特開2018-199590(P2018-199590A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2018-199590セラミック複合材の製造方法および組合せ体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2018-199590(P2018-199590A)
(43)【公開日】2018年12月20日
(54)【発明の名称】セラミック複合材の製造方法および組合せ体
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/80 20060101AFI20181122BHJP
   C04B 35/571 20060101ALI20181122BHJP
   C04B 35/524 20060101ALI20181122BHJP
   B28B 7/34 20060101ALI20181122BHJP
【FI】
   C04B35/80 600
   C04B35/571
   C04B35/524
   B28B7/34 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-103990(P2017-103990)
(22)【出願日】2017年5月25日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)「平成29年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)革新的構造材料「高速基材製造プロセス技術の開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願」
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 修一
(72)【発明者】
【氏名】高木 俊
(72)【発明者】
【氏名】川口 章秀
(72)【発明者】
【氏名】加藤 英生
(72)【発明者】
【氏名】外薗 裕樹
【テーマコード(参考)】
4G053
【Fターム(参考)】
4G053AA00
4G053AA15
4G053BB13
4G053CA22
(57)【要約】
【課題】変形や亀裂を生じさせることなく焼成するセラミック複合材の製造方法および組合せ体を提供する。
【解決手段】本発明のセラミック複合材の製造方法は、セラミック繊維からなる骨材とセラミック前駆体とからなる成形体1を、樹脂の発泡体2に埋設する埋設工程S1と、成形体1を発泡体2とともに焼成しセラミック前駆体をセラミック化する焼成工程S2と、発泡体2を取り除く離型工程S3と、を含む。また、組合せ体は、セラミック繊維からなる骨材とセラミック前駆体とからなる成形体1と、成形体1を埋設する樹脂の発泡体2とからなる。樹脂の発泡体2に埋設したのち発泡体2とともに焼成するので、樹脂の発泡体2が成形体1を軟らかく保持して成形体1が焼成収縮しても型から大きな力を受けることなく、セラミック複合材5の変形を防止することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック繊維からなる骨材とセラミック前駆体とからなる成形体を、樹脂の発泡体に埋設する埋設工程と、
前記成形体を前記発泡体とともに焼成し前記セラミック前駆体をセラミック化する焼成工程と、
前記発泡体を取り除く離型工程と、
を含むセラミック複合材の製造方法。
【請求項2】
前記発泡体は、熱硬化性樹脂である請求項1に記載のセラミック複合材の製造方法。
【請求項3】
前記埋設工程は、液状の樹脂を発泡させるとともにフィルムを介して前記成形体を前記発泡体に埋設する請求項1または2に記載のセラミック複合材の製造方法。
【請求項4】
前記セラミック前駆体は、セラミック粒子を含有する請求項1から3のいずれか1項に記載のセラミック複合材の製造方法。
【請求項5】
前記セラミック粒子は、炭素および/またはSiCである請求項4に記載のセラミック複合材の製造方法。
【請求項6】
前記セラミック繊維は、SiC繊維である請求項1から5のいずれか1項に記載のセラミック複合材の製造方法。
【請求項7】
前記セラミック前駆体は、ピッチ、フェノール樹脂、シラン系樹脂、フラン樹脂、コプナ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ユリア樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリルから選択される少なくとも一つの樹脂である請求項1から6のいずれか1項に記載のセラミック複合材の製造方法。
【請求項8】
セラミック繊維からなる骨材とセラミック前駆体とからなる成形体と、前記成形体を埋設する樹脂の発泡体とからなる組合せ体。
