収容量の計量誤差は、最大で5リットルである。また、4tタンク3で計量許容誤差ΔVが10リットルの場合、最大2mmまで液面高さ検出誤差が許容可能である。
【0038】
以上のように、間隔X以内に差圧センサ12を配置することで、許容誤差ΔV以下の判断結果が得られるため、差圧センサ12の取付位置に基づいた補正は必要ない。つまり、処理部19は、差圧センサ12と傾斜センサ15の検出結果に基づいてのみ、タンク3内の液体収容量を判断すればよい。よって、タンク3内の液体収容量を判断するためのプログラムを簡素化できる。また、計量システム10を液体運搬車1に搭載する際には、初期設定を簡素化できるため、作業性を向上できる。しかも、差圧センサ12を取り付ける間隔Xは、タンク3の最大幅Wを用いた厳しい条件で設定されるため、処理部19による判断結果を確実に許容誤差ΔV内に収めることができる。
【0039】
(差圧センサの取付構造)
図3から
図5に示すように、タンク3に対して差圧センサ12を間隔X以内に配置するために、タンク3の排出管7には、ドレン管25と分岐管28が分岐接続されており、分岐管28の先端に差圧センサ12の第1入力部13が接続されている。
【0040】
排出管7は、タンク3内の液体を外部に排出するものであり、タンク3の後壁4cからタンク3の長手方向に沿って外方へ突出している。
【0041】
ドレン管25は、排出管7の径方向の下向きに突出するように、排出管7に分岐接続されている。ドレン管25は、スラッジの除去を容易にするために、設置可能な範囲で大きい直径のもので構成されている。ドレン管25の出口(下端)には、レバー27によって開閉可能な止水弁26が配置されている。
【0042】
分岐管28は、タンク3の幅(水平)方向に沿って突出するように、ドレン管25に分岐接続されている。
図5に最も明瞭に示すように、分岐管28は、第1管部28a、第2管部28b、及び第3管部28cを備え、この順で直径が小さくなっている。第1管部28aはドレン管25に接続され、第2管部28bは第1管部28aに接続され、第3管部28cは第2管部28bに接続されている。そして、第3管部28cの第2管部28bとは反対側の端が、差圧センサ12の第1入力部13に接続されている。このように、ドレン管25から差圧センサ12の第1入力部13に向けて、分岐管28の直径を段階的に小さくしているため、第1入力部13に対して、タンク3内のスラッジの侵入を抑制できる同時に空気の侵入(エア噛み)、及びエア溜まりを防止できる。
【0043】
前述のように、分岐管28の先端には、差圧センサ12の第1入力部13が接続されている。第1入力部13がタンク3の底面5と同じ高さに位置するように、排出管7、ドレン管25、及び分岐管28の位置が設定されている。また、差圧センサ12がタンク3に対して間隔X以内に位置するように、排出管7に対するドレン管25の分岐位置が設定されている。
【0044】
差圧センサ12の第2入力部14には、接続管8の一端が接続されている。
図1を参照すると、接続管8の他端は、タンク3内の液体のオーバーフローを防ぐためのタンク3の前側に設けられた安全装置30に接続されている。つまり、接続管8は、タンク3の前側上部からタンク3の後側下部にかけて配管されている。安全装置30は、タンク3内の収容量がタンク容量を超えると、タンク3内の液体によってフロートが浮き上がり、液体が漏れないようにするものである。
【0045】
このように取り付けた差圧センサ12には、第1入力部13にタンク3内の液圧P1が確実に入力され、第2入力部14にタンク3内の上部空間の気圧P2が確実に入力される。そのため、差圧センサ12によってタンク3内の液面S1,S2までの高さ(液体の収容量)を確実に検出できる。
【0046】
なお、本発明の液体運搬車1は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0047】
例えば、差圧センサ12を接続する分岐管28は、ドレン管25に分岐接続したが、排出管7に分岐接続してもよい。
【0048】
液体運搬車1としてバキュームカーを例に挙げたが、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0049】
1…液体運搬車
2…車体
3…タンク
4a…外周壁
4b…前壁
4c…後壁
5…底面
7…排出管
8…接続管
10…計量システム
12…差圧センサ
13…第1入力部
14…第2入力部
15…傾斜角センサ
16…表示装置
18…制御装置
19…処理部
20…表示制御部
21…記憶部
23…A/D変換器
25…ドレン管
26…止水弁
27…レバー
28…分岐管
28a…第1管部
28b…第2管部
28c…第3管部
30…安全装置
【手続補正書】
【提出日】2017年11月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容するタンクと、
前記タンクの下部と上部に接続され、前記タンク内の下部の液圧と前記タンク内の上部の気圧との差圧を検出する差圧センサと、
前記タンクの傾斜角を検出する傾斜角センサと、
前記差圧センサと前記傾斜角センサの検出結果に基づいて、前記タンク内の液体の収容量を判断する処理部と
を備え、
前記差圧センサは、前記タンクが傾斜した状態での前記処理部の判断結果が定められた計量許容誤差以内となるように、前記タンクの長手方向の端部から前記タンクの長手方向の外方へ定められた間隔以内の、前記タンクの底面近傍に配置されており、
前記間隔は以下を満たす、液体運搬車。
X≦ΔV/(W×L0×cosθ×sinθ)
X : 間隔
ΔV: 計量許容誤差
W : タンク幅
L0: タンク長
θ : タンク最大傾斜角
【請求項2】
前記タンクの後壁には、前記タンク内の液体を排出するための排出管が接続され、
前記排出管には、径方向外向きに突出するドレン管が分岐接続されており、
前記差圧センサは、前記ドレン管に分岐接続された分岐管に配置されている、請求項1に記載の液体運搬車。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明
の一態様は、液体を収容するタンクと、前記タンクの下部と上部に接続され、前記タンク内の下部の液圧と前記タンク内の上部の気圧との差圧を検出する差圧センサと、前記タンクの傾斜角を検出する傾斜角センサと、前記差圧センサと前記傾斜角センサの検出結果に基づいて、前記タンク内の液体の収容量を判断する処理部とを備え、前記差圧センサは、前記タンクが傾斜した状態での前記処理部の判断結果が定められた計量許容誤差以内となるように、
前記タンクの長手方向の端部から前記タンクの長手方向の外方へ定められた間隔以内の、前記タンクの底面近傍に配置され
ており、前記間隔は以下を満たす、液体運搬車を提供する。
【数1】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
なお、前記タンク幅Wとは、液体運搬車のタンクが楕円筒状である場合、タンクの幅が最も大きい部分(最大幅)である。そして、この態様によれば、差圧センサを取り付ける間隔Xは、タンク幅Wを用いた厳しい条件で設定されるため、処理部による判断結果を確実に許容誤差内に収めることができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】