【請求項9】
前記発泡体は、熱硬化性樹脂である請求項8に記載の組合せ体。
【請求項10】
前記組合せ体は、前記成形体と前記発泡体との間にフィルムを有する請求項8または9に記載の組合せ体。
【請求項11】
前記セラミック前駆体は、セラミック粒子を含有する請求項8から10のいずれか1項に記載の組合せ体。
【請求項12】
前記セラミック粒子は、炭素および/またはSiCである請求項11に記載の組合せ体。
【請求項13】
前記セラミック繊維は、SiC繊維である請求項8から12のいずれか1項に記載の組合せ体。
【請求項14】
前記セラミック前駆体は、ピッチ、フェノール樹脂、シラン系樹脂、フラン樹脂、コプナ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ユリア樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリルから選択される少なくとも一つの樹脂である請求項8から13のいずれか1項に記載の組合せ体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック複合材の製造方法および組合せ体に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素繊維/炭素複合材、SiC繊維/SiC複合材などのセラミック複合材は、高い耐熱性を有するとともに高強度であるので、様々な分野での利用が期待されている。炭素繊維/炭素複合材は、特に高い耐熱性を有し、純度が高いことから半導体の製造装置、高温炉などに用いられている。一方、SiC繊維/SiC複合材では、耐酸化性を有しているので、ガスタービンの高温部品、原子炉の部材などに利用が期待されている。
【0003】
特許文献1には、クロス積層時の作業性と、カーボン/カーボン複合材の成形過程での形状保持性とを改善して、コストダウンを図りつつ層間剥離等の構造的欠陥の発生を未然に防止するために、複数枚の炭素繊維クロスをそれらの層間に水溶性接着剤を介在させながらマンドレルに巻き付けて相互に積層、接着した上でこれを乾燥させてドライプリフォームとし、このドライプリフォームにピッチ含浸、炭化処理および黒鉛化処理の順でこれらの各処理を焼成処理として複数回繰り返し、焼成処理に先立って、マンドレルから脱型したドライプリフォームに炭素繊維クロス同士を縫い合わせるべく縫製処理を施し、この縫製処理後のドライプリフォームを別の型にセットした上で焼成処理を施すことカーボン/カーボン複合材の製造方法が記載されている。また、実施の形態には、円錐形状であるロケットノズルについて記載され、カーボン/カーボン複合材の元となるドライプリフォームを上型と下型とからなる黒鉛性の焼成型にセットしピッチ含浸、炭素化処理、黒鉛化処理を繰り返すことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−219577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、円錐形状であるロケットノズルを事例に説明している。円錐形状の場合、ドライプリフォームが収縮しても円錐の先端側に移動することにより全体形状を維持しつつ張力を緩和することができる。しかしながら、円筒、角パイプ形状をはじめ、複雑な立体形状の場合には、収縮に伴って型から力を受けるようになり、収縮を阻害し、セラミック複合材に亀裂を生じさせたり、変形の原因となる。
【0006】
本発明では、前記課題を鑑み、変形や亀裂を生じさせることなく焼成するセラミック複合材の製造方法および焼成に適した成形体を含む組合せ体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するためのセラミック複合材の製造方法は、
(1)セラミック繊維からなる骨材とセラミック前駆体とからなる成形体を、樹脂の発泡体に埋設する埋設工程と、前記成形体を前記発泡体とともに焼成し前記セラミック前駆体をセラミック化する焼成工程と、前記発泡体を取り除く離型工程と、を含む。
【0008】
本発明のセラミック複合材の製造方法は、成形体を、樹脂の発泡体に埋設したのち発泡体とともに焼成しセラミック前駆体をセラミック化するので、樹脂の発泡体が成形体を軟らかく保持し成形体が焼成収縮しても発泡体から大きな力を受けることなく、セラミック複合材の変形を防止することができる。
【0009】
(2)前記発泡体は、熱硬化性樹脂である。
【0010】
熱硬化性樹脂は、焼成の過程で軟化することなく、元の発泡した状態を保持したまま炭化していくので成形体を保持した状態を維持したまま焼成することができる。
【0011】
(3)前記埋設工程は、液状の樹脂を発泡させるとともにフィルムを介して前記成形体を発泡体に埋設する。
【0012】
液状の樹脂を発泡させるので、成形体と密着した発泡体を得ることできる。また、フィルムを介して成形体と発泡体が接しているので、成形体と発泡体とが接着せず焼成後に分離しやすくすることができる。
【0013】
(4)前記セラミック前駆体は、セラミック粒子を含有することを特徴とする。
【0014】
前記セラミック前駆体は、セラミック粒子を含有しているので、セラミック前駆体の含有率を減らし成形体の焼成時の収縮を抑制でき、発泡体から受ける力をより小さくすることができる。
【0015】
(5)前記セラミック粒子は、炭素および/またはSiCであることを特徴とする。
【0016】
前記セラミック粒子が炭素および/またはSiCであると、高い耐熱性を有しているので、耐熱温度の高いセラミック複合材を得ることができる。
【0017】
(6)前記セラミック繊維は、SiC繊維であることを特徴とする。
【0018】
前記セラミック繊維が、SiC繊維であると、高い耐熱性を有し高強度であるので、耐熱温度が高く、高強度のセラミック複合材を得ることができる。
【0019】
(7)前記セラミック前駆体は、ピッチ、フェノール樹脂、シラン系樹脂、フラン樹脂、コプナ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ユリア樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリルから選択される少なくとも一つの樹脂である。
【0020】
セラミック前駆体が少なくとも上記樹脂のうちの一つの樹脂であると、得られるセラミックマトリックスは、炭素またはSiCとなるため、耐熱温度の高いセラミック複合材を得ることができる。
【0021】
前記課題を解決するための組合せ体は、
(8)セラミック繊維からなる骨材とセラミック前駆体とからなる成形体と、前記成形体を埋設する樹脂の発泡体とからなる。
【0022】
組合せ体が、セラミック繊維からなる骨材とセラミック前駆体とからなる成形体と、前記成形体を埋設する樹脂の発泡体とからなると、組合せ体を焼成する際に、樹脂の発泡体が成形体を軟らかく保持しながら一緒にセラミック化するので、成形体が焼成収縮しても発泡体から大きな力を受けることなく、セラミック複合材の変形を防止することができる。
【0023】
(9)前記発泡体は、熱硬化性樹脂である。
【0024】
前記発泡体が熱硬化性樹脂であると、組合せ体を焼成する際に、軟化することがなく、元の発泡した状態を保持したまま炭化し、成形体を保持した状態を維持したまま焼成することができる。
【0025】
(10)前記組合せ体は、前記成形体と前記発泡体との間にフィルムを有する。
【0026】
液状の樹脂を発泡させて成形体と密着した発泡体を得た際に、フィルムを介して成形体と発泡体が接しているので、成形体と発泡体とが接着せず焼成後に分離しやすくすることができる。
【0027】
(11)前記セラミック前駆体は、セラミック粒子を含有する。
【0028】
前記セラミック前駆体は、セラミック粒子を含有していると、成形体の焼成時の収縮を抑制でき、発泡体から受ける力をより小さくすることができる。
【0029】
(12)前記セラミック粒子は、炭素および/またはSiCである。
【0030】
前記セラミック粒子が炭素および/またはSiCであると、高い耐熱性を有しているので、耐熱温度の高いセラミック複合材を得ることができる。
【0031】
(13)前記セラミック繊維は、SiC繊維である。
【0032】
前記セラミック繊維が、SiC繊維であると、高い耐熱性を有し高強度であるので、耐熱温度が高く、高強度のセラミック複合材を得ることができる。
【0033】
(14)前記セラミック前駆体は、ピッチ、フェノール樹脂、シラン系樹脂、フラン樹脂、コプナ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ユリア樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリルから選択される少なくとも一つの樹脂である。
【0034】
セラミック前駆体が少なくとも上記樹脂のうちの一つの樹脂であると、得られるセラミックマトリックスは、炭素またはSiCとなるため、耐熱温度の高いセラミック複合材を得ることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明のセラミック複合材の製造方法によれば、成形体を、樹脂の発泡体に埋設したのち発泡体とともに焼成しセラミック前駆体をセラミック化するので、樹脂の発泡体が成形体を軟らかく保持し成形体が焼成収縮しても発泡体から大きな力を受けることなく、セラミック複合材の変形を防止することができる。また、本発明の組合せ体によれば、セラミック繊維からなる骨材とセラミック前駆体とからなる成形体と、前記成形体を埋設する樹脂の発泡体とからなるので、組合せ体を焼成する際に、樹脂の発泡体が成形体を軟らかく保持しながら一緒にセラミック化し、成形体が焼成収縮しても発泡体から大きな力を受けることなく、セラミック複合材の変形を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明に係る成形体の外観を示す正面斜視図。
図2】本発明の工程フローを示すフロー図。
図3】本発明のセラミック複合材を得る実施例1の工程フローの概念図であり、(a)成形体を示す図、(b)図2の埋設工程S1に対応する概念図、(c)図2の焼成工程S2に対応する概念図、(d)図2の離型工程S3に対応する概念図。
図4】実施例1の埋設工程の詳細を示す概念図であり、(a)未硬化の発泡体を樹脂フィルムで覆う工程を示す図、(b)樹脂フィルムの上に成形体を置き発泡体を硬化させる工程を示す図、(c)成形体に樹脂フィルムを被せる工程を示す図、(d)成形体を発泡体で覆い、発泡体中で固定する工程を示す図。
図5】本発明のセラミック複合材を得る実施例2の埋設工程の概念図、(a)成形体と発泡体(上型と下型)の展開図、(b)成形体と発泡体の組合せ図。
図6】本発明のセラミック複合材を得る実施例3の埋設工程の概念図、(a)成形体と未硬化発泡体、(b)発泡体の中に沈められた成形体の図。
【0037】
(発明の詳細な説明)
本発明のセラミック複合材の製造方法は、セラミック繊維からなる骨材とセラミック前駆体とからなる成形体を、樹脂の発泡体に埋設する埋設工程と、前記成形体を前記発泡体とともに焼成し前記セラミック前駆体をセラミック化する焼成工程と、前記発泡体を取り除く離型工程と、を含む。
【0038】
本発明のセラミック複合材の製造方法は、成形体を、樹脂の発泡体に埋設したのち発泡体とともに焼成しセラミック前駆体をセラミック化するので、樹脂の発泡体が成形体を軟らかく保持し成形体が焼成収縮しても発泡体から大きな力を受けることなく、セラミック複合材の変形を防止することができる。
【0039】
前記発泡体は、熱硬化性樹脂である。
【0040】
熱硬化性樹脂は、焼成の過程で軟化することなく、元の発泡した状態を保持したまま炭化していくので成形体を保持した状態を維持したまま焼成することができる。
【0041】
前記埋設工程は、液状の樹脂を発泡させるとともにフィルムを介して前記成形体を発泡体に埋設する。
【0042】
液状の樹脂を発泡させるので、成形体と密着した発泡体を得ることできる。また、フィルムを介して成形体と発泡体が接しているので、成形体と発泡体とが接着せず焼成後に分離しやすくすることができる。
【0043】
前記セラミック前駆体は、セラミック粒子を含有することを特徴とする。
【0044】
前記セラミック前駆体は、セラミック粒子を含有しているので、成形体の焼成時の収縮を抑制でき、発泡体から受ける力をより小さくすることができる。
【0045】
前記セラミック粒子は、炭素および/またはSiCであることを特徴とする。
【0046】
前記セラミック粒子が炭素および/またはSiCであると、高い耐熱性を有しているので、耐熱温度の高いセラミック複合材を得ることができる。ここで、セラミック粒子は、炭素およびSiCの混合物あるいはその一方のいずれであってもよい。
【0047】
前記セラミック繊維は、SiC繊維であることを特徴とする。
【0048】
前記セラミック繊維が、SiC繊維であると、高い耐熱性を有し高強度であるので、耐熱温度が高く、高強度のセラミック複合材を得ることができる。
【0049】
前記セラミック前駆体は、ピッチ、フェノール樹脂、シラン系樹脂、フラン樹脂、コプナ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ユリア樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリルから選択される少なくとも一つの樹脂である。
【0050】
セラミック前駆体が少なくとも上記樹脂のうちの一つの樹脂であると、得られるセラミックマトリックスは、炭素またはSiCとなるため、耐熱温度の高いセラミック複合材を得ることができる。
【0051】
本発明の組合せ体は、セラミック繊維からなる骨材とセラミック前駆体とからなる成形体と、前記成形体を埋設する樹脂の発泡体とからなる。
【0052】
組合せ体が、セラミック繊維からなる骨材とセラミック前駆体とからなる成形体と、前記成形体を埋設する樹脂の発泡体とからなると、組合せ体を焼成する際に、樹脂の発泡体が成形体を軟らかく保持しながら一緒にセラミック化するので、成形体が焼成収縮しても発泡体から大きな力を受けることなく、セラミック複合材の変形を防止することができる。
【0053】
前記発泡体は、熱硬化性樹脂である。
【0054】
前記発泡体が熱硬化性樹脂であると、組合せ体を焼成する際に、軟化することがなく、元の発泡した状態を保持したまま炭化し、成形体を保持した状態を維持したまま焼成することができる。
【0055】
前記組合せ体は、前記成形体と前記発泡体との間にフィルムを有する。
【0056】
液状の樹脂を発泡させて成形体と密着した発泡体を得た際に、フィルムを介して成形体と発泡体が接しているので、成形体と発泡体とが接着せず焼成後に分離しやすくすることができる。
【0057】
前記セラミック前駆体は、セラミック粒子を含有する。
【0058】
前記セラミック前駆体は、セラミック粒子を含有していると、成形体の焼成時の収縮を抑制でき、発泡体から受ける力をより小さくすることができる。
【0059】
前記セラミック粒子は、炭素および/またはSiCである。
【0060】
前記セラミック粒子が炭素および/またはSiCであると、高い耐熱性を有しているので、耐熱温度の高いセラミック複合材を得ることができる。ここで、セラミック粒子は、炭素およびSiCの混合物あるいはその一方のいずれであってもよい。
【0061】
前記セラミック繊維は、SiC繊維である。
【0062】
前記セラミック繊維が、SiC繊維であると、高い耐熱性を有し高強度であるので、耐熱温度が高く、高強度のセラミック複合材を得ることができる。
【0063】
前記セラミック前駆体は、ピッチ、フェノール樹脂、シラン系樹脂、フラン樹脂、コプナ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ユリア樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリルから選択される少なくとも一つの樹脂である。
【0064】
セラミック前駆体が少なくとも上記樹脂のうちの一つの樹脂であると、得られるセラミックマトリックスは、炭素またはSiCとなるため、耐熱温度の高いセラミック複合材を得ることができる。
【0065】
埋設工程で用いる樹脂の発泡体は、特に限定されないが、ポリウレタン、フェノール樹脂、スチレン、ポリプロピレン、メラミン、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)、ポリアクリロニトリル、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)などが利用できる。これらの樹脂は容易に発泡体が得られるので、本発明のセラミック複合材の製造に用いる発泡体として使用することができる。
【0066】
中でも、熱硬化性樹脂の発泡体を用いることが好ましい。熱可塑性樹脂は、直鎖状の高分子であり、熱硬化性樹脂は網目状の分子構造をしている。熱硬化性樹脂は、3官能以上のモノマーを用いて網目状に合成される熱を加えても溶融しない樹脂である。本発明においては、架橋した熱可塑性樹脂も利用することができる。直鎖状の高分子を架橋した樹脂は熱を加えても溶融しないため、同様に本発明のセラミック複合材の製造に用いる発泡体として使用することができる。熱可塑性樹脂の発泡体を架橋して用いる場合には、発泡体に電子線、放射線などを照射して架橋する方法、架橋剤を添加する方法など利用することができる。
【0067】
また、埋設工程では、どのような方法で埋設してもよい。例えば、あらかじめ型を用いて成型し硬化させた1組の発泡体を用いて成形体を挟んで埋設してもよい。
また、ガスで膨張させた液状の樹脂の泡の中に、成形体を沈めそのまま硬化させることにより、発泡体の中に埋設してもよい。この場合、成形体は、発泡体の樹脂との接着を防止するため、成形体をフィルムで包んでから液状の樹脂の泡の中に沈めることが好ましい。
【0068】
ガスで膨張させた液状の樹脂の泡の表面にフィルムを被せ、その上から成形体を押さえつけ、液状の樹脂の泡を成形体の形状となるように硬化させてもよい。液状の樹脂の泡が硬化した後、さらに成形体の上からフィルムを被せ、さらに上から樹脂の泡で覆うことにより完全に成形体を埋設することができる。
【0069】
埋設工程で使用するフィルムは、特に限定されないが、埋設工程で成形体と、発泡体が接着することのないように発泡体の原料となる液状の樹脂に対して不浸透、不溶性であることが好ましい。
【0070】
また、焼成工程で使用するフィルムは有害な残渣が残らないことが望ましい。有害な残渣としては、溶融した後表面に付着したもの、塩素を含む樹脂が熱分解しダイオキシンを含む残渣などがある。このような残渣を残すことなく液状の樹脂に対して不浸透、不溶性であるフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファンなどが挙げられる。セロファンは、セルロースでできたフィルムであり、溶媒に溶けにくいこと、熱を加えても軟化しないことより好適に利用することができる。ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂は、熱を加えると主鎖分解する樹脂であるので、残渣がほとんど残らず、構造中に塩素を持たないので好適に利用することができる。
【0071】
(発明を実施するための形態)
各実施例に基づいて、セラミック繊維からなる骨材とセラミック前駆体とからなる成形体1を、樹脂の発泡体2に埋設する埋設工程S1と、成形体1を発泡体2とともに焼成しセラミック前駆体をセラミック化する焼成工程S2と、発泡体2を取り除いてセラミック複合材5を得る離型工程S3を説明する。成形体1の外観は、図1に示している。また、各工程のフロー図は、図2に示している。
【0072】
(実施例1)
図3、4に基づいて実施例1を説明する。図3は、図2のフロー図に対応した工程フローの概念図であり、(a)は成形体1を示し、(b)は図2の埋設工程S1に対応する概念図を示し、(c)は図2の焼成工程S2に対応する概念図を示し、(d)は図2の離型工程S3に対応する概念図を示す。図4は、埋設工程の詳細を示す概念図である。
【0073】
まず、炭素繊維からなるストランドを用いて織った平織りクロスをコーン形状になるように立体的に積層し、骨材を得る。次にコーン形状の骨材にセラミック前駆体として炭素からなるセラミック粒子を含有するフェノール樹脂を含浸し、図1図3(a)に示す成形体1を得る。
【0074】
<埋設工程:S1>
次に箱の中に未硬化の発泡体2であるウレタンフォームを充填し、上にポリエチレンからなる第1樹脂フィルム3で覆う(図4(a)参照)。得られた成形体1を第1樹脂フィルム3の上に載せ、コーン内部の空洞にウレタンフォームが行き渡るよう少し沈める。このままウレタンフォームが硬化するまで放置する(図4(b)参照)。ウレタンフォームが硬化したら、さらに第2樹脂フィルム4を被せ(図4(c)参照)、隙間ができないように未硬化のウレタンフォーム(発泡体2)を吹き付ける。さらにウレタンフォームが硬化するまで待ち、成形体1が発泡体2であるウレタンフォームの中で固定される(図4(d)参照)。
【0075】
<焼成工程:S2>
次に、発泡体2ごと焼成することにより、セラミック前駆体を炭化させ、カーボンのマトリックスを形成する。
【0076】
<離型工程:S3>
セラミック複合材(炭素繊維/炭素複合材)5は、炭化した発泡体2から分離することにより得ることができる。
【0077】
(実施例2)
図5に基づいて実施例2を説明する。
【0078】
SiC繊維のストランドを巻回し、コーン形状の骨材を得る。得られた骨材にポリカルボシランを含浸し、成形体1を得る。SiC繊維にはあらかじめ表面に熱分解炭素の被覆が施されている。熱分解炭素の被覆は、マトリックスのSiCと、SiC繊維との一体化を防止し、複合材としての性質を発揮する上で重要な機能を有している。発泡体2は、骨材のコーン形状と同じキャビティを有する上型2aと下型2bとの組み合わせで構成されている(図5(a)参照)。発泡体2は、フェノールフォームからなり、焼成すると形状を維持したまま炭化するので、焼成後も成形体を保持することができる。
【0079】
<埋設工程:S1>
得られた成形体1を、キャビティにセットし、上型2aと下型2bを組み合わせ発泡体2の中に成形体1を埋設する(図5(b)参照)。
【0080】
<焼成工程:S2>
次に、成形体1を発泡体2ごと焼成し、セラミック前駆体をセラミック化し、SiCマトリックスを形成する。
【0081】
<離型工程:S3>
セラミック複合材(SiC繊維/SiC複合材)5は、炭化した発泡体から分離することにより得ることができる。
【0082】
(実施例3)
図6に基づいて、実施例3を説明する。
【0083】
<埋設工程:S1>
実施例1と同様に得られた円筒形の成形体の表面を、ポリエチレンフィルムで覆った後、未硬化の発泡体2であるウレタンフォームの泡の中に沈め、(図6(a)参照)、ウレタンフォームが硬化するまで放置する(図6(b)参照)。
【0084】
次に実施例1と同様に焼成工程S2で焼成したのち、離型工程S3で発泡体2を分離して、セラミック複合材5を得ることができる。
【0085】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明のセラミック複合材の製造方法および組合せ体は、変形や亀裂を生じさせることないセラミック複合材を用いて、耐熱性の高いことを要求する温炉用部材、半導体製造装置、ジェットエンジン用部品などの分野に適合可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 成形体
2 発泡体
3 第1樹脂フィルム
4 第2樹脂フィルム
5 セラミック複合材
図1
図2
図3
図4
図5
図